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December 01, 2006

生殖医療 法整備に現場の声、必要 森崇英(寄稿)

京大名誉教授の森先生が代理母出産に関する厚労省、学会の見解を批判している。同じ立場(?)の慶応大学名誉教授飯塚先生の訃報も報じられているが根津先生の信念が日本の生殖医療を変えようとしているのだろうか?
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[論点]生殖医療 法整備に現場の声、必要 森崇英(寄稿) 読売新聞 2006年11月29日(水)

 10月15日、諏訪マタニティークリニック(長野県)の根津八紘院長は、50歳代の女性が娘夫婦の受精卵を使って代理出産した事例を公表した。同院長が以前公表した、姉妹間の卵子提供による体外受精に続く今回の代理出産は、非配偶者間の生殖補助医療が議論の段階を越え、実施ルールの法整備の検討段階に入ったことを示している。
 代理出産は、医学的には実施可能であるにもかかわらず、倫理・法律面で社会的認知が得られていない生殖補助医療の典型である。代理出産について、厚生労働省案では「ヒトを生殖の手段とすることになるので禁ずる」、日本産科婦人科学会も指針で「子の福祉を最優先する」としてやはり禁止している。
 しかし、筆者は「生殖の尊厳」という基本理念を提唱し、その理念の下に、代理出産など非配偶者間生殖補助医療の包括的ルールを作るのが良いし、可能だと考えている。「子が生まれること、子を産むこと自体の尊さ」というのが、生殖の尊厳の考え方である。
 厚生労働省や日本産科婦人科学会の見解は崇高ではあるが、夫婦に認められるべき「生殖の尊厳」を認めないことになり、代理出産を禁止する絶対的な根拠とはなり得ない。もし今回の事例の夫婦が実子を得る機会を奪われたとしたら、その夫婦は一生悔いるであろうし、それに対し社会は責任をとることが出来るのだろうか。
 代理出産の社会的認知度を意識調査でみると、一般国民を対象とした2003年の厚生労働省調査では「利用する」「配偶者が認めれば利用する」が合わせて41・2%に達した。一方、不妊治療中の患者を対象とした日本受精着床学会の2003年調査では、4人のうち3人までが容認し、3分の1の患者が、それしか治療法がないのなら治療を受けると回答している。不妊患者の意識とはなお開きがあるにしても、一般国民にも理解が広がっている。
 今回の事例に関しては、代理出産した女性の医学的チェックがとりわけ問題となりうる。閉経後の女性であれば、妊娠中毒症、流・早産は高率に発症するので、医学的リスクが大きい。
 当事者へのカウンセリングも重要になる。生殖医療の専門家の間では、不妊夫婦の悩みを解決するべく積極的にカウンセリングを行っており、ここ数年、専門学会の設立や専門カウンセラーの養成など急速に充実してきている。今回のような例でも、例えば極端な場合、生まれてくる子供に先天異常がある場合や両親の離婚時などの対処について、事前の話し合いがおろそかになってはならない。
 これまでこの種の生殖医療については、「社会的合意形成のため、もっと議論を」と先送りの繰り返しであった。「代理出産を支持する世論もみられる」との厚生労働大臣の発言もあって、今後本格的なルール作りが始まるであろうが、ぜひ生殖医療の現場の実態と意見を積極的に吸い上げるべきである。
 そのために、政府が独立した常設の生殖医学機構(仮称)を創設することを求めたい。関係各層から任期制で専任担当者を充てるが、患者や現場の医療従事者を必ず参加させ、政策決定過程に意見を反映させる。
 体外受精児は、今や出生児65人に1人の割合にまで達し、少子化対策としての社会医学的意味も大きくなりつつある。今回の事例を機に、夫婦間の生殖補助医療も含めて、現場主義の立場からもう一度見直して法整備を急いでいただきたい。

 ◇もり・たかひで 徳島大、京都大両教授(産婦人科)、日本不妊学会理事長などを歴任。73歳。

 写真=森崇英氏(京大名誉教授、国際体外受精学会長)

[読売新聞 ]

【訃報】飯塚理八氏 不妊治療の第一人者

 飯塚理八氏(いいづか・りはち=慶応大名誉教授、産婦人科学)29日、呼吸不全のため死去、82歳。通夜は12月4日午後6時、葬儀・告別式は5日午前11時、東京都港区南青山2の33の20、青山葬儀所で。喪主は妻、登代子(とよこ)さん。
 日本の不妊治療の第一人者。高確率で女子を産むためのパーコール法を開発、日本産科婦人科学会会長などを歴任した。

[産経新聞 ]

投稿者 akiuchi : December 1, 2006 05:23 AM