October 14, 2007

日本のお産を守る会第1回シンポジウム

久しぶり(半年?)の書き込みです。

産科医療崩壊は奈良県の「タライ回し事件」報道などを見ている限りますます加速しているようです。

産科医療崩壊の原因は厚生省看護課の無責任な内診問題に対する対応の他にも訴訟圧力、マスコミの誤った報道など多くの原因が挙げられますが私が今一番大きな要因と考えているのは産科医自身のモチベーションの低下です。

お金を出せば医学生が産科を選択する、当直手当を増額すれば産科医は夜も喜んで働くと考えているうちはまだまだ産科医療崩壊を食い止めることはできないでしょう。

10月20日(土)に以下のシンポジウムを開きます。産科医療崩壊に関心のある方は是非ご参加ください。

******************

日本のお産を守る会第1回シンポジウム
「崩壊の危機にある産科医療をどのように再生するか?」
主催 :日本のお産を守る会
 
プ ロ グ ラ ム    

日時 :2007年10月20日(土) 18:00 ~21:00
会場 :主婦会館プラザエフ9階会議室スズラン
対象 :産科医療の崩壊を危惧するすべての人々
会場費 :1,000円

●会場受付時間  17:30~18:00

総合司会 石井廣重 石井第一産婦人科クリニック院長(静岡県)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・          
●プログラム1.【 日本のお産を守る会・活動報告 】18:00 ~18:30
1)「日本のお産を守る会」設立の経緯について
 日本のお産を守る会代表 田中啓一 嵯峨嵐山・田中クリニック院長(京都市)
2)3月22日、厚労省陳情の報告
 前田津紀夫 前田産科婦人科医院(静岡県)
3)5月26日、シンポジウム「安全な産科医療をめざして」に参加して
--日本の赤ちゃんたちは本当に「人為的な操作と誘導で産まされている」のか?--
 衣笠万里 尼崎医療生協病院(兵庫県)

●プログラム2.【 シンポジウム 】18:30~ 21:00
産科医療の崩壊と再生
日本のお産を守るために今、何をなすべきか?
司会:
赤堀彰夫「日本のお産を守る会」副代表、あかほり産科婦人科院長(静岡県)
船橋宏幸  船橋レディスクリニック院長(茨城県)

シンポジスト(発言者順)
石渡 勇 石渡産婦人科病院院長(茨城県産婦人科医会会長)
岩永 成晃 岩永レディスクリニック院長(大分県)
吉田 穂波 ウィミンズ・ウェルネス銀座クリニック(東京都)
田辺 功 朝日新聞編集委員
海野 信也 北里大学医学部産婦人科学教授、(神奈川県)

●コーヒーブレーク:15分の休憩(19:45 ~20:00) 質問用紙を回収いたします

自由討論(20:00~21:00)

●事務局からのお知らせ:木内敦夫 きうち産婦人科院長(栃木県)

最後にアンケート用紙を回収いたします。

投稿者 akiuchi : 12:01 PM

March 07, 2007

[鹿児島の視点]奄美群島 出産、不安抱える 子宝の島、産科医不在=鹿児島

島の医療をどうするか?東京のお役人の頭の中では島国日本の妊婦はどういうお産をしたらいいと考えているのだろうか?ヘリコプターで集約化か?


[鹿児島の視点]奄美群島 出産、不安抱える 子宝の島、産科医不在=鹿児島

 ◆新生児みな島外誕生 家計、母体に重い負担/喜界
 「与論町の妊婦は、正常・異常を問わず、ほとんどが島外で分娩(ぶんべん)しており、費用は多大なものになっています」
 和泊町で2月8日、沖永良部島と与論島の町議が集まる大会が開かれ、与論町議の野口靖夫さんが声高に訴えた。与論島には助産院が一つあるだけ。妊婦のほとんどは沖縄の病院で出産に臨む。
 奄美群島では喜界、加計呂麻、請(うけ)、与路、与論の5島に常勤産科医がいない。議員大会では、5島などの妊婦の出産経費助成を県に求める議題が全会一致で採択。5月の奄美群島議員大会に提案されることになった。
 喜界町(喜界島)の主婦岩崎千奈津さん(32)も初産を心配する一人。奄美市の県立大島病院での出産を考えているが、出産予定日の後には台風シーズンが来る。「何かあった時に、船も飛行機も出なかったらどうしよう」。不安は募るばかりだ。
 喜界町では2002年6月、喜界徳洲会病院が産婦人科を休止して以来、年間60~70人という新生児はみな島外で誕生している。町は町内の妊婦に対し、6回を上限に奄美市へのフェリー片道運賃3500円を助成しているが、それでも負担は重い。出産予定の1か月前からは奄美大島で待機するよう医師から勧められるため、親類や知人がいなければ入院かホテル、ウイークリーマンションを利用する。奄美大島の人に比べ15万~20万円の費用が余計にかかるという。
 母体への負担も大きい。喜界徳洲会病院は2週間に1回、妊婦検診を実施。しかし、妊娠8か月以降は出産する病院での検診が必要となる。フェリーでの往復は一般的に午前5時前に喜界島を出て、午後8時か同11時すぎに帰島。飛行機なら奄美大島まで片道20分だが、料金はフェリーの2倍になる。
 岩崎さんは4人のきょうだいと一緒に、にぎやかに暮らした。今もきょうだいに助けられることが多い。「自分の子どもにもそんな暮らしをさせたいけど……。せめて自宅で陣痛を迎えて、産むことはできないのかな」。ささやかな願いを口にした。
 ◆都市化進み、育児環境悪化
 奄美群島の子だくさんは、岩崎さんが話すような地域の「支え合い」に依拠する点が大きい。県が行った奄美群島での「長寿・子宝」調査(2002~03年度)では、夫や実家の父母のほか、友人や近所の人からも育児支援を受けている人が39・9%もおり、子だくさんを支える要因は「『子は宝』という価値観」「子育てに対する親族や地域の支援網」と結論づけた。
 しかし、異変も起きている。都市化が進む奄美市名瀬地区では、10歳代での出産が目立っている。市健康増進課の調べによると、母親が20歳未満の割合は、県全体で約2%なのに対し、名瀬地区では約4・5%。育児能力が十分でないのに何人も産んで、劣悪な環境に子どもを追いやったり、実家に子どもを置いて家出したりする例も出ているという。同課の保健師郷田早苗さんは「単純に子どもが多く生まれればいいというのではない。生まれた後の環境を整える必要もある」と指摘する。
 県本土より所得水準の低い奄美では、出産費用の負担も島民に重くのしかかる。「鹿児島が誇る子宝の島」は、住民意識や親類・地域に頼った支援網だけでは維持できない。多面的な環境整備が急務だ。
 ◆産科医不在不足、悩み深刻 県立大島病院3人で月54件
 「子宝の島」を支える奄美の産科病院も、全国的な傾向と同様、医師不足に悩んでいる。
 奄美大島で出産を受け付ける医療機関は2か所。うち、奄美市の県立大島病院は奄美大島と、常勤産科医がいない喜界島など周辺4島の出産の約90%を受け持つ。しかし、1月からは産科医が1人減り、3人に。同病院に医師を派遣する鹿児島大付属病院でも医師が不足し、余裕がなくなったためという。4月には元の数に戻る予定だが、3人で月平均54件のお産をこなす激務が続く。
 松元勇・産婦人科部長は、「全国的な産科医不足と県の財政難による県立病院全体の赤字経営から、病床も産科医もこれ以上増やすのは無理」と話す。同病院の妊婦検診や分娩(ぶんべん)費用は、公立総合病院の全国平均より2~3割以上安いという。しかし、それすら払えないため検診に来ず、危険な状態で運ばれてくる妊婦もいる。
 さらに、累積数億円という分娩費の未払いも大きな問題となっている。「出産費用も徐々に引き上げる必要があるかもしれない」と厳しい台所事情を明かした。
 一方、出産ができる医療機関は徳之島と沖永良部島では各2か所あり、産科医は徳之島には常勤1人と非常勤4人、沖永良部島では常勤医2人が受け持っている。徳之島では約90%、沖永良部島では約70%の島民が、それぞれの島で出産しているが、いずれもハードな医療現場には変わりない。(里村兆美)
                       ◇
 ◆奄美群島の出産関連データ
 県によると、奄美群島では2004年中に1103人の子どもが生まれた。前年比では47人減。
 1人の女性が妊娠可能な期間に出産する子どもの数の平均値である「合計特殊出生率」は、1998年から2002年の5年間平均で、奄美群島全体で2.04。全国平均の1.36より0.68ポイント、県平均の1.55より0.49ポイントそれぞれ高かった。
 市町村別の合計特殊出生率ランキングでは、天城町が2.81で全国2位。上位20位の中に奄美群島の7町村(旧住用村を含む)が名を連ねた。

 写真=親子の笑顔があふれる奄美市の育児サークル。「子宝の島」では、この笑顔を絶やさない環境整備が求められている

[読売新聞

投稿者 akiuchi : 07:01 AM

February 27, 2007

下野新聞の連載企画「お産危機 とちぎの現場から/上/急減する分娩施設/妊婦集中 予約を制限/「ハイリスク」対応深刻」

地元紙が栃木県のお産について連載を始めた

企画/お産危機 とちぎの現場から/上/急減する分娩施設/妊婦集中 予約を制限/「ハイリスク」対応深刻
2007.02.24 朝刊 1頁 第1面 (全1,382字) 
 県内のお産が危機にひんしている。分娩(ぶんべん)ができる現場は急減し、分娩を続ける施設は押し寄せるお産に対応しきれずに分娩予約の制限が日常化しつつある。このままでは、思うように産み場所を見つけられない「お産難民」の発生が避けられない情勢だ。県内の現場でどんな事態が進み、医師はなぜお産から遠ざかるのか。お産危機の実相を報告する。


 「妊婦が押し寄せてくる。分娩をやめた開業医からの紹介が増えてきた」。宇都宮のある産科医院の医師は昨年暮れから、産み場所を探す妊婦の動きを肌で感じ始めたという。

 同じ医院の看護師は「少し前なら妊娠三十週くらいでも分娩予約はできた。しかし今は十週ごろでないと難しい。現段階で七月までの予約は締め切り、八月からも制限せざるを得ない」

 昨春時点で分娩に対応していた県内医療機関は約五十。以降、少なくても三病院と五診療所が分娩を中止または中止する見込みとなった。そのほとんどが宇都宮に集中している。これらの分娩実績合計は年約二千三百件で、県内出生数の一割を超えるスケールだ。


 ▽現状でギリギリ


 県が年明けに実施した産科調査でも、県内病院が現状に上乗せして分娩に対応できる「余力」は年約四百件にとどまり、県は「余力はほとんどない」と分析。

 診療所を含めた余力は約千九百件になるが、産科医を取り巻く環境の厳しさからそれをどこまで保てるかの見込みは立たない。

 複数の産科医は「現状ならギリギリ吸収できるだろう。だが分娩中止がさらに続出すればパニックになるかもしれない」と予測する。


 ▽宇都宮から搬送


 切迫早産などハイリスク分娩の対応体制はとりわけ宇都宮で危機的だ。

 県内で最も医療体制が充実しているはずの宇都宮から、母胎搬送で芳賀赤十字病院(真岡市)に回るケースが目立ち始めている。

 芳賀赤十字は二〇〇四年に深刻な常勤医不足に見舞われたが、現在は四人の常勤産科医がおり「県内有数の体制」との評価がある。〇六年に受け入れた六十六件の母胎搬送のうち、十二件が宇都宮からだった。

 「宇都宮は人口に見合うだけの産科二次病院がない」と同病院の渡辺尚産婦人科部長。宇都宮で重症者を受け入れる二次病院は済生会宇都宮、国立病院機構(NHO)栃木(旧国立栃木)、宇都宮社会保険の三つだが、うちNHO栃木と宇都宮社会保険は、常勤医不足から基本的に産科の救急患者を受け入れられない状態だ。


 ▽受け入れ率低下


 地域の二次病院が中程度のハイリスク分娩に対応し、さらに重い症例を「最後のとりで」である三次病院の自治、獨協両医大が受け入れる-。それがあるべき形とされるが、現在は正常分娩から重症例までが二大学に集中する。

 現在、自治と獨協合計で年約二千件のお産を扱い、増加傾向。増える母胎搬送受け入れ要請に対応しきれず、受け入れ率も低下し続けている。

 獨協の総合周産期母子医療センターの渡辺博センター長は指摘する。

 「分娩場所を探す人たちが増え、このまま両大学での分娩が増え続けると、一-二年でパンクしてしまう可能性がある。二大学がもし分娩を受け入れられなくなったら、それ以上は県内で産めないことになり、ハイリスクの受け入れ先もなくなってしまう」

(次回から社会面に掲載します)


 [写真説明]県が非公開の県医療対策協議会・産科部会で示した産科事情に関する調査結果。病院に関して「分娩余力はほとんどない」と分析されている


下野新聞社

投稿者 akiuchi : 08:08 AM

February 14, 2007

カメムシ大臣は「失言する機械」?(その2)

昨日「きっこのブログ」のことを紹介したがその元になる柳沢大臣の発言が以下のサイトにアップされているので参考にされたい。

勤務医 開業つれづれ日記
http://ameblo.jp/med/
民主党枝野議員と柳沢大臣の質疑応答
「産婦人科医の減少は出生数の減少に伴うもの」
「助産師不足はネットワーク化で対処」

きっこのブログ
カメムシ大臣は「失言する機械」?(2007.02.12)
http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2007/02/post_d9b5.html

日本ブログ大賞 2006
http://www.blogaward.jp/2006/

「きっこ」なる人物(?)についてはWikipediaに以下のように解説されています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8D%E3%81%A3%E3%81%93

投稿者 akiuchi : 12:40 PM

February 13, 2007

「どうする?日本のお産」ディスカッション大会ファイナル

こちらは残念ながら参加できなかったが昨年12月17日に開かれた「どうする?日本のお産」ディスカッション大会ファイナルの記録。本田先生はこちらの会にも参加していたというからその行動力には本当に驚かされる。

どうする?日本のお産(日経メディカルオンラインブログ:2006. 12. 25)

「どうする?日本のお産」ディスカッション大会ファイナルのグループディスカッション。全国から手弁当で集まった参加者が熱い議論を交わしました。
 12月17日(日)に都内で開催された「『どうする?日本のお産』ディスカッション大会ファイナル」に参加してきました(大会ホームページはこちら)。前日夜に医療制度研究会の幹事会兼忘年会があり、少し疲労気味でしたが、現在、医療崩壊が特に深刻な産科医療に関するディスカッションですので、頑張って参加してきました。

 ディスカッションの初めに、主催者のお一人である産婦人科医の早乙女智子さんから、以下のような講演がありました。

 今年は、産科医の逮捕をきっかけに「産科医を辞めたい症候群」が流行した。そしてお産が安心してできない状況が昨年よりもさらに悪化し、「出産難民」が顕在化した。

 今大会は、今年5月の横浜での第1回を皮切りに仙台、京都、札幌、愛知、高知などで開催され、今回のファイナルで9回目を迎えたが、延べ800人以上の参加者を記録した。激務のためか勤務医の参加は少なめで残念だったが、各地でたくさんのお母さん、助産師さん、そして政治家、行政担当者、メディアの方々などの参加により、とても有意義だった。

 「また産みたい」と思うお産は、「安全で安心で楽しい」ものであるべきだ。安全を保つためには、医療だけでなく関連領域を含めた政策が必要だ。さもないと医師・助産師の労働条件改善も困難で、お母さんと医療関係者の信頼関係構築も不可能だからだ。今後は医療関係者だけでなく、お母さん、お父さん、それぞれの立場で知るべきこと、できることを考えて実行していく活動も必要だ。

 国や行政には、医療費増やシステム改善などを望む。やっと行政も重い腰を上げて無過失補償制度などが検討されるようになってきた。

 そして「今後もこの会の活動を続けて元気をもらいたい」と締めくくられました。この講演の後、フロアから活発に意見が出されました。その中から、いくつかをご紹介します。

○札幌から参加した女性産科医--北海道の状況も厳しいが、この大会が札幌で開催された時にテレビで報道されて、稚内などでお産の体制が守られた病院もあった。

○東京都内のお母さん--大きな病院の産科閉鎖に対して、存続を求める会を作って病院や区に対して働きかけをしている。

○高知県のお母さん--高知でこの大会が開催された後に、担当医に対して「ありがとう」カードを手渡す運動を始めた。なぜなら医師は、看護師さんや助産師さんと違って、「ありがとう」といわれる機会が少ないと聞いたから。

○茨城県の産科医--茨城県では分娩医療機関が少なかったが、県民の声と熱心な産科医の存在で、お産ができる病院が増えた。

○島根県の元内科医--現在、産科に転向し、多い時で月10回の当直をこなしている。産科でうれしいのは、新しい生命が生まれる素晴らしさを感じられること。一方で一番残念なのは、担当した赤ちゃんが亡くなることだ。

○福島県の助産師--個人医院に勤務しているが、周囲の病院が廃業し、年に200人だったお産が500人に増加した。さらに近くの公立病院でも産科がなくなる可能性がある。産科医は寿命が短いと聞くが、自分が知っている産科医も50~60歳代で倒れる人が少なくない。自分もお産が好きで24時間連続で働いてきたが、好きでやっている人に頼ってきた体制が問題だ。

○浜松市の産婦人科医師--医師になって30年、開業して20年、年間お産を500~600件担当しているが、いいお産をしてもらおうと思うと、寝ないで頑張らなければならない。しかし、これから医師になる人や助産師、看護師に、このような労働条件を押し付けるわけにはいかない。

○高知県のお母さん--高知で助産専門学校がなくなると聞いて、その存続活動を開始した。お産に必要な助産師さんの育成がしっかりとできるように働きかけていきたい。


 午後は小グループに別れて「安全に安心してお産するには、仕事するには」、「助産師が役割を発揮するには」、「産む力、育てる力をつけるには」などのテーマで話し合いました(写真)。

 最後に各自が「私の宣言」を書いて自ら何か行動することを約束して、閉会となりました。全国から手弁当で集まった人々が、熱心に日本の産科医療をよりよいものにするために議論をしているのが印象的でした。

 現在、医療崩壊が叫ばれ、医療者の一部には諦めに似た雰囲気さえ漂っています。しかし、今こそ医療者と患者さん、さらにメディアや行政が互いに理解を深め合い、共通の目的に向かって智恵を出し合うことが必要な時なのです。

投稿者 akiuchi : 04:18 AM

虎の門病院小松秀樹先生と本田宏先生のジョイント講演

だいぶ古い話になるが今年の1月13日、小松先生と本田先生のジョイント講演会に行ってきた。本田先生がご自身のブログで詳しく報告されているのでここに記録しておくことにする。


虎の門病院小松秀樹先生とジョイント講演しました(日経メディカルオンラインブログ 2007. 1. 23)

亥年が明けた1月13日の土曜日、「メディカルコンパス」がNPO法人に認定された記念講演会が、新宿の明治安田生命ホールで開催されました。講演会のタイトルはズバリ!「医療を崩壊させないために」でした。

 座長はへき地・離島救急医療研究会幹事・世話人の東大公衆衛生学助教授の井上和男氏(写真右)で、演者は昨年を代表する医療界のキーワード「医療崩壊」「立ち去り型サボタージュ」の生みの親である虎の門病院泌尿器科部長の小松秀樹氏(写真左)、そしてその前座を私(写真左から2番目)が務めました。

 新年明けの土曜日夕刻で、NPO法人メディカルコンパスが誕生した直後の講演会だったためか、会場は満杯というわけにはいきませんでしたが、北は青森や岩手、南は九州など遠方から総勢100人余りが参加しました。医療関係者、メディア、さらに患者さん代表など、現在日本で確実に進行している医療崩壊に強い危機感を抱いた聴衆が集まり、講演会は熱気を帯びたものになりました。

今回誕生したメディカルコンパスという組織の名前を始めて聞かれた方がほとんどではないでしょうか。その理念を抜粋すると「医療崩壊が危惧される昨今、医療者と非医療者が正確な情報を共有し、医療者が現場の生の声を発信していく、さらに安全で質の高い医療提供のために何が必要か、システムから死生観まで問題点を明確にし、混沌とした現代医療という大海の中で航路を示す羅針盤を提供する」とうたわれています。

 詳細はぜひメディカルコンパスのホームページ(http://medicalcompass.jp/index.html )をご覧ください。私も微力ながら、メディカルコンパスの活動に協力していきたいと思っています。

 さて当日の講演は、メディカルコンパスの木田博隆氏の司会、井上和男先生の座長で、まずは私がスライドを示しながら熱く(?)70分間語り、その後にレジュメを使って小松先生が現在の医療や社会の問題点を話されました。

 小松先生のお話で、私が特に印象的だった項目とポイントをまとめました。


・不確実性の許容
 現役メディアの女性から「医療は万能ではなく、不確実なものだということが、4年間の自分の闘病を通じて分かるようになった」と言われたこと。

・過失は罪か、刑法211条:業務上過失致死傷罪
 刑法では原則として過失を罪とせず(刑法38条)、業務上過失致死傷罪は例外規定の一つ(アメリカに同様の罪はない)。日本では罪刑法定主義から遠い規定で、広い範囲まで罪になっている現実がある。

・国家の維持、検察の基本思想
 検察には国家を守り維持するという意識が強く、法の番人とは多少ニュアンスが異なること、被害者感情やメディアに世論として表現された社会の不満に、法的決着をつけて、国家が社会の構成員に常に配慮していることを示すことにより、自らに正当性を付与し、結果として社会の秩序の維持をしやすくしているように見える。

・患者は消費者か~イギリスでは医療が崩壊した
 Lancet誌が「正しい市場とは、競争原理が機能し、情報へのアクセスが平等でふんだんにあるという前提で、消費者が自ら参加するゲームである。医療では情報を誰もが平等に得て、しかもそれを正しく理解できるなどということはかつてなかったし、未来もない。医療はゲームではない。医療は社会善であり、公平でなければならない。患者は消費者ではなく、純粋に、ただ単に患者である」と主張したこと。


小松秀樹先生からは、現在の日本の医療のあり方を見直す意味で、多くの示唆をいただきました。
 このように、現在の日本の医療のあり方を見直す意味で、多くの示唆をいただいた講演でした。本来は私と小松先生の講演内容を詳細にご紹介すべきなのでしょうが、このブログにすべて書き込むことはできません。詳細は近日中にメディカルコンパスのホームページにアップされる予定ですので、ご覧ください。また当日の私の講演スライドをご覧になりたい方は、参加者の大熊由紀子さんが、福祉と医療・現場と政策をつなぐ「えにし」ネットhttp://www.yuki-enishi.com/の「医療費と医療の質の部屋」にファイルをアップしてくださいましたので御笑覧ください。「医療を崩壊させないために」(パワーポイント・17543KB)です。

 講演後の質疑応答では、演者と参加者がそれぞれの立場から、今後の日本の医療を具体的にどう改善していくべきか、どう行動すべきかなど、熱く議論が闘わされました。講演会終了後には会場隣のフロアでミニ懇親会が催され、その後の“本格的な”懇親会にも小松先生や患者さん代表も含めて10数人が参加し、夜更けまで大いに盛り上がりました。

 新年早々の講演会でしたが、「日本の医療崩壊を食い止めよう!」と立ち上がろうとしている人々が、医療界ばかりでなく、一般市民や患者さん、メディアの中にも着実に広がっていることが分かりました。今年一年の活動に向けて、大いに勇気をいただけた素晴らしい講演会でした。

投稿者 akiuchi : 04:10 AM

「産科医療における無過失補償制度」を考える緊急シンポジウム

「陣痛促進剤による被害を考える会」主催のシンポジウムということで少し構えて出かけてきたが弁護士の話をはじめとして至極まともなことを言っているように感じた。産婦人科医会や学会も積極的に彼らを呼んで話をくべきではないのだろうか?彼らが強調している「安全性」という言葉の意味についてもじっくりと話し合う必要があると思う。無過失保障よりも社会保障制度の充実を求めるというのもうなづけた。NHKも取材に来ていたがマスコミをうまく巻き込む手法は学ぶべきところもおおそうだ。


NHKニュース「出産事故の補償考えるシンポ」
http://www3.nhk.or.jp/news/2007/02/13/d20070212000115.html
このシンポジウムは、出産などで医療事故にあった人たちを支援している団体が開きました。無過失補償制度は、出産の際に子どもが脳性まひになった場合、医師に過失がなくても数千万円の補償金を支払い、産科医の負担を減らそうというもので、今月下旬から具体的な検討が始まります。シンポジウムでは、去年11月に政府・与党がまとめた制度の枠組みについて意見が出され、長男が仮死状態で生まれたという男性は「医師に過失がなければよい制度だが、過失がある場合まで補償されるのであれば、医療過誤を繰り返す医師がまちがいなく増える」と訴えました。また、脳性まひで生まれた三女が入所する施設探しに苦労したという女性は「お金の問題ではなく、まず福祉を充実させ、安心して出産できる環境を整備してほしい」と話しました。主催した団体の代表の出元明美さんは「事故にあった人たちが求めるのは、原因の解明と再発防止だ。裁判が多いから補償するという医師の都合ではなく、患者の声をよく聞いて、制度作りを進めてほしい」と話していました。
2月12日 18時20分
*****************


<シンポジウムのお知らせ>
~「産科医療における無過失補償制度」草案に異議あり!~
「産科医療における無過失補償制度」を考える緊急シンポジウム

日時:2007年2月12日(祝) PM 13:30~16:15 (受付13時~)
場所:アルカディア市ヶ谷 6階 霧島
<所在地> 〒102-0073 東京都千代田区九段北4-2-25  TEL:03-3261-9921
<交 通> 地下鉄(有楽町線・南北線・新宿線)、JR中央線「市ケ谷駅」徒歩約2分

<第1部> 医師・弁護士らによる講演

産科医療被害の実態をよく知る立場から
    出元明美さん(「陣痛促進剤による被害を考える会」代表)
産科医療裁判の実情をよく知る立場から
    堀 康司さん(「医療事故情報センター」弁護士)
    松井菜採さん(「医療問題弁護団産婦人科部会長」弁護士)
産婦人科医療の現場をよく知る立場から
    打出喜義さん(「金沢大学病院 産婦人科」医師)

<第2部> パネル・ディスカッション

~医療現場や医療裁判の実態は制度の草案に反映されているか?~
 昨年11月末、自民党政務調査会等は今秋からの運用を目指して「産科医療の無過失補償制度の枠組み」をまとめました。そこに示された無過失補償制度の姿は、実際に医療事故に遭った患者の気持ちが反映されているでしょうか?。会場の医療関係者・司法関係者・医療被害者からの発言を元に、あるべき補償制度、あるべき産科医療のシステムについて第一部の講演者と共に議論をします。
【司会:勝村久司(陣痛促進剤による被害を考える会 世話人)】

予約不要で、どなた様でもご自由にご参加頂けます。(会場定員160名)
参加費:1000円(資料代込)、お問い合わせ等は当会まで。

主 催 :「陣痛促進剤による被害を考える会」
共 催 :「医療事故情報センター」「医療問題弁護団」ほか 

投稿者 akiuchi : 03:49 AM

February 12, 2007

助産院で「私」のお産

古い記事だが朝日の神奈川版に助産院でのお産に関して興味深いデータが紹介されていた。助産院のお産が神奈川では全国平均1%に比べて2%と高いことは前から知っていたが(特に川崎が5%と多い)お産の数も「3年前は1715件だったが、昨年は1827件だった。」ということで増えているという。母体搬送の数は100を超えるが新生児搬送の数が約10と極端に少ないのは意外だった。母体搬送には内反2例などかなり怖い症例が含まれている。助産院のお産の約5%が病院に転送されているという事実をもう少し強調してもいいのではないかと思う。

【赤ちゃん】
助産院で「私」のお産
2006年05月27日


退院を前に、助産師が家族写真を撮ってくれる=横浜市金沢区の山本助産院で


育児相談にも気軽に乗る助産師の勝俣喜代子さん(左)=川崎市中原区のさくらバースで

  県内には、お産を扱う助産院が40施設あり、昨年、1827件のお産がありました。その年には、県全体で7万7579人の出生があったので、ざっと2%の赤ちゃんが助産院で命を授かったことになります。全国平均は1%なので、神奈川は全国と比べると多い方です。読者のみなさんから、助産院で産んだという体験談が50通近く寄せられました。その多くは、きめ細かいケアを受けて満足できたという声でした。緊急時は、どんな対応になるの?という疑問についても調べてみました。


(赤木桃子、木村悦子)


  「お産は自然なことで産むのはあなた。でも、少しでも産みやすくするための手伝いはするからね」


  川崎市中原区の住宅街の一角にある助産院「さくらバース」で、助産師の勝俣喜代子さん(54)が妊婦に必ず語りかける言葉だ。


  木造2階建ての一軒家。1階に8畳ほどの診察室兼分娩(ぶんべん)室、2階に出産後に過ごす和・洋室3部屋がある。開業して8年。毎日5、6人の妊婦が訪れる。


  常勤は勝俣さんひとりだが、忙しいときには応援の助産師を頼み、助産師が10人ほどになることも。妊婦から深夜の電話での問い合わせは頻繁にあり、夜は交代で原則、助産師が泊まり込んでいる。


  分娩室に足を踏み入れると、アロマのにおいが立ちこめる。検診には1回約30分かける。「どのお母さんにも安心して産んでもらいたいですから」。出産時の体位は自由で、自分のペースでゆっくりと産んでもらう。


  勝俣さんは病院や保健所、看護学校の講師として約20年働いた後、開業した。


  20日、横浜市港北区の浅間恵美さん(31)の第3子の姫香ちゃんが生まれた。


  浅間さんは上の2人の子どもは病院で産んだが、子どもたちにお産の様子を見せたいと助産院でのお産を決め、口コミでここを知った。「立ち会った子どもたちも、命が生まれてくる神秘を感じてくれたと思います」


  第1子のときは新生児室に入れられたが、今回は出産後5日間、母子同室で過ごした。母乳をスムーズに飲ませられているか、産後の体調はどうかと、1日に3回ほど、助産師が様子を見に来てくれた。


  勝俣さんは、こう話す。「病院勤務時代には、助産師は医師の下で働くのが当然と思っていましたが、開業してから考えは変わりましたね。正常なお産なら助産師だけで十分可能なんです」


  病院でのお産が増えたのに伴い、助産院での出産は昔と比べ大幅に減った。しかし、県全体ではここ最近、助産院でお産をする件数がわずかながら増えている。3年前は1715件だったが、昨年は1827件だった。


  じつは「病院で産みたかったが、予約が取れないのでやむなく来ました」というケースが増えているのが大きな要因とみられている。


  地域別にみると、助産院のお産の件数が増えているのは「横浜」と「西湘」と、産婦人科医不足に伴ってお産の受け入れを休止する病院が増えている2地区に限られているからだ。


  医療機関ではない助産院で、緊急時にはどんな対応が実際に取られているのか――多くの妊婦にとって一番気がかりな点だ。


  日本助産師会は、助産院で産んでいい妊婦と、産んではいけない妊婦をガイドラインを定めて、明確にわけている。例えば、双子の場合は助産院では産めない。妊娠中2回は医師の診察を受け、妊娠経過が正常であることを確認しなければいけない、といった内容だ。


  ただ、妊娠経過が正常な人でも、お産の最中に異常が起きる場合もある。そうした緊急時に備え、県は周産期救急医療システムを定め、搬送先の病院を指定している。日本助産師会のガイドラインは、異常出血や子宮の異常など、母体や赤ちゃんにどんな症状が出たときに医療機関へ搬送するか、約60項目の基準を定めている。


  「さくらバース」の場合は、車で10分ほどにある病院に搬送する。開業以来、数件の搬送例があった。最後は無事に出産できたが、出産間近に赤ちゃんの心拍が異常になり、搬送しようとした複数の病院に「ベッドが空いていない」と断られ、ひやりとしたことも1度だけあったという。


  日本助産師会県支部長の山本詩子助産師は、病院との連携の大切さを強調する。


  「昔のように、助産師がどんなお産でも取り上げるという時代ではない。正常か異常かをきちんと判断し、1人で無理なケースを抱え込まないようにしている。ただ、お産にリスクはつきもの。万が一のときの医療連携なくして助産院はありえない」

■05年に県内の助産院から病院に転院・搬送された主な理由ごとの件数
 ◇母体分
 前期破水 17
 陣痛微弱 15
 過期産 11
 胎児心拍異常 7
 切迫早産 6
 胎児異常 4
 妊娠中毒症 4
 回旋異常 3
 弛緩(しかん)出血 3
 母体合併症 3
 母体感染症 3
 骨盤位 2
 子宮内反 2
 切迫流産 2
 遷延分娩(ぶんべん) 2
 母体発熱 2
 癒着胎盤 2
 子宮内発育遅延 1
 外陰部血腫 1
 前置胎盤 1
 羊水混濁 1


◇新生児分■
 低出生体重児 3
 呼吸障害 3
 黄疸(おうだん) 2
 早産児 1
 死産児 1
 体重増加不良 1
 低血糖症状 1


(日本助産師会県支部の調査)

  県内のお産を扱う助産院の場所は、日本助産師会県支部のHP(http://kanagawa-josanshi.com/maps/index.html)に載っています。

読者の体験から

  金子亜里(ありす)さん(海老名市 34歳)


  昨年4月、厚木市の助産院で初めての出産をしました。自然なお産がしたいと選びました。


  検診ではその月ごとの食事、生活、おなかの赤ちゃんとのコミュニケーションの仕方などを指導してくれました。ヨガ教室で呼吸法を学んだり、会陰の筋肉を動かす練習をしたりもしました。


  お産の時はずっとそばに夫や助産師さん、はり・きゅう師さんがついてくれて痛いときにはさすってくれ、穏やかなときには談笑しました。産後は助産師さんがちょっとしたときに部屋を訪れてくれて、お乳の吸わせ方、おむつの替え方、泣いたときの対処法の疑問や質問につきあってくれました。その後も1カ月健診、離乳食講習会と月齢ごとの心配事の相談や育児ストレスなど様々に支えてもらっています。


  妊娠中から一貫して信頼できるアドバイザー、自分が望むお産と子育て像を提供してくれた助産師さんと巡り合えた幸せは、筆舌に尽くしがたいです。

  佐々木直美さん(横浜市 31歳)


  2月に横浜市の助産院で第2子を出産しました。出産当日は、4歳の娘もずっとつきあってくれて、ぎゅっと手を握ってくれたり、赤ちゃんの出てくるところをのぞいたり。生まれた瞬間はとてもうれしそうな顔をしていました。


  私もそんな娘の顔を見て、ますますうれしかったし、家族みんなで新しいメンバーを迎えられたことが最大の幸せでした。娘も「ママ、がんばったね」とほめてくれました。


  娘は赤ちゃんをとてもかわいがってくれますし、また赤ちゃんがほしいと言ってくれます。最近は、大きくなったら何になりたいか聞くと、「赤ちゃんが生まれたときの先生(助産師)になりたい」と言います。


  それだけ娘にとって、命の誕生が感動的なことだったのでしょう。命の大切さを感じられる子に育ってほしいと思います。

  小濱佳澄さん(横浜市 38歳)


  1人目の出産の時、予定日より1カ月早く破水して、助産院で出産できず、提携先の総合病院で出産しました。


  夜中の1時過ぎに破水に気づいて、助産院に行きました。「ここでは扱えない」と言われ、提携先の病院にすぐ連れて行ってもらえるのかと思ったら、明け方まで待たされました。なぜ待たされているのか、説明はありませんでした。


  ようやく病院に着いたら、今度は「なぜ助産院なんかで産もうとしていたの」と看護師に言われました。


  提携しているはずの病院のスタッフからそんな言葉が飛び出し、助産院と総合病院の提携の悪さに驚き、幻滅しました。 すべての助産院を否定するわけではありません。自分の体と赤ちゃんを感じながら自然出産をすることで、母乳育児や赤ちゃんとの生活も順調にいくし、頼りになる助産師さんが地域にいることで相談ができます。実際に、2人目はほかの助産院で無事出産しました。


  だからこそ、助産院と病院がきちんと提携していることが必要だし、しっかりした技術力を持った助産師さんが、妊婦と信頼関係を持てるようにしてほしいと思います。  

県の周産期救急医療システム


  重症に対応する基幹病院(8)、重症と軽症の間に対応する中核病院(11)、軽症に対応する協力病院(14)の三つが決められている。基幹病院と中核病院は24時間、協力病院は原則24時間、患者を受け入れる体制になっている。


  緊急時に助産院はまず基幹病院に連絡し、症状に応じて各病院の空き状況をパソコンで確認したうえ、最寄りの受け入れ病院を探すという仕組み。日本助産師会神奈川県支部の調べでは、05年は県内で1827件あった助産院でのお産のうち、母体搬送は134件、新生児の搬送は19件あった。


                   ◇


  (1)基幹病院 県立こども医療センター、北里大学病院、聖マリアンナ医大病院、横浜市立大医学部付属市民総合医療センター、聖マリアンナ医大横浜市西部病院、横須賀共済病院、東海大医学部付属病院、小田原市立病院


  (2)中核病院 日本医科大武蔵小杉病院、横浜労災病院、横浜市立大医学部付属病院、藤沢市民病院、昭和大藤が丘病院、昭和大横浜市北部病院、茅ケ崎市立病院、相模原協同病院、社会保険相模野病院、横須賀市立市民病院、平塚市民病院


  (3)協力病院 川崎市立川崎病院、国立病院機構横浜医療センター、横浜市立市民病院、済生会横浜市南部病院、横浜南共済病院、けいゆう病院、国際親善総合病院、横須賀市立うわまち病院、厚木市立病院、平塚共済病院、秦野赤十字病院、県立足柄上病院、大和市立病院、横浜市立みなと赤十字病院


  次回は、お産の場の減少にどう対処したらいいのか、専門家のインタビューを掲載する予定です。赤ちゃん企画への情報、取り上げたいテーマ、ご意見をお寄せ下さい。住所、氏名、電話番号を明記のうえ、〒231・8504 横浜市中区日本大通15 朝日新聞横浜総局「赤ちゃん」係へお願いします。FAX(045・641・9696)、メール(kanagawa@asahi.com)でも受け付けます。


投稿者 akiuchi : 04:53 AM

助産資格

朝日の神奈川版に「助産資格」について読者の意見が紹介されている。毎日新聞の神奈川版に比べると朝日は冷静な判断をしていると思う。同じテーマで昨年の9月にも記事を掲載しているが今回は起訴猶予となった後だけに堀病院には同情的な意見が目立つ。現実に即した対応が今求められているということが助産師会や看護協会はなぜわからないのだろう?

