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February 12, 2007

助産院で「私」のお産

古い記事だが朝日の神奈川版に助産院でのお産に関して興味深いデータが紹介されていた。助産院のお産が神奈川では全国平均1%に比べて2%と高いことは前から知っていたが(特に川崎が5%と多い)お産の数も「3年前は1715件だったが、昨年は1827件だった。」ということで増えているという。母体搬送の数は100を超えるが新生児搬送の数が約10と極端に少ないのは意外だった。母体搬送には内反2例などかなり怖い症例が含まれている。助産院のお産の約5%が病院に転送されているという事実をもう少し強調してもいいのではないかと思う。

【赤ちゃん】
助産院で「私」のお産
2006年05月27日


退院を前に、助産師が家族写真を撮ってくれる=横浜市金沢区の山本助産院で


育児相談にも気軽に乗る助産師の勝俣喜代子さん(左)=川崎市中原区のさくらバースで

  県内には、お産を扱う助産院が40施設あり、昨年、1827件のお産がありました。その年には、県全体で7万7579人の出生があったので、ざっと2%の赤ちゃんが助産院で命を授かったことになります。全国平均は1%なので、神奈川は全国と比べると多い方です。読者のみなさんから、助産院で産んだという体験談が50通近く寄せられました。その多くは、きめ細かいケアを受けて満足できたという声でした。緊急時は、どんな対応になるの?という疑問についても調べてみました。


(赤木桃子、木村悦子)


  「お産は自然なことで産むのはあなた。でも、少しでも産みやすくするための手伝いはするからね」


  川崎市中原区の住宅街の一角にある助産院「さくらバース」で、助産師の勝俣喜代子さん(54)が妊婦に必ず語りかける言葉だ。


  木造2階建ての一軒家。1階に8畳ほどの診察室兼分娩(ぶんべん)室、2階に出産後に過ごす和・洋室3部屋がある。開業して8年。毎日5、6人の妊婦が訪れる。


  常勤は勝俣さんひとりだが、忙しいときには応援の助産師を頼み、助産師が10人ほどになることも。妊婦から深夜の電話での問い合わせは頻繁にあり、夜は交代で原則、助産師が泊まり込んでいる。


  分娩室に足を踏み入れると、アロマのにおいが立ちこめる。検診には1回約30分かける。「どのお母さんにも安心して産んでもらいたいですから」。出産時の体位は自由で、自分のペースでゆっくりと産んでもらう。


  勝俣さんは病院や保健所、看護学校の講師として約20年働いた後、開業した。


  20日、横浜市港北区の浅間恵美さん(31)の第3子の姫香ちゃんが生まれた。


  浅間さんは上の2人の子どもは病院で産んだが、子どもたちにお産の様子を見せたいと助産院でのお産を決め、口コミでここを知った。「立ち会った子どもたちも、命が生まれてくる神秘を感じてくれたと思います」


  第1子のときは新生児室に入れられたが、今回は出産後5日間、母子同室で過ごした。母乳をスムーズに飲ませられているか、産後の体調はどうかと、1日に3回ほど、助産師が様子を見に来てくれた。


  勝俣さんは、こう話す。「病院勤務時代には、助産師は医師の下で働くのが当然と思っていましたが、開業してから考えは変わりましたね。正常なお産なら助産師だけで十分可能なんです」


  病院でのお産が増えたのに伴い、助産院での出産は昔と比べ大幅に減った。しかし、県全体ではここ最近、助産院でお産をする件数がわずかながら増えている。3年前は1715件だったが、昨年は1827件だった。


  じつは「病院で産みたかったが、予約が取れないのでやむなく来ました」というケースが増えているのが大きな要因とみられている。


  地域別にみると、助産院のお産の件数が増えているのは「横浜」と「西湘」と、産婦人科医不足に伴ってお産の受け入れを休止する病院が増えている2地区に限られているからだ。


