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February 03, 2007
無資格助産に起訴猶予 助産師育成が急務 行政支援も必要(解説)(読売新聞) - 2007年2月2日(金)
助産師がいないと本当に安全なお産が保証されないという証拠がどこにあるのだろう?
無資格助産に起訴猶予 助産師育成が急務 行政支援も必要(解説)
横浜市の「堀病院」が看護師らに助産行為をさせていた事件は起訴猶予となったが、関係者間で問題の解決を図ることが求められている。(生活情報部・森谷直子、横浜支局・森広彰)
横浜地検は当初、堀病院では違法状態が常態化していたことから、「組織的に行われており、悪質」として、元院長ら全員について刑事責任を問うことを検討していた。
しかし、容疑となった看護師らの内診行為について、厚生労働省や日本産婦人科医会が議論を進めており、「一般予防の見地からすると処罰は相当でなく、母体や胎児に危険を及ぼすことも証拠上認められない」として、嫌疑はあっても刑事罰を科すほどではないと最終的な判断をした。
横浜地検は堀病院事件について、助産師の偏在を背景にした医療の「構造的問題」ととらえている。起訴猶予となったものの、医療現場に与える影響は極めて大きい。強制捜査以降、医療関係者の議論は活発になっている。
保健師助産師看護師法は、「助産」を行えるのは医師と助産師だけと定めている。厚生労働省は2002年と04年に、「内診は助産に当たり、看護師は出来ない」と通知した。
しかし、日本産婦人科医会は、「内診は看護師にもできる『診療の補助』に当たる」と解釈していた。この影響もあり、看護師による内診は、堀病院だけでなく、全国の多くの個人開業の産婦人科で行われていた。これには歴史的な背景がある。
1950年代まで、お産の場所は自宅が主流で、その介助は助産師が行っていた。その後、お産の場が自宅から医療機関に移っていった過程で、産婦人科の開業医らは助産師を雇う代わりに、「産科看護研修学院」という独自の研修機関を作って看護師らに研修を受けさせ、その多くは内診なども担当させてきたとされる。
このため、全国の助産師数は04年に約2万6000人と、50年代の半分以下に。しかも、その7割は病院(病床数20以上)に集中。お産の半数近くは、主に開業医が営む小規模な診療所(同19以下)で行われているにもかかわらず、勤める助産師は全体の2割以下に過ぎない。開業医は「助産師を募集しても応募がない。人員の多い大病院と比べると、労働条件が厳しく、責任も重いからでは」と言う。
一方、助産師は「開業医では看護師が助産師の仕事をしているから、私たちは必要とされず、働きがいがない」と言う。両者の溝は深い。
そこで、現実的な対策として、看護師が働きながら通える「夜間助産師学校」の構想が浮上している。埼玉県の産科病院に15年勤める看護師は、「質の高いお産を提供するためには、専門知識が必要と感じる。働きながら通える助産師学校があったら、どんなにいいか」と待望する。産科診療所で内診をさせられた経験のある40代の看護師は、「内診が出来るほどの教育は受けないまま、1人で夜勤をさせられ、ストレスで産科を離れた」と証言する。
現在、看護師が働きながら通える夜間助産師学校は存在しない。厚生労働省の研究班がその必要性を指摘し、カリキュラムも用意したが、肝心の学校作りは進んでいない。
日本産婦人科医会は、各地の医師会立看護学校の校舎を活用する形で、全国30か所に夜間助産師学校を作り、今後10年間に6000人の助産師を養成したいとしているが、具体化しているのは水戸市など数か所のみで、それも教員が確保できないなどで難航している。
同医会の石渡勇・茨城県支部長は、「教員確保には、助産師会や看護協会の協力がほしい。医師不足から分娩(ぶんべん)をやめる国公立病院が相次いでいるが、そうした病院の助産師を、教員として活用できるようにするなど、行政も積極的な施策を打ち出して欲しい」と訴える。
安全、安心なお産を守るため、医師、助産師、看護師と行政が、必要な助産師を育成する方向で一致協力し、「構造的問題」を解消してほしい。
図=赤ちゃんの出生場所と助産師数の推移
図=助産師の就業場所
写真=森谷直子記者
写真=森広彰記者
[読売新聞 ]
投稿者 akiuchi : February 3, 2007 10:58 AM