【赤ちゃん】
「助産資格者もっと」
2007年02月03日


会場の看護師、助産師からは質問が相次いだ=2日、横浜市中区で

  年間3千人がお産をする堀病院(横浜市瀬谷区)の無資格内診事件は、前院長と看護部長を務めていた助産師1人、看護師4人、准看護師5人の計11人が起訴猶予という処分で決着しました。事件発覚以来、看護師による内診問題は、多くの妊婦さんや女性たちの話題にもなりました。今回の処分内容は、どう受け止められているのか――読者のご意見を紹介します。


(赤木桃子)

  横浜市旭区 女性(35)


  昨年3月末に2人目の子どもを堀病院で出産しました。事件発覚当時は「助産」にいろいろな解釈があり、内診が含まれるのかどうか、意見が分かれていることに不思議な気持ちになりました。法律の解釈自体がはっきりしていない部分がある以上、不起訴になるのは当然だと思います。


  産む側にしてみれば、しっかりと経験を積んだ看護師に内診をお手伝いしてもらい、医師や助産師不足、激務による過労を防げるのであれば、ありがたいことです。そのためには、看護師が働きながら、内診の実習などができるような制度をつくればいいのではないでしょうか。


  座間市 女性(42)


  堀病院や、他県の産科医が悪意を持って看護師に内診をさせていたとは考えられないので、不起訴であることに異議はありません。


  医師や助産師の数が増え、内診から出産、その後の処置まで担当する余裕があるのなら、医師か助産師のみがやればいいのかもしれません。でも、現実として無理で、必要な教育を受けた看護師の内診は、認める方向で考えてもいいのではないかと思います。


  厚生労働省が「医師の指示があっても、看護師は内診をしてはならない」としたときに、産婦人科医のだれかが、お産の場の状況を訴え、看護師による内診が必要だと手続きを踏んでくれなかったことが残念です。


  内診にとどまらず、看護師が医療の現場で、どの程度まで踏み込んでいけるのか、厚生労働省、医師、助産師、看護師で早急に再考していただきたいです。


  川崎市 元看護師


  私自身去年35歳で出産しましたが、外科と内科で10年間、看護師として働いていました。


  10年のキャリアがあっても、母性領域は未知の世界です。仮に内診の手技を身につけたとしても、とても責任を持って分娩(ぶんべん)を見守る専門知識はありません。だからこそ、助産師になるためには看護師の資格を取った先に助産師学校や助産師の専攻科があり、知識と経験をつむ必要があるのではないでしょうか。


  私自身のお産も各助産師さんの力量に違いがあり、戸惑ったのも事実です。助産師でもそうなのに、技術や現場の経験だけで知識のつんでいない看護師が安易に引き受けてしまうのは、とても無責任だと思います。


  近ごろ、様々なサービスを売りにしている病院が増えています。それはそれで良いことかもしれませんが、安全に勝るものはありません。助産師が足りない現状を、無資格助産の正当化の理由にするのではなく、命の安全を第一に助産師さんが働く環境を整えたり、考えることはもっとあると思います。


  横浜市緑区 女性


  04年10月に1人目を、1カ月ほど前に2人目を堀病院で出産しました。1人目のときは、確かに看護師とも助産師とも区別のつかない方が子宮口の開き具合を見ていました。2人目のときは、助産師とわかる名札をつけており、それ以外の人が子宮口の開き具合を確認することはありませんでした。


  でも、1人目のときの方が頻繁に声をかけてくれ、「もう少しだよ」と安心させてくれました。2人目のときは、助産師はあまりに忙しく、なかなか状態を見てくれませんでした。あれで状態が悪化したらと思うとどちらがいいのか、判断がつきません。


  病院で医師が来るのは子宮口が全開大になり、分娩(ぶんべん)室に移ってからです。問題があるとしたら、看護師が子宮口の開き具合を見ることではなく、陣痛室に医師か助産師が常駐していない状況にあるのではないかと思いました。


  看護師に内診をさせるのが違法というのなら、医師や助産師の数を増やす。または看護師に助産師資格を取らせるという行動が一番前向きだと思います。


  事件発覚を受けても転院は考えませんでした。妊娠中期に入っていた以上、転院は現実的ではありません。横浜市の産院は妊娠5、6週で予約を取らないと産めないというのは、大げさでなく多くの産院での現実です。


  ■「法的な責任」で勉強会


  医療訴訟が増えるなか、医師だけでなく、看護師や准看護師が個人で訴えられるケースが増えている。堀病院をめぐる無資格内診事件でも、看護師と准看護師が書類送検された。ふだん医師の指示に従うことの多い看護師に、どこまで法的な責任が生じるのか――看護師の立場から、それを考える勉強会が2日、横浜市中区の県総合医療会館で開かれた。


(大貫聡子)


  県看護協会が「今、改めて看護業務を考える 看護職と法的責任」というテーマで主催した。看護師で日本看護協会出版会の平林明美さんと、国学院大学法科大学院教授の平林勝政さんがそれぞれ講演し、そのあと、質疑応答があった。看護師や准看護師を含め、200人ほどが参加した。


  平林明美さんは、看護師の診療補助行為について、保健師助産師看護師法(保助看法)でどこまで行えるのか、範囲が明確に示されていないと指摘。平林教授も「医療と看護の業務分担がいまは不十分だ」と話した。


  質疑応答では、堀病院の処分を受け、公立病院に勤める助産師資格を持つ看護師から「地検の判断に不安を覚える。医療現場に合わせた判断をしたというが、では助産師の国家資格とはなんなのか」との疑問が出された。


  それについて、厚生労働省の「保助看法のあり方検討会」のメンバーだった平林教授は「検討会でも内診問題は集中して審議したが、(1)内診は助産行為(2)医師の指示のもとであれば看護師もできる(3)医師と助産師が話し合うべきだという3論併記に終わった」と話した。


  講演会に参加した20代の看護師は「看護師の診療補助行為の大半は、病院内の決まり事として、おこなわれているのが実情。無資格のまま内診しろと、仮に医師の指示があれば自分だって従うかもしれない。堀病院の事件は、ひとごとじゃない」と話していた。


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【赤ちゃん】
「内診」解釈と実情に溝
2006年09月09日


堀病院では事件発覚後、助産師を急募している=8日、横浜市瀬谷区の堀病院で

  横浜市瀬谷区の堀病院が保健師助産師看護師法に違反して准看護師らに内診をさせていたとされる事件をめぐって、産婦人科医らでつくる県産科婦人科医会は「十分な経験・技量を身につけた看護師による正常経過の観察」行為であるとして、県警の捜査自体に反発しています。「妊婦の内診」とは、そもそもどういう行為なのか。そのことを考えてみました。


(赤木桃子、大貫聡子)


  助産師養成学校では、「内診」をどう教えているのか。


  横浜市中区の県立衛生看護専門学校は、学生を病院で実地研修させている。妊婦が入院した際にまず1回目の内診をさせ、妊娠中の診察結果を踏まえ、あと何時間ぐらいで生まれるかを予測させる。その後、妊婦さんの表情や陣痛の間隔、赤ちゃんの心音を観察させ、学生が容体の変化を感じたら、再度内診をさせ、子宮口の開き具合や赤ちゃんの位置を確かめさせる。


  お産が正常に進んでいるか、あとどれくらいで生まれるかを見極めさせる訓練だ。一例終わるたびに、指導役の助産師と1時間以上かけて経過を振り返り、処置や判断が適切だったかを検討する。学生には少なくとも10例を経験させる。


  岡田律子助産師学科長は「初めは戸惑うが、8例目くらいになると感覚をつかむ。卒業後、すぐ即戦力になるよう指導している」と話す。


  内診のとらえ方をめぐって対立が起きるのは、保健師助産師看護師法が「助産」の具体的内容まで定めず、厚生労働省が法解釈として説明しているからだ。厚労省は助産のひと項目として、「内診によって子宮口の開大、胎児の頭の下降度、回旋などを確認する」行為を指摘している。「助産は医学的判断を伴う。医学的判断を禁止されている看護師がおこなえるものではない」との立場だ。


  実際に医療現場で、看護師はどう助産にかかわっているのか。


  県産科婦人科医会は、堀病院で看護師が内診をしていた状況について「分娩(ぶんべん)経過の全体を産科医師が把握しつつ、担当医の監督責任のもとで十分な経験・技量を身につけた看護師による産婦の正常経過の観察を担当医が補助情報として利用する範囲内」との見解を出した。看護師は「正常経過の観察」をし、医学的判断は医師がしていた、との説明だ。


  産科救急の場に身をおくある医師も「看護師が医師の指示のもとで、内診をするのは問題ない」と話す。「産道に指をいれて子宮口の開大を測るのは、非侵襲的(体を傷つけない)な行為。注射など、より高度な医療にかかわっている看護師になぜ許されないのか」


  だが、こう明かす横浜市内の診療所の院長もいる。「看護師には『診断に迷ったら、いつでも呼ぶように』と言っているが、ほとんどの場合呼ばれない。呼ばれるのは子宮口が全開になった時点だ」


  この診療所では、看護師を採用する時点で「いざとなれば内診できるの?」と尋ねていた。「『前の病院では赤ちゃんを取り上げていました』と言われれば、即採用だし給料も高く出す」


  一方、24歳の助産師は、助産師学校に通っていたときの話を、こう語った。「『通っている診療所で院長を呼んでも来てもらえず、そのうち赤ちゃんが生まれてしまったことが何回かあった。怖くなったので、資格を取りに来た』という看護師が何人もいた」


  ■私はこう思う■


  ●出産時の安心 法律より大切 横浜市都筑区 女性


  私は5歳と2歳の子供がいます。2人とも堀病院で出産しました。今思えば「あの時内診して下さったのが看護師さんだったのかなあ」と思うくらいです。


  1人目の陣痛中に体調が悪くなった時、きちんと医師を呼んできて下さいました。出産の時も「今、先生呼んできますから」と医師が来て出産。教育が行き届いているのであれば、看護師の内診も良いと思います。法律は大切ですが、一番大切なのは、出産する側がどれだけ安心して出産できるかだと思います。看護師が内診をしているという告知はこれからは必要なのかもしれませんね。


  ●経験豊富なら不安感じない 横浜市戸塚区 女性


  4月に市内の個人病院で出産をしました。看護師による内診を3度ほど受けたと記憶しています。私自身が看護師をしていて、最初に内診をされた時には『この病院では看護師が内診するの?』と少しびっくりしましたが、嫌だとか不安だとかは思いませんでした。


  と言いますのも、仕事柄、看護師でも知識、技術、経験などは個人の努力や、その病院の教育体制によるところが大きく、正しい状況判断ができるほどの経験をつんでいるのであれば、陣痛室に待機中の内診は問題ないように思います。


  ただ、それをどのように判断するのか、客観的な判断基準がない現在においては、やはり有資格者かどうかで判断するしかないのでしょうか。


  ●きちんと指導 危険はあるか 元看護師


  現在出産育児のため無職ですが、内診が出産時の子宮口の大きさや、赤ちゃんの頭がどのくらい下がってきたのか確認する程度であれば、医師や助産師が手が離せない場合は仕方のないことだし、手が離せないからと言って放っておかれることの方が危険なことだと思います。


  きちんと看護師に指示、指導をしているのであれば、まず危険なことはないと思います。法律上問題というのなら注射も本当は医師の監督のもとで行うもののはずですが、わざわざじっと見ている医師なんていないし、カルテや処方箋(・・せん)を看護師に書かせている医師もたくさんいます。


  ●無資格看護師 不安を与える 海老名市 菅原麻里さん(32)


  堀病院が准看護師らに助産行為をさせていたという事件に驚きました。2人の乳幼児がいます。長男は8カ月検診(28週)の時、切迫早産で別の病院に緊急搬送されるまで堀病院に通っていました。35週まで入院。胎児は順調に成長。もし、無資格の看護師に内診されていたら、と考えると怖いです。


  いろいろなことにデリケートな妊婦に不安を与えるような要素や環境は絶対によくないです。まして無資格の看護師による内診は論外だと思います。


  ●妊産婦集中で仕方ないこと 藤沢市・女性


  昨年10月、3人目を個人病院で出産しました。いよいよ子宮口全開になったと判断した女性が医師を呼び、「まだ全開ではない」と医師がその女性をしかりつけたことがありました。子宮口が赤ちゃんの頭に半分かぶさって出にくくなっているということで、何度も内診し、励ましていただき、その女性にはとても良い印象を持っていました。


  出産後に分かったのですが、助産師だと思っていた女性の名前が母子手帳の分娩取扱者の「助産師」の欄ではなく、「その他」の欄にあったのです。産婦人科の病院が減って、妊産婦が特定の病院に集中してしまっている状況では仕方のないことなのかと思いました。


投稿者 akiuchi : 04:34 AM

February 11, 2007

開業助産所、3割ピンチ 嘱託医義務化に確保厳しく

看護師の内診問題で開業産科医をつぶしておいて今度は開業助産所のピンチなのだという。はじめから厚労省が書いていた通りにお産の集約化が進んでいるだけだと思うのは私だけだろうか?
開業助産所、3割ピンチ 嘱託医義務化に確保厳しく
2007年02月10日01時29分(asahi.com)

 年間約1万人、全国のお産の1%を担う開業助産所が存亡の危機に立っている。4月施行の改正医療法で、産婦人科の嘱託医を持つことが義務づけられたのに、日本産婦人科医会が産科医不足などを理由に、厳しい条件の契約書モデル案を示したためだ。NPO法人の緊急アンケートでは、嘱託医確保が「困難・不可能」が3割にのぼる。

 嘱託医確保の猶予期間は施行から1年。来年4月までに嘱託医が決まらない助産所は、廃業せざるを得ない。

 「産む場所の選択肢を奪わないで下さい」

 9日、助産師や産婦たちでつくるNPO法人「お産サポートJAPAN」が、厚生労働省で会見を開いた。同時に発表した全国の分娩(ぶんべん)を扱う開業助産所330全施設対象のアンケート結果によると、「嘱託医が確保できる」は38%。「不確実だが見込みがある」30%、「困難」21%、「不可能」が7%だった。

 出産時の異常で、助産所から病院・診療所に搬送されるのは約1割。同NPO代表で助産師の矢島床子さんは「安全性確保には医療のバックアップは必要。でも、助産師が自力で嘱託医を探すのは難しい」と話す。

 一方、日本産婦人科医会は、助産師は独立開業より院内助産所の形を取るべきだとする。昨年末には「嘱託医契約書モデル案」を発表した。「助産所は嘱託医に委嘱料を支払う」「妊婦を転送したケースについては、助産所が訴訟費用などを補償する」「助産所は十分な資力を確保しなければならない」など、厳しい内容だ。産科医不足の上、転送を受けた病院が訴訟の対象となる例が相次いでいる事情がある。

 神谷直樹常務理事は「助産所の分娩は安心かもしれないが、安全面で問題がある。一歩進んだ分娩環境の提供を目指すため、あえて厳しいモデルを示した」と話す。

 日本助産師会は「モデル案は助産師の開業権を事実上、侵害する」として、厚労省に「嘱託医と、救急搬送先となる連携医療機関を同じ病院(医師)が兼務できるようにしてほしい」と要望した。同省看護課も「後方支援機関として嘱託医を残すべきだと主張し、確保に協力すると言ったのは産科医会だ。安全なお産のために積極的に嘱託医を引き受けてほしい」と話している。


投稿者 akiuchi : 08:26 PM

February 10, 2007

【衆院予算委】枝野議員、周産期医療の改善等の必要性を強調

民主党の枝野議員は宇都宮高校卒業。周産期医療に関してまともな結構ことを言っているようだ。同じ民主党でも円より子はひどいな~

2007/02/07
【衆院予算委】枝野議員、周産期医療の改善等の必要性を強調
http://www.shugiintv.go.jp/jp/rm.ram?deli_id=33330&media_type=rb&time=01:09:30.7

 民主党・無所属クラブの枝野幸男議員は7日、少子化問題に関する集中審議が行われた衆議院予算委員会で質問に立ち、問題発言が相次ぐ柳澤厚生労働大臣の認識を質すとともに、産科医師不足の実態、横浜無資格助産事件、生殖医療の問題、産みたくても産めない男女への社会的サポート、嫡出推定の矛盾点などについて議論した。

 枝野議員はまず、柳澤厚労相の発言を改めて取り上げ、そもそも何に謝罪しているのかを質問。柳澤厚労相は「私が使った表現が不適切。女性をはじめ国民のみなさまの心を傷つけた」と答弁。安倍首相も「不適切であった。私からもお詫びする」などとした。
 
一連のやり取りのなかで枝野議員は、「女性を産む機械としたことだけ」を謝罪するに留まっている厚労相はじめ安倍首相の姿勢を問題視し、その表現の背景にある基本認識と自分たちの感覚とのズレに国民が怒っているのが実態だとした。安倍内閣の視点が、社会政策においても経済政策同様、マクロをベースにしている点にそもそもの誤りがあることを指摘し、「社会政策はミクロに目を向けないと本質がずれてしまう」と提起した。

 ミクロの視点重視の認識に立つべき問題として枝野議員は、産科医師不足の問題にも言及し、産科・外科医の減少傾向に歯止めがかからない実態を浮き彫りにした。厚労相は「その通り」としたが、拠点病院に搬送して対応するなど、医師不足に対しては医療のネットワーク化で対応できるとの認識を示した。枝野議員は、「その現状認識が産科に通っている人の実感からずれる」として、それもまたマクロからの発想だと厳しく指摘した。
 
 そのうえで枝野議員は、福島県立大野病院で腹式帝王切開術を受けた女性が死亡し、担当医師が業務上過失致死で起訴された事件を取り上げた。診断がきわめて難しく、治療の難度も高い医療行為に対し、最善を尽くした医師が起訴されたことを問題視し、「これ事件を放置しておいたら、リスクのある医療に従事する医師はいなくなる」と指摘。処罰に値するかどうか、厚生労働省と法務省と協議・検討する必要があるとした。

 あわせて、横浜無資格助産事件も取り上げ、起訴猶予理由で「構造的問題」とされたように、助産師不足が恒常化している実態を指摘。この判決はまさに厚生労働省の怠慢を指摘しているものだとも述べ、資格者養成に向け、早急に着手するよう求めた。

 さらには、今回の柳澤厚労相の発言同様、日本社会全体にはびこる悪しき通念をなくしていく必要性を指摘。その一つとして、善意の発言であっても「子どもはまだ?」と聞く行為が人によっては精神的苦痛へと繋がるものであるとの認識などが周知されるよう、政府としてキャンペーンを実施するなど、「産みたくても産めない男女に対する社会的サポート」を政府として前向きに取り組んで行くよう、首相と厚労相に要請した。

参議院議員 円より子 Blog
●助産院開業を阻む医療法19条は大問題
http://www.election.ne.jp/10017/archives/0003350.html

投稿者 akiuchi : 11:57 AM

看護課長通知

平成14年(1)と平成16年(2)に厚労省医政局看護課から2つの通知が発せられた。この「貴見のとおりと解する。」という素気ない2つの看護課長通知によって日本中の周産期医療が崩壊しようとしている。恐るべきは官僚の力!

(1)   ○助産師業務について        平成14年11月14日(医政看発1114001)

            厚生労働省医政局看護課長から鹿児島県保健福祉部長宛

照 会

 下記の行為については、保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第3条で規定する

助産であり、助産師又は医師以外の者が行ってはならないと解するが、貴職の意見をお伺いしたい。

1 産婦に対して、内診を行うことにより、子宮口の開大、児頭の回旋等を確認すること

並びに分娩進行の状況把握及び正常範囲からの逸脱の有無を判断すること。

2 産婦に対して、会陰保護等の胎児の分娩の介助を行うこと。

3 胎児の娩出後に、胎盤等の胎児付属物の娩出を介助すること。

回 答

 貴見のとおりと解する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(2)   ○産婦に対する看護師業務について   平成16年9月13日(医政看発0913002)

            厚生労働省医政局看護課長から愛媛県保健福祉部長宛

照 会

 下記の行為については、保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第5条に規定する診療の補助には該当せず、同法第3条に規定する助産に該当すると解するが、貴職の意見をお伺いしたい。

産婦に対して、子宮口の開大、児頭の下降度等の確認および分娩進行の状況把握を目的として内診を行うこと。

但し、その際の正常範囲からの逸脱の有無を判断することは行わない。

回 答

 貴見のとおりと解する。

投稿者 akiuchi : 06:55 AM

February 05, 2007

お産の現状改善に“猶予”

東京新聞横浜支局も「内診は違法」だが諸般の事情を鑑み「猶予」してやるということを主張している。内診以外に人工破膜をさせていたことが違法だというのであればそのことで争えばいいのだ。看護師に限らず助産師ですら人工破膜をすることは単なる助産行為とは違う。人工破膜は医師の責任で行われる医療行為だ。現に助産師が人工破膜をして新生児死亡したケースが訴えられているが、このケースでも医師の監督下に人工破膜が行われていたとすればそれ事態は適切な医療行為だったのだろう。新生児死亡という結果との人工破膜の因果関係が争われるべきだ。問われるのは内診そのものではなくて医学的に適切な人工破膜だったかどうかということだ。

お産の現状改善に“猶予”
無資格助産事件
 横浜市瀬谷区の産科婦人科「堀病院」の無資格助産事件は一日、横浜地検が堀健一元院長(79)と看護師ら十一人を不起訴(起訴猶予)処分とし、一応の決着をみた。だが堀病院では組織ぐるみの違法行為が常態化していただけでなく、危険性を伴うとされる「人工破膜」を看護師らに行わせていたことも判明。神奈川県警の捜査を批判した日本産婦人科医会の幹部でさえ驚く「悪質さ」だったが、なぜ地検は起訴猶予という判断で落ち着いたのか。 (横浜支局・小川慎一、中沢穣、石川智規)

 県警や地検の捜査で同病院は、二〇〇三年十二月から〇六年八月の二年半で、妊婦約七千五百人に看護師らの無資格内診を行い、うち約千人については、出産まで医師や助産師による内診が一度も行われていなかった。

 さらに、出産促進のため、胎児を包む卵膜を手や器具で破る「人工破膜」も無資格の看護師らの手で普通に行われていたことも明らかになった。人工破膜は胎児の頭を傷つける恐れなどがあるため、出産現場に携わる都内の医師は「リスクが大きく医療行為に近いので、看護師には絶対やらせない」と話す。

 日本産婦人科医会は産科医と助産師が不足するなかで「無資格内診で刑事責任を問われるとすれば、産科医療の現場に深刻な打撃を与える」と県警の捜査を非難した。だがその医会幹部でさえ、地検から堀病院での「人工破膜の話」を伝え聞いたときは「ここまでひどいとは」と絶句した。

 堀元院長は当初「看護師の内診は必要悪」と主張。過去の無資格助産事件と比べても、違法性の度合いが際立ち、地検側も略式起訴などを視野に捜査を進めていた。しかし、一方で堀病院が年間約三千件のお産を扱うなど産科医療で実績を残していることや他の医療機関でも広く無資格内診が行われている実態があり、「このままでは狙い撃ちだ。ほかの病院も全部捜査しろということになる」「厚生労働省が告発すらしていないのに形式犯でやるのはどうか」と検察幹部に躊躇(ちゅうちょ)する声も少なくなかった。

 地検も堀病院のケースで「実際に内診による危険はなかった」とし、産科医不足や助産師の偏在など構造的な問題の解決のために、同省や医会が議論や施策を進めている「過渡期」で、刑事罰を与えることは妥当ではないと最終判断した。

 しかし、「陣痛促進剤による被害を考える会」の出元明美代表(54)=愛媛県=は批判する。

 「堀病院への苦情は会に多く寄せられており、危険な状態は表ざたになっていない。検察は起訴すれば産科医療の現場に混乱を招くという怖さがあったのだろう」

 医会幹部の一人は地検の処分にこう感想を漏らした。「今後、無資格内診のような問題を野放しにしておけば、いつかまた捜査が入り、摘発される。今回のケースはわれわれへの“猶予”だ」

*****************
<医療過誤>「人工破膜」で胎児死亡、産科医院に賠償提訴
2月1日21時39分配信 毎日新聞


 助産師が分娩を促すために妊婦の卵膜を破る「人工破膜」を早くしたため新生児が仮死状態になり死亡したとして横浜市の30代の夫妻が31日、同市戸塚区内の産婦人科医院に慰謝料など5320万円を支払うよう求める訴訟を横浜地裁に起こした。院長は「訴状内容を把握していないのでコメントを差し控えたい」としている。


投稿者 akiuchi : 04:28 AM

February 04, 2007

千葉県が破格の奨学金創設へ 「Dr.過疎地」養成へ3200万円

東京都の隣に位置する千葉県ですら医師不足で困っているという現実に事態の深刻さを知らされた。医師不足は行政がいうような偏在ではなく誤った将来予測による医師養成の削減という政策に起因していることはもはや明らかだろう。責任を取らずに厚労省はこのまま平気でいられると思っているのだろうか?

千葉県が破格の奨学金創設へ 「Dr.過疎地」養成へ3200万円

 ■県内7~9年勤務で返還免除 私大医学生を対象
 深刻化する過疎地での医師不足に対応するため、千葉県が私立大学の医学生を対象に、1人当たり在学6年間で総額3200万円を上限とする奨学金制度を創設することが1日、分かった。協定を結んだ東京都内の私立大医学部、医大の受験生に「地域枠」を設けて奨学生を募集。卒業後、県内の医療機関に7~9年間勤務すれば奨学金の返還を免除する。県外の大学に地域枠を設定するのは全国でも初めてで、これほど高額の奨学金も異例という。(名古屋和希)
 千葉県の計画では、県内に付属病院を持つ東京慈恵会医科大学、東京女子医科大学、日本医科大学など6大学のうち2大学と協定を締結。来年以降の入学生を対象に毎年各大学2人、計4人分の奨学金を大学を通じて医学生に貸与する。
 大学側は地域枠を設けて受験生を募集し、県が資格審査を行って対象となる受験生を決める。入学金が必要な初年度は700万円、2年次以降は年間500万円を限度額とし、奨学金を出す。協定を結んだ6大学の在学6年間の平均授業料総額は3300万円程度なので、県からの奨学金で学費の大半をまかなえることになる。
 奨学生は臨床研修後に小児科と産科は7年間、それ以外は9年間、医師不足に悩む県内の自治体病院に勤務すると奨学金の返還が免除される。県は地域医療医師養成事業として19年度予算案に3100万円を計上した。
 入試に地域枠を設けた奨学金制度は兵庫、岩手両県が県内の私立医大を対象に導入している。このほか、青森県や宮城県などでは県内外の医大生を対象に年間数十万~240万円程度の奨学金を交付しているが、授業料を全額まかなえるまでにはなっていない。
 また、これらの県では都市部の方が先進的な医療技術を習得しやすいとして、奨学生が卒業時に奨学金を返還し、医師が不足する地域で勤務しないケースも少なくなかった。千葉県は奨学生の卒業後のプログラムにも工夫を凝らし、勤務後の数年間は都市部の大学病院での研修を取り入れ、先端技術を学べるようにするという。
                    ◇
 ■医師不足・偏在…自治体の危機意識くっきり
 「学生は全国各地から集まってくるが、卒業後は大都市に戻ってしまう」と地方の大学医学部は嘆く。加えて、産婦人科や小児科など、診療時間を問わぬ激務やそれに伴う事故の発生が懸念される診療科が、若い医師から敬遠される傾向もある。
 国が昨年8月に打ち出した新医師確保総合対策は、医師の都市部への流出・偏在を是正する方針を24年ぶりに打ち出した。
 千葉県は国からみれば、まだ恵まれた自治体だ。その千葉県ですら、学費の大半を助成してでも、県内に残る医師を確保しようとの方針決定は、医師不足、医師の偏在がそれほど深刻であることの表れといっていい。
 「医師が来てくれない自治体はどこで探せばいいんですか」。日本海に浮かぶ島根県隠岐の島町の松田和久町長は昨春、島で唯一の総合病院に常勤の産婦人科医が確保できない窮状を訴えた。
 確保できなくなった理由に派遣元の大学病院などの事情もある。ハイリスクの出産にいつでも対応できるよう複数の常勤医師を確保、地域の拠点病院としての態勢を整えねばならないからだ。

[産経新聞 ]


投稿者 akiuchi : 06:04 PM

お産の内診 看護師も条件付きで

朝日新聞が社説で「看護師も条件付きで 内診を認めるように」主張している。本当にマスコミも変わったなと思う。あとは厚労省と助産師会だな・・・
そしたらなんとあの毎日新聞も社説で「放置してきた行政の怠慢だ」という意見を表明した。

お産の内診 看護師も条件付きで

 横浜市の産婦人科病院が助産師の資格のない看護師に「内診」などをさせていた事件で、前院長や看護師らが横浜地検で起訴猶予となった。

 内診とは、陣痛が始まった女性の子宮口の開き具合を診て、お産の進行をチェックすることだ。厚生労働省の通知では、医師と助産師にしか認められていない。看護師が内診をすれば、通知に反することになる。警察の摘発には理由があった。

 しかし、看護師の内診で母胎や胎児・新生児に具体的な危険があったとは認められない。事件の背景には、助産師が足りないという構造的な問題がある。そうしたことが、前院長や看護師らの罪を問わない理由だった。

 この病院は年間3千人が出産する全国でも有数の医療機関だ。必要な数の助産師を雇わず、医療を続けていたのは好ましいことではない。だが、助産師が全国的に不足している事情を考えれば、起訴しなかった地検の判断もやむを得ないかもしれない。

 とはいえ、これで問題が解決したわけではない。お産の内診をこれまで通り助産師に限るのか、それとも看護師にも認めるべきなのか。その問題の決着が厚労省や医師、助産師、看護師に投げかけられた。

 助産師会や看護協会はこう主張する。内診は出産の経過を見るために重要な手段で、単純な行為ではない。看護教育の中では教えられておらず、看護師に代行させることはできない。

 一方、産婦人科医は反論する。これまで事実上、看護師が広く手がけてきた。医師の指示の下で進めれば、問題はない。助産師と看護師の仕事を厳格に線引きすれば、かえって現場は混乱する。

 助産師や看護師の言い分は分からないでもない。きちんと教育されないまま内診などの助産行為を手がけるのは危険だ、ということだろう。専門教育を受けた助産師が携わるのが理想であることは間違いない。