  医療機関ではない助産院で、緊急時にはどんな対応が実際に取られているのか――多くの妊婦にとって一番気がかりな点だ。


  日本助産師会は、助産院で産んでいい妊婦と、産んではいけない妊婦をガイドラインを定めて、明確にわけている。例えば、双子の場合は助産院では産めない。妊娠中2回は医師の診察を受け、妊娠経過が正常であることを確認しなければいけない、といった内容だ。


  ただ、妊娠経過が正常な人でも、お産の最中に異常が起きる場合もある。そうした緊急時に備え、県は周産期救急医療システムを定め、搬送先の病院を指定している。日本助産師会のガイドラインは、異常出血や子宮の異常など、母体や赤ちゃんにどんな症状が出たときに医療機関へ搬送するか、約60項目の基準を定めている。


  「さくらバース」の場合は、車で10分ほどにある病院に搬送する。開業以来、数件の搬送例があった。最後は無事に出産できたが、出産間近に赤ちゃんの心拍が異常になり、搬送しようとした複数の病院に「ベッドが空いていない」と断られ、ひやりとしたことも1度だけあったという。


  日本助産師会県支部長の山本詩子助産師は、病院との連携の大切さを強調する。


  「昔のように、助産師がどんなお産でも取り上げるという時代ではない。正常か異常かをきちんと判断し、1人で無理なケースを抱え込まないようにしている。ただ、お産にリスクはつきもの。万が一のときの医療連携なくして助産院はありえない」

■05年に県内の助産院から病院に転院・搬送された主な理由ごとの件数
 ◇母体分
 前期破水 17
 陣痛微弱 15
 過期産 11
 胎児心拍異常 7
 切迫早産 6
 胎児異常 4
 妊娠中毒症 4
 回旋異常 3
 弛緩(しかん)出血 3
 母体合併症 3
 母体感染症 3
 骨盤位 2
 子宮内反 2
 切迫流産 2
 遷延分娩(ぶんべん) 2
 母体発熱 2
 癒着胎盤 2
 子宮内発育遅延 1
 外陰部血腫 1
 前置胎盤 1
 羊水混濁 1


◇新生児分■
 低出生体重児 3
 呼吸障害 3
 黄疸(おうだん) 2
 早産児 1
 死産児 1
 体重増加不良 1
 低血糖症状 1


(日本助産師会県支部の調査)

  県内のお産を扱う助産院の場所は、日本助産師会県支部のHP(http://kanagawa-josanshi.com/maps/index.html)に載っています。

読者の体験から

  金子亜里(ありす)さん(海老名市 34歳)


  昨年4月、厚木市の助産院で初めての出産をしました。自然なお産がしたいと選びました。


  検診ではその月ごとの食事、生活、おなかの赤ちゃんとのコミュニケーションの仕方などを指導してくれました。ヨガ教室で呼吸法を学んだり、会陰の筋肉を動かす練習をしたりもしました。


  お産の時はずっとそばに夫や助産師さん、はり・きゅう師さんがついてくれて痛いときにはさすってくれ、穏やかなときには談笑しました。産後は助産師さんがちょっとしたときに部屋を訪れてくれて、お乳の吸わせ方、おむつの替え方、泣いたときの対処法の疑問や質問につきあってくれました。その後も1カ月健診、離乳食講習会と月齢ごとの心配事の相談や育児ストレスなど様々に支えてもらっています。


  妊娠中から一貫して信頼できるアドバイザー、自分が望むお産と子育て像を提供してくれた助産師さんと巡り合えた幸せは、筆舌に尽くしがたいです。

  佐々木直美さん(横浜市 31歳)


  2月に横浜市の助産院で第2子を出産しました。出産当日は、4歳の娘もずっとつきあってくれて、ぎゅっと手を握ってくれたり、赤ちゃんの出てくるところをのぞいたり。生まれた瞬間はとてもうれしそうな顔をしていました。


