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January 03, 2007
広島の周産期医療事情も同じ
日本中どうしてこんなことになってしまったのだろうか?
命を巡る現場から:第1部/1(その2止) 命受け継ぎ 出産 /広島
1月1日13時1分配信 毎日新聞
◇高リスク、高い要求に苦悩 「心の雨宿り」できる場所に
「あんた、ほんま大きゅうなったねえ。満点の赤ちゃんじゃ」
福山市神辺町で「にしだ助産所」を営む助産師の西田啓子さん(49)が本当にうれしそうに、半年前にとり上げた男の子を抱き上げた。親子が検診や相談のためひっきりなしに訪れる6畳ほどの部屋は、活気にあふれている。「いくつもの命の誕生に立ち会い、成長を見守れる。こんなぜいたくな仕事がほかにありますか」
助産所での「所内出産」が出来る県内で2カ所しかない施設の一つ。家庭での出産も補助し、03年12月の開業以来、60人近くの出産を手助けしてきた。
「自宅で家族に見守られて産みたい」「病院や薬には頼りたくない」。助産所が選ばれる理由はさまざまだ。06年5月に二男の颯斗(はやと)ちゃんを助産所で産んだ主婦、小畠佐知さん(33)は「長男を産んだ産婦人科では、医師も看護師もほとんど病室に来てくれなかった。助産所ではいつもそばにいてくれ、安心できた」と振り返る。
「母親の数だけ、お産の形がある。助産所を必要とする女性がいる限りは選択肢を残したい」。その思いで、採算ぎりぎりの助産所を続けてきた。常勤の助産師は1人。出産直前の妊婦が入所すると自分の家庭のことは放り出す。相談の電話は夜中も鳴り続ける。「妊婦は自分の命をかけて、新しい命を紡ぐ。二つの命を預かる以上、真剣勝負で応えたい」
母親たちは妊娠期間や産後に、悩みや疲れで一度は涙を流すという。そんな時も、決して「頑張れ」とは言わない。「今は、子どもも親も頑張りすぎている。気がすむまで、泣けばいい」と思うから。
命が大切にされない時代に、西田さんは自分の役割をこう考える。「泣いた時に『大丈夫』と言ってくれる人がいれば、救われる命もあるのでは。助産所も、そんな『心の雨宿り』ができる場所になれれば」【茶谷亮】
◇ ◇ ◇
「赤ちゃんをできるだけ良い状態で出して、母子ともに健康に過ごせるようにするのが産科医の務め」
年間800~900件の分〓(ぶんべん)を取り扱う広島市民病院=中区基町=産婦人科主任部長、吉田信隆さん(59)は説明する。約20年前に比べれば産科医療の技術は飛躍的に進歩したが、その分リスクの高い分〓にも応じなければならなくなり、産科医に求められる要求は高まるばかりだ。
同病院は、妊娠後期から新生児早期までの母体や胎児、新生児を総合的に管理して母子の健康を守る「周産期母子医療センター」に指定されている。06年3月に改築されたばかりの同病院東棟で医師9人と看護師32人が24時間で応じる。母親学級や両親学級など出産に向けた指導も充実している。
しかし、産科医療が抱える問題は多い。「以前は妊娠28週未満が流産の定義だったが今では22週未満が流産とされる。つまり22週以上で取り出す必要がある場合に、よりリスクの高い状態で分〓しなければならなくなった、高齢出産も増えた」。全国的に低出生体重児(未熟児)の出生率が高まっている背景にはそうした事情がある。
妊娠22~24週くらいの出産で全体の3分の2は正常分〓できるが、残り3分の1は体に障害を負って生まれる場合が多い。また、新生児の50人に1人が、両親の健康状態とは関係なく心臓などに障害を持って生まれる場合があるという。「いろんな要因が重なって早産となるのが現状。正常な赤ちゃんの誕生を望んでいる人が多い分、結果が悪いとトラブルになることが多い」
日本産婦人科学会によると、産婦人科を巡る医療過誤訴訟の件数は増加傾向にある。05年も119件の訴訟が全国の地裁に提訴された(最高裁調べ)。吉田部長は「スタッフの少ない病院では休日を取ることもままならないところがある。そのうえ看護師の内診が禁じられ、助産師のいない開業医は補充を強いられ困難を極める」と指摘している。【下原知広】
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◇分娩医療機関ない3市6町
県医療対策室によると、県内で分〓できる医療機関がないのは庄原、大竹、江田島の3市と熊野、坂、安芸太田、大崎上島、世羅、神石高原の6町の計3市6町。庄原、大竹市を除く1市6町についてはもともと分〓できる医療機関がなかったが、庄原市では医師の退職で後任が見つからず05年4月から、大竹市でも医師の異動に伴い同7月から分〓できる病院がなくなった。庄原市では県を通じて庄原赤十字病院での分〓再開を要望しているが実現していない。また同市の市民グループが約1万2000人の署名を集めて県に提出したが進展はないという。
◇増える低体重出生
県医療対策室によると、85年から04年までの20年間で、出生数が3万3501人から2万5734人と減少しているのに対し、低出生体重児(未熟児)の出生数は同じ20年間で1834人から約1・3倍の2389人に増加している。同室などによると、93年に流産の定義が28週未満から22週未満と改正されたことや医療技術の進歩が低出生体重児増加の要因とみられている。
1月1日朝刊
最終更新:1月1日13時1分
投稿者 akiuchi : January 3, 2007 10:19 AM