 しかし、産婦人科医団体の調べでは、必要な助産師を確保できない施設は75%にのぼる。この状況では、次善の策を考えないわけにはいかない。

 条件をつけて看護師にも内診を認めるのが現実的だろう。たとえば、10年程度、産科での経験を積んだ看護師が研修を受ければ内診をしてもいい、という仕組みをつくることが考えられる。

 産科医療は問題が山積している。助産師だけでなく、産科医も不足している。病院を集約化して効率的な配置をし、医療スタッフを確保しなければならない。同時に医師、助産師、看護師が仕事をうまく分け合って危機を乗り切らなければなるまい。

 厚労省は2年前にも専門家に看護師の内診の是非を検討してもらったが、賛否が分かれ、まとまらなかった。どうすれば、妊婦と子どものためになるのか。新たな視点で論議を急いでもらいたい。

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社説:無資格助産 放置してきた行政の怠慢だ
 横浜市の産科病院の無資格助産事件で、院長、看護師が全員起訴猶予となった。検察は、行為が法律に違反しているのを認めながらもあえて訴追の道を取らなかった。

 刑事責任を問わない理由を挙げている。(1)産科医療に構造的問題がある(2)「内診」が危険だと認められない(3)院長が引責辞任した、の三つだ。行間から読み取れることがある。仮に起訴したら看護師の内診が常態化している産科医療現場が大混乱に陥る。これを避けたい判断が働いたのではないか。さらに産科医療の欠陥は、司法の場で白黒つけるより、行政が早く解決策を探れと促している点だ。

 内診とは、お産が正常に進んでいるかを確かめるため、子宮口の開き具合を測定することだ。約60年前に施行された保健師助産師看護師法には「助産師でないものは助産してはならない」とある。だが、どのような行為が「助産」に当たるかは明記されていない。

 厚生労働省は02年、内診は医師や助産師しかできない助産行為に当たるとの見解を都道府県に出した。その2年後にも、医師の指示があっても看護師は内診してはならない、と通知している。

 これに対し、産科医らで作る日本産婦人科医会は「医師の指示があれば、看護師の内診は助産行為に当たらない」と主張する。助産師の絶対数が足りない現状では、全国の多くの診療所で看護師が内診しているのが実態だという。

 双方の言い分が対立するのは歴史的背景もある。かつてお産の場所は自宅が主流で、助産師が立ち会った。それが1950年代を境に自宅から医療機関に変わっていった。開業の産科医は助産師を雇う代わりに、独自の研修機関を作って看護師に教え、内診も担当させてきた。この影響で、かつて全国で5万人以上いた助産師は今2万6000人に半減、そのうち小規模な診療所に勤める助産師は2割に過ぎない。

 ルールと実態がかけ離れているのに、一片の通知を出すだけで違法状態を放置してきた厚労省は怠慢と言わざるを得ない。解決へのアプローチは、半世紀以上前の法律を実態に合わせるよう変えるか、それが無理なら助産師を必要な数だけ増やすしかなかろう。

 その前に、内診について改めて検証する必要がある。厚労省が言うように、内診には分娩(ぶんべん)進行が正常かどうかの判断まで含まれるので資格を持った者でないとお産の安全が保障されないのか。それとも産科医会が主張するように、看護師にもできる「診療の補助」なのか。早急に結論を出すことだ。

 検討の結果「医師、助産師の領域」と判定されたなら、看護師が働きながら助産師の資格を取れるような養成学校を各地に設けることだ。現在、資格を持ちながら働いていない潜在助産師2万7000人の現場復帰も考慮しなければなるまい。

 検察から、安心してお産ができるよう行政が混乱を鎮めよ、と投げ返されたボールを厚労省はきちんと打ち返す責務を負っている。

毎日新聞 2007年2月4日 0時17分

投稿者 akiuchi : 10:14 AM

無資格助産:「違法」変わらず 堀病院処分で厚労次官見解

厚労省次官も今更「内診は違法ではない」とは言えないだろうがそれにしても現場を知らないんだろうな~

無資格助産:「違法」変わらず 堀病院処分で厚労次官見解
 厚生労働省の辻哲夫事務次官は1日の定例会見で、「(看護師の内診行為は医師の指示があっても違法という)これまでの見解に変わりがない」と話した。横浜地検が同日、保健師助産師看護師法(助産師業の制限)違反容疑で書類送検されていた産婦人科病院「堀病院」(横浜市)の堀健一前院長ら計11人全員を起訴猶予処分にしたことを受けて説明した。

 辻事務次官は、検察の処分については「コメントは差し控える」とした。助産師不足が事件の背景にあるとの指摘には、「ともかく(助産師の)養成数を増やすんだという形で検討している」と話した。

 一方、日本産婦人科医会は横浜地検の決定について、「産科医療、周産期医療における構造的な問題であるとの認識に立って決定された」と評価する声明を出した。【玉木達也】

毎日新聞 2007年2月1日 20時17分 (最終更新時間 2月1日 21時02分)

投稿者 akiuchi : 07:51 AM

奈良妊婦死亡:転送先探し難航の末、立件は見送り

「脳内出血でなく、子癇発作の疑いとした点で判断ミスがあった」と会見で発言した病院側の判断ミスということなのか?これでまたひとつお産の場所が消えていったわけだが本当にすぐに犯罪者扱いされる産科医はたまったものではない。福島の大野病院事件、横浜の堀病院事件、そして奈良の大淀病院事件が2006年に日本の周産期崩壊を決定的にした3大事件として記録に残ることになるだろう。福島の事件はまだ公判が開始されたばかりだが・・・

奈良妊婦死亡:転送先探し難航の末、立件は見送り
 奈良県大淀町の町立大淀病院で昨年8月、意識不明となった妊婦の高崎実香さん(当時32歳)が転送先探しが難航した末、死亡した問題で、奈良県警は、業務上過失致死容疑での同病院医師らの立件を見送る方針を固めた。死因となった脳内出血と、担当医が診断した子癇(しかん)発作との判別は困難で、刑事責任を問えないと判断した。今月中に遺族に捜査の経緯を説明し、最終判断する。

 病院側は問題発覚直後の会見で、「脳内出血でなく、子癇発作の疑いとした点で判断ミスがあった」と発言。県警は任意で提出されたカルテなどを基に専門家約20人に意見を求めたが、脳内出血と子癇発作は、意識喪失やけいれんなどの症状が似ているため識別が困難との意見が大半を占めた。さらに、遺体が司法解剖されず、法医学的な証拠に乏しい点も捜査を難しくしたとみられる。

 高崎さんは昨年8月8日午前0時ごろ、分娩(ぶんべん)中に意識不明に陥った。19病院に受け入れ不能とされた。結局、約60キロ離れた国立循環器病センター(大阪府吹田市)に搬送され、男児を出産後、死亡した。【高瀬浩平】

毎日新聞 2007年2月2日 3時00分

投稿者 akiuchi : 07:11 AM

 「産科医療における無過失補償制度を考える緊急シンポジウム」

市民団体「陣痛促進剤による被害を考える会」(0898・34・3140)が主催する「産科医療における無過失補償制度」を考えるシンポジウムの案内が毎日新聞で報道されている。彼らの目指す理想の医療とは何か?一度参加してみたいと思う。

産科医療:「無過失補償制度」検討へ 真相究明の妨げ懸念
 脳性まひの重い後遺症を抱えて生まれた新生児を巡り、医師らの過失がなくても補償対象とする産科医療の「無過失補償制度」について、医療関係者らによる準備委員会が今月中に設置され、具体的な制度設計の検討が始まる見通しになった。準備委では、補償の対象や金額、審査方法などを話し合うが、医療事故の被害者からは「過失のあるものまで無過失と扱われかねず、事故の原因をあいまいにする」と危惧(きぐ)する声が上がっている。

 同制度は、通常の出産で新生児が脳性まひになった場合、医師の過失が立証されなくても金銭を補償するもので、自民党が昨年11月、制度の枠組みをまとめた。厚生労働省は07年度中に導入する方針で、新生児1人当たり2000万~3000万円の補償が考えられている。準備委は、制度を運用する財団法人「日本医療機能評価機構」(東京都)に設置される。

 出産にかかわる医療事故は、過失の有無の判断が難しいとされ、裁判で争われるケースが少なくない。自民党や日本医師会は、制度で患者や家族の救済を図る一方、医療裁判を減らし、紛争の多さによる医師の産科離れも防ぎたい考えだ。

 しかし、「事故から学んでほしい」と訴えてきた被害者たちは、過失の有無があいまいになり、事故の反省も生かされず、ミスを繰り返す「リピーター」など悪質な医師が放置されることを心配する。医療裁判が多いのも、医療側の不誠実な対応に原因があると批判。障害の重さに比べ想定されている補償費が低すぎるとの声も出ている。

 産科の事故で長女を亡くした経験を持ち、中央社会保険医療協議会(中医協)の委員を務める京都府の高校教師、勝村久司さん(45)は「被害者は産科医らの不誠実さを見兼ね、『今後のために放っておけない』という思いで裁判に向かっている」と指摘する。そして「無過失補償制度を導入する前に、まず過去の被害をきちんと分析し、再発防止策を提言するのが先だ」と訴える。

 厚労省医政局は「準備委では過失の有無などを明らかにするため、事故原因の分析のあり方も検討したい」と説明している。【玉木達也】

 ◇「お金払っておしまいでは…」

 「お金を払ってハイおしまい、になるのでは」--。脳性まひで生まれてきた新生児について、医師の過失を立証できなくとも患者や家族に金銭補償する「無過失補償制度」。出産時の医療ミスによって脳性まひで生まれた三女(5)を育てる川崎市の女性(40)は、助産師として働いている経験から、制度が事故の真相解明を妨げることになりはしないかと心配している。

 女性は01年8月、市内の病院で三女を出産したが、産声はなく、体は真っ白。脳に重度の障害があり、両手足を自分で動かせず、1歳になってやっと退院した。主治医からは後遺症の原因の説明や謝罪はなかった。

 女性は看護師として働きながら、助産師の資格も得た。勤めていた大学病院の医師が、手術ミスが明白なのに死因を「心不全」とするなど、医療現場の問題を目の当たりにしてきた。03年5月、三女を出産した病院を相手取り、損害賠償訴訟を起こした。翌年4月、破水しているにもかかわらず、陣痛誘発器具を使ったミスなどを病院側が認め、約8500万円を支払うことで和解した。

 女性は無過失補償制度が導入されること自体は歓迎する。しかし、「補償対象の審査が医療側だけで行われるとすれば、ミスがあっても対象にされてしまい、医師が責任を逃れるおそれがある」と話し、真実がごまかされることを心配する。補償額についても、「訪問看護や介護に必要な医療器具費もかさむので、2000万~3000万円の一時金だけでは少ない」と批判する。

 さらに、女性にとって問題なのは、重度障害児を受け入れてくれる施設が少ないことだ。三女は食べ物を飲み込めず、腹部にチューブを通している。体重は4キロ。ようやく引き受けてくれる施設を東京都多摩市に見つけた。「障害のある子どもが入れる施設を増やしてほしい。そうしないと家族も倒れてしまう」。女性は福祉制度の充実もあわせて検討すべきだと訴えている。【奥山智己】

 ◇12日にシンポ…東京

 「産科医療における無過失補償制度を考える緊急シンポジウム」が12日午後1時半、東京都千代田区の「アルカディア市ケ谷」で開かれる。被害者や弁護士、医師らの講演やパネルディスカッションを通じ、医療事故の被害者の視点から、補償制度の内容を検証する。市民団体「陣痛促進剤による被害を考える会」(0898・34・3140)が主催。参加費(資料代込み)は1000円。

毎日新聞 2007年2月4日 3時00分

投稿者 akiuchi : 06:59 AM

医療クライシス:忍び寄る崩壊の足音/8止 食いとめよ「士気」崩壊

同じ毎日新聞の記事なのに神奈川支局とどうしてここまで論調が異なるのかはなはだ疑問。いずれにしろ今回の連載は「医療崩壊」を正面からマスコミが取り上げた試みとして評価してよいと思う。

医療クライシス:忍び寄る崩壊の足音/8止 食いとめよ「士気」崩壊

 ◇低医療費政策、転換が必要
 手術前夜、眠れない患者に睡眠薬を出すことがある。「麻酔前投薬」と呼ばれ、麻酔科の教科書にも出ている一般的な方法だ。ところが、済生会栗橋病院(埼玉県栗橋町)は02年5月以降、実施していない。
 きっかけは同月、60代の女性患者に手術前夜、睡眠薬を出した時の出来事だった。女性は未明にトイレに起き、慣れない睡眠薬でふらつき転倒して右腕を骨折、手術を1週間延期せざるを得なくなった。このため「今の看護師数では、すべての患者の転倒を防ぐことはできない」と、睡眠薬をやめることにした。
 同病院の本田宏副院長は「看護師が十分にいれば、眠れない人の話をじっくりと聞いてあげることで不安を和らげることもできるが、それもできない」と嘆く。
 一方、出産前後の時期を扱う「周産期医療」。早産で赤ちゃんが非常に小さい場合、すぐに対応できる新生児集中治療室(NICU)のある病院で出産した方が、ない病院で生まれてからNICUのある病院へ運ぶより生存率が高く、障害が残る率は低いという。
 しかし、NICUのある病院が常に出産に対応できるとは限らず、出産後にNICUのある病院へ運ぶケースもある。そうした経験を持つ稲城市立病院(東京都稲城市)の伊東正昭・産婦人科部長は「NICUのある病院で出産させてあげたいが、転送先が見つからないため出産後に搬送しなければならない時はつらい」と漏らす。
   ■   ■
 日本と同水準の低医療費政策を続けた英国で起こったことは、日本の将来を暗示する。
 英国の医療に詳しい近藤克則・日本福祉大教授によると、90年代中ごろから医師・看護師不足が深刻化し、医療従事者の士気が落ちた。医師の自殺率は他の専門職の倍、看護師は他職種の女性の4倍に跳ね上がった。患者は十分な医療が受けられなくなり、ピークの98年度には、入院待ちの患者が130万人に達する。がん患者が手術を4回も延期され、手術ができないほど悪化して死亡する事態まで起きた。
 このためブレア政権は00年、医療費を5年間で1・5倍に増額する計画を発表。医学部の定員を3972人から6326人へ増やすなど、医師、看護師の大幅増員も進めた。ただ入院待機患者が80万人も残るなど、まだ改善途上で、近藤教授は「いったん医療現場の士気が崩壊したら、簡単には取り戻せないことを学ぶべきだ」と話す。
 ブレア政権の政策は、ただ医療費を増やすだけではない。がんや高齢者医療、糖尿病など10分野について、行うべき治療など保証すべき医療の水準を国が提示。国立最適医療研究所を創設し、治療法を費用対効果の面から評価している。全国の病院を対象に、待機期間やコスト、主な病気の死亡率などを評価して公表する仕組みも導入。増やした医療費が無駄にならないようにした。
 近藤教授は指摘する。
 「日本も医療費だけでなく、治療効果や医療従事者の労働時間、患者の受診抑制が起きていないかをチェックするシステムを作り、医療費を増やすべきだ。低医療費政策を転換しないと、日本の医療は崩壊する。かつての英国の後を追ってはならない」=おわり
   ×   ×
 この連載は、鯨岡秀紀、玉木達也、五味香織、苅田伸宏、田村彰子(東京社会部)、砂間裕之、今西拓人、根本毅、河内敏康(大阪科学環境部)が担当しました。
………………………………………………………………………………………………………
 ご意見、ご感想をお寄せください。ファクス(03・3212・0635)、Eメールt.shakaibu@mbx.mainichi.co.jp 〒100―8051 毎日新聞社会部「医療クライシス」係。

[毎日新聞 ]


投稿者 akiuchi : 06:30 AM

医療クライシス:忍び寄る崩壊の足音/7 研修医、都会に集中

新臨床研修制度の評判が悪いが「医局」という封建制の強い組織では若い人を集めることができないということに偉い先生がもっと早く気付かなければならなかったのだ。教育と研究と臨床の三本柱が医局の役目と言われたが一番の機能は「人材派遣」だったのだ。それが機能しなくなった現在それに代わるシステムが必要なのだと思う。

研修医、都会に集中 忍び寄る崩壊の足音/7(大阪)

記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社

【2007年2月2日】
医療クライシス:忍び寄る崩壊の足音/7 研修医、都会に集中

 ◇広がる病院格差

 1-2年目の研修医が各診療科を経験することを義務付ける「新医師臨床研修制度」の導入に伴い、地方大学出身の研修医が都会に流れ込む現象が起きている。

 北陸地方出身で岡山県の大学を卒業した男性研修医(25)は、出身県の病院の合同説明会で、「研修医が来てくれない。願書を出すだけでもいいから」と勧誘するのを聞いて、地方の実情に衝撃を受けた。「医師の少ない病院は、当然雑用が増える。患者と接する時間があるのか、勉強できるのか」。友人とともに途中退席し、東京の大学病院を選んだ。現在の収入は月15万円程度だが、地元の病院ならその2倍で、ボーナスもあった。

 大阪市内の病院で働く男性医師(26)は、04年春、生まれ育った四国を離れ、この病院で研修医としての第一歩を踏み出した。「新しい研修制度がなかったら、そのまま地元の大学医局に所属したかもしれない。でも2年間の研修で、都市部で働くメリットを感じた。近くに多くの大学や病院があり、腕を磨くには都会の方がいい」

 大阪府内で研修医生活を送る佐賀大医学部出身の女性医師(32)は「地方に引き止めるなら、収入が格段に多いとか特別なメリットがないと誰も残らない」と訴える。

 医療研修推進財団の07年度版「臨床研修病院ガイドブック」によると、研修医1年目の給料は、東京や大阪では月給30万円未満の病院の方が多いが、多くの県では30万円以上の方が圧倒的だ。だが、研修医は都会の病院を目指す。

   ■   ■

 約500床を持つ堺市立堺病院は、07年度の研修希望者が定員の9・8倍に達した。公立病院では、全国有数の倍率を誇る人気だ。地方を離れる研修医も多く受け入れており、30年以上前から国の臨床研修病院としてノウハウを蓄積したことが人気の秘密とみられる。

 男性の研修医(29)は「この病院には医師を育てようという思いがあふれている。診療科の垣根も低く、研修医同士で知識を共有できる。ここで、医師としての下地を、と思った」と語る。

 研修医に人気が高くても、大学医局の医師引き揚げで病院運営に少なからず影響が出た。小児科1次救急受け入れを昨春中止。こうした事情もあり、研修医にそのまま病院に残ってもらい、自前で医師を確保したいとの思いが強い。

 田代扶美雄総務課長は言う。「医師不足を理由に診療科を縮小したり休診するのでは、患者に迷惑をかける。優秀な医師を採用することで、優秀な研修医も集まり、医師を自前で養成することにつながる。患者に病院を選んでもらうには、まず医療従事者に選んでもらう病院を目指すべきだ」

 06年度採用の13人のうちの1人と、07年度採用の11人中2人が、堺病院で研修を積んだ医師だ。

   ■   ■

 卒業しても地方に定着せず、都会を目指す研修医たち。一方で、研修医を確保するのに力を注ぐ都市部の病院……。

 全国医学部長病院長会議で地域医療に関する専門委員会の委員長を務める岩手医科大の小川彰医学部長は「医師不足の現状を招いた最大の原因は新しい臨床研修制度にある。こんな状況が続けば、地方の医師不足は目を覆うほどになるだろうし、都市部でも医師を自前で育てるノウハウを持たない病院は、医師を確保できない。病院の格差はますます広がるのではないか」と警告する。=つづく

……………………………………………………………………………

 ご意見、ご感想をお寄せください。〒530-8251(住所不要)毎日新聞科学環境部「医療クライシス」係。ファクスは06・6346・8187、Eメールはo.kagaku@mbx.mainichi.co.jp




投稿者 akiuchi : 06:12 AM

白梅学園大の山路憲夫(やまじ・のりお)教授(社会保障論)

こういう偏った思想を持っている人間が厚生労働省の「保健師助産師看護師法のあり方に関する検討会座長」に選ばれるという仕組みを知りたいと思う。まさかジャーナリストが公平な判断をするとでもいうのだろうか?


識者談話 違法性は明らか <3>
07/02/02
記事:共同通信社
提供:共同通信社
ID:468257


 厚生労働省の保健師助産師看護師法のあり方に関する検討会座長を務めた白梅学園大の山路憲夫(やまじ・のりお)教授(社会保障論)の話 堀病院の違法性は明らかで起訴猶予は残念に思う。今回のケースを通じ、各地の病院が違法性をどこまで認識していたかはともかく、看護師による内診を行っていた実態も浮き彫りになった。医師側は助産師不足を強調するが、問題は不足ではなく、偏在だ。それをもたらしたのは産科病院での待遇の悪さが要因だ。給与や勤務時間など助産師が働きやすい環境整備が必要で、厚労省も後押しすべきだろう。

投稿者 akiuchi : 05:25 AM

February 03, 2007

無資格助産に起訴猶予 助産師育成が急務 行政支援も必要(解説)(読売新聞) - 2007年2月2日(金)

助産師がいないと本当に安全なお産が保証されないという証拠がどこにあるのだろう?

無資格助産に起訴猶予 助産師育成が急務 行政支援も必要(解説)

 横浜市の「堀病院」が看護師らに助産行為をさせていた事件は起訴猶予となったが、関係者間で問題の解決を図ることが求められている。(生活情報部・森谷直子、横浜支局・森広彰)
 横浜地検は当初、堀病院では違法状態が常態化していたことから、「組織的に行われており、悪質」として、元院長ら全員について刑事責任を問うことを検討していた。
 しかし、容疑となった看護師らの内診行為について、厚生労働省や日本産婦人科医会が議論を進めており、「一般予防の見地からすると処罰は相当でなく、母体や胎児に危険を及ぼすことも証拠上認められない」として、嫌疑はあっても刑事罰を科すほどではないと最終的な判断をした。
 横浜地検は堀病院事件について、助産師の偏在を背景にした医療の「構造的問題」ととらえている。起訴猶予となったものの、医療現場に与える影響は極めて大きい。強制捜査以降、医療関係者の議論は活発になっている。
 保健師助産師看護師法は、「助産」を行えるのは医師と助産師だけと定めている。厚生労働省は2002年と04年に、「内診は助産に当たり、看護師は出来ない」と通知した。
 しかし、日本産婦人科医会は、「内診は看護師にもできる『診療の補助』に当たる」と解釈していた。この影響もあり、看護師による内診は、堀病院だけでなく、全国の多くの個人開業の産婦人科で行われていた。これには歴史的な背景がある。
 1950年代まで、お産の場所は自宅が主流で、その介助は助産師が行っていた。その後、お産の場が自宅から医療機関に移っていった過程で、産婦人科の開業医らは助産師を雇う代わりに、「産科看護研修学院」という独自の研修機関を作って看護師らに研修を受けさせ、その多くは内診なども担当させてきたとされる。
 このため、全国の助産師数は04年に約2万6000人と、50年代の半分以下に。しかも、その7割は病院(病床数20以上)に集中。お産の半数近くは、主に開業医が営む小規模な診療所(同19以下)で行われているにもかかわらず、勤める助産師は全体の2割以下に過ぎない。開業医は「助産師を募集しても応募がない。人員の多い大病院と比べると、労働条件が厳しく、責任も重いからでは」と言う。
 一方、助産師は「開業医では看護師が助産師の仕事をしているから、私たちは必要とされず、働きがいがない」と言う。両者の溝は深い。
 そこで、現実的な対策として、看護師が働きながら通える「夜間助産師学校」の構想が浮上している。埼玉県の産科病院に15年勤める看護師は、「質の高いお産を提供するためには、専門知識が必要と感じる。働きながら通える助産師学校があったら、どんなにいいか」と待望する。産科診療所で内診をさせられた経験のある40代の看護師は、「内診が出来るほどの教育は受けないまま、1人で夜勤をさせられ、ストレスで産科を離れた」と証言する。
 現在、看護師が働きながら通える夜間助産師学校は存在しない。厚生労働省の研究班がその必要性を指摘し、カリキュラムも用意したが、肝心の学校作りは進んでいない。
 日本産婦人科医会は、各地の医師会立看護学校の校舎を活用する形で、全国30か所に夜間助産師学校を作り、今後10年間に6000人の助産師を養成したいとしているが、具体化しているのは水戸市など数か所のみで、それも教員が確保できないなどで難航している。
 同医会の石渡勇・茨城県支部長は、「教員確保には、助産師会や看護協会の協力がほしい。医師不足から分娩(ぶんべん)をやめる国公立病院が相次いでいるが、そうした病院の助産師を、教員として活用できるようにするなど、行政も積極的な施策を打ち出して欲しい」と訴える。
 安全、安心なお産を守るため、医師、助産師、看護師と行政が、必要な助産師を育成する方向で一致協力し、「構造的問題」を解消してほしい。

 図=赤ちゃんの出生場所と助産師数の推移
 図=助産師の就業場所

 写真=森谷直子記者
 写真=森広彰記者

[読売新聞 ]

投稿者 akiuchi : 10:58 AM

問われる「日本一」:堀病院・無資格助産事件 地検「違法だが罪問わず」 /神奈川

毎日新聞は「医療クライシス」を担当する科学部と神奈川支局の間でもっと議論を深めるべきだろう。この記事に続いて「女性遺族が堀病院提訴=出産後死亡-無資格助産・横浜地裁」という記事が出てきたが毎日新聞があおっているとしか思えない。

問われる「日本一」:堀病院・無資格助産事件 地検「違法だが罪問わず」 /神奈川
2月2日12時1分配信 毎日新聞


 ◇「助産師増やして」 安全提供望む声相次ぐ--11人起訴猶予
 産科医療に大きな波紋を投げかけた堀病院の無資格助産事件は、堀健一前院長(79)をはじめ書類送検された11人全員の起訴猶予処分という結末を迎えた。横浜地検は堀病院の違法性を明確に認定しながらも、刑事責任を問うことが、問題解決に向けた最善策ではないとの判断を示した。望ましいお産のあり方とは。捜査当局から議論のボールを投げ返された形の関係者からは、改めてお産における医療安全の提供や、助産師養成の強化を望む声が上がった。【伊藤直孝、野口由紀、堀智行、鈴木一生、池田知広】
 ●堀病院
 <平成18年は3174名の方が出生されました。健やかな御成長を、職員一同と共にお祈り申し上げます>
 1日も多くの妊婦が診察に訪れた堀病院。受け付けのボードにはそんな紙が張られていたが、病院関係者は一様に口を閉ざしていた。
 起訴猶予について同区の主婦(41)は「助産師が少ない医療界の問題もふまえての判断だったのだろう。病院に悪い印象はないけど、看護師の内診はやってはいけないこと」と話した。30代主婦は「これから(助産師の)資格を取ってもらえれば問題はない。だが現状でいいということはない。助産師をもっと増やしてほしい」と求めた。

 堀健一前院長は看護師による内診の違法性を認識していなかったと主張していたが、横浜地検幹部は1日、「違法性の認識はあったと考えている」とコメント。前院長の代理人の小西貞行弁護士は毎日新聞の電話取材に「(前院長の主張は)終始一貫して変わっていない。これ以上話すことはない」と言った。
 ●産科関係者
 堀病院の問題を指摘していた「陣痛促進剤による被害を考える会」の出元明美代表は「堀病院は40年以上にわたり無資格助産を続け、助産師を雇用しているのに分娩(ぶんべん)にかかわらせなかった。この特殊性を踏まえれば、地検は助産師不足など周産期医療の構造的な問題とは切り離して判断すべきだった」と起訴猶予に疑問を呈した。さらに「堀病院を擁護した日本産婦人科医会は起訴猶予に安堵(あんど)するのでなく、堀病院の実態を周知させ、再発防止に取り組んでほしい」と要望した。
 助産師の重要性を訴えてきた日本助産師会県支部長の山本詩子助産師は「起訴猶予処分は助産師不足の現状を考えれば仕方ない。ただお母さんと赤ちゃんが求めているのは、医師の指示で見よう見まねで助産する看護師ではなく、きちんと教育を受けた専門性のある助産師。厚労省や関係団体が助産師育成の努力をすべきだ」と話した。
 捜査に疑問を投げかけていた県産科婦人科医会の八十島唯一会長は「産科の現状を踏まえ、起訴猶予にした判断を評価したい」と話した。堀病院で人工破膜が行われていたことには「把握しておらずコメントできないが、内診時に自然に破膜することはよくある」と述べるにとどまった。
 ●行政
 起訴猶予処分を受け、横浜市医療安全課の葛巻丈二朗課長は「現在の堀病院は助産師確保に努めるなど行政の指導に従っている」などを理由に行政処分しない方針を明らかにした。
 厚生労働省看護課の担当者は「地検の判断にコメントする立場にないが、看護師による内診の再発防止のため、助産師確保の施策を推進する」と話した。国会では、働く看護師向けの定時制助産師養成学校に補助金を出す予算案が審議中。同課は内診について「専門性が必要な助産行為」との立場を堅持しており、看護師の役割などを定めた保健師助産師看護師法(保助看法)を見直す予定はないという。
 05年の同省「保助看法のあり方に関する検討会」で座長を務めた山路憲夫・白梅学園大教授(社会保障論)は「看護師の内診の現状や危険性について法廷で明らかにしてほしかっただけに、検察の判断は残念。助産師が街の診療所でも雇用されるように、パート制度の導入など就業条件の整備が必要」と訴えた。
 ◇行政が解決すべき 処罰が良いと言えず--次席検事
 横浜地検の山舗弥一郎次席検事は1日午前11時、堀前院長らの起訴猶予処分を発表した。主なやりとりは以下の通り。
 ――処分理由は。
 第一に、看護師の内診は周産期医療の構造的問題であること。改善に向けて厚生労働省や日本産婦人科医会(日産婦)が議論を進めており、被疑者を処罰することが一般予防を図る上で良いとは言えないと判断した。
 第二は、今回の事件で内診による母体への具体的危険があったとは証拠上認められないこと。
 第三は県警の家宅捜索後、堀病院で看護師による内診は行われておらず、助産師の採用に努力するなど是正措置が取られていること。堀病院では、日産婦が「看護師でも許される」とした「子宮口の開き具合や胎児の下降度を医師の指示下で計測する」という範囲を超える内診をしていたと認められるが、日産婦がガイドライン作成など、将来的に是正措置を取ると約束していることも考慮した。
 第四に堀病院は事件後、報道で既に社会的制裁を受けたこと。また堀前院長も院長職を既に退き、医師を引退する誓約をしている。
 以上のことを踏まえ、法違反の構成要件を備えるが、刑事責任を問うものではないと判断し起訴猶予処分とした。
 ――堀病院で行われていた内診とは。
 堀病院では触診や(分娩誘発のために卵膜を人工的に破り破水させる)人工破膜など、日産婦の見解を超えた内診が行われていた。
 ――無資格内診は各地で司法判断が分かれているが。
 あくまで個別の事案をみて判断している。本件は(04年の)2回目の厚生労働省通知を知りながら無資格助産を続けた点が特徴。(堀前院長の)違法性の認識はあったと認められる。
 ――周産期医療の構造的問題とは。
 厚労省通知の前に、看護師による内診が各地で幅広く行われていたことは間違いなく、背景に助産師の偏在がある。根深い問題。看護師にどこまでの行為が許されるかに関しては、現場の実態を踏まえ、いろんなことを考えながら施策を推し進める状況にある。一義的には所管官庁のイニシアチブ(主導権)によって解決を図るのが妥当な分野と考える。
………………………………………………………………………………………………………
 ◇堀病院・無資格助産事件の経過
 <02年>
11月14日 厚生労働省、内診は助産行為に当たると各都道府県に通知
 <03年>
12月29日 名古屋市の女性(当時37歳)が堀病院で女児出産
 <04年>
 2月15日 名古屋市の女性が多臓器不全で死亡
 9月13日 厚生労働省、医師の指示下での内診も助産行為に当たると各都道府県に通知。産科医団体が反発
 <06年>
 1月    名古屋市の女性の夫、女性のカルテなどを証拠保全
 6月    夫、県警に相談。県警が病院関係者の事情聴取に着手
 8月24日 県警、堀病院を保健師助産師看護師法(保助看法)違反容疑で家宅捜索。カルテなど約370点を押収。堀健一院長(当時)は事情聴取に「私の指示でやらせていた」と無資格助産を認める
 8月25日 横浜市が堀病院を緊急立ち入り調査。堀院長(当時)が記者会見で「今後は(無資格助産を)ゼロにしたい」と陳謝
 9月 1日 日本産婦人科医会、「堀病院の無資格助産が分娩第1期の内診だけであれば、大がかりな捜査は不当」との見解を公表
 9月 6日 井上美昭県警本部長が会見で捜査批判に「法的手続きに従い厳正に捜査を進めている」と反論
10月18日 愛知県警、同県豊橋市の病院長ら3人を保助看法違反容疑で書類送検。後に「犯意なし」と起訴猶予処分に
11月27日 県警、堀院長(当時)や看護部長ら計11人を保助看法違反容疑で横浜地検に書類送検
 <07年>
 1月22日 堀院長(当時)が院長職から退く
 2月 1日 横浜地検、堀前院長ら11人を起訴猶予処分


女性遺族が堀病院提訴=出産後死亡-無資格助産・横浜地裁
2月2日21時31分配信 時事通信


 横浜市瀬谷区の産婦人科「堀病院」で出産し、その後に死亡した女性=当時(37)=の夫(44)らが、死亡は担当医師が厳重な監視を怠ったのが原因などとして、同病院と同医師を相手に約8500万円の損害賠償を求める訴訟を横浜地裁に起こしていたことが2日、分かった。
 神奈川県警は堀病院がこの女性を含む17人の出産で、助産師資格のない看護師らに助産行為をさせたとして、保健師助産師看護師法違反容疑で堀健一前院長(79)ら11人を書類送検。しかし、横浜地検は1日、11人を起訴猶予処分とした。 

最終更新:2月2日21時31分

投稿者 akiuchi : 04:21 AM

February 02, 2007

[無資格助産]「産科医療の現状を問う起訴猶予」2月2日付・読売社説

最近のマスコミは以前に比べるとかなり現実の問題がわかってきたような気がする。厚労省も柔軟な対応を迫られている。

2月2日付・読売社説(2)
 [無資格助産]「産科医療の現状を問う起訴猶予」

 産科医療の現状を問いただす判断だろう。

 横浜市の産婦人科「堀病院」が、助産師資格がない看護師や准看護師に助産行為をさせていた事件で、横浜地検は元院長らを起訴猶予とした。

 横浜地検は「処罰は相当でない」とした理由として、背景にある「産科医療の構造的問題」を指摘している。

 医療現場では助産師不足が深刻だ。多くの産科で助産師が確保できず、看護師が無資格のまま助産行為をしているのが実情である。厳密に違法性を問えば、産科医は続々と摘発されるだろう。

 無論、堀病院には問題がある。年間約3000人もの分娩(ぶんべん)を手がけていたのに助産師は6人しかいなかった。

 これほどの規模の産科には通常、数十人の助産師が要る。大都市にあって「出産数日本一」と宣伝する著名病院が、助産師を集めようとして集まらなかったとは思えない。

 だが、問題の根源をたどると、制度とその運用の不備に行き着く。厚生労働省は検察から厳しいボールを投げ込まれたと受け止めるべきだ。

 今回の事件で、直接の問題となったのは、看護師が「内診」を行っていたことだ。陣痛が始まった女性の子宮口の開き具合などを調べる助産行為である。

 日本産婦人科医会は「内診は診療の補助に過ぎず、医師の指示で看護師が行える」と解釈していたが、2002年に厚労省は「医師か助産師でなければできない」と通知した。

 しかし、現実には、従っていない産科医が多いと見られる。

 助産師は全国で約2万6000人いるが、日本産婦人科医会の調査では、必要数に7000人近く足りない。

 この状況では、通知を必ず守れというのは難しい。厚労省も実態を知りつつ黙認してきたのではないか。

 解決の近道は、意欲ある看護師が助産師の資格を取りやすくすることだ。働きながら資格がとれるように、夜間の助産師養成所を作る必要がある。

 資格を持ちながら職を離れている「潜在助産師」が3万人近くもいる。人材バンクや再研修制度を整えるなどして復職を促すのも大事なことだ。

 こうした増員策の効果が出るまでは、危険度の少ない助産行為を看護師に認めることを検討していいのではないか。現実に即したルールにすべきだ。

 助産師の体制が充実すれば、通常のお産は助産師、難しいお産は産科医、という分担も進むだろう。

 産科医療全体を見直す契機である。

(2007年2月2日1時44分 読売新聞)

投稿者 akiuchi : 05:11 PM

「医療界の常識」打破 自治体病院の「再建請負人」武弘道さん

自治体病院の経営再建の話。要は人件費か?