  私もそんな娘の顔を見て、ますますうれしかったし、家族みんなで新しいメンバーを迎えられたことが最大の幸せでした。娘も「ママ、がんばったね」とほめてくれました。


  娘は赤ちゃんをとてもかわいがってくれますし、また赤ちゃんがほしいと言ってくれます。最近は、大きくなったら何になりたいか聞くと、「赤ちゃんが生まれたときの先生(助産師)になりたい」と言います。


  それだけ娘にとって、命の誕生が感動的なことだったのでしょう。命の大切さを感じられる子に育ってほしいと思います。

  小濱佳澄さん(横浜市 38歳)


  1人目の出産の時、予定日より1カ月早く破水して、助産院で出産できず、提携先の総合病院で出産しました。


  夜中の1時過ぎに破水に気づいて、助産院に行きました。「ここでは扱えない」と言われ、提携先の病院にすぐ連れて行ってもらえるのかと思ったら、明け方まで待たされました。なぜ待たされているのか、説明はありませんでした。


  ようやく病院に着いたら、今度は「なぜ助産院なんかで産もうとしていたの」と看護師に言われました。


  提携しているはずの病院のスタッフからそんな言葉が飛び出し、助産院と総合病院の提携の悪さに驚き、幻滅しました。 すべての助産院を否定するわけではありません。自分の体と赤ちゃんを感じながら自然出産をすることで、母乳育児や赤ちゃんとの生活も順調にいくし、頼りになる助産師さんが地域にいることで相談ができます。実際に、2人目はほかの助産院で無事出産しました。


  だからこそ、助産院と病院がきちんと提携していることが必要だし、しっかりした技術力を持った助産師さんが、妊婦と信頼関係を持てるようにしてほしいと思います。  

県の周産期救急医療システム


  重症に対応する基幹病院(8)、重症と軽症の間に対応する中核病院(11)、軽症に対応する協力病院(14)の三つが決められている。基幹病院と中核病院は24時間、協力病院は原則24時間、患者を受け入れる体制になっている。


  緊急時に助産院はまず基幹病院に連絡し、症状に応じて各病院の空き状況をパソコンで確認したうえ、最寄りの受け入れ病院を探すという仕組み。日本助産師会神奈川県支部の調べでは、05年は県内で1827件あった助産院でのお産のうち、母体搬送は134件、新生児の搬送は19件あった。


                   ◇


  (1)基幹病院 県立こども医療センター、北里大学病院、聖マリアンナ医大病院、横浜市立大医学部付属市民総合医療センター、聖マリアンナ医大横浜市西部病院、横須賀共済病院、東海大医学部付属病院、小田原市立病院


  (2)中核病院 日本医科大武蔵小杉病院、横浜労災病院、横浜市立大医学部付属病院、藤沢市民病院、昭和大藤が丘病院、昭和大横浜市北部病院、茅ケ崎市立病院、相模原協同病院、社会保険相模野病院、横須賀市立市民病院、平塚市民病院


  (3)協力病院 川崎市立川崎病院、国立病院機構横浜医療センター、横浜市立市民病院、済生会横浜市南部病院、横浜南共済病院、けいゆう病院、国際親善総合病院、横須賀市立うわまち病院、厚木市立病院、平塚共済病院、秦野赤十字病院、県立足柄上病院、大和市立病院、横浜市立みなと赤十字病院


  次回は、お産の場の減少にどう対処したらいいのか、専門家のインタビューを掲載する予定です。赤ちゃん企画への情報、取り上げたいテーマ、ご意見をお寄せ下さい。住所、氏名、電話番号を明記のうえ、〒231・8504 横浜市中区日本大通15 朝日新聞横浜総局「赤ちゃん」係へお願いします。FAX(045・641・9696)、メール(kanagawa@asahi.com)でも受け付けます。


投稿者 akiuchi : February 12, 2007 04:53 AM