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November 30, 2006

本田宏先生の講演会

獨協医大の渡辺博先生から本田宏先生の講演会に関する情報を送っていただいた。弘前大学の先輩が何を発言するのか楽しみだ。
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本田宏先生の講演会のお知らせ

日時: 平成18年12月8日(金)17:30分~

場所: 獨協医大創立30周年記念館関湊記念ホール

演題: 「なぜ医療崩壊が始まったのか、真実を知ることの必要性」

講師: 済生会栗橋病院副院長
    済生会栗橋病院外科部長
    NPO法人医療制度研究会代表幹事

    本田 宏 先生

学内・学外を問わず、ご聴講歓迎いたします (病院長より)。

投稿者 akiuchi : 07:46 AM

ニュースレター「ぷるぷる通信12月号」原稿

今年の漢字「崩」「壊」?-1年を振り返って考える- 医療法人アップル理事長 木内 敦夫

今年も残すところあとわずかとなって慌しくなって参りました。毎年この時期になると「今年の漢字」というニュースが流れます。これは財団法人日本漢字能力検定協会がその年をイメージする漢字一字の公募を全国より行い、最も応募数の多かった漢字一字を、その年の世相を表す漢字として、発表するものです。1995年にスタートした企画で、毎年12月12日の「漢字の日」に京都の清水寺奥の院舞台にて、貫主により巨大な半紙に漢字一字が揮毫され、その後、本尊である千手観世音菩薩に奉納されるそうです。自由国民社の新語・流行語大賞などと並んで、現代日本の世相を反映する一つの指標として使われることが多いといわれています。ちなみに昨年の漢字は「愛」でした。これは「愛・地球博」の開催、紀宮様のご成婚、電車男などの純愛ブーム、卓球やゴルフで「アイちゃん」が大活躍したことによるものだそうです。今年の漢字として何が選ばれるのか興味深いところがありますが医療の世界に関していえば第一候補として挙げられる漢字は崩壊の「崩」か「壊」だと私は考えています。11月18日(土)にホテル東日本で虎の門病院泌尿器科部長の小松秀樹先生を宇都宮にお招きして塩谷郡市医師会主催の講演会を開催いたしました。小松先生は「医療崩壊-立ち去り型サボタージュ」(朝日新聞社)という本を今年出版されて一躍注目を集めることになりました。本の中で小松先生は日本の医療に関して行政、マスコミ、検察・警察、医師会、大学などの問題点を鋭く指摘されています。産婦人科医療に関していえば今年は2月の福島県大野病院事件、8月の横浜堀病院内診問題事件、10月の奈良県大淀病院事件と周産期医療崩壊に直結する大きな事件が相次ぎました。「立ち去り型サボタージュ」という言葉はリスクが多くて報われない医療現場から医師が逃げ出すという意味です。栃木県内でも産科を閉鎖してお産の取り扱いを止める病院、診療所が相次いでいます。11月号のニュースレターでも何とか周産期医療の崩壊をくい止めなければ大変なことになると訴えましたが事態は私の予想を超えて急速に進行しているようです。医療崩壊によって困るのは地域住民の皆様です。こどもの自殺=学校・学級崩壊、家庭内暴力=家庭崩壊など暗いニュースばかりが毎日報道されておりますがこのまま行くと日本という国家そのものが崩壊するのではないかと心配になってきます。「美しい日本」がこのまま崩壊することがないように来年は良い年であることを祈ります。

投稿者 akiuchi : 07:36 AM

November 29, 2006

性教育

性教育ではきうち医院副院長の角田先生も奮闘しているがまだ性教育まで守備範囲を広げることができる産婦人科医は少数派だろう。この分野における女性医師の活躍に期待したい。男性医師も参加すべきだとは思うのだが・・・

[指定席]人権教育としての性教育を進める産婦人科医 小栗明子さん44=愛知 読売新聞 2006年11月28日(火

 「日本女性の多くは、自身の体の仕組みを正しく理解していない。それは自分の体を大切にできないということ」と話し、望まない妊娠や性感染症など様々トラブルの根本になっていると指摘する。
 2002年から年に6~10校で中学生らへの性に関する講演をしている。女子生徒に体の仕組みや特徴を説明すると、少なからず戸惑いの声が漏れることがある。それは、診察の際の成人女性でも同じだ。
 その理由は、女性の性が興味本位の視点にさらされ、商品のように扱われている現実から、女性も自身の性をタブーと感じて避けているためと考えている。講演はこんな現状を理解し、意識改革してもらう狙いもある。
 「性教育は、人生教育であり、人権教育。一度しかない命を大切にする意識をはぐくむためのもの。自分を大切にすれば、性のトラブルにも巻き込まれることはないはず」。これからも、ねばり強く語りかけていくつもりだ。
 12月9日午後4時半から、名古屋市中区の市男女平等参画推進センターで、「エイズ・性感染症と女性の人権」と題して講演する。申し込みは同センター(052・241・0311)へ。(金成真也)
     ◇
 春日井市出身。名古屋大学医学部卒。勤務医を経て1998年に急逝した産婦人科医の父親の後を継ぎ、小栗産婦人科医院院長に就任。

 写真=小栗明子さん

 〈代表県版採録〉

[読売新聞 ]

投稿者 akiuchi : 10:36 AM

院内助産院

助産師による「院内助産院」が産科医不足の救世主として注目されている。産科医がいる大病院(センター病院)に設置されるのが院内助産院だと私は考えていたのだが産科医がいない「院内助産院」が果たしてこれからのトレンドになるのだろうか?「出産件数は2005年度で358件あった。このうち308人は正常出産で、帝王切開など異常出産は50件だった。」ということだが308人の正常出産がすべて傷も全くないお産とは考えられないので縫合などは誰がするのか疑問だな。

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「院内助産院」を開設 南和歌山医療センター(和歌山)

【院内助産院では和室を利用して検診などを行う(田辺市たきない町で)】
 
 田辺市たきない町の南和歌山医療センターは12月1日から、助産師が出産を扱う「院内助産院」を県内で初めて開設する。同センターでは助産師が出産前後や更年期の介護を担当する助産師外来も開いており、妊婦検診から出産、育児相談まで継続して母子を支援していく。全国で産科医が不足している中、医師不足を補う効果が期待されている。
 助産師は、看護師が半年以上の教育を受けて受験できる国家資格。看護師ではできない妊婦の内診や出産の介助、へその緒の切断ができる。
 開設する院内助産院では、助産師7人が交代で勤務し対応する。助産師が妊婦の検診を行い、正常な状態で出産できる場合には、妊婦の分娩(ぶんべん)を助ける。院内助産院で分娩するには妊娠中に3回以上の医師の診察が必要で、同センターの非常勤医師が担当する。
 紀南病院(同市新庄町)の産婦人科医が嘱託医を務める。出産時には電話で医師に情報を連絡するとともに、帝王切開が必要になるなど、状況が変わった場合は同院に搬送する。また、検診時に妊娠中毒症など、正常な出産が難しいと推測される場合は、同院が診察する。
 出産費用は、入院日数など個人によって異なるものの、市内の病院などとほぼ同等。5日間の入院で約32万円。
 出立加代子看護師長(42)は「それぞれの妊婦が『自分らしい出産』をできるように、時間をかけて支援していきたい。出産だけでなく、女性の生活を支えられるよう育児などの相談にも応じていく」と話している。
 同センターは、医師の派遣元となる徳島大学が産科医の派遣を見直したことから医師数が減り、8月末で分娩の取り扱いを休止した。10月以降は同センターに常勤医師を置いていない。これを受けて、紀南病院は医師数を3人から5人体制にし、機能を集中させている。
 同センターでの出産件数は2005年度で358件あった。このうち308人は正常出産で、帝王切開など異常出産は50件だった。
(紀伊民報) - 11月27日17時15分更新

南和歌山医療センター、助産院開設へ 嘱託医確保、正常分娩に限り=和歌山

 ◆来月から
 9月末で産婦人科が休診となった田辺市の南和歌山医療センターが、12月1日、院内助産院を開設する。助産師7人が交代で対応するため、正常分娩(ぶんべん)に限って出産できるようになる。
 同病院では、全国的に地方で勤務する医師が不足しているなか、NICU(新生児集中治療室)などを完備している同市の紀南病院に産婦人科の業務を移し、診療活動を休んでいた。
 9月15日に助産師外来を開設し、乳房マッサージや赤ちゃんの授乳、離乳食相談など保健指導を行ってきた。しかし、妊産婦からの強い要望もあり、「地元で出産できるように」と、助産院の開設に向けた準備を進めていた。
 さらに、紀南病院から分娩中、必要に応じて治療を行う嘱託医が確保できる見通しとなり、開設することにした。
 出産ができるのは、病院で3回以上の診察を受けた妊婦で、妊娠が正常で、通常の出産が可能と判断された人に限られる。問い合わせは、南和歌山医療センター(0739・26・7191)へ。

[読売新聞 ]

投稿者 akiuchi : 08:11 AM

November 27, 2006

医療費抑制策、見直しを

「医慮崩壊」の小松先生も現在日本で進行している低医療費政策(一方で安全向上政策の強要)を批判しているがこれは小泉政権の負の遺産ということができるだろう。鎌田實先生のこれからの活動にも期待している。今井先生のあとをついで政治家になるお考えはないのであろうか?


[ポスト小泉を考える]医療改革 二木立氏、鎌田實氏 読売新聞 2006年9月13日(水)

 聖域なき改革を旗印に、小泉政権は、医療に効率と経済性を求め、医療費抑制を図った。一方、相次ぐ事故や地方の医師不足など、医療を巡る国民の不安は尽きない。今後の課題は何か。
     ◎
 ◆医療費抑制策、見直しを
 ◇二木立氏
 厚生労働省は8月末、2004年度の「国民医療費」が史上最高の32兆1000億円に達したと発表、新聞各紙は「医療費の膨張傾向」に警鐘を鳴らした。しかし、この年に日本の医療費水準、つまり国内総生産(GDP)に対する医療費の割合が、主要先進7か国中最下位になったことは知られていない。
 実は、主要先進国の中で医療費水準が一番低い国は、長らく日本ではなく、イギリスだった。しかし、小泉政権が厳しい医療費抑制政策を続けたのとは逆に、イギリスのブレア政権は2000年以降に医療費増加政策に転じ、国営医療の予算を着実に増加させた。その結果、2004年には日本が最下位に転落した。
 その上、小泉政権がこの間行った健康保険本人の3割負担化、高齢患者の1割負担化と「一定以上所得者」の2割負担化などにより、医療費の中の患者負担割合は急増し、主要先進国で最高になった。
 つまり、日本は小泉政権の5年間の医療改革により、医療費水準は主要先進国の中で最低だが、患者の負担割合は最高という、きわめてゆがんだ医療保障制度を持つ国になったのである。この間社会問題化した医療事故の多発、救急医療や産科・小児科医療の荒廃の背景には、このような「世界一」厳しい医療費抑制政策があると私は考えている。
 先の通常国会で重要法案中唯一成立し、小泉政権の「置きみやげ」と言える医療制度改革関連法は、健康保険法改正、老人保健法改正、医療法改正、介護保険法改正を含んだ大規模な制度改革である。これにより、公的医療費抑制のために、高齢者を中心とした患者負担の一層の増加と医療機関に支払う医療費の抑制が目指されている。
 この制度改革では、これ以外にも、医療費抑制の長期的対策として、生活習慣病対策と平均在院日数の短縮の二つが掲げられている。しかし、生活習慣病対策による医療費抑制効果を学問的に証明した研究は世界的にも存在しない。この点は、介護保険制度改革により目指されている介護予防による介護費用抑制についても同じである。
 平均在院日数の短縮のために療養病床を6割も減らし、有料老人ホーム等に転換することが目指されているが、これは公費・保険料から患者への長期療養費用の負担のつけ回しにすぎず、しかも退院する患者の受け皿を十分に整えないで療養病床の削減を強行すると、「医療難民」「介護難民」が大量発生する危険がある。逆にこの対策を十分に行えば、公的医療・福祉費の抑制効果はごく限られる。
 そのために、私は、国民皆保険制度を維持しつつ、医療の質を引き上げるためには、「世界一」厳しい医療費抑制政策を見直すことが必要だと考える。その財源としては、所得税の累進制の強化、たばこ税の引き上げ、消費税の引き上げ、および社会保険料の引き上げを適切に組み合わせる必要がある。
 ただし、この点に国民の理解と合意を得るためには、個々の医師・医療従事者と医療機関の自己改革も必要だ。加えて、医療・経営情報公開の制度化、医療の非営利性・公共性を高める医療法人制度改革、専門職団体の自己規律を強化する改革など、制度の改革も不可欠だと考えている。
     ◎
 ◇にき・りゅう 日本福祉大学教授。専門は医療経済・政策学。著書に「医療改革と病院」など。59歳。

 ◆悪化する現場、改善急げ
 ◇鎌田實氏
 日本の医療が危ない。小泉政権の5年間で、医療現場の環境が悪化している。産婦人科医の不足で自分の住んでいる町でお産ができなくなったり、小児科医がいなくなったり、少子化対策を叫んでいるのにおかしなことだ。
 長野県諏訪市で30年以上、地域と一体になった医療の実現に取り組んできた。地域医療の充実で、長野県の医療費は全国一低いといわれる。しかし、県内のある中核病院では最近、麻酔科医の不足で緊急手術ができなくなった。100床未満の地域医療を担ってきた病院の医師不足はさらに深刻で、救急外来の当直を組むのが大変になっている。
 日本は先進国の中で、対GDP医療費が極めて低い。それでも世界一の健康長寿国を実現できたのはなぜか。アメリカの同規模の病院に比べれば5分の1という少ない医師数で忙しく働き続け、医療の崩壊を防いできたのだ。
 勤務医の労働時間は週64時間、研修医は92時間、なんと150時間働く研修医がいた。ぼくが50歳で病院長引退を考えたのも、あまりの激務とストレスだったから。
 全国1200の医療機関で年間約18万3000件の事故につながりかねない「ヒヤリ・ハット」事例があったという。怖い話だ。医師や看護師が忙し過ぎるのだ。平均在院日数が短くなって、病棟の入院患者は重症化し、危険が増している。この5年間で、看護師不足も顕著になってきた。
 世界保健機関(WHO)が日本の医療は、世界一いい医療、と言ってくれても、国民は満足していない。本年1月、読売新聞が行った医療に対する世論調査にコメントを頼まれたが、49%の国民が日本の医療に満足していなかった。医療を受ける側も提供する側も不幸なのだ。これを改善するのは政治の仕事だと思う。
 だからといって、アメリカのように市場原理に医療を任せればいいのだろうか。アメリカでは自己破産の原因の第2位が医療費の負債。医療保険に入れない人が4000万人もいる。医療だけはアメリカを見習わないで欲しい。
 国民が納得、安心できる医療システムを構築する必要がある。まず、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均ぐらいに国民医療費をあげること。現在32兆円の医療費を34兆円に、2年後の診療報酬の改定時に増額できないだろうか。しかもこれを、国民負担を増やさず、経済の回復に水をささずに行いたい。
 新政権が政治的判断ですぐにできるものもある。巨額の予算が使われる事業の見直しや資金配分の点検だ。核燃料サイクル施設、ダム、新幹線など、対象とすべきものは幾つもある。
 国民負担は一銭も増やさずに、国民が望んでいるがん医療や小児救急、在宅医療などに、この2兆円を重点的に投入する。老後も、大病しても安心の国になる。そうすれば1400兆円以上の個人金融資産を持つ国民が、自分の人生を豊かにするためにお金を使い出し、日本経済はさらに良くなる。
 良い医療を国民は望んでいる。多くの医師たちも、患者さんの声をゆっくり聞いて、あたたかな医療をしたいと望んでいる。国民が安心できる医療システムをつくるのが政治の役割だと思う。新政権に期待している。
     ◎
 ◇かまた・みのる 諏訪中央病院名誉院長。内科医。国際医療援助にも詳しい。著書に「がんばらない」など。58歳。

 ◆国民が納得できる制度に
 小泉政権のもとで、医療が厳しく「改革」を迫られたのは、国民皆保険制度による「格差」のない医療が長く続き、コスト意識の希薄さや効率の悪さを重ねてきたことが一因ともいえる。人口の高齢化などが加わり医療費増加が深刻化したのだ。
 保険診療と自由診療を一緒に行う混合診療の解禁論や株式会社の医療参入論など、改革を求める議論は過熱したが結局、抜本的改革には至らなかった。WHOも世界一と評価した国民皆保険の平等な制度を、根本から変えることは不可能だと見なされたからではないか。現在の制度の良さは認めた上で、持続可能で良質な医療の提供体制をどう確保するか。それを丁寧に論ずることが、求められる改革の姿だと思う。
 深刻なのは、日本の医療が破たん、崩壊の瀬戸際にあることだ。地方の医師不足や医療安全などは、現場の努力で解決できるものではなく、医療の根幹にかかわる問題だ。医療費抑制政策の見直しを、という、二人の識者の一致した主張は重く受け止めるべきだろう。
 ただ、過剰だと指摘されてきた薬剤や検査など、省くべき無駄はもうないのかという点検も不可欠だ。患者負担は増える一方なのに、一向に安心出来ない医療、というのでは、国民は納得することはできない。(解説部 南砂)

 図=主なOECD加盟国の対GDP医療費

 写真=二木立氏
 写真=鎌田實氏
 写真=救急医療現場の医師たちの労働条件は過酷だ。産科、小児科などとともに医師不足の一因になっている(東京都内で)

[読売新聞

投稿者 akiuchi : 12:21 AM

November 26, 2006

頭蓋骨骨折で胎児死亡 医療ミス指摘 産経新聞

このニュースは紀子様出産の影に隠れてですっかり消し飛んでしまった。愛育病院のホームページにはいち早くこの事故に関するコメントが院長名で掲載されているが周産期医療のセンター化=安全性の確保という問題についてもう一度考える必要性を訴えているように私は感じている。

愛育病院のホームページ
新生児死亡事故に関する病院の見解 2006.8.8
http://www.aiiku.net/kenkai.htm

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愛育病院 頭蓋骨骨折で胎児死亡 医療ミス指摘 産経新聞 2006年8月9日(水)

 東京都港区の愛育病院で器具を使って分娩(ぶんべん)した女児が頭蓋(ずがいこつ)骨骨折の仮死状態で生まれ、半日後に死亡していたことが8日、分かった。警視庁麻布署は医療ミスの可能性が高いとみて、業務上過失致死の疑いで捜査を始めた。
 女児の死亡をめぐっては同院が医療行為に関連した死亡の原因を調べる国のモデル事業に基づき、事業の事務局がある東大病院に連絡。東大病院が解剖した結果、頭蓋骨骨折が判明し、麻布署に届け出た。医師法は異状死から24時間以内の警察への届け出を義務付けているが、愛育病院は東大病院に伝えただけで、警察へは届け出ておらず、麻布署は同法違反の可能性についても調べる。
 調べでは、出産したのは港区内の妊娠約40週の女性(38)で、6日午後5時ごろ、分娩を開始。4時間がたっても出産せず、産婦人科の男性医師(31)は母子に障害が残る恐れがあると判断。同9時半ごろ、器具で頭を挟む方法で胎児を取り出したが、仮死状態で翌朝死亡が確認された。同院は7日中に東大病院に連絡。解剖の結果、医療ミスの疑いが強く、東大病院は同日夜に麻布署に通報した。
 愛育病院は「捜査中でお答えできない」としている。

[産経新聞 ]


【紀子さま 男子ご出産】「すこぶる健やか」 医師団ら会見 産経新聞  2006年9月6日(水)

 ◆無事手術終え安堵の表情
 「親王さまがご誕生になりました。すこぶる健やかでございます」
 宮内庁の金沢一郎皇室医務主管と執刀医の中林正雄愛育病院院長は6日午前10時半から、宮内庁3階の講堂で会見し、金沢医務主管は冒頭、こう語り笑顔をみせた。会見場には80人を超える記者とカメラマンが詰めかけ、一斉にフラッシュがたかれた。
 前置胎盤による帝王切開について、中林院長は「ご公務を控えていただき、入院に際しても医学的なことを優先していただいたので万全の準備をして(手術を)迎えることができた」と秋篠宮ご夫妻のご協力に謝意を述べ、“皇室初の帝王切開”を無事終えたことに安堵(あんど)の表情を浮かべた。
 一方、「秋篠宮ご夫妻は本当にご出産前にお子さまの性別を知らなかったのか」との記者団の質問には、中林院長が「知らせていませんでした。わたしも聞かないようにしていました」と語り、金沢医務主管は「(ご夫妻は)『どんな状態の子供でも自分たちの子供なので受け入れたい』とお考えで『知る必要がない』とのことでしたので」と付け加えた。
 祝福ムードの会見は40分以上にわたった。
 (1面参照)
 ◆術後の経過も順調 一問一答
 金沢医務主管と中林院長の一問一答は次の通り。
 金沢氏 秋篠宮文仁親王妃紀子殿下には午前8時27分、愛育病院で親王さまがご誕生になった。体重は2558グラム、身長は48・8センチですこぶるお健やかだ。手術は予想外の出来事はなく、術後の経過も順調。術後は少なくとも数日間は静かにお過ごしいただきたいと希望する。
 --母子の状態はどうか。紀子さまの経過は
 中林氏 お生まれになられた状態は大変よろしゅうございました。親王さまはとてもお元気。妃殿下は手術が終わった時に「これで手術は無事に終わりました。おめでとうございます」と申し上げたら「大変ありがとうございます」と元気にお答えいただき「気分も良好です」とおっしゃったので、現在、順調に回復過程にあると思う。
 --秋篠宮さまの表情や紀子さまの詳しい表情、お子さまの状態は
 金沢氏 秋篠宮殿下は(性別を)お分かりになってなかったのだろうと思うが「親王さまです」と申し上げても、非常に淡々と「ありがとう」と。平静心を失われない方だなとちょっと驚いた。紀子さまが手術室からお出になって、秋篠宮殿下が「ご苦労さんでした」と問い掛けると、妃殿下は「帰ってまいりました」とおっしゃった。
 --医療チームの苦労や感想は
 中林氏 部分前置胎盤だと妊娠28~30週以降はいつ出血するか分からない。殿下、妃殿下ともに医学的な注意を最優先しましょうということだった。入院の時「妃殿下、お子さまと会えなくなり少し寂しいですね」と申し上げると「そのことが気になります」ということだったので「夏休み中なのでお子さまに来ていただいたらどうでしょう」と。妃殿下は眞子さまの海外での経験を聞かれたり、佳子さまの宿題をされる様子をご覧になったりするのが楽しみ、とおっしゃっていた。殿下もよくお見舞いに来られ、殿下が支えられて妃殿下がお子さまの面倒を見られると。われわれには非常にいい患者さんだった。
 ◆手厚い医療体制 愛育病院
 紀子さまは今回、天皇ご一家では初めて、皇居内の宮内庁病院でなく東京都港区の愛育病院で出産された。「自然なお産ができて、いざという時は手厚い医療体制もあるから安心できる」と人気で、女優の水野真紀さんや三田寛子さんらも利用したという。
 愛育病院は昭和13年に開設。設置母体の社会福祉法人「恩賜財団母子愛育会」は天皇陛下の誕生を祝し、皇室が出資して創立された。産婦人科や新生児科、小児科などがあり、出産前後の「母と子」の専門病院として知られる。
 病床数は118。年間の出産数は約1600に上る。高円宮妃久子さま(53)も出産された。自然なお産を推進する一方、新生児集中治療室(NICU)なども備えているという。
 東京都中央区の会社員の女性(42)は3年前、逆子だった長女を紀子さまのように帝王切開で出産、「退院しても1カ月間は傷口が痛み、買い物もつらい時があった。紀子さまもしばらく安静になさってください」と思いを寄せた。
                    ◇
 ◆「気取らず自然に」秋篠宮ご一家
 秋篠宮家は、宮さまと紀子さまのご結婚に伴い平成2年に創設された。西行法師らが歌に詠んだ奈良の名所「秋篠の里」が由来で、新宮さまご誕生で5人家族となられた。「気取らず、自然に」をモットーとするご夫妻は、極めて多くのご公務を精力的に果たされてきた。皇太子妃雅子さまが長期療養に入られ、黒田清子さんが結婚すると、さらにご多忙な日々に。お子さまには動物の世話や菜園の手入れを通して自然や命の大切さを伝えられてきた。ご一家の横顔を紹介する。
 【秋篠宮さま】
 昭和40年11月30日、天皇、皇后両陛下(当時皇太子ご夫妻)の第2男子として誕生された。お名前は文仁(ふみひと)で幼少時の称号は礼宮(あやのみや)。
 学習院幼稚園、初、中、高等科を経て、学習院大学法学部政治学科をご卒業。63年8月から約2年間、英オックスフォード大の大学院に留学された。大学在学中に知り合った紀子さまと平成2年6月に結婚し、宮家を創立された。山階鳥類研究所と日本動物園水族館協会の総裁を務められており、皇位継承順位は皇太子さまに次ぐ第2位。
 友人の黒田慶樹さんと清子さんとの結婚では、宮邸を提供し、会うきっかけを作られた。
 【紀子さま】
 昭和41年9月11日、川嶋辰彦、和代さんの長女として誕生され、42年には辰彦さんの留学に伴い一家で米ペンシルベニアへ。48年に帰国後、学習院初等科にご入学。52年からは辰彦さんの研究の関係でウィーンに滞在し、2年後にご帰国。学習院女子中、高等科、学習院大文学部心理学科を経て、同大学院博士前期課程に在籍中に結婚し、その後、無事修了された。
 平成3年10月23日に長女、眞子さま、6年12月29日に二女、佳子さまをご出産。結核予防会総裁と日本赤十字社名誉副総裁を務められている。
 【眞子さま】
 学習院幼稚園、初等科を経て学習院女子中等科3年にご在学中。本や美術、乗馬が好きで、映画やミュージカルの曲をピアノで紀子さまに披露されることもあるという。
 今年7月、伊勢神宮で式年遷宮に関連する行事をご視察。夏休みには初めて親元を離れ、オーストリアをご訪問。紀子さまの父の知人宅で、ホームステイを経験された。
 静岡県下田市の須崎御用邸で天皇、皇后両陛下や皇太子ご一家と一緒に夏を過ごされた際は、佳子さまとご一緒に「これはやわらかくて遊びやすい、これは硬くてまだ危ない」と、愛子さまのためのおもちゃを用意するなど、小さな子供の世話がお好きだという。
 【佳子さま】
 学習院幼稚園を経て初等科6年にご在学。フィギュアスケートの練習に励む一方、人形やお菓子など、ものをつくることも楽しまれている。
 昨年4月には、明治神宮アイススケート場で開かれた「スプリングトロフィー・フィギュアスケート競技大会」の1級女子小学4年生以上の部に出場し、優勝された。
 環境問題に関心が高く、昨年は夏を涼しく過ごせるようにと、宮さまと2人で宮邸にアサガオを植え、窓を覆う「緑のカーテン」を作られた。
 【写真説明】
 紀子さまのご出産を発表する金沢一郎皇室医務主管(右)と中林正雄愛育病院院長=午前10時33分、宮内庁(代表撮影)
 【写真説明】
 須崎御用邸近くの海岸を散策される天皇、皇后両陛下と秋篠宮ご一家=平成16年8月、静岡県下田市

投稿者 akiuchi : 11:53 PM

米本昌平 代理母は例外ケース以外禁止に

代理母出産に関して米本昌平氏が産経新聞「正論」に論文を発表している。米本昌平というと私が学生時代のころから生命倫理に関して多くの論文を発表していたことを覚えている。「日本の場合、法律ができるまでには恐ろしく多くのエネルギーを要する。しかも立法の過程でさまざまな政治的妥協が加えられるため、できた法律がうまく機能するものであるかは疑わしい。いずれ法律を作るとしても、そのために必要なのは、この技術に関して医学的および社会的な両面でどのような課題を抱えているかについて、取り組むべき問題の形をバランスよく描ききった「技術評価報告」を作成し、社会として課題認識を共有することである。法律はこれを踏まえて策定されるものである。」法律に関しては医師法、保助看法なども該当すると思うのだが本当に日本の法律はどうして現場から遊離してしまうのだろうと思う。

根津先生の代理母出産に関しては既に以下の日記に記録しているので参照されたい。
http://blog.med-apple.co.jp/mailmaga/diary/archives/2006/11/post_71.html

【正論】科学技術文明研究所所長 米本昌平 代理母は例外ケース以外禁止に 産経新聞 2006年11月25日(土)

 ◆技術評価もとに幅広い議論必要
 ■人体を道具化する恐れ
 治療のために子宮を摘出し、子供を産めなくなった30歳代の女性に代わって、50歳代の母親が妊娠・出産していたことが明らかになった。娘夫婦の卵子と精子で体外受精した卵を用いて母親が妊娠し、遺伝的には孫にあたる子を、昨年出産していたのである。出産後、自らの実子として届けた後、娘夫婦との間で養子縁組を行っている。この点で法的には問題はない。
 この手術を行った長野県の医師は、日本産科婦人科学会の基準は保守的で不妊治療の現場の要請に応えていないという信念の持ち主で、過去に不妊治療の過程で多胎になった場合に胎児を減らす手術を始めた人である。そして、2001年に姉妹間での代理出産を行ったことを明らかにした。これをきっかけに、厚生科学審議会生殖補助医療部会は03年に、代理母は家族関係を複雑にし、人体を道具化する恐れがあるなどの理由で、罰則のある法律で禁止すべきとの報告書をまとめた。その後、産婦人科学会も代理母禁止の学会見解を定めている。
 この種の議論をすると、外国はどうか、という問いが必ず出てくるのだが、ここまで問題が顕在化した以上、日本社会の実情にあった政策を具体化すべき時期にきている。
 ■禁止と容認交じる各国
 実際、世界を展望してみると、代理母問題では先進国の間でも対応は多様である。米国では連邦レベルの規制はなく、この問題は州の権限に委ねられている。米国では1980年代以来、夫の精子を第三者の女性に人工授精して子供を産んでもらう形の「代理母」が相当数行われてきており、商業的な色彩のものも少なくない。これに関してカリフォルニアなどの6州では代理母が認められ、11州では州法で明確に禁止している。
 一方、欧州では今もなおキリスト教的な価値観が浸透しており、生殖技術の使用については概して禁欲的である。たとえばカトリック教徒が多いオーストリアでは、法王庁の教義に近い条文をもつ生殖技術規制法を定めている。またスイスでは、憲法によって生殖技術は節度をもって使用すると定めており、胚の譲渡と代理母は憲法上の禁止条項である。
 ただ英国だけは、商業的な代理母を禁止する一方で、ボランティアによる代理母を認めている。代理母を実施する機関は許可制で、夫婦の卵子と精子を用いて第三者に産んでもらう代理母によっても、年間10人ほど子が生まれている。最近の聞き取り調査では、代理母になる女性は7割が無関係のボランティアで、あとは友人・姉妹・いとこが産んでいる。依頼する側の事情は、繰り返し体外受精を試みても妊娠できない場合と、何かの理由で子宮がない女性のケースがほとんどである。代理母実施の可否については第三者によって構成される倫理委員会が決定するが、依頼夫婦と代理母との間で親密な人間関係を築くことが重要である。以後の関係も概して良好という結果がでている。
 日本の現状の問題点は、患者側の要請に応じて医師個人が、主観的には善意からとはいえ、純医学的な判断だけではなく、価値の問題までも踏み込んで決めてしまっている点である。地方の医師の中には、医師の裁量権は幅広いものと解釈する傾向があるが、ほんらいは医療職能集団がルールを定め、これに従って行われるべきものである。
 ■社会で課題認識共有を
 しかし日本の学会は学術親睦団体であり、強制力をもって学会ルールを守らせる態勢にはない。こうなると法律が必要ということになるのだが、日本の場合、法律ができるまでには恐ろしく多くのエネルギーを要する。しかも立法の過程でさまざまな政治的妥協が加えられるため、できた法律がうまく機能するものであるかは疑わしい。
 いずれ法律を作るとしても、そのために必要なのは、この技術に関して医学的および社会的な両面でどのような課題を抱えているかについて、取り組むべき問題の形をバランスよく描ききった「技術評価報告」を作成し、社会として課題認識を共有することである。法律はこれを踏まえて策定されるものである。
 先回りして私の考えを言えば、代理母に関係する金銭授受や無秩序な拡大を防ぐために原則禁止とし、たとえば家庭裁判所の審判を経た例外的なケースだけを認める程度にとどめるべきだと思う。
 先進国の中で、代理母問題を含む生殖技術一般の規制について、社会や議会が広範な議論をしていないのは日本くらいである。そのためにも、わかりやすい報告書の作成に、まず着手すべきである。
 (よねもと しょうへい)

[産経新聞 ]

米本昌平プロフィール
http://www.academyhills.com/gijiroku/yonemoto/profile.html

科学技術文明研究所を主宰する米本昌平氏は、2005年12月4日に毎日新聞のコラム「時代の風」で以下のような見解を提示しています。
http://www.minusionwater.com/yonemoto.htm

投稿者 akiuchi : 11:16 PM

小椋佳コンサート「未熟の晩鐘」

小椋佳のコンサートに行ってきた。2年前のコンサート「DEJA-VU」も宇都宮文化会館だった。今年で62歳ということだがまだまだ若い。「少しは私に愛をください」が勧銀(=バラの花)と第一銀行の合併をアメリカで知らされたときの切ない思いの歌だという話が面白かった。「一度も咲かずに 散ってゆきそうな バラが鏡に映っているわ 少しは私に愛を下さい」日本勧業銀行は第一勧銀のあと富士銀行、日本興業銀行と3行合併により”みずほ銀行”に変身する。小椋佳がなぜ銀行を辞めたのかはこの辺の再編劇と関係がありそうだが詳細は不明。
50を過ぎた御典医の音楽劇もわが身の境遇と近いものを感じて切なくなった。3時間の長丁場にも飽きることなく次回はいよいよファイナルコンサートでまた宇都宮に来るといって終了。果たしてそれまでこちらが持ちこたえられるか?