「医療界の常識」打破 自治体病院の「再建請負人」武弘道さん
07/01/29
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社
ID:462544


特集ワイド:自治体病院の「再建請負人」武弘道さん 「医療界の常識」打破

 ◇ムダ省き、患者本位で

 「病院のカルロス・ゴーン(日産自動車共同会長兼社長)」と言われたこともある。鹿児島市、埼玉県、川崎市とわたり歩いて、赤字続きの自治体病院(都道府県立や市町村立の病院)を次々と黒字にしてきたのが、この人。現在は川崎市病院事業管理者をつとめる武弘道さん(69)だ。世間の常識が通用しなかった自治体病院をどのように改革してきたのか、武さんに聞いた。【西和久】

 ◆病院の社長

 武さんの肩書である病院事業管理者とは、病院長の上にあって、予算から人事まで経営を掌握する、いわば「病院の社長」である。武さんは鹿児島市立病院の病院事業管理者兼院長として8年間黒字経営を続けた実績を買われて、02年に当時の土屋義彦知事から埼玉県の病院事業管理者に迎えられた。

 全国に約1000ある自治体病院の6割以上が赤字とされる。それもただの赤字ではない。民間病院と違って自治体の一般会計から支出される繰入金を加えてなお赤字なのである(図1)。そして自治体自身が財政の悪化で(北海道夕張市のように)繰入金を出せなくなりつつある。

 そんな現実の下、武さんは埼玉県での4年間で四つの県立病院の累積赤字を一掃し、剰余を生み出すまでにした(図2)。そして05年、阿部孝夫川崎市長からスカウトされた。

 結果は1年目から出始めた。川崎市立の2病院(このほか公設民営病院が06年に発足)が計7億1000万円の黒字に転換した。前年度が10億6000万円の赤字だから、17億7000万円も収支が改善したことになる(図3)。武さんは「ゴーンさんと違ってリストラや患者サービスの低下はしません。重要なのは内部の意識改革。ムダを省いて、患者本位の医療に徹すれば、結果はついてきます」と言う。では、武さんは何をしたのか。

 ◆面接は異例?

 「医師を採用するときに、面接することにしたんですよ」と武さん。えっ、これまではしてなかった? 社員を採用するときに幹部が面接するのは当たり前のこと。ところが、医療界ではきわめて異例だという。とくに医師不足の地方では、大学から交代で送り込まれる医師を「ありがたくお受けする」のが常識なのだという。

 「面接とともに『市民のための医療を行い……』などと宣誓してもらわないと採用しません」。その意図は学閥の打破。自分を送り込んできた大学の「医局」の評価ばかりを気にするのではなく、患者のための医療に専念する覚悟をもってもらう。

 武さんの病院改革は、驚くようなことをしたわけではない。こんなふうに、「医療界の常識」を「世間の常識」に変えることだった。

 武さんが病院経営の物差しにしているものがある。83年以降、ずっと記録してきている主要自治体50病院の経営比較データだ。注目したのが毎年増えてきている外部委託費の動向だった。企業社会でいうアウトソーシング。当然、経営的にプラスになるというのが常識なのだが、病院では外部委託の比率の大きい方が経営状態がよくない。何のことはない、外部委託を増やしても人件費を減らしていなかった。これでは二重払いだ。武さんは外部委託の見直しを行い、一部の業務は再び内部化することにした。

 データのランキングで川崎市立病院をみると、経営状態は50病院中のビリ近く。にもかかわらず職員の特殊勤務手当の多さはトップクラスだった。武さんはデータを公開して職員を説得し、手当を大幅にカットした。

 また、薬や医療器材の一括購入を導入した。民間ではまとめて買えば安くなる、というのは常識。ところが埼玉県では4病院、川崎市では2病院がそれぞれ別々に買っていた。まとめて納入業者に競争させただけで、かなりの経費節減になった。ただ、その過程では古くからの業者や議員がらみの関係者をも切ることになった。中傷やいやがらせを受けたこともある。「でも、しがらみのない私だからできたんですよ」と武さん。

 ◆患者サービスで増収

 一般企業が再建する場合は、経費節減と同時に、売り上げの拡大も必要になる。では、病院経営ではどうか。別の目的で導入した改革が結果的に増収につながったようだ。

 一つは看護師の副院長昇格。「病院で働く人の60%が看護師なのに、日本では看護師副院長がほとんどいない。おかしい」というのが、武さんの持論。それを埼玉県でも川崎市でも実行した。看護師のモラルが高まる一方で、医師と違って看護師は診療科にとらわれない。入院許可を看護師に任せたところ、内科と外科の入院ベッドの融通などがスムーズに行われるようになった。ベッドの稼働率が上がり、大きな増収要因となった。

 また診療開始時刻を繰り上げた。病院には朝から多くの外来患者が来て診療開始を待つ。「それなら診療開始を少しでも早く」という武さんの提案で、15分繰り上げたところ、診察できる患者数が増え、患者サービスの一環が増収につながった。

 ◆危機的な小児科

 武さんはもともと小児科医である。武さんが勤務医をしていた鹿児島市立病院で80年に2例目の五つ子が生まれた。主治医をしたのが、武さんである。

 その武さんがいま最も心を痛めているのが小児科の現状だ。小児科をもつ病院数が減っている。90年に全国で4120あったのが、05年には3154に。小児科の医師が次々と辞めていき、医師が確保できなくなっているのが大きな原因の一つだ。

 もともと小児科は、診療報酬が低く、子供相手に時間がかかるわりに、たくさんの検査もできず、薬も多く出せない。病院にとっては採算の悪い診療科だった。そのために大病院でも医師は2-3人しか配置されず、この人数で救急や当直に対応しなければならない。その結果、医師が疲れ切って辞めていく。「立ち去り症候群」(武さん)だ。産科もまた同じ状況にある。

 現在、医師不足が深刻な問題になっているが、「仮に医師数を大幅に増やしても、学生が小児科・産科医になりたがらなければ同じこと。それなら、小児科・産科専門の大学か学部をつくるべきだ」と、武さんはあちこちで説いて回っている。

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 ◇「夕刊とっておき」へご意見、ご感想を

t.yukan@mbx.mainichi.co.jp

ファクス03・3212・0279

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 ■人物略歴

 ◇たけ・ひろみち

 1937年鹿児島県生まれ。九州大学医学部卒業。米ミシガン小児病院など2回にわたり米国の病院で臨床医として勤務。77年鹿児島市立病院小児科部長、93年病院事業管理者兼院長、02年埼玉県病院事業管理者、05年から川崎市病院事業管理者。

投稿者 akiuchi : 03:12 AM

緊急特集 揺れる産科医療/看護師の内診問題

看護師内診の実態調査。産科医の中にも看護師の内診に反対という意見が20%もあることは驚きだが無床診療所や大病院など助産師不足に困っていない施設なのだと思う。

緊急特集 揺れる産科医療/看護師の内診問題
07/01/29
記事:Japan Medicine
提供:じほう
ID:462551


日本産婦人科医会・会員施設調査診療所では4分の3が「過去にあった」 人材確保に困窮する分娩現場 日本産婦人科医会がこのほど発表した「今後の産科医療のあり方に関する会員のアンケート調査」で、2005年末までに看護師に分娩時の内診をさせたことがあると答えた施設は、病院では62施設、診療所では205施設に上ることが分かった。それぞれ調査対象全体に占める割合は、病院では4分の1、診療所では4分の3に相当する。同医会は、「分娩の現場で起きている深刻な人材不足を示すもので、この数字の持つ意味は大きい」との認識を示している。

 分娩時に、内診によって子宮口の広がりを確認するなどの行為は、医師法や保健師助産師看護師法によって、「医師と助産師以外は行ってはならない」とされており、看護師がそれを行うことについては、厚生労働省が2002年と04年に看護課長通知で禁じる旨を示した。

 しかし、産科の閉鎖や分娩をやめる医療機関が相次いでいる現状の中で、この内診問題には診療所の助産師不足も大きく影響しているとの問題意識がある。そのため、同医会や日本医師会などが一定条件下で看護師らの内診を診療の補助行為として認めるよう要求。厚労省の「医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会」でも重点テーマとして取り上げられている経緯がある。

 しかし、議論は平行線をたどっており、依然として看護師の内診行為は禁じられたままだ。そんな中、昨年8月に横浜市の産婦人科病院が、助産師資格のない准看護師らに助産行為を行わせていたとして、保助看法違反の容疑で家宅捜索を受けたという事件が発生した。このことは、記憶に新しいところだろう。

周産期医療の安全はどこに「国のやり方は逆行」

 看護師の内診問題をめぐって、同医会は05年12月、607の会員施設(病院257、有床診療所272、無床診療所78)を対象に調査を行った。

 分娩の管理上、過去に看護師に内診させたことがあるかを尋ねたところ、分娩を取り扱っている施設では病院の24.37%(58施設)、診療所の74.53%(158施設)があったと回答。一方、分娩を取り扱っていない施設でも病院の50.00%(4施設)、診療所の48.45%(47施設)があると回答した(表1)。

 また、法律の改正、あるいは解釈の変更によって看護師の内診を認めるべきとの意見もある。これについてどう思うかを尋ねたところ、「法律改正・内診を認めるべき」とする回答は有床診療所で54.0%だったが、病院と無床診療所では約30%程度だった。

 一方、「内診を認めるべきでない」との意見は有床診療所では11.4%に過ぎなかったが、病院では26.8%、無床診療所では21.8%だった。「専門看護師の制度を設ける」との意見は病院の35.4%、有床診療所の28.3%にみられた(表2)。

 同医会の関係者は、「分娩の安全性を確保するためにも、医療者の人手不足は決してあってはならないこと。周産期医療の現場での人手不足がこれだけ問題視される中、看護師の内診行為を犯罪扱いしていては、国自体が流れに逆行したことをやっていることになる」と話している。

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投稿者 akiuchi : 02:57 AM

医療クライシス:忍び寄る崩壊の足音/6 立ち去り型サボタージュ

今回は小松先生が登場した。毎日はどこまで本気で医者のことを考えているのだろうか?大阪版と東京版を比較してみた

立ち去り型サボタージュ 忍び寄る崩壊の足音/6(大阪)
07/02/01
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社
ID:466444


医療クライシス:忍び寄る崩壊の足音/6 立ち去り型サボタージュ

 ◇激務で燃え尽き

 立ち去り型サボタージュ。医療関係者の間で、こんな言葉がささやかれている。医療訴訟が増え、時に逮捕される。しかも病院勤務医の給料は過酷な勤務に見合わない。耐えられなくなった勤務医が、開業などへ流れ始めた現状を指す言葉だ。

 近畿地方で最近、婦人科クリニックを開業した50代の男性医師は、病院で産科を担当していた時、不眠症に悩まされた。週1回の当直と翌日の通常勤務、月1回の土日勤務、緊急手術の呼び出し。「携帯電話を枕元に置き、いつ呼び出されるか、びくびくしていましたね」。激務の末に表れた症状だった。

 若い時には耐えられた。だが当直明けに手術を何件もこなすと、足はむくみ目もかすむ。体力的に限界だったが、辞めると、残る同僚にしわ寄せが行く。既に産科の常勤医が相次いで辞めていた。悩み抜いて開業の道を選ぶ。収入は減ったが、好きな酒も気にせず飲める。不眠症も治った。いかに病院勤務が重圧だったか実感した。

 産科医を選んだのは、赤ちゃんを取り上げ、お母さんが喜ぶ様子を見たかったからだ。でもクリニックでは、お産を扱うつもりはない。「お産を危険だと思わない人がほとんどだし、頑張っても、医師に感謝する患者は減った。刑事責任を問われる可能性もある」

 この男性医師は言う。「我慢に我慢を重ね、最後の手段として、立ち去るしかなかった。今は産科を離れてよかったと思っています」

   ■   ■

 看護師や助産師も燃え尽きて職場を離れるケースが増えている。

 大阪府内にある病院の産婦人科病棟で約4年間勤務し、昨年退職した助産師(28)は「続けていたら心も体も壊れていた」と話す。分べん数は月100件前後あり、病棟は満床状態のことが多かった。辞める看護師が多く、数年前に勤務形態が3交代から2交代に変わった。多い時には夜勤が月16回。分べんがあると休憩も取れない。午前9時に終わる夜勤も昼に帰れれば早い方だった。休日に働くことも多かった。

 「忙しくても3年目ぐらいまでは、やりがいを感じていたけど、医療事故を気にして病院の管理もきつくなり、母親とかかわる時間も少なくなった。疲れましたね」。今は医療関係のパートを週2回こなす。

 東京都内にある大学病院の看護師、岡本幸さん(28)は3月で退職する。リーダー役を任され、精神的負担が増えたからだ。「看護の仕事は好きだし、職場の雰囲気も良いけれど、一度、離れてみようと思いました」

 日本看護協会によると、病院で働く看護師の離職率は、94年度は9・9%だったが、05年度は13・1%(速報値)に上昇。市川幾恵・昭和大病院看護部長は「事故防止などで看護師の責任が重くなる一方、医療の高度化などに伴って新人の教育にも時間がかかる。中堅看護師に負担となり、“燃え尽き”の一因になっている」と指摘する。

   ■   ■

 「立ち去り型サボタージュ」の名付け親で、東京・虎の門病院泌尿器科部長の小松秀樹さん(57)は「自尊心と良心で続けてきた勤務医が、過剰な患者の要求や警察の介入などで限界にきている。患者側と医療側の相互不信を取り除くため、第三者による本格的な医療事故調査機関が必要だ。このままでは間違いなく医療は崩壊する」と警鐘を鳴らす。=つづく

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 ご意見、ご感想をお寄せください。〒530-8251(住所不要)毎日新聞科学環境部「医療クライシス」係。ファクスは06・6346・8187、Eメールはo.kagaku@mbx.mainichi.co.jp

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激務、重圧…増える退職 忍び寄る崩壊の足音/6(東京)
07/02/01
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社
ID:466457


医療クライシス:忍び寄る崩壊の足音/6 激務、重圧…増える退職

 ◇見合わぬ待遇、良心も限界

 「立ち去り型サボタージュ」。医療関係者の間で、こんな言葉がささやかれている。医療訴訟が増え、時には逮捕さえされる。しかも、病院勤務医の給料は過酷な業務に見合わない。耐えられなくなった勤務医が開業などへ流れ始めた現状を指す言葉だ。

 30代後半の男性内科医は昨年、十数年勤めた東京都内の大学病院を辞め、診療所に移った。「訴訟恐怖症」になった大学病院。「どんな細かなことでも報告書を求められ、時間が取られるばかりだった」と振り返る。

 新医師臨床研修制度にも悩まされた。以前は1年間は同じ研修医を指導し、半年ほどで独り立ちして仕事を助けてくれた。今は2カ月ごとに研修医が変わり、教えるだけで助けてはもらえない。診療や月3-4回の当直をしながら、研修医からの質問も受けた。

 大学の給与は年600万-700万円。家族との時間も取れない。「『赤ひげ先生』を求められても難しい。責任の重さが収入につながらず、やってられないと思う医師が出ても仕方ない」とため息をつく。

 現在は夜間の呼び出しがなく、収入は2-3倍になった。「体が楽になり、家族との時間も取れる。しばらくはここで仕事をする」と語る。

 関西で病院を辞めて開業した50代の男性産婦人科医も「産科を離れてよかった」と話す。当直明けに手術を何件もこなすと足がむくみ、目もかすむようになっていた。

 開業して不眠症が治ったが、お産は扱わない。「場合によっては刑事責任を問われる可能性もある。我慢を重ねたが、立ち去るしかなかった」

   ■   ■

 看護師も同様だ。

 都内の大学病院に勤める岡本幸さん(28)は3月で退職する。あこがれの職業だったが、本当に楽しいと思えたのは3年目まで。責任の重いリーダー役を任され、精神的な負担が増えた。医師の指示を受け、病棟の看護師をまとめる。看護師が交代で休憩を取る段取りをつけ、仕事が滞っていないか目配りする。

 仕事が終わってもリーダー向けの研修などがあり、定時に帰れる日はほとんどない。リーダーを務める日勤が続くと、遊びに行く気力もない。

 同じ病棟にいた同期5人は全員が職場を去り、身近な相談相手もいない。「看護の仕事は好きだし、職場の雰囲気も良いけれど、一度、離れてみようと思った」

 日本看護協会の調査によると、病院に勤務する看護師の離職率は、94年度は9・9%だったが、05年度は13・1%(速報値)に上昇。新人看護師の1年目の離職率が10%近いことも課題だ。

 同協会で新人看護師の離職防止に取り組む市川幾恵・昭和大病院看護部長は「事故防止などで看護師の責任が重くなる一方、医療の高度化などに伴って新人の教育にも時間がかかる。新人採用が増えても、現場にとっては人手が足りない。中堅看護師に負担となり、“燃え尽き”の一因になっている」と指摘する。

   ■   ■

 「立ち去り型サボタージュ」の名付け親で、東京・虎の門病院泌尿器科部長の小松秀樹さん(57)は「自尊心と良心で続けてきた勤務医が、過剰な患者の要求や警察の介入などで限界にきている。患者側と医療側の相互不信を取り除くため、第三者による本格的な医療事故調査機関が必要だ。このままでは間違いなく医療は崩壊する」と警鐘を鳴らす。=つづく

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 ご意見、ご感想をお寄せください。ファクス(03・3212・0635)、Eメールt.shakaibu@mbx.mainichi.co.jp 〒100-8051 毎日新聞社会部「医療クライシス」係。

投稿者 akiuchi : 01:51 AM

無資格助産事件起訴猶予の波紋

内診問題の歴史を振り返る。(原文が欲しい!)

無資格助産事件の経過 <4>
07/02/01
記事:共同通信社
提供:共同通信社
ID:466460


 2002年4月 鹿児島県鹿屋市の産婦人科医院で看護師による内診が発覚。県警は03年、院長ら5人を保健師助産師看護師法違反容疑で書類送検。後に全員不起訴

 11・14 厚生労働省が「内診は助産行為に当たり、看護師が行ってはならない」と通知

 03・8・20 千葉県警が同法違反容疑で同県茂原市の産院院長ら8人を書類送検。院長は罰金刑確定。ほかは不起訴

 12・29 横浜市の堀病院で、准看護師らが院長の指示で女性=当時(37)=を内診

 04・9・13 厚労省が看護師による内診を禁じる2回目の通知。日本産婦人科医会が撤回求める

 05・4・28 厚労省で同法の在り方について検討会。11月までに「看護師による内診」を認めるか意見まとまらず

 06・8・24 神奈川県警が同法違反容疑で堀病院を家宅捜索

 10・18 愛知県警が同法違反容疑で同県豊橋市の産婦人科医院院長ら3人を書類送検。後に全員が起訴猶予処分

 11・27 神奈川県警が同法違反容疑で堀病院の院長ら11人を書類送検

 07・2・1 横浜地検が堀病院の院長ら11人を起訴猶予処分

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関係者・識者談話 <5>
07/02/01
記事:共同通信社
提供:共同通信社
ID:466459


▽起訴猶予は当然の判断

 東京都江東区の産婦人科「東峯ラウンジクリニック」代表竹内正人(たけうち・まさと)医師の話 起訴猶予は当然の判断だ。内診は法律的にも定義があいまいで、看護師による内診は各地で何十年も行われてきた。助産師による内診がベストだが、現実に助産師の全体数が不足している。もし起訴していれば医療現場は委縮し、さらに医療崩壊を助長する結果になっていた。

▽安全な出産に全力を注ぐ

 堀病院の代理人弁護士の話 患者や地域の方々に心配をかけ、深くおわびしたい。強制捜査を受けて以来、内診行為はすべて医師と助産師が行っており、これまでに増して安全な医療、出産に全力を注いでいきたい。

▽医療安全の推進に努める

 佐々木寛志(ささき・ひろし)・横浜市健康福祉局長の話 検察による1つの判断が下された。市としては、今後とも医療の安全な推進に努めたい。

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各地で同種行為、影響を考慮 「堀病院」起訴猶予へ
07/02/01
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社
ID:466456


無資格助産:「堀病院」起訴猶予へ 各地で同種行為、影響を考慮----横浜地検

 横浜市瀬谷区の産婦人科病院「堀病院」の無資格助産事件で、横浜地検は週内にも、保健師助産師看護師法違反容疑で書類送検された堀健一院長(79)を起訴猶予処分にする方針を固めた模様だ。同様に書類送検された看護師ら10人も起訴猶予または不起訴にする方針。産科医・助産師不足を背景にした無資格助産が各地で行われており、起訴すれば産科医療に深刻な影響を与えることや、神奈川県警による家宅捜索や報道で既に社会的制裁を受けていることなどを総合的に考慮したとみられる。【伊藤直孝、野口由紀】

 ◇危険性の立証困難

 堀院長と看護部長は03年12月-昨年5月、計17人が出産した際、助産師資格のない看護師や准看護師計9人にお産の進み具合をみるため産道に指を入れる内診をさせた疑いで昨年11月、書類送検された。看護師ら9人は内診をした疑い。

 これまでの調べで、無資格内診は03年11月以降、約3万9000件に上ることが判明。さらに、分娩(ぶんべん)を誘発するために妊婦の卵膜を破り破水させる人工破膜を看護師にさせていたことも分かった。地検は悪質な無資格助産を裏付ける事実とみて捜査を進めてきた。

 しかし、地検は(1)堀院長は「厚生労働省が04年に出した『医師の指示下でも看護師内診は認められない』との通知は見解に過ぎないと思っていた」と主張している(2)日本産婦人科医会は「看護師による内診そのものは母体に健康被害を及ぼさない」との見解を示している(3)同医会は1960年代から、助産師不足に対応するため産科看護師を独自に養成し、各地で看護師による内診が行われてきた----などの点を考慮。無資格助産の危険性の十分な立証は難しいうえ、起訴すれば産科医療に及ぼす影響が大きいと判断した模様だ。

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堀前院長ら起訴猶予 「産科の構造的問題」横浜地検
07/02/01
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社
ID:466452


無資格助産:堀前院長ら起訴猶予 「産科の構造的問題」----横浜地検

 横浜市瀬谷区の産婦人科病院「堀病院」の無資格助産事件で、横浜地検は1日、保健師助産師看護師法(助産師業の制限)違反容疑で書類送検されていた堀健一前院長(79)と看護部長(69)、看護師ら計11人全員を起訴猶予処分にした。

 横浜地検の山舗弥一郎次席検事は処分理由について(1)看護師が妊婦の産道に指を入れてお産の進み具合をみる「内診」をしているのは産科医療の構造的問題(2)内診の胎児や母体への危険性が証拠上認められない(3)堀病院は神奈川県警の家宅捜索後、看護師による内診をさせないなど是正措置を取っている(4)堀前院長は捜索後の報道などで社会的制裁を受けたうえ、既に院長職を退いて医師資格を返上する届けを出し、引退する意向を示している----を挙げた。

 横浜地検によると、堀前院長と看護部長は03年12月-昨年5月、計17人の出産の際、助産師資格のない看護師ら9人に指示し、計68回にわたって産道に指を入れてお産の進み具合をみる「内診」をさせた。

 起訴猶予処分を受け、堀病院代理人の小西貞行弁護士は「強制捜査後は内診行為はすべて医師・助産師が取り扱っており、安全な医療、出産に全力を注いでいる」とのコメントを発表した。【野口由紀、伊藤直孝、堀智行】

 ◇行政処分も見送り

 堀病院の堀前院長らの起訴猶予処分を受け、医療法に基づく同院への立ち入り調査をしていた横浜市の葛巻丈二朗・医療安全課長は1日、行政処分をしない方針を明らかにした。【鈴木一生】

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 ■解説

 ◇行政と医療に解決ゆだねる

 横浜地検は堀病院の無資格助産事件で書類送検された11人について法違反が明確と判断しながらも、全員を起訴猶予処分にした。再発防止のためには、刑事罰を科すよりも行政や関係団体が解決策を見いだすのが有益と判断したためだ。04年に厚生労働省が「医師の指示下でも看護師内診は認められない」との通知を出して以降の議論の行方は、捜査当局から再び行政や医療界に投げ返された形だ。

 横浜地検や神奈川県警は、院内で繰り返された無資格内診の規模や内容から、以前の同種事件より悪質性が高いとみていた。分娩(ぶんべん)を誘発するために妊婦の卵膜を破り破水させる「人工破膜」まで看護師に行わせていたのは日本産婦人科医会の見解からも逸脱した行為で、病院内に助産師がいる時も積極的に助産に関与させていなかった。

 だが、横浜地検幹部は看護師内診について「助産師の偏在から、厚労省通知以前は全国で広く行われていたのは間違いない」と話す。起訴した場合に深刻な影響が懸念されることや、産科医界、行政などが改善に動き出したことが起訴見送りの背景にある。

 横浜地検は看護師内診について「具体的な危険性は証拠上認められない」としたが、助産師ではない看護師の助産行為に本当に危険はないのか。看護師や助産師らの役割を定める保健師助産師看護師法は成立から半世紀以上、助産行為の条項が見直されていない。堀病院事件は、お産をめぐる役割分担を、改めて明確化させる必要性を問いかけている。【伊藤直孝】

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問題解決の道筋見えず 国の姿勢に不満や困惑も <3>
07/02/01
記事:共同通信社
提供:共同通信社
ID:466461


 「違法内診を黙認したような誤った印象を与えかねない」。無資格助産事件で院長らの起訴を見送った1日の横浜地検の判断。市民団体からは厳しい声が上がり、産科医サイドからは半ば問題を放置してきた国への不満や困惑が漏れた。助産師団体は「地道な取り組みをするしかない」としており、問題解決の道筋は見えてこない。

 「われわれが『助産師が足りない』と言っていたのを無視したのは国の方だ」。日本産婦人科医会の関係者は憤る。助産師不足に頭を抱える横浜市内のある産院院長も「堀病院への家宅捜索以降も何もしなかった。怠慢だ」と、事件後も煮え切らない国の姿勢に不満をぶちまける。

 同医会は、厚生労働省が2002年と04年に「内診を医師と助産師以外が行ってはならない」などとした通知について「実態を見ていない。周知期間もなかった」と批判、引き続き同省に撤回を求めるという。

 一方、日本助産師会の岡本喜代子(おかもと・きよこ)安全対策室長は「時間はかかるが地道に助産師を養成していくしかない」と話し、実践的な教育の充実による院内助産所や助産師外来の拡充、潜在助産師の掘り起こしに取り組む考えだ。

 ただ「堀病院は助産師がいるのに、あえて看護師にやらせていた点でとりわけ悪質」(「陣痛促進剤による被害を考える会」の出元明美(でもと・あけみ)代表)との指摘も。「違法と認定したのだから、安全なお産を追求する観点でも厳しく処分するべきだった」と、横浜地検の判断に失望感をあらわにした。

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「課せられた宿題重い」 厚労省、即効薬なく悩み <2>
07/02/01
記事:共同通信社
提供:共同通信社
ID:466462


 堀病院の無資格助産事件では、出産現場での助産師不足や助産行為をめぐる認識不足が浮き彫りになった。院長らを起訴猶予とした1日の横浜地検の結論について、厚生労働省は「行政に課せられた宿題は重い。助産師を増やしながら、助産行為への啓発を進めるしかない」(看護課)とし、即効薬がない現状に頭を痛めている。

 2005年の国内の出産数は病院が約54万6000件、診療所が約50万4000件とほぼ同じだが、助産師数は病院が約1万8000人で、診療所の3倍以上。小規模な診療所での助産師不足が、より深刻になっている。

 厚労省は、07年度には定時制の助産師養成所を増設するほか、助産師資格があっても休職したり、看護師として働いていたりする「潜在助産師」の発掘にも努める。また内診などの助産行為は医師と助産師にしか認められていないことをシンポジウムなどで周知することにしている。

 しかし助産師不足の背景には「助産行為が軽視されている」「助産師の待遇が悪い」といった指摘もある。同省職員は「今回の事件を契機に、医療現場の意識改革も求めたい」と話した。



投稿者 akiuchi : 01:38 AM

February 01, 2007

<無資格助産>「違法」変わらず 堀病院処分で厚労次官見解

定例の記者会見で毎日新聞記者が己がしてきた産科医批判の報道姿勢に免罪符が欲しいがために事務次官に質問して無理やり記事にしたといういやらしさいっぱいの記事。「医療クライシス」の連載では少し殊勝なところが見えてきたかとも思ったが毎日新聞というのは本当にどうしようもない新聞社だな~(他の新聞社も似たようなものか?)

