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December 04, 2006
産科救急問題 奈良に限らない危うさ 読売新聞
「お産には命の危険がつきまとう。安心して産める環境作りは、少子化対策のとば口でもある。。産科医の養成は長期的な視点に立たざるをえないが、セーフティーネットの構築は喫緊の課題だ。そのためには、どの程度の予算が必要なのか。他に有効な手だてはないのか。国や自治体は、早急に具体策を探らねばならない。 」・・・・何度も繰り返しいっていることだが、「喫緊の課題」を解決する方法は現在がんばっている診療所のお産を守ることしかないのだ!その観点からも内診問題に行政はしっかりとした態度をとらなければならない。どうしてマスコミはそこまで言及することができないのだろう?
[自由席]産科救急問題 奈良に限らない危うさ 読売新聞 2006年12月3日(日)
◇論説委員 永田広道
奈良県大淀町立大淀病院で、深夜の出産時に意識不明となった妊婦が、県内や大阪府内の計19病院で転院を断られた末に死亡した問題は、産科救急システムのもろさを露呈した。死亡率などから見れば「世界一の安全」を誇りながらも、課題が山積する産科医療。妊婦は、その“落とし穴”に、はまったかに見える。
今年3月、ある提言書が奈良県の医療行政担当者らにショックを与えた。県医療審議会に設けられた専門家作業部会リポート「周産期医療の充実に向けて」は、お産現場の危機感を映し出していた。
県内のNICU(新生児集中治療管理室)は、一般病床に移す途中の後方病床を含めて40床。MFICU(母体・胎児集中治療管理室)は後方を含め4床しかない。
出生児1万人あたりの設置数は、NICUが全国平均の半分ほどで、後方病床数は全国最低だ。
本来必要とされる病床数は、NICU119床、MFICU27床である。数字の隔たりはあまりに大きい。実際、大阪府を中心とした県外への母体搬送は年々増加し、すでに40%近くに上っていた。
厚生労働省が、極めてリスクの高い妊婦や胎児のために設置を求めた「総合周産期母子医療センター」も近畿で唯一未整備であり、計画さえ具体化していなかった。
提言を受け、柿本善也知事が6月、2007年度までのセンター設置を表明したが、対応遅れのそしりは免れない。8月に発生した搬送問題は、いつ起こってもおかしくない状況下にあったのだ。
日本産婦人科医会の神谷直樹常務理事は「奈良の問題は、大都市でもどこででも起こりえる」と漏らす。妊婦が運び込まれた大阪府でも計17病院が収容できなかった。多くは「満床」だったからだ。
府内は、高リスクの妊婦を治療できる43病院の空床情報などをネット上で共有するシステムを整えている。が、分娩(ぶんべん)施設は減少の一途にあるうえ、相次ぐ損害賠償訴訟や刑事事件による産科医の委縮も加わり、高リスク対応病院への依存度は高まる一方だ。
実際、システムによる府内の搬送は、00年度の1124件から、昨年度1779件に急増した。
問題発覚後、奈良県は、基幹2病院で産科が満床でも救急救命センターで受け入れを図るようにした。近畿各府県も、相互搬送のあり方を検討し始めた。
「根本的な解決策は、センター機能を持つ公立病院などが、常に空床と予備スタッフを確保しておくことだ」と神谷氏は話す。しかし、空床のために一般のお産を断れるのか。減益にもなる。深刻な産科医不足の中、スタッフは夜昼となく分娩と“格闘”している。
財政、人員の両面で解決できないのが現実なのだ。ともに「破綻(はたん)寸前」と訴える声は少なくない。
お産には命の危険がつきまとう。安心して産める環境作りは、少子化対策のとば口でもある。
産科医の養成は長期的な視点に立たざるをえないが、セーフティーネットの構築は喫緊の課題だ。そのためには、どの程度の予算が必要なのか。他に有効な手だてはないのか。国や自治体は、早急に具体策を探らねばならない。
[読売新聞 ]
投稿者 akiuchi : December 4, 2006 07:48 AM