小椋佳の未熟の晩鐘.jpg


聴く:小椋佳コンサート「未熟の晩鐘」--来月26日、宇都宮市文化会館 /栃木
 ◇心に響く現今の歌

 デビューアルバムのリリースから35年を迎える、小椋佳さんのコンサート「未熟の晩鐘」が11月26日、宇都宮市文化会館大ホールで開催される。オリジナルとしては約10年ぶりとなる、新アルバムをツアー・タイトルにした。100万人が聴くと言われる人気番組「NHKラジオ深夜便」で流れる「深夜便のうた」や、カナダの作曲家アンドレ・ギャニオンと組んだ「落日燃え」など、多くの話題曲を楽しめる。

 アルバムの収録曲は、ニッポン放送「小椋佳このひと このうた このドラマ」テーマ曲や、オリジナルアニメ「新釈真田十勇士」のエンディング曲「志」、上海国際映画祭で最優秀作品賞を受賞した「村の写真集」のテーマ「村里へ」など全16曲。

 小椋さんは「62歳になり、一時は今回のタイトルを『ファイナル』とでもしようかと提案したが、仲間たちに即座に却下されました。今回のコンサートは、年齢なりに紛れもなく心に響き始めた晩鐘の遠音を聴きながら、さまざまに心に生起する想(おも)いを、現今の命の営みとして愛(いとお)しみ、歌化する試みなのだと言えましょうか」とコメントしている。

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 《メモ》

 開場午後4時半、開演午後5時。全席指定S席7000円、A席5000円(税込み)。問い合わせは宇都宮市文化会館(電話028・636・2125)へ。

毎日新聞 2006年10月12日

少しは私に愛を下さい

 作詞・作曲 小椋佳
 
少しは私に愛を下さい
全てを あなたに捧げた私だもの
一度も咲かずに 散ってゆきそうな
バラが鏡に映っているわ
少しは私に愛を下さい

  たまには手紙を書いて下さい
  いつでもあなたを想う私だもの
  あなたの心の ほんの片隅に
  私の名前を残してほしいの
  たまには手紙を書いて下さい

みぞれの捨て犬 だいて育てた
やさしいあなたを 思い出しているの
少しは私に愛を下さい

 46年に小椋佳が作詞・作曲し、創唱した曲。東宝映画「始めての愛」の挿入歌としても使われている。小椋の作品としては最も甘いタッチの部類に入る作品といえよう。のちにスザーナも歌ってヒットさせており、また、トップ歌手のリサイタルでもよく歌われている。

投稿者 akiuchi : 10:46 PM

大阪市大病院、青森県内医療施設で研修へ 臨床プログラム

大阪の大学生が青森県で本当に臨床研修を受けるようになるのであろうか?またその延長上に青森定着なんてことがあるのか?はなはだ疑問なのだがとにかく青森県は必死なのだと思う。


大阪市大病院、県内医療施設で研修へ 臨床プログラム 年内にも正式協定=青森 読売新聞 2006年11月25日(土)

 県内の過疎地域などにある六つの医療施設で来年度から、大阪市立大学医学部付属病院(大阪市阿倍野区)の臨床研修プログラムの一部が行われることになった。同病院と6施設の合意は9月に成立しており、年内にも正式に協定を結ぶ予定だ。県内の医療施設が県外の大学病院の研修先になるのは初めて。県内の深刻な医師不足を踏まえ、県医療薬務課は、「交流がきっかけになり、そのまま県内にとどまる医師が出てきてほしい」と期待している。
 同病院の臨床研修(2年間)では、1年目に内科や外科など、2年目に精神科や産婦人科、地域保健医療などを学ぶ。
 このうち、2年目の地域保健医療の研修(1か月)について、従来からの大阪府内の施設のほか、県内の国保大間病院とむつ総合病院、公立野辺地病院、佐井診療所、東通村診療所、深浦町国保関診療所の6施設が研修先リストに加わった。研修医は、府内の施設か県内の施設かを選ぶことができる。
 「専門性が高い大都市の病院では研修内容が偏りがちだが、過疎地での研修なら予防から介護まで幅広く地域医療を学ぶことができる」(卒後臨床研修センター事務局)という同付属病院の意向と、少しでも多くの研修医を受け入れて将来の医師確保につなげたい県の思惑が一致した形だ。
 同事務局が研修医45人に事前の聞き取り調査をしたところ、少なくとも2人が県内での研修を希望しているという。同事務局は、「地元に密着した医療活動を経験してきてほしい」と話している。
 また、県内の施設を研修先リストに加えるよう同付属病院に働きかけてきた石岡博文・県医育環境整備監は、「県外の大学病院との関係を深めていけば、弘前大学に加えて、新たな医師派遣元になることも期待できる」と話している。

 〈臨床研修〉
 医師国家試験に合格したばかりの医師に義務付けられている医療現場での研修。幅広い診療能力を身につけるため、内科、外科、小児科などを2年かけて経験する。

投稿者 akiuchi : 10:41 PM

November 25, 2006

周産期医療充実へ 5地域に中核病院 県が案示す=福島

県立大野病院事件を受けて一人医長をなくす方針で臨むことになったのだろうがどうして正常産やローリスクを扱う開業産婦人科診療所を計画に入れないのだろう?「一部の病院は外来のみや、リスクの低い出産のみに対応する」ということは開業医と同じレベルで診療に当たるということではないのか?役人の発想に民間活用という言葉はないということなのだろうか?
実際大分県の産科閉鎖に伴う『子どもを産むのに、どこにいけばいいの?』という市民の声には開業産婦人科医がいるから大丈夫と答えられるようであれば問題はないのである。

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周産期医療充実へ 5地域に中核病院 県が案示す=福島 読売新聞  2006年11月22日(水)

 県は21日、有識者による医師不足対策を話し合う「県小児科・産科地域医療確保方策検討会」で、母体と胎児・新生児のリスクが高い妊娠22週目から出産後7日未満の「周産期医療」について、県内を5つの地域に分け、地域ごとに中核病院を指定し、充実を図る案を示した。
 県の案では、5地域は〈1〉県北〈2〉県中・県南〈3〉会津・南会津〈4〉相双〈5〉いわき--で、中核病院は新生児集中治療室を備え、小児科医5~7人程度、産婦人科医も5人程度配置し、24時間対応する。
 医師を中核病院に集める一方、一部の病院は外来のみや、リスクの低い出産のみに対応するなどして、役割分担とネットワークを強化する。
 この日の検討会では基本的な考え方で一致したが、今後は具体的な病院名などを示しながら最終案をまとめる方針。

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中津市民病院の産婦人科休診問題:「産婦人科残して」市民団体、市長に要望 /大分 毎日新聞 2006年11月22日(水)

 中津地域の中核病院である中津市民病院(同市下池永、松股孝院長)の産婦人科休診問題で「母と子のしあわせ守る会」(東光子会長)は21日、新貝正勝市長に、621人と6団体の署名簿を添えて「産婦人科の存続」を要望した。
 会員15人が新貝市長と面会。「『子どもを産むのに、どこにいけばいいの』など心配の声が上がっている。ぜひ産婦人科を残し、市民の頼りになる病院にしてほしい」と申し入れた。これに対し、新貝市長は「いま関係方面に当たっており、精いっぱい努力している」と答えた。
 同病院事務局によると、産婦人科は医師3人態勢。うち1人が民間への転出を希望。医師を派遣している九州大医学部は来年3月で派遣を打ち切ることを通告した。このため同病院は、年内の通常出産は受け付けるが、来年からは緊急出産以外には応じない方針。立山秀雄・事務長は「何とか産婦人科を残そうと院長らが医大などと交渉しているが、見通しは暗い」と話した。【大漉実知朗】

投稿者 akiuchi : 06:02 PM

◆ ネットで「銚子電鉄を救え」 

「銚子電鉄を救え」という記事が出ていた。「ぬれ煎餅」を買って車両の修理代金にあてるという。テレビでも観たが懐かしい銚子電鉄のために私もぬれ煎餅を注文しようと思う。小学校のころに銚子に出かけたときに乗ったあの電車が今も走っているのかと思うと応援をしたくなる。このブログは産科医療に関する殺伐とした記事ばかりが目立つがこんな微笑ましい記事も拾っておくことにしよう。もっとも社長が横領事件を起こして公費の援助が受けられないという情けない話もあるようだが・・・http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0611/21/news089.html
(ITmedia)

赤字続きで法定検査の費用が捻出できず運行の危機に直面している銚子電鉄が、
公式サイトトップページで、副業で販売している「ぬれ煎餅」を買って下さい
と訴えていました。

これにネットコミュニティが反応し、15日から21日までの約1週間で約2000件
もの注文が殺到し、大量の発送作業が追いつかないといううれしい悲鳴の状態
になっているようです。

このままいけば、最初の1台の200万円を初め、近々に法定検査の必要のある残
り2台の費用も捻出できるかもしれません。

数千万、億単位の詐欺や横領などの事件がたびたび報道される昨今、心温まる
話題です。

投稿者 akiuchi : 12:25 PM

妊娠中の胎児超音波検査(知らない権利)

胎児治療に関する読売新聞の記事を以前紹介したが医療法人アップルでも胎児超音波検査に関して「知らない権利」を含む同意書を作成した。確かに何でも知ればいいというものではない。
http://blog.med-apple.co.jp/mailmaga/diary/archives/2006/11/post_55.html

妊娠中の胎児超音波検査について

おなかの赤ちゃんが元気かどうかを確認する為に妊婦健診は定期的に行われており
当院では胎児超音波を健診ごとに行います。

一般超音波検査では
 赤ちゃんの心拍や胎位(頭の位置)の確認、成長の具合(週数により 頭の横幅・大腿骨の長さ・推定体重)を見ます。

スクリーニング検査(胎児に異常があるかどうか)では
 初期・中期(28週頃)・後期(36週頃)の3回行います。
 赤ちゃんの形態や機能に異常がないかを詳しく調べます。おなかの赤ちゃんを見る事が出来る超音波検査ですが、赤ちゃん自身が小さいため、小さな形の異常は見つける事ができません。また超音波のビームが届きにくい場合や赤ちゃんの向きにより診断が出来ない事があります。また、わからないこともあります。

染色体異常
  染色体異常とは染色体の数やその構造の異常をいいます。例えば、ダウン症などですが超音波検査でこれを診断する事は出来ませんが妊娠初期に首の後ろにむくみ(NT)が見られた場合ダウン症の可能性が高いことがあると言われています。

超音波検査の結果について
 赤ちゃんの超音波検査の結果は基本的にご両親の情報と考えられます。この情報には性別のような情報、赤ちゃんの奇形を疑う情報、染色体異常を疑う情報まで様々なものが含まれます。ご両親には情報を知る権利とともに、知らせて欲しくない、知りたくない権利もありますのでお考えをお教えください。

下の同意書に良くお考えの上ご記入をお願いいたします。変更はできますので、変更がありましたらそのつど外来でお伝えください。

いずれかに丸をつけてください。
1. 赤ちゃんについての情報はすべて知らせて欲しい
2. 赤ちゃんについての情報は知らせて欲しくない
3. 情報を限定して知らせて欲しい (ご希望の所に✓してください.複数可です。)
     □ 性別のみ知りたい
     □ ダウン症の可能性が高いかもしれない場合 (14週くらいまで。)
     □ その他の奇形など異常があるかも知れない場合
なお、当院での分娩が不適と、医師が判断した場合は 総合病院にご紹介をする事になります。この場合は、この同意書の内容にかかわらず医師から説明をさせていただきます。 
        
   平成  年   月   日
                  
ご本人                    
                 
 親族(続柄)                 

投稿者 akiuchi : 11:48 AM

婦人科がん

読売新聞「医療ルネッサンス」に婦人科がんの最新治療に関する情報の連載が始まった。産科だけでとても婦人科のことまで頭が回らないがいつもアップツーデートな情報をキープしておかなければならない産婦人科専門医としてはありがたい企画だ。

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[医療ルネサンス]婦人科がん(1)神経温存し自然に排尿(連載)2006年11月14日(火)~

 ◇通算3983回
 ■病院の実力
 2000年春、札幌市の主婦(39)は、生理でもないのに出血が続いているのに気がついた。近くの病院での診断は「子宮頸(けい)がん」。初めての子を産んでから2年しかたっておらず、「がん」という言葉がにわかには信じられなかった。
 がんの大きさは3センチを超え、ごく早期とは言えなかった。北海道大産婦人科で、教授の桜木範明さん(当時は助教授)から説明を受けた。
 「子宮の周囲の組織も取る必要があります。手術後に尿がうまく出なかったり、足が腫れるリンパ浮腫(ふしゅ)という後遺症が出たりするかもしれません。手術後の生活が少しでも楽になるよう最大限の努力をします」
 自然に排尿できるよう、「骨盤神経温存手術」という手術が行われた。子宮の周囲の組織には、膀胱(ぼうこう)につながる神経が走っている。従来は神経も一緒に切断していたが、この手術では神経の部分を温存する。同大のデータでは今のところ、生存率は従来の手術と変わらない。
 だが、この手術でも、すぐに元通り排尿できるわけではない。手術の影響で膀胱の排尿筋が強い緊張状態に陥り、尿が出せない人も多いからだ。主婦も手術後は尿意を感じなかった。この時期に無理におなかに力を入れて尿を出すと、筋肉が損傷して回復の妨げになる場合もある。
 そこで、自分で尿道から膀胱まで管を入れて尿を出す自己導尿の方法を入院中に学んだ。退院後は排尿障害外来に通い、排尿筋のこわばり具合などを調べ、何時間ごとにトイレに行くかなど細かい指導を受けた。
 3か月後、自然に尿意を感じるようになり、今では手術前と同じように排尿できる。「後遺症は覚悟していたけれど、早くから対応してもらい、楽になったと思う」と話す。
 子宮、卵巣がんの治療では、治療後に様々な後遺症が出ることがある。患者は後遺症と一生つきあわなければならないことが多いが、治療段階から治療後まで継続的に後遺症に対処する医療機関はまだ少ない。患者は、治療成績と後遺症対策を詳しく聞いた上で、病院を選ぶ必要がある。
 北海道大産婦人科には、リンパ浮腫の専門的な治療を学んだ医師もおり、大学のリハビリテーション科との連携で、診療体制も整いつつある。
 桜木さんは「若い女性の子宮頸がんが増えている。がん治療だけでなく、その後の患者さんの生活の質への配慮がますます重要になってきた」と話している。

 〈子宮、卵巣がんの後遺症〉
 手術や放射線治療などでリンパ管が傷つくと、足などがむくむリンパ浮腫が出る。このほか、排尿、排便障害や腸閉塞(へいそく)、膣(ちつ)の委縮、更年期障害に似た症状が出ることもある。

 図=「子宮と卵巣」子宮は頸部と体部に分かれ、それぞれ子宮頸がん、子宮体がんができる

 写真=子宮頸がんに行われる骨盤神経温存手術(北海道大産婦人科提供)
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[医療ルネサンス]婦人科がん(2)子宮残して出産成功(連載)

 ◇通算3984回
 ■病院の実力
 「早期の子宮体がんだと思います。命には代えられません。子宮を取る手術をした方が良いでしょう」
 埼玉県の主婦A子さん(38)は2001年、がん専門病院でこう言われても、手術に踏み切れなかった。現在の夫と婚約中で、子どもが欲しかったからだ。
 そこで、東大産婦人科を紹介され、出産まで子宮を温存する治療を受けることになった。ごく早期の子宮体がん患者が対象だ。
 まず、がん治療が専門の講師、八杉利治さんのもとで治療を開始。がん細胞をたたく効果がある高用量の黄体ホルモン剤を毎日服用した。
 定期的に子宮に細い器具を挿入して内膜をはがし取り、病理検査をした。薬の効きが悪く、通常なら半年間の治療を1か月延長し、ようやくがんが消えた。
 続いて子宮体がんの発生を防ぐ中用量ピルに薬を切り替え、がんのない状態を維持した後、体外受精を受けた。今度は不妊治療が専門の講師、藤原敏博さんが担当した。
 この治療も、生やさしくなかった。採卵のために使った排卵誘発剤の作用が強く表れ、腹水がたまって肺を圧迫、呼吸困難に陥った。緊急入院して、ようやく回復した。子宮体がん患者には、排卵障害のため、排卵誘発剤の作用が過剰に出る場合があるのだ。
 半年間、体調を整えたうえ、女性ホルモンのはり薬で徐々に子宮内膜を厚くし、凍結保存した受精卵を子宮に戻した。
 2回目の挑戦で妊娠。一昨年10月、元気な男の子を出産した。「だめでもともと、と夫と話し合って受けた治療ですが、子どもに恵まれ、毎日が充実しています」とほほ笑む。
 だが、この治療ですべての人が出産できるわけではない。東大のデータでは、最初のがん治療で、25%の人には薬が効かず、がんが消失しない。この場合は子宮摘出が必要になる。不妊治療の段階でも、30%は妊娠しても流産する。
 東大では、妊娠の効率を上げるため、がん治療後の不妊治療では最初から体外受精を行う。「再発と隣り合わせのうえ、子宮内膜も薄く不妊治療が難しい。がん治療の担当医と不妊治療医の連携がかぎ」と藤原さんは話す。
 子宮体がんの子宮温存治療は生存率など効果が不明で、確立した治療ではない。出産後も再発の恐れがあり、定期検査が必要だ。
 それでも、外来でできることなどから急速に広まっている。読売新聞社が実施した調査では、回答した274医療機関のうち195施設(71%)が実施しているとした。
 治療を受ける前に、過去の治療実績と共に、不妊治療を担当する医師がいるかどうかも聞いておきたい。

 〈婦人科がんと出産〉
 子宮頸(けい)がんでも早期なら、がんとその周囲の部分だけを取って子宮を残す温存療法で、出産できる場合がある。卵巣がんは、両側の卵巣と子宮を取るのが原則だが、ごく早期で患者が出産を強く望んだ場合、がんができた側の卵巣だけを摘出し、もう一方の卵巣と子宮を残すことがある。

 写真=不妊治療の経過について藤原さん(右)から説明を受けるA子さん(東大産婦人科で)
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[医療ルネサンス]婦人科がん(3)手術せず放射線治療(連載)

 ◇通算3985回
 ■病院の実力
 千葉県の主婦、秋田由美子さん(36)は2004年秋、大量の不正出血があり、近くの病院に駆け込んだ。
 担当医に「子宮頸(けい)がんです。状態はすごく悪い」と言われ、血の気が引いた。そのうえ、「手術すると後で足がむくんだり、排尿障害が出たりする」という。
 下の子が1歳になっておらず、子育てに夢中だった生活が暗転した。
 手術を覚悟して受診した千葉県がんセンター(千葉市中央区)で、婦人科部長の田中尚武さんから、意外な治療法の説明を受けた。手術せずに放射線を使う方法だ。「入院は長くなるけれど、お子さんも小さいし、後遺症の少ない放射線治療の方が良いと思います」
 放射線治療部長の幡野(はたの)和男さんからは、秋田さんの病状だと5年生存率は90%である一方、後遺症として、まれに治療後、何年もたってから腸や膀胱(ぼうこう)に穴が開いたりすることがある--などと説明を受けた。
 「この治療で生きられるんですか」。秋田さんが聞くと、「生きてもらわないと困るでしょ?」と幡野さん。
 入院して週5日、5週間にわたり、放射線治療機で体外から放射線を当てる治療(外部照射)を受けた。これに加え、子宮に入れた細い管の中に小さな放射線を発する物質を挿入して、内側からがんをたたく「腔内(くうない)照射」を4回受けた。外部照射は1回5分足らずで痛みもないが、器具を挿入する腔内照射は強い痛みを伴った。
 並行して週1回、抗がん剤治療を受け、1か月半後、2人の子が待つ家に帰った。放射線で卵巣の機能が失われ、生理がなくなった以外は、2年たった今も後遺症はない。「入院前と何も変わらない生活です」
 子宮頸がんの治療成績は、放射線と手術は同等とされ、欧米では放射線治療が中心となっている。後遺症は一般に放射線治療の方が少ないが、腸や膀胱に影響が出て、人工肛門(こうもん)など手術が必要な後遺症が数%に出るという。
 同センターは、これを防ぐため、1995年からMRI(磁気共鳴画像)などの診断を腔内照射の前に行い、がんの形に合わせて照射する「画像誘導下放射線治療」を取り入れた。「この治療を始めてから、重い後遺症が出た人は今のところいません」と幡野さん。
 日本では手術が主体で、放射線治療という選択肢すら示されない場合も多い。「両方の治療を示し、長所短所を説明する必要がある」と田中さんは話す。

 〈子宮頸がんの放射線治療〉
 米国では、0~4期までの進行期のうち、1b期と2a期は放射線治療か手術かのいずれかを選択、2b期は手術でなく放射線と抗がん剤の併用を推奨している。国内では、読売新聞の調査に対し、79%が「2期までの患者に手術をせず放射線治療(抗がん剤との併用も含む)をする場合もある」と答えたが、ほとんどが「高齢などで手術できない場合に限る」としていた。

 写真=(上)「子宮頸がんでは、放射線治療も手術と同じ治療成績が見込めます」と話す幡野さん(右)=千葉県がんセンターで
 写真=(下)「放射線治療を受け、がんと言われる前とまったく同じ生活を送っています」と語る秋田さん
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[医療ルネサンス]婦人科がん(4)患者が分かる指針作りを(連載)

 ◇通算3986回
 ■病院の実力
 この連載では、後遺症への対策や不妊治療医、放射線治療医との連携など、婦人科がんの病院を選ぶ時のポイントを紹介した。だが最大の問題は、肝心の治療方針が専門医の間でも時に大きく異なることだ。
 先月、専門医で作る日本婦人科腫瘍(しゅよう)学会は、子宮体がんの治療ガイドライン(指針)を発表した。作成委員の東北大教授、八重樫伸生さんが記者会見で強調したのは、指針を作るための「科学的なデータがいかに少ないか」だった。
 学会は、日本を含む世界の臨床試験の結果を集め、手術や手術後の放射線など58項目の治療について、どの程度推奨できるかをAからDまでの4段階に分類した。それなりの臨床試験の結果があり、「強く勧められる」(A)、「勧められる」(B)は合わせて16項目で、3割に満たなかった。半分の29項目が「C」で、「調査結果が一貫しておらず、勧めるだけの根拠が明確でない」だった。
 科学的なデータに基づくと、手術の時にしばしば行われるリンパ節の切除は、治療効果があるかどうか、はっきりしていない。手術後に行う放射線治療も「骨盤内の再発は減らすが、生存期間を延ばすかどうか不明」なのだという。
 このため、がんを取りきるため広く切除し、放射線や抗がん剤も積極的に併用する医師と、後遺症を減らすため治療は最小限にとどめる医師が混在し、これまでは病院によって治療方針がまちまちだった。
 指針は海外の例も参考に、専門医の意見を集約し、現時点で最も妥当と考えられる治療法をまとめた。八重樫さんによると、科学的データが十分でない場合、欧米でも同じ方法で治療指針が作られる。
 あいまいさが残るものの、患者が医師から治療法を示された際、それがどの程度の科学的データに基づいているか、多くの専門医はどう考えているか知る上で、指針は判断材料になる。
 ただ、指針は医師向けで読みこなすのが難しい。八重樫さんは「今後、患者会の意見も聞き、一般向けの指針を作りたい」と話す。
 子宮・卵巣がんの患者会は、一昨年に北海道で「アスパラの会」が、今年3月には東北大で治療を受けた患者を中心に「カトレアの森」が発足、各地に広まりつつある。
 子宮体がん治療指針を読んだ「カトレアの森」メンバーからは「治療後の後遺症や副作用の対処法など、患者の生活に切実な情報も盛り込んでほしい」との意見も出た。
 患者の視点に立った、わかりやすい指針作りが今後の課題になる。(館林牧子)
 (次は「患者団体の力」)

 〈婦人科がんの診療指針〉
 日本婦人科腫瘍学会は2004年、「卵巣がん治療ガイドライン」を発表、今回完成した「子宮体癌(がん)治療ガイドライン」とともに金原出版((電)03・3811・7184)から出版されている。子宮頸(けい)がんの指針も作成中で、来年には完成する予定。

 写真=患者会「カトレアの森」のメンバーと話し合う八重樫伸生さん(右上方、手前)=仙台市の東北大で

投稿者 akiuchi : 11:42 AM

11月23日(木)朝日新聞「私の視点」・「出産医療危機・厚労省の性急可変に問題」

朝日新聞「私の視点」に京都の嵯峨嵐山・田中クリニックの田中啓一先生が「出産医療危機・厚労省の性急可変に問題」という意見が掲載されていた。
群馬の松本先生のサイトに記事のコピーが掲載されていた。
http://www.yk.rim.or.jp/~smatu/iken/innere/20061122asahiphoto.htm

投稿者 akiuchi : 11:20 AM

 「異端」の医師ふたり

長野で祖母の代理出産をした根津先生が愛媛で病気腎移植を手がけた万波医師と同じ扱いで紹介された興味深い記事が掲載されていた。どちらもほぼ同い年。戦争中に生まれた私よりも一回り上の世代。きっと学生時代も闘争に明け暮れた世代なのだろう。彼らの意思は強靭だな。医療人類学研究者との”闘論”記事も追加しておくことにする
**************
知りたい:移植・生殖医療 「異端」2医師の共通点 独自の道徳観、優先

 <2006・チャンネルYou>
 病気腎移植を重ねる愛媛県宇和島市の万波誠(まんなみまこと)医師(66)と、「祖母が孫を産む」代理出産を手掛けた長野県下諏訪町の根津八紘(ねつやひろ)医師(64)。地方を舞台に移植医療と生殖医療の最前線で働く“異端の医師”の共通点は。【大場あい、池乗有衣、永山悦子】
 ◇批判とリスクよそに
 「私は目の前にいる患者さんを毎日、精いっぱい診ているだけですから。日本の移植医療をどうするか、死体腎(ドナー)をどうするかなんて考えたこともない」。万波氏は18日、毎日新聞の取材に対し、こう答えた。
 万波氏は山口大を卒業後、70年から市立宇和島病院に勤務。腎移植を志して渡米後、77年に同病院で初めて腎移植を手がけた。04年に新設された宇和島徳洲会病院に移ったが、過去約30年間に執刀した移植手術は約600件に上るという。
 その間、腎移植に熱心との評判は広まり、万波氏の「カリスマ性」を高めていった。元同僚医師は手術ぶりを「経験に裏打ちされ、正確で無駄がない。病院というより万波先生が信頼のブランドだった」と振り返る。
 根津氏が院長を務める「諏訪マタニティークリニック」。不妊治療で苦労する患者の最後の「頼みの綱」とも言われる。全国から1日200人近い患者が訪れ、手掛ける体外受精は年間1200~1300例に上る。
 根津氏は信州大を卒業後、医学部助手などを経て76年に開業。不妊治療に取り組み、排卵誘発剤を使った最新の治療法で妊娠した患者の喜ぶ姿に触発された。「何とかしようと続けるうち、いつの間にか不妊症の専門家になっていた」と話す。
 2人は、多くの患者に頼られている点が似ている。万波氏の元同僚医師は「堅苦しいネクタイを締めず、一般の医師と違い、接しやすい人柄。何か困った時は夜中でも病院に来る。臨床医としてあるべき姿」と話す。根津医師も患者の間で「面倒見のいい医師」として知られる。
 地方での人気が高い一方で、学会などからは「倫理より患者」という姿勢が厳しい批判を浴びている点も共通する。
 万波氏や彼を慕う医師らは「捨てられる臓器を生かす第三の移植」として、がんなど病気のため摘出された腎臓の移植手術の意義を力説するが、移植の専門医で作る日本移植学会は疑問視する。移植可能な臓器なら摘出しても人体に戻すべきだし、捨てる臓器なら移植はリスクがあるためだ。
 同学会の大島伸一副理事長は「研究的要素の強い治療は学会で是非を問うべきだが、万波氏の姿は見たことがない」と述べ、同学会に所属せず、症例もほとんど公にしない万波氏の密室性に厳しい視線を注ぐ。
 根津氏は98年に公表した、第三者提供の卵子を使う「非配偶者間体外受精」が日本産科婦人科学会の指針に反するとして除名された(04年に復帰)ほか、同学会の指針や厚生科学審議会生殖補助医療部会の報告書に反して代理出産を続けている。大西雄太郎・長野県医師会長は「一医師の道徳観だけで進める生殖医療は危険だ」と話すが、根津氏は「倫理観は時代によって変わる」と意に介さない。
 「倫理より患者」の論理を食い止める法整備は遅れたままだ。民間シンクタンク・科学技術文明研究所の〓島(ぬでしま)次郎主任研究員は「日本では、何か問題が表面化した時、その場限りの対策を考えるにとどまってきた。今こそ公的なルールを築くことにエネルギーをかけるべきだ」と指摘する。

[毎日新聞 ]

闘論:「孫」を代理出産 根津八紘氏/柘植あづみ氏

 長野県の根津八紘医師が公表した、祖母が「代理母」となって孫を出産したケースが論議を呼んでいる。代理出産は最先端の医療技術なのか、生命倫理にふれる危うさを持った治療行為なのか。社会の価値観、個々の人生観なども絡む代理出産問題について、根津医師と生殖医療に詳しい研究者に聞いた。(題字は書家・貞政少登氏)
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 ◇尊い自己犠牲を支援 社会へ問題提起した--産婦人科医・根津八紘氏
 「目の前で困っている人がいたら助けてあげる」というのが、人間社会の基本的なルールで、私が医師になった理由でもある。代理出産を選択する人は、当事者同士でみな真剣に話し合い、決めて病院にやってくる。私が勧めることはない。今回も、母親が「子宮がなくなった娘の代わりに産んであげる」という尊い願いを持ち、その実現を私が手助けしたということだ。
 私は「アウトロー」と言われてきたが、法律は守っている。代理出産を禁じる日本産科婦人科学会の会告(学会規則)は単なる取り決めで、法律ではない。それも産婦人科医だけで決めたもので、患者のニーズなどをとらえ切れていない。
 今回の代理出産では祖母が孫を産んだ形になった。「倫理的に問題がある」という指摘もあるが、社会の中の取り決めとか倫理観というものは、時代によっても変わる。人間社会において、一番大切なのは「相互扶助の精神」だと思う。
 私の病院に来た不妊患者の8割は、本格的な治療を受けずに帰ってもらっている。産むことが目的となってしまい、育てることを忘れているような人もいるからで、そういう人には説得し、あきらめてもらう。
 ただ、私のところに来る患者さんは、最後の望みを託してくる。「ここなら何とかしてくれるのではないか」と。そういう人に「手立てはあるが、学会では禁止されているから、ダメです」とは言えない。最先端の治療で救えるなら、「何とかしてあげたい」という気持ちで、最善を尽くすのが医師の役目だ。
 私は、問題を提起し、社会的合意を得て、世の中をよりよく変えていこうと思っている。1年以上前の代理出産を公表したのは、(代理出産で双子を得たタレントの)向井亜紀さんを応援したいと思ったからだ。今回の患者さんからも「後に続く人たちのために役立ててもらいたい」と、公表を承諾してもらった。支持が得られなければ医師を辞めようと思ったが、幸い、好意的な反応が多いと思う。
 代理出産は命がけの試みで、尊い自己犠牲に基づくものだ。悪用を罰する法律は作ってほしいが、代理出産そのものは認めてほしい。産める人が、産めない人に手を差し伸べることができる体制を作ってほしい。【構成・池乗有衣】
 ◇不妊女性、追い詰める 医療だけでは救えぬ--明治学院大教授・柘植あづみ氏
 まず、不妊の悩みの本質を知ってほしい。彼女たちは、産めないことだけを悩んでいるのではない。
 初対面の人に「お子さんは何人?」と聞かれることが怖くて、外出できなくなった女性がいる。「子ができない自分は価値のない人間」と傷つき、追い詰められている。不妊は医療技術だけで解決できる問題ではなく、社会全体の問題だ。
 だから、根津医師の「代理出産は不妊で苦しむ人を助ける解決策」という言葉に疑問がある。依頼した女性は「産めない女性」というらく印が押されたままだ。やっと子どもができても、「一人っ子ではかわいそう」という新たなプレッシャーを周囲から受ける。不妊女性向けに講演した時、子どもを5人持つ女性が「私も不妊女性の気持ちが分かる」と言った。日本では子どもは1人か2人が普通で、それ以上でも以下でも、好奇の目にさらされる。
 最近の代理出産をめぐる論議が、「お母さんや姉妹に産んでもらえばいい」などと、子どもがいるべきだとの風潮を強めるのではないかと心配している。代理出産を少子化と結びつけるのも疑問だ。不妊女性は「国のために産みたい」と考えているわけではない。
 日本では、子どもに障害があっても、事故にあっても、母親の責任にされがちだ。生体臓器移植も母から子への提供が期待される。娘が出産できない責任まで、母に負わせるのか。母への代理出産の依頼は「断れない状況」を生みやすい。
 商業的代理出産がされている米国では最近、問題が表面化していないようにみえる。だが実際は、出産する女性に保険をかけ、そのパートナーを含め徹底したカウンセリングをする。依頼者、出産者とも弁護士がつく。それだけ問題が生じやすいということを示している。また、代理出産を請け負う女性は貧しい人や移民が中心で、経済格差を利用した制度ともいえる。
 「子どもがいない人」の存在を認め、「子どもがいないと不幸」との価値観を押し付けない社会へと変えていくことが先だと思う。娘から不妊の相談を受けたお母さんたちは、「子どもがいなくても、あなたはかけがえのない存在よ」と娘に言ってほしい。代理出産をしなくても、その励ましこそ、子どもへの愛だから。【構成・永山悦子】
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 ■人物略歴
 ◇ねつ・やひろ
 信州大医卒。同大医学部助手を経て、76年に「諏訪マタニティークリニック」開業。64歳。
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 ■人物略歴
 ◇つげ・あづみ
 お茶の水女子大大学院博士課程修了。03年から現職。医療人類学専攻。46歳。

投稿者 akiuchi : 10:39 AM

八木コラム(内診の違法性)

産婦人科医会山口県支部で積極的な活動を展開している八木先生のサイト。医事新報に投稿した内診の違法性をめぐる論文は注目に値する。
http://www.sotown.com/koume/html/

投稿者 akiuchi : 10:29 AM

周産期医療 五つ子

鹿児島の五つ子の話が読売新聞に紹介されていた。あの当時は「5つ子」ができたということに単純にすごいな~と感心したがいってみれば排卵誘発剤の副作用(医原病)だったわけで今なら許されない。それにしても鹿児島の先生たちはがんばったな~
ひとつ疑問に思うのはこれだけしっかりした周産期医療体制が構築されているはずの鹿児島県に厚労省が認める総合周産期医療センターがないというのは本当なのだろうか?
奈良県立大淀病院に関する報道を読むと以下のように記載されている。
「厚生労働省は、緊急かつ高度な産科救急と母体搬送に対応するため、平成16年の「子ども・子育て応援プラン」で、総合周産期母子医療センターを中心としたネットワークの整 備を、平成19年度中に完了するよう全都道府県に求めている。ただ、奈良県のほか、秋田、山形、岐阜、佐賀、長崎、宮崎、鹿児島の8自治体ではまだ、整備されていない。」

[時流/源流]周産期医療 五つ子の「贈り物」 - 読売新聞  2006年11月24日(金)