<無資格助産>「違法」変わらず 堀病院処分で厚労次官見解
2月1日21時40分配信 毎日新聞


 厚生労働省の辻哲夫事務次官は1日の定例会見で「看護師の内診行為は医師の指示があっても違法というこれまでの見解に変わりがない」と話した。横浜地検が同日、保健師助産師看護師法違反容疑で書類送検されていた産婦人科病院「堀病院」の堀健一前院長ら計11人全員を起訴猶予処分にしたことを受けて説明した。

投稿者 akiuchi : 11:33 PM

堀病院院長、起訴猶予へ=医療現場の混乱考慮-無資格助産事件・横浜地検

朝日新聞だけが不起訴と報じているが堀院長は起訴猶予ということになったようだ。これでは引き下がれないだろう。

時事通信

堀病院院長、起訴猶予へ=医療現場の混乱考慮-無資格助産事件・横浜地検
2月1日9時31分配信 時事通信

 横浜市瀬谷区の産婦人科「堀病院」による無資格助産事件で、横浜地検は1日までに、保健師助産師看護師法違反容疑で書類送検された堀健一院長(79)について、起訴猶予処分とする方針を固めた。また同容疑で書類送検された看護師ら10人についても、起訴猶予または不起訴処分とする方針。
 堀院長らが容疑を認めているほか、産科医や助産師の不足を背景に、看護師らによる無資格助産行為はほかの病院でも広く行われている実態があることなどから、地検は医療現場の混乱を避けることも考慮したとみられる。 

最終更新:2月1日9時31分

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毎日新聞

<無資格助産>書類送検の院長を起訴猶予処分 横浜地検方針
2月1日3時3分配信 毎日新聞

 横浜市瀬谷区の産婦人科病院「堀病院」の無資格助産事件で、横浜地検は週内にも、保健師助産師看護師法違反容疑で書類送検された堀健一院長(79)を起訴猶予処分にする方針を固めた模様だ。同様に書類送検された看護師ら10人も起訴猶予または不起訴にする方針。産科医・助産師不足を背景にした無資格助産が各地で行われており、起訴すれば産科医療に深刻な影響を与えることや、神奈川県警による家宅捜索や報道で既に社会的制裁を受けていることなどを総合的に考慮したとみられる。【伊藤直孝、野口由紀】
 堀院長と看護部長は03年12月~昨年5月、計17人が出産した際、助産師資格のない看護師や准看護師計9人にお産の進み具合をみるため産道に指を入れる内診をさせた疑いで昨年11月、書類送検された。看護師ら9人は内診をした疑い。
 これまでの調べで、無資格内診は03年11月以降、約3万9000件に上ることが判明。さらに、分〓(ぶんべん)を誘発するために妊婦の卵膜を破り破水させる人工破膜を看護師にさせていたことも分かった。地検は悪質な無資格助産を裏付ける事実とみて捜査を進めてきた。
 しかし、地検は(1)堀院長は「厚生労働省が04年に出した『医師の指示下でも看護師内診は認められない』との通知は見解に過ぎないと思っていた」と主張している(2)日本産婦人科医会は「看護師による内診そのものは母体に健康被害を及ぼさない」との見解を示している(3)同医会は1960年代から、助産師不足に対応するため産科看護師を独自に養成し、各地で看護師による内診が行われてきた――などの点を考慮。無資格助産の危険性の十分な立証は難しいうえ、起訴すれば産科医療に及ぼす影響が大きいと判断した模様だ。

最終更新:2月1日3時7分

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産経新聞

堀病院の無資格助産 立件見送りへ

 年間約3000人が出産する国内有数の産婦人科医院「堀病院」(横浜市瀬谷区)による無資格助産事件で、横浜地検は31日、昨年11月に保健師助産師看護師法違反容疑で書類送検された同病院の堀健一院長(79)と看護師、准看護師ら11人全員を起訴猶予処分とするなど立件を見送る方針を固めたもようだ。
 平成16年2月、同病院で出産直後に大量出血した女性が転院後に死亡し、神奈川県警は昨年8月、同容疑で堀病院を家宅捜索。医師か助産師にだけ認められる「内診」という助産行為を看護師らに恒常的に行わせていた実態が判明し、11月に書類送検した。捜索直後から、日本産婦人科医会が「看護師の内診が認められないなら産科医療は崩壊する」などと反発し、地検の判断が注目されていた。
 県警の調べに堀院長は「助産師不足から私の指示でやらせていたが、法に触れると思っていなかった」と供述。地検は、女性の死亡との因果関係がなかったことや、全国的な助産師不足の現状も考慮して判断したとみられる。
 これまで同種の無資格助産事件では、15年に書類送検された千葉県茂原市の産院院長が罰金50万円の略式命令を受けた一方、昨年11月には名古屋地検が、「違法だという明確な認識がなく、健康被害の危険性も認められない」として、愛知県豊橋市の産院院長ら3人を起訴猶予にするなど判断が分かれていた。

[産経新聞 ]

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読売新聞

無資格助産の院長ら11人起訴猶予へ…現場の実情考慮
 横浜市瀬谷区の堀病院が助産師の資格のない看護師らに助産行為をさせていた事件で、横浜地検は、保健師助産師看護師法(保助看法)違反の疑いで書類送検された堀健一院長(79)ら11人を1日にも起訴猶予とする方針を固めた。

 最高検などと協議し、違法としたが、社会情勢から刑事罰を科すケースに当たらないと判断したとみられる。ほかの医療機関でも同様の行為が相次いで明らかになっており、捜査による医療現場の混乱回避を優先させたといえる。

 名古屋市の女性(当時37歳)ら17人に2003年12月~06年5月、産道に手を入れて胎児の下がり具合を調べる内診などを看護師らが行ったとして、神奈川県警は昨年11月、院長や看護師、准看護師を書類送検。内診について厚生労働省が02年と04年の2度、「看護師では違法」とした通達を出しているのが根拠となった。

 しかし、厚労省が05年に設置した諮問機関「保助看法あり方検討会」では、看護師が内診を行っていいかどうかなどについて統一見解を示せず、医療関係者から通達の見直しを求める動きも出ている。これらのことから、検察当局は院長ら個人を罰するほどではないと判断したとみられる。

 また、産科医やお産を扱う医療機関が減っており、刑事罰を科せば産科医の減少につながると言われかねず、医療現場に混乱を招くことがないように配慮したらしい。

 堀病院は年間に約3000人のお産を扱う国内有数の規模で、県警が06年8月に捜索に乗り出すと、日本産婦人科医会と日本産科婦人科学会などが「捜査は医療現場に深刻な打撃を与えた」と批判した。

 福島県立大野病院の産科医が帝王切開した妊婦を死亡させたとして06年3月に起訴された事件を巡っても、「産科医減少に拍車をかける」と抗議が殺到した。今回の検察当局の判断には、出産現場を取り巻く社会事情が影響したとみられる。

 県警の調べで、堀病院では03年11月から約3年間に、内診記録のあった95%にあたる約7500人が資格のない看護師から内診を受けていたことが分かった。事件を受け、神奈川県と横浜市が調査したところ、九つの医療機関で無資格助産が判明した。

(2007年2月1日3時7分 読売新聞)

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朝日新聞

無資格助産事件、院長ら不起訴へ 横浜地検、影響考慮か
2007年02月01日03時13分
 年間約3000人が出産する堀病院(横浜市)の無資格助産事件で、横浜地検は31日までに、保健師助産師看護師法違反(助産行為の制限)の疑いで書類送検された堀健一院長(79)を不起訴処分(起訴猶予)とする方針を固めた模様だ。起訴して刑事責任を問えば、産科医や助産師の不足が深刻なお産の現場に与える影響が大きいことや、また堀院長が地検側に院長職を辞する考えを伝えたことなどを踏まえ、総合的に判断したとみられる。

 書類送検されていたのは、堀院長のほか看護師、准看護師ら10人。神奈川県警が昨年8月、同法違反容疑で病院を家宅捜索し、看護師らが妊婦17人に対して子宮口の開き具合をみる内診行為をしたとして同法違反の疑いが持たれていた。看護師らも不起訴処分とするとみられている。

 同法第30条は「助産師でないものは助産をしてはならない」と定めているが、どのような行為が「助産」に当たるのかは明記していない。厚生労働省は02年11月、都道府県への通知の中で、内診が医師や助産師しかできない助産行為に含まれると定義。さらに04年9月の通知では、医師の指示があっても看護師は内診をしてはならないとの見解を示していた。

 これに対し、事件後、日本産婦人科医会などは「医師の指示があれば、看護師の内診は助産行為にあたらない」と主張。「看護師による内診を認めなければ、お産が立ちゆかなくなり、お産難民があふれる」と一連の捜査に反発していた。

 地検は産科医団体への事情聴取を重ね、処分内容を判断するにあたってお産の現場の厳しい現状を重視したとみられる。

 さらに、地検の事情聴取などに対し、「内診は助産行為ではない」などと犯意を否認していた堀院長が、今年になって引退の意向を検察側に伝えたという。地検側も職を辞することを重く受けとめ、嫌疑はあっても訴追しない起訴猶予の判断をしたとみられている。

 これまでの無資格助産をめぐる検察の判断では、准看護師に内診をさせたとして千葉県茂原市の産婦人科院長が04年2月、同法違反で千葉地検に略式起訴され、罰金50万円の略式命令を受けた。だが、同法違反で書類送検された愛知県豊橋市内の産科医らに対し、名古屋地検豊橋支部は06年11月、「犯意が希薄なうえ、内診行為そのものによる健康被害の危険性が認められない」と起訴猶予とした。

投稿者 akiuchi : 09:53 AM

January 30, 2007

周産期医療、ベッドが足りない 安心して産みたい 全病院満床、早産の危機… (福岡)

正常産を1次医療機関でしっかり受けるとともに軽度の異常妊婦は2次医療機関で入院して3次医療機関の負担を軽減させるようにするしか解決策はないだろう。

周産期医療、ベッドが足りない 安心して産みたい 全病院満床、早産の危機…

 ◇あっとLife
 ◆早産の危機…福岡市内は全病院満床 久留米へ40キロ搬送、双子の弟救えず
 「ママ、こっちだよ!」。すべり台の上から毛利洸大(こうだい)ちゃん(3)が笑顔で手を振る。元気な様子からは想像もできないが、洸大ちゃんは予定日より3か月も早く、841グラムの極小未熟児として生まれた。
 母親の和代さん(29)に早産の危険が迫った時、福岡市内の病院はすべて満床で、約40キロ離れた福岡県久留米市の病院まで搬送された。「都市部だからお産は安心という時代じゃない」。和代さんは今、そう思う。病床不足が深刻化する周産期医療の現場を歩いた。(社会部・玉城夏子)
 子どもの遊び場が併設された福岡市の飲食店で、和代さんと会った。近くの一軒家で会社員の夫、夫の両親や祖母と4世代で暮らしている。洸大ちゃんが生まれた時のことを、しっかりした口調で話してくれた。
 双子を妊娠し、出産に備えて仕事を辞めたばかりの2003年7月、強い腹痛に襲われ、午後10時すぎにかかりつけだった同市内の産科医院に駆け込んだ。
 妊娠7か月だったがすでに破水し、15分おきに陣痛が来ていた。NICU(新生児集中治療室)を備えた総合病院でないと対応できない状態で、医師はすぐ搬送先を探し始めたが、福岡大病院、九州大病院などから軒並み断られ、ようやく久留米市の聖マリア病院が受け入れてくれることになった。
 救急車で点滴を受けながら到着したのは午前4時ごろ。絶対安静のまま、10日後に帝王切開で出産。洸大ちゃんは助かったが、816グラムで生まれた双子の弟は2日後に亡くなった。
 保育器に入れられ、生死の境をさまよった洸大ちゃん。懸命に生きようとする小さな命を前に、「ごめんね」と泣いてばかりだったという。
 「病院探しに1~2時間かかった。搬送前に生まれたら、この子も助かってなかった」と、和代さんはつぶやくように言った。
 切迫早産など危険な状態に陥った妊婦を受け入れてくれる病院が見つからず、遠くの病院に搬送されるケースが各地で相次いでいる。
 NICUの病床不足に悩む熊本県から、鹿児島県や福岡県久留米市などに搬送される患者が増えた。このため久留米方面の患者が福岡市に搬送されるようになった。福岡市の病院も余力がなくなり、福岡から逆に久留米などへ搬送されるといった「悪循環」に陥っている。
 「九州医療センター 満床▽九州大病院 満床▽福岡大病院 満床以上」
 福岡都市圏の総合周産期母子医療センターに指定されている福岡大病院は週2回、「空きベッド情報」を作成し、医療機関にファクスで送っている。1月中旬の情報にも病床の余裕のなさがにじんでいた。妊婦や赤ちゃんへのしわ寄せ、医師の労苦など実態を取材するほど、綱渡りのような現状が見えてきた。
 周産期医療の進歩で、数百グラムの赤ちゃんも救えるようになった。だが亡くなる子や重い後遺症を背負う子も少なくはない。多くの病院で、自宅へ帰ることができない長期入院児も、NICUの病床でケアを受けていた。
 洸大ちゃんは幸い元気に育ち、03年12月に2650グラムで退院した。0歳と1歳の時、肺炎などで2回入院したが、3歳児検診では「順調」と太鼓判を押された。
 1年前から、福岡市の九州医療センターで開かれている育児サークル「ひまわり」に通い始めた。小さいうちは病気しやすく、外に出る機会も少ない洸大ちゃんのような「未熟児出身児」やその母親を支援するため、9年前にスタートした。
 「同じ体験をした人たちと話すと、私も肩の力が抜けて、『表情が柔らかくなったね』と言われます」と和代さん。近所の育児サークルではおびえてしまった洸大ちゃんも、生き生きと遊ぶようになった。4月からは幼稚園。元気に通ってくれそうだ。
 和代さんは今、妊娠6か月。また同じ状況になったら、と不安になる。「遠距離の搬送は、本人にも家族にも負担が大きい。安心して産むことができる環境づくりを皆で考えることが必要」と訴える。
 ◆激務の医師 8割が平均12時間勤務
 医師の過密労働も問題になっている。久留米大学病院は昨年5月、同病院と系列の14病院に勤務する産婦人科医局員の労働実態を調査。講師や医員など61人のうち42人から回答を得た。
 それによると、「平均勤務時間が1日12時間を超える」と答えた医師が8割近くに上った。半数近くが月11回以上の当直をしており、当直時の平均睡眠時間は4・8時間。1か月の平均休日は2・5日だった。休日も、学会出席などでつぶれることが多い。
 昨年8月、奈良県の妊婦が19病院に受け入れを断られ、大阪府の病院で死亡したケースでは、満床や人手不足が受け入れ拒否の主な理由だった。久留米大病院総合周産期母子医療センターの堀大蔵・産科部門診療部長は「同様の事例がいつ起きてもおかしくない状態。早急な医師確保対策が求められる」と話す。

 図=福岡大病院が搬送受け入れを断った理由

 写真=医師や臨床心理士、保育士らが支える育児サークル「ひまわり」は、子どもも親もみんな笑顔(福岡市の九州医療センターで)

[読売新聞 ]

投稿者 akiuchi : 07:50 AM

産科の「無過失補償制度」

今年の8月からいよいよ実施になるのだそうだが果たしてうまく機能してくれるのだろうか?

[スキャナー]出産時事故、過失無くても補償 対象や防止策、急ごしらえ課題も

 ◇SCANNER
 ◆脳性マヒに2000~3000万円 8月にもスタート
 出産に伴う医療紛争を早期に解決するため、産科の「無過失補償制度」が近く導入される。医師らの過失の有無にかかわらず、医療事故の被害者を救済する仕組みで、当面は原因の特定が難しいとされる脳性まひが対象になる。厚生労働省や財団法人「日本医療機能評価機構」などによる準備委員会が2月に発足、8月にも新制度が始まるが、対象拡大など課題も多い。(政治部 川島三恵子)
 ■希望一致
 「当面は制度を機能させることに全力を挙げ、産科から小児科へと、一つ一つ対象を広げる視点を持ってやっていきたい」
 日本医師会(日医)の木下勝之常任理事は16日、都内で開かれた都道府県医師会長協議会で、産科の無過失補償制度の実施に意欲を見せた。
 脳性まひ児の親らによる「愛知県重症心身障害児(者)を守る会」の松田昌久会長も、「脳性まひ児の親は介護などで経済的負担が重く、訴訟で白黒つけなくても解決できる制度はありがたい」と評価する。
 無過失補償制度は、医師側に過失が認められない医療事故について、患者に金銭の補償をするものだ。裁判を起こさなくても患者は補償を受けられ、医師側には訴えられるリスクが減る利点がある。
 自民党の「医療紛争処理のあり方検討会」は2006年11月、日医が公表した案をもとに制度の枠組みを決定。政府は今国会に提出されている06年度補正予算案に、制度設計のための調査費1億1000万円を計上した。
 制度導入の背景には、患者側にとって過失の立証が難しい医療訴訟の現状と、産科医師不足に悩む医師側の事情がある。
 昭和大学医学部産婦人科の岡井崇教授は「産科関係の中でも、脳性まひは原因の特定が難しく、過失があるかどうかの判断も困難だ。親はとても気の毒で、医療裁判の問題点が凝縮されている」と指摘する。
 最高裁判所によると、医療訴訟の新規受け付けは04年は1110件と、1996年の575件から倍増。医師1000人あたりに換算すると、産科は12・4件で、外科(10・9件)や内科(3・8件)などを上回り、最も多い。
 こうした事情も絡み、医師が確保できずに産科を閉鎖する病院が全国で相次ぎ、産科を選ぶ医学生も減りつつある。岡井教授は「昼夜を問わない過酷な勤務に加え、『産科は裁判が多い』と敬遠される」と言う。日医の木下氏も「出産は正常が当たり前と思われているが、ある確率で不幸な結果も起きる。それが訴訟になると、医師の心労も多い」と漏らす。
 ■懸念と注文
 しかし、急ごしらえとなった今回の制度には不安も多い。新制度創設の場合、審議会などで議論することが多いが、今回は予算編成に間に合わせるため、自民党の検討会は発足からわずか3か月で制度の枠組みを決め、政府・与党として容認した。今後検討される医療紛争の処理策の試金石となるにもかかわらず、患者側からの意見聴取も十分でなかった。関係者からは「なぜ、脳性まひだけ救済されるのか」「2000万円程度の補償に納得できず、訴訟を起こす親が多いのではないか」との懸念が出ている。
 今後の対象拡大について、厚労省は「補償対象を広げれば、財源をどう手当てするのかという壁がある」と難色を示している。他の医療事故も含めるとなると、事故原因を詳しく調べる中立的調査機関も不可欠だ。「今回の制度は医師が安全な医療を心がける仕組みがない。過失があった場合、研修義務を課すなど処分も必要だ」との声もある。
 患者側弁護士らによる医療事故情報センター(名古屋市)の堀康司弁護士は「患者側が求めるのは金銭補償だけでなく、事故の原因究明や再発防止だ。きちんと患者の声を聞いて制度を設計してほしい」と注文を付けている。
 ◆制度の仕組み
 病院などの第三者評価を行っている財団法人「日本医療機能評価機構」に、厚労省や日医、損害保険会社などが加わる「運営組織」を新設。損保会社は専用の保険商品を設け、病院や助産所が保険料を支払う。
 脳性まひの場合、2000~3000万円が親に支払われる。病院が負担する保険料(2~3万円の見込み)は出産費用に上乗せされ、補償の原資は出産した親が負担することになる。自民党は親の負担を増やさないよう、将来的に出産育児一時金(現行35万円)を保険料と同額程度引き上げたいとしている。

 ◆スウェーデン・仏で導入 医療事故全般を幅広く補償
 無過失補償制度はスウェーデンやフランスなどですでに導入されており、早期の患者救済の道を開いている。厚生労働省研究班などによると、スウェーデンでは1975年に導入、97年に法制化され、医師や看護師らすべての医療従事者が加入する制度として定着している。補償対象は検査や治療、医療機器の欠陥による事故のほか、診断ミス、投薬ミスによるものなど幅広い。
 申請は年間約9000件に上り、45%で補償が認められている。財源は公費と医療従事者が払う保険料で賄われ、年間補償総額は約45~50億円。1件あたりの補償額は160万円程度とそう高額ではないが、「充実した福祉制度が土台にあるので、国民の合意は得られている」という。
 フランスも、2002年制定の「患者の権利及び保健衛生システムの質に関する法律」で、患者への補償制度を導入した。医師らに過失があれば各自が加入する賠償保険で支払うが、過失がない時は「国立医療事故補償公社」(ONIAM)が公費で患者を救済する。05年の補償総額は調停中の事案も含め、556件で2275万ユーロ(約35億円)。
 スウェーデンやフランスなどでは、金銭補償をする組織とは別に、医師や医療機関に過失があるかどうかを判断したり、医師の処分を検討する組織が設けられたりしているのが特徴だ。
 訴訟社会と言われる米国では、バージニア、フロリダ州などで、出産時の脳性まひに補償する制度が導入されている。

 ◆患者の視点を大事に
 日本で今回導入される無過失補償制度は、ほぼすべての医療事故を網羅するスウェーデンなどと比べ、対象があまりに狭い。医療紛争が頻発する今、患者救済の「第一歩」を踏み出したことは評価できる。しかし、これまでの検討は、政府の補正予算編成をにらみながら、日医と自民党が性急にまとめた印象が強い。
 この制度は本来、医療の専門知識が少なく、訴訟で弱い立場になりやすい患者側の立場を重視すべきものだ。患者側の意見をきちんと聞く機会を設け、皆が納得できる制度の創設を望みたい。

 〈日本医療機能評価機構〉
 医療の質を向上させるため、厚生労働省、日本医師会など関係団体の出資で発足した財団法人。医療機関の第三者評価や医療事故の情報収集・分析などを行っており、産科の無過失補償制度の事務局も置かれる予定。

 ◇スウェーデン、フランスの無過失補償制度と自民党案=表略

 図=参加の無過失補償制度の流れ(自民党案)

 写真=妊婦を超音波検査で診察する産科医(26日、都内の昭和大学病院産婦人科で)

[読売新聞 ]


投稿者 akiuchi : 07:48 AM

福島県立大野病院の医師逮捕は不当(福島県立医大産婦人科教授 佐藤章氏)

福島医大の佐藤教授が大野病院事件第一回公判前に日経オンラインのインタビューに答えている。

2007. 1. 25

福島県立大野病院の医師逮捕は不当
福島県立医大産婦人科教授 佐藤章氏
 帝王切開手術で患者を出血死させたとして逮捕・起訴された、福島県立大野病院に勤務していた産婦人科医、加藤克彦氏の初公判が明日、1月26日に開かれる。その行方が注目されるところだが、そもそも2006年2月の担当医の逮捕や医療事故を刑事事件として扱うことを問題視する声は多い。この点について、同医師の所属医局の福島県立医大産婦人科教授の佐藤章氏に、当時の経緯も含めて聞いた。(編集部)

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さとう あきら氏。1968年東北大卒。米国シカゴ大、南カリフォルニア大留学、東北大産婦人科講師などを経て、85年から現職。
 なぜ逮捕されたのか、なぜなんだ--。これが私が一番知りたいことなのだが、いまだに分からない。加藤克彦医師の逮捕には私自身、強い疑問を感じているとともに後悔の念も抱いている。

 加藤医師とは今、全然連絡を取れない状態にある。弁護士を介して、近況を知るだけだ。「証拠隠滅の恐れがあるから、関係者とは連絡を取らない」ことが、保釈の条件だからだ。昨年2月に逮捕されたときには、既に県による事故報告書もまとまっており、カルテなども警察が押収していた状況であり、証拠隠滅も何もないと思うのだが、口裏合わせをする恐れがあるという。

 当然ながら保釈後、彼は医師として働いていない。1月26日が初公判で、毎月1回、5月までの公判日時が既に決まっている。その後、裁判がいつまで続くか分からないが、昨年の逮捕以降、既に1年近く診療から離れており、今後しばらくこの状態が続くわけだ。腕の確かな医師であり、これは誰にとっても痛手だ。

県の事故報告書に疑問を呈するも認められず
 加藤医師が帝王切開手術を担当した患者が死亡したのは2004年12月のことだ。前置胎盤・癒着胎盤で、手術中に出血多量となり、死亡した。癒着胎盤は非常に稀な疾患で、しかも当該患者の場合、癒着は子宮後壁だったので、新生児を取り出す過程で初めて分かるものだった。癒着が分かった場合でもどの程度の出血があるかを予測し、そのまま胎盤剥離を続けるか、子宮摘出に移行するかなどを判断するのは非常に難しい。なお、癒着胎盤は最終的には病理診断で確定するものだが、術後に当大学で病理診断を行い、子宮後壁の癒着胎盤であることを確認している。

 患者の死亡後、県の医療事故調査委員会が設置され、当大学出身者以外も含め、3人の医師による報告書が2005年3月にまとめられた。今回の逮捕・起訴の発端が、この報告書だ。県の意向が反映されたと推測されるが、「○○すればよかった」など、「ミスがあった」と受け取られかねない記載があった。私はこれを見たとき、訂正を求めたが、県からは「こう書かないと賠償金は出ない」との答えだった。裁判に発展するのを嫌ったのか、示談で済ませたいという意向がうかがえた。私は、争うなら争い、法廷の場で真実を明らかにすべきだと訴えたが、受け入れられなかった。さすがにこの時、「逮捕」という言葉は頭になかったが、強く主張していれば、今のような事態にならなかったかもしれないと悔やんでいる。加藤医師は、報告書がまとまった後に、県による行政処分(減給処分)を受けた。

 警察は、この報告書を見て動き出したわけだ。最近、医療事故では患者側から積極的に警察に働きかけるケースもあると聞いているが、私が聞いた範囲では患者側が特段働きかけたわけでもないようだ。警察による捜査のやり方には問題を感じている。例えば、当該患者の子宮組織を大学から持ち出し、改めて病理検査を行っているが、その組織も検査結果もわれわれにフィードバックされないままだ。捜査の過程で鑑定も行っているが、担当したのは実際に癒着胎盤の症例を多く取り扱った経験のある医師ではない。

 加藤医師は数回、警察から事情を聞かれ、その都度、私は報告は受けていた。最後に彼が警察に出向いたのが昨年2月で、そのときにそのまま逮捕されてしまった。弁護士を付けずに、1人で行かせたことを後悔している。翌3月に、業務上過失致死罪と異状死の届け出義務違反で起訴された。
 
 また公判前整理手続き(編集部注:裁判の迅速化のために、初公判前に検察側と弁護側、裁判官が集まり、論点などを整理する手続き)も計6回実施したが、医学的な見地から議論を尽くしたとはいえない。そもそも癒着胎盤とは何か、その定義から議論する必要があったが、検察側はこうした話には乗ってこなかったと聞く。弁護側が、癒着胎盤の対応の難しさに関する海外の文献など様々な証拠を提出したが、そのほとんどが採用されなかった。

医療事故は第三者機関などで調査解明を
 裁判の行方は分からないが、容易には決着しないだろう。今回の件については、日本産婦人科学会をはじめ様々な学会が逮捕後に抗議の声明を出したほか、昨年末には日本医学会が会長名で「不可抗力ともいえる事例を犯罪行為として扱うことは好ましくない」などとする声明文を公表している。加藤医師を支援する会も立ち上がり、既に1万人を超す署名が集まった。それだけ皆、危機感を持っている表れだろう。

 今回のような予見が難しい、しかも故意や悪意がない医療事故をすべて刑事事件として扱ったのでは、誰も手術をやらなくなる。癒着胎盤は最近頻度が高くなっているが、誰も手がけなくなったらどうなるのか。本来、医療事故は警察などではなく、第三者機関が医学的な見地から検証を行うべきだ。また医療事故はゼロにはならず、予期しないことが必ず起り得る。医学は完全なものではないことを国民にも理解してもらう必要があるだろう。(談)

投稿者 akiuchi : 05:54 AM

January 29, 2007

医療クライシス:忍び寄る崩壊の足音/5 即戦力に中国人医師も

医師看護師不足の解決策に外国人医師を輸入しようという話。悪くないかもしれないがどうせなら日本人の医者が増えるようにできないのだろうか?医者も歯医者のように過剰になればかなりの医療問題が解決するというのは暴論だろうか?美味しい思いをしてきたオールドジェネレーションには耐え難い話かもしれないが・・・

医療クライシス:忍び寄る崩壊の足音/5 即戦力に中国人医師も
 ◇綱渡りの地方は必死

 「大量出血になるケースは1割程度。心配しないでください」

 昨年12月のある夕方、岩手医科大(盛岡市)の総合周産期センター。中国人医師の高嵩(こうすん)さん(34)は翌日に帝王切開を控えた患者を回診し、流ちょうな日本語で声をかけた。手術前の緊張を和らげようとする穏やかな口調に、患者はうなずいて「説明を聞いてよかった。安心しました」とほほえんだ。

 高医師は昨年2月、国の「臨床修練制度」に基づく岩手県の招きで、中国・遼寧省の中国医科大から来日した。外国人医師を研修に受け入れることが目的の制度だが、医師不足の打開策として、「中国人医師を招けば、岩手医大から医師を地域の病院に出しやすくなる」との思惑もあった。

 制度の対象は、一定の医学知識と日本語能力を持つ外国人医師。厚生労働相の認定を受けた病院で指導医の下、処方せんを出すことを除き、診療や手術などすべての医療行為が許される。中国医科大は日本語で医学教育をしており、「即戦力」として計算できるためだ。

 治療方針の決定など責任を伴う判断は指導医が下すが、高医師は病棟の回診や手術の助手をこなし、地域の病院から中国人の患者も紹介されて来るようになった。「卵巣がんの研究で論文も書きたい」と意欲的だ。

 県は05年5月に中国医科大と結んだ協定に基づき、産婦人科医2人、小児科医1人の派遣を要請している。しかし、2人目の医師はまだ来日していない。県医療国保課の金田学・医療担当課長は「中国医科大はトップクラスの病院。患者が多く、医師が余っているわけではない」と説明する。高医師1人では、地域の病院へ医師を派遣するほどの余裕は生まれない。

 岩手医大産婦人科の杉山徹教授は「国は地方の深刻さを知らない。中国人医師の招へいで、地方は頑張っていると国に振り向いてほしかった」と語り、「中国医科大から2~3人は来てほしい」と期待を口にする。

   ■   ■

 今月18日、島根県隠岐の島町の診療所を、北海道の男性内科医(34)が訪れた。「外来は日に何人ですか」「仕事の満足度は、どうですか」と熱心に質問する。

 町にある唯一の病院、隠岐病院(150床)も訪ねた。「医師の目が生き生きしている。診療所と病院の連携もいい。住民に歓迎してもらえるかがポイントだが、今のところ悪くないと思う」と満足そうに話した。

 県内の医師の7割が松江市など県東部に集中し、隠岐や県西部での医師不足にあえぐ島根県は昨年9月、全国から即戦力の医師をスカウトしようと、医師の見学費用を負担する事業を始めた。2泊3日で現場を案内する。内科医は離島での勤務を考えており、この事業を利用して隠岐を訪れた。事業開始4カ月で、6人が利用した。

 隠岐では昨年4月から半年間、島内での出産ができなくなった。隠岐病院には現在、産科医が2人いるが、県立中央病院(出雲市)が「身を削って派遣している」(県医師確保対策室)というほど綱渡り状態だ。

   ■   ■

 厚労省の04年度調査によると、医師数が医療法の基準を満たしている病院の割合は、青森県の43・4%が最も低く、岩手県55・1%、秋田県60・3%と続く。地方の「医療崩壊」は深刻さを増している。=つづく

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 ご意見、ご感想をお寄せください。ファクス(03・3212・0635)、Eメールt.shakaibu@mbx.mainichi.co.jp 〒100-8051 毎日新聞社会部「医療クライシス」係。

毎日新聞 2007年1月29日 東京朝刊

投稿者 akiuchi : 10:40 AM

January 27, 2007

大野病院事件:初公判翌日の新聞報道

大野病院事件初公判翌日の新聞報道をネットでひろってみた。世間の注目を集めていることは間違いないようだ。テレビのワイドショーではどういう扱いになるのだろう?

朝日新聞(asahi.comトップ > マイタウン > 福島 )
読売新聞(YOMIURI ON LINE ホーム>地域>福島)
毎日新聞(MSN ニューストップ > 地域ニュース > 福島 )
福島民報 福島民友ニュース
NIKKEI NET
共同通信
産経新聞
河北新報

加藤医師の記者会見.jpg
初公判に臨むため福島地裁に入る加藤被告=26日午前9時45分ごろ.jpg
初公判を終えた加藤被告を取材する報道陣=26日午後5時35分ごろ、福島地裁前.jpg

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朝日新聞(asahi.comトップ > マイタウン > 福島 )

大野病院事件 被告、罪状を否認
2007年01月27日

 県立大野病院で04年に女性(当時29)が帝王切開手術中に死亡した事件で26日、業務上過失致死と医師法(異状死体の届け出義務)違反の罪に問われた、産科医加藤克彦被告(39)の初公判が福島地裁(大澤廣裁判長)で開かれた。加藤被告は「適切な処置だった」などと述べ、起訴事実を否認。公判後の記者会見でも、医療行為としての正当性を繰り返し主張した。


 -手術の正当性主張 事件後初めて公の場に-


 「患者さんのご冥福を心からお祈りし、ご遺族に心よりお悔やみ申し上げます」


 加藤医師は初公判終了後に開かれた弁護側の記者会見で、帝王切開手術中に死亡した女性と遺族に対する思いを語り、深々と頭を下げた。


 これまで加藤医師は公の場での発言を避けてきたが、「逮捕からほぼ1年がたち、気持ちの整理もついた。ご声援頂いた医療関係者の方々に元気な所を見せたい」として、会見に踏み切った。


 加藤医師は、全国の産科医から寄せられる支援に対し、「心強く思っております」と述べ、全国的に産科医が減少し、医療現場の負担が増していることについて「今回の事件が一因となってしまった。申し訳なくも感じています」と話した。


 この日の検察側の冒頭陳述で、手術後、院長らに「やっちゃった」「最悪」などと話したと指摘された点について、記者から「医療ミスという認識があったのか」と問われると、加藤医師はきっぱりした口調で「ミスをしたという認識はありません。正しい医療行為をしたと思っています」と言い切った。


 争点の一つ、胎盤をはがす際にクーパー(手術用ハサミ)を使用した理由について「その場の状況で適切だと考えた」と説明。「勾留(こう・りゅう)中は取り調べに対し、『クーパーの使用は不適切だった』と言ったが、今はそういうことは考えていない」として、医療行為としての正当性を主張した。


 また、手術前に先輩医師から「応援の産科医を派遣した方がいい」という助言を受けながら、応援を呼ばなかった点について、加藤医師は「タイミングを逸してしまった」と弁明した。


 逮捕以来、産科医としての仕事から遠ざかっているが、「いい勉強の機会ととらえたい」と述べた。「産科という学問は好きですし、婦人科の患者さんと話をするのは好きなので、またやりたいという気持ちはある」と話した。


 一方、福島地検側は公判終了後、「我々としても医療関係者が日夜困難な症例に取り組まれていることは十分認識している。しかし、今回の事件は、医師に課せられた最低限の注意義務を怠ったもので、被告の刑事責任を問わなければならないと判断した」とする異例のコメントを発表した。


 -遺族「真相を明らかに」


 亡くなった女性の父親(56)楢葉町在住は初公判直前、朝日新聞の取材に対し、次のように話した。


 私たち遺族は手術室で何が起きていたのか、それを正確に知りたいのです。なぜ加藤医師は、手術の途中で、ほかの医師に応援を頼まなかったのか。なぜ、やったこともない癒着胎盤の手術を強行したのか。娘は、実験台になったようなものじゃないですか。いろいろな疑問について、裁判でぜひ明らかにしていただきたい。


 娘が死んだ04年12月17日夜、遺体に対面しました。娘は歯を食いしばっていた。それを見て、娘はこんな形で死んでいくのが本当に悔しかったんだと思いました。母親として、もっと生きていたかったんだと。あの時、私は、絶対に真相を明らかにするから、と娘に誓ったのです。


 でも、私が調べ始めたとたん、医師や県の人たちが壁のように立ちはだかり、何が起きたのか全く見えなくなってしまった。捜査が始まるまでは本当に手探りでした。ですから今回、警察には大変感謝しています。

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読売新聞(YOMIURI ON LINE ホーム>地域>福島)

大野病院事件初公判、弁護団と検察が全面対決

福島地裁に入る加藤被告(左)

 26日に福島地裁で始まった県立大野病院(大熊町)での医療事故を巡る刑事裁判は、産婦人科医師の加藤克彦被告(39)の弁護団と検察が互いに主張を譲らず、“全面対決”となった。「手術中の判断」の正否が裁かれる公判には、26席分の傍聴券を求めて349人が列を作り、関心の高さをうかがわせた。

 昨年2月の逮捕以降、初めて公の場に姿を見せた加藤被告は午前9時40分過ぎ、カメラのフラッシュを浴びながら主任弁護人の平岩敬一弁護士らと歩いて福島地裁に到着。濃紺のスーツを着用し、白いシャツにネクタイを締めて法廷に姿を現した。

 罪状認否で加藤被告は、用意した書面を5分以上にわたって読み上げ、手術で処置に過ちがあり、警察への届け出もしなかったとする起訴事実の大部分を否認。事前の検診や輸血用血液の準備、手術中の対応などについて「患者が亡くなってしまったことは忸怩(じくじ)たる思いがあるが、できることを精一杯やった」と述べた。

 公判前整理手続きが適用された今回の公判では、検察側と弁護側の双方が冒頭陳述を行った。検察側の冒頭陳述で、加藤被告が大量出血した女性が亡くなる直前、院長に「やっちゃった」と話していたことや、帝王切開手術で胎児を取り出した後、子宮から離れなかった胎盤を手ではがすのをやめ、手術用ハサミを使ったことについて、加藤被告が検事に「使用は不適切だったのではないか」と供述していたことなどが明らかになった。

