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September 28, 2006

現場から:堀病院事件こう考える 

「現場」というのは記者の取材現場のこと、24時間本当に密着して毎日の記者はお産の現場を取材しているのだろうか?日本テレビで先日放映されたドキュメント番組(中京テレビ製作)はそういう意味で大変よくできていると思う。毎日新聞横浜支局の記者3名は男ばかりのようなのでお産なんて今まで真剣に考えたことがないから仕方がないのかもしれないが内容が似通っていて毎日流とでもいうのか個性が全く感じられない3つの文章に接してマスコミ人にはもう少し修行を積んで欲しいとも思った。
http://blog.med-apple.co.jp/mailmaga/diary/archives/2006/09/post_15.html

現場から:堀病院事件こう考える /神奈川

 ◇産科医不足論議と直結するのか
 「今回の事件で『お産をやめる』という医師が相次いでいる」
 取材した産科医たちはみな訴えた。お産があれば昼夜問わず呼び出される激務。そのうえ警察の捜査対象になるとあっては、ただでさえ成り手が少ない産科医不足に拍車がかかるというのだ。横浜支局に連日届くメールや手紙の中には「毎日新聞は産科医療を破壊するつもりなのか」という批判もあった。
 だが、産科医の窮状がこの事件と直結するだろうか。
 県警の家宅捜索容疑になった03年12月29日の女性(当時37歳)の出産を担当した医師は、分娩(ぶんべん)直前に初めて女性を診て、取り上げ後に別の外来患者を診察し、その後分娩室に戻ったという。同病院の分娩は1日平均8人。夜間に出産が重なることも少なくないはずだ。医師や看護師が奔走する様子が見えてくる。
 その一方、堀病院はここ5年間、助産師が6~7人しかいなかった。横浜駅から最寄り駅まで急行電車で15分、そこから徒歩5分。助産師偏在が問題視されているが、地方病院とは立地条件も規模も違う。なぜ助産師が集まらないのか。待遇に問題はなかったのか。
 「次々と来る患者を他に回せなかった」。堀健一院長(78)は話した。だが、患者受け入れを抑制していた形跡はない。それどころか、ホームページでサービスの充実をアピールし、赤ちゃん連れ去り事件が起きると急きょ新生児にICタグ装着を導入するなど、マスコミへのPRが巧みだった。「出産数日本一」の看板は少なくとも十数年前から掲げていた。
 受け入れ限界を超えていた可能性があるにもかかわらず、広く患者を集めて受け入れたのは、「お産難民」を生まないようにという良心からなのか。「出産数日本一」が結果ではなく、目的となった部分はないのか。今はまだ答えが出ない。だが、少しでも真実に近づきたい。【伊藤直孝】
 ◇院長の説明責任、もっと果たして
 県警が家宅捜索に踏み切った8月24日、報道陣の取材に時折笑みを浮かべながら応じた堀健一院長は言った。「患者さんに説明しても、法的なことは分からない」
 耳を疑った。大学病院ですら「患者本位の医療」を声高に叫ぶ時代。それなのに、何という言葉なのだろう。
 堀病院のサービスは、ある意味では“充実”していた。
 ホームページでは堀院長自らセールスポイントをうたい、「出産数日本一を誇るユニークな産婦人科を目指して頑張っています」と宣言。院内の掲示板は前日までに生まれた赤ちゃんの数を掲げている。高級車による送迎やエステルーム。赤ちゃんの産声や立ち会い分娩の父親の感想を収めたCDアルバムまでプレゼントしてくれる。「テレビにも数多く登場し、サービスが充実しているから」。堀病院を選んだ理由を泉区の主婦はそう語っていた。
 だが、肝心の診療は“充実”していたのか。非常に疑問がある。
 県と横浜市の調査では堀病院の常勤医師数は89年の6人から04年まで変わっていない。一方、看護師、准看護師数は28人から39人へ増え、一般病床数も47床から77床と大きくなった。年間3000人の出産数を取り上げるのに、10年以上同じ医師数で大丈夫だったのだろうか。
 さらに入、通院する妊婦に対し、看護師らに助産行為を行わせてきた事実も、その行為が法的に問題があることも伝えていなかった。「出産数日本一」なのだから、信頼できる医師と助産師が立ち会ってくれると信じていた人は多かったはずだ。それを逆手に取って違法行為を続けていたとしたら、医師としての見識が疑われる。
 外見のサービスは日本一でも、肝心のお産についてどれだけ考えていたのか。堀院長は先月25日の記者会見以来、沈黙を貫いている。きちんと説明してほしい。【堀智行】
 ◇不安あおらず取材続けたい
 取材で堀病院を訪れたある日の午前5時過ぎ。正面玄関から、ピンク色の妊婦服を着た妊婦たちが、薄暗い診察室前の長いすにずらりと腰かけているのが見えた。初めて見た光景に驚いた。
 「失礼ですが、ご家族はいらっしゃいますか?」。堀病院が県警の家宅捜索を受けた翌日、支局に女性の声で電話があった。「いえ、まだ独り身です」と答えると、女性は「家族がいる人にあんな記事が書けますか。産めなくて困っている人がたくさんいるのに」と語気を荒らげた。この女性は子供2人を堀病院で産んだといい、堀健一院長らに「大変よくしてもらった」と言う。
 私が取材した女性の中には、自宅近くの産婦人科が分娩をやめてしまい、堀病院に来たという人が3人いた。院長が「お産をやめるわけにはいかない」と言うように、堀病院は社会的要請に対応していたようにも思える。
 「お母さんに言われて不安になったけど、今から転院して、産める病院が見つかるのかも不安」。妊娠9カ月という22歳の主婦はまゆをひそめて話した。妊婦たちも悩む。横浜市の立ち入り調査で、堀病院のほかにも看護師に内診をさせていた病院があることも新たに分かった。気軽に転院できる、という状況でもないようだ。
 「院長は気さくな人だった」という声もよく聞く。それゆえ、思ったことをしゃべり過ぎるのだろう。記者たちの前でよどみなく、はっきりした物言いで持論を展開した。事務長が会見を打ち切り、院長の腰に手を回して守るように病院内に消えたのが印象的だった。
 いたずらに不安をあおる報道はしたくない。この問題は堀病院だけのものではないのかもしれない。未婚で男の私は、取材を続けて妊婦さんの気持ちに少しでも近づくしかない。そう痛感している。【池田知広】

[毎日新聞 ]2006年9月8日(金)

投稿者 akiuchi : September 28, 2006 11:12 AM