 ◇キーワードでさぐる
 妊娠から出産まで、母子を一体的にサポートする「周産期医療」。それを担う医師や病床が不足し、お産の安全が揺らぐなか、鹿児島市立病院は公立で最多の80床の新生児病床を持ち、他県の妊婦や赤ちゃんの受け皿にもなっている。同病院が1978年(昭和53年)、国内初の周産期医療センターを設けたのは、その2年前の「五つ子誕生」がきっかけだった。
 ◆前代未聞
 「3胎(三つ子) 入院予定」
 産婦人科医局の黒板にそう書かれていたのを同病院の若手医師だった池ノ上克(つよむ)(60)(現・宮崎大医学部教授)=写真=は覚えている。75年12月15日のことだった。
 この日、産婦人科部長の外西寿彦(ほかにしひさひこ)(故人)は出産のため東京から帰省した妊婦を検診した。妊娠8か月にしては、おなかが垂れ下がるほど大きかった。心音は2か所から聞き取れたが、レントゲン撮影で三つ子が確認でき、超音波断層撮影では四つ子の可能性も出てきた。
 多胎児の妊娠は母体に負担がかかるため早産になりやすく、未熟児で生まれて死亡したり障害が残ったりする。黒板の文字は、若手医師に心の準備を促す外西のメッセージだった。
 五つ子とわかったのは、明けて76年1月7日。外西は早産予防のため妊婦を入院させ、あえて「四つ子」と告げた。
 何より大事なのは、母体が心身共に安定していること。前代未聞の五つ子と告知するよりも、国内ですでに数例あった四つ子にとどめた方がショックが小さいと考えた。
 直ちに医師10人、助産師2人、看護師3人のチームを編成。母体の安全管理や、胎児が仮死状態で生まれた場合の蘇生(そせい)策を連日話し合った。「記録係、母体担当、新生児担当を決めて2回ほどリハーサルした。だが当時の医療レベルで、5人とも無事に成長してくれるとは誰も想像できなかった」と池ノ上は明かす。
 ◆ワースト1
 それまで鹿児島県は、妊娠28週から生後7日未満の「周産期死亡率」が全国ワースト1。70年の全国平均は1000人に対し21・7人だったが、離島を抱える同県は30・6人に上った。
 汚名返上のため、同病院は73年、当時珍しかった超音波断層撮影装置などを備えた未熟児センター(16床)を開設した。しかし75年10月、留学先のアメリカから帰国した池ノ上が最初にした仕事は、倉庫に眠っていた同装置を臨床で使えるようにしたことだった。
 この装置が五つ子出産に役立った。胎児の頭の大きさから、無事な成長が確認され、外西は自然分娩(ぶんべん)が可能と判断した。
 ◆「全員助けろ」
 出産は76年1月31日。9分間で5児が次々に生まれる安産だった。第2子と第3子が羊水を吸い込み、仮死状態だったが、気管にチューブを差し込んで羊水を吸引すると蘇生し、それぞれ元気な産声をあげた。
 長男、1480グラム
 長女、1800グラム
 二男、1130グラム
 二女、1300グラム
 三女、 990グラム
 当時、1000~1500グラムの新生児の生存率は20~30%。しかも障害が残る危険性が高く、未熟児網膜症や細菌感染などに警戒が必要だった。
 「国内初の五つ子誕生」と大々的に報じられるなか、生後7日目には二女が壊死(えし)性腸炎を起こし、危篤状態に陥った。
 「自分の裁量で出せるだけの費用は出す。全員助けろ」。病院に泊まり込んで治療に当たった池ノ上は当時の院長から厳命された。
 幸い二女は持ち直し、5月には5人そろって東京の日大板橋病院に転院した。
 外西は著書「五つ子くん-その神秘な誕生と周産期医学」で退院時の様子をこう書き記している。
 「玄関前に5人のベビーが姿を見せたときが最高潮だった。いまかいまかと待っていた市民の間から『おーっ』という、どよめきの声があがり、『ムゾかあ』(かわいい)の大合唱」
 首相だった田中角栄が国会で証人喚問されるなど「ロッキード事件」が政界を揺るがすなか、五つ子誕生は明るい話題を提供した。それだけでなく、当時まだ医学界にも浸透していなかった「周産期医療」という言葉を世に広めた。
 ◆全国初
 「これを契機として、未熟児センターの要員の増加、設備の拡充を図り、受け入れ体制を強化されるよう陳情する」--。76年5月、鹿児島市産婦人科医会が市医師会に提出した陳情書にはこう書かれている。
 拡充運動を担った産婦人科病院長、柿木成也(79)=写真=は「開業医では対応できない難しいお産や未熟児の受け皿がなければ、困るのは我々。市議や県議らに懸命に訴えた」と振り返る。
 これが実を結び、78年11月、鹿児島市立病院に国内初の「周産期医療センター」ができた。NICU(新生児集中治療室)を備えた新生児センター(40床)と、妊娠合併症などの妊婦に対応する分娩センターを持ち、初代所長に外西が就いた。
 全国最悪だった周産期死亡率はセンターの始動により、85年に8・4人(全国平均8・0人)となり、2005年には4・0人(同4・8人)と改善された。「死亡率日本一からの脱却は、五つ子からのプレゼントだった」と池ノ上は振り返る。
 80年には2例目の五つ子が同病院で誕生。81年にセンターを増床し、60床に。93年、外西が院長在職中に病死した時は、高校生となった最初の五つ子も葬儀に参列した。
 ◆署名12万人
 一方で同病院の周産期医療センター医長だった茨(いばら)聡(49)=写真=は病床不足に悩んでいた。周産期医療の進歩で、数百グラムの未熟児も生存できるようになった分、治療対象となる子どもが増えた。新生児ベッドは常に満床。県外の医療機関に運ばれる妊婦も増えた。
 茨は94年8月、増床の要望書を出したが、市の腰は重かった。救ったのはやはり開業医。97年4月、産婦人科医会県支部の医師が街頭で署名活動し、12万人の署名を県議会などに届けた。
 これを機に県が本格的な運営費補助を始め、新生児ベッドは2000年、80床に増えた。医師や看護師も増員された。医師が同乗して治療できる新生児専用救急車も01年に導入した。
 今では、県境に住む人を除けば、他県へ運ばれる患者はほとんどいない。一方で、NICUが不足している熊本県などから患者を受け入れる。先進医療を学ぼうと、全国の病院から研修医が集まる。
 「いいことだと思ったら皆が集まって一緒に進めていく。市立病院の周産期医療を支えてきたのは、そんな鹿児島の県民性かもしれない」。現在は周産期医療センターの部長となった茨は話す。(文中敬称略)玉城夏子

 図=鹿児島県の周産期死亡率の推移

 写真=鹿児島市立病院を退院し、東京の日大板橋病院に移った国内初の五つ子(1976年5月12日撮影)
 写真=未熟児などの治療が昼夜問わず続く鹿児島市立病院のNICU

投稿者 akiuchi : 09:59 AM

拠点病院の受け入れ困難な状況

奈良県の事件に関して北里大学の海野教授のコメントが掲載されていた。
「妊婦検診やリスクの低い出産を担う地域の医療機関と、母体の救命救急や重症児に対応する高度医療機関を分けて考える必要がある」と指摘する。
 だが実際は産科を扱う病院の減少から、多くの妊婦が、本来ならリスクの高い患者を優先して受け入れるべき拠点病院を頼るようになり、その結果、拠点病院では救急患者の受け入れが困難な状態となっている。
学会の中心で活躍される先生が正しい認識を持っていることを素直に喜びたい。


【明解要解】妊産婦の高度救急医療 医師の産科離れで整備に支障 - 産経新聞 2006年11月20日(月)

 奈良県大淀町立大淀病院で今年8月、出産の際に意識不明となった妊婦(当時32)が19病院から転院を断られ、死亡した問題をきっかけに、妊婦の安全を守る救急医療体制の整備や地域間格差の是正が緊急の課題として浮かび上がってきた。周産期医療をめぐっては病床数不足や医師不足も深刻だ。地域の実情に見合った医療機関の機能の見直しが求められる。
 (社会部 長島雅子)
 妊婦は8月7日、大淀病院に入院し、翌日午前0時過ぎ、頭痛を訴えて意識を失った。同病院は午前1時50分ごろ、拠点病院である奈良県立医大付属病院に受け入れを要請したが満床だった。同病院は県内外の転送先を探したが次々に断られ、約60キロ離れた大阪府吹田市の国立循環器病センターに搬送されることが決まったのは午前4時半ごろだった。
 妊婦は午前6時すぎに転送後、脳内出血と診断された。帝王切開手術を受け男児を出産したが、意識不明のまま同月16日に死亡した。
 厚生労働省は、緊急かつ高度な産科救急と母体搬送に対応するため、平成16年の「子ども・子育て応援プラン」で、総合周産期母子医療センターを中心としたネットワークの整備を、平成19年度中に完了するよう全都道府県に求めている。ただ、奈良県のほか、秋田、山形、岐阜、佐賀、長崎、宮崎、鹿児島の8自治体ではまだ、整備されていない。
 昼夜を問わない過酷な勤務や出産のトラブルをめぐる訴訟のリスクなどにより、産科の医師不足は深刻な問題となっている。分娩(ぶんべん)を扱う病院や診療所は全国的に減少傾向にあり、平成5年に4200以上あった分娩施設は昨年、約3000に減った。
 奈良県も同様で、16年は高度治療が必要な妊産婦の37%を大阪府など県外に搬送している。
 こうした現状のなかで、北里大学医学部産婦人科学の海野信也教授は「妊婦検診やリスクの低い出産を担う地域の医療機関と、母体の救命救急や重症児に対応する高度医療機関を分けて考える必要がある」と指摘する。
 だが実際は産科を扱う病院の減少から、多くの妊婦が、本来ならリスクの高い患者を優先して受け入れるべき拠点病院を頼るようになり、その結果、拠点病院では救急患者の受け入れが困難な状態となっている。
 一方で、出産をめぐって刑事責任が問われる事件が相次いだことから、萎縮(いしゅく)した医師が難しい出産を避け、より高度な医療機関に任せる傾向も強まってきている。
 「各地域の周産期医療ネットワークは、産科医と小児科医のボランティアで成り立っている。基幹病院の当直の医師の協力で、他の医療機関の妊婦の搬送先を懸命に探すことでかろうじて救急医療に対応している。いわば周産期医療独自の相互援助体制だが、これも現場の疲弊により限界に達している」
 海野教授は現状をそう説明し、解決策として「第三者が搬送先を探すシステム作りも検討する必要がある」と話している。
                  ◇
 一線記者がニュースの背景にせまり、わかりやすく解説します。読者の質問、疑問にもお答えします。ファクス03・3242・7745か、Eメールでspecial@sankei.co.jpへ。

[産経新聞 ]

投稿者 akiuchi : 04:59 AM

November 24, 2006

「妊産婦死亡の原因の究明に関する研究班」(班長、長屋憲・吉祥寺南町診療所院長)の報告

「長屋論文」という10年以上も昔の妖怪がまだ日本の産婦人科医療周辺を跋扈しているというおどろおどろしい状況にそろそろ変えなければ本当に日本の周産期医療は崩壊することになると思った。現場を知らない医者とマスコミに勝手なことをいつまで言わせておいていいものなのだろう?「長屋院長は「9年前と変わらず、全身管理の専門家や設備がほとんどない状態で大多数の分娩が扱われていることが最大の問題。こんな危険な環境での分娩は、日本ぐらいなものだ」と早急な改善を訴える。」2年間で230人の母体死亡があった時代から今ではその数が年間48人まで減少しているというデータを彼は一体どう説明するのか?


[奈良・妊婦転送死亡:脳内出血死、9年前の提言生かせず--「CTに有用性」毎日新聞 2006年11月21日(火)

 ◇旧厚生省研究班「CTに有用性」
 妊産婦に異常事態が起きた場合、分娩施設内で速やかに処置できるよう、医師数や検査機能の充実など体制整備を求める提言を、旧厚生省研究班が97年にまとめていたことが分かった。全国約200人に及ぶ妊産婦の死亡原因を詳細に分析して導き出した報告。だが今年8月に奈良県の妊婦が脳内出血で死亡した問題では、分娩施設や搬送システムの体制不備など地域の産科救急体制の危機が浮き彫りになり、9年前の貴重な提言が生かされなかった形だ。【根本毅】
 「妊産婦死亡の原因の究明に関する研究班」(班長、長屋憲・吉祥寺南町診療所院長)の報告によると、91~92年の妊産婦死亡は230人に上った。調査できた197人の死因は、子宮破裂などによる出血性ショックが74人で最も多く、次いで脳出血が27人だった。
 死亡例の分析で、転送された施設(大学病院を除く)の産婦人科の平均医師数は、常勤が4・4人、当直は0・6人。麻酔科医なども少なく、「十分な24時間体制とはあまりに懸け離れた現状」と指摘した。一方、死亡した妊産婦の分娩を当初扱った施設は、より体制が貧弱で「マンパワーや検査機能の不備が死亡に大きく影響した」と分析した。
 脳出血では、頭痛を訴えたのに診断・搬送が遅れた例もあった。診断について「頭痛や血圧上昇、意識消失があると、産婦人科医の多くは妊娠中毒症や子癇(しかん)発作と考え、その治療を優先させる。これは現時点では正しい」とした。その上で、CT(コンピューター断層撮影)の有用性に触れ、「どの症状なら脳出血を疑い、画像診断(CT)すべきかガイドラインを示す必要がある」と提言した。
 今回の奈良のケースでも夜間、脳外科医と麻酔科医が不在で、産科医と内科医計2人で対応。報告書の指摘と同じように頭痛や意識消失などの症状があったが、失神や子癇発作と判断し、CTは撮らなかった。
 長屋院長は「9年前と変わらず、全身管理の専門家や設備がほとんどない状態で大多数の分娩が扱われていることが最大の問題。こんな危険な環境での分娩は、日本ぐらいなものだ」と早急な改善を訴える。

[毎日新聞 ]

投稿者 akiuchi : 05:21 PM

November 23, 2006

[お産・ひずむ現場から]

読売新聞・連載[お産・ひずむ現場から]は日本のお産の現状に広がる問題点をレポートしている。格差社会と墜落出産はあまり関係ないと思うが日本のお産が大変なことになっているということは間違いないだろう。今日の朝日新聞「私の視点」に京都の嵯峨嵐山・田中クリニックの田中啓一先生が「出産医療危機・厚労省の性急可変に問題」という意見が掲載されていた。また同じ朝日新聞栃木版には「産科医療体制に分業体制」という記事も出ていた。本当に事態が深刻になってようやく行政が動き出した時には既に手遅れということになっていなければ良いのだが果たしてまだ間に合うのだろうか?

[お産・ひずむ現場から](1)格差の果て「墜落出産」(連載)読売新聞 2006年11月19日(日)

 ◆19歳、夫は失業中、生活保護… 陣痛室に1人…「生まれてるわ」 二極化拡大、ブランド病院も
 産婦人科の医師不足が進む中で、妊婦たち、家族たち、医師たちの悲鳴が聞こえる。社会に広がる「格差」が、お産の現場を蝕(むしば)み始めている。都会で、地方で--。その〈ひずみ〉を報告する。(社会部・古岡三枝子、写真部・工藤菜穂)
 惨めで孤独な初産だった。病院の陣痛室。19歳の女性は、一人、壁に手をついて体を支え、立ったままの姿勢で、硬い床の上に、赤ちゃんを産み落とした。
 「何で泣かへんのやろ。死んだんちゃう」。涙がボロボロ出てきた。だが、気持ちを奮い立たせた。「私、お母さんになったんやから」。腰をゆっくりとかがめ、へその緒がついた赤ちゃんを床から、すくい上げた。顔の高さまで持ち上げると、産声を上げた。
 やがて、慌ただしい足音。そして、看護師の声が聞こえた。「生まれてるわ」
 大阪市内の民間病院。女性は、通院中から、疎外感を覚えていた。
 母はアジア系外国人。10代の出産。夫は失業中。生活保護を受け、出産費用が無料になる、助産制度を利用しての出産だった。「だからか」と思ってしまう。「看護師は、ほかの人には丁寧な言葉遣いだったが、私にはそうでなかった」
 入院したのは7月中旬の夕方。分娩(ぶんべん)室の隣にある陣痛室で休んでいたが、深夜、トイレに立ち、破水した。自力でベッドに上がれず、立ったままでナースコールを押した。もう、頭が出かかっていた。だが、様子を見に来た看護師は、よく確認せず、「気のせい」と言い残し、部屋を出ていったという。
 「このままやったら赤ちゃんの頭が圧迫されて、呼吸もできへんかもしれん」
 どうしたらいいのかわからなかったが、3回ほどいきむと、下着に引っかかった。もう一度、ナースコールを押そうと体を少し動かした瞬間だった。赤ちゃんが、頭から床に落ちた。
 「何で、こんなことになったんや」。病院に駆けつけた女性の母親は、看護師らに激しく詰め寄った。
 墜落出産。母子手帳の特記事項にそう記された。
 この女性を知る、別の病院に勤務する助産師は、「病院への搬送が間に合わず、自宅や救急車の中で起きることはたまにあるが、まさか、病院の中でとは……」と憤る。
 当時、医師2人は手術中で、助産師は授乳中、産婦人科の看護師は、手術室や病棟を行き来していた。
 看護師が、確認しなかったのか。「気のせい」と言ったのか。女性と病院側には、見解の相違がある。
 「外科系の看護師が対応したが、まだ、生まれる様子はなかった。ただ、予期せぬ速さで出産が進み、結果的に赤ちゃんが床に落ち、苦痛を与えたことについては謝罪した。3歳になるまでの無料検診を提案している」と病院側は説明する。
 「疎外感」については、「助産制度を使う人への差別は絶対ない」とする。だが、その一方で、来年4月からは、助産制度の取り扱いをやめるのだと言う。
 「昨年から検討してきたこと。事前に妊婦検診を受けず、陣痛が起きてから突然やって来たり、大声を出したり。ルールを守らない人が多くリスクが高い」。事務長は、「助産制度を扱う病院は、減ってきているのですよ」と、話した。
 東京。聖路加国際病院(中央区)。産婦人科医17人、助産師33人という手厚いスタッフ、NICU(新生児集中治療室)や、ホテル並みの個室を備える。安全、快適に出産できる環境が人気で、愛育病院(港区)、山王病院(同)と共に、「御三家」とも称される。
 ここで出産にかかる費用は約90万円。40万円前後とされる平均的な費用の2倍以上だが、分娩件数は増加傾向だ。佐藤孝道・女性総合診療部長は、「少子化で、出産は一生に1度という人も多い。質を求められる方が増えている。私たちは金額に見合った医療を提供できていると思っていますよ」と言う。
 出産時の安全管理に詳しい日本赤十字看護大学の谷津裕子助教授(助産学)は、「本当は、どの病院でも安心、安全な医療を受けられなくてはならない。しかし、今、産婦人科医師が不足する中で、スタッフの技量や質など、病院の『体力』の差が、ケアの差となり、様々な事故につながっている」と指摘する。
 お産の質の格差。ひずみは、助産制度の“締め出し”として、所得格差の底辺に広がり始めている。
 「こんな、つらい思いをしないとお母さんになれへんの」。墜落出産を経験した女性は、赤ちゃんをあやしながら、今も、情けない思いでいっぱいになる。

 ◆利用者急増の「助産制度」 消える受け入れ産科…扱わなくても経営大丈夫
 経済的に困っている人の出産費の負担を軽減する国の「入院助産制度」が揺らいでいる。所得格差が広がり、制度を利用する妊婦が急増する一方で、助産制度の取り扱いをやめる医療機関が続出しているのだ。産婦人科医が不足し、産科が減少する中で、「弱者の切り捨て」との指摘もある。
 入院助産制度は、児童福祉法に基づいて、経済的な理由で出産費用が払えない妊婦に対して、分娩(ぶんべん)介助料、生活諸経費(入院費など)、胎盤処置料などを国と自治体が負担する。
 所得によって自己負担額は異なり、生活保護世帯の場合、上限があるものの基本的には無料。利用できる施設は、申請に基づいて自治体が認可する医療機関に限られる。
 厚生労働省によると、1997年度の利用者は全国で3246人、認可施設は563か所だったが、2004年度には、利用者が2倍の6409人に増加しているのに、逆に施設は494か所に減少した。
 生活保護世帯が全国一多い大阪市では、05年度に980人が利用。認可施設は、10年前には20か所を超えていたが、現在は14か所。このうち2か所は、すでに産科を休止しており、実際には、12か所に過ぎず、市内24区のうち13区が空白区になっている。
 今後、さらに2病院が、制度の取り扱いをやめる予定で、病院の一つは、「産科を廃止する予定のため」と事情を説明する。
 一方で、産科があるのに制度の取り扱いをやめる病院もあり、医療関係者は「今、残っている病院には妊婦があふれている。制度の利用者をあえて受け入れなくても、病院の経営は成り立つという事情がある」と背景の一つを指摘。その上で、「行政が、早急に対策を考えなければ、低所得者は、お産ができなくなってしまう」と心配する。
 大阪市の担当者は「制度の利用者が、自宅から遠く離れた病院に行かなければならないなど、不便な状況になっていることは把握している。しかし、こちらから、病院を指導することはできず、今のところ、打つ手がない」と言い、行政としては静観の構えだ。
 出産問題に詳しいジャーナリストの河合蘭さんは「こうした問題がある一方で、高額な費用がかかる医療機関での出産を望む妊婦も多く、出産にも『格差』が広がっている。お産は誰でも、どこに住んでいても平等なものであるべきだが、崩れてきているのかもしれない」と危惧(きぐ)する。

 図=助産制度の認可施設数と利用者
 写真=「墜落出産」と記された母子手帳。女性は、赤ちゃんをあやしながら「何でこんな目にあったのか」とつぶやいた

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[お産・ひずむ現場から](2)分娩予約、先着月20件(連載)読売新聞 2006年11月20日(月)

 ◆ベッド稼働率50%割れも 医師さえ十分いれば…苦悩の基幹病院
 「予約を制限することもできるが、どうする」
 大阪の真ん中。通天閣を間近に仰ぐ愛染橋病院(大阪市浪速区)の村田雄二院長(64)は、今年の夏、産婦人科部長らに問い掛けた。
 ここでは「少子化」が、ウソのようだ。年間分娩(ぶんべん)件数がピーク(1970年代)の2割にあたる700件台に落ち込んだのは15年前。それが2003年度に1000件を超え、今年度は1500件を突破する勢いだ。8人の医師の負担は年々重くなってきている。
 「周辺の産科が次々となくなり、妊婦の行き場がない。受け入れましょう」。医師たちの言葉を頼もしく感じながら、村田院長には医療の質の低下が心配だった。「来る者拒まず。ほんまにこれでいいんやろか」
 周産期医療の基幹病院。大阪府内の43病院が情報を共有、高度な医療が必要な妊婦の転院や救急搬送に対応する「産婦人科診療相互援助システム(OGCS)」にも組み込まれている。
 昨年までは、搬送要請の6割以上を引き受けてきたが、今年の9月末までの実績は86件。5割を切った。
 産婦人科の42床を16床増やす工事を進めているが、「医師不足を解消し、妊婦の受け入れ先を増やさないと、同じことがまた、起きるかもしれない」と、村田院長は危機感を抱く。
 8月8日--。奈良県大淀町立大淀病院で意識不明になり、その後亡くなった妊婦(当時32歳)が、奈良や大阪の病院から、「満床」などを理由に転院を断られた日。
 愛染橋病院にはOGCSの搬送要請はなかったが、やはりベッドはふさがっていたという。この月、分娩件数は150件を超えた。25年ぶりのことだった。
         ◎
 早期退職、他県の病院への移籍……。
 愛染橋病院から南へ5キロ。大阪市立住吉市民病院の産婦人科を、今年、3人の医師が去っていった。
 「月に当直を6、7回やって手術もやる。頭が働かない。私も50歳を超えて限界やった。死んでしまうかもしれへんと思いました」
 辞めた医師の一人は、もう、お産を扱わないという。「とにかく、当直をやめたかった。辞めてアルバイト医師でも何でもやれば、のたれ死にすることはないやろうと」
 後任の医師は見つからず、補充はない。今は常勤医2人、応援医1人の3人体制でしのぐ。分娩予約は、9月分から、先着20件に制限せざるを得なかった。
 「早う来なあかんって聞いたから」。生理が1日遅れただけで、急いで診察に訪れる女性。妊娠がわかった5週、6週で、“手遅れ”の妊婦もいるという。
 外来の待合室には、こんな紙が張り出されている。
 〈平成19年6月分までの分娩予約は終了しました〉
         ◎
 同病院の産婦人科のベッドは40床。「今は稼働率50%を切っています。市南部の周産期医療を支える基幹病院という位置づけなのですが……」。病院スタッフは、申し訳なさそうに話す。OGCSからの夜間の搬送要請は断っている。
 昨年度まで、医師6人で年間700件を超える分娩を扱っていたが、今年度は400件を下回るという。
 当直医師を訪ねた。
 95年から勤務している中村哲生医師(46)。午前9時からの外来で、73人を診察し、口にしたのはペットボトルのお茶だけ。夕方、当直前に昼食のカップラーメンをかき込んだ。「予約を制限したので、これでも、仕事は楽になりました」。ほほ笑みの奥に、複雑な思いがのぞく。
 深夜、産婦人科病棟を巡回。同科の患者や妊婦は9人だった。余ったベッドのいくつかは、整形外科の患者らが使っているのだという。それが、もどかしい。
 「医者さえいればなぁ」
 足りぬベッド。余るベッド。病棟に、現場にとどまる医師たちの、深いため息が漏れる。

 写真=夕方、外来の診察を終えて当直勤務につく中村医師(大阪市立住吉市民病院で)

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[お産・ひずむ現場から](3)地域へ派遣医出せぬ(連載) - 読売新聞 2006年11月21日(火)

◆地方大学、新人医師減り続け
 「また産科がなくなる」
 先週、大阪市内の病院を情報が駆け巡った。関西の大学医学部が、ある民間病院から派遣医を引き揚げるというのだ。
 同じ大学から派遣を受ける別の病院のスタッフは、心配そうに話す。「大学も研修医がいなくて大変らしい。次に引き揚げられるのはどこか。みんな戦々恐々としています」
 新人医師が2年間、給料をもらいながら内科、外科、産婦人科などの各科で経験を積み、総合力を身に着ける臨床研修制度がスタートして3年目。症例が豊富で腕が磨ける病院、待遇のいい病院を目指して、地方の新人医師たちの、大学離れが止まらない。
 東京・新宿。1日平均3980人の外来患者が訪れる慶応大学病院には、全国から医師たちが集まる。
 来年度の研修医募集では定員60人に233人が応募。中でも、医学部の2大ブランド、慶応と東京大学で1年ずつ研修できる定員5人のコースには、154人が殺到し、競争率30・8倍の狭き門となった。
 「ここでは、十分な症例を経験できる。それに、学術研修会に参加しやすく、人脈も作れる東京には、刺激がある。魅力のあるところに人が集まります」と、卒後臨床研修センター長の鈴木則宏教授(53)は話した。
 〈勝ち組〉は東大と慶応だけ。新研修制度を巡り、地方の大学関係者からは、恨み節も聞こえてくる。
     ◎
 134年の歴史を誇る医学界の“老舗”。京都府立医科大学の山岸久一学長(63)も嘆く。「研修医は、糸の切れた風船みたいに好きなところに行ってしまう。その結果、地域医療が崩壊している」
 いったん「外」に出た医師の多くは、研修後、出身大学には戻ってこない。
 同大の医局には、毎年140人程度が入局していたが、新研修制度の1期生を医局員として迎えた今年は約80人。産婦人科への入局はゼロだった。
 このため、産婦人科医3人が辞めた関連病院、舞鶴医療センター(京都府舞鶴市)に新たに医師を補充できず、府北部で周産期医療の中核を担う同科は今春、閉鎖に追い込まれた。
 「研究機関として医療の質を高めるという、大学の大切さに気づけば、いずれ医師たちは戻ってくるはず」。山岸学長は「私の期待ですがね」と付け加えた。
     ◎
 「辛いもん、ちゃんと控えてますか?」。大阪府吹田市の診療所で開業医が男性患者に声をかける。何気ないやりとりを、大阪大学付属病院で研修2年目の栗政映子さん(28)が真剣に見つめる。ここで、地域医療を学んでいる。
 目指すのは産婦人科医。大阪生まれ。福井大学5年の時に初めてお産に立ち会い、「命が生まれるって、すごい」と感動した。大阪大を選んだのは、「きちんと勉強して、地元で医師になりたい」からだという。
 大阪大でも産婦人科の医局には毎年、十数人が入っていたが、今年度の入局は女性3人だけ。木村正教授(46)は、研修医たちの顔を思い浮かべ、来年の計算をする。「新制度は弱肉強食。うちもしんどいが、数人は固いかな」。栗政さんは、貴重なその一人だ。
 だが、医局入りの決断には時間がかかったという。「自分の布団で寝られるのは週に3回」「子育てと仕事の両立は厳しい」と先輩医師から聞いた。「しんどそう」と友人も言う。あの時、感動した自分を信じるが、今も不安は消えない。
 木村教授は言う。「例えば、産婦人科は女性の志望が多いのに、働きやすい環境とは言えない。月に10回も当直ができますか。出産して、子供を家において仕事に復帰できますか。産科医が自分の出産をためらう。変えていかなくては、成り手は育たない」
 若い情熱に応えられるのか。地域医療を支えられるのか。大学は苦悩する。

 写真=開業医の診療所で研修中の栗政さん(左)。産婦人科医になることを決めている(大阪府吹田市で)
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[お産・ひずむ現場から](4)医師確保、もがく地方(連載) - 読売新聞 2006年11月22日(水)
◆中国人研修・高額報酬・視察ツアー
 「中国では妊婦の数が多く、とても忙しいです。こちらは、休みでも呼び出されるなど、時間に拘束されて違う忙しさですね」
 中国人医師の高嵩(こうすん)さん(34)は、今年2月から、盛岡市の私立岩手医科大付属病院で「研修中」の身。だが実態は、産婦人科の貴重な戦力だ。
 外国人が医療知識、技術を学ぶ厚生労働省の「臨床修練制度」を使った“裏技”で、医師不足に悩む県が、日本語コースを持つ中国医科大(遼寧省瀋陽市)から招いた。月約30万円の「就学費」を支給。近く、小児科医も招く予定だ。
 「薬の処方はできませんが、カルテを書いたり、手術の助手をやったり。少しでも、忙しい先生たちの役に立ちたいです」
 「検定1級」の流暢(りゅうちょう)な日本語、柔らかい物腰で、妊婦からの人気は上々。高さんが立ち会い、帝王切開で長男を出産した退院間近の女性は、「先生に話をすると、安心できました。人柄ですね」と話した。
 1県で、東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県を上回る広さ。県立病院と診療所は、全国最多で計27もあるが、医師不足のため出産を扱っているのは9病院しかない。大半は医師が2、3人で「綱渡り」が続く。県内の病院への医師派遣の役割を担う岩手医科大学医学部の杉山徹教授(54)は、中国人医師招聘(しょうへい)に込めた、もう一つの意味を説明する。
 「1人や2人招いても医師不足が解消するわけはありません。本気で対策に乗り出さないと地方の医療はもう持たない。何もしない国へのメッセージです」
     ◎
 全国有数の多雨地帯、三重県尾鷲市。熊野灘に面し、三方から急峻(きゅうしゅん)な山岳が迫る。大雨で国道42号が通行止めになれば、紀伊半島の小さな街は、孤島となる。
 3月。市議会に驚きが広がった。三重大学からの医師派遣打ち切りに伴い、昨年9月、市が市立尾鷲総合病院に独自で確保した産婦人科医の年俸が、このとき、明らかにされたのだ。
 5520万円--。
 他の診療科の医師たちの平均給料の3倍以上の額。伊藤允久(まさひさ)市長は「津市で開業している医院を閉めて来てもらった。政治的判断だった」と説明した。
 この夏の契約更新交渉で、医師は「病院に住み込み、年末年始の2日しか休んでいない」として、休日手当の上乗せを要求した。
 「3000万円も出せば、大学の助教授クラスが飛んでくる」。市議会の批判で交渉は決裂。165人の赤ちゃんを取り上げた医師は病院を去った。
 昨年、6万3000人の署名を三重大と県に提出した「紀北地区に産婦人科の存続を願う会」の中心メンバー久保忠利さん(66)は複雑な思いを吐露する。「そんなに高いんかと知って、びっくりしました。でも仕方がない。来てくれる先生がいないのですから」
 10月、また津市から招いた後任医師の年俸は、約2700万円。別に5年勤務を条件に、年100万円の奨励金が加算された。
     ◎
 〈自然を余すことなく満喫できる地。その目で町の雰囲気や病院、診療所を見てください〉
 産婦人科医をはじめ、へき地の医師不足が深刻な島根県。9月から、ホームページで、島根での勤務に関心を持つ医師や家族を対象にした、2泊3日の無料視察ツアーへの参加を呼びかけている。
 神戸市内の内科医(38)は、産婦人科医がいなくなり、出産のために妊婦たちが海を渡った離島・隠岐の島町を視察した。「今の便利な生活を捨てられるかというと、まだ、踏ん切りがつきません」。それが、正直な気持ちだ。
 「現代の赤ひげ先生はいるはず」と担当者は期待するが、これまでに島根を訪れた医師は3人。色よい返事は、まだ返ってこない。
 地方が、もがき続けている。

 写真=「もうすぐ退院ですね」。朝の回診で母子に声をかける高医師(岩手医科大付属病院で)
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お産・ひずむ現場から](5)診療2か月「船津先生、ありがとう」(連載)読売新聞 2006年11月23日(木)

 ◆隠岐の妊婦国、動かす 町長「離島で産める法整備を」
 11月1日。西郷港の岸壁に、島民が次々と集まってきた。赤ちゃんを抱いた父親、涙を浮かべた母親、助産師、病院の職員……。
 4月から産婦人科医がいなくなった島根県の離島・隠岐の島町。その窮状を知り、静岡県富士市で開業準備中だった船津雅幸医師(52)が島に渡ってきたのは8月の終わり。6人の赤ちゃんの誕生を見守り、今、島を離れる。
 「先生、ありがとう」「また、来てよ」
 「凝縮された2か月でした。ありがとう」。船津医師も、高速船「レインボー」の乗船口から、何度も手を振り頭を下げた。
 「先生のこれからのご活躍を祈念して」。誰かが音頭を取った。万歳、万歳、万歳--。大きく腕を振り、島民は、小さくなる船を見送った。
     ◎
 「島で産むって、こげなことなんだ」。藤野みほかさん(31)は、その、ぬくもりを実感したという。
 隠岐病院に入院したのは10月1日。3日間、陣痛で苦しみ、胎児の心拍数が落ちてきたため、船津医師の帝王切開手術で男児を出産した。その間、家族や、通院中から顔なじみになった助産師が入れ代わり立ち代わりやって来ては、「頑張れ、頑張れ」と腰をさすって励ましてくれた。
 「本土に一人渡って出産していたら、心細かっただろうな」と思う。「世愛(せな)」。息子の名前に願いを込めた。「多くの人の愛情を受けて、生まれてきたことを忘れないでほしい」と。
 隠岐病院の8人の助産師たちは、4月以降、惨めな思いでいっぱいだった。新生児室が、物置代わりになったこともあった。常角しのぶさん(49)は、産声が戻ってきた日のことを思い出す。「新生児室に電気がついて、泣き声が聞こえて。病院全体が明るくなったような気がしました」
     ◎
 出産のため、海を渡る妊婦たちが、医師の心を動かし、そして国を動かした。
 厚生労働省は、離島の妊婦を対象に、島外出産の宿泊補助制度をつくる方針で、来年度概算要求に3000万円を盛り込んだ。1人3万円までの支給を検討している。
 「だが、私の思いは違う」と、町長室で松田和久町長(61)はいらだちを隠さない。「必ず島で産めるようにしたい。いろんな国のひずみが隠岐にある。まず離島の医師確保の法整備を国に訴えたい」
 隠岐病院へは、県立中央病院からの産婦人科医の派遣が再開された。しかし、医師不足が続く限り、また、お産ができなくなるという不安は消えない。
 「島でも子供が少なくなってきた」と話す保育園長、吉田輝美さん(54)も、「船津先生の気持ちは本当にありがたかった。心があった。でも、こういう先生が来るのを待っちょってはだめ。制度を整えないと」と心配する。
 港の防波堤に腰を下ろし、長く漁師をしてきたという藤野文夫さん(85)は首をかしげる。「島で生まれ、島で死ぬる。あたり前の事ができんようなるのは信じられん。おかしいなっとる」。見つめる白波の果てに、遠い本土がある。
     ◎
 また、一人の医師が、お産の現場を去って行く。
 静岡に戻り、12月に内科・婦人科クリニックを開業する船津医師は、大学の医局や関連病院で22年間、激務の中に身を置いてきた。「産科はハッピーな科ですが、何かあると訴訟になりやすくデメリットも多い。開業すると経営のことも考えなくてはならない。もう、いいんじゃないかと」
 隠岐へ行くことを決めたのは、「だが、やり残したことはないのか」という思いだったという。
 「僕がいるだけで安心してもらえた。妊婦の笑顔や、赤ちゃんの泣き声に、大きな意味があることに気づき、感動しました」
 産声が消えた島は、舞台を降りるベテラン医師のはなむけに、大切なことを教えてくれた。(おわり)
(社会部・古岡三枝子、写真部・工藤菜穂が担当しました)

 写真=「さようなら」。藤野さん夫婦(左)ら島民はいつまでも船津先生を見送った(島根県隠岐の島町で)


投稿者 akiuchi : 10:56 AM

November 22, 2006

メルマガ「あっぷる子育てプルプル通信」プラスワン11月号原稿

メルマガ最終号の原稿を書き上げました。これからはこちらのブログで情報発信をしていきたいと思います。
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今年も残すところあと僅かとなってしまいましたが皆様いかがお過ごしでしょうか?