 大量出血を招かないため、ただちに子宮を摘出すべきだったとの検察側主張に対し、弁護側は冒頭陳述で「胎盤をはがした際の出血は少量だった」「胎盤と子宮の癒着の程度も軽く、はく離が適切だった」などと反論した。また、検察側が主張の根拠とする胎盤の鑑定意見や供述などは、産科医療や胎盤病理を専門としない医師によるもので、「問題が多い」と批判した。

 弁護側は公判終了後に記者会見を開き、加藤被告は「ミスはなかった」と重ねて強調。ただ、手術前に先輩医師などから応援医師の派遣を打診されながら拒否したことについて「リスクをさほど高く考えていなかった」と述べた。

 公判は、2月23日の次回から証人尋問に入り、鑑定を担当した医師らが検察側の証人として出廷する。

(2007年1月27日 読売新聞)

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毎日新聞(MSN ニューストップ > 地域ニュース > 福島 )

大野病院医療事故:真っ向から主張対立 産科医被告「捜査に釈然とせず」 /福島
 ◇地裁初公判

 県立大野病院での帝王切開手術中に女性が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた加藤克彦被告(39)に対する初公判が26日、福島地裁であり、検察側と弁護側の主張は真っ向から対立した。検察側は加藤被告が子宮から胎盤をはく離する際、手術用はさみを使った症例を聞いたことがなかったことなどを明らかにした。

 検察側は冒頭陳述で、加藤被告が「手ではく離できない場合にはく離を継続しても大量出血しない場合もあり得るだろう」「指より細いクーパー(手術用はさみ)なら胎盤との間に差し込むことができるだろう」と考えていたと指摘。女性の死亡後、院長らに「やっちゃった」「最悪」などと話したと言及した。

 弁護側は、「医学文献で手術用はさみのはく離は効果的だとされている」と主張。開腹後も超音波で癒着胎盤の可能性を調べ、慎重だったとした。死亡との因果関係は、出血性ショックのほかにもさまざまな原因が考えられると指摘した。

 加藤被告は退廷後、「ミスはしていない」と話し、捜査に対しては「逮捕の前から釈然としないものがある」と述べた。【町田徳丈、松本惇】

 ◇1人医長体制で再開メド立たず--病院の対応に不満

 「1人の医師として患者が死亡したのは大変残念」。初公判で加藤被告は起訴事実を否認する一方、死亡した女性に対しては「心から冥福を祈ります」と述べた。黒っぽいスーツを身につけ、落ち着いた声で準備した書面を読み上げた。

 加藤被告が逮捕・起訴されて休職となり、昨年3月から県立大野病院の産婦人科は休診が続いている。同科は加藤被告が唯一の産婦人科医という「1人医長」体制。再開のめどは立たない。

 隣の富岡町の30代女性は加藤被告を信頼して出産することを決めたが、休診で昨年4月に実家近くの病院で二男を出産した。女性は「車で長時間かけて通うのも負担だった」と振り返る。二男出産に加藤被告が立ち会った女性(28)も「次も加藤先生に診てもらいたいと思っていた」と言う。

 一方、被害者の父親は「事前に生命の危険がある手術だという説明がなかった」と振り返る。危篤状態の時も「被告は冷静で、精いっぱいのことをしてくれたようには見えなかった」と話す。

 病院の対応にも不満がある。病院側は示談を要請したが父親は受け入れず、05年9月の連絡を最後に接触は途絶えた。昨年11月に問うと、病院は「弁護士と相談して進めていく」と答えたという。「納得できない。娘が死んだ真相を教えてほしい。このままでは娘に何も報告できない」と不信感を募らせる。【松本惇】

 ◆初公判までの経過◆

 【04年】

12・17 帝王切開の手術中に女性死亡。生まれた女児は無事。病院は警察に届け出ず

 【05年】

 3・30 県の事故調査委員会が報告書を公表し発覚

 【06年】

 2・18 県警が加藤被告を業務上過失致死と医師法違反容疑で逮捕

 3・10 福島地検が加藤被告を起訴

   11 大野病院の産婦人科が休診

12・ 6 多数の医学団体の抗議などをまとめる形で、日本医学会長が刑事責任追及を批判する声明発表

毎日新聞 2007年1月27日

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福島民報
産婦人科医が無罪主張 福島・大野病院医療過誤初公判

初公判に臨むため福島地裁に入る加藤被告=26日午前9時45分ごろ
 福島県大熊町の県立大野病院医療過誤事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた大熊町下野上、産婦人科医加藤克彦被告(39)の初公判は26日、福島地裁(大沢広裁判長)で開かれ、加藤被告は起訴事実を否認し、無罪を主張した。医師の医療行為への捜査に対し、多くの医療団体が抗議の声明を出すなど全国が注目する審理。加藤被告が「切迫した状況の中で、産婦人科医としてできる限りの措置をした」と述べたのに対し、検察側は加藤被告が先輩医師から大量出血を伴う危険な手術になることを指摘されたことを明らかにした。対立の構図がより鮮明になった。
 検察側は加藤被告が手術前、福島医大の先輩医師から複数の産婦人科医による手術を勧められ、断ったことを明かした。加藤被告の自宅に「癒着胎盤を無理にはく離すべきでない」とする医学書があったと説明。今回の被害者のように帝王切開歴がある患者は、癒着胎盤の確率が24%と通常より高くなると主張し、過失の重大さを指摘した。
 一方、弁護側は「検察側が示した医学書の執筆者から『はく離しても良い場合がある』という回答を得た」と反論。加藤被告は手術前、通常より慎重に超音波検査などを試みたが癒着胎盤が確認できなかったと説明した。
 癒着胎盤への措置が最大の争点。加藤被告は手術中に胎盤をはがした時について「はく離できないわけではないが、しづらくなった」などと「癒着」と言わず、適正な医療行為だと強調した。
 起訴状などによると、加藤被告は平成16年12月17日、楢葉町の女性=当時(29)=の帝王切開手術を執刀し、癒着胎盤に気付いた後、医療用はさみ(クーパー)などを使って胎盤をはがし、大量出血で女性を死亡させた。女性が異状死なのに24時間以内に警察署に届けなかった。
 医師法の異状死の届け出義務違反についても、憲法の黙秘権の侵害に当たるとする弁護側と検察側が対立している。

 癒着胎盤 子宮内にある胎盤が子宮内壁と癒着した状態。数1000例に1例といわれる。胎盤は通常、出産後間もなく自然と子宮からはがれて除去されるが、癒着胎盤だと除去が難しくなる。

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福島民友ニュース

被告の医師、無罪主張/大野病院事件初公判

 大熊町の県立大野病院で2004(平成16)年12月、帝王切開で出産した女性=当時(29)=が死亡した医療事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた産婦人科医加藤克彦被告(39)=大熊町下野上=の初公判は26日、福島地裁(大沢広裁判長)で開かれ、加藤被告は「ミスはしていない」と起訴事実を全面否認、無罪を主張した。
 冒頭陳述で検察側は「子宮に癒着した胎盤の剥離(はくり)を直ちに中止して子宮摘出手術をすれば大量出血は防げた」と指摘。一方、弁護側は「剥離は止血のためで問題なかった」と反論した。極めてまれな症例「癒着胎盤」の処置をめぐり全国的に注目を集めた事件は、法廷に舞台を移して審理が始まった。
 罪状認否で加藤被告は、「自分を信頼してくれた患者を亡くした結果は非常に残念」とした上で「切迫した状況で、冷静にできる限りのことをやった」などと述べた。
 起訴状によると、加藤被告は04年12月中旬、楢葉町の女性の胎盤が子宮に付着していることを知りながら帝王切開手術を執刀。手術用はさみで無理に癒着部分をはがし取ったために大量出血させ、失血死させ、女性が異状死だったのに警察に届けなかった、とされる。
 次回公判は2月23日午前10時からで、証人尋問が行われる。

 医師会「判断見守る」
 大野病院医療事件の26日の初公判を受け、佐藤章福島医大産婦人科学講座教授は「コメントはない」としながらも「検察側には(弁護側の出す)証拠で勉強してほしい」と話し、県医師会の山森正道常任理事は「法治国家である日本の司法がどのような判断を下すか見守りたい」と述べた。
(2007年1月27日 福島民友ニュース)

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NIKKEI NET

帝王切開ミス、医師が「精いっぱいやった」と無罪主張
 福島県大熊町の県立大野病院で2004年、帝王切開手術を受けた女性=当時(29)=が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた産婦人科医加藤克彦被告(39)の初公判が26日、福島地裁(大沢広裁判長)であり、加藤被告は「否認します」と無罪を主張した。

 罪状認否で加藤被告は「患者を亡くしたのは残念で、ご冥福を心からお祈りする」とした一方で「できるだけのことを精いっぱいやった」と強調した。

 最大の争点である被告が子宮に癒着した胎盤のはく離を続けたことの是非について、加藤被告は「止血するために継続した。適当な処置と思った」と述べた。

 この医療事故では検察側と、「過失はなかった」とする弁護側が真っ向から対立。医師が逮捕、起訴されたことに医療界の反発が広がっており、注目を集めている。〔共同〕(13:01)

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共同通信

帝王切開医師が無罪主張
福島県立病院の妊婦死亡
2007年01月26日 11:14 【共同通信】
 福島県大熊町の県立大野病院で2004年、帝王切開手術を受けた女性=当時(29)=が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた産婦人科医加藤克彦被告(39)の初公判が26日、福島地裁(大沢広裁判長)であり、加藤被告は「否認します」と無罪を主張した。

 罪状認否で加藤被告は「患者を亡くしたのは残念で、ご冥福を心からお祈りする」とした一方で「できるだけのことを精いっぱいやった」と強調した。

 最大の争点である被告が子宮に癒着した胎盤のはく離を続けたことの是非について、加藤被告は「止血するために継続した。適当な処置と思った」と述べた。

 この医療事故では検察側と、「過失はなかった」とする弁護側が真っ向から対立。医師が逮捕、起訴されたことに医療界の反発が広がっており、注目を集めている。

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産経新聞

福島の病院 妊婦死亡 医師が無罪主張 胎盤剥離「適当な処置」
1月27日8時0分配信 産経新聞


 福島県大熊町の県立大野病院で平成16年、帝王切開の手術を受けた女性=当時(29)=が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反(異状死の届け出義務)の罪に問われた産婦人科医、加藤克彦被告(39)の初公判が26日、福島地裁(大沢広裁判長)で開かれた。罪状認否で加藤被告は「切迫した状況の中でできるかぎりのことをやった」と述べ、起訴事実を否認した。

 最大の争点である子宮に癒着した胎盤の剥離(はくり)を続けたことの是非について、加藤被告は「止血するために継続した。適当な処置と思った」と説明した。

 検察側は冒頭陳述で、加藤被告が他の病院での手術を提案する助産師や、応援を呼ぶべきだとする先輩医師の助言を聞き入れなかったことを指摘した。

 また、「手術用ハサミで剥離を始めてからわき上がるような出血があった。直ちに剥離を中止して子宮摘出手術に移行すべき注意義務を怠った」と主張した。

 弁護側も冒頭陳述を行い、「止血を急ぐために胎盤剥離を継続した。通常の医療行為そのもので、明白な医療過誤とは異質」と反論した。

 起訴状によると、加藤被告は16年12月17日、女性の帝王切開手術で、胎盤と子宮の癒着を認識。無理に胎盤をはがせば大量出血する恐れがあることを知りながら、手術用ハサミを使って剥離し、大量出血により、女性を失血死させた。

 昨年7月から約半年にわたって行われた公判前整理手続きで、争点は(1)大量出血の予見可能性(2)医師法違反罪の適用の是非(3)胎盤剥離の際の手術用ハサミの使用の妥当性-などに絞られている。

                    ◇

 ■リスク避ける医療界

 「診療が萎縮(いしゅく)する」。業務上過失致死と医師法違反罪で医師が起訴された福島県立大野病院の妊婦死亡事故では、日本産科婦人科学会など医療界が起訴を疑問視する異例の声明を発表し、国の医療政策にも大きな影響を与えた。

 産科の医師不足や過酷な就労環境…。医療界ではこうした実情を訴え、医師に病死以外の異状死の届け出を義務付けた医師法21条の見直しや、警察以外の第三者機関による死因究明制度の設置を国に求めた。

 働きかけを受けて厚生労働省は昨年8月、「新医師確保総合対策」を策定し、産科の人材や機能の集約化・重点化の推進を打ち出した。医師に過失がなくても患者に補償する「無過失補償制度」の創設も盛り込んだ。

 自民党の検討会でも昨年11月、通常の出産で赤ちゃんが脳性麻痺(まひ)になった場合に、2000万~3000万円を補償する枠組みを決定。厚労省が具体的な仕組み作りを急いでいる。

 また、医療行為中に発生した不審死の原因を、第三者機関が調査する厚労省のモデル事業も行われている。医療機関と遺族が納得できる中立的な調査を目指し、東京や大阪など7地域で取り組んでいる。全国への制度化も検討している。

 しかし、北里大学医学部の海野信也教授(産婦人科学)は「大野病院の事故以降、多くの医療機関がリスクの高い診療を避けることが常態化した」と指摘する。

 一方、心臓手術の事故で小学6年の娘を亡くした平柳利明さんは「産科の医師不足は今に始まった問題ではない。放置してきた医療界の怠慢。刑事処分が萎縮医療を招くという理論は問題のすり替えだ」と指摘。その上で、「国は警察以外で原因を究明する第三者機関を本気でつくり、医療界も全面協力するべきだ」と話している。

最終更新:1月27日8時0分

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河北新報

被告、検察真っ向対立 大野病院事件初公判
1月27日7時2分配信 河北新報


 「いつか、子どもは自分の誕生日が母の命日だと知る。その悲しみを思うと、胸が張り裂けそうになる」。検察側が次々に読み上げる遺族の供述調書に医師の表情は凍り付いた。帝王切開で女児を出産した女性=当時(29)=を医療ミスで死亡させたとして、産婦人科医加藤克彦被告(39)が業務上過失致死の罪に問われた事件。福島地裁で26日開かれた初公判で、加藤被告はミスはなかったと主張し、遺族感情を背に受けて、過失立証に全力を挙げる検察側と真っ向から対立した。

 冒頭陳述の後、検察側は約1時間半の書証読み上げのうち、1時間近くを女性の夫ら遺族5人の供述調書朗読に充てた。

 「子どもが寝静まった深夜、ひとりで泣く日が続いた」「将来、(女児が)母は自分の身代わりに死んだと自分を責める日が来るのではないか心配だ」「加藤医師が妻を助けるため、手を尽くしてくれたとは思えない」

 加藤被告は終始、沈痛な表情で被告人席の机に目を落としまま、顔を上げることはなかった。

 一方、弁護側は、子宮に癒着した胎盤を無理にはがそうとして大量出血を招き、女性を死亡させたとされる加藤被告の過失を全面的に否認した。

 検察側は加藤被告宅から押収した産科医療の教科書に基づき「女性の死を避けるため、胎盤剥離(はくり)を中止し子宮摘出に移るべきだった」と主張したのに対して、弁護側は「教科書の記述が女性のケースに該当するかどうか執筆者に確認していないなど、専門家の知見を軽視している」と指摘した。

 閉廷後、記者会見した平岩敬一主任弁護人は「教科書執筆者からは今回の女性のケースは該当しないとの回答を得ているが、検察側は証拠採用に同意しなかった」と強調。その上で「弁護側は被告に不利になることを承知で、遺族の供述調書の証拠採用に同意した。医療行為の適否だけが争われる裁判。検察側の姿勢は公正とは言えない」と強く批判した。

 この事件は、産婦人科医の過酷な勤務実態が社会問題として注目される契機となる一方、医学知識のない捜査、司法機関が専門医の行為を立件、裁くことの可否についても論議を巻き起こした。

 事件に関係した医療従事者や遺族がインターネット上などで、心ない批判にさらされる現実も、まだある。死亡した女性の父(56)は「とにかく早く真相を明らかにしてほしい。それ以外、今は何も話す気になれない」と公判途中で法廷を後にした。

最終更新:1月27日7時2分

投稿者 akiuchi : 12:48 PM

医療クライシス:忍び寄る崩壊の足音/3&4

公的病院の医師を確保するために「高給優遇、副業(アルバイト)OK>非公務員型」というアイデアには大賛成。バイト先が個人開業医であればお互いのためになる。一般の人は公務員がバイトするということには厳しいのだろうが、日本の医師不足を解決する方法はこれしかないのではないだろうか?


医療クライシス:忍び寄る崩壊の足音/3 訴訟倍増、薄れる信頼

 ◇「患者の話も聞く余裕なく」
 東京都内の大学病院に勤める男性医師(31)は、3年たっても立てない女児の姿を見てがくぜんとした。アルバイト先の病院で01年、当直中に出産に立ち会った女児を巡る医療訴訟の法廷。書面で読んではいたが、傍聴席で母親に抱かれた女児は驚くほど小さい。
 主治医から引き継いだ時にはへその緒が胎児の体に巻きついている以外は異状なかった。しかし、分べん室に移るころ、急に胎児の心音が落ちた。
 破水すると、羊水がにごって胎児が苦しんでいた。すぐに酸素投与などをしたが「新生児仮死」の状態。小児科医師に引き継ぎ、翌日には大学病院に転送されたが、重い障害が残った。
 両親には病院幹部が経過を説明し、カルテも開示したが訴訟となった。直接説明する機会がなかった男性医師は「自分が説明しなかったから不信感を持たれたのではないか」と悔やむ。訴訟では、専門医の鑑定で産科のミスは認められず、「期待権の侵害」として1000万円を支払うことで和解した。
 100%の安全性を望む患者と、不確実さがつきまとう医療の現実のギャップ。結果が悪いとすぐ訴訟というケースもある。男性医師は「『元気で生まれてくるのは当たり前』というイメージだが、本来は命がけのものだ」と話す。
 それでも女児の姿を思うと「自分も足りなかったことを責めなくてはいけない」と感じる。「和解といっても憎しみあって終わっている」。近く家族を訪ね、結果について謝罪するつもりだ。
   ■   ■
 最高裁判所の統計によると、96年に575件だった新規の医療訴訟は、05年には倍近い999件になった。医師の病院離れを促す要因になっているとの指摘があるが、病院側が十分に説明していないケースもある。
 輿水(こしみず)健治・埼玉医科大総合医療センター助教授は以前に勤務したことがある病院で、入院中の患者から「高血圧の薬が処方されず、具合が悪くなった」と言われたケースを経験した。担当医師は「処方した」と話し、看護師らも「訴えが多い患者さんね」と取り合わない。しかし、輿水医師が確認すると、担当医が処方を忘れていた。
 輿水医師が本人や家族に数回にわたって説明し、文書で謝罪して解決した。「確認して薬を処方すれば済んだこと。米国などに比べ、日本では医師や看護師の数が少なく、多忙のためゆっくりと患者さんの話に耳を傾けることができない状態だ。お互いの会話が少ないうえ、社会的な要請や訴訟対策などで書面のやりとりが増えている。こういったことで医師と患者の信頼関係がこんなに薄れてしまったのかもしれない」とため息をつく。
   ■   ■
 厚生労働省は05年9月から、日本内科学会への補助事業として、診療に関連した死亡の調査分析事業を始めた。医療機関からの依頼で調査し、再発防止を目指す。しかし、1月23日現在、調査依頼は40例で、うち15例の評価結果報告書をまとめたにすぎない。
 患者にとっては、病院の説明で納得できない場合、訴訟以外に真相究明を期待できる場はないに等しい。医師不足で多忙な現場では、十分な説明の時間を取ることも簡単ではない。こうした実情が、医師と患者の関係を悪循環に追い込んでいる。=つづく
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 ご意見、ご感想をお寄せください。ファクス(03・3212・0635)、Eメールt.shakaibu@mbx.mainichi.co.jp 〒100―8051 毎日新聞社会部「医療クライシス」係。

医療クライシス:大阪・市立池田病院、独法化を検討 医師確保へ公立脱却

 ◇高給優遇、副業OK--非公務員型、患者増図る
 約91億円の累積赤字を抱える大阪府池田市の市立池田病院が、経営健全化を目指し、地方独立行政法人への移行を検討していることが25日、分かった。高い給料で優秀な医師を確保し、患者の取り込みを図るなど、公立の「制約」を取り払い、経営改善につなげたい考えだ。大学医局の派遣撤退や、低い給料などの影響で、自治体病院の医師離れは深刻。実現すれば全国的にも珍しい試みになる。【河内敏康】
 池田病院は97年に現在の場所に移転・新築し、04年に増床。15診療科364床の中規模病院になった。しかし、経営は芳しくなく、05年度の累積赤字は約91億円にも上る。今年度は、産科医が1人減った影響などもあり、ベッドの稼働率は落ち、病院収入は減少した。
 そこで、同病院は昨年6月、15年度に単年度収支を黒字化することを目標とした経営の健全化計画を策定。その中で、現行の体制のまま、経営の改善や医師不足などを解消できる見通しが立たない場合、地方独立行政法人への移行を視野に検討する方針を立てた。
 独法化によって、予算執行の裁量幅が広がり、現在は条例で定める医師の給与も、病院独自に定めることができるようになる。医師の身分は、公務員ではない「非公務員型」を想定し、原則禁止されていた医師のアルバイトも可能。医師がアルバイト先の他の病院から患者を新たに連れて来ることで、病院の増収につなげられる可能性もあるという。
 全国自治体病院協議会によると、地方独立行政法人化した自治体病院は、大阪府、宮城、長崎両県に計7病院あるが、医師の身分を「非公務員型」とする病院は珍しいという。
 生島義輝・同病院事業管理者は「医師不足の中、優秀な医師を確保するには、いかに高給で雇用できるかが重要な課題。経営の立て直しを図る上でも必要な対策だ。安全で安心できる質の高い医療を市民に提供し続けるためにも、地方独立行政法人への移行を含めた効率的な病院のあり方を探りたい」としている。

[毎日新聞 ]

医療クライシス:忍び寄る崩壊の足音/4 事故の犯罪扱いに批判

 ◇士気減退、組織改善の妨げ
 「自分を犯人にしようとしている」
 東京都内の病院に勤務する男性医師(46)は、いかめしい5人ほどの刑事が病院に来た時のことを鮮明に覚えている。04年に患者が死亡した際に、警察の取り調べを受けた時のことだ。
 患者は70代の女性。心電図などから比較的小さな急性心筋梗塞(こうそく)と判断した。数日後、女性はカテーテルを使った検査の直後に胸の苦しみを訴え、心肺が停止してしまう。心肺蘇生をしながら調べると、心破裂を起こしたことが分かった。
 心筋梗塞患者に心破裂が起きることはまれではない。合併症と判断した男性医師は、病理解剖を依頼した。家族の理解も得られた。ところが、監察医務院から警察への届け出を求められた。
 刑事たちはカルテなどを押収。「検査のカテーテルで心臓をつつくことはない」と説明しても、検査と死因を関連付けようとするばかりで理解してもらえなかった。
 司法解剖の結果、死因の判断に誤りがないことが分かる。しかし、カルテなどは戻らず、1年後に返却を求めると「書類には一切書き込みはするな」と注意され、2週間の期限で貸し出された。男性医師は「まるでこちらが証拠隠滅をするような言い方だった」と怒りをにじませる。
 その後、事情聴取を2回受けた。1年3カ月後にカルテは返却され、事件は立件されなかった。「患者の急変には医師もショックを受ける。その時に刑事に土足で入り込まれた心の傷は大きい。『もうやってられない』と思う医師がいてもおかしくない」と話す。
   ■   ■
 福島県立大野病院で帝王切開手術中に患者が死亡したことを巡り、産婦人科医が昨年、逮捕、起訴された。医療関係者から医療事故を刑事事件として扱うことに批判が高まり、現役外科医でもある古川俊治弁護士は「米国や英国では、医療事故が刑事事件になることはほとんどない」と指摘する。実情はどうなのか。
 東京大医療政策人材養成講座の研究班(筆頭研究者・神谷恵子弁護士)は、00~06年6月に出た刑事判決のうち、判決文が入手できた18件を、処分の必要性など5項目で分析した。医療側と患者側、弁護士など立場が違う7~13人が担当。うち6件は、処分の必要性と処罰の適切さの点から起訴の妥当性が疑われるとの結果になった。
 6件の中には、京都大病院で看護師が人工呼吸器に消毒用エタノールを誤って注入し、患者が死亡した事件も含まれている。看護師個人の刑事責任追及は「病院のシステムや教育管理責任、労働環境など真の原因究明を阻害し、医療安全の追求を後退させている可能性がある」と指摘した。
 研究班は提言で、業務上過失致死傷罪の成立を犯罪性が明確な場合に限定し、代わりに行政処分を拡充することを提案。特に組織に原因がある場合に備え、医療法に医療機関と開設者に対する改善命令などを規定することを挙げた。さらに、医療事故の原因分析機関の創設も提案した。
 医療事故の死因究明や裁判外の紛争処理を巡っては、厚生労働省が今年度中に試案を示し、来年度から有識者の検討会を発足させる予定だ。柳沢伯夫厚労相は、航空・鉄道事故調査委員会に似た専門家機関を作る意向を示している。
 しかし、人材の確保など課題が多く、現状の打開にどの程度効果があるかは未知数だ。=つづく
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[毎日新聞 ]


投稿者 akiuchi : 11:38 AM

January 26, 2007

毎日新聞「医療クライシス」 2007年1月23日(火)

どちらかというと内診問題、奈良県の大淀病院事件などではわれわれ産科医には批判的な記事が目立っていた毎日新聞が「医療クライシス」という興味深い連載を今週から開始した。「『医療崩壊』を食い止めるにはどうしたらいいのか。手がかりを求め、現場を歩いた。」という記者が今後どのような記事を書いていくのか注目したい。「医療崩壊」に加担していると思われるマスコミが自己批判を展開してわれわれを支援してくれることを期待するのは時期尚早かもしれない。

医療クライシス:東京・大阪の公立病院、半数が診療縮小--毎日新聞調査(1387文字)(毎日新聞) - 2007年1月23日(火)

 <2面で連載スタート>
 ◇常勤医285人不足
 医師不足などのため、東京都と大阪府内の計54の公立病院のうち、公立忠岡病院(大阪府忠岡町、83床)が3月末に閉院するほか、半数近い26病院で計46診療科が診療の休止・縮小に追い込まれていることが、毎日新聞の調査で分かった。常勤医で定員を満たせない病院は45病院あり、不足する常勤医は計285人に上る。非常勤医で穴埋めできていない病院もあり、医師不足によって病院の診療に支障が出る「医療崩壊」が、地方だけでなく2大都市にも広がり始めている実情が浮かんだ。
 調査は都府立、公立、市立病院(大阪市立大病院を除く)と、都保健医療公社が運営する病院を対象に実施。00年以降の診療休止・縮小の状況や、今月1日現在で常勤医が定員に満たない科の数などを尋ねた。
 閉院を決めた忠岡病院は、03年に12人いた医師が05年には4分の1に激減。昨年4月に皮膚科と泌尿器科、今月は脳神経外科を休止し、病院自体も存続できなくなった。
 診療科別に見ると、休止・縮小したのは、産科・産婦人科が計10病院で最多。次いで小児科6、耳鼻咽喉(いんこう)科が5病院だった。
 不足している常勤医数は、内科が18病院で計47人と最も多く、麻酔科15病院29人、産科・産婦人科が16病院27人、小児科が11病院22人と続いた。不足の理由は、▽04年度導入の新医師臨床研修制度をきっかけに、大学病院が系列病院から医師を引き揚げた▽勤務がきつく、リスクを伴うことが多い診療科が敬遠されている――など。
 診療への影響は、「救急患者の受け入れ制限」(都立大塚病院・豊島区)など、救急医療への影響を挙げる病院が目立つ。住吉市民病院(大阪市)のように、産科医不足による分べん数の制限を挙げる病院も多かった。
 打開策については、都立墨東病院(墨田区)などは「給与水準引き上げ」と回答、府立急性期・総合医療センター(大阪市)が「出産・子育てから復職支援など女性が働きやすい環境作り」を挙げるなど、労働環境の改善を挙げる病院が目立つ。「医療訴訟に対する裁定機関や公的保険制度の確保」や、「地域の病院と連携し、医師の診療応援など交流を図る」などの意見もあった。【まとめ・五味香織、河内敏康】
 ◇「高額医療費」実は平均以下--OECDデータ
 地方だけでなく、大都市にも「医療崩壊」が広がり始めた背景には、日本の低医療費政策がある。医療費を巡る政策論議では長年、いかに抑制するかがメーンテーマとなってきたが、経済協力開発機構(OECD)の国際比較データからは、正反対の実情が浮かぶ。
 医療費を対国内総生産(GDP)比でみると、日本は1960年代半ばの一時期にOECD加盟国平均に達していた以外は、一貫して平均を下回っている。03年もGDP比8%で、平均の8・8%に届かない。
 特に、先進7カ国(G7)の水準には程遠く、差が広がるばかり。03年のG7平均は10・1%で、日本はG7平均に比べて医療費の支出が2割も少なく、先進国並みに医療にお金をかけているとは言えないのが現実だ。
 人口1000人あたりの診療医師数(診療に従事する医師の数)は、一度もOECD平均を上回ったことがない。差は年々拡大し、04年には平均3・1人に対し日本は2人。OECD平均に達するには、医師を1・5倍に増やす必要がある。

[毎日新聞 ]

医療クライシス:忍び寄る崩壊の足音/1 分べん台で1時間待ち(1525文字)(毎日新聞) - 2007年1月23日(火)

 ◇転送先探し、東京でも困難に
 全国で最も病院が多く、医師も集中する首都・東京のベッドタウン、東京都日野市。住宅街の一角に建つ日野市立病院(300床)の市原眞仁院長は、疲れた表情で話し始めた。
 「どこに頼んでも医師が見つからない」
 大学からの医師派遣を次々と打ち切られ、内科や小児科など5科で入院の受け入れ制限など診療を縮小している。4月には脳神経外科が縮小に追い込まれる見通しだ。
 きっかけは04年度に導入された新医師臨床研修制度。新人医師は2年間研修が義務化され、大学病院も医師が不足し、系列病院から次々と医師を引き揚げた。「各地で医療事故が訴訟や刑事事件になっている影響」(市原院長)もあり、職員の士気も落ちている。
 市原院長は「病院は赤字続きで、私は3月に責任をとって辞めるが、誰も後任に来たがらない」と途方に暮れる。
 東京に次いで医師が多い大阪でも変わらない。
 今年3月で閉院する公立忠岡病院(忠岡町、83床)。須加野誠治院長は医師を確保しようと、延べ200回近く近畿各地の大学病院に出向いた。だが、軒並み断られた。
 須加野院長は「公的病院は日本の医療を支えてきたのだが……。弱者を切り捨てることになる」と悔しさをにじませる。
 東京23区すら例外でない。東部の中核的医療機関、都立墨東病院(墨田区、772床)の産科は昨年11月から、出産を控えた妊婦の新規の外来受け付けを中止した。黒田祥之事務局長は「大学病院を10カ所以上回ったが、どこも派遣してくれそうにない」と語る。
   ■   ■
 しわ寄せは、患者に及んでいる。
 昨年7月。東京都内の女性(26)は休日の未明、かかりつけの産婦人科で陣痛を抑える点滴を受けていた。妊娠28週での早産が避けられず、新生児集中治療室(NICU)のある病院へ転送が必要になったためだ。
 東京にはNICUを持つ24病院が参加し、出産前後の「周産期」の情報を共有するネットワークがある。うち9病院が総合周産期母子医療センターに指定され、受け入れ先探しも担う。
 しかし、最も近いセンターの杏林大病院(東京都三鷹市、1153床)は「NICUがいっぱいで受けられない」。医師は転送先を探し、女性の横で電話をかけ続けたが、次々と断られた。
 女性は分べん台に乗せられたまま1時間が過ぎた。「医師不足は地方の話。東京は大丈夫」と思っていたが、電話をかける先がどんどん遠くなり不安が増す。「あたし、どうなるの」
 1時間以上かかって見つかったのは、直線距離で約40キロ離れた病院。1時間かけて運ばれ、不安が消えたのは、帝王切開を受け、産声が耳に届いたときだった。
 送り出した産婦人科医は「センターの病院も人手不足で、転送先は自分で探さなければならないケースが多い。(19病院に断られた)奈良・大淀病院のケースのように受け入れ先を見つけるのが困難なのは、東京でも日常茶飯事だ」と明かす。
 公立福生病院(東京都福生市、211床)は医師不足で、04年から人工透析を休止したままだ。転院せざるを得なくなった女性(52)は「異常があった時、総合病院なら対応してもらえる安心感があった」と嘆く。再開を待ちながら亡くなった患者もいるが、医師確保の見通しは立たない。
   ×   ×
 「医療崩壊」を食い止めるにはどうしたらいいのか。手がかりを求め、現場を歩いた。=つづく
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医療クライシス:忍び寄る崩壊の足音/2 時間外労働、月90時間超(1500文字)(毎日新聞) - 2007年1月24日(水)

