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December 13, 2006
無資格内診させていた「堀病院」=伊藤直孝(横浜支局)
12月10日の神奈川県産婦人科医会会長八十島先生のインタビューを読んだところでは毎日も内診問題に理解を示しているのかと思ったがこの記者の目を読むとそれが甘かったということを知らされる。内診問題で診療所のお産を否定することがこれからの日本の周産期医療崩壊を加速するという視点がどうしてこの毎日の記者にはないのだろう?助産所とセンター病院集約化の結果はもっと悲惨なことになると私は思う。
産科希望の研修医は減少傾向にあるという記事も出ているがその理由を記者は真剣に考えて欲しいと思う。お産に寄り添う助産師だけではお産の安全は確保できないのだ。
12月10日のインタビュー
http://blog.med-apple.co.jp/mailmaga/diary/archives/2006/12/post_113.html
記者の目
無資格内診させていた「堀病院」=伊藤直孝(横浜支局)
◇「助産師軽視」、真実を語れ--産科医療、再考のために
やむにやまれずの行為だったのか。信念があって、そうしたのか。ただ「真実」を聞きたい。
神奈川県警は11月27日、横浜市瀬谷区の産婦人科病院「堀病院」で助産師資格を持たない看護師らが産道に指を入れお産の進み具合を診る「内診」を繰り返していたとして、堀健一院長(79)ら11人を保健師助産師看護師法(助産師業の制限)違反容疑で横浜地検に書類送検した。
強制捜査が始まったのは8月24日。同県警が堀病院を家宅捜索するや、産科医団体は助産師不足などを理由に反発した。堀院長も「助産師が不足していた」と語り、記者会見ではこんなやりとりもあった。
--なぜ助産師が根付かなかったのか。
院長 昨年まで、医師が新生児を取り上げることを前提に助産師を集めていた。「おいしいところ」を医者がやるので励みが少なかったのか、来てもすぐやめてしまう。給料をけちったからではない。
--なぜ取り上げを医師のみに任せたのか。
院長 サービスです。医師がやる方が妊婦が安心するだろうと思っていた。
--助産師は何をしていたのか。
院長 一緒ですよ。内診したりして。
--分娩(ぶんべん)室に助産師を入れなかったのでは。
院長 そんなことはない。
だが、その後の取材で、堀病院は助産師が院内にいても分娩に積極関与させず、マニュアルを作成して看護師らに内診をさせていた実態が明らかになった。横浜市の調査では、5月から家宅捜索翌日までの約4カ月間で、非常勤を含め計6人いた助産師が分娩室に日勤したのはわずか3日。多くが新生児室や母乳相談を担当させられていた。一方、県警が押収した分娩経過図表によると、過去2年半で無資格内診は計3万9000回にも上っていた。
記者会見での話とは明らかに矛盾するこうした実態について、堀院長は改めて説明する必要があるはずだ。だが、院長は8月25日の記者会見以降、公の場で説明をしていない。私たちは文書や電話で再三取材申し込みをしたが、応じてもらっていない。
助産師はお産を中心に女性に寄り添う仕事で、学校で計720時間以上の専門教育を受け、国家試験を受ける。「内診はただの観察ではない」「助産師の専門性が理解されていない」。事件後、助産師からは堀病院への不信の声を数多く聞いた。現場で働く助産師は全国で約2万6000人。約79万人の看護師や約27万人の医師に比べはるかに小さな集団で、結びつきは強い。堀病院の助産師軽視ぶりが仲間うちで伝わり、助産師が集まらなかったことは容易に想像できる。
日本看護協会の楠本万里子常任理事によると、お産には安全を考えて医師が中心に行う分娩と、妊婦の自発性や自然に任せる分娩という二つの考え方がある。堀病院が母子の安全を第一に考え、医師中心のお産に取り組んでいたのであれば異論はない。だが、堀院長は家宅捜索後、記者団が「妊婦さんは助産師が内診をやっていると思っていたんじゃないですか」と問うと、「妊婦さんは法律的なことは分からない」と言い切った。家宅捜索後に堀病院を視察したある産科医は「設備が整い医療の質は高いが、助産師が妊婦に寄り添って励まし、経過を見続けるようなケアの部分が弱いと感じた」と話す。
堀病院の総分娩件数は昨年までの過去10年間で3万800件と国内トップクラスだ。人口360万人の横浜市で出産数の約1割を担う。1959年の開業間もないころ、破水した妊婦をたびたび車で迎えに行ったという堀院長も「ざっくばらんで飾らない性格」と評判は高い。一般病院で約2割(05年厚生労働省調査)とされる帝王切開率も4%(00~05年平均)と低く、家宅捜索後の妊婦転院も計92件にとどまったという。
事件後、横浜市は相次ぐ妊婦からの相談を休日返上で受け付け、日本助産師会神奈川県支部は助産師確保について堀病院に協力を申し出た。こうした支援を受けるのも、堀病院がお産場所の確保に大きな役割を果たしてきたからだ。
助産師の偏在、分娩施設減少などで産科医療の危機が叫ばれて久しい。産科医や助産師をどう確保するのか。看護師内診も、助産行為として認めない現行の厚労省解釈のままでいくのか、日本産婦人科医会が主張するよう診療の補助行為とみて認めるべきなのか。
今回の事件は、望ましいお産について議論を尽くすための好機だと思う。そして何より「出産数日本一」の病院長の率直な説明こそ、産科医療を考えるための貴重な証言になるはずだ。
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「記者の目」へのご意見は〒100-8051 毎日新聞「記者の目」係へ。メールアドレスkishanome@mbx.mainichi.co.jp
毎日新聞 2006年12月13日 東京朝刊
「産科希望の研修医は数%」 神奈川県
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社
【2006年12月12日】
問われる「日本一」:堀病院・無資格助産事件 「産科希望の研修医は数%」 /神奈川
◇4大学の医学部長ら、高い女性離職率も指摘
産科医不足が叫ばれる中、県内で医学部を持つ大学でも、産科医を希望する研修医はわずかであることが分かった。
松沢成文知事が横浜市立、北里、聖マリアンナ医科、東海の4大学の医学部長らと4日に開いた懇話会で、産科医希望者は研修医の「5%弱」(聖マリアンナ医大)「2-3%しかいない」(北里大)と厳しい報告が相次いだ。
県によると、県内の医師数は94-04年の10年間で19・6%増加したが、産科・産婦人科医は700人から663人と5・3%減少した。
懇話会で、横浜市大は「8人いる産科医のうち2人が来年廃業し、5人が休業、1人が結婚退職するが、新たな入局者は2人だけ」と嘆き、聖マリアンナ医大も「産科医の44%が女性だが、離職率が高い」と明らかにした。
松沢知事は結婚退職するなどした女性医師の再就職に向け、県と大学が連携した再教育制度を打診した。しかし、一部の大学は研修医の流出などを理由に難色を示した。【稲田佳代】
投稿者 akiuchi : December 13, 2006 09:22 AM