今年を振り返るとなんといっても大きなイベントは春のアルテミス宇都宮クリニックの開業です。開業半年を経てどうにか軌道に乗ることができたようですがまだ当初考えていた理想の出産環境には程遠いものがあります。これで医療法人アップルは4つの産婦人科クリニックを運営することになり年間3000人近い妊婦さんのお産を管理することになります。横浜の堀病院は年間3000人のお産で「日本一」ということですが私も責任の重さを痛感いたします。

今年は2月の福島県大野病院事件、8月の横浜堀病院内診問題、10月の奈良県大淀病院事件と周産期医療崩壊に直結する大きな事件が相次ぎました。私が所属する塩谷郡市医師会の主催で11月18日(土)、虎の門病院泌尿器科部長の小松秀樹先生(「医療崩壊-立ち去り型サボタージュ」著者)を宇都宮にお招きして講演会を開催いたしました。当初あまり参加者がいないのではないかと心配した東日本ホテルの会場は満員。普段の学術をテーマにした講演会とは違った医療の本質に迫る小松先生のお話に集まった医療関係者が熱心に耳を傾けていました。講演後の質問でも勤務医、開業医などそれぞれの立場から現在の閉塞的医療状況を突破するにはどうしたらいいのかという質問が集中いたしました。主催者として講演前に小松先生に個人的にお話を伺う機会があり「具体的にはどうすればいいのか?」と質問させていただいたのですが小松先生は「医師会や勤務医ユニオンなどの組織ではなくて個人として積極的にマスコミや法曹界、大衆に発言を続けていくことが大事だ」といわれていました。

今回の講演会は福島の大野事件を契機に塩谷郡市医師会で署名運動を行った流れから学術委員会に私が提案して尾形会長、座長の山田先生など関係者が動いて下さったことにより実現に漕ぎ付けることができたものです。塩谷郡市医師会は地方の小さな医師会ですが病診連携、市民広報などの活動に尾形会長のもと積極的に取り組んでいます。私も塩谷郡市医師会に所属してよかったなと最近は思っております。日本の多くの医者はリーダーの老齢化の中で地域に関わりながら発言するということもままならずにフラストレーションを溜め込んでいるのではないでしょうか。医療現場から「立ち去りたい」と考えているのは勤務医のみならず開業医も似たような状況だと私は思います。ここは若手医師(私はもう年をとりすぎてしまいましたが)の奮起に期待したいところです。来月は済生会栗橋病院副院長の本田宏先生(医療制度研究会)が獨協医大で講演をされるということなのでその辺のお話が伺えるのではないかと期待しております。

追伸:メルマガの配信は諸般の事情により次号からしばらくお休みさせていただくことになりました。また復活できる日が来るまでこのブログを引き続き継続したいと思っております。

投稿者 akiuchi : 03:02 PM

November 20, 2006

宮廷女官・チァングム、最終回

宮廷女官・チァングム、最終回
だいぶ前のことになるのですが産婦人科医関連のMLで「白い巨塔」にでてくる開業産婦人科医・財前の義父のイメージが悪すぎるので産婦人科医のイメージアップを図るために有名な産婦人科医師をあげなさいという宿題を出されたことがありました。当時BSで放映されていたチャングムを私は推薦したのですがその時にはあまり反応がありませでした。11月18日の土曜日にNHKの地上波で最終回が放映されて私が関係するいくつかのMLでも話題に上がっています。50話以上も続く長い話なのでなかなか最後まで観ることは難しいとは思うのですが私もラストシーンが帝王切開のシーンで終わったことに感動して産婦人科医としてのチャングム(架空の話?)を投稿いたしました。(当時はネタバレになってはいけないと思って詳しいことは書けませんでした。)我が家の小学2年生もチャングムの大ファンです。

投稿者 akiuchi : 03:05 PM

日曜当番医

11月19日(日)、久しぶりに日曜当番医で朝から勤務。こどもばかり診察が続く。ほとんどが軽い風邪のこどもたち。このこどもたちが遠いセンター病院までいかなければ医療の提供を受けられないのだとしたらセンター病院はすぐに破綻してしまうだろう。産科もセンター化によって同じことになるのだとしたらここはわれわれが何とか踏ん張ってくい止めなければならない。

投稿者 akiuchi : 04:56 AM

小松先生の講演会

11月18日(土)、「医療崩壊-立ち去り型サボタージュ」の小松先生を宇都宮に招いて講演会を開催。東日本ホテルの会場は満員。内容についてはあとでメルマガ用に原稿をまとめたいと思っているがとりあえず大成功という企画。塩谷郡市医師会に所属してよかったなと思った。今回の講演会を開催に導いた尾形会長、山田先生に感謝。
同じ時間帯に開かれてた自治医大産婦人科同門会の集まりにも合流。産婦人科を取り巻く環境は日ごとに厳しさを増していることを実感。

投稿者 akiuchi : 04:51 AM

産婦人科医療体制検討委員会

11月17日(金)水道橋にある日本産科婦人科学会に出かけて産婦人科医療体制検討委員会に参加した。内診問題を含めて開業産科医の窮状を訴えたが果たしてこれからどのようになることやら?

投稿者 akiuchi : 04:48 AM

分娩時に必要とされる処置について(説明書・承諾書)

11月11日に産婦人科医会関東ブロック幹事会に出席した。しばらくして遠州総合病院の稲本裕先生から「分娩時に必要とされる処置について(説明書・承諾書)」という現在使用されている同意書のサンプルを送っていただいた。今までは何も承諾をもらわずに実施していた処置もこれからは同意書が必要になるのだろう。栃木県産婦人科医会でも参考にしたい。

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分娩時に必要とされる処置について(説明書・承諾書)
~より良いお産のために、必要に応じて以下の処置を行うことがあります~

1.胎児心拍モニター
 お母さんのおなかにベルトを2本巻いて陣痛の程度と赤ちゃんの元気よさを確認します。
2.浣腸・導尿
 浣腸・導尿して、分娩の進行を助けます。また、分娩時の赤ちゃんの汚染を防ぎます。
3.血管確保(点滴)
 お母さんの脱水予防、出血が多いときなど緊急時に備えて行います。
4.抗生剤投与
 破水・発熱等ある時に、赤ちゃんへの感染予防目的に行います。
5.酸素投与
 分娩時に必要に応じてお母さんに酸素を投与します。
6.剃毛
 分娩前に産道付近の剃毛を行います。
7.会陰切開術
 分娩時に会陰裂傷の予防と肛門の保護のためや、赤ちゃんを早く分娩させる必要があるときに、局所麻酔をして、会陰切開することがあります。
8.会陰裂傷縫合術
 分娩時に産道の伸びが不十分で、赤ちゃんの頭で産道に裂傷ができてしまう時があります。その傷を局所麻酔下で溶ける糸で縫合します。
9.子宮収縮剤の投与
 分娩後の子宮収縮をうながし、至急からの出血を少なくします。
10.新生児蘇生術
 赤ちゃんの状態に応じて酸素投与や、口の中などの羊水を吸引する等の処置を行います。
11.胎盤用手剥離術
 胎盤がうまくはがれないときに、胎盤をはがす処置を行います。

以上の処置が必要な際には助産師・医師より再度説明をして行います。

○○病院 産婦人科
                                 年    月     日
医師__________
助産師_________

                      説明を受けた方________________

投稿者 akiuchi : 04:44 AM

問われる「日本一」:堀病院・無資格助産事件 「潜在助産師」さん、集まれ 

看護協会は26000人いるという潜在助産師を掘り起こすという一方で産婦人科医会は若手看護師に助産師資格を取らせると主張。どちらもお産には助産師が必要という点では共通しているようだが助産師がいなくても保助看法による内診問題の縛りさえなければお産は医師と看護師で十分できるという主張は過去のものになってしまったということなのであろうか?毎日新聞の偏向報道?
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問われる「日本一」:堀病院・無資格助産事件 「潜在助産師」さん、集まれ /神奈川
- 毎日新聞 2006年11月18日(土)

 ◇有資格者の現場復帰へ 日本助産師会と横浜市、県内初の研修会--来月1、2日
 「潜在助産師」さん、集まれ――。助産師の資格はあるのに子育てなどで産科医療の現場から離れている潜在助産師を対象にした県内初の研修会が12月1~2日、県総合医療会館(横浜市中区富士見町3)で開かれる。日本助産師会県支部が主催、横浜市が共催する。産婦人科病院「堀病院」(同市瀬谷区)による無資格助産事件を機に助産師の不足・偏在がクローズアップされたが、隠れた助産師さんの現場復帰を促せるか。【鈴木一生】
 ◇産科医療充実へ期待
 横浜市などによると、助産師の資格があっても外科や内科など他の診療科で勤務していたり、夜勤などの激務や子育てなどが原因で産科医療から離れている潜在助産師は市内にも多数存在しているとみられるが、実数は不明という。
 一方、同市内で分娩を取り扱う病院、診療所、助産所は減少傾向。市健康福祉局が3月に実施した「産科医療及び分娩に関する調査」では▽04年度65施設▽05年度61施設▽今年度56施設――となる見込みで、出産場所の減少が心配されている。
 潜在助産師の中には、産科医療への現場復帰に意欲があっても「現場を離れてかなりブランクがあり、技術的に心配」「子育て中でも働けるか」などと心配する声も少なくない。このため、横浜市健康福祉局は研修会をきっかけに「潜在助産師を発掘し就業を手助けして、市内の産科医療体制を充実させたい」と期待をこめる。日本助産師会県支部も「産科の現状や技術を磨き直し、助産師資格を活用してほしい」としている。
 研修会は横浜市立大周産期センターの産科医や開業している助産師らによる講演が中心。堀病院の勤務医も「産婦人科開業医から助産師へのラブコール」とのテーマで講演する予定だが、市健康福祉局は「現在の堀病院は助産師の確保に努めている。事件を受けて堀病院がどのように対応しているか、参加者に情報提供もできる。講師として呼ぶことに問題はない」とコメントしている。
 参加無料で、両日とも定員60人。問い合わせは同支部(045・262・4201)。
 ◇全国で2万6000人、現場離れ
 日本看護協会のまとめでは、03年度の就業助産師数は約2万6000人。助産師資格を持つが、助産師として就労していない潜在助産師も同数の約2万6000人いるとみられている。多くは結婚、出産で退職した助産師だが、05年の推計では病院や診療所内で看護師など助産師以外の役割で働いている潜在助産師も約3800人に上る。
 看護協会は「絶対的助産師不足はないが、地域や医療機関によって不足感がある」として、潜在助産師の積極的な人材活用を主張。潜在助産師を登録制にして、医師や病院側の人材需要とマッチングしやすい制度を導入することや、都道府県ナースセンターでの再就職支援事業の支援などを厚生労働省に訴えている。
 一方、日本産婦人科医会は「若手助産師の即効性がある養成が必要」として、比較的年齢層が高いとみられる潜在助産師よりも、現時点で産科医療に携わる看護師に助産師登用の門戸を開くべきと主張。助産師養成機関の社会人コース拡充などを同省に要望している。【伊藤直孝】

[毎日新聞 ]

投稿者 akiuchi : 04:34 AM

November 17, 2006

無資格助産:堀院長ら書類送検へ 神奈川県警

豊橋は起訴猶予ということになったが横浜は検察も面子があって猶予というわけにはいかなかったのだろう。これからの展開に注目!

無資格助産:堀院長ら書類送検へ 神奈川県警
 産婦人科病院「堀病院」(横浜市瀬谷区)による無資格助産事件で、神奈川県警生活経済課と泉署は来週にも、堀健一院長(78)や無資格助産に関与した准看護師ら計8人前後を保健師助産師看護師法(助産師業の制限)違反の疑いで横浜地検に書類送検する方針を固めた。8月の家宅捜索で押収した資料や関係者の事情聴取などから、堀院長の方針で長年、組織的に無資格助産を繰り返していたと判断した。

 調べでは、堀院長らは03年12月29日午後、同県大和市の実家から通院していた初産の女性(当時37歳)が出産する際、准看護師2、3人に産道に手を入れてお産の進行状況をみる内診をさせるなど、助産師資格を持たない准看護師や看護師が常態的に助産行為をしていた疑いが持たれている。

 この女性は出産時に大量出血し、04年2月に死亡。夫からの通報で、同課は今年8月、同容疑で堀病院を家宅捜索し、過去3年分の分娩(ぶんべん)記録を押収した。勤務表や分娩記録を照合した結果、病院内に助産師がいる場合でも、助産師が分娩室で助産をするケースはほとんどないことが分かった。

 同課の事情聴取に、堀院長は「(1959年の)開業当初から准看護師らに内診をさせていた。違法と知っていた」と容疑を認めていた。報道陣には、助産師不足や偏在化が問題と主張したが、同病院は助産師を積極的に募集せず、数少ない助産師には主に産後指導などを担当させ、助産行為はさせていなかった。

 堀病院は年間出産数約3000人で全国最大規模。ホームページでは「出産数日本一」とうたい、今年は11月1日までに2695人が出産した。

毎日新聞 2006年11月17日 3時00分

投稿者 akiuchi : 11:24 AM

安倍内閣メールマガジン(第6号 2006/11/16)

私と同い年の首相誕生ということできたいしたいところだがメルマガを読む限り期待はできそうにないなと感じた。教育基本法についてはまだ良く検討していないが今回の少子化に対する厚労省副大臣の回答を読むと馬鹿いってんじゃないよと一喝してやりたくなった。本当に美しかったこの国はこれからどんな国になるのだろう?

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●質問

 「少子化問題は深刻だと思います。ただ予算を組めばいいというものでは
なく、安心してお産のできる、産婦人科、小児科の病院も医師も不足してい
る。重労働の上に待遇が悪い、全国から患者が押し寄せている」
(女性、50代、主婦、東京都)


●回答 (厚生労働副大臣 石田祝稔)

 貴重なご意見、ありがとうございました。

 我が国の医師は、毎年約3,500~4,000人ずつ増えていますが、
生まれてくる赤ちゃんの数が少子化により減っていることから、産科の医師
の総数は減っています。また、小児科の医師の総数は増えていますが、夜間
や休日に診療を求められるケースが増えるなど、小児医療に対するニーズが
増えているものと考えています。

 私も、地域に産婦人科のお医者さんがいなくなったという声を最近よく聞
くようになりました。また、思い起こせば、私の子供も、夜中に突然足が痛
いと言って泣き出し、小児科を探して深夜車を運転し、やっとの思いで病院
に連れて行き、治療をしてもらったこともありました。子育て中の皆様の不
安なお気持ちは、私もよくわかります。

 国としましては、地域で安心して出産・子育てができるようにするため、
産科の場合には、(1)普段の検診や検査は身近な診療所などで対応し、いざ
お産ということになったら、安心して出産できる体制の整った拠点病院で対
応するといった役割分担を明確にする、(2)正常なお産については、産科医
との連携により安全を確保した上で助産師に積極的に取り組んでいただく、
といった方策を進めることにしています。

 また、小児科の場合には、夜間・休日の診療のすべてについて病院が対応
するのではなく、軽い症状の場合には診療所が当番で対応するなどの取組み
が有効と考えており、限られた医療資源が地域の中で有効に活用されるよう
な方策を進めることが必要と考えています。

 さらに、近年、お産の際の医療事故に関わる訴訟が増えていて、中には刑
事事件に発展するケースもあり、こうしたことで医学生が産科医になること
をためらうケースも出ているとの声が、医療関係者の中から上がっています。
そこで、国としましては、医療事故に関する紛争を訴訟によらずに早期に解
決する仕組みや、お産の際の医療事故に備えた無過失補償の仕組みの確立を、
現在精力的に検討しているところです。

 産科・小児科をはじめ地域に必要な医療を確保していくためには、都道府
県が積極的に取り組むことが重要ですが、国としましても8月末に「新医師
確保総合対策」を取りまとめたところです。これからも、医師の確保に向け
て積極的な対応をして行きたいと考えています。

※ 厚生労働省ホームページ(新医師確保総合対策)
http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/08/tp0831-1.html

※ プロフィール
http://www.kantei.go.jp/jp/abefukudaijin/060927/14isida.html

投稿者 akiuchi : 11:10 AM

November 16, 2006

医療事故と医師の刑事責任

産経新聞の社会部長はまともに医療のことを考えているようだ。彼とゆっくりと意見交換をしたという大学病院の関係者の説得によるものだと思われるが今の医療人に必要なのはこのようにマスコミ関係者を敵視せずに味方に引き込むことだろう。
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【記者が読む 社会部長 飯塚浩彦】医療事故と医師の刑事責任 産経新聞 2006年10月28日(土)

 ◆再発防止へ、まず専門家が解明を
 1カ月ほど前、ある大学病院の関係者とゆっくり意見交換をする機会があった。そこで問いかけられたのが「マスコミは医療事故をどのような視点で伝えようとしているのでしょうか」ということだった。大学病院で働く医師たちの間では「医師はそれぞれ患者を助けるために頑張っているのだが、最近は『結果責任』を追及される風潮が一段と強まって、現場が萎縮(いしゅく)してしまっている」というのだ。
 おりしも、その直後に、徳洲会宇和島病院(愛媛県)を舞台にした臓器売買事件や大淀町立大淀病院(奈良県)の妊婦死亡事故、京都大病院の脳死肺移植患者の死亡事故など、医療をめぐる大きなニュースが相次いだ。
 さきの大学病院関係者たちに衝撃を与えたのは、今年2月、福島県立大野病院の産婦人科の医師が逮捕された事件だったという。医師は平成16年12月、帝王切開手術中に胎盤をはがした結果、妊婦を大量出血で死亡させたとして業務上過失致死罪で逮捕、起訴され、新聞やテレビでも報道された。
 「いつ何時、急変するかもしれない産科医療の特殊性が理解されていない。24時間休まる暇もない過酷な環境のまま放置され、最悪の結果を迎えたとたん、その医師個人に刑事責任まで押し付けられるというのはいかがなものでしょうか」と大学病院の関係者は首をかしげる。「このままでは、ますます産科の医師のなり手がいなくなり、さらに分娩(ぶんべん)施設が減るという悪循環に陥ってしまいますよ」。
 こうした現象は、産科に限らず、小児科や麻酔科でも起きているという。
 医療過誤によって、患者が亡くなったり、大きな後遺症が出た場合、医師の責任を追及したいという遺族や家族の気持ちは痛いほどわかる。
 かつて医療をめぐるトラブルは民事裁判で解決するというのが主流だった。ところが最近は、遺族らからの訴えで警察が動くというケースも目立つ。
 ただ、どこまで医師個人の責任を追及するかは難しい問題だ。海外では、医師が故意に患者を傷つけようとしない限り、原則として刑事責任は問われない国もあるそうだが、日本では、医療現場での刑事責任がどこまで問えるか明確な基準はない。平成11年、保育園児ののどに突き刺さった割りばしが脳まで達していたのを見落とした医療事故では、業務上過失致死罪に問われた杏林大病院の元医師に今年3月、無罪判決が出たように、個々の事例ごとに司法判断に任せているというのが実情だ。
 医療現場に警察が介入して、善意の医療が、結果次第で「医師の犯罪」として扱われることは、国民医療のためにプラスになるとは思えない。むしろ、なぜそのような医療事故が起きたのかを医療の専門家が解明し、再発防止に役立てることに力を入れる方が重要ではないだろうか。もちろん、そのためには、医師や病院が情報を正直に開示することが前提だ。

[産経新聞 ]

投稿者 akiuchi : 07:53 PM

【お産が変わる?】

産経新聞が興味深い特集を組んでお産の現状に迫ろうとしている。
助産師が日本のお産を救うといったキャンペーンだが本当にお産は助産師任せでいいといえるのだろうか?私には疑問だ。
1.医師と助産婦の溝 “危機”回避へ連携模索
2.過度の集約化…病院遠く 遅れる搬送、増すリスク
3.経験と判断力が課題 求められる助産師の増加
4.地域に助産施設が欲しい 母親たちも動き出す

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【お産が変わる?】(1)医師と助産婦の溝 “危機”回避へ連携模索 産経新聞 2006年10月23日(月)

 産科医不足で、分娩(ぶんべん)場所が激減しています。そんな中、横浜市の産科病院では8月、看護師による無資格診療が問題となり、産科医と助産師が対立するなど、混迷の度合いが深まっています。産科医、助産師、厚生労働省の三者は「助産師の活用」で一致していますが、戦後の分娩体制激変のつけは容易に取り返せそうにありません。選択眼を養うなど、自己防衛も必要な時代といえそうです。
 (北村理)
 「うちでは、医師に頼り切る分娩は限界にきていた。医師らの要請もあり、助産師の活用の仕方を見直そうと思っていた矢先に事件が起きてしまった」
 資格のない看護師らに妊婦の子宮口の開き具合を見るなどの「内診」をさせたとして、保健師助産師看護師法(保助看法)違反容疑で8月末、神奈川県警の家宅捜索を受けた堀病院(横浜市)の堀健一院長はその後、地元医師会でこうもらしたという。
 厚労省の見解では、妊婦への内診などの助産行為は、医師か助産師しかできない。しかし、内診を看護師が行う産科医療機関は少なくない。
 事件後、堀病院や同様の違反があった4つの産科診療所を調査した横浜市医療安全課は、「堀病院には6人の助産師がいたが、分娩より保健指導を担当していた。4つの産科診療所でも、助産師を雇ったものの、結局、辞めてしまったりして、補充できずにいたことが違反の引き金になった」とする。
 助産師が本来の業務である分娩介助を行っていなかったことからは、医師と助産師の連携がうまく取れていなかったことが推測される。
               □     □
 背景には、戦後、米国の指導で、当時98%が助産師による自宅出産だった日本の分娩が不衛生などとされ、医療機関での分娩に大きくシフトしたことがあるようだ=グラフ左。
 これにより、5万人いた助産師が半減し、助産師の多くが看護師としても働ける病院に転じた。代わって、産科医療機関では看護師が分娩補助をしてきた。
 現在は、99%が医療機関での分娩で、日本産婦人科医会(坂元正一会長)は「日本のお産文化は百八十度転換しており、後戻りはできない」という。
 こうした事情を反映し、ここ数年、厚労省が内診に関する見解を示すたびに、医師側と助産師側が激しく対立してきた。
 医師側にすれば、「戦後、分娩環境が激変するなか、長年の慣例でやってきた看護師の分娩補助を一方的に否定され、産科医や助産師不足に拍車がかかったのでは、産科経営はできない」というのが、本音だ。
 対する助産師側は「助産師という独立した制度が法律で保障されているのに、それを侵すのは許されない」。
 お互いの存亡をかけた、いわば“縄張り争い”だけに、「全く解決の糸口がみえていない」(厚労省看護課)状態だ。
               □     □
 現場が混乱している間も、産科医の減少は止まらない。
 日本産科婦人科学会(武谷雄二理事長)によると、登録会員の半数以上が50代以上で、今後10年以内には引退してしまう=グラフ右。
 堀病院のある神奈川県では、同県産科医会の予測によると、今後15年間に、県内の分娩の3分の1にあたる約5000件に対応できなくなるという。
 日本産婦人科医会では「訴訟などでトラブルの多い産科医になりたくないという時代では、産科医の身分を保障し、減少速度をゆるめるほか、数を増やす手だてはない」とさじを投げる。
 現在、年間分娩数は全国で約100万件だが、その半数はいずれ産科医療機関で扱えなくなる可能性があるという。
 同医会は、こうした“危機”回避策として、(1)厚労省が看護師も内診ができるよう、見解を見直すこと(2)医師と適切に連携できる助産師を増やすこと-などを挙げる。
 内診問題はともかく、助産師を増やすことが緊急の課題であることは、助産師側や厚労省とも一致している。助産師が再び脚光をあびれば、お産のあり方が変わる可能性もある。
 しかし、助産師も戦後の衰退から脱せずにいる。
 同医会は「国民自身が病院まかせ、助産師まかせの分娩ではなく、こうした医療の現状を知り、情報を集めて、自分の状態にあった、適切な分娩場所を見つける必要があるだろう」と強調している。
 〈ゆうゆうLife〉
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【お産が変わる?】(2)過度の集約化…病院遠く 遅れる搬送、増すリスク産経新聞 2006年10月24日(火)

 お産の場所が急激に減るなか、厚生労働省は分娩(ぶんべん)施設を確保するため、産科医を拠点病院に集める「集約化」を進めています。しかし、産科医の極端な不足で、地方や都心でも自然発生的に過度の集約化が進んでいるのが現状。このままでは、妊婦の選択肢も失われ、お産のリスクも高まると、専門家らは指摘しています。
 (北村理)
 岩手県出身の助産師、佐藤美代子さん(28)は今春から、新婚の夫を地元に残し、東京・国分寺の矢島助産院で研修を重ねている。「助産所がひとつもない」といわれる同県で助産所を開業するためだ。
 佐藤さんは地元で、約5年間、助産師として病院に勤めた。同県では医師不足のため集約化が著しく進み、14あった拠点病院の産科が次々と閉鎖され、現在は9カ所になっている。
 しかも、高速道路網は中西部に偏在し、「冬場は、妊婦が外来の診察に通うのも車で4時間はかかる」という。
 佐藤さんは病院勤務時代、病院に到着した救急車のなかで赤ちゃんが生まれる「車中分娩」を幾度か経験した。集約化の結果、個々の妊婦さんの住まいから病院までの距離が極端に遠くなり、陣痛から出産までに、妊婦の搬送が間に合わないケースが絶えないのだ。
 「こんな状況では子供を産むな、といっているのと同じ。そんな状況に一石を投じたい」と、佐藤さんは言う。
               □     □
 産科医の不足で、厚労省は助産師を増やす施策とともに、産科医を拠点病院に集め、分娩も集約化することで出産場所を確保しようとしている。
 しかし、極端な集約化には疑問の声が相次ぐ。日本産婦人科医会は「絶対的に産科医が不足している現状では、拠点病院の数が限られる。それでは、拠点病院に妊婦さんが過度に集中するし、拠点病院が遠くなれば、搬送体制も維持できなくなる。結果、周辺の診療所閉鎖にも拍車がかかる」と指摘する。
 長野県の上田市産院の廣瀬健副院長も「高次医療機関に産科医を集約させると、病院分娩が過度に進み、それを望まない母子にとっては、著しく選択肢が狭まる」と警告する。小さなクリニックや産院で、気心の知れた医師と助産師にお産を取ってもらいたい妊婦にとっては、行き場がなくなるというわけだ。
 同院は母親の自然分娩と母乳育児を推進し、世界保健機関(WHO)と国連児童基金(ユニセフ)から、同県で唯一「赤ちゃんにやさしい病院(ベビー・フレンドリー・ホスピタル)」に認定された、地域の分娩拠点だ。
 しかし昨夏、同院に医師を派遣している信州大学医学部が、産科医の引き揚げを上田市に通告。反発した地元主婦らが集めた約10万人の署名が奏功し、存続が決まった。
 廣瀬副院長は「欧米でも集約化が進められた結果、診療所が閉鎖したり、分娩の集中で病院では母子へのサービス低下を招いたりし、今は見直しが進められている。極端な集約化は、妊婦さんの安全性を担保することにならない」と指摘する。
 廣瀬副院長によると、英国・ロンドンのある拠点病院(年間分娩数3320件)では、分娩の集中が進んだためか、2002~03年の1年間に帝王切開率が30%(日本15%、厚労省抽出調査)近くにのぼり、結果、7人の妊婦の死亡があったという。
 こうした事態を避けるためには、「正常分娩は地域の産院や助産所に振り分けるなど、分業体制を明確にすることが必要だ」と、廣瀬副院長は強調する。
               □     □
 過度の集約化が進み、搬送体制が十分でないまま、お産の危険性が増しているのは、地方だけではない。
 昨夏、都内のある助産所で、新生児が母体の突発性トラブルから死亡した。助産所では、救命措置をしながら、近くの拠点病院に連絡し、新生児の引き受けと治療を依頼した。
 しかし、医師らが救急車で到着したのは、約1時間も後だった。近くの消防署の救急車が出動中だったほか、連絡した先の拠点病院が消防署に連絡を入れたのは、20分もたってからだったという。
 この助産所のある地域は近年、診療所が減少し、都心の約20カ所の拠点病院に搬送が集中している。この助産所によると、「診療所や助産所からの搬送は、3回のうち2回は、『ベッドがない』と断られる。10カ所目でようやく搬送先が決まることもある」という。
 こうした状況で、一部の産科診療所は「緊急時の受け皿なしでは、お産を扱えない」と、閉鎖を検討し始めたという。過度の“集約化”による診療所の閉鎖と、妊婦さんのリスク増は、既に始まっていると言っていい。
 冒頭の佐藤さんは「地域のお産を支えるため、来年には、岩手県に戻って助産所を開きたい」という。しかし、助産所開業を目指しても、行政の支援があるわけではない。それでも、「でも、妊婦さんのために、帰ってやってみるしかない」と話している。
 【写真説明】
 地元の岩手県に助産所を開業するため、研修を続ける佐藤美代子さん。「地域分娩の切り捨てに一石を投じたい」という=東京・国分寺の矢島助産院
 〈ゆうゆうLife〉
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【お産が変わる?】(3)経験と判断力が課題 求められる助産師の増加 産経新聞 2006年10月25日(水)

 産科医の負担を軽減するために、厚労省は助産師を増やす施策を考えています。都市部では助産所を利用する母親は増えていますが、独立した開業助産所は多くありません。また、戦後の分娩(ぶんべん)環境の激変で助産師自身、分娩経験が減っており、緊急時の判断力が身に付いていないケースがあるのではないかとの指摘もあります。助産師による分娩を軌道に乗せるには、まだまだ、課題が多いようです。
 (北村理)
 「一生で一番、幸せな時でした」。神戸市東灘区の主田(ぬしだ)朋子さん(32)は、助産所での出産をこう振り返る。
 主田さんは、長女の眞子ちゃん(5)を病院で出産。その後、アレルギーに悩んだ朋子さんは「自然な出産にひかれ」、2人目の航大(こうた)君(2)は、自宅近くの助産所で産んだ。
 「病院では、分娩時だけ助産師がついてくれたが、助産所では産前産後を通じて、妊婦が孤独になる時間はない。絶えず助産師さんがついてくれるし、自らの出産・育児経験も話してくれる。こうした何げない作業の積み重ねが、不安を解消してくれた」
 航大君が生まれたとき、へその緒を切ったのは眞子ちゃん。一番泣いたのは朋子さんの母親の惠子さん(58)だった。団塊の世代の惠子さんは第2次ベビーブームで朋子さんを産んでいる。
 惠子さんは「自分の経験は出産といえるようなものではなかった。流れ作業的で、工場の機械みたいな扱いだった」と話したという。
 朋子さんは「家族関係を見直す良い機会になった。母親としての自覚と自信が増した」という。
 日本の助産所分娩は平均1%だが、都市部では2~3%と増加している。
 主田さんが航大君を産んだのは昭和36年開業の毛利助産所(神戸市)。老舗だけに、全国から助産師が研修にくる。阪神大震災で全壊したが再建し、これまで1767人の赤ちゃんを取り上げた。
 院長の毛利種子さん(78)は「出産するのは母親ですから、より良い自然な出産に備え、母体の心身を整えるのを手助けするだけ。母体が安定すると、自然な分娩がスムーズに行われる。自然分娩は苦痛はあっても、産後の強い母性発揮につながる」
 主田さんの場合、玄米食、冷え性対策、骨盤体操などを勧められ、産前産後の体調を整えた。「分娩時の出血もほとんどなかった」という。助産所では、異常がないかぎり内診もしない。
                 □     □
 日本助産師会(近藤潤子会長)はガイドラインで助産師による出産は、正常分娩に限ることを決めている。お産のリスクが高い帝王切開の経験者などは対象外だ。それでも、出産では事前予測ができないトラブルもある。異常に転じたときの分岐点を早期に見極めるためには、助産師の卓越した観察力と母親とのコミュニケーション能力が必要だ。
 産科医不足を受けて、厚労省は看護師への教育機会の拡大や、仕事に就いていない助産師のリクルートなどで、助産師の掘り起こしを始めた。
 しかし、毛利さんは「戦後、国立病院にいたが、助産師はプロ意識を持ち研究熱心で、医師側もそれを認めていた。しかし、その後の分娩環境の変化で、助産師教育の伝承がうまくいってはいない」と指摘する。
                 □     □
 助産師教育を研究している東京慈恵医大の茅島江子教授(母性看護学)によると、助産師による分娩が主流だったころに比べると、現在は「当時の半分以下の教育レベル」だという。
 現在、助産師になるには看護師の教育を経て、助産師の教育を受ける。このため、「各大学では、国が定めている助産師の教育課程を看護系の教育内容と兼ね、教育期間を短縮しているケースが多い」という。
 助産学の教育カリキュラムは昭和26年に実習も合わせ1350時間だったのに対して、平成8年では720時間にまで落ち込んでいる。
 開業助産所の減少で、実習の機会も限られている。資格を取っても、そのまま病院勤務になってしまうケースが多い現状では、実際に分娩を取る経験が少なく、安全か危険かの判断力が育たないとの声もある。
 茅島教授は「毛利さんのように優れた助産師は異常出産、正常出産の見切りが早い。そうした助産師は前線を退きつつあり、技術の伝承が困難になりつつある。助産師の数は増えても、判断力のある助産師をどれだけ育てられるか。課題は多い」と指摘する。
 主田さんは12月にも3人目を出産予定だ。今回は、長女の通う幼稚園児も招待した公開出産を考えている。主田さんは「お産というものはこういうものだということを今のうちから知ってほしい」と話している。
                    ◇
  【写真説明】
 12月には3人目の子供が生まれるという主田さん一家。左から航大君、朋子さん、眞子ちゃん、夫の英之さん
=神戸市東灘区
 〈ゆうゆうLife〉

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【お産が変わる?】(4)地域に助産施設が欲しい 母親たちも動き出す 産経新聞 2006年10月26日(木)