 ◇過労で能力低下
 横浜市立大母子医療センターの産科主任、奥田美加さん(40)は、夕方過ぎに病院から自宅へ電話を入れるのが日課だ。小学1年生の長男(7)からは、決まって同じことを聞かれる。「ねえ、今日帰ってくるの?」
 月7~8回当直し、連続36時間勤務や土日の呼び出しは当たり前。自宅で食事中に呼び出され、泣き出しそうな長男を残して出勤することもしばしばだ。奥田さんは「次世代が増えてくれないともう限界」と話す。だが神奈川県で06年春に初期研修を終えた医師600人中、産婦人科医を選んだのは10人だった。
 今月19日午後7時、大阪府立母子保健総合医療センター(和泉市)の産科医、浜中拓郎さん(34)の携帯電話が鳴った。「帝王切開後、出血が止まりません」。応援を求める電話だった。学会で大阪市内にいたため、タクシーでセンターへ。手術は午後11時ごろ終わり、患者の命は救えた。午前1時ごろ帰宅した浜中さんは、朝6時に起きて学会発表の準備をした。同センター産科は常勤医が9人から7人に減り、その分仕事量が増加。当直は月に7~8回ある。
 厚生労働省の調査では、平均的な医師でも月90時間以上は時間外労働をしており、同省の過労死認定基準が目安とする「月80時間の時間外労働」を超えている。
   ■   ■
 「医者なんてろくな職業じゃない」。小児科医を目指し、神奈川県の病院で研修医生活を送る千葉智子さん(25)は高校3年だった99年春、小児科医の父から医師への道を猛反対された。その夏、父は勤務先の病院で飛び降り自殺した。44歳だった。自殺の半年前、小児科部長代理になった。責任は重くなったが、退職や転職で半減した医師の補充もなく、当直日数が増えた。遺書には「経済大国の首都で行われる貧弱な小児医療。医師を続ける気力も体力もありません」とあった。
 智子さんは、医師の労働条件を整備しようと、厚労省の医系技官を目指した。しかし小児科の講義で「小児には発達があり未来があり、病気が治る可能性がある」と聞き、父の思いの原点を感じて心が動いた。
 労災認定を求めて薬剤師の妻、のり子さん(50)が起こした行政訴訟の判決が3月、東京地裁である。のり子さんは「夫のような悲劇が二度と起きない医療現場になってほしい」と訴える。
 一方、大阪高裁では2月、看護師の過労死認定を巡る訴訟の控訴審判決が言い渡される。
 原告は、01年3月にくも膜下出血で亡くなった国立循環器病センター(大阪府吹田市)の看護師、村上優子さん(当時25歳)の遺族。当時、村上さんが友人に送ったメールには「日勤が忙しくて、帰ったのは22時前でした。寝る時間がほとんどなくってそのまま深夜(勤務)に突入。もう始まったときからふらふらでした」とあった。
 1審判決は遺族側敗訴だったが、裁判を支援する会の仲村幸治事務局長は「看護師の職場環境は劣悪。村上さんの例は氷山の一角だ」と訴える。
   ■   ■
 05年秋の米国医師会雑誌に、過労による医師の能力低下を調べた論文が掲載された。週80~90時間働き、夜間の呼び出しもある小児科研修医の注意力などの能力は、週44時間勤務の小児科研修医が飲酒した状態と同じ程度に落ちていた。
 医師不足による過労は、患者の安全も脅かしている。=つづく
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[毎日新聞 ]

投稿者 akiuchi : 07:19 AM

December 29, 2006

高い医師の自殺率:強いストレスと身近な薬物が元凶、対策は急務

日経メディカルのちょっと古い記事だが身につまされる内容だ。アメリカの医療を追いかける日本でもきっと同じ問題が起こるだろう。(既に起こっているのかもしれない)

高い医師の自殺率:強いストレスと身近な薬物が元凶、対策は急務
2005. 6. 24

 医師には健康な生活を心がける人が多く、寿命も長い傾向にある。が、自殺率は一般より高い。なぜ人の命を救うことを職務とする医師が、自分の命を救えないのか。

 親しい医師4人が自殺するという悲しい経験を基に、米Harvard大学のEva Schernhammer氏は、医師の自殺率がなぜ高いかを分析、医師たちのストレスを減らし、必要な時に安心して精神医学的治療を受けられる環境を整備することが必要と述べている。詳細はNew England Journal of Medicine(NEJM)誌2005年6月16日号に報告された。

 医師の自殺について調べた25件の研究のメタ分析の結果は、男性医師の自殺率が一般男性の1.41倍、女性医師の場合には一般女性の2.27倍を示した。女医の自殺率は非常に高い。では、自殺リスクを高める要因にはどのようなものがあるだろう。

 自殺を試みる人の30~70%が、うつ病などの情動障害や、薬物依存、統合失調症などにかかっているといわれる。医師の精神病罹患率は一般より高い。さらに、薬物濫用とアルコール中毒が、医師の自殺にしばしば関係している。女医の場合、アルコール中毒者の割合は一般女性より多い。薬物濫用は、特に精神科医、麻酔科医、救急医に多いことが示されている。

 2番目に、医師たちが負っている職業上の責任が、社会からの孤立をもたらしている可能性がある。また、医師は、自分自身が精神医学的な支援を必要としている場合に、これを軽視しがちだ。逆に、そういう状態にある自分を責めることも多い。身近な人の死、離婚、失職といった人生の難局に直面したとき、鬱状態になる頻度は、一般人より明らかに高い。

 独身で子供がいない場合には自殺リスクが上昇するが、男性医師より女医に、そうした状況の人が多い。逆に、家庭を持っている女性は、家庭と職場の両方で重荷に耐えることになる。女医の場合、男性優位の職場で成功することの難しさが、さらにストレスを増すと考えられる。

 職場でのセクハラが、うつと自殺を引き起こす可能性がある。女医の48%が、女性であることに基づく嫌がらせを受けた経験を持ち、セクハラ経験は37%にあった、という報告がある。この研究は、嫌がらせの頻度が高いほど、うつや自殺企図の頻度も高いことを示した。さらにセクハラ発生率には減少が見られないという。セクハラは、外科や救急医療など男性優位の世界で、より多く発生している。その背景には、女性は科学に弱いというステレオタイプの見方が潜在している可能性がある。

 自殺を試みる医師たちの成功率は高い。反対に、一般女性の失敗率は高いが、違いは選択した手段の確実性に依っている。女医の自殺率が高いのは、自殺を試みる人の割合が多い上に、確実な方法を選ぶからだ。最近の報告によると、医師の自殺に最も多く用いられるのは毒物だ。診療所や研究室で容易に入手でき、それらに対する十分な知識を持つことが、自殺率を高めている。

 自殺予防のための対策は、現在のところほとんど行なわれていない。医師たちが精神医学的治療を受けることを妨げる障壁(たとえば、医師免許取り消しに対する恐れなど)は、排除されねばならない。秘密が守られる環境で心理療法を提供する一方、医師であるがゆえに負っているストレスについて、オープンに議論する場を用意するといった方法が有効だろう。特に女医の自殺を防ぐため、職場での平等を保証するなど、特有のストレスを減らす対策も必要だ。医師たちが、救命のための努力の対象から自分自身を排除しないよう支援していくことが大切だ。

 本論文の原題は「Taking Their Own Lives - The High Rate of Physician Suicide」、抜粋は、[こちらhttp://content.nejm.org/cgi/content/short/352/24/2473]で閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)

(日経メディカル)

投稿者 akiuchi : 10:11 PM

日本麻酔科学会の声明

日本医学会の声明を受けて日本麻酔科学会の声明が出ました。来年1月の公判開始に向けての援護射撃といったところでしょうか?
http://www.anesth.or.jp/news/000671.html

福島県立大野病院での医師逮捕について

【2006年12月15日】
社団法人日本麻酔科学会
理事長 武田 純三


この度、福島県立大野病院での医師逮捕につき、日本医学会ならびに日本周産期・新生児医学会より声明文が送られてきました。
社団法人日本麻酔科学会としては、無くなられた患者様に深く哀悼の意をささげると共に、ご家族の悲しみを察するところでありますが、これらの不当な医師逮捕に関する声明文を支援するものであります。

投稿者 akiuchi : 09:08 PM

2006年産婦人科医療関連判例

今年ももうすぐ終わり。2月の福島県立大野病院事件の衝撃が大きかったがその他にも産婦人科医療に関して様々な裁判報道が為された。周産期医療からの産科医師撤退を促進したこれらの判例を記憶に留めて置くことにする。

『転院後輸血開始までに、数十分を要したことが死亡の原因とされた症例。
ーーーーーーーーーーーーー
医療ミス兵庫県に7千万円賠償命令 出産時の輸血措置で過失
2003年10月02日 The Sankei Shimbun
出産後の出血で妻=当時(34)=が死亡したのは輸血措置の過失が原因として、兵庫県尼崎市の男性(32)と子供らが同市内の産婦人科医と転送先の県立尼崎病院(尼崎市) を開設する県に慰謝料など計約9300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、神戸地裁尼崎支部は2日、県に計約7100万円の支払いを命じた。

安達嗣雄裁判長は判決理由で「尼崎病院の医師は到着時の診察で直ちに輸血を開始すべき注意義務があったのに、時期が大幅に遅れた過失がある」との判断を示した。産婦人科医 への請求は棄却した。

判決によると、女性は2001年7月17日、産婦人科医院で男児を出産後に出血が続き、医師は輸血用血液の到着が間に合わないと判断し、尼崎病院に転送。同病院の医師は大 量出血を聞き、止血手術などをしたが、輸血を開始したのは転送から数十分以上後で、女性は18日午後、出血性ショックで死亡した。

県立尼崎病院の船田理総務部長(57)は「できるだけの処置を行ったが、主張が認められず非常に残念。判決文をよく読み、控訴を含め、今後の対応を検討したい」と話してい る。

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31週帝王切開での脳性麻痺が、児の呼吸管理の不備のためとされた最高裁判決。
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以下 S.Y.’s Blog からのコピペです。
http://d.hatena.ne.jp/shy1221/20060207#p5
<帝切障害訴訟>徳島県に1億円の賠償命令確定 最高裁

徳島県立中央病院で帝王切開して出産した子供が脳障害を持ったのは、医師の不適切な医療行為が原因として、大阪府の両親らが県に約1億5500万円の損害賠償を求めた訴訟 で、最高裁第2小法廷(今井功裁判長)は3日付で、県側の上告を棄却する決定を出した。請求を棄却した1審判決を変更し、県に約1億1300万円の支払いを命じた2審判決 が確定した。

2審・大阪高裁判決(05年9月)によると、母親は92年6月に同病院に入院、約3週間後に帝王切開を受けたが、男児は出生直後の呼吸不全が原因で脳性まひになった。1審 は病院側の過失を認めなかったが、2審は「肺機能が未成熟な段階(31週)の出産で、病院側には厳重に子どもの呼吸管理を行う注意義務があった」などと医師の過失を認めた 。【木戸哲】(毎日新聞) - 2月6日18時44分更

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『妊娠中毒症の妊婦の死亡が予見可能であったとする判決。
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病院に約7700万賠償命令 出産時母親死亡で千葉地裁
06/07/25 記事:共同通信社

千葉県いすみ市の病院で女児を出産した母親=当時(38)=が死亡したのは病院側の処置が遅れたのが原因として、遺族が約7900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、千 葉地裁は24日、病院側の過失を認定、約7700万円の支払いを命じた。

判決理由で小磯武男(こいそ・たけお)裁判長は「医師には母親が重度の妊娠中毒症との認識があり、死亡は予見可能だった」と指摘した。

判決によると、母親は2002年10月28日、いすみ市のもりかわ医院に入院。重度の妊娠中毒症で頭痛を訴えていたが、翌29日に意識を失い、転院先で出産後に脳内出血で 死亡した。

もりかわ医院の森川義郎(もりかわ・よしろう)院長は「到底納得できず、即刻控訴したい」としている。』

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「医療事故、交通事故より慰謝料高額に」東京地裁判決 (藤山判決です。)
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http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060726i413.htm
長野県軽井沢町が運営する国保軽井沢病院で2003年10月、帝王切開で男児を出産後、出血性ショックで死亡した女性(当時32歳)の遺族が、死亡は手術ミスが原因だった として、同町と産婦人科担当医に約1億8180万円の賠償を求めた訴訟の判決が26日、東京地裁であった。
藤山雅行裁判長は、「担当医は女性の症状から腹部からの出血を疑うべきだったのに、診察をしなかった」などと病院側の責任を認め、同町などに計約7250万円の支払いを命 じた。
訴訟では、医療事故の慰謝料を交通事故より高額にすべきかどうかが争点の一つとなった。
民事裁判では、医療事故は交通事故と同じ人身事故に位置付けられ、慰謝料も同じ基準になる例が多いが、判決は「患者は医師を信頼して身を委ねており、信頼を裏切られたこと による精神的苦痛が生じるため、慰謝料は交通事故よりも高額になる場合がある」と指摘。
その上で、交通事故のケースに約300万円を上乗せした2700万円を慰謝料として認め、将来の収入(逸失利益)などを合わせ計約7250万円を損害額とした。
原告側の弁護士は、「医療事故の慰謝料の方が交通事故よりも高くなりうると一般的に示した判決は珍しい」と話している。

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横浜市側が1億円支払いで和解 横浜市立市民病院損賠訴訟
06/12/28
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社
ID:434418


横浜市立市民病院損賠訴訟:市側が1億円支払いで和解----控訴審 /神奈川

 横浜市立市民病院(同市保土ケ谷区)で生まれた女児(9)が重い脳性まひになったのは「帝王切開が遅れたのが原因」として、女児と両親が市側に賠償を求めた訴訟は27日、東京高裁の控訴審で和解が成立した。市側が和解金1億円を支払う。1審の横浜地裁は7月、市に1億670万円を支払うよう命じ、市が控訴していた。

 市の原正道・病院経営局長は「事件発生後、年数が経過してきており、被控訴人からの早期和解の申し出などを踏まえて和解に応じた」とコメントした。【鈴木一生】

投稿者 akiuchi : 04:54 PM

日本の医療は効率的で安全だ

日経メディカルオンラインに「日本の医療は効率的で安全だ」という興味深い論文が掲載されている。これは血栓症に関して内科の先生が書き込んだものだが論文中の小見出しを読むとそのまま「日本の周産期医療は効率的で安全だ!」と常々私が考えていたことと一致してくる。欧米の医療がベストで日本の医療はレベルが低いと知ったかぶりをしている連中には再考を促したい。
マニュアル重視の米国医療、職人的な日本の医療>産科医は確かに職人だ
日本では医師も患者も安全についてとても敏感>確かにお産の安全なシステムを考えることは一番重要なことなのだがともすると根拠のない安全幻想が一人歩きしているところもある。
日本の医療の良さは医学教育から>情熱を持って医師としての産科学(医療)についてその魅力を語れる教育者がいないのではないか?
いったん失えば再構築は困難>養老養老孟司先生も講演会の中で生物を殺してはいけない。そのシステムをもう一度構築することはできないからという話をしていた。

【年末スペシャル2006 第7回】2006. 12. 26
日本の医療は効率的で安全だ
東海大内科系助教授 後藤 信哉氏
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/kikou/200612/502161.html

 アテローム血栓症に関する大規模な前向き観察研究として、日本を含む44カ国で実施されているREACHスタディの1年目の結果から、日本は欧米に比べ、心血管死など重大な心血管イベントと、入院を要する重篤な出血性合併症が共に半分以下という実態が明らかになった。「この結果は日本の医療の優れた特質がもたらした」。国内外の循環器系学会で、こう主張し続けているREACHスタディの主査の一人、東海大循環器内科助教授の後藤信哉氏に聞いた。(編集部)


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ごとう しんや氏。1986年慶應大卒、同大助手を経て、2002年東海大内科学系助教授。専門は循環器内科学、血栓止血学。
 REACHスタディ(囲み記事を参照)に登録された患者のプロフィルを見ると、冠動脈疾患、脳血管疾患、末梢血管疾患のいずれについても、日本人の方が欧米人より登録時の年齢は高くなっていました。動脈硬化疾患は一般に高年齢ほど進行することを前提とすると、日本人の方が心血管死亡率は世界の他の地域よりも高いと想定されます。ところが実際に、登録後1年の時点における心血管死亡率は欧米に比べて大幅に低かった点が特徴でした。

 登録された患者の背景は欧米と日本では、肥満が日本人に少ない以外には大きな相違はありませんでした。高血圧や高脂血症は日本人でやや少なく、糖尿病はやや多いものの、大きな差ではありません。また、心血管死亡以外のイベントについてみると、非致死性脳梗塞の発症率は日本と欧米で有意差がありませんでした。心筋梗塞の発症率も欧米よりも有意に低いものの、(日本は欧米の)8割程度でそれほど大きな違いは見られません。日本人は欧米人に比較すると出血しやすいと言われておりましたが、入院しなければならない出血性合併症の発症率はむしろ日本人において欧米の半分と低いことも分かりました。

マニュアル重視の米国医療、職人的な日本の医療
 日本と日本以外ではどこが違うのでしょうか。遺伝的な相違、生活様式の相違など、考えられる要因は多数あります。私は臨床医の一人として、日本人医師の敏感な感性と優れた医療システムの役割を重視すべきと考えています。心筋梗塞を予防することが証明されているアスピリン、スタチンともに、日本人に対する使用率は欧米より低いにもかかわらずイベントが少ない理由として、本当に必要な人に対して医師が選択して使用している、と解釈するのは都合が良すぎるでしょうか。

図1血栓.bmp

図1 日本と他国(主として欧米)におけるアテローム血栓ハイリスク者の投薬状況(REACHスタディのベースラインデータから)
 診療ガイドラインが強調される前から、米国ではワシントンマニュアル、メルクマニュアルといった医療マニュアルがあり、マニュアルに準拠した治療の重要性が医学生にも強調されてきました。ハリソン、セシルなどの内科の教科書をみても欧米では治療の部分が重視されているのが分かります。

 これに対して、日本では伝統的に病態生理、薬効薬理などの教育が強調されてきました。日本の医学教育を受けた医師は、病態生理、薬効薬理の知識に基づいて、患者さんごとに病態に基づいた個別の治療選択をする傾向があるのではないでしょうか。料理の本を読んで調理しても、料理人の感性がないとおいしい料理はできません。クックブック(マニュアル、ガイドライン)的な米国式医療に対して、職人的な日本医療の利点を示したのが今回の結果とは考えられないでしょうか。この人は大丈夫そう、この人は危ないなどと個別に考え、投薬間隔を調整するといった措置を行うきめ細かな治療は、世界に誇るべき日本の医療の伝統であると私は思っています。

日本では医師も患者も安全についてとても敏感
 何となく、日本より欧米ではいい医療が行われていると思いがちですが、欧米では輸血や入院が必要な出血性合併症が年間1%前後に発生しています。日本だったら入院を要する出血が100人に1人の割合で起こる治療は受け入れ難いでしょう。出血イベントで入院しなければならないとしても、「それは輸血で乗り切れます。それより心筋梗塞や脳梗塞になったら大変でしょう」という損得勘定の割り切りは日本では難しいのではないかと思います。

図2血栓.bmp

図2 日本と他国(主として欧米)におけるアテローム血栓症ハイリスク者の心血管重大イベントと出血性イベントによる入院の比較(REACHスタディ1年目の結果から)
 日本では、医師も患者も安全性にとても敏感です。医師は自分が行った治療で悪いことが起きないように注意しつつ、最大限の効果を狙うため、努力しています。この努力が結果として安全性の高い医療が実現しているのだと思います。

 各学会は、マニュアルやガイドラインなどを相次いで策定し、医療の均質化を実現しようとしています。米国のように(医師や医療機関によって)医療の質に大きな差があれば、ガイドラインに準拠した医療を行うことは、全体を引き上げる効果があるでしょう。しかし、日本の医師は熱心で優秀で均質なので、あえてガイドラインを作っても、医療の質を全体として向上できるかどうか、疑問が残ります。特に、現在のように、日本から臨床研究データが発信されておらず、ガイドラインに取り込まれる臨床データの大半が欧米人のデータという状況では、ガイドラインの作成、使用には十分な注意が必要だと思います。

 抗血栓療法は出血リスクという対価の下に抗血栓というメリットを得る治療です。出血を最小限にして、最大の抗血栓効果を得るベストの用量は、個人や民族、居住地域ごとに異なる可能性が高いと思います。日本からの情報発信ができる体制を作らないと、ガイドラインによって、日本人にベストでないバランスが強調されるという恐れがあると思います。

 「武士は食わねど高楊枝」と、商人の損得勘定を低く見ていた日本では、損得勘定に基づいた治療という考え方を容易には受け入れない社会的背景があります。実際、患者さん側も治療による損を受け入れないような傾向がありますね。これが大きなプレッシャーになって、出血が少なく血栓も少ないという絶妙なバランスをとった医療が行われているのでしょう。

 個々の医師の努力、患者サイドからのプレッシャー、頻繁に医療機関を訪れることができる保険制度、と日本の医療環境には世界に誇れる部分が多くあります。医療機関に患者さんがあふれ、外来の待ち時間が長いといったネガティブな面は確かにありますが、世界で一番長寿になっているのは丁寧な医療が行われているということでもありましょう。ネガティブな部分を改善する努力とともにポジティブな部分を残す努力、今の医療のいい部分を社会が褒める努力も大切だと思います。

日本の医療の良さは医学教育から
 こうした日本の優れた医療は、明治以来、連綿と行われてきた医学教育に原点をたどることができると私は考えています。米国の医学教育は、早くから実際の医療現場に参加して、クリニカル・クラークシップを通してマニュアル的な医療を学びます。しかし日本では、少なくとも今までは基礎医学、特に病態生理を重視してきました。とかく批判されがちですが、基礎研究成果を上げて教授などの高位の教員となっているものが多いのも日本の特徴です。マニュアル的な医療ではなく、薬効・薬理や病態に強い教員に教育された医師は薬効薬理、病態生理に基づいた個別治療をできる能力を有するようになっているわけです。

 卒後教育必修化により、卒後直後の大事な時期に一般病院で研修する方が増えてきました。その結果として、薬効薬理と病態生理に強いという今の日本の医師の世界に誇り得る資質を維持できるか、われわれは注意深く見て行く必要があると思います。

 日本にエビデンスがなかったのは、個々の医師が言語化できないような情報に従って、「なんとなく危なそう」などと感性に基づいた医療をしてきたため、数値化しにくかったのだと思います。しかし実態を調査してみれば極めて良質でコストエフェクティブな医療が行われていると言えます。

 このような内容を海外で話すと、しばしば、「日本人の遺伝的素因ではないか」などと反論されます。しかし、ホノルル・ハート・プログラムなどでも明らかなように、ハワイに移住した日本人は心血管疾患死が増えています。そこには、栄養的な要素だけではなく、医療の要素もあったのではないかと思っています。「データのクオリティに問題があるのではないか」という指摘もありましたが、今回のREACHスタディではフォローアップ率も高く、質の高い、信頼できるデータベースであると信じております。同じようなJ-TRACE、EVERESTという日本国内の前向き研究も始まっており、今後に期待できます

いったん失えば再構築は困難
 日本の医療は、「3分間診療」などと揶揄(やゆ)されますが、欧米に比べて余分なことをしていないのだろうと思います。例えば米国では、「徴候なし(ネガティブファインディング)」という情報を必ず記載します。しかし、日本の医師ははじめからポイントだけを目指し、ネガティブファインディングは記載しません。効率がいい医療を実現しています。

 これは日本の医師の感性が優れているのだと思います。あえてネガティブなことを聞かなくても診ただけで通じるということなのかもしれません。

 無作為化二重盲検試験だけがエビデンスではありません。あらかじめきっちりエンドポイントを定めた前向き観察研究による国際比較は、日本の医療の優れた部分を評価するためにとても重要でした。やってみて初めて理解できたと言えます。

 日本の医療の優れた面は、いったん失ったら取り戻すのは不可能です。効率的な医学教育・医療システムは明治以来の先人が築いた大切な宝物です。ちょっとあちらの方がよさそうだからといって十分に考察せずに捨てるようなことがあってはならないと思います。マスメディアが医療を取り上げる時はネガティブな面を取り上げることが多いのは残念です。

 私を含め、多くの医師は献身的な、真剣な、まじめな医療を全力で実践しています。日本の医療の真の姿を、ポジティブ面を含めて公正に評価することが必要です。ヒトはネガティブに扱われるよりもおだてられた方がよく働きます。日本の医師に対してもマスメディアが褒めて、褒めることによりさらに今以上に一生懸命に働くように誘導した方が国全体としても得が大きいと思います。

 日本の医療の良さは感性ですから口に出して伝えにくく、失ったら再構築は困難です。今、医療教育を担っている人々がいなくなったらもう取り戻せません。いい部分を大切にしていきたい、日本にはいい部分がたくさんある,ということに対する一つの実証として今回の研究成果を扱っていただければと思います。

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REACH研究の概要

 REACH(The Reduction of Atherothrombosis for Continued Health)スタディは、アテローム血栓症リスクを持つ患者のイベント発生と治療状況を調査する国際前向き観察研究で、44カ国5473人の医師の協力を得て、2003~2004年にかけて6万8375人を登録、2年間の追跡が行われている。既に2年間の期間延長が決定しており、少なくとも4年間の追跡が実施される。日本からは5193人が登録された。全世界の1年目の結果は2006年3月に米国で開催された米国心臓学会(ACC)で、同じく全世界の2年目の結果は2006年9月にスペイン・バルセロナで開催された世界心臓病学会議(WCC/ECC)で発表された。日本の1年目の結果は、2006年9月に鹿児島で開催された日本心臓病学会で報告されている。(編集部)

図3血栓.bmp

図3 REACHスタディの選択基準
 


投稿者 akiuchi : 09:46 AM

December 27, 2006

日本外科学会声明(福島県立大野病院の医師逮捕・起訴の件)

日本外科学会が声明(福島県立大野病院の医師逮捕・起訴の件)を発表した。


声明


 平成16年12月に福島県の県立病院で腹式帝王切開術を受けた女性が死亡した事例について、本年2月に手術を担当した医師が業務上過失致死および医師法違反の罪で逮捕され、さらに起訴された件に関して、同じく手術を業とする外科医の立場から意見を述べます。
 まず始めに、この件で亡くなられた患者様、及び愛するご家族を亡くされ悲しみの中におられるご遺族に心から哀悼の意を表します。
 この地区の病院唯一の産婦人科医として誠心誠意診療に当たっていた医師に対して、調査委員会が報告書を作成し、県としての処分も終えているにもかかわらず、「逃亡のおそれ」「証拠隠滅のおそれ」を理由として逮捕勾留し、より良い医療を行おうとする医師の善意と患者のための自由な医療を踏みにじる検察当局に抗議の意を表します。このことがひいてはリスクの多い外科系臨床科に属する医師の減少をもたらし、また患者のための真の医療から自己防御のための医療へと変化させ、また全国への公平な地域医療の分配をも不可能にさせて、日本の医療の荒廃をもたらしかねない事に我々は警告を発したいと考えます。
 この件で問われた医師法21条による異状死の警察届出をめぐって、医療界、法曹界において混乱が続いています。混乱の第一の原因は、「異状」という言葉の曖昧さにあります。いまだ「異状」について所轄官庁から責任ある回答が見出せない状況で、医療の現場は、死因が明らかに特定できる場合を除き、過失の有無を問わず、疾患そのものによる死亡も合併症による死亡も全て警察に届出なければならないということになってしまいます。そして、全ての届出案件につき警察権力による介入が為されるとすれば、医療現場が医療知識のない警察権力の介入により撹乱され、国民のための真の医療から自己防御のための医療へと医療が荒廃してしまうおそれが多分にあります。
 混乱の第二の原因は、「所轄警察署への届け出」という制度の政策的な不合理性にあります。医療機関における死亡について、解剖を含めた死因解明が適時適切に行われることの必要性については、論を俟たないものですが、現状において、「所轄警察署」には診療経過を的確に評価する機能が整備されているとは言い難く、死因解明のための制度基盤の整備が急務であります。さらに、医師法21条の警察届け出の行われた事案のうち刑事立件されるものは一部にとどまるとはいえ、現実の運用においては、届け出直後から刑事訴追を念頭においた事情聴取が行われるため、医療の透明性をめざして自らの医療行為に関し説明に赴いた医師が、最初から「被疑者」の如く扱われ、かえって過大な負担と苦痛を課するに至っています。警察に届け出後、司法解剖が行われることとなった事例においては、捜査の秘密として司法解剖の結果さえ医療機関にも患者様ご遺族にも知らされず、医療事故再発防止に役立たないだけでなく、医療従事者が何年にもわたって徒に刑事処罰の不安に慄く実情があります。
 この混迷の底流に医療不信があるとするならば、我々は自らの姿勢を医療の原点に立ち戻し、医療が真に患者様の利益になるように医師としてのプロフェッショナリズムの確立に努力したいと考えます。現在我々日本外科学会は外科系関連学会とともに医療の透明性、公正性を求めて、中立的専門機関として厚生労働省の「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」を日本内科学会、基盤17学会とともに実施していますが、これをさらに発展させて、国民のために質の高い公正な医療が行われるようになるように努力するものであります。さらに現行の医療の現場に歪みをもたらしている医師法21条を正すべく、努力を続ける所存であります。


平成18年12月19日     


社団法人日本外科学会   
会長 門 田 守 人   

投稿者 akiuchi : 09:16 PM

December 26, 2006

「どうする?日本のお産」ディスカッション大会ファイナル

本田宏先生がブログで「どうする?日本のお産」ディスカッション大会ファイナルに参加してきたという報告を書き込んでいる。私も参加したかったのだが本田先生の行動力には脱帽する。来年は私も日本のお産のために少しでも役に立ちたいと考えているのだが・・・

どうする?日本のお産

「どうする?日本のお産」ディスカッション大会ファイナルのグループディスカッション。全国から手弁当で集まった参加者が熱い議論を交わしました。(2006. 12. 25)
 12月17日(日)に都内で開催された「『どうする?日本のお産』ディスカッション大会ファイナル」に参加してきました(大会ホームページはこちら)。前日夜に医療制度研究会の幹事会兼忘年会があり、少し疲労気味でしたが、現在、医療崩壊が特に深刻な産科医療に関するディスカッションですので、頑張って参加してきました。

 ディスカッションの初めに、主催者のお一人である産婦人科医の早乙女智子さんから、以下のような講演がありました。

 今年は、産科医の逮捕をきっかけに「産科医を辞めたい症候群」が流行した。そしてお産が安心してできない状況が昨年よりもさらに悪化し、「出産難民」が顕在化した。

 今大会は、今年5月の横浜での第1回を皮切りに仙台、京都、札幌、愛知、高知などで開催され、今回のファイナルで9回目を迎えたが、延べ800人以上の参加者を記録した。激務のためか勤務医の参加は少なめで残念だったが、各地でたくさんのお母さん、助産師さん、そして政治家、行政担当者、メディアの方々などの参加により、とても有意義だった。

 「また産みたい」と思うお産は、「安全で安心で楽しい」ものであるべきだ。安全を保つためには、医療だけでなく関連領域を含めた政策が必要だ。さもないと医師・助産師の労働条件改善も困難で、お母さんと医療関係者の信頼関係構築も不可能だからだ。今後は医療関係者だけでなく、お母さん、お父さん、それぞれの立場で知るべきこと、できることを考えて実行していく活動も必要だ。

 国や行政には、医療費増やシステム改善などを望む。やっと行政も重い腰を上げて無過失補償制度などが検討されるようになってきた。

 そして「今後もこの会の活動を続けて元気をもらいたい」と締めくくられました。この講演の後、フロアから活発に意見が出されました。その中から、いくつかをご紹介します。

○札幌から参加した女性産科医--北海道の状況も厳しいが、この大会が札幌で開催された時にテレビで報道されて、稚内などでお産の体制が守られた病院もあった。

○東京都内のお母さん--大きな病院の産科閉鎖に対して、存続を求める会を作って病院や区に対して働きかけをしている。

○高知県のお母さん--高知でこの大会が開催された後に、担当医に対して「ありがとう」カードを手渡す運動を始めた。なぜなら医師は、看護師さんや助産師さんと違って、「ありがとう」といわれる機会が少ないと聞いたから。

○茨城県の産科医--茨城県では分娩医療機関が少なかったが、県民の声と熱心な産科医の存在で、お産ができる病院が増えた。

○島根県の元内科医--現在、産科に転向し、多い時で月10回の当直をこなしている。産科でうれしいのは、新しい生命が生まれる素晴らしさを感じられること。一方で一番残念なのは、担当した赤ちゃんが亡くなることだ。

○福島県の助産師--個人医院に勤務しているが、周囲の病院が廃業し、年に200人だったお産が500人に増加した。さらに近くの公立病院でも産科がなくなる可能性がある。産科医は寿命が短いと聞くが、自分が知っている産科医も50~60歳代で倒れる人が少なくない。自分もお産が好きで24時間連続で働いてきたが、好きでやっている人に頼ってきた体制が問題だ。

○浜松市の産婦人科医師--医師になって30年、開業して20年、年間お産を500~600件担当しているが、いいお産をしてもらおうと思うと、寝ないで頑張らなければならない。しかし、これから医師になる人や助産師、看護師に、このような労働条件を押し付けるわけにはいかない。

○高知県のお母さん--高知で助産専門学校がなくなると聞いて、その存続活動を開始した。お産に必要な助産師さんの育成がしっかりとできるように働きかけていきたい。


 午後は小グループに別れて「安全に安心してお産するには、仕事するには」、「助産師が役割を発揮するには」、「産む力、育てる力をつけるには」などのテーマで話し合いました(写真)。

 最後に各自が「私の宣言」を書いて自ら何か行動することを約束して、閉会となりました。全国から手弁当で集まった人々が、熱心に日本の産科医療をよりよいものにするために議論をしているのが印象的でした。

 現在、医療崩壊が叫ばれ、医療者の一部には諦めに似た雰囲気さえ漂っています。しかし、今こそ医療者と患者さん、さらにメディアや行政が互いに理解を深め合い、共通の目的に向かって智恵を出し合うことが必要な時なのです。

投稿者 akiuchi : 07:11 AM

December 25, 2006

元日医総研の石原謙愛媛大 医療情報学教授の意見

朝日新聞、12月22日号、私の視点に、元日医総研の石原謙愛媛大 医療情報学教授の意見が掲載された。「混合診療」「株式会社」は日本の医療を駄目にするのだろうか?少なくとも今の日本の医療が欧米よりもましな状態にあることは間違いない。それは医療人の犠牲の上に成り立っているのだがそこについてはマスコミも政府も触れない。医療人が逃げ出す前にしっかりした対策をとらなければ日本の医療は崩壊する。.

