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December 31, 2006

回顧2006<5> “お産難民”

年の暮れに一年を振り返る記事が目立つ。「診療所のお産が減っている」ということの持つ意味についてビビッドに反応できるマスコミの記事をこれまで読んだことがないが来年はマスコミも巻き込んで日本のお産を守るようにしなければならないと思う。

回顧2006<5> “お産難民”
東京新聞 - 2006年12月24日

 産科医が減る中、お産の扱いをやめる施設が相次ぎ、産む場所に困る“お産難民”の問題が表面化した。小規模施設では助産師も不足している実情も浮かぶなど、少子化対策が論じられる傍らで、お産環境は悪化するばかりだ。 (杉戸祐子)

 「三十年以上いいお産を目指してきたが、常に二十四時間営業。あと十年はもたないし、同じことを次の世代に強いるのは無理」(産科医)。「育児や介護をしていても働けるフレキシブルな勤務・給与体系が必要。ゼロか百かの選択を迫られては困る」(助産師)

 今月、東京都港区で開かれた市民主催の討論会「どうする? 日本のお産 ディスカッション大会 ファイナルin東京」。助産師や産科医、子育て中の母親、地方議員ら約百人が集合し、お産をめぐる問題について意見を交わした。

 討論会は五月の横浜を皮切りに札幌や名古屋、高知など九カ所を回り、計約千人が参加した。実行委員で、出産・育児情報サイト「REBORN」スタッフの熊手麻紀子さん(38)は“全国行脚”の理由を「立場を超えて本音を語る場をつくりたかった」と語る。十年以上、育児支援の活動を続けてきた中で、昨年末に「声を上げないと産む場所がなくなる」と危機感を募らせた。

 九カ所での議論で▽医師の考える「安全なお産」と妊婦が望む「安全で安心なお産」が違う▽医師や助産師の労働条件の改善が必要▽医療事故への恐怖心が医療者にも妊婦にもある-などの問題点が浮かんだ。実行委員で、神奈川県立汐見台病院産婦人科の早乙女智子医師は「今後は各地域や現場の事情に合わせた具体的な対策を実行に移すべきだ」と指摘する。

   ◇

 お産環境の悪化は悲惨な出来事も生んだ。奈良県では八月、出産中に意識不明に陥った妊婦(32)が十九施設に搬送を断られ、生まれた息子を抱くこともなく死亡した。

 助産師が行うべき「内診」を看護師や准看護師にさせていた横浜市の産婦人科病院が摘発される事件もあった。助産師を活用していない施設の存在や、助産師が大病院に集中して小規模施設を中心に不足していることもわかった。

 お産の扱いをやめる病院も増える一方だ。厚生労働省の医療施設調査では、産科・婦人科のある病院(病床二十床以上)数は一九九六年の二千百四十八から、昨年は25%減少した。

 昨年九月に分娩(ぶんべん)を実施したのは、産科・産婦人科約六千施設のうち、約二千九百施設と半数以下。そのうち診療所・医院(同十九床以下)では約37%にとどまり、十年前の約44%から減っている。一方、厚労省の人口動態統計によると、昨年もお産の半数近くは診療所で行われた。分娩を扱う診療所の減少はさらに“お産難民”を増やす。

 厚労省は、都道府県ごとに拠点病院に医師とお産を集める「集約化」方針を打ち出し、自治体に年内に計画をまとめるよう求めている。分娩事故の訴訟リスクが産科を敬遠させ、産科医不足になる一因だとして、医師に過失がなくても補償金が支払われる「無過失補償制度」も来年度導入を目指している。

 安全の確保は当然だが集約化が進めば、妊婦が求める「身近な場所で産める安心感」「産後や育児の継続的なケア」は得づらくなるだろう。安全を守りつつ、いかに妊婦の心身に寄り添うのか。助産師の力をどう生かすのか。産科医の配置換えでは解決しない。 =おわり

投稿者 akiuchi : December 31, 2006 06:45 AM