 分娩(ぶんべん)場所の不足を解消するため、助産師の存在が注目されています。これまで、分娩に早めに医療介入をする医師と、自然分娩を志向する助産師の対立はありましたが、医師と助産師が自然分娩でうまく共存する産科医院も出てきました。また、地域でのお産を確保しようと、母親たちも動き出しています。
 (北村理)
 横浜市金沢区にある「池川クリニック」。産婦人科医の池川明さん(52)が経営する医院だが、正常分娩はほとんど、12人の非常勤助産師が担当する。看護師はいない。
 開業は平成元年。当初は、「一般的な産科医と同様、陣痛促進剤などで医療介入をして、無事出産を終えることだけを考えていた。母子にとってのお産の意味なんて考えもしなかった」と、池川さんは言う。
 しかし、ある時期、赤ちゃんは無事生まれたものの、母親の出血などで救急に対応できる医療機関に搬送しなければならない事例がたて続けに起きた。
 当時は、「月に1回はそうした状況だった。自信を喪失して、いっそのこと、自然に任せようと開き直った」。すると、搬送しなければならない事例はパッタリ途絶えたという。
 今でこそ、陣痛促進剤を正常分娩に使う産科診療所は減ったが、池川さんは極力、医療介入をしない分娩にこだわる。
 「自然に任せるということは、母体に不安を与えないこと。しかし、医師1人で長時間かかる自然分娩に付き添うのは限界がある。同じ女性である助産師が常に付き添うことで、妊婦さんの不安は軽減され、より自然な分娩がしやすくなる」
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 しかし、池川医師が助産師主体の分娩体制を築けたのは、ここ2年のこと。当初は、「募集しても、助産師が来なかった。ナースバンクに問い合わせたら、『(激務の)開業医のところには行きませんよ』とまで言われた」。
 助産師にすれば、分娩方針をめぐって産科医院で医師と対立すれば、辞めざるを得ない。しかも、助産師の少ない産科医院は激務だ。
 それでも、開業助産所の紹介などを受けながら、少しずつ助産師を増やした。今は分娩を任せることで、「やりがいを感じて、助産師が定着した」と話す。
 ただ、池川医師は助産師を確保する経済的な困難さも指摘する。公立病院では、助産師は看護師より月に1万円高いだけだが、病院によっては、分娩1件につき、数万円を支給するケースもある。
 助産所では、常勤助産師1人に年間約600万円前後を支払う所もあるという。個人医院では、勤務がきつくなるためか、「それ以上を求められることが多い」。24時間シフトを組もうとすれば、「最低5人は助産師が必要だから、年3000万円の人件費を覚悟しないといけない」。負担は分娩料金に跳ね返り、50万円以上になる。一般的な産科医院での分娩費用よりも10万円前後高い。
 池川さんは「助産師が復権を求めるなら、職責や待遇の水準を明確にすべきだ。でないと、世間に正しく認知されず、医師との対立も解消されない」と指摘する。
               □     □
 「自らアピールすることで、欧米の助産師は正常分娩に関しては医師とほぼ同等の権利を勝ち取ってきた」というのは、加納尚美・茨城県立医療大学助教授(看護学)だ。
 日本に病院分娩を導入させた米国は1973年、助産師団体が医師会とともに共同声明を出し、自然分娩を支える助産師業務の重要性と安全性をアピール。結果、63年にわずか275人だった助産師が現在、8000人に、分娩数は75年の約2万件が96年には23万件に増加した。
 北米や西欧、オーストラリア、ニュージーランドでは現在、正常分娩は助産師が扱う。「欧米では、地域でのお産を確保するために、助産師が『バースセンター』を運営するケースが増えている」(加納助教授)
 日本でも、産科が閉鎖された地域で、主婦らが地元自治体に働きかけ、「バースセンター」を建設しようという試みが始まっている。
 長野県松川町では、地域のお産を支えてきた下伊那赤十字病院で分娩を休止した。このため、地域の主婦らが、現在は看護の仕事をしている9人の助産師と、近隣の産科医と連携し、バースセンターを作ろうと計画している。年間250から300件の分娩に対応し、産後ケアや母乳指導なども行う、地域に開かれた“助産施設”構想だ。
 この運動を進める主婦、松村道子さん(34)は「周辺住民の多くは、赤十字病院で生まれた。そこでお産ができなくなれば、子供を産まなくなるなど、地域の生活そのものが変化を強いられる。地域のお産は地域で支えたい」と話している。
 【写真説明】
 助産師の井上律子さん(中央)の妊婦健診を見守る池川医師(右)=横浜市金沢区の池川クリニック
 〈ゆうゆうLife〉

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投稿者 akiuchi : 07:28 PM

胎児治療

読売新聞の「医療ルネッサンス」はいつも興味深い最新医学の情報を紹介している。今回は胎児治療の特集だ。
1.双胎間輸血症候群のレーザー治療
2.洞不全症候群(単房心)胎児不整脈薬物療法
3.無心体双胎(カラードップラー超音波検査)
4.胎児胸水シャント術
5.胎児腫瘍、子宮外で開胸手術

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[医療ルネサンス]胎児治療(1)胎盤正常化し双子出産(連載) 読売新聞 2006年11月6日(月)

 ◇通算3978回
 おっぱいを飲む時には妹を手招きして一緒に飲もうと誘う心優しい長女、桜ちゃん(1)、積み木を投げたり、元気に走ったりとやんちゃな二女の怜(れい)ちゃん(1)。この双子姉妹は、胎児のうちに病気を治す「胎児治療」のおかげで生を受けることができた。
 東京都の梅宮聡さん(40)の妻、真理さん(37)は2004年10月に妊娠し、翌月に一卵性の双子と分かった。
 真理さんは「にぎやかな家庭にあこがれていたので喜びも2倍。胸がジーンときた」とうれし涙を流した。しかし、翌年1月中旬、都内の病院で妊婦健診を受けた時に状況は一変した。
 「双胎間輸血症候群という病気です。このまま放っておくと、赤ちゃんは死んでしまうかもしれない」。医師の言葉に夫妻は言葉を失った。
 双子は、一つまたは二つの胎盤を持って、酸素や栄養を母体とやり取りしている。この症候群では2人が一つの胎盤を共有し、胎盤表面または内部で双子の血管がつながり、一人の胎児から、もう一人の胎児へ血液が流れ込んでしまう。
 血液を送る胎児は貧血や腎不全などに陥り、血液を受け取る胎児は心臓への負担が大きくなり、心不全を起こすことがある。出産3000件に1回、一卵性の双子の10~15%に起こるとされる。7割以上で2児ともに胎児死亡となり、生まれても脳障害などが残ることがある。
 告知を受けた真理さんは病院の片隅で泣いた。すぐに胎児治療に力を入れる国立成育医療センター(東京都世田谷区)に転院した。
 胎児治療は、胎児の死産や生後の障害を防ぐために、胎児や胎盤などの病気を治す治療だ。同センターは特殊診療部長の千葉敏雄さん、周産期診療部長の北川道弘さんらが専門チームを作って対応している。
 双胎間輸血症候群では、母親の腹部に、子宮内を見る内視鏡とレーザー装置が一体化した、直径約3ミリの器具を入れ、胎盤上でつながった血管にレーザーを照射して血流を断つ。同センターは、この治療を2003年春から始め、現在までに約60件実施。半数は2児共に元気で、2児共に亡くなったのは1割以下だ。
 真理さんは昨年1月中旬、1時間ほどの治療を受け、無事成功。妊娠9か月目の5月末に出産。双子は「パパ、ママ」とおしゃべりし、障害はない。「2人の親になれて本当に良かった。生まれてきてくれてありがとうと言いたい」と夫婦は喜ぶ。
 日本では始まったばかりの胎児治療。確実に小さな命を救っている。

 〈胎児治療〉
 欧米で1960年代、胎児に輸血されたのが最初。80年代から尿道が詰まる閉塞(へいそく)性尿路疾患など様々な病気で行われるようになった。日本でも90年代ころから試みられた。双胎間輸血症候群に対するレーザー治療は、2002年7月の聖隷浜松病院(静岡県浜松市)の1例目以来、約170件行われている。

 写真=胎児治療で元気に生まれた桜ちゃん(右)と怜ちゃんを見守る両親(東京都墨田区の自宅で)

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[医療ルネサンス]胎児治療(2)母体に投薬、不整脈改善(連載)読売新聞 2006年11月7日(火)

 ◇通算3978回
 「産むかどうか、ご夫婦でよく話し合って下さい。産むと決断されたならば、全力で治療します」
 1999年2月、神奈川県立こども医療センター(横浜市)周産期医療部の医師らに、こう言われ、横浜市の自営業、森谷(もりや)喜道(よしみち)さん(37)、早苗さん(41)夫妻の気持ちは固まった。「せっかく宿った命。絶対に助ける」
 近所の産科医院で胎児の心拍の異常を指摘され、同センターでの精密検査の結果、心臓の拍動を起こさせる洞結節という部位の異常で、脈が遅くなる不整脈を起こす「洞不全症候群」と分かった。大人ならペースメーカー埋め込みの対象になる病気だ。
 そのほかにも、左右の心房に仕切りがない「単心房」という心臓の形態異常もあり、生まれても重大な障害を負う危険があった。しかし夫妻は「今から治療を始めれば、元気に育つ可能性もある」という医師の言葉に懸けた。
 周産期医療部新生児科の医師、川滝元良(かわたきもとよし)さんは慎重に経過を観察した。胎児の心拍数は通常、1分間に140~150あるが、妊娠7か月の時には半分以下の60台に低下した。
 「このままでは赤ちゃんが心不全を起こし、胎内で亡くなってしまう」と判断した川滝さんは、薬で脈を速くする胎児治療を行うことにした。
 母体に投与された薬の一部は胎盤を通過して胎児に届く。子宮の収縮を防ぐ切迫流産・早産治療薬として広く使われている塩酸リトドリン(商品名ウテメリンなど)が投与された。
 この薬は、脈を速くする作用があり、母体と胎児への一石二鳥の効果がある。胎児の心拍数は80台に改善し、心臓機能を保てるようになった。翌月、赤ちゃんは生まれるとすぐに心臓の拍動を促す電気刺激を与える治療を受け、生後6日に心臓ペースメーカーを埋め込んだ。
 ペースメーカーは生涯必要で、1歳半の時には、単心房を治す手術も受けた。今は小学1年生となった直美ちゃん。元気に通学し、先月の運動会では50メートル走で5人中3位になった。
 早苗さんは「胎児治療のおかげで娘がここにいる。病気を乗り越えて優しい子に育ってほしい」と話す。
 胎児の薬物治療は、不整脈のほか、副腎や血液の病気でも行われる。投与方法は母親が薬を服用したり、点滴をうけたりする形のほか、貧血などに対し、へその緒から輸血する方法なども行われ、少しずつ広がっている。

 ◇「血管の病気」ネットで動画など特集
 インターネットのヨミウリ・オンライン (http://www.yomiuri.co.jp/)では7日から、「医療ルネサンス 血管の病気」の画像による解説を公開します。ステントを使った最新治療法をアニメーションで解説、頸動脈狭窄(けいどうみゃくきょうさく)を克服した作曲家の服部克久さんら患者3人の、インタビュー音声付き写真も掲載しています。

 写真=薬による胎児治療を受けて元気になった森谷直美さん(左から2人目)を見守る川滝医師(左端)と両親(神奈川県立こども医療センターで)

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[医療ルネサンス]胎児治療(3)超音波検査で早期発見(連載)読売新聞 2006年11月8日(水)

 ◇通算3980回
 「赤ちゃん、見えますよ」。超音波診断装置で、子宮内のわが子の姿と対面する。今の産婦人科では必ず行われる検査で、これで胎児の発育がわかる。超音波検査の用途は広く、表面を見るだけではなく、心臓の検査などに使うカラードップラー超音波検査では、胎児の血流の状態を調べることもできる。
 東北地方のA子さん(22)の赤ちゃんは、この検査で命が救われた。
 双子を身ごもったA子さんは、妊娠5か月目の今年5月下旬、妊婦健診で胎児の1人の死亡がわかった。精密な検査を受けると、「無心体双胎(むしんたいそうたい)」という珍しい病気だった。
 一卵性の双子の血管は胎盤の中でつながっていることがある。通常、胎児の1人が何らかの理由で亡くなれば死亡胎児の血流は止まる。ところが、健康な胎児から死亡胎児に血液が流れ込み、すでに亡くなっているのに、体が大きくなることがある。これが「無心体双胎」だ。
 健康な胎児は、2人分の体に血液を送ろうとし、心臓に過剰な負担がかかるため、心不全を起こす。治療をしないと健康な胎児の方も5~7割が亡くなる。
 全国で年間30例ほどと推定される珍しい病気。それを早期に発見できたのはカラードップラー超音波検査を受けたからだ。
 母子は岩手医大病院(盛岡市)に送られ、6月初めに産婦人科講師の室月(むろつき)淳さんの胎児治療を受けた。
 全身麻酔を受けたA子さんのおなかに高周波のラジオ波を出す針を刺し、亡くなった胎児の血管にラジオ波をあてて血流を止める。治療は約30分。カラードップラー超音波診断装置で血流を見定めながら行われた。
 A子さんは先月3日、3620グラムの男の子を産んだ。「おっぱいを力強く吸い、とても元気。障害はなさそうで、このまま、すくすくと成長してほしい」と話す。
 近年、3次元で立体的に映し出す新しいタイプの超音波診断装置を備える医療機関も増えている。子宮内の赤ちゃんの顔を鮮明に映し出すことができるだけではない。頭の内部や心臓などを様々な断面で切って見ることが可能なので、頭に水がたまる水頭症や先天性心疾患などを正確に診断できるようになった。
 室月さんは「高度な検査技術の広がりや、妊婦健診を行う診療所と治療を行う病院の連携により、胎児の命が救われるようになった」と話している。

 〈カラードップラー超音波検査〉
 心臓弁の異常による血液の逆流など心臓病を調べるために循環器科で普及していたものだが、3次元超音波検査と並び、今では胎児治療に欠かせない検査となった。母子ともに負担がほとんどなく、総合病院の産婦人科などで導入されている。

 写真=3次元超音波検査で胎児の様子をチェックする室月淳さん(盛岡市の岩手医大病院で)
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[医療ルネサンス]胎児治療(4)胸水を排出、生存率向上(連載)読売新聞 2006年11月9日(木)

 ◇通算3981
 1996年春、妊娠7か月の赤ちゃんを診察した福岡市の九州大病院周産母子センター講師の月森清巳(きよみ)さん(46)の表情は急に険しくなった。
 胎児の胸腔(きょうくう)にたまった胸水が、肺や心臓を圧迫する「胎児胸水」。しかも、このため肺の成長が不十分だった。
 「このままでは、心不全を起こして亡くなる危険性がある」
 妊婦健診の超音波検査で見つかり、全国で年間600人以上生まれるとされるが、原因がわからないものも多い。この母親(29)も、自宅近くの産科医院で異常を指摘され、月森さんを紹介された。
 月森さんはこれまで、胎児胸水で亡くなった胎児を何人も見てきた。せっかく生まれても脳への血流不足から発達障害が現れることもあった。
 「なんとか、元気に産ませてあげたい」
 すぐに、直径2ミリほどの針を母親のおなかに刺し、胎児の胸水を吸引する治療を行った。
 しかし、1、2日後には再びたまってしまう。何度か吸引を繰り返したが、効果は薄い。月森さんは「このままでは命を救えない」と判断。胎児胸水とわかって2週間後、新しい胎児治療に踏み切った。
 胎児の胸に、直径約2ミリ、長さ約4センチほどの特殊な管を刺し入れて留置し、胸水を子宮内の羊水へと排出させるシャント(短絡)術だ。
 超音波画像で胎児の状況を見ながら、母親の腹部から専用の針を刺し、その先端に取り付けたシャント器具を胎児の胸にセットする。治療時間は約30分。赤ちゃんは治療後、胸水が減り、妊娠8か月目に生まれた。管は出産直後に抜く。
 この赤ちゃんは今、小学4年生となり、発達障害もなく、元気に学校に通っている。
 胎児胸水を治療しないと生存率は20%ほどで、生まれても発達障害が半数に残るとされる。月森さんらが一昨年までにシャント術や胸水の吸引治療を行った胎児では、生存率は44%に上がり、知能は7割で正常だった。
 月森さんは「このシャント術は救命だけでなく、生まれた後の障害を減らす効果もある」と意義を語る。
 胎児へのシャント術は、尿道が生まれつき詰まっているため腎機能が悪化する閉塞(へいそく)性尿路疾患などで、尿を膀胱(ぼうこう)から羊水へ排出する治療でも行われている。
 まだ治療実績が少ない胎児治療は保険で認められていない。より安全かつ有効な手法を確立して保険医療へつなげる努力が医療者に求められる。

 〈シャント術〉
 胎児胸水などシャント術は、国立循環器病センター(大阪府吹田市)、国立成育医療センター(東京都世田谷区)などでは、医療費に一部保険が使える先進医療制度に認められている。治療自体は、周産期医療の専門施設や大学病院の一部で行われている。

 図=胎児胸水を治すシャント術

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[医療ルネサンス]胎児治療(5)国内初、子宮外で開胸手術(連載) 読売新聞 2006年11月10日(金)

 ◇通算3982回
 「七海(ななみ)」と名前を決めたのは、胎児の性別が女の子と分かった妊娠5か月ころだ。埼玉県のC子さん(29)夫妻は七つの海を越えて自由に飛び回るような子に育てとの願いを込めた。
 その1か月半後の2003年6月初め。七海ちゃんのおなかに水がたまる異常が見つかり、県内の病院で精密検査を受けた。
 「赤ちゃんが元気に生まれる確率は1、2%しかない難しい病気です」。医師に宣告され、大きな衝撃を受けた。
 胸の半分を占める大きな腫瘍(しゅよう)ができて心臓や肺を圧迫し、心不全を起こすなど危険な状態にあった。胎児治療に取り組む国立成育医療センター(東京都世田谷区)を紹介され、すぐに転院した。
 診察した特殊診療部長の千葉敏雄さんは病状の重さに青ざめた。このままではほぼ100%亡くなるが、経過をみるか。それとも、すぐに出産させ、未熟児を治療するか。しかし、この方法も、心不全や脳内出血の危険性があり、救命できるか分からない。
 そして最後の方法は胎児治療だ。母親の下腹部を縦に切って子宮を開き、胎児の左上半身だけ露出させて胸を切開。腫瘍を取り除き、胸を縫合した後に再び胎児を子宮に戻し、発育させてから出産させる。
 米国では、この方法により50~60%の確率で胎児が無事に生まれているが、日本では1例も経験がない。
 千葉さんが、すべての選択肢を示したところ、C子さんは「命が助かる可能性が少しでもあるなら、胎児治療を受けさせたい」と申し出て、院内の倫理委員会からも了承を得た。
 C子さんは6月下旬、手術を受けた。胎児を開胸する本格的な胎児手術は国内初。手術自体は40分ほどで終わった。しかし、手術翌日、心臓機能が悪くなり、帝王切開で出産。その翌日、亡くなった。既に心不全が進んでいたのが原因だ。
 C子さんは「七海は1日しか体外で生きられなかったけど、出産後に抱くことができたので悔いはない。もっと胎児治療が進歩して、赤ちゃんの命を救ってほしい」と話す。
 日本の胎児治療は、まだ試行錯誤の段階だ。胎児を子宮外に出して行う手術は、この後も行われていない。一方、欧米では、七海ちゃんのような胎児腫瘍の手術が広く行われている。
 胎児治療は先天的な重い病気を根本的に治す治療法として期待は大きい。日本も研究に力を入れる必要がある。(坂上博)
 (次は「病院の実力 子宮・卵巣がん」です)

 〈現状と将来〉
 日本では2004年11月、産科医や小児外科医らが集まり、日本胎児治療学会(http://fetus.umin.jp/)を設立した。米国のNIH(国立衛生研究所)は、「胎児治療は2020年までに日常診療になる」と予測している。

 写真=胎児治療を行う専用の治療室を設置する病院も増えている(福岡市の九州大病院で)



投稿者 akiuchi : 07:03 PM

生き残り賭けた経営戦略 全体の7割が「赤字病院」

自治体病院の経営が厳しい以上統廃合によるリストラも止むを得ないと思うが病院の代わりに地域に密着した診療所が住民の健康を守るということはできないのだろうか?われわれ産婦人科医は24時間急患を含めて診療に当たっているのだが小児科をはじめとして他の診療科で同じようにすることは無理なのかもしれない。そういう意味では産婦人科もいつまで診療所が今の体制でやっていけるのか心許ないとも思う。

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生き残り賭けた経営戦略 全体の7割が「赤字病院」 通年企画「明日の医療」<3>
06/11/14
記事:共同通信社
提供:共同通信社
ID:366122

 なぜ、病院や診療所がコンビニを入れたり、病院食の改善に乗り出すのか。その背景には医療機関としての生き残りを賭けた経営戦略がある。

 全国公私病院連盟と日本病院会による2005年運営実態分析調査(約1200病院が回答)によると、総費用が総収益を上回った「赤字病院」が全体の67%もある。

 「1円でも収入を増やしたい」と思う気持ちに、国公立と私立の病院開設者(経営者)の間に差はみられない。

 特に深刻な経営難に見舞われているのが、都道府県や市町村が運営する自治体病院。631病院のうち黒字は72病院(11%)にすぎず、残り559病院(89%)が赤字。一般財源からの繰り入れなどが恒常化している。

 なぜ、自治体病院の経営が苦しいのか。日本医師会役員は「職員の給与水準が民間より高すぎることも一因だ」と指摘する。

 茨城県は、県立病院の関係職員約700人(医師除く)の給料を3年間で段階的に3-7%削減する方針を決め、11月1日から実施に入った。

 一方、自治体関係者は一様に「民間病院なら絶対に手を出さない不採算部門の医療を自治体病院が担っていることが最大の要因だ」と反論する。

 自治体病院は全病院9000余の1割程度にすぎないが、へき地医療拠点病院の約7割、基幹災害医療センターの約6割、小児救急医療拠点病院の約4割を占め、不採算の医療を多く担っている。

 さらに病院経営にとって逆風が吹きやまない。最大の収入源である診療報酬が今年4月から平均3・16%(薬価含む)引き下げられたのをはじめ、産婦人科医や小児科医などの慢性的な不足、入院日数の短縮など経営環境は厳しさを増している。

 こうした状況の下、自治体病院でも生き残りを賭けた対策が次々と打ち出されている。

 医療機関の多い地域では、公立病院の統合・再編をはじめ、民間病院への運営委託、採算の合わない診療科の廃止や縮小など。市町村合併に伴う統合・再編も目立っている。

 問題は住民サービスの低下。公立病院が統合され、遠い病院まで通院を余儀なくされたなど患者から不満や不安が出始めている。

 「病院が黒字になっても、患者の病状を悪化させるようでは医療とは言えない」と地域医療研究会の会員は言う。患者のニーズと医療の効率化をどう両立させるのか、真の医療制度改革はこれからだ。

投稿者 akiuchi : 06:50 PM

トリビア

代理祖母(?)出産が先日ニュースで流れたがあるサイトにお産に関するトリビアとして以下の2つが掲載されていた。一つ目はひとりの女性が生涯で何人のこどもを産めるのかというもの。ねずみじゃあるまいし69人の子供を産むなんてことが本当にあるのだろうか?2つ目は昔から助産師さんは偉かったというはなし。これは今も昔も変わらない。
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トリビア1
記録によると、19世紀のロシアの女性が27回の妊娠で四つ子を4回、三つ子を7回、双子を16回を含む69人を産んでいる。その夫、ワシリイさんはその奥さんが亡くなるとすぐに再婚、さらに18人産ませた。これが男性が産ませた世界記録となっている。

※69人……。世の中広いですね。ちなみに1回の出産で生まれた赤ちゃんの数の記録は七つ子で、サウジアラビアの女性(1998年1月)と米国の女性(1997年11月)が『Guinness Book』に載っています。

トリビア2
大名行列は百万石の大名加賀藩では、多い時で行列の人数が4000人、5km近くの長さになった。農民や町人が大名行列を横切ることは御法度とされていたものの、助産婦(当時は「取上婆」や「子安婆」と呼ばれた)には横断する権利を許していた。それは人命に関わる緊急を要する職業であることを幕府が認めていたからであった。

※農民や町人が土下座する必要があった大名行列は将軍の行列と御三家のもののみで、それ以外の大名は道をあけるだけで良かったそうです。 このために、「下に、下に」と先触れをしたのは将軍と御三家で、それ以外の大名は「片寄れ、片寄れ」だったそうです。


投稿者 akiuchi : 09:09 AM

「お産で死亡」調査 厚労省と学会 原因探り改善策

"同様の調査は平成3、4年に亡くなった妊産婦について行われたが、このときは亡くなった妊産婦の37%が「救命できた可能性があった」との結果が出ており、「医療システムに一因がある」とされた。しかし、具体的な対策がとられないまま現在にいたっている。"(悪名高き長屋論文のことをさしている。)このデータをもとに日本の診療所は危険なお産をやっているので大病院へ集約化しなければならないと今の時代に結論付けている。今回のデータがどのような結論を出すのか注目したい。
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「お産で死亡」調査 厚労省と学会 原因探り改善策 - 産経新聞 2006年10月14日(土)


 かつては命がけといわれたお産。今では出産で命を落とす人は少なくなったが、それでも年に60~70人が死亡している。「なぜお産で死んだのか」を、出産を担当した医師や医療機関でなく第三者の目で検討する研究に、厚生労働省と日本産科婦人科学会周産期委員会の合同研究班(主任研究者、池田智明・国立循環器病センター部長)が乗り出した。死亡に直接結びついたと考えられる原因を確定し、データベース化を図るなどして周産期医療の向上に結びつける。
 調査は平成16、17年の妊産婦死亡が対象。産婦人科医からなる調査委員が妊産婦が死亡した医療機関に出向いて調査票に記入してもらい、面接も併せて実施。得られた情報をもとに、愛育病院の中林正雄院長ら4人のベテラン産婦人科医が症例を検討する。調査への協力が得られない場合は、医療機関や遺族に理由をたずね、これについても意見をまとめる。
 日本の妊産婦死亡率は10万人当たり6人前後と以前に比べ低くなってきているが、ヨーロッパの3~4人に比べるとまだ高い。また、日本の周産期死亡率(死産率と早期新生児死亡率を加えたもの)は世界でも群を抜いて低いことと考え合わせると、母親の命を救う対策の遅れが指摘されている。
 同様の調査は平成3、4年に亡くなった妊産婦について行われたが、このときは亡くなった妊産婦の37%が「救命できた可能性があった」との結果が出ており、「医療システムに一因がある」とされた。しかし、具体的な対策がとられないまま現在にいたっている。
 今回は得られた結果をもとにデータベースを作成。妊産婦死亡に対する「第三者評価機構」の設立も念頭においている。
 出産による女性の死亡は医療への不信を高めており、医療側に落ち度がないとみられる場合でも1割の遺族が訴訟を起こしている。周産期医療が最も進んでいるとされる英国では、妊産婦死亡はすべて保健所長に届け出ることになっており、第三者が死亡原因を調べて再発防止につなげる体制が整っているという。
 池田部長は「少子化で出産への期待が高まっているが、出産する女性の命を守る対策はまだ不十分。一人でも妊産婦の死を減らせるよう問題点を探り、早急に改善策を立てたい」と話している。

[産経新聞 ]

投稿者 akiuchi : 07:42 AM

日本国際親善厚生財団理事長 多田正毅さん

私がかつて国際保健分野で生きていこうと考えていたころのご師匠さんの記事が目に留まった。「お産難民」という言葉が最近ははやっているが軽々しく”難民”などといってはいけないと思う。支えてくれるべき”国家”を失ったものたちが”難民”なのだという定義を知ってマスコミは果たして使っているのだろうか?私も反省したいと思う。事態の深刻さはわからないでもないが日本人を国内で”難民”などと軽々しく呼んではいけない。

[恩師の言葉]日本国際親善厚生財団理事長 多田正毅さん63=茨城 - 読売新聞 2006年10月25日(水)
 ◇ただ・まさき
 ◆医者はボランティアしないのか
 国際医療支援に携わって4半世紀。この9月、タイ北部の町メーサイの国立病院内に開設した「メディカルトレーニングセンター」から初の卒業生を送り出した。
 NGO「日本国際親善厚生財団(JIFF)」とタイ王室財団との共同プログラム。結核、エイズ、マラリアの3大感染病撲滅と医療水準向上を目指し、タイ、ミャンマー、ラオスなどメコン川流域の医療従事者を訓練している。
 JIFFはセンターに医師や放射線技師、看護師を講師として派遣している。その教え子の巣立ちは「アジアで医療分野の人材を育てる」という多田の長年の夢がかなった瞬間だった。
 父を継いで産婦人科医になり、1981年、結城市に城西病院を開業した。翌82年、所属していた日本青年会議所医療部会で集めた募金の使い道を考えていた時、日本国際ボランティアセンター(JVC)創設者の星野昌子に出会った。
 初対面だったが、星野の言葉に遠慮はなかった。「なんで医者はボランティアをやらないんですか」。多田は面食らった。
 大量のカンボジア難民救済のため、日本政府は医療チームを派遣していたが、「緊急性が薄れた」と撤退を決めたころ。JVCは「まだ協力が必要。先進国の仲間入りをした以上、日本も欧米並みに国際協力すべきだ」と、民間からボランティアで現地に渡る医師を探し回っていた。
 多田は「まずは実態を見てこよう」と医療部会の仲間とカンボジア国境に出かけた。そして難民キャンプで、何の手当ても受けられずに次々と人が死んでいく光景を目の当たりにした。
 「こんなことがあってはならない。国がやらなくてもおれがやる」。医師の血が騒ぎ、82年、城西病院内にJIFFを誕生させた。
 88年、国際移住機構の要請で、全国で初めてアフガニスタン難民の患者も受け入れた。91年にはパキスタンのペシャワルに無料診療所を設け、2001年の9・11テロ後には多いときで1日2600人のアフガン難民を診察した。その後、アフガンの首都カブールに新設した「母と子のための診療所」に活動の中心を移した。
 こうした貢献の一方で、多田はいつしか、「現地の人たちが自らの手で最低限の医療を行えるようにしたい」と考えるようになった。その結実がタイ・メーサイの「メディカルトレーニングセンター」だった。
 もっとも、多田のモットーは「肩ひじ張らず、ボランティアは楽しんでやるもの。楽しくなければ続かない」。だから、海外から帰ってきたスタッフへの最初のねぎらいの言葉も「楽しかったかい」に決めている。(敬称略、金来ひろみ)

 写真=子どもたちに文房具を手渡す多田理事長(2002年、カブールで。多田さん提供)


[読売新聞 ]

投稿者 akiuchi : 07:32 AM

闘論:「孫」を代理出産 根津八紘氏

長野の根津先生が「孫」の代理出産をさせたという記事を保存しておくことにする。善悪はともかく根津先生のひたむきな姿勢には敬服する。
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「孫」代理出産、専門家の反応さまざま

 ■「家族の幸せ」優先を 医師、独断実施は問題
 長野県の「諏訪マタニティークリニック」(長野県下諏訪町)の根津八紘(やひろ)院長が15日、明らかにした「母親が娘に代わって孫を産む代理出産」。「医師個人の判断での実施は問題」との反対論や「子を持つことは家族の幸せ」という賛成論、「実施基準を明確に」とルール作りを求める声など各界の専門家の反応はさまざま。進歩する生殖補助医療に関する国民的議論が高まりそうだ。
 森崇英・京都大名誉教授(生殖医学)は「生殖補助医療問題は必ず『社会的コンセンサスがない』との議論になるが、子供が持てない夫婦の問題については、社会は解決できない。代理出産を禁止したら、家族は子供ができなくて一生不幸を背負う。社会にはこうした家族の問題を決める権利があるのか」と指摘、家族の幸せを優先すべきだと話す。
 不妊治療に長年取り組んできた飯塚理八・慶応大名誉教授(産婦人科学)は「医療技術の進歩と現行法が合わなくなっている。子供をどうしても欲しいと思う患者に頼まれたら、それに応じるのが医師」と断言。まずは学会が代理出産実施に向けたルールづくりを進めるべきだとする。
 「金銭のやり取りの可能性もある。(代理出産については)司法が絡んだチェック機関をつくって判断すべきだ」というのは生命倫理に詳しい米本昌平・科学技術文明研究所長。
 先進国では禁止論が主流になっているという。米本所長は「代理出産は原則として禁止し、例外的に認めるケースについて社会が受け入れられるルールづくりが必要」と強調する。
 漫画家、さかもと未明さんは「子供が欲しいというのは、女性としては分かる」としながらも、「生殖補助医療の問題が起こったとき、手放しで『よかった』と言えないのは、科学が生命に対する尊厳に踏み込んでいることを感じているからではないか」と、生殖補助医療に対する違和感を語った。
 漫画家、弘兼憲史さんは「医師の独断で実施したことは問題だが、代理出産自体は個人的には反対ではない。子供を持つことができた両親はハッピーなのだから」と議論の難しさを指摘した。
 日本産科婦人科学会の荒木勤監事(日本医大学長)は「学会は代理出産を禁止しており、事実関係を確認しなければならない。時代とともに社会の考え方も変わってくる。学会の指針も見直す必要性が出てくるかもしれず向井亜紀さんのケースの最高裁判断に注目している。国が責任を持って法整備などを進めてほしい」。
                    ◇
 ■根津院長の一問一答「学会で決めたこと 絶対ではない」
 根津八紘院長の記者会見の要旨は以下の通り
 --出産を決めるまでの説明は
 「代理母の夫妻と女性夫妻の4人に3、4回にわたって出産の危険性などを伝えた。致命的なことが起こりうるとも説明した。代理母は『自分は人生を十分に生きてきた。娘のために命を懸けても』と言っていた。(相談から)2、3カ月で実施したと思う」
 --生まれた子が出生の事実を知ったら
 「(30代の)女性には『おばあちゃんのおかげで生まれた』と、子供にその意味がわからない段階でも説明するよう言っているし、両親も了解している。最後は親子の関係で決まる」
 --日本産科婦人科学会は代理出産を否定している
 「学会で決めたことは絶対ではない。学会を離れても医療行為をやっていける。行動しないと変わらない」
 --自分の子供を自分の母親が産む違和感は
 「既成概念から考えれば奇異なことだが、出産をどう捕らえるかだ。子供を産みたい娘の気持ちを親の協力で解決できる。むしろ今後、実の母親による代理出産が定着し『親が子供の子を産まないのは愛がないこと』というような話にならないか心配だ」
 --第三者による代理出産は
 「姉妹間でも意見の食い違いで、関係がぎくしゃくした例がある。他人はさらに難しい。母子にはこうした問題がない」

[産経新聞 ]

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闘論:「孫」を代理出産 根津八紘氏/柘植あづみ氏 - 毎日新聞 2006年10月30日(月)

 長野県の根津八紘医師が公表した、祖母が「代理母」となって孫を出産したケースが論議を呼んでいる。代理出産は最先端の医療技術なのか、生命倫理にふれる危うさを持った治療行為なのか。社会の価値観、個々の人生観なども絡む代理出産問題について、根津医師と生殖医療に詳しい研究者に聞いた。(題字は書家・貞政少登氏)
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 ◇尊い自己犠牲を支援 社会へ問題提起した--産婦人科医・根津八紘氏
 「目の前で困っている人がいたら助けてあげる」というのが、人間社会の基本的なルールで、私が医師になった理由でもある。代理出産を選択する人は、当事者同士でみな真剣に話し合い、決めて病院にやってくる。私が勧めることはない。今回も、母親が「子宮がなくなった娘の代わりに産んであげる」という尊い願いを持ち、その実現を私が手助けしたということだ。
 私は「アウトロー」と言われてきたが、法律は守っている。代理出産を禁じる日本産科婦人科学会の会告(学会規則)は単なる取り決めで、法律ではない。それも産婦人科医だけで決めたもので、患者のニーズなどをとらえ切れていない。
 今回の代理出産では祖母が孫を産んだ形になった。「倫理的に問題がある」という指摘もあるが、社会の中の取り決めとか倫理観というものは、時代によっても変わる。人間社会において、一番大切なのは「相互扶助の精神」だと思う。
 私の病院に来た不妊患者の8割は、本格的な治療を受けずに帰ってもらっている。産むことが目的となってしまい、育てることを忘れているような人もいるからで、そういう人には説得し、あきらめてもらう。
 ただ、私のところに来る患者さんは、最後の望みを託してくる。「ここなら何とかしてくれるのではないか」と。そういう人に「手立てはあるが、学会では禁止されているから、ダメです」とは言えない。最先端の治療で救えるなら、「何とかしてあげたい」という気持ちで、最善を尽くすのが医師の役目だ。
 私は、問題を提起し、社会的合意を得て、世の中をよりよく変えていこうと思っている。1年以上前の代理出産を公表したのは、(代理出産で双子を得たタレントの)向井亜紀さんを応援したいと思ったからだ。今回の患者さんからも「後に続く人たちのために役立ててもらいたい」と、公表を承諾してもらった。支持が得られなければ医師を辞めようと思ったが、幸い、好意的な反応が多いと思う。
 代理出産は命がけの試みで、尊い自己犠牲に基づくものだ。悪用を罰する法律は作ってほしいが、代理出産そのものは認めてほしい。産める人が、産めない人に手を差し伸べることができる体制を作ってほしい。【構成・池乗有衣】
 ◇不妊女性、追い詰める 医療だけでは救えぬ--明治学院大教授・柘植あづみ氏
 まず、不妊の悩みの本質を知ってほしい。彼女たちは、産めないことだけを悩んでいるのではない。
 初対面の人に「お子さんは何人?」と聞かれることが怖くて、外出できなくなった女性がいる。「子ができない自分は価値のない人間」と傷つき、追い詰められている。不妊は医療技術だけで解決できる問題ではなく、社会全体の問題だ。
 だから、根津医師の「代理出産は不妊で苦しむ人を助ける解決策」という言葉に疑問がある。依頼した女性は「産めない女性」というらく印が押されたままだ。やっと子どもができても、「一人っ子ではかわいそう」という新たなプレッシャーを周囲から受ける。不妊女性向けに講演した時、子どもを5人持つ女性が「私も不妊女性の気持ちが分かる」と言った。日本では子どもは1人か2人が普通で、それ以上でも以下でも、好奇の目にさらされる。
 最近の代理出産をめぐる論議が、「お母さんや姉妹に産んでもらえばいい」などと、子どもがいるべきだとの風潮を強めるのではないかと心配している。代理出産を少子化と結びつけるのも疑問だ。不妊女性は「国のために産みたい」と考えているわけではない。
 日本では、子どもに障害があっても、事故にあっても、母親の責任にされがちだ。生体臓器移植も母から子への提供が期待される。娘が出産できない責任まで、母に負わせるのか。母への代理出産の依頼は「断れない状況」を生みやすい。
 商業的代理出産がされている米国では最近、問題が表面化していないようにみえる。だが実際は、出産する女性に保険をかけ、そのパートナーを含め徹底したカウンセリングをする。依頼者、出産者とも弁護士がつく。それだけ問題が生じやすいということを示している。また、代理出産を請け負う女性は貧しい人や移民が中心で、経済格差を利用した制度ともいえる。
 「子どもがいない人」の存在を認め、「子どもがいないと不幸」との価値観を押し付けない社会へと変えていくことが先だと思う。娘から不妊の相談を受けたお母さんたちは、「子どもがいなくても、あなたはかけがえのない存在よ」と娘に言ってほしい。代理出産をしなくても、その励ましこそ、子どもへの愛だから。【構成・永山悦子】
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 ■人物略歴
 ◇ねつ・やひろ
 信州大医卒。同大医学部助手を経て、76年に「諏訪マタニティークリニック」開業。64歳。
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 ■人物略歴
 ◇つげ・あづみ
 お茶の水女子大大学院博士課程修了。03年から現職。医療人類学専攻。46歳。

[毎日新聞 ]

投稿者 akiuchi : 07:28 AM

November 15, 2006

「医療ミスで障害」 賠償1億円求め提訴 川口の男児両親

こういう不幸な出来事に対して産科医が訴えられるという状況が続く限り周産期医療の崩壊は喰い止められないだろうと思う。早く無過失保証制度が機能して障害を持った子供や家族を社会が支えていくような体制にならなければならないと思う。

「医療ミスで障害」 賠償1億円求め提訴 川口の男児両親=埼玉 - 読売新聞 2006年11月14日(火)

 川口市内の産婦人科医院で出産した男児が脳に障害を負ったのは、出産時の不手際が原因だったとして、男児の両親(川口市)が同医院を相手取り、1億円の損害賠償を求める訴訟をさいたま地裁に起こしたことが13日、わかった。
 訴状によると、母親(28)は2004年5月30日午前、陣痛が始まって同医院に入院。同日午後10時半ごろ、帝王切開で男児を出産したが、男児は呼吸障害などがあり、仮死状態だったため、別の病院に転院した。いったんは退院したが、脳に損傷が認められ、現在も障害が残っているという。
 原告側は、〈1〉分娩(ぶんべん)の際、胎児の心拍を確認する義務があったが怠った〈2〉早期に帝王切開に踏み切るべきだった--などとして、医院側の過失で男児に障害が生じたと主張している。同医院は「責任者がおらず、コメントできない」としている。

[読売新聞 ]

投稿者 akiuchi : 11:41 AM

November 13, 2006

未来世紀ブラジル

サンバ「ブラジル」が聞きたくなってDVD「未来世紀ブラジル」を衝動買い。テーマ曲として全編に流れるのがアリイ・バロッソ作曲のラテン音楽「ブラジル」

未来世紀ブラジル
未来世紀ブラジル.jpg
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出演: ジョナサン・プライス, ロバート・デ・ニーロ, キム・グレイスト
監督: テリー・ギリアム
販売元: ジェネオン エンタテインメント
DVD発売日: 2003/11/21
ASIN: B00005R22R

Amazon.co.jp
個人情報のすみずみまで管理されている未来社会の中、情報省記録局の小役人サム(ジョナサン・プライス)は、いつも夢の世界に想いをはせることで、息詰まるようなストレスをしのいでいた。そんなある日、同僚が叩きつぶしたハエのせいでインプットのミスが起こり、靴職人のバトルがテロリストのタトル(ロバート・デ・ニーロ)と間違って捕らえられてしまうという事件が発生する…。
管理社会を痛切に批判した、鬼才テリー・ギリアム監督によるSFファンタジーの傑作。ユニーク極まる未来社会の設定の数々に、ザビア・クガートのサンバ曲「ブラジル」が効果的に融合し、豊潤な映画のイメージとして映えわたる。初公開の折りは、プロデューサー独断による短縮版製作などをめぐっての闘いを記録した『バトル・オブ・ブラジル』が出版されたりと、ギリアム監督の反骨の姿勢も話題となった。(的田也寸志)

内容(「DVD NAVIGATOR」データベースより)
モンティ・パイソン出身のテリー・ギリアム監督による、管理社会を痛烈に皮肉った壮大なSF作品。コンピュータが国民を管理する仮想国で、コンピュータの故障からトラブルが巻き起こる。ブラックなユーモアと悪夢のような未来社会のイメージが見所。

投稿者 akiuchi : 09:46 PM

どうする日本のお産(東京大会)

私の良く知っている産科医も熱心に取り組んでいるので参加させてもらおうと思う。年の暮れの慌しい日曜日になりそうだ。
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http://do-osan.socoda.net/?tokyo

どうするファイナル 東京ディスカッション大会
ファイナルディスカッショのテーマは【産】【消】【協】【動】です
マスメディアで撮影をご検討いただいている皆様
開催概要
【日時】2006年12月17日(日) 10時開場 10:30~16:00頃
【会場】男女平等参画センター リーブラ
【インフォメーション】
申し込み
東京 2006年12月17日(日)申込
チラシ
どうするファイナル 東京ディスカッション大会
全国的に広がる産科医院の閉鎖、産科医・助産師不足。産む場所がみつからない、お産を支えてくれる人がみつからない・・・・
この深刻な状況を一刻も早く何とかしたい。
何が問題なのでしょう?誰が何をしていくべきでしょう?医療者も一般の人も、学生さんも行政の人も、みんなの声が必要です。
いのちが生まれ育つ環境について、みんなの知恵を寄せ集めませんか。
私たちは、今年一年かけて全国8ヶ所で様々な立場の人が集い、ディスカッションをするリレー企画を展開してきました。

各会場スケジュール(終了大会も含む)
   5/14横浜、6/4仙台、6/25埼玉、7/16京都、8/27札幌、10/1長野、10/22愛知、11/11高知
共通テーマ「女性と赤ちゃんが安全で安心してお産するためには、誰が何をしますか?」

ファイナルディスカッショのテーマは【産】【消】【協】【動】です
【産】・・・産む場所が
【消】・・・消えそうだから
【協】・・・協力して
【動】・・・動きましょう
マスメディアで撮影をご検討いただいている皆様
今回会場の利用規約により、事前に申請及び許可が必要となっております。 撮影をご検討していただいている場合は大変お手数ですが、11月24日(火)までに

代表メール do-osan.tokyo@socoda.net

にメールにてお問い合わせください。後日、担当者からご連絡させていただきます。

開催概要
【日時】2006年12月17日(日) 10時開場 10:30~16:00頃
【会場】男女平等参画センター リーブラ
http://www.city.minato.tokyo.jp/sisetu/danzyo/index.html

JR山手線・京浜東北線田町駅徒歩2分
地図

投稿者 akiuchi : 04:36 AM

November 12, 2006

<はらたいらさん>肝不全のため死去、63歳

漫画家はらたいらが死去というニュースに驚く。まだ63歳。はらたいらといえばクイズダービーの博識ぶりをまず思い起こす人が多いと思うが私は「男の更年期」という言葉を思い起こす。初老期うつ病とどう違うのかまだよくわからないが更年期を克服してその後は元気に活躍しているのだろうと思っていただけに今回の訃報は以外だった。

<はらたいらさん>肝不全のため死去、63歳

 漫画家で、TBS系のクイズ番組「クイズダービー」で人気を集めたはらたいら(本名・原平=はら・たいら)さんが10日、肝不全のため死去した。63歳。葬儀は15日午前11時半、東京都板橋区板橋1の48の13の新板橋駅前ホール。お別れの会を後日、出身の高知県で開く予定。自宅は非公表。喪主は妻ちず子(ちずこ)さん。
 1963年にデビュー。ナンセンスギャグを得意とし、「モンローちゃん」が大ヒットした。作品は他に「ゲバゲバ時評」など。76年から16年間出演した「クイズダービー」では70%と高い正解率を誇り、博学で知られた。49歳からだるさ、気力のなさに悩まされた経験をつづった「はらたいらのジタバタ男の更年期」を00年に出版し、話題を呼んだ。
(毎日新聞) - 11月10日21時56分更新

はらたいら

はらたいら(本名:原 平、1943年3月8日 - 2006年11月10日 )は東京都文京区小石川在住、高知県香美郡土佐山田町(現香美市)出身の男性漫画家。

略歴
父・太郎、母・小夜子の長男として生まれる。姉の美和は元バスガイド。父・太郎は、たいらが生まれる前に結核で他界。ガキ大将としての逸話がある。その逸話は後に「最後のガキ大将」と言う題で著書になり、後に「ガキ大将がやってきた」(TBS系)と言うタイトルでドラマ化された。

高知県立山田高等学校普通科を1961年(昭和36年)3月に卒業。

1963年、『週刊漫画TIMES』(芳文社)の連載『新宿B·B(ベベ)』でデビュー。翌1964年高校の1級後輩のちず子と結婚。1972年『週刊漫画ゴラク』の連載『モンローちゃん』がヒットする。その後、1980年 サンケイ新聞の『ルートさん』、1988年 北海道新聞や中日新聞連載の『セロりん』、1981年-1983年,1989年-1990年 日本経済新聞連載の『ゲンペーくん』、沖縄タイムスの『グルくん』、公明新聞の『ポッコちゃん』、京都新聞の『パトロールのパトさん』、日刊ゲンダイの『ゴシップちゃん』など、数多くの新聞漫画を手がける。

野球にも造詣が深く、1976年に放送されたプロ野球ニュース(フジテレビ系)の毎週末の司会を務めるも、本業との兼ね合いからわずか3ヶ月で土居まさると交代することになる。しかし、それでも野球への情熱は冷めることはなく1978年には大ファンであった阪神タイガースの掛布雅之に「掛布と31匹の虫」の作詞を手がけ、プロデュースした。ちなみに、『掛布と31匹の虫』という曲はオムニバスCD「えっ!あの人がこんな歌を…。」(1990年7月21日発売)にも収録されている。

地元の民放局であるテレビ高知では『はらたいらのおらんく風土記』という、はらたいらが高知県内各地を訪れる人情ドキュメンタリー番組が過去に放送され、大好評だった。

また、落語愛好者には笑福亭鶴光の弟子の名付け親としても知られる。

1992年秋口から、更年期障害による眩暈・集中力低下を訴え連載を減らし闘病生活に。その時の一連の経過は、著書「はらたいらのジタバタ男の更年期」・「男も『更年期』がわかると楽になる」などに詳しい。また経験を生かし近年は男性更年期障害の公演も行った。

娘の原麻衣子はバレリーナ(元スターダンサーズ・バレエ団)である。正保ひろみなど、弟子筋の作家も輩出している。

2006年11月10日、肝臓癌のため埼玉県富士見市の病院で死去。享年63。当初の死因は肝不全と伝えられたが、2006年9月に検査入院した際にもともと肝硬変であった上に末期がんであったことが判明したという。訃報に接した大橋巨泉は「飲みすぎたのかな」と語った。

故郷に程近い高知県南国市(後免町駅徒歩2分)の、「はらたいらと世界のオルゴールの館」では原画を含め作品を鑑賞する事ができた。(2004年12月30日閉館)


クイズダービーの出演
かつてTBS系で放映された人気番組「クイズダービー」に、1976年に同じ漫画家の黒鉄ヒロシと交代する形で、長らく3枠のレギュラー解答者として活躍した。番組出演記録は、隣の4枠レギュラー解答者だった竹下景子に次いで第2位の記録であるが、番組出演者の中では一番の正解率を誇っている。最多連勝は27連勝(2度達成)で、勿論同番組では歴代1位の連勝記録だった(連勝記録の歴代2位はゲスト解答者として出演した黒沢久雄の24連勝。竹下景子は15連勝で歴代3位)。あまりにも正解率が高かったので「宇宙人」と呼ばれていたが、「実は正解を事前に聞いているのでは」と怪しまれたりもした(クイズダービーの作家であった景山民夫の小説『トラブルバスター』では事前にクイズの正解をもらっていた人物が登場、その人物は2本撮り収録の1本目で2本目の「正解」を書いてしまった)。

しかし4枠の竹下景子が得意としていた三択問題が彼の最大の弱点だったため、これで連勝が途切れる事が多かった。特にその三択で「ひとりを除いてみんなおんなじ答え」と司会の大橋巨泉が言うと、その不正解の一人がはらに該当する事が度々発生している。そのため連勝中の1問目には、巨泉から「三択だけは気をつけましょうね」と言われていた。また6問目の歌詞問題もはらにとってどちらかと言えば苦手であった。

クイズダービーではらに表示される倍率は、一般問題では2倍が殆どであるが、得意のニュースネタ、笑い話などの問題では1倍が、難しい問題では3倍が表示される事があった。苦手の三択問題では3倍が主であり、たまに1・2倍の表示もあったが、2000年末に放送された「SAMBA-TV」の復刻版では、三択ではらに4倍の表示が2回もされている。そして最終問題では、はらには2の倍数の4倍が殆どの表示であったが、まれに2倍・6倍の表示もあった。又7問目まで出場者が2万点を越えると、ほとんど「最後は、はらさんに2万点(又は全部)!」を賭けて、はらが正解して10万点を突破するケースが多かった。しかしごくまれだが、はらたいらが最終問題で不正解でかつ他の解答者が正解したために、出場者がまさかの0点になったり減点されてしまったパターンも有る。

投稿者 akiuchi : 08:13 PM

生誕100年記念―ダリ回顧展

ダリ回顧展を上野の森美術館で見てきた。いまから思えば高校生のころ、シュールリアリズムの洗礼を受けたのがダリだったような気がする。ベラスケスの流れを汲むスペインの天才画家の技を直に見て圧倒されてしまった。
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生誕100年記念―ダリ回顧展

9/23(土)→2007/1/4(木) 【上野の森美術館】open 10:00 / close 18:00 公式サイト
20世紀美術界、最大の奇才として知られるサルバドール・ダリ(1904-1989)は、独自の表現方法を用いて、さまざまな幻想的で非現実的、はたまた精神錯乱的な世界を描き、シュールリアリストのなかでも特異な位置でありつづけました。奇抜な振る舞いや独特の物言い、生涯創作の女神(ミューズ)であった妻ガラとの関係も広く知られています。
 本展は、スペイン・ガラ=サルバドール・ダリ財団と、アメリカ・サルバドール・ダリ美術館からそれぞれ、日本初公開の作品を含む主要な油彩画約60点を中心に、貴重な初期のドローイングや写真なども展示し、1989年に84歳で生涯を閉じるまでの巨匠ダリの足跡をたどる大回顧展となります。

◇入館料 : 一般¥1,500
◇入館は閉館30分前まで
◇会期中無休
関連/参考URL
上野の森美術館(03-3833-4191)


投稿者 akiuchi : 06:00 PM

豊橋の無資格助産行為事件 院長・看護師ら起訴猶予

内診問題に関して名古屋地検が「3人には、違法だという明確な認識がなく、健康被害の危険性も認められない」として起訴猶予と判断したのは当然だと思う。横浜の堀病院事件でも同様の判断が出るか注目したい。
11月14日に医会から「起訴猶予ではなくて不起訴とすべきだ」という声明が出されたので追加しておくことにする。時既に遅しという気がしないでもないがそれにしても本部の反応が悪すぎる

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豊橋の無資格助産行為事件 院長・看護師ら起訴猶予/名古屋地検支部 - 読売新聞 (425文字)
 2006年11月11日(土)

 愛知県豊橋市の「竹内産婦人科」で、助産行為を禁止されている看護師らが妊婦の内診などをしていた事件で、保健師助産師看護師法違反(助産師業務の制限)の疑いで書類送検されていた同医院の竹内稔弘院長(67)と、看護師(26)ら計3人について、名古屋地検豊橋支部は10日、起訴猶予にした。
 同地検は「3人には、違法だという明確な認識がなく、健康被害の危険性も認められない」としている。
 院長は2003年11月21日~22日、同県豊川市の菊池美咲さん(29)が同医院で、長男(2)を出産した際、助産師資格のない看護師ら2人に妊婦の産道の状況を調べる内診などをさせたとして書類送検されていた。
 菊池さんは、妊婦への使用が禁止されている薬の投与が原因で長男に障害が残ったとして、竹内院長らに約1億7500万円の損害賠償を求めて名古屋地裁豊橋支部に提訴しており、「ずさんな診療行為で、厳重な処分を求めていたので、納得できない。検察審査会への審査申し立ても検討する」と話した。

[読売新聞 ]

豊橋の事件概要は以下の通り。

1.損賠訴訟:投薬で子に障害、産科院長らを提訴--愛知・豊川の親子 - 毎日新聞 (509文字)
 2006年3月4日(土)

 妊婦への投与が禁じられている薬を使用したため生まれた長男に障害が残ったとして、愛知県豊川市の医師、菊池勤さん(29)と妻(28)、長男(2)が3日、同県豊橋市の病院「竹内産婦人科」の院長らに総額約1億7500万円の損害賠償を求める訴訟を名古屋地裁豊橋支部に起こした。
 訴えによると、妻は03年11月、同病院で胃かいようなどの治療薬サイトテックを陣痛促進剤として膣内(ちつない)に直接投与され、約16時間後に長男を出産。長男は嘔吐(おうと)をし、翌朝には全身がチアノーゼ状態になるなどしたため、別の病院に搬送されたが、低酸素性脳症による発達障害を負った。
 サイトテックは子宮の収縮を促進する作用もあるが、製造元などは妊婦への投与を「禁忌」としている。両親は「長男はサイトテックによる『過強陣痛』が原因で低酸素状態に陥り、出生後も適切な処置が行われなかった」と主張している。
 同病院の竹内稔弘院長(66)は「サイトテックは外国で(陣痛促進剤として)多数使用例があるが、日本では許可されていない。患者には説明し了解を得ていたが、3日から使用は中止する。(原告には)謝罪して和解できればいいと思う」と話している。【加藤隆寛】

2.無資格助産:看護師に内診させた容疑で、豊橋の産婦人科を捜索--愛知県警 - 毎日新聞 (395文字)
 2006年10月7日(土)

 愛知県豊橋市の竹内産婦人科(竹内稔弘院長)で、医師か助産師にしか認められていない出産時の内診を看護師らにさせていた疑いがあるとして、県警生活経済課と豊橋署が9月27日、保健師助産師看護師法違反(無資格助産)の疑いで同医院などを家宅捜索していたことが7日わかった。
 同署によると、03年11月に同県豊川市の女性(29)が長男(2)を同医院で出産した際、資格のない看護師らが内診をした疑いがあるという。
 長男は低酸素性脳症による発達障害となり、女性は今年3月、出産の際に同医院の処置が不適切だったとして竹内院長らを提訴。さらに女性と夫は9月中旬、同医院を豊橋署に告発した。
 同医院は7日、毎日新聞の取材に対し「取材はお断りします」と答えた。
 厚生労働省は02、04年に、分娩(ぶんべん)第1期(陣痛開始後、子宮口全開まで)に看護師が内診することは認められないとの通知を出している。【宮里良武】

[毎日新聞 ]

3.愛知県産婦人科医会声明(10月30日)
保健師助産師看護師法違反容疑による警察の家宅捜索と書類送検に関する愛知県産婦人科医会の見解
                        

平成18年10月30日

愛知県産婦人科医会

                    会長 成田   收

保健師助産師看護師法違反容疑による警察の家宅捜索と書類送検に関する愛知県産婦人科医会の見解

今、日本では周産期医療の崩壊が進んでいる。
過酷な勤務、医事紛争の多発、産科要員などの減少によって、新しく周産期医療を志す医師が激減しているのがその原因とされる。
このような中で、平成18年9月27日、愛知県豊橋市竹内産婦人科医院に警察官30名による家宅捜査が行われた。
容疑は昭和23年に制定された保助看法と厚生労働省医政局看護課長が平成14年と平成16年に通達した内診問題に関する法令違反という。
過去、数十年、多くの産婦人科医師、助産師、看護師のチーム医療の弛まざる努力によって、日本の周産期死亡率は世界最低水準となり、世界一の周産期医療を国民に提供できるまでに至った。
愛知県産婦人科医会も従前より絶対的な助産師不足、産科医師減少の厳しい状況の中、地域の産科医療の充実を図り、母子の健康と安全を確保するため最大限の努力を払ってきた。
しかし、平成16年に厚生労働省医政局看護課長通達が出され、産科医療機関で通常行われていた医師の指示下での看護師による分娩経過の観察(子宮口の開大度と児頭下降度の測定)が禁じられた。この通達は厚生労働省内で検討委員会等での充分な検討を経ずに出されたものである。その結果分娩をとりやめた産科医療機関が増加し、地域住民に不安と不便をもたらし、今日の周産期医療の危機的な状況になったと考えられる。
保助看法における看護師による分娩の補助行為(内診も含む)の解釈は、厚生労働省内の「医療安全の確保に向けた保助看法等のあり方検討委員会」で、平成17年4月より13回にわたり議論が行われ、看護師等の内診問題については、見直し論と反対論、慎重論の両論併記となり、別途、検討会を設けて更に議論することとなった。
日本は法治国家であり、法令順守に国民は重い責務を負っている。
しかし、その法令が長い間の医療上の慣行(看護師の内診など)と社会的情勢(産科医療の崩壊、助産師の絶対的不足)を考慮し、又、日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会などの関係団体との議論を重ね、十分なセーフティネットを構築した上で通知されるべきであると思われる。
このような状況を熟慮せず、看護師の内診行為だけを根拠に、警察の家宅捜査および書類送検を実施したのは、国是とすべき日本の少子化対策に真向から逆行させる責任は重大と考える。
今般、分娩医療機関が激減し、助産師の絶対数が極端に不足、偏在している状況を十分考慮し、看護師の内診問題だけで警察の医療機関への家宅捜査が二度と起きないよう、国民とともに安全なお産を守るために、愛知県産婦人科医会は断固抗議するものである。

4.愛知県医師会声明(11月7日)
愛知県豊橋竹内産婦人科医院への家宅捜索に関する愛知県医師会・愛知県産婦人科医会の見解
平成18年11月7日

                     愛知県医師会会長 妹尾 淑郎

                   愛知県産婦人科医会会長 成田  收

愛知県豊橋竹内産婦人科医院への家宅捜索に関する
愛知県医師会・愛知県産婦人科医会の見解


 横浜の堀病院に続いて,愛知県豊橋市竹内産婦人科医院においても、保健師助産師看護師法(保助看法)違反被疑事件により警察官30名にも及ぶ家宅捜索が行われたことに対し大変な衝撃を覚えた。そこで,愛知県医師会,及び愛知県産婦人科医会において、以下のとおり声明する。

「分娩医療機関が激減し、助産師の絶対数が極端に不足、偏在している状況を十分考慮し、看護師の内診問題に関し,警察の医療機関への家宅捜索などが2度と行われないよう、国民とともに安全なお産を守るために、断固抗議する。」

産科要員(医師,助産師,看護師,及び准看護師)の減少をはじめとする過酷な産科医療の現場を無視したこのような警察権力の介入は、産科医療の崩壊に一層の拍車をかけるものであり,その結果、分娩取扱施設は益々減少し、分娩難民が出現するなどの重大な混乱が待ち受けていることを考えなければならない。

医師法17条では「医師でなければ、医業をしてはならない」と定められており、助産は紛れもなく医業そのものである。医師法17条の例外として,保助看法第3条において、助産師を,「厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じょく婦若しくは新生児の保健指導をなすことを業とする女子をいう」と定義し,同30条で「助産師でなければ、第3条に規定する業をしてはならない、但し医師法の規定に基づいてなす場合は、この限りではない。」と規定している。さらに,保助看法5条、6条では、看護師、及び准看護師は、「診療の補助」を行うことが認められている。

したがって、助産師には保助看法第3条、第30条により医業の一部である助産行為を行うことが認められているが、医師が行う分娩介助に関しては、看護師及び准看護師が、医師の指示のもとで診療の補助として医師の指示の範囲内で子宮口開大の計測等の補助行為(注)を行うことは可能であると解釈することができる。

保助看法には助産についての定義はなく、また内診の文字すら見当たらないなか、昭和23年に制定されて以来、50年以上の長きにわたり厚生労働省は看護師及び准看護師による内診を診療の補助行為として認め、あるいは黙認し、何事もなくこの法律の下に粛々と産科医療がとり行われてきたという経過がある。その間、大多数の分娩は、自宅分娩から施設分娩で行われるようになり、分娩を担当する医療従事者も産婆(助産師)から医師(産科医)に取って代わったにもかかわらず,保助看法は半世紀以上も抜本的な見直しが行われておらず,時代にそぐわない点が多数存在する。

保助看法を解釈するにあたっては,保助看法制定当時の医療情勢,医療水準と現在の医療情勢,医療水準は著しく異なっており,現代の医療情勢,医療水準に則して行わなければならない。

現代の産科医療においては、医師、助産師、看護師、及び准看護師の相互の協力なくして成り立たない。我が国が,周産期の母体死亡率の低さなど,世界のトップレベルにある産科医療を提供できるようになったのは,超音波診断装置や分娩監視装置をはじめとする種々の機器や検査の導入とともに,産科要員(医師、助産師、看護師、准看護師)の弛まざる努力によるものである。医師個人が,24時間365日妊婦の経過を観察することは不可能である。医師の指示により,助産師,看護師,及び准看護師に経過観察の一部を担当させることは必要不可欠である。日本産婦人科医会は、分娩1期において、医師の指示のもとで看護師、及び准看護師が診療の補助として行う子宮口開大の計測は、保助看法3条に違反しないという解釈論を主張してきた。愛知県医師会,及び愛知県産婦人科医会は,この日本産婦人科医会の見解を支持するものである。

今回の家宅捜索の根拠となった医政局看護課長通知は、当時の厚生労働大臣の決裁がないまま看護課長一個人の法解釈で発せられたものである。しかも産婦人科専門集団である医師会、産婦人科学会、医会には何らの事前協議も行われていない。看護課長通知が発せられた後に、「医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会」において議案とされ、その「まとめ」においても両論併記とされたことは、看護課長通知の解釈に疑義があることを裏付けるものである。

看護師、及び准看護師による子宮口開大の計測の評価については、複数の解釈論が対立し,確定的な見解が得られていない。前記「医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会」において検討中であるにもかかわらず,看護課長の解釈に依拠して、一方的な警察権力の介入を行うことは、まったく不当なものと言わざるを得ない。

産科医の減少とともに、看護課長の解釈にのみ依拠して、医療機関に対する捜索差押等の警察権力の介入を行うことは、産科医療の現状を省みることのない不当な対応であり、産科医療に対する抑止効果は大きい。このような事態が続けば、産科医療の崩壊は一層加速し、多くの診療所・私的病院での分娩は困難となり、とくに地方においては半数以上の分娩が立ち行かなくなり、多くの妊婦に無用の不安をあたえることは必至である。この国の国是とする少子化対策とは真っ向から反するものである。

以上より、愛知県医師会,及び愛知県産婦人科医会は,分娩医療機関が激減し、助産師の絶対数が極端に不足、偏在している状況を十分考慮し、看護師の内診問題だけで警察の医療機関への家宅捜索などが2度と起きないよう、国民とともに安全なお産を守るために、断固抗議する。

(注)は「介助」から「子宮口開大の計測等の補助行為」に文章を訂正しました。2006/11/9

 


2006年11月14日
 愛知県豊橋市竹内医師の起訴猶予裁定に対する
 日本産婦人科医会の声明  PDF
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愛知県豊橋市竹内医師の起訴猶予裁定に対する
日本産婦人科医会の声明

 平成18年11月10日、名古屋地方検察庁において、竹内稔弘医師に対する保健師助産師看護師法(保助看法)違反被疑事件について、起訴猶予とする裁定が行われた。今回の起訴猶予の裁定は、科刑権を行使しないという点、並びに内診行為(子宮口開大や児頭の下降の計測)そのものについて健康被害の危険性が認められないと指摘している点については、評価に値するものではある。しかし、当会は、本件を起訴猶予とした裁定は誤りであり、不起訴の裁定をすべきであったと考える。

 当会は、医師が行う分娩介助に関して、看護師及び准看護師が、医師の指示のもとで診療の補助(保助看法5条、6条)として子宮口開大の計測や児頭下降度の計測を行うことは、保助看法に違反しないことを主張してきた。
 厚生労働省医政局看護課長は、平成14年11月14日付医政看発第1114001号、及び平成16年9月13日付医政看発第0913002号の各回答において、内診(子宮口の開大、児頭の下降、頚管の熟化の判定)は、保助看法3条に規定する助産であるとの判断を示した。
 そもそも、厚生労働省医政局看護課長の回答は、法規の性質を持つものでなく、看護課長の回答は、下級行政機関を拘束するが、一般国民に対して拘束力を持つものではない。また、裁判基準として用いられるものではない。
 看護課長の回答は、審議会や検討会を経ることなく、あるいは日本医師会、日本産婦人科医会の見解を聴取することなく、発せられたものである。また、分娩医療機関が激減し、助産師の絶対数が極端に不足、偏在している現況を十分に調査することなく、発せられたものである。
 看護課長の回答が発せられた後になって、厚生労働省内に「医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会」が設置され、その検討会で、看護師、及び准看護師による内診の問題が議案とされるにいたった。検討会のとりまとめにおいても、看護師、及び准看護師による内診については、見直し論、反対論、慎重論が併記され、一義的な解釈論は導かれていない。また、「産科における看護師の業務について」は別途、検討することになっている。

 自宅分娩から施設分娩へ、産婆(助産師)から、産科医師へ、と分娩のあり方が変化しているにもかかわらず、保助看法は、昭和23年から平成14年までの54年間見直しが行われず、平成14年改正においても、保健師、助産師、看護師の業務について、抜本的な見直しはなされなかった。保助看法の解釈にあたっては、現代における産科医療のあり方、医療の発展状況、産科医師、助産師、看護師、及び准看護師の技能、教育、充足度等の社会的要請等を踏まえつつ、時代に即して、助産師、看護師及び准看護師の役割や業務内容を検討していくべきである。そして、現代の産科医療は、医師、助産師、看護師、及び准看護師の相互の連携や協力なしには成り立たない。我が国が、周産期死亡率、妊産婦死亡率の低さに見るように、世界のトップレベルにある産科医療を提供できるようになったのは、超音波診断装置や分娩監視装置をはじめとする種々の機器や検査の導入とともに、産科要員(医師、助産師、看護師、及び准看護師)の弛まざる努力によるものである。
 産科医の減少とともに、看護師や准看護師による子宮口の開大や児頭下降の計測が認められないことになれば、産科医療の崩壊は一層加速し、多くの診療所・病院での分娩は困難となり、とくに地方においては半数以上の分娩施設が立ち行かなくなることは明白である。
 国是たる少子化対策の大本を担っている産科医療現場の混乱を一日も早く収束することこそが、国を挙げての少子化対策となるのではないだろうか。
 しかし、今回の起訴猶予の裁定は、不起訴裁定とは異なり、情状次第では未だ起訴される余地を認めることになる。そのため、今回の起訴猶予の裁定は、全国の産科医に対して、依然として抑止的効果を与えることになり、今後分娩取り扱いを断念せざるをえない産科医が続くことが懸念される。
 よって、当会は、本声明により、今回の起訴猶予裁定は不当であり、不起訴裁定を行うべきであったことを指摘するとともに、速やかに「産科における看護師の業務について」の議論が尽くされ、統一的な見解が示されるよう求めるものである。

平成18年11月14日


投稿者 akiuchi : 05:42 PM

WHO事務局長選挙―尾身氏の選出ならず

かつて国際保健分野で活躍することを夢見ていた時がありました。政府やWHOなどの国際機関とは別のNGO(non-governmental organization)が世界平和に貢献すると信じていました。青年の夢は跡形もなく崩れ去りましたが自治医大出身の尾身先生がWHOの事務局長になると国際保健分野における日本の活動にも刺激になっていいなと期待していたのですが残念な結果となってしまいました。かつてこのポストは中島宏先生が就いていたことがあったと思うのですがだからどうなったというものでもなかったような気がします。(業績不明)今回事務局長に選出された中国のチャン氏にこれからの活動に期待したいと思います。これからはやはりアジアの中心は中国ということなのでしょうか?
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◎WHO事務局長選挙―尾身氏の選出ならず◎
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 スイスのジュネーブで開催されている、世界保健機関(WHO)執行理事会
は、11月8日、中国が推薦するマーガレット・チャン氏(59歳)を次期WHO
事務局長に選出した。尾身茂WHO西太平洋地域事務局長は、本投票まで駒を
進めたが、3回目の投票で惜しくも落選した。

 チャン氏は香港出身。2003年よりWHO部長(人の環境の保護部)を経て、
2005年には、感染症サーベイランス・対応部及びパンデミックインフルエンザ
対策代表に就任。現在は、WHO感染症担当事務局長補を務めている。

 11月9日に行われる特別WHO総会で、正式にチャン氏が次期事務局長とし
て承認されることとなる。任期は、2007年1月4日~2011年6月30日まで。

投稿者 akiuchi : 05:33 PM

November 11, 2006

妊娠高血圧症候群と子癇発作

最近産科学の教科書が書き換えられて妊娠中毒症という用語は使われなくなった。代わって登場したのが妊娠高血圧症候群である。まだなじみのないこの用語と妊娠中毒症はほとんど同じ概念なのだが前者では浮腫が定義から外れているというところが大きな特徴になっている。浮腫はどうでもいいというわけではなく病態を考えた時には大事な症状なのだが浮腫のみで終わるケースも多いので今回は疾患の定義からはずされたというのが事の真相である。浮腫を軽く考えてはいけない!子癇発作(Eclampsia)は妊娠高血圧症候群のひとつの表現型です。脳内出血との鑑別は瞳孔検査なのどの神経学的検査によってつけることになります

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妊娠中毒症の新常識(6) 「妊娠高血圧症候群」学会の定義
http://allabout.co.jp/children/birth/closeup/CU20041020F/

妊娠中毒症(子癇を含む)
Preeclampsia(including Eclampsia)

 妊娠中毒症の病態は血管れん縮と血管内皮障害である.治療もこれらの改善をはかることが主体となる.保存療法で改善を認めない場合は妊娠の終了を行う.ターミネーションは母児の状態を慎重に把握しタイミングを決定する.
◆治療方針
A.保存療法
1.安静 ストレスは交感神経活動を活性化させ血管れん縮を増強する.妊娠中毒症では安静にし,ストレスを遮断し,交感神経の過剰刺激をなるべく少なくすべきである.しかし,拘束感を抱かせるような絶対安静は逆にストレスを増加させる可能性もあり,本人がリラックスできるような安静法を症例ごとにとる.
2.不眠に対する対策 妊娠中毒症では睡眠が障害されている.腹部大動脈を圧迫しないような就眠体位をとらせ,照明に気を配り深い睡眠をとらせる.
3.食事 不規則な糖質の過剰摂取を控える.妊娠中毒症は血管内脱水であるので,極端な塩分制限は避け1日7g程度までの制限にとどめる.
4.術前術後の管理 術前術後の交感神経を刺激するような処置にも注意を要する.帝王切開後で尿道カテーテル抜去後(膀胱充満),浣腸,排便時などに交感神経が活性化しやすいので注意する.
B.薬物療法
 ヒドララジンが第1選択である.次いでαブロッカー,αβブロッカーを用いる.
処方例 下記の薬剤を症状に応じて適宜用いる
1)アプレゾリン⇒注(20mg) 100mg+ラクテック⇒注 500mL 0.05-0.1mg/分 点滴静注,またはアプレゾリン⇒錠(25mg) 2-6錠 分2-3
2)アルドメット⇒錠(250mg) 2-6錠 分2-3(保険適用外)
 short actingのカルシウム拮抗薬は禁忌である.妊婦の腹痛にブスコパン⇒のような副交感神経遮断薬が安易に用いられているが,使用しない方が無難である.
C.子癇の治療
 子癇が繰り返されると多臓器不全の可能性が高くなるので,子癇重積発作を起こさせないことがポイントである.エアウェイなどによる気道確保を行い,人工換気を行う.血管確保の後,下記の薬物療法を行う.
処方例 1)のほか,必要に応じて2)を用いる
1)マグネゾール⇒注 1回4g ゆっくり静注(急速飽和)
  ジアゼパム⇒注またはセルシン⇒注 1回10mg 静注
2)ワコビタール⇒坐薬(100mg) 1回1個
 子癇重積状態では上記に加え3)を投与する
3)コントミン⇒注 1回10-50mg 点滴静注
 DICを併発しやすいので4)または5)による早期の抗DIC療法も行う
4)アンスロビンP⇒注 3,000単位 初日静注 以後漸減
5)ウリナスタチン⇒注 30万単位/日 静注
 分娩後急性の消化管拡張や麻痺性イレウスをきたしやすくなるので,十分なsedationにより交感神経系を抑制する.
D.ターミネーションの指針
1.母体側 子癇,HELLP症候群,治療に反応しない重症妊娠中毒症,腎機能障害,血液凝固異常の悪化(血小板減少,ATⅢ減少).
2.胎児側 胎児発育停止,biophysical profile scoreの悪化.
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投稿者 akiuchi : 10:43 AM

意識障害

奈良県の病院で脳内出血(高血圧による出血か?)による意識障害をおこした妊婦を子癇発作と診断して転送先が決まらずに妊婦死亡にいたった症例が問題になっている。私のような産科しかしらない藪医者(産科バカともいう)は他科の領域には疎いので私のところで同様なケースに遭遇したときに果たして適切な判断を下せるか自信がないというのが正直な思いだ。そこで今回は意識障害について少し勉強してみた。
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意識障害
Disturbance of consciousness

 意識障害の患者が救急で搬入された場合には,まずバイタルサインと意識障害の程度を把握することが重要である.
 血圧,脈拍,呼吸の状態を迅速にチェックし,質問に対する反応や外的刺激により,コーマスケールのどのレベルに当たるのかを評価しなければならない.
 患者の病状が把握できている際には,初療を行いつつ原因に対する治療をすすめることができるが,病歴も不明のままで搬入された場合は,必要な救急処置を行いながら,全身的ならびに神経学的診察を行う.
 患者発見者や救急隊員から,発症時の状況について可能なかぎりの情報を集め診断の一助とする.

初療の要点
① バイタルサインの把握
 血圧,脈拍,呼吸,体温の状態をチェックする.特に両側の頸動脈の触知,不整脈の有無,呼吸状態と気道閉塞の有無を迅速に判断する.低体温はそれ自体が意識障害の原因となる.
② 気道の確保
 気道の障害(嘔吐と誤嚥,舌根沈下,気道内異物,喉頭浮腫,気管支攣縮など)や,呼吸運動の障害(無呼吸,失調性呼吸,努力呼吸,Cheyne-Stokes呼吸,過呼吸),また低酸素血症が疑われる場合は,直ちに気管内挿管により気道を確保する.
 呼吸状態が一見正常でも,昏睡患者では気道の閉塞を未然に防ぐ目的で気管内挿管を行うのが原則である.また嘔吐を防ぐため,胃管も挿入しておく.
③ 循環のチェック
 心電図モニターの装着(不整脈監視),中心静脈路の確保と圧測定,動脈圧モニター,バルーンカテーテルの挿入による時間尿量測定.
④ 意識レベルと神経学的異常のチェック
 コーマスケールに準じた意識障害の程度の把握,脳幹症状の有無,特に瞳孔所見と対光反射,眼球位置と運動の異常,四肢硬直と腱反射,痙攣,病的反射,不随意運動の有無をみる.
⑤ 体表所見のチェック
 外傷痕,体表面の異常(皮膚色,皮疹,出血斑,褥瘡など),その他理学的所見を検索する.
⑥ 緊急に行うべき検査
 血液ガス,酸塩基平衡,血糖,ヘマトクリット,電解質,血清浸透圧,BUN(血液尿素窒素)などを検査し,続いて生化学・止血凝固能などを検査する.
⑦ 問診
 意識障害の原因に関する情報を収集する.
⑧ 呼気臭気のチェック
 アルコール臭(アルコール中毒),アセトン臭(糖尿病性ケトアシドーシス),尿臭(尿毒症)などは代謝性脳症を考え,頭蓋内病変の評価より,原疾患への診断治療が優先する.
⑨ 精神疾患,薬物中毒
 精神疾患や薬物中毒に対しては,疑うことが治療の発端となる.

重症度を評価するポイント
① 重症度と緊急度の評価
 意識障害の中でも緊急性を有する患者には,上記の救急処置を行いながら,手術の適応のある患者を選別し,手際のよい全身管理を開始することが初療時の要点である.

 以下のような状態の意識障害を有する患者は重篤であり,手術や適切な治療が難しければ,しかるべき施設への転送も考慮する.
 ①突然発症した高度の意識障害は,緊急性が高い.重症度も一般に高い.
 ②高度(JCS III 群,GCS7点以下)の意識障害が持続ないし悪化する場合.
 ③嘔吐や高血圧,徐脈は脳圧亢進(Cushing現象)を示唆し,低血圧は生命の危機ととらえる.呼吸パターンの異常は脳幹機能不全やアシドーシスの進行,気道の障害を考える.
 ④瞳孔の散大,左右不同,対光反射消失,共同偏視,異常眼球運動,除脳硬直肢位,咳嗽反射(バッキング)の消失.
 ⑤高体温や異常な発汗は視床下部体温調節中枢の障害を示唆する.

意識とその評価法(コーマスケール)
 意識清明とは周囲の環境と自己を認識し,外界からの刺激や情報に適切な反応を示すことができる状態ということができる.
 意識水準を正常に維持するためには,脳幹に存在する脳幹網様体賦活系からの投射を受け,大脳皮質が正しく活動をしていなければならない.また,視床下部では睡眠と覚醒のリズムがつくられており,ここから大脳辺縁系への働きかけがあると同時に,中脳を介して大脳皮質へも働きかけている視床下部調節系も重要な役割を果たしている.
 したがって,意識障害は広範な大脳皮質障害や脳幹網様体の障害,視床下部の障害によって起こっているはずである.その原因によって,障害が脳細胞の器質的異常によるものと,代謝異常などのように脳の機能的異常によるものとに分けることもできる.

 意識障害の程度は古典的には,全く反応のないものを深昏睡(deep coma),痛みや不快な刺激に多少反応する半昏睡(semicoma),命令に対して反応がある程度できるものを昏迷,意識混濁,傾眠(stupor,confusion,somnolence)などと呼んで区別していたが,定義や境界があいまいなため,最近は以下に述べるコーマスケールに準じて評価することが一般的である.

① Glasgow Coma Scale(GCS)(表 1[表])
 急性期の意識障害の程度を,患者の開眼,発語,運動の3つの要素での反応様式を点数化することで予後を判定するスケールである.外傷を中心に作成されたが,その他の原因による意識障害の判定にも広く利用されている.
 正常は15点,最悪は3点である.注意すべきは,合計点数が同じになる複数の組み合わせがあるため,点数が同じでも意味の異なる患者が存在することである.
グラスゴースケール.jpg

② Japan Coma Scale(JCS)(表 2[表])
 わが国においては,意識レベルを客観的,数量的に表現する方法として,太田らによる3-3-9度方式が汎用される.
 しかし,点数の大きさに実数としての意味はなく,統計学的処理などには向かない(300は30の10倍重症ではない).
 コーマスケールはだれが行っても一定の結果が出る点に価値がある.それによって時間的経過と病状の推移が把握できることになる.
 しかし,患者の意識状態はコーマスケールだけで,評価し得る程単純なものではない.実際に診察した際の患者の反応,言語の状態,運動の状態などもそのまま具体的に記載する習慣をつけておくことも大切である.
3-3-9.jpg

神経学的診察のポイント
① 瞳孔径と対光反射の有無
 一側瞳孔散大,対光反射遅延,そして対側の片麻痺があれば,瞳孔散大側のテント上病変によるテント切痕ヘルニアを考える.
 しかし,まれには瞳孔散大側と同側に片麻痺がみられることがあり,これは大脳脚が対側のテント端で圧迫されるためである(Kernohan 圧痕という).
 瞳孔が両側とも著明に縮瞳している際には,橋出血,脳室内出血,ヘロイン,モルヒネ,バルビタール,有機リン中毒も疑われる.
② 眼球位置と眼球運動
 眼球が正中に固定しているか,不随意に動いているか,偏位がないかをみる.
 意識障害でも人形の目現象が正常であれば,前庭神経から動眼・外転神経を介する脳幹反射は保たれている.
 ただし,人形の目テストは頸髄損傷を合併していると考えられる患者には行ってはならない.
③ 運動麻痺の有無
 患者の自発的な動き,あるいは痛み刺激に対する反応からどちらの上下肢の動きが悪いかを判定する.
 ヒステリー性昏睡ではarm dropping testで顔面をさけて上肢が落下するのが特徴である.
④ 四肢の異常肢位
 除皮質硬直は大脳が広範に障害されたときに出現し,上肢は肘関節で屈曲,手首,手指も屈曲し,下肢は伸展かつ内転し,足関節も底屈する.
 除脳硬直は中脳レベルの障害でみられ,上肢は伸展,前腕は回内し,下肢は伸展し足関節は底屈する.除脳硬直は除皮質硬直より障害が重篤であると考えられている.
⑤ 錐体路症状
 四肢の筋緊張の亢進(クローヌス),深部腱反射亢進,バビンスキー反射やチャドック反射などの病的反射は錐体路の病変で一般的にみられる.
⑥ 髄膜刺激症状
 項部硬直やKernig徴候はその代表で,くも膜下出血や髄膜炎に特徴的であるが,発症直後や最重症例では逆に所見を欠くことがある.

行うべき検査の手順
① スクリーニング検査
 緊急検査を考える時,表3[表]のごとく必須項目と選択的項目に分けて選ぶことが必要である.
 そのうちの,必須項目に属するものは,あらゆる意識障害患者に対するスクリーニング検査で時間外でも速やかに行われる体制が望まれる.
② 心電図と胸部X線撮影
 心室性不整脈や房室ブロックなど徐脈性不整脈などが,Adams-Stokes発作との関連において重要である.
 胸部X線は心血管系の異常のみならず,中枢性肺水腫や誤嚥の有無,挿管チューブやカテーテルの位置確認にも必要である.
③ 頭部単純X線撮彰
 少なくとも正面,側面,タウンの3方向.骨折線(新鮮もしくは陳旧性の有無),トルコ鞍の拡大,異常石灰化像,松果体偏位などをみる.次に述べる頭部CTスキャンのほうが情報が多く,これを優先的に行ってもよい.
④ 頭部CTスキャン
 頭蓋内病変が疑われる場合,神経症状に左右差や巣症状のあるもの,意識障害の程度が強い場合などに適応がある.必要に応じて造影剤増強法を行う.
 CTスキャンは出血性病変の診断にもっとも価値があり,腫瘍,膿瘍,梗塞などにも適応がある.梗塞初期,髄膜炎,脳炎,また多くの代謝性脳症では明確な所見を得がたい.
脳室やくも膜下腔の拡大や変形は頭蓋内圧亢進や占拠性病変による間接的所見として有益である.
⑤ 腰椎穿刺
 CT導入前ほど頻用されないが,血性髄液,細胞数・蛋白量増加,髄液圧上昇の有無をみる.他の検査で病因が明らかでない場合,特に頭蓋内感染症で診断価値は大きい.少しの細胞増多,圧上昇も有益な情報であることがある.
 脳炎などが疑われる時には,ウイルス抗体価検査のためにも多めに採取し,凍結保存しておく(同時期の血清も凍結保存).
⑥ 頭部MRI
 CTで見逃されやすい頭蓋内病変にも診断的価値がある.急性期に施行できれば有用な情報が得られる.
⑦ 脳血管撮影
 脳動脈瘤など頭蓋内血管性病変の最終的診断に不可欠である.DSA(Digital Subtraction Angiography)は侵襲が少ない.
⑧ 脳波
 てんかん(postconvulsive coma)の診断には必須である.大脳の活動性を反映する.脳病変の局在診断にも役立つことがある.
⑨ 聴性脳幹反応(Auditory Evoked Potential)
 Ⅰ~Ⅴ波までの各波形が同定され,その潜時の計測により脳幹機能を評価できる.
 潜時の延長や波形の消失はかなり重篤な脳障害にのみみられる点に注意.
⑩ 中毒物質検査
 アルコール,医薬品過量(鎮痛解熱薬,睡眠薬,向精神薬,その他),その他の毒物の定性定量は,原因不明の意識障害の診断には重要であるが,薬物・毒物の特定ができない時には検索物質の選択や同定が極めてむずかしい.
⑪ 細菌学的検査
 中枢神経系感染症や敗血症による意識障害などの場合,血液,髄液の細菌学的検査は,適切な抗生物質療法の早期開始のために重要である.
 エンドトキシンの定量は,グラム陰性桿菌や真菌感染の指標となる.
 ウイルス抗体の証明も確定診断に重要であるが,結果が得られるまでに時間を要するため,治療的意義はうすい.
⑫ 血液凝固検査
 潜在的血液疾患(白血病,血友病,ITP,TTPなど),DIC合併,抗凝固療法の副作用などに基づく出血性病変の診断に役立つ.
緊急検査.jpg

緊急的処置
 救急外来で短時間で行うことが可能な処置は,意識障害の診断と並行して(もしくは先行して)行うことが必要である.
 次に,緊急手術が必要かどうかを判断し,その適応がなければ,最適な保存的治療を選択することになる.
① 気道確保と換気,酸素投与
 高度意識障害の全例と循環器疾患,低酸素血症,ショック,各種中毒,頭蓋内圧亢進状態などにおいて広く適用される(例外は酸素化により組織障害が促進されるパラコート中毒).
② 輸液,アシドーシスの補正,低血糖の補正,不整脈や血圧の異常に対する治療,尿量確保
 これらは迅速に行う.
 代謝性脳障害が疑われるが,すぐには検査データが得られない時には,低血糖かWernicke脳症を考え,ブドウ糖とビタミンB1100mgの投与を試みるべきである.これらは,適切な処置により急速に意識が改善するが見逃せば致命的となる.
 体温補正,電解質補正などは急激な変動が病態をかえって悪化させることがあり,時間をかけて慎重に行われるべきものである(例えば,低体温からの復温時に不整脈がみられたり低ナトリウム血症の急速なナトリウム補正により橋中心髄鞘脱落が起こる可能性がある).
③ 鎮静
 意識障害患者の鎮静は,以後の意識レベルの変動を評価できなくなることを知った上で行う.
 通常,マイナートランキライザーを投与するが,無効時にはメジャートランキライザーやバルビツレートの投与も,患者の安全と治療への協調のために必要となる.
④ 感染症対策
 全身性感染症(敗血症や菌血症),化膿性髄膜炎などの中枢神経系感染症はもちろんのこと,肺炎などの二次的感染症の予防や治療の目的でも抗生物質投与が必要である.
 ウイルス性髄膜炎である可能性が高い時には,アシクロビルの静注を積極的に行う.
⑤ 脳浮腫対策
 頭蓋内圧亢進が認められる時には,過換気によるPaCO2 の調節,高張溶液や利尿薬投与,水分制限などがある程度効果的である.
 頭部外傷や一部の脳血管障害にはバルビツレート療法も行われる.
⑥ 頭蓋内減圧手術
 急性水頭症に対する脳室ドレナージのほか,mass effectの強い頭蓋内血腫や膿瘍には絶対的手術適応がある.

どうしても診断がつかない時に試みること
 意識障害の原因は極めて多岐にわたり,かつ複数の因子が関与していることもある.問診の再度の聴取や症状の発現様式の再検討を行う.
 それでも診断できない場合には,スクリーニング検査の繰り返しに終始せず,幅広い視野での検査計画が必要となる.しかしながら,これらによっても診断がつかず,対症療法(気道の確保,感染予防,体液栄養管理など)のみで回復してしまう例も少なくない.
フローチャート.jpg

投稿者 akiuchi : 09:52 AM

November 10, 2006

ぜい弱、産科救急--末原則幸さん

大阪府立母子保健総合医療センター産科部長・末原則幸先生が奈良県大淀町立病院でおきた事故に関して産科救急システムについてインタビューを受けている。大阪はまだましといわれているのだが・・・
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迫:核心インタビュー ぜい弱、産科救急--末原則幸さん - 毎日新聞 (2435文字)
 2006年11月8日(水)

 ◇高リスクの出産増、母親の命もっと大事に--大阪府立母子保健総合医療センター産科部長・末原則幸さん(60)
 奈良県大淀町立大淀病院で今年8月8日未明、意識不明になった妊婦の搬送先がすぐに見つからず、大阪府の病院で死亡した問題は、産科救急システムのぜい弱さを見せつけた。受け入れられなかった19病院のうち17病院は大阪府にあり、大都市でも同じことが起こる可能性を示した。安心してお産はできないのか。大阪府の産科救急ネットワークの中核を担う府立母子保健総合医療センターの末原則幸・診療局長兼産科部長に聞いた。【科学環境部・根本毅】
 ――大阪府の産科救急システムはどうなっていますか。
 ◆府内では年間8万件の出産があり、約200の出産施設が支えている。多くは異常なく妊娠、出産が進むが、妊娠中の出血や切迫早産、前置(ぜんち)胎盤、難産、産後の出血など、地域の病院では対応しきれない場合もある。緊急事態の時に、高次病院で24時間受け入れられるように大阪産婦人科医会が87年、「産婦人科診療相互援助システム」(OGCS)を発足させた。最初はボランティアだったが、現在は府医師会のバックアップや府と大阪市の補助金を受けている。緊急手術ができるなどの条件を満たす43病院が参加し、システム整備や周産期医療の調査、医師研修などをしている。
 地域の出産施設で妊婦の搬送が必要になると、まず近くのOGCS参加施設に依頼が来る。そこで受け入れ不可能な場合、インターネットの空床情報を参考に受け入れ病院を探す。最近では、年間1500件の緊急搬送がある。全国でも先進的なシステムだ。
 ――大淀病院のケースでは、空床情報を利用してもなかなか搬送先が見つかりませんでした。
 ◆空床情報は1日1回をめどに更新するため、その後満床になることもある。ベッドが空いていても、医師が分〓(ぶんべん)中や手術中で対応できないこともある。最近は、私の施設でも搬送依頼を受けて他病院を探すケースが増えており、実感として空床が減っている。
 ――産婦人科医不足が影響していますか。
 ◆関連していると思う。産婦人科、新生児集中治療室、小児科、麻酔科の医師不足で、周産期医療を担う病院が段々少なくなっている。産科は忙しく、刑事や民事で訴えられることもあり、大学を卒業したばかりの医師に夢を与えられなくなっている。労働条件が改善され、忙しいところは忙しいなりに給料が出るようにして、多くの医師が知恵を出し合って妊産婦を助けるようにすれば、働きがいが出てくる。今は、各施設が少ない人数で頑張り、燃え尽きてしまっている。
 さらに、「危険な出産」を避ける傾向がある。福島県で前置胎盤の妊婦が帝王切開中の大量出血で死亡し、医師が刑事責任を問われた事件を受け、以前、帝王切開したことのある妊婦や、前置胎盤の妊婦を紹介してくる施設が増えた。また、不妊治療に伴う多胎(双子や三つ子など)や高齢の妊婦が増え、リスクのある出産が増えている。リスクの高い出産を高次病院に依頼するのは本来の姿だが、危険が少しでもあればすぐ送るようになっている。市民病院のような地域の中核病院が十分に受け入れないため、基幹病院の総合周産期母子医療センターにハイリスク症例が集中する。そのため受け入れられない事態に陥る。
 ――このままでは安心してお産できませんね。
 ◆今後、地域の基幹病院や中核病院を中心に、どう再編するかが大きな課題だ。システムがうまく機能するために、比較的危険性が低い妊婦は地域の中核病院で受け入れてもらう。もっと軽い妊婦は、地域の第一線の産科医に頑張ってもらう。救急時には高次施設がきちんと受けるという保証がないといけない。
 ――今回は主に大阪で転送先を探しました。
 ◆大阪の方が病院が探しやすいという状況がある。現在、個々の症例で奈良からの受け入れ依頼を断ることはないが、大阪のネットワークの中に奈良が入るとなると、大阪の人の行き先がなくなってしまう。奈良でもネットワークを整備してもらえれば、将来は大阪と奈良で連携できる。
 ――日本は、新生児死亡率は世界一低いが、妊産婦死亡率はそうではありません。
 ◆総合周産期母子医療センターは、妊娠固有の病気や早産、赤ちゃんの異常への対応を中心に整備している。我々の努力不足だったのだが、母親の命をもっと大事にしないといけない。産婦人科だけですべて救うのは無理。脳神経外科や麻酔科、救命救急センターなどと連携する必要がある。
 ――安心してお産をするために、妊婦にも気をつける点はありますか。
 ◆患者は賢くならないといけない。特に妊婦は、出産まで10カ月もあるのだから、危険な状態になった時のことについて医師ともっと話をして出産場所を選ぶのがいい。病院に産科医が何人いて、緊急の場合にはどうなるのか。どんな手術ができて、どんな場合に他に送るのか。情報公開が少ない原因は病院側にあるが、妊婦自身の働きかけで変わると思う。
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 ◇総合周産期母子医療センター
 緊急かつ高度な治療を必要とする母子に対応するための医療機関。国が04年に定めた「子ども・子育て応援プラン」で、同センターを中心とした周産期医療ネットワークを08年3月までに整備するよう、全都道府県に求めた。母体・胎児の集中治療管理室(MFICU)6床以上、新生児集中治療室(NICU)9床以上が国の方針だが、奈良県のほか、秋田、山形、岐阜、佐賀、長崎、宮崎、鹿児島の7県が現在も未整備。
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 ■人物略歴
 ◇すえはら・のりゆき
 1946年、大阪府生まれ。大阪大医学部卒。大阪府衛生部、阪大助手を経て、87年大阪府立母子保健総合医療センター産科部長。今年4月から同センター診療局長兼務。OGCS運営委員長。

[毎日新聞 ]


投稿者 akiuchi : 10:00 PM

November 08, 2006

2006.11.06 下野新聞 産科セミオープンシステム

栃木県でも産科の廃止が病院・診療所で急激に進んでいるのでセミオープンというシステムも必要になってくるのだろうが地域住民に果たして支持されるかどうか?
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とちぎ地域医療/産科機能の分業制導入/医師不足で県が検討/開業医 妊婦健診/中核病院 危険な出産/医療機関 連携を強化
2006.11.06 朝刊 1頁 第1面 (全915字) 
 県内中核病院で産婦人科が一時休止に追い込まれるなど産科医不足の深刻化を受け、開業医と連携する中核病院とが分業する「産科セミオープンシステム」の導入に向け、県が検討に乗り出すことが五日までに分かった。開業医に妊婦健診までは最低限担ってもらい、母子に危険が伴うような「ハイリスク出産」などに病院が専念できるような機能分化を推し進める。「新たな産科医確保は難しく、県内の出産を支えている病院と診療所の効率的な連携を目指したい」(県保健福祉部)考えだ。


 同部によると、県内で産婦人科を掲げる医療機関は、病院十五カ所と診療所八十七カ所になる。しかし産科医の高齢化やお産をめぐる訴訟リスクの高まりなどで、「診療所の中には産科をやめて妊婦健診もしていないところもある」という。

 今年四月には宇都宮社会保険病院が産婦人科の常勤医二人の退職で、同科を一時休止した。

 県が検討する産科セミオープンシステムは、開業医の出産撤退の傾向に歯止めをかけ、病院に押し掛けていた妊婦健診には対応してもらい、病院勤務医の負担を軽減。ハイリスク出産は設備が整った中核病院に集約化することで、安全性を高める分業の仕組みだ。

 国は医師配置の集約化・重点化を打ち出しているが、「病院経営や患者の利便性から一病院への医師集約化は非常に難しい。病院の医師配置は換えずに、診療所を含めた医療資源を有効活用することで県内の出産を支えることができる」(同部)としている。

 一方、医療法に基づいた県内五つの保健医療圏別に見ると、県西保健医療圏(日光市、鹿沼市、西方町)は病院と診療所を合わせても産婦人科を掲げる医療機関は七カ所しかなく、最も少ない。

 このため昨年一年間に生まれた赤ちゃんのうち同圏域内の出産は五割にとどまり、二割が隣の宇都宮市で出産している。

 先の県医療対策協議会では中核病院の産婦人科部長が、「手足になる若い医師はいても頭脳になる中堅医師が足りない。具体策を考えてほしい」と厳しい現状を訴えた。

 具体的な検討は対策協の産科部会で十一月中にも始まる。県保健福祉部は「現在の保健医療圏の枠組みを超えたセミオープンシステムづくりも議論になる」としている。


 [表あり]産科セミオープンシステム


下野新聞社

投稿者 akiuchi : 03:13 PM

本田宏先生のブログ;アンガージュマン

日経メディカル・ブログ;本田宏の「勤務医よ、闘え!」が暑い!
11月6日は日本の病床数過剰説(欧米の4倍)の嘘を暴いている。
11月7日は勤務医に医師会への参加を呼びかけている。
アンガージュマンというのはサルトルの言葉でフランス語で社会参加を意味するそうだ。(知らなかった)
なぜ今頃サルトルという忘れられた思想家の名前が出てくるのか良くわからないが勤務医のみならず若い開業医も医師会の活動はダサいから敬遠するというような傾向があるが年寄り連中に舵取りを任せているととんでもない方向に自分たちも連れて行かれるのだということに気づかなければならない。
政治活動から若者が遠ざかって久しいがそろそろ若者が政治に戻ってこないとこの国は大変なことになりそうだ。産科医療の崩壊は日本沈没の前兆現象だということをみんなが認識すべきだと思う。そのために私もアンガージュマンを目指したいと思う。

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2006. 11. 6
「日本の病床数過剰」説のトリックを明かす
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/honda/200611/501761.html

2006. 11. 7
勤務医のアンガージュマンを求める
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/honda/200611/501782.html

投稿者 akiuchi : 02:18 PM

夜間助産師学校

果たしてこの夜間学校が開業産科医の助産師不足を救えるのだろうか?
私は看護師による内診に違法性はないという主張を通すべきだと思うのだが?
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初の夜間助産師学校、水戸に来春設立 看護師20人受け入れ

 産科診療所の看護師が働きながら助産師資格を取得できるように、全国初の夜間助産師学校が来年4月に水戸市内に設立される見通しとなった。水戸市医師会が同医師会立看護学校の校舎を利用して設立する。教育期間1年で20人を受け入れる。
 診療所の助産師不足を解消するため、日本産婦人科医会が全国の医師会に、夜間学校の設立を働きかけており、水戸市のケースが第1号となった。同医会は「これをモデルに全国に広げ、今後10年間に6000人の助産師を養成したい」としている。
 厚生労働省によると、国内には現在、約2万6000人の助産師がいるが、約7割は大病院に集中している。個人開業の産院では助産師不足から、看護師による違法な助産行為が広く行われていると指摘されている。今年8月には横浜市の産院が、今月も愛知県豊橋市の産院が、看護師に助産行為をさせたとして、保健師助産師看護師法違反の疑いで摘発された。
 看護師が助産師になるには、6か月以上の専門教育を受け、国家試験に合格する必要があるが、今ある助産師学校はすべて全日制で、働きながら通える夜間学校はない。

[読売新聞 ]

投稿者 akiuchi : 01:40 PM

特集:奈良・妊婦転送死亡 理想の体制築けるか----周産期医療の現状と課題

珍しくいつも一方的な医師批判に終始している毎日新聞が自己批判めいた記事(?)を掲載していた。日本のマスコミ(マスゴミという人もいるようだが)による偏向”医療報道”が改善される可能性はあるのだろうか?

「 一方、報道への批判も。ある読者は「人手不足で過酷な勤務が続く中、こまやかなケアができないのが日本の産科医療の現状。力を出し切っても結果が悪ければ犯罪者として糾弾されるから医学生が少なくなる」と指摘。米国在住の外科医は「司法判断、マスコミの過熱報道のため、医師は一か八かで頑張って患者を助けようということができなくなっている。“萎縮(いしゅく)防衛医療”は既に始まっている」と記した。」
理想の体制築けるか 周産期医療の現状と課題
06/11/07
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社
ID:357814


特集:奈良・妊婦転送死亡 理想の体制築けるか----周産期医療の現状と課題

 奈良県大淀町立大淀病院で意識不明になった妊婦を転送する病院がすぐに見つからず、大阪府内の病院で死亡した問題は、地域によって周産期医療の体制に差がある現実を示した。この問題を受け、国は来年度中に緊急かつ高度な治療が必要な母子に対応する「総合周産期母子医療センター」を整備し終えることを明言した。誰にとっても身近な問題だけに、報道に対し、さまざまな意見が届いている。理想的なシステムは築けるのか。周産期医療の現状と課題を考えた。

 ◆奈良

 ◇後方病床少なく、集中治療室の回転率低下 新生児受け入れ、悪循環

 今年8月8日午前0時ごろ、奈良県五條市の高崎実香さん(32)が大淀病院で分娩(べん)中、意識不明に陥った。病院は同県内の拠点病院となっている県立医科大付属病院(橿原市)、次いで県立奈良病院(奈良市)に受け入れを打診したが、いずれも満床だった。この2病院を含めて19病院(奈良県2病院、大阪府17病院)で受け入れが不可能とされ、高崎さんは約6時間後、約60キロ離れた国立循環器病センター(大阪府吹田市)に収容された。男児を出産したが、高崎さんは同月16日に死亡した。

 高崎さんの死因は脳内出血だったが、大淀病院は、妊婦が分娩中にけいれんを起こす子癇(しかん)発作と診断。大淀病院の原育史院長は、問題発覚後の会見で「子癇発作の疑いとした点で、判断ミスがあった」と話した。

 今回のケースでは、全国トップレベルの周産期医療体制を誇る大阪府でも17病院が受け入れられなかった。病床数不足や医師不足などを背景に、高リスクの患者の受け入れが大都市でも厳しい状況であることを示した。毎日新聞が17病院のうち9病院に取材した結果、大半が「満床」や「処置中」などだった。

 一方、奈良県の柿本善也知事は「速やかな医療提供が出来なかったことを、誠に残念に思います」とコメントし、未整備の総合周産期母子医療センターを来年度の早期に設置すると明言した。

 同県の周産期医療体制は、他の自治体に比べて立ち遅れている。母体・胎児の集中治療管理室は、02年度に設けた3床だけ。出生1万人当たりで見た新生児集中治療室は全国平均のほぼ半数にとどまる。

 また、新生児集中治療室を出た新生児を受け入れる後方病床数は全国ワースト1の6床しかなく、ただでさえ少ない新生児集中治療室の回転率を下げている。結局、母体の緊急搬送の約4割を平均約1時間をかけ、県外に運んでいた。【今西拓人、中村敦茂】

 ◆診療相互援助システム先進地・大阪

 ◇母体の死亡率、20年で激減

 大阪府では、緊急かつ高度な産科救急と母体搬送に対応する独自の「産婦人科診療相互援助システム(OGCS)」を運用、約20年で、母体の死亡率を激減させるなど、効果を上げている。

 大阪府ではかつて、母体の死亡率が高かった。80年には出産10万件当たり27件に上り、全国平均の19・5件より悪かった。これを改善するため、大阪産婦人科医会が中心となって設立したのが同システムで、87年から運用を始めた。当初34病院だったが、現在は43病院に増え、新生児集中治療室の空床状況などの情報も共有。母体の死亡率は著しく改善し、04年は出産10万件当たり、母体死亡は2・4件まで減った。

 課題もある。システムの周知が進むと共に、システムの利用率が伸び、救急搬送の取扱件数が年々、増加。96年に963件だったのが、05年は1779件にまで増えた。このため、満床になる病院が多くなり、母体搬送の依頼に十分に応えられなくなってきている。リスクの高い産科救急に余裕を持って対応するためにも、産科医や病床数の増加が必要だという指摘がある。【河内敏康】

 ◆国が目指す体制とは

 ◇総合周産期母子医療センター、未整備8県「来年度中に運用開始」

 「周産期」とは、妊娠22週から生後7日未満までの期間を指す。妊娠に伴い母体が病気になったり、早産で低体重児が生まれるなどの危険性があり、周産期では緊急事態に備え、医療体制を整備する必要がある。国が目指す周産期医療体制はどんなものなのか。

 未熟児の増加などに伴い、国は96年、周産期医療システムの構築に乗り出した。整備指針で、総合周産期母子医療センターの整備や、周産期医療従事者の研修などを盛り込んだ。04年の「子ども・子育て応援プラン」では、同センターを中心とした周産期医療ネットワークの整備を、08年3月までに完了するよう全都道府県に求めた。

 総合周産期母子医療センターは、母体・胎児の集中治療管理室(MFICU)6床以上、新生児集中治療室(NICU)9床以上を備えた施設。奈良県のほか、秋田、山形、岐阜、佐賀、長崎、宮崎、鹿児島の7県が現在も未整備だ。このうち奈良など4県で国の方針を満たす計画が策定されていない。

 同センターの整備には数億円程度かかるが、リスクの高い母体や胎児の救命には不可欠な施設だ。この問題について柳沢伯夫・厚生労働相は先月27日の衆院厚生労働委員会で、「適切に救急搬送されなかったことは明らか」と答弁。そのうえで「助言、指導や、補助金支給で(総合周産期母子医療センターの)早期構築を促す。08年3月までに実施し、動かす」と述べ、来年度中に運用を始めることを明言した。【河内敏康】

 ◆反響

 ◇明らかな人災。人ごとではない/出産には危険が伴う

 ◇過熱報道で“萎縮防衛医療”が始まっている

 一連の報道を受け読者からの反響は100件を超えた=写真。周産期医療の早急な体制整備を求める声や、問題の背景に疲弊した医療現場の現状があるとの指摘があった。一方で、報道に対する批判も4割近くあった。

 緊急搬送体制の不備に対する不安の声は多い。メールで感想を寄せた女性は「今回の問題は明らかな人災。奈良での出産を考えていたので人ごとではない。実態を明らかにして、対策を立ててほしい」と訴えた。

 また、奈良県に住む40代の主婦は「本当に痛ましいこと。県外に搬送されることのないよう奈良の病院は態勢を考えて」と注文を付けた。

 出産には危険が伴うことを報道するべきだという声もあった。福岡県の医師は「出産は危険な側面をもち、100%の安全を保証できるものではない」。別の医師は「合併症を併発した分娩では(出産は)命がけの仕事だ。しかし、患者と家族は、元気に赤ちゃんが生まれ、母親も健康に退院できるのが当たり前と考えている」と訴える。

 一方、報道への批判も。ある読者は「人手不足で過酷な勤務が続く中、こまやかなケアができないのが日本の産科医療の現状。力を出し切っても結果が悪ければ犯罪者として糾弾されるから医学生が少なくなる」と指摘。米国在住の外科医は「司法判断、マスコミの過熱報道のため、医師は一か八かで頑張って患者を助けようということができなくなっている。“萎縮(いしゅく)防衛医療”は既に始まっている」と記した。

 ◆一つの病院では完結しない----出産ライター・河合蘭さん

 今回の問題について、出産ライターの河合蘭さんに聞いた。

    ×

 お産は、一般の病院では対応できないことが何の前触れもなく起こる。しかし、その怖さは、なかなか現場の医師ら以外には伝わらず、「安全」と高をくくる行政と温度差が生じているのではないか。

 奈良県が、緊急で高度な治療を要する母体の約4割を県外搬送していた現状は深刻だと思う。周産期医療体制の整った大阪府に頼っていたのだろう。東京と隣県との間でも同様の関係がみられるが、最近は各県でも総合周産期母子医療センターが整備され、改善に向かって努力がなされている。高齢出産の増加などでこれからハイリスク出産は増えると考えられるし、県内の体制整備は急務だ。

 周産期医療は一つの病院では完結せず、地域で支える必要がある。大淀病院のように、総合病院でも麻酔医が常勤でなく、すぐに手術が出来ない病院も珍しくない。だからこそ、ここと定めたセンターに、迅速に送れる仕組みを整えることが求められている。【聞き手・中村敦茂】

 ◆医師助ける体制改善を願う----青木絵美(奈良支局)

 「緊急かつ高度な治療が可能な病院に搬送するシステムが機能しない現状を、行政も医師も私たちも直視すべきだ」。私は、10月26日朝刊「記者の目」でそう訴えた。これに対し「記事は医師、医療機関を悪者に仕立てている」という意見が寄せられた。だが私を含め担当記者は当初から、医師1人の責任で終わる問題ではないと考えてきた。

 待合室が患者であふれ、妊婦1人の検査、診察が2時間以上かかる現実を、奈良県内の病院で目の当たりにした。休みなく診察室と検査室を動き回る医師には、頭の下がる思いもした。お産に絶対の安全はない。だからこそ、万一の場合に備えた体制づくりは必要だと思った。それが現場の医師の助けにもなるからだ。

 県は高リスクの妊婦搬送のあり方を議論する検討会の設置方針を明らかにした。現場の医師の参加も求めており、双方が意見を出し、体制の改善が進むことを願う。

参考
10月26日毎日新聞・朝刊「記者の目」

記者の目:「次の実香さん」出さぬように=青木絵美(奈良支局)

 ◇「人と予算」伴った対策を--医師だけを問責するな
 奈良県大淀町立大淀病院で今年8月8日、分娩(ぶんべん)中に意識不明になった高崎実香さん(32)が、19病院から搬送を断られた後、大阪府吹田市の国立循環器病センターで男児を出産し、8日後に亡くなった。私は取材を通じ、出産前後の医療システムについて考えさせられた。「財政難」を理由にその整備を怠ってきた奈良県と、深刻な医師不足で激務を強いられている医療現場双方が、「次の実香さん」を出さないよう、今こそ「人と予算」の伴った対策をとるべきだと言いたい。
 取材は8月中旬、高崎さん一家の所在も分からない中で始まった。産科担当医は取材拒否。容体の変化などを大淀病院事務局長に尋ねても、「医師から聞いていない。確認できない」。満床を理由に受け入れを断った県立医科大学付属病院(同県橿原市)も個人情報を盾に「一切答えられない」の一点張りだった。
 搬送先探しが難航した背景は根深い。取材を進めると、緊急かつ危険な妊婦を処置できる「総合周産期母子医療センター」は8県(秋田、山形、岐阜、奈良、佐賀、宮崎、長崎、鹿児島)で未整備だった。危険な母体を大阪府などに送る奈良の県外依存は、ここ数年3~4人に1人の割合で推移する。県医務課の釈明は、「看護師不足や財政難がある」。ただ、新生児集中治療室(NICU)が40床あることを挙げ「この病床数は大都市を除いて多い」と、整備を急ぐ構えは感じられなかった。
 「だったら、なぜ妊婦は県外に送られたのか」「遺族はこの現実をどう思うか」。実香さんの遺族にたどり着けたのは10月だった。義父の憲治さん(52)は当初、「実香ちゃんの死を汚す結果にはしたくない」と、取材への不安を口にした。「県内の実態を改善させるよう継続的に取材する」と伝えると、憲治さんの話は5時間以上に及んだ。
 実香さんは頭痛を訴えた直後に意識不明に陥った。家族は脳の異状を疑い「CT(コンピューター断層撮影)を」と主治医にすがったが、分娩中にけいれんを起こす子癇(しかん)の判断は変わらず、搬送先探しが優先された。結局、死因は脳内出血。「担当の先生は、息子(実香さんの夫)も取り上げてくれた。『親子でお世話になれるな』と喜んでいた。病院の説明があったとき、事務局長に『誰のために働いてる』と聞いたら『町、病院のため』と答えたよ」。憲治さんの言葉には、信頼する医師の下で起きた事態へのやりきれなさがあふれていた。 記者の目:「次の実香さん」出さぬように=青木絵美(奈良支局)

 ◇「人と予算」伴った対策を--医師だけを問責するな
 奈良県大淀町立大淀病院で今年8月8日、分娩(ぶんべん)中に意識不明になった高崎実香さん(32)が、19病院から搬送を断られた後、大阪府吹田市の国立循環器病センターで男児を出産し、8日後に亡くなった。私は取材を通じ、出産前後の医療システムについて考えさせられた。「財政難」を理由にその整備を怠ってきた奈良県と、深刻な医師不足で激務を強いられている医療現場双方が、「次の実香さん」を出さないよう、今こそ「人と予算」の伴った対策をとるべきだと言いたい。
 取材は8月中旬、高崎さん一家の所在も分からない中で始まった。産科担当医は取材拒否。容体の変化などを大淀病院事務局長に尋ねても、「医師から聞いていない。確認できない」。満床を理由に受け入れを断った県立医科大学付属病院(同県橿原市)も個人情報を盾に「一切答えられない」の一点張りだった。
 搬送先探しが難航した背景は根深い。取材を進めると、緊急かつ危険な妊婦を処置できる「総合周産期母子医療センター」は8県(秋田、山形、岐阜、奈良、佐賀、宮崎、長崎、鹿児島)で未整備だった。危険な母体を大阪府などに送る奈良の県外依存は、ここ数年3~4人に1人の割合で推移する。県医務課の釈明は、「看護師不足や財政難がある」。ただ、新生児集中治療室(NICU)が40床あることを挙げ「この病床数は大都市を除いて多い」と、整備を急ぐ構えは感じられなかった。
 「だったら、なぜ妊婦は県外に送られたのか」「遺族はこの現実をどう思うか」。実香さんの遺族にたどり着けたのは10月だった。義父の憲治さん(52)は当初、「実香ちゃんの死を汚す結果にはしたくない」と、取材への不安を口にした。「県内の実態を改善させるよう継続的に取材する」と伝えると、憲治さんの話は5時間以上に及んだ。
 実香さんは頭痛を訴えた直後に意識不明に陥った。家族は脳の異状を疑い「CT(コンピューター断層撮影)を」と主治医にすがったが、分娩中にけいれんを起こす子癇(しかん)の判断は変わらず、搬送先探しが優先された。結局、死因は脳内出血。「担当の先生は、息子(実香さんの夫)も取り上げてくれた。『親子でお世話になれるな』と喜んでいた。病院の説明があったとき、事務局長に『誰のために働いてる』と聞いたら『町、病院のため』と答えたよ」。憲治さんの言葉には、信頼する医師の下で起きた事態へのやりきれなさがあふれていた。
 その取材から3日後、実香さんの実父母、夫の晋輔さん(24)にも話を聞いた。「脳内出血の処置を受けているのに、母乳がたまっているのか胸が張ってね……」。意識のない中、実香さんは母であろうとしたのだ。その後、遺影の実香さんと、生後2カ月で愛くるしい笑顔の長男奏太(そうた)ちゃんに対面した。一家は考えた末、取材が殺到するのを「覚悟してます」と、実名と写真の掲載に同意した。
 報道以降、多数のファクスやメールが届いている。「医師の能力不足が事態を招いた印象を与え、一方的だ。医療現場の荒廃を助長する」という医師の声も少なくない。だが、記事化が必要だと思った一番の理由は、医師個人を問題にするのではなく、緊急かつ高度な治療が可能な病院に搬送するシステムが機能しない現状を、行政も医師も、そして私たちも直視すべきだと思ったからだ。居住地域によって、助かる命と失われる命があってはならない。
 NICUに9床を持つ県立奈良病院(奈良市)では、緊急処置の必要な妊婦受け入れに対応できるよう、正常分娩の妊婦を開業医に移す自助努力を重ねてきた。また、今回の問題を受け、県医師会の産婦人科医会も母体を産科以外で受け入れるなどの対策を打ち出した。医師の研修制度改正や産科医不足から、県内でも過去2年間で3病院が分娩を取りやめるなど影響は深刻だが、可能な限り、知恵を絞らねばならないと思う。
 一方、県は医師会の対策をなぞるように、県内の民間2病院へ搬送受け入れを要請。だが、これは本来のセンター整備の遅れを補うに過ぎない。現時点で県は、人員確保を含めた体制作りを09年度中としているが、前倒しすることも検討すべきだろう。
 初めて大淀病院に行った時、私は待合室で2カ月先まで分娩の予約が埋まっているとの張り紙を見た。「地域の妊婦がこの病院と医師を信じ、通っている」。憲治さんは「やがては実香ちゃんの死に意味があったと思いたい」と訴えた。失われた実香さんの命を見つめ、医療従事者、行政は同じ過ちを繰り返してはならない。
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 「記者の目」へのご意見は〒100-8051 毎日新聞「記者の目」係へ。メールアドレスkishanome@mbx.mainichi.co.jp

[毎日新聞 ]

投稿者 akiuchi : 12:09 PM

November 05, 2006

ジョアン・ジルベルト joao gilberto

ジョアン・ジルベルトは神様?
2006年の日本公演は果たしてどうなんだろう?

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1979年のジョアン・ジルベルト
 ジョアン・ジルベルトの2003年の初来日以来、日本では(日本だけでないかもしれないが)ジョアン・ジルベルトは神様と崇められている。ネットで検索すると、ライブが神々しかったというレポートをいろいろな人が書いている。
 私がジョアン・ジルベルトを初めて聴いたのは、1979年頃だが、その頃はやっていたのは「テクノ・ポップ」や「フュージョン」で、ボサノヴァは過去の音楽と見なされ、ジョアン・ジルベルトを知っている級友はいなかった。なんかのきっかけで私がボサノヴァ好きだと級友にばれてしまい、さんざん馬鹿にされた。25年前に「ナウかった」音楽が今は省みられることが少なくなり、当時「過去の音楽」だったものが今も多くの人々をとらえ続けている。
 当時、私が住んでいた札幌には、玉光堂というレコード屋であった。当時、玉光堂ではレコードの試聴というのができて、聴きたいレコード(当時はLP)を持っていくと何でもヘッドフォンで聴かせてくれた。お金のない中3坊主にとってはこれはすごく有り難くて、だいぶレコードのタダ聴きをした。たぶん4枚試聴して1枚買うといったペースだっただろう。店の人にとっては迷惑な少年だったに違いない。
 ともあれそうして試聴して買わなかったレコードの一つに、ボサノヴァのいろんな曲を集めた編集盤があり、ジョアン・ジルベルトの「Samba de Uma Nota So」(ワン・ノート・サンバ)が入っていた。
 
アストラッドとジョアン
 ご多分に漏れず、私もボサノヴァ(というかブラジル音楽)が最初に好きになったのは、アストラッド・ジルベルトの「おいしい水」や「イパネマの娘」とかで、妹のエレクトーンの教本にでていて覚えた曲のオリジナルを聴いて、かっこいいと思ったのが最初だった。
 糖衣でくるんだようなアストラッドの音楽とは違って、初めて聞くジョアン・ジルベルトは何が何だか訳がわからない、という印象だった。ジョアンの歌は、ギターで刻むリズムの前へ行ったり、後をついてきたり、いつもずれているようだった。
 だが、ジョアン・ジルベルトに触れたことで、ボサノヴァが単なるイージー・リスニングでないことを知った。元妻のアストラッド・ジルベルトとは違う「本物」の響きがそこにあった。貴重な小遣いは当然のごとく、アストラッドではなくジョアンのアルバム購入に使った。
 初めて買ったジョアンのアルバムはJoao Gilberto(1973)で、高1の時だ。このアルバムにはすごくはまった。もし天国に何か一つだけ持っていっていいと言われれば、当時の私は迷わずこのアルバムをあげただろう。すり切れるまで聴き込んだ、と言いたいところが、すり切りたくなかったのでカセットにダビングしてカセットのほうを聴き込んだ。それでも、レコードを扱う時に緊張して傷をつけてしまった。いろいろとつらい時はこのアルバムを続けて何回も聴いた。当時の私の生存を支えていたといっても嘘ではない。

ジョアンを聴いて何を思い浮かべる?
 高校の時、学校の放送局をやっていた私は、Joao Gilberto(1973)を放送局のみんなに聴かせたり、お昼の校内放送で流したりした。ある友達(女)は、「暗い部屋で一人落ち込んでしんみり聴くといい」と言っていた。だけど、これはちょっと私には意外だった。
 ジョアンの音楽は明るいと思った。そもそも短調の悲しげな曲はほとんど歌っていない。上記のアルバムに入っている「黒と白の肖像」は、まるで悲嘆の中に崩れ落ちていくような曲で、これはこれでジョアンの名演の一つだけど、例外的だ。
 時としてギター以外の伴奏を伴わないことや録音の仕方(エコーをかけない)のせいで、密室の中のような気持ちになるかもしれないが、例えば上記のアルバムに入っている「ウンディウ」という曲をじっと聴いているとブラジルの暑い太陽や乾いた大平原が浮かぶ。1980年のライブ盤に入っている「クラレ」「私とそよ風」は、緑の森から吹いてくる涼やかな薫風の香りがする。

投稿者 akiuchi : 11:06 AM

イパネマの娘 ベスト・オブ・アストラッド・ジルベルト

イパネマの娘-ベスト・オブ・アストラッド・ジルベルト-
アストラッド・ジルベルト (アーティスト)
イパネマの娘.jpg
CD (1997/6/18)
ディスク枚数: 1
レーベル: ユニバーサルクラシック
ASIN: B0000563YH
曲目リスト

1. イパネマの娘
2. おいしい水
3. 過ぎし日の恋
4. トリステーザ
5. 瞑想
6. ビリンバウ
7. 春の如く
8. モロ
9. サマー・サンバ
10. コルコヴァード
11. ディンディ
12. アルアンダ
13. フェリシダージ
14. オンリー・トラスト・ユア・ハート
15. ビーチ・サンバ
16. お馬鹿さん

内容(「CDジャーナル」データベースより)
{ボサ・ノヴァの女王}の登場です。スタン・ゲッツのテナーに乗ってうたうアストラッドの気だるい唱法の1の大ヒットによって,ボサ・ノヴァのスタイルは決まってしまいました。未だに彼女のうたは,忙しくて乾いた都会人の心をいやしてくれる。


Album Details
Nice price Japanese reissue of 1987 Best Of collection featuring 16 tracks, Including 'The Girl From Ipanema', 'Once I Loved' & 'Birimbau'. Verve. 1997.

アストラッド・ジルベルト (Astrud Gilberto、1940年3月29日 - )は、ブラジル出身の、サンバ・ボサノバ音楽の歌手。 アストラッドは、バイーア州に、アストラッド・ワイナート(Astrud Winert)として、ブラジル人の母とドイツ人の父親の間に生まれ、リオ・デ・ジャネイロで育った。

アストラッドは1959年にジョアン・ジルベルトと結婚した。彼らは1963年にアメリカ合衆国に移住し、アルバム「ゲッツ/ジルベルト(Getz/Gilberto)」でジョアン・ジルベルト、スタン・ゲッツ、アントニオ・カルロス・ジョビンと共演した。そのときまで彼女はプロの歌手として歌ったことはなかったが、彼女の歌声にプロデューサーのクリード・テイラーが目をつけ、彼女が英語で歌う「イパネマの娘」がレコーディングされ、これがアメリカを中心に大ヒットする。しかし、ジョアンとアストラッドは1960年代の半ばに離婚する。

「イパネマの娘」の大成功により、彼女は一躍ジャズスターとなり、その後すぐにソロ・デビューする。彼女はブラジルのボサノバと、アメリカのジャズ・スタンダードの架け橋的な役割を果たす。1970年代には、彼女自身が作曲した曲もレコーディングするようになる。

投稿者 akiuchi : 10:55 AM

November 03, 2006

「日医ニュース」11月5日号 朝日新聞論説委員 梶本章

「開業医の報酬を下げ、病院勤務医の報酬を上げることを提案しています。」ということで一部の医師から反発が出ているが内科開業医に美味しい診療報酬体系は見直さなければならないだろう。
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日本医師会発行の「日医ニュース」11月5日号
オピニオンのコーナー
朝日新聞論説委員 梶本章
京大経済卒

NO.36
日医 ピンチはチャンス
梶本 章(朝日新聞論説委員)
朝日新聞論説委員(担当は社会保障と政治).昭和48年京大経済学部卒,同年朝日新聞社入社.以来,週刊朝日副編集長,朝日新聞政治部政治面編集長などを歴任し,平成15 年より現職.


「赤ひげ」なのか.それとも「欲張りムラの村長」なのか…….

医師の評価をめぐっては,いつも相反する二つの見方が交錯する.しかし,「赤ひげ」は,こんな医師がいればいいのに,という理想像.現実はどうかと問われれば,「欲張りム ラの村長」と答える人が多いに違いない.
これを裏付けるように,橘木俊詔京大教授らは『日本のお金持ち研究』で,「医師は日本において経営者層とともに高所得者の代表選手」と分析する.
それだけではない.国民の多くは日本医師会を自民党とつながる圧力団体の代表選手と見ている.確かに昨年の日本医師連盟の政治献金額は約三億九千万円.日本薬剤師連盟と並 んで突出している.
こんな身近なデータからも,お医者さんは「欲張りムラの村長」.日医は「自民党とつながった圧力団体」という印象をもたれても仕方がないのではないか.
しかし,最近の医療制度改革をめぐる動きを見れば,日医の活動がうまくいっているとはとても思えない.診療報酬一つとっても二〇〇二年からマイナス改定が続く.その診療報 酬を決める中医協は,日医の発言権が大きく狭められた.「日医の黄昏」と言ってもいい.
だが,ピンチはチャンス.そういう厳しい冬の時代だからこそ,新たな再生の芽も出ていると言いたい.

低医療費政策のなれの果て

それにしても,最近の医療費の抑制はすさまじい.小泉前首相が進めた医療の構造改革をざっと振り返って見ると―
二〇〇二年医療制度改革=(1)サラリーマンの医療費の患者負担を二割から三割へ引き上げる(2)サラリーマンの保険料をボーナスを含めた総報酬制とし,政管健保の保険料 を引き上げる(3)診療報酬の本体を初めてマイナス一・三%引き下げる.
二〇〇六年医療制度改革=(1)現役並みの所得がある高齢者の患者負担を二割から三割に引き上げる(2)新しい高齢者医療制度を創設し,全国一本で運営される政管健保など 医療保険を県単位に再編する(3)診療報酬の本体をマイナス一・三六%引き下げ,医療費を削減するため療養病床の再編を進める.
小泉前首相は一連の改革を「三方一両損」と言い表した.患者も,保険者も,医療提供者も等しく痛みを分かち合うと言うことだ.そこに貫くのは,ありとあらゆる手を尽くして 医療費を削減するという発想だ.
私は,この改革を,厳しいがやむを得ないものと受け止めている.
経済の低迷が続き,もう,かつての高度成長は期待できない.日本の人口が減り始め,高齢化率は二〇%を超えた.日本の財政は国と地方を合わせ約八百兆円の借金を抱え,破綻 寸前だからだ.
いつでも,どこでも,だれでも,病気になったら必要な医療を受けられる.国民皆保険を守るためには,医療のムダをなくし,必要な費用は負担し,高齢化に対応した仕組みに改 めていかねばなるまい.
だが,一連の低医療費政策の副作用も生じてきた.英国ではサッチャー政権による医療費抑制の結果,深刻な待機者問題が生じた.ブレア政権は,逆に医療費の投入に転じたが, 一旦壊れた医療供給体制は簡単には元に戻らないと報告されている.最近,全国で問題になっている医師不足は,英国の出来事と同様,日本の医療提供体制のほころびを示してい るのではないだろうか.
政府は,「骨太の方針二〇〇六」で,基礎的財政収支(プライマリーバランス)を二〇一一年に黒字化するため,今後も歳出削減を続け,社会保障についても一兆六千億円の削減 を求めるという.つまり,小泉改革の五年間と,ほぼ同額の歳出削減をまた続けろと言うのだ.
本当に,今までと同じペースで医療費を削っていけるのか.必要な医療サービスを,安心して利用できるのか.こと,ここに至って,国民は大きな選択の時を迎えている.

今こそ日医が主導権を発揮する時

子どもを産もうと思っても産科医がいない.急病の子どもを診てくれる小児科医がいない.地域の拠点病院では医師が激減し,診療が滞っているところも出ている.本当に地域の 医師不足は深刻である.
なぜ,こんなことになったのか.新しい臨床研修制度の導入で大学の医局にあった医師の供給機能が壊れた,フルタイムで働けない女性医師が増えた,医師が患者を診る時間が長 くなった―など,いろいろな理由があるが,低医療費政策により,病院の余裕がなくなったことが大きいのではないか.
いくら国民皆保険制度の仕組みがあっても,医師がいなければ絵に描いた餅だ.患者やその家族にとっては,生命にかかわる深刻な問題だ.ここは考え得る限りの手立てを講じな ければいけない.例えば―
医学部の定員を増やす.地方の医学部は地元枠を拡大する=即効性はないが,中期的には医師の配置に余裕を持たせることができる.
産科,小児科,へき地医療などの診療報酬を上げる=経済的なインセンティブを与え,不足している分野へ医師の参入を図る.
医療費を開業医より病院に手厚く配分する=過酷な勤務に耐えかねた病院の医師が開業医へ流出するのを止める.
どこでも好きなところで開業できるという“自由開業制”や,好きな診療科目を選べるという“自由標榜制”を見直す=こうすることで強制的に必要な医師が確保できる.
さまざまな医師確保策が,厚生労働省を中心に,これから打ち出されるに違いない.日本の医療の財政面は診療報酬体系で,箸の上げ下げまで規制されているが,提供体制は基本 的に医師の裁量に委ねられてきた.しかし,不足が深刻になれば,その分野への規制が強まることも予想される.
だが,こうした問題こそ,厚労省に頼るのではなく,日医が主導権を発揮するべきではないか.
日医が全面的にリーダーシップをとって,産科や小児科における医師不足を解消したり,へき地医療を充実させる手立てが本当に考えられないのだろうか.
医療費をもっと上げろ.このスローガンだけなら,日医の内部も割れることはあるまい.しかし,例えば,だれをへき地医療に派遣するのかを自分たちで決めるとなると,内部は 大揺れとなるに違いない.
しかし,それを乗り切ってプロ集団としての責任を果たすことこそ,「赤ひげ」への道に通じるのではないか.国民にそうした姿を見せれば,低医療費政策の転換を求める日医の 声も,共感を呼ぶのではないか.
まさに,ピンチはチャンスである.日医執行部の責任は誠に重いと思うのだが,やっぱり,これは無い物ねだりなのだろうか.ぜひとも奮起を期待したい.

(なお,本欄の感想などは広報課までお寄せください)
日本医師会ホームページ http://www.med.or.jp/
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投稿者 akiuchi : 09:44 PM

本田宏(寄稿)

医師不足と安全性についての論考

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[論点]医療事故防止 医師不足の解消が急務 本田宏(寄稿)
読売新聞 (1388文字) 2005年7月8日(金)


「日本医療機能評価機構」が4月、半年間に大学病院や国立病院などから報告された医療事故について、重大なもの533件、うち死亡83件だったと発表した。今後、さらに事例を分析し、再発防止に役立てるという。
米国の「医療の質委員会」が1999年にまとめた報告書「人は誰でも間違える--より安全な医療システムを目指して」は、「人間はどんな仕事でも間違いをおかす。間違うことが難しく、正しくすることがやさしい、といった設計をしておけば、間違いは防げる」と指摘している。
例えば、腸に入れる栄養剤を間違って血管に入れないよう点滴の管の接続部の形状を変えたり、投与する薬を医師と看護師でダブルチェックするなど、事故防止のためのシステム改善には、日々取り組んでいかなければならないのは言うまでもない。
だが、一線の現場からみると、安全のために一番肝心な点が、見落とされているように思われる。それは、年々進歩し複雑化してきた医療レベルに、対応できるマンパワーが少ないということだ。
98年、厚生省の「医師の需給検討会」は、将来的に医師が過剰になり、医療費を増大させる恐れがあると報告した。それを受けて、医学部定員は抑制されている。現在、厚生労働省の検討会が、「医師の需給」について見直しを進めているが、地方の医師不足や病院勤務医の過重労働が大きな問題になっているこの期に及んでも、医師不足は偏在によるのか、総数の不足によるのかを議論している段階にとどまっているようだ。
日本の医師が不足しているかどうかは、先進各国と比較すると、はっきりする。経済協力開発機構(OECD)加盟各国の医師数を人口10万人当たりで比較したデータでは、加盟国の平均は70年に約130人だったのが、2000年には約290人に増えている。この間、日本では約110人から190人程度にしか増えておらず、加盟30か国中26位だ。医師が集中しているとされる東京でさえ、10万人対では約270人で、OECD平均を下回っている。
この医師の絶対数不足こそが、無医村はもちろん、地方都市での産婦人科医不在問題、また全国的な小児科・救急・麻酔科・病理医不足などの原因だ。国立がんセンターでさえ、麻酔科医の確保に四苦八苦しているという。
人員不足の中、多くの病院勤務医は厳しい労働条件に置かれている。月に数回の当直日には、朝から夕方まで働いて、そのまま翌朝まで救急外来や入院患者をこなす。当直明けも夕方まで通常通りの勤務だ。
病院側が夜間診療をやめるか、当直明けの休みを与えればいいのだろうが、そうしたら日本の医療現場は回らなくなってしまう。疲れた医師が日常的に診療する構図が、医療の安全に大きな影を落としてきたのである。
財政赤字の中、少子高齢化で急増する医療費が問題視されている。だが、医療現場のマンパワー不足という問題を考慮に入れないまま、医療費を抑制するとしたら、医療サービスの質の低下や、医療事故発生のリスクを高めることにつながるだろう。
大勢の尊い命が失われたJR西日本の脱線事故では、過密ダイヤや日勤教育の問題点が指摘された。医療でも交通でも、人の命に影響を与える職種には、事故につながらないような安全な労働環境を整えることが何よりも必要だ。

◇ほんだ・ひろし 済生会栗橋病院副院長 弘前大医学部卒。外科医。医療制度研究会幹事。51歳。
写真=本田宏氏

[読売新聞 ]

投稿者 akiuchi : 03:55 PM

栗橋病院・本田副院長=埼玉

本田宏先生の活動に注目!

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医師不足訴え全国行脚 講演依頼殺到 栗橋病院・本田副院長=埼玉
読売新聞 (844文字) 2006年8月28日(月)

 ◆今年すでに30か所 「危機的状況伝えねば」
 医師不足に苦悩する医療現場の現状を知ってもらおうと、済生会栗橋病院(栗橋町)の副院長で外科医の本田宏さん(52)が全国で講演活動を続けている。今年だけでも約30か所の講演会などに招かれ、「日本は医師の絶対数が不足している」と訴えた。本田さんは「人口に対する医師数が全国で最も少ない埼玉県で働く私が、この危機的な現状を伝えなければという思いだ」と話す。
 本田さんは、弘前大、東京女子医大を経て、1989年に外科部長として栗橋病院に着任。がんなどの手術を担当する傍ら、医師らによるNPO法人「医療制度研究会」を発足させ、休日には全国各地の講演に出向いている。
 社会問題になっている医師不足について、本田さんは「国は医師の偏在が問題としているが、本当は絶対数の不足が問題。早急に医師を増やす以外に解決策はない」と指摘する。OECD(経済協力開発機構)加盟国では、人口1000人当たりの医師数は平均2・9人だが、日本は2・0人。その中でも埼玉県は1・29人と全国最低(2004年医師・歯科医師・薬剤師調査)。
 特に病院の勤務医不足は深刻で、本田さんは「若い医師が精も根も尽き果てるような働き方をしているのが今の病院の姿だ」と指摘する。
 栗橋病院の医師は50人弱だが、米国では同じベッド数の病院に370人の医師がいるとされ、「患者は専門性を求めるが、マンパワーが不足する中では質を保つことも難しい」と語る。
 ユーモアを交え、現状や課題をわかりやすく伝える本田さんのもとには昨年以降、東北や九州など全国から講演依頼が殺到している。本田さんは「命を守る医療を良くするのは、医師の社会的責任。時間が許す限りどこにでも出かけ、医療現場の状況を伝えていきたい」と話している。
 本田さんはホームページ(http://www009.upp.so‐net.ne.jp/kikara/h/)で、医療相談の掲示板も設けている。

 写真=医師不足の現状を全国で訴える済生会栗橋病院の本田宏副院長

[読売新聞 ]


投稿者 akiuchi : 03:50 PM

周産期医療の崩壊をくい止めるために(ニュースレター原稿)

周産期医療の崩壊をくい止めるために(ニュースレター「プルプル通信」11月号原稿)

医療法人アップル理事長 木内 敦夫

日本の周産期医療のレベルは世界でもトップレベルにあるということは皆様も良くご存知だと思います。生まれてくる赤ちゃんやが不幸にして死亡するという数字を周産期死亡率、またお母さんがなくなってしまう数字を妊産婦死亡率といいます。周産期死亡率は出生1000人に対する数字、妊産婦死亡率は出生10万人に対する数字です。2004年の日本における統計データはそれぞれ3.3人(対出生1000人)、4.3人(対出生10万人)と世界の先進国に比べて最高レベルにあるということができます。欧米の周産期死亡率は7から8、妊産婦死亡率は5から8程度です。ちなみに私が昔医療協力で出かけたことがあるエチオピアやカンボジアの妊産婦死亡率は500人から1000人を越えるといわれています。ところが世界でもトップレベルのお産の安全性が最近大きく揺らいできています。お産をしたいと思っても分娩施設がないという信じられないことが日本中で問題になっています。産婦人科医、助産師、小児科医が全国で不足しています。24時間拘束される産科医の激務、医療訴訟のリスクなどが敬遠されて若い医師が育っていないということがその原因といわれています。奈良県で脳内出血を起こした妊婦さんを転送する病院が見つからずに大阪の病院で手術を受けるまでに6時間もかかって妊婦さんが亡くなるという不幸な事故が最近報道されました。栃木県では自治医大と獨協医大に総合周産期医療センターができたおかげで母体搬送で苦労するという話は少なくなりましたがセンター病院の先生によるとベッドがいっぱいで搬送を受け入れることが難しいために苦労しているという話もお聞きします。私どものような地域の診療所でローリスクのお産を引き受けることによってセンター病院が本来のハイリスク妊娠に集中できるようにするシステムを作ることが周産期医療の崩壊をくい止めるためには重要なことだと私は考えております。

先日「LongLife」という雑誌に私のインタビュー記事が掲載されました。WEB上でもご覧頂ける様にいたしましたのでご参照ください。
http://www.auc.med-apple.co.jp/p-topics/longlife/page01.htm

投稿者 akiuchi : 03:42 PM