スライド
http://www.hiroshima.med.or.jp/kenisikai/video/2004/1120/slide.pdf

投稿者 akiuchi : 05:21 AM

December 24, 2006

まず隗より始めよ

医療系のMLに現在の医師不足を解決するには「まず隗より始めよ 」ということを厚労省の役人または政治家に理解させなければならないということが書かれていた。今現在いる人材の労働条件を良くして有効に使えということらしい。確かにわれわれ産婦人科を始めとして小児科、麻酔科、救急医などが冷遇されている現状を改めないと人材は集まらない。

まず隗より始めよ

一般的には「まず身近なことから始めよ。また、物事は言い出した者から始めよということ」の意味で使われています。ところが原義は全然と言っていいほど違っていることは漢 文のお好きな先生には周知のことでしょうし、詳しい辞書には触りの部分は出ています。

出展(戦国策)にあたると、紀元前に記されたことなのに、現代においても全く色褪せない深い智恵に感嘆します。そのまま引用すると長いので、略してみると・・・

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内乱に乗じて斉に攻め込まれて敗れた燕の国を立て直そうと新たに即位した昭王は、国力を回復させるために賢者を招こうと考え、自国の郭隗を訪ねて相談した。

隗は、
「帝者たる者は師とともに、王者たるものは友とともに、覇者たるものは臣とともに、亡国者たるものは僕役(奴隷)とともにあります。自ら謙虚に膝を屈して賢者から学ぼうと すれば、自分の百倍の才を持つ者がやってきます。相手より先に働き始め、あとから休み、相手の意見を聞くようなら自分の十倍の才能を持つものがやってきます。しかし、椅子 に腰掛けたまま杖によって流し目で指図するようなら雑役人がやってきます。もしも怒りにまかせて叱責するようなら奴隷のような者しか来ません。」

昭王は、「では、いったい誰を訪ねればいいのですか」と問い返した。

隗が答えるには、
「誠に士を致さんと欲せば、先ず隗より始めよ。隗すら且つ、つかえられる。いわんや隗より賢なる者をや。あに千里を遠しとせんや(本当に賢人が欲しいのなら、まず隗より始 めよ。隗ごときの者が厚遇されるのであればと、さらに優れた人材が自ら千里の道程も遠いと思わずにやってくるでしょう)」

昭王は隗のために立派な邸宅を築き。師として仰いだ。それを聞いた諸国の賢人がぞくぞくと燕の国に集まってきた。

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優秀な人材が欲しければ、まず自分(既存の人材)を優遇せよ、ということです。

昭王を、厚生労働省あるいは国民に読み替え、人材を小児科医、麻酔科医、産婦人科医、救急医に読み替えてください。

燕 (春秋)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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燕(えん 紀元前1100年ごろ - 紀元前222年)は中国に周代、春秋時代、戦国時代に渡って存在した国。戦国七雄の一つ。河北省北部、現在の北京を中心とする土地を支配した。首都は薊(けい)。


戦国時代中期の北方目次 [非表示]
1 歴史
1.1 燕の建国
1.2 燕の興隆
1.3 燕の滅亡
2 外部リンク


[編集] 歴史

[編集] 燕の建国
燕の始祖は周建国の元勲である召公奭(召の公である奭の意 しょうこうせき)(奭は大の字の両脇に百)である。しかし周代初期の燕については解らない事が多く、実際には召公の建てた国ではないのではないかとの説もある。

春秋時代の燕については史書には記述が非常に少ない。北方の山戎に攻められた時に時の君主・燕の荘公は隣国の覇者・斉の桓公に援軍を乞い、山戎軍を撃退したことがあった。この戦いの後、燕の荘公は桓公に感謝の意を表する為に斉まで桓公の軍を送っていった。その際に軍は燕と斉の国境を越えて斉国内に入ってしまっていた。その当時の通念上、自国まで軍を見送らせることができる者は、天子(いわゆる周王)しかおらず、それについて時の名宰相・管仲に指摘された桓公は一部自領を切り取って燕に授けたという。これにより桓公は諸侯の信頼を集め、益々名声をあげたとされている。記述が少ないのは、燕と中原との間に周に服属しない民族が多数いたために情報が届かなかったためと思われる。

戦国時代に入り、紀元前323年に王(左飛)を名乗るようになった。二代目王の噲(檜の偏を口に変えた字)は宰相の子之を盲信し、堯舜に倣うと言って禅譲を行い、これにより国内は騒乱状態となった。ここに斉が付けこみ、兵を出して侵攻し、一時は滅亡状態となった。その後、太子平が子之を倒して、斉軍も撤退したので、太子は即位して昭王となった。なお太子平は子之に殺されたという説もあり、昭王は趙の武霊王が擁立した公子職という説もある。


[編集] 燕の興隆
昭王は燕を亡国寸前まで追い込んだ斉を深く憎み、いつか復讐したいと願っていた。しかし当時の斉は秦と並んで最強国であり、燕の国力では非常に難しい問題であった。昭王は人材を集める事を願い、どうしたら人材が来てくれるかを家臣の郭隗に聞いた。郭隗の返答は「まず私を優遇してください。さすれば郭隗程度でもあのようにしてくれるのだから、もっと優れた人物はもっと優遇してくれるに違いないと思って人材が集まってきます。」と答え、昭王はこれを入れて郭隗を師と仰ぎ、特別に宮殿を造って郭隗に与えた。これは後世に「まず隗より始めよ」として有名な逸話になった。郭隗の言う通りに燕には名将楽毅・蘇秦の弟蘇代など続々と人材が集まってきた。これらの人材を使い、斉包囲網を形成し、紀元前284年に楽毅率いる五ヶ国連合軍が斉軍を大破し、更に楽毅は斉の首都臨淄を陥落させ、莒(キョ)と即墨を除く斉の都市を占領した。

一躍、表舞台に躍り出たと思った燕だが、昭王が死に、子の恵王が即位すると楽毅を疑って趙に走らせてしまった。占領していた斉は楽毅がいなくなると田単によってあっという間に取り返された。


[編集] 燕の滅亡
その後は秦が圧倒的に強勢となり、紀元前228年に趙が滅ぼされると、燕は直接秦の圧力を感じる事になった。この状況を覆そうと太子丹は秦王政に対して荊軻と言う刺客を送ったが失敗し、激怒した政に燕は攻められて、首都は陥落した(紀元前226年)。太子丹は殺され、王は遼東に逃れたが、紀元前222年に秦の王賁将軍に攻められて王が捕虜となり、燕は滅んだ。

燕都・薊城の遺蹟は北京市宣武区に所在する

投稿者 akiuchi : 10:46 PM

December 22, 2006

奈良県大淀病院の産科閉鎖

奈良県の大淀病院の一人医長は心身ともに疲れきって退職の道を選んだのだと思う。本当にこんな状況に追い込まれている産科医を国や国民は放置しておいて一体どういうことになるのか想像力を働かせてほしい。助産師の代わりは看護婦でもできるが産科医の代わりは助産師にはできないのだということがどうしてもわからないようだ。残念としかいいようがない。「少子化」対策とは名ばかりの無駄な政策が多すぎる。この国の未来はどうなるのだろう?
**************

http://www.nhk.or.jp/osaka/lnews/01.html

今年8月、奈良県大淀町の病院で、妊婦の容体が急変し、ほかの
病院に次々に受け入れを断られた末、大阪の病院で死亡した問題
で、この奈良県の病院が来年3月いっぱいで出産の扱いを取りや
めることになり、県南部で出産を扱う病院がなくなることになり
ました。

奈良県大淀町の町立大淀病院で、今年8月、高崎実香さん(当時
32)が出産中に意識不明になり、ほかの19の病院に受け入れ
を断られて大阪の病院まで運ばれ、出産後に脳内出血で死亡しま
した。町立大淀病院では常勤の医師1人とほかの病院から派遣さ
れている非常勤の医師2人のあわせて3人で、年間150件ほど
の出産を扱っていますが、関係者によりますと死亡した高崎さん
の出産にあたっていた常勤の医師が退職する意向を示したという
ことです。
病院は、ほかに常勤の医師を確保するめどが立たないことから、
来年3月いっぱいで出産の扱いを取りやめ産科を休診にするとい
うことです。
退職の意向を示している医師は、「産科のスタッフが少なく、肉
体的に負担が大きい」と理由を説明しているということですが高
崎さんの死亡がきっかけであることも関係者にほのめかしている
ということです。
奈良県内には出産を取り扱う病院が26ありますが、県北部に集
中しており、これによって県南部で出産を扱う病院がなくなるこ
とになります。

投稿者 akiuchi : 02:47 PM

とちぎ地域医療/「国立栃木」が分娩縮小/常勤医減、休止も視野/塩谷総合は年末で休止

12月14日の下野新聞のトップ記事。栃木県内の周産期医療崩壊がいよいよ本格化してきた。果たしてこの事態を収拾する術があるのだろうか?来年は大変なことになると覚悟しなければならない。

とちぎ地域医療/「国立栃木」が分娩縮小/常勤医減、休止も視野/塩谷総合は年末で休止/県、実態把握へ
2006.12.14 朝刊 1頁 第1面 (全987字) 
 宇都宮市の国立病院機構(NHO)栃木病院が、来年四月以降の分娩(ぶんべん)対応の大幅縮小を決定し、八月以降の休止も視野に入れていることが十三日までに分かった。矢板市の塩谷総合病院も今年末での休止を決めた。(3面に関連記事)


 県内では今春以降、分娩対応の休止に踏み切ったり、休止を検討する医療機関が相次いでいる。こうした医療機関が対応してきた分娩件数は、年間およそ計千五百件に上る。受け皿になる医療機関は限られており、さらに休止が続出すれば県内産科医療が危機的状況に陥る恐れがあることから、県も実態把握に乗り出した。

 分娩対応の休止はいずれも「新医師臨床研修制度」に伴う産科常勤医不足が主因だ。宇都宮地区では今春、宇都宮社会保険病院が産婦人科診療を休止。NHO栃木病院が休止すれば、同地区の三中核病院のうち分娩ができるのは済生会宇都宮病院だけになる。

 NHO栃木病院によると、現在四人の産婦人科常勤医が、派遣元の大学医学部による人材引き揚げで、来年八月からは一人になる。

 同病院は年間約五百件の分娩対応をしてきたが、常勤医減に伴い、来年四月から七月までの分娩は月約十件に絞り込む。八月以降は分娩に対応できる体制ではないとして、分娩の予約を受け付けていない。

 山崎晋病院長は八月以降について「常勤医を現在のように確保し、これまで通りお産を継続することは困難」と言及。十六人いる助産師の機能的登用や、近隣の中核病院との連携強化で事態の打開を図りたい考えだ。

 一方年間約百件の分娩に対応してきた塩谷総合病院は今月末で休止する。産婦人科常勤医が今春、一人減の二人になりながらも継続してきたが、安全対策などの面から「責任ある医療提供が困難」と説明している。

 日本産婦人科医会の野口忠男・県支部長は「現段階ならかろうじて別の施設で吸収できるかもしれないが、状況が深刻化すれば県内で分娩できる体制が損なわれることもあり得る」と指摘。

 県医事厚生課は「まずは実態を正確に把握することが必要だ」として、情報の収集と分析を急いでいる。


 ◇ズーム◇ 新医師臨床研修制度


 医師に幅広い診療能力を身に付けさせる目的で、2004年4月に導入された。国家試験合格後2年間かけ、基本的な7分野を数カ月単位で回る。今春で一巡したが、制度を機に大学に残る研修医が減り、人材不足になった大学が市中病院に派遣していた医師を引き揚げている。


下野新聞社

投稿者 akiuchi : 08:08 AM

産科医不足、大阪の都市部でも深刻 分娩制限相次ぐ

この記事の中で「年500件を扱ってきた診療所のオーク住吉産婦人科(西成区)も同4月にお産を休止する。」と紹介されているオーク住吉産婦人科のホームページにお産を休止する理由が掲示されている。今回の内診問題の影響が大きかったようだ。栃木県内でも医療機関が一番多い宇都宮市内でお産の取り扱いを止める施設が続出して大変なことになってきた。内診問題がなくても年齢的にお産から撤退する個人開業医が目白押しである。来年は本当に大変なことになりそうだ。センター化、集約化でこの危機的状況を打開できると考えている現場を知らないお役人は大馬鹿者だ。本当にいったいどうなるのだろう?

産科医不足、大阪の都市部でも深刻 分娩制限相次ぐ
2006年12月16日(関西・asahi.com)  
大阪のお産崩壊.jpg

 地方で深刻化している産科医不足が、都市部でも加速してきた。一施設あたりの産科医数が東京に次いで多い大阪でも、産科を閉める病院が続出し、残ったところは分娩(ぶんべん)制限が相次ぐ。大阪市内でお産できる病院は来春、23カ所に減り、3年前の4分の3。お産の場の連携・再編は待ったなしだが、予算も医師も不足しており、拠点病院に医師を集める「集約化」のめどさえ立たない。(久保佳子、阿久沢悦子)

 ●市民病院も制限

 地域医療の中核を担ってきた大阪市内の市民病院で現在、お産ができるのは市立総合医療センター(都島区)、住吉(住之江区)、十三(淀川区)の三つ。住吉、住之江、西成3区のお産の約2割、年約750件を扱ってきた住吉市民は9月、月二十数件と半分以下に絞る分娩制限を始めた。産科医3人が定年などで病院を去り、常勤医が3人になったからだ。

 麻酔科医も1人だけで、夜間の緊急帝王切開は産科医が自ら麻酔をする。中村哲生医師は「初めて聞いた人は驚くが、ここではずっとそうだ」。応援医を1人頼んでいるが、それでも月の半分近くは当直や自宅待機で夜間も拘束される。

 医師5人態勢の十三市民病院も女性医師の産休で1人減となった。淀川区内で唯一のお産ができる総合病院で、分娩数は年間約750件。出口昌昭・産婦人科部長は「市民に身近な公立病院として踏ん張ってきたが、これ以上、人が減れば分娩制限を検討せざるを得ない」。

 リスクが高い分娩も扱う総合医療センター。産科医6人で年900件のお産を診てきたが、周辺の産科廃止が相次ぎ、今年上半期は25%増のペースだった。来年から正常産の受け入れ上限を月45件から39件に減らす。合併症のあるハイリスク出産や緊急搬送の計50件の枠を狭めるわけにはいかないという。

 ●焼け石に水

 産科医が減り続ける中、大阪市は昨年8月、四つの市民病院にある産科を三つに再編。医師を住吉市民病院などに振り分け、5人以上の態勢を整えたが、わずか1年で崩れた形だ。医師らは「勤務が過酷な状態が変わらなければ再編しても効果が上がらない。焼け石に水だ」とこぼす。

 医師の負担軽減に向けて市が期待するのが、医師に代わって助産師が正常産を担当する「助産師外来」。今年11月に住吉市民病院に設置され、来春には十三市民病院にもできる。さらに今年5月には、当直の応援医確保のため、産科と麻酔科の当直単価を1回最高7万5千円と約3倍に引き上げた。ただ、常勤医の確保は困難な状況だ。

 ●深刻さ増す南部

 「安全にお世話できる受け入れ能力の限界に近づいております」。今月1日、民間の愛染橋病院(浪速区)のホームページに、来年3月まで新規の分娩予約を断る通知文が掲載された。産科医は8人。毎月約120件の予約分娩と10~20件の緊急搬送を受け入れている。分娩数は西日本一だ。

 だが、産科医1人の退職が決まり、補充のめどが立たないまま、産科を休止したほかの病院から移ってくる妊婦が相次ぐ。今月は予約だけで150件を超えた。村田雄二院長は「市内の『最後の砦(とりで)』として、すべてのお産を受け入れようと思ってきたが、医療事故が起きてからでは遅い」。

 来年3月、阪和住吉総合病院(住吉区)が分娩をやめ、市南部の4区にある病院の産科はすべて分娩を休止するか制限することになる。年500件を扱ってきた診療所のオーク住吉産婦人科(西成区)も同4月にお産を休止する。

 市は住吉市民を周産期医療の拠点と位置づけ、常勤医を6人以上に増やすとともに、老朽化が著しい建物を改築する考えだ。ただ、返済期限が迫っている市の病院事業の不良債務は約116億円。総務省は5年以内に解消しなければ、新規起債は許可できないとしており、先行きは厳しい。

 巽陽一・市医務保健総長は「お産状況の改善のためには、市内だけでなく、近隣都市を含めた産科医の集約化を考えなければならないだろう」と強調する。

オーク住吉産婦人科
http://www.oakclinic-group.com/info.html

分娩取り扱い終了のご案内

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 当院は、2000年の開院から、「産科のオーク」として多くの妊産婦様のご支持をいただいて来ました。しかし残念ながら、2007年3月末をもって、分娩の取り扱いを終了することになりました。これには、次の理由があります。

厚生労働省看護課長通知によって、看護師による分娩時の内診が禁止されたこと。
信頼関係のある患者様ばかりではなくなっていること。
産科医療のシステムが破綻しつつあること。
 日本中の多くの産科施設において、数十年も前から分娩時の内診は産科医の指示によって看護師が行ってきました。法文に明白な規定がないものの、当然に合法の診療行為とされてきました。しかし、平成16年になって、厚生労働省は突然「看護師による内診を禁止する」という通達を出しました。あまりに実状とかけ離れた通達であり、関係団体が再三にわたり撤回を申し入れたにもかかわらず、行政は指導を強行し、刑事事件にまでなっています。

 私どもは、プライベートのクリニックであり、信頼関係の築ける方においで頂きたいと考えています。私ども医師も看護師も、生身の人間です。失敗もしますし、もっと知識や技術を持つ医師や看護師が、他の病医院に大勢おられます。誠意を尽くし、全力を尽くすことだけが、私どもが患者様にお約束できる、唯一のことです。

 しかし、本当なら「よくしてくれた」と言われこそすれ、クレームを受けるいわれがない場合でさえ、「納得いかないから説明せよ」と激しい非難を受けることがあります。以前は、このようなケースは稀でしたが、最近、急増しています。近隣の病医院が産科を閉鎖していく中、仕方なく私どもを受診される方が増えているためだと思います。しかし、このままでは、当院も防衛的対策をとらざるを得ず、私どもの考える、信頼関係を前提とした安全な産科診療のスタイルを続けることが、困難になってきました。

 さらに深刻なことは産科医療のシステムが崩壊しつつあることです。ご存知のとおり、産科医、小児科医の不足で、緊急時の受け入れ先がなくなろうとしています。ここ半年ほどで、緊急搬送の受け入れを次々と拒否され、いくつもの病院に連絡をとらなければならないことが増えています。

 

  信頼を置いていただいているわけではない方に、何か起これば、刑事、行政罰の科せられる違法状態に置かれたまま、医学的リスクが更に高まっている産科の診療を続けることは、私どもにはできません。

 当院が分娩をやめることで、産科医療システムの崩壊が一層進むことになるかもしれません。しかし、医療機関へのあまりに理不尽な批判、制裁が相次ぐ中、私どもにはこれ以上の努力を続けることができず、苦渋の選択をしました。これまで、当院をご支援いただいてきた皆様には、誠に申し訳ございませんが、ご理解のほどをよろしくお願いします。

 今後、従来からのもう一つの専門分野である不妊治療、特に体外受精、顕微授精に、一層の力を入れることになります。培養ラボラトリーの拡張と設備、人員の増強を行い、体外受精センターを拡充します。入院設備を有することで、切迫流産や不育症の入院治療に対応が可能です。

 また、不妊症の大きな原因となる子宮筋腫や卵巣のう腫などの手術治療には、サージセンター(手術センター)を設置し、さらに積極的に取り組んでいく予定です。

 全身管理のできる重装備の設備と、充実のアメニティを生かし、オーク住吉産婦人科は、高度不妊治療センターとして生まれ変わります。皆様のご理解とご支援を賜りますようにお願い申し上げます。

 もちろん、ご予約の皆様につきましては、最後まで責任をもって診療させていただきます。ただ、上記の点をくれぐれもご理解いただいた上で、当院をお選びいただきますように、お願い申し上げます。予定日超過2週間までは、分娩誘発を行わず自然に経過をみるため、分娩のご予約をお受けできるのは、予定日が3月15日までの患者様となります。

 最後のお一人が無事にご出産を終えられるまで、現在の態勢を維持し、職員一同、全力を尽くす所存ですので、このまま当院でご出産予定の皆様も、どうぞご安心下さい。

医療法人オーク会
オーク住吉産婦人科
院長 中村 嘉孝



 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 

 


投稿者 akiuchi : 07:44 AM

December 15, 2006

[社説]医療事故調査委 信頼できる制度へ課題もある

確かにお産を扱う医者がもっとも恐れているのは訴訟だろう。医療事故調査委員会が一日も早く機能することを期待したい。

[社説]医療事故調査委 信頼できる制度へ課題もある 読売新聞 2006年12月14日(木)

 医療への信頼を取り戻すために、重要な取り組みだろう。
 厚生労働省が昨年9月から、モデル事業としてスタートさせた医療版の事故調査委員会である。事務局となった日本内科学会が実施状況をまとめた。
 調査委は病理解剖学などの医療関係者と法律家で構成し、診療中の不審死(医療関連死)の原因を調査する。1年余りの間に計36件の医療事故について検証に着手し、7件の報告書を公表した。
 このうち1件は、手術した医師の技術が未熟だったことが患者死亡の原因とし、当初は「問題なし」としていた病院側の調査結果をくつがえした。
 診療ミスとは認定しなかった他の報告書も、「患者急変時の連絡体制を整備すべきだ」「患者・家族にもっと丁寧な説明が必要だった」など、病院に対して厳しく改善点を指摘している。第三者機関として中立的と受け止めうる内容だ。
 モデル事業は、東京都、大阪府、愛知県など、6都府県と札幌市で行われている。だが、現状はまだ件数が少なく、正式な制度へと発展できるかどうかは未知数だ。実施地域を広げ、検証事例をもっと積み上げる必要があろう。
 医師が最善を尽くしても患者が命を落とすことはある。一方で、病院や医師のミスが原因で患者を死なせるケースもある。しかし、遺族が両者を見分けることは難しい。
 現在、中立的な調査制度がないため、病院側の説明に納得できなければ、遺族は民事訴訟を起こすか、警察に告訴するしかない。これでは、医師と患者の相互不信は募るばかりだ。
 医療に関係する訴訟は、2005年は999件に上り、10年前の2倍以上に増えた。こうした状況は、医師不足の一因ともなっている。訴訟リスクを恐れて分娩(ぶんべん)を手がける産婦人科医が減少していることは、その一例だ。
 調査委の調べで病院の責任の有無が分かれば、遺族は納得しやすい。裁判より速やかに、補償などの話し合いを進めることもできる。病院側も遺族とのトラブルを長引かせずに済み、再発防止の体制作りに迅速に取り組めるだろう。
 ただし正式な制度として確立するためには、課題も多い。
 仮に訴訟と同じ年間1000件が調査委に持ち込まれるとすれば、相当に多くの人材と費用がいる。中立性と権威のある人選も重要だ。
 調査報告書にどのような法的効力を持たせるか、刑事責任を追及する捜査当局との関係をどうするか、といった点も慎重な検討が必要になろう。

[読売新聞 ]

投稿者 akiuchi : 07:16 AM

December 14, 2006

<出産医療事故>産婦人科医の公判前整理手続き 福島地裁

いよいよ注目の裁判が来年1月26日に初公判を迎える準備が終了した。裁判所がしました6つの争点というものが何か?詳しい情報を知りたい。


<出産医療事故>産婦人科医の公判前整理手続き 福島地裁
12月14日21時6分配信 毎日新聞


 福島県立大野病院で04年、帝王切開の手術中に女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医、加藤克彦被告(39)の公判前整理手続きが14日、福島地裁で開かれた。裁判所は、6点を争点として示した。手続きは終了し、来年1月26日に初公判が開かれる。

投稿者 akiuchi : 09:46 PM

医師不足:解消対策、自治医大卒業生を活用 県議会地域医療特別委が提言 /栃木

栃木県は自治医大卒業生を小児科、産婦人科に誘導するという方針。強制ではなく魅力ある「産婦人科」でなければ後で自治医大卒業生を後悔させることになる。果たしてそれだけの魅力が今の産婦人科医療にあるか疑問。

医師不足:解消対策、自治医大卒業生を活用 県議会地域医療特別委が提言 /栃木
12月14日13時1分配信 毎日新聞


 ◇小児・産婦人科へ誘導
 今年3月に設置された県議会の地域医療・保健対策特別委員会が13日、報告書をまとめ、閉会した。報告書には、県内の小児科医、産婦人科医が不足している実情を踏まえ、自治医大(下野市)卒業医師に対する両科への誘導や地域医療への貢献を求める対応など、県側への提言が盛り込まれた。【関東晋慈】
 報告書によると、県内主要28病院の常勤医師数は、04年8月~06年同月の2年間で5・5%減少。中でも、小児科が49人から43人(12・2%減)、産婦人科は51人から45人(11・8%減)と10%以上減少し、減少幅が目立っている。
 現状を受け報告書では、医師育成策として、7割以上が内・外科に進んでいる自治医大卒業医に対し、小児・産婦人科への道を開いて誘導することや、授業料を免除する代わりに在学期間の1・5倍のへき地勤務の義務化や、卒業後も地域貢献を求める――などの対応を提言した。
 県医事厚生課は「来年度から、報告書の内容を盛り込む施策を検討したい」としている。一方、同大付属病院の島田和幸病院長は「これまで県は卒業医を外科へ勧める傾向があり、小児、産婦人科に進みたいという医師が道を閉ざされる恐れもあった。強制しない形で、提言を施策に反映させてほしい」と話した。
 同委員会は、県内の医師不足などの課題に対処するため、医療提供体制の整備に向けた調査研究を目的に設置され、計8回開催された。

12月14日朝刊

投稿者 akiuchi : 08:12 PM

December 08, 2006

「不可抗力的事故」と声明 福島の医療事故で医学会

産婦人科医不足、周産期医療崩壊を加速させることになった福島事件に関して日本医学会が声明を発表した。来年1月の公判の行方が注目される。検察側証人として法廷に出てくる産科医師は一説によるとN大学のT教授ということになっているようだが果たして真相は?

「不可抗力的事故」と声明 福島の医療事故で医学会
06/12/07
記事:共同通信社
提供:共同通信社
ID:415380

 福島県立大野病院で帝王切開を受けた女性が死亡し、執刀医が業務上過失致死と医師法違反の罪で起訴された医療事故で、日本医学会(高久史麿(たかく・ふみまろ)会長)は6日、「担当医が不可抗力的事故で逮捕されたことは誠に遺憾」とする声明を発表した。

 声明は、来年1月26日に福島地裁で開かれる初公判を前に発表。「担当医は懸命な努力をしたにもかかわらず、医師不足や輸血用血液確保の困難性などが不幸な結果をもたらした」とした上で「たまたま重篤な合併症や死亡事例に遭遇したことで逮捕されるようでは、消極的、防御的医療にならざるを得ない」としている。

 また各地で問題になっている産科医不足にも触れ「若い医師は事故の多い診療科の医師になることを敬遠しており、ますます医師は偏在する」と指摘している。

声明文-福島県立大野病院の医師逮捕・起訴に関して- 日本医学会(2006年12月6日)

平成18年12月6日

声明文

日本医学会長
高久 史麿

 本年2月,大野病院産婦人科医師が業務上過失致死と医師法第21条違反で逮捕されたことにつきまして,すでに多くの関連団体・学会から声明文・抗議文が提出されたことはご存じの方が多いと思います.
 事例は前置胎盤と術中に判明した予測困難な癒着胎盤が重なった事例であったと報告されています.この事例は担当医が懸命な努力をしたにもかかわらず医師不足や輸血用血液確保の困難性と地域における医療体制の不備が不幸な結果をもたらした不可抗力的事例であり,日本における医療の歪みの現れといわざるを得ません.地方や僻地では一人の医師が24時間365日体制で過酷な労働条件の中で日本の医療を支えています.過酷な医療環境の中で地域の医療に満身の努力をされ,患者側からも信望の厚かったといわれる医師が,このような不可抗力的事故で業務上過失致死として逮捕されたことは誠に遺憾であります.むしろ過酷な環境を放置し,体制整備に努力しなかった行政当局こそ,その非を問わなければならないでしょう.不可抗力ともいえる本事例で結果責任だけをもって犯罪行為として医療に介入することは決して好ましいと思いません.
 本事例は業務上過失致死のみならず医師法第21条違反にも問われております.この第21条は明治時代の医師法をほぼそのまま踏襲しており,犯罪の発見と公安の維持が目的であったといわれています.異状死の定義については平成6年の日本法医学会の異状死ガイドライン発表以来数多くの学会で論争が続いている問題であります.日本法医学会の「過失の有無に係わらず異状死として警察に届け出る」については,昨年9月にスタートした厚生労働省の医師法第21条の改正も視野に入れた「医療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」を含め,本件逮捕以降,政府・厚生労働省・日本医師会・各学会等関連団体で検討に入ったばかりであり,異状死の定義も定かでなくコンセンサスの得られていない医師法第21条を根拠に逮捕することは,その妥当性に問題があるといわざるを得ません.過失の有無にかかわらず届け出なければ届出義務違反で逮捕される.届け出たら重大な医療過誤が疑われ,業務上過失致死罪に問われる.医師は八方塞がりであります.純然たる過失のない不可抗力であっても,たまたま重篤な合併症や死亡事例に遭遇したことで逮捕されるようでは必要な医療を提供できず,大きな国家的・国民的喪失となります.消極的・防御的医療にならざるを得ず,このような逮捕は萎縮医療を促進させ,医療の平等性・公平性のみならず医療・医学の発展そのものを阻害します.若い医師は事故の多い診療科の医師になることを敬遠しており,ますます医師は偏在することになります.
 日本医学会は異状死の問題に関する委員会でこの問題を検討しますが,今回,大野病院産婦人科医師の公判が近々に始まることを契機として以下の学会から同様の要望が出ていますので,これらの要望をまとめる形で日本医学会から声明を発します.

日本整形外科学会
日本周産期・新生児医学会
日本消化器外科学会
日本超音波医学会
日本小児神経学会

投稿者 akiuchi : 05:39 AM

December 05, 2006

イギリスで病気になってはいけない

日本の医療システムは崩壊の危機を迎えているが厚労省や一部のお偉いさんが目指している(と思われる?)欧米型のそれが果たしていいのかというと、とてもそうとは思えない。日本には日本の地理・歴史・文化に根差した医療システムがあって当たり前なのにどうもそれが通用しないという苛立ちを最近よく覚える。イギリスに留学してこどもが川崎病を発症して苦労した小児科の先生が「こんなことだとは思わなかった!」というサイトでNHSの問題点を公開している。日本の医療システムが最高だとは言わないが少なくともイギリスよりはましなところが多いのは間違い無さそうだ。

こんなことだとは思わなかった!
http://www.geocities.jp/jgill37jp/
「かつての大英帝国」、「産業革命発祥の地」、「紅茶の国」、「ベッカムやダイアナ妃の出身地」、「ゆりかごから墓場まで」、「ロックとミュージカルの国」、「多くのノーベル賞学者を輩出した文化国家」...人によってイギリスという言葉から連想することは様々だろうが、多くの人は「日本よりも進歩した欧米諸国の1つ」といった好意的なイメージで捉えていることだろう。
 しかしひとたびイギリスで生活してみると、思い描いていたイメージと実際の姿とのギャップに戸惑わない人はいないのではないか?
 このサイトは医師でもある作者が3年間イギリス南部のサザンプトン(Southampton)に暮らしたあいだに体験したこと、感じたことを記載し、この期間に味わったカルチャー・ショックについてありのままに伝えることを目的としている。
                       by まさ

イギリスの暮らし
イギリスで病気になってはいけない 留学中に長女が大病を患った時の体験談です。
イギリスの病院に行ってはいけない
日本の医療は大丈夫?

イギリスで病気になってはいけない
留学中に長女が大病を患った時の体験談。
このHPのメイン・コンテンツです。
http://www.geocities.jp/jgill37jp/dates.html

イギリスでの妊娠・出産は安全か?
http://www.geocities.jp/jgill37jp/delivery.html

投稿者 akiuchi : 03:22 AM

小松秀樹先生・本田宏先生ダブル講演会

「医療崩壊」に関して現在注目の二人がいっしょに発言をする興味深い講演会が開かれるという。これは無理をしてでも出かけてご意見を拝聴してこなければならない。
http://www.docportal.jp/modules/news/article.php?storyid=5

お知らせ : 小松秀樹先生・本田宏先生ダブル講演会開催について
投稿者: webmaster 投稿日時: 2006-8-4 11:45:56 (78 ヒット)
小松秀樹先生・本田宏先生ご講演

1月13日 土曜日
安田生命ホール(新宿)17時~20時
http://meijiyasuda-life-hall.com/


座長 東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学 井上和男助教授
  (へき地・離島救急医療研究会幹事・世話人)


演題 「医療を崩壊させないために」


演者 済生会栗橋病院副院長 本田 宏先生(17:00~18:10) 

演者 虎ノ門病院泌尿器部長 小松秀樹先生(18:20~19:30)


参加ご希望の方へ

参加対象:医療に関心のある方

定員:280名    参加費:3000円

参加ご希望の方は、メディカルコンパスHPをご参照ください。

*280名に成り次第締め切らせていただきます。

*定員に満たない場合、1月10日(水)に最終の空き状況をHPでお知らせします。

投稿者 akiuchi : 02:27 AM

December 04, 2006

現場からの医療改革推進協議会 第一回シンポジウム

「医療崩壊」に関わるシンポジウムがあちこちで開催されるようになってきた。この「現場からの医療改革推進協議会」シンポジウムは東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム部門のスタッフが企画したようだが福島事件のサイト「周産期医療の崩壊をくい止める会」の事務局と同じスタッフが関わっているので今後の活動に期待したい。

東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム部門
現場からの医療改革推進協議会 第一回シンポジウム
http://plaza.umin.ac.jp/~expres/cgi-bin/wiki/wiki.cgi?page=FrontPage

「周産期医療の崩壊をくい止める会」
http://plaza.umin.ac.jp/~perinate/cgi-bin/wiki/wiki.cgi?page=FrontPage


現場からの医療改革推進協議会第一回シンポジウムを、2006/11/25, 26に東京大学医科学研究所大講堂にて開催致しました。ご参加を賜りました皆様、誠にありがとうございました。発表・討議内容スライド・動画音声を、MPmeisterで編集し、会員用ページにて掲載予定です。

パンフレット(発表抄録掲載)
表紙 PDFファイル(ダウンロード)

本文 PDFファイル(ダウンロード)

プログラム
PDFファイル(ダウンロード) HTMLファイル

日時:2006年11月25日(土)、26日(日)10:00~18:00
場所:東京大学医科学研究所大講堂
目的
 医療は医学を中心としたいくつかの社会のシステムを包含するため、医療現場における諸問題を解決するためには、医学関係のみならず政策、メディア、教育、等の異なる分野の有機的な連携が必須である。

 本シンポジウムでは、医療現場における問題事例を取り上げ、医療現場の主人公である患者とそれを直接支える医療スタッフたちが、現場の視点から具体的な問題提起を行い、その適切な解決策を議論する機会と場を創出することを目的とする。

発起人(50音順) 敬称略
海野信也(北里大学産婦人科 教授)、大嶽浩司(マッキンゼー・アンド・カンパニー コンサルタント)、上 昌広(東京大学医科学研究所 客員助教授)、亀田信介(医療法人鉄蕉会亀田総合病院 院長)、黒岩祐治(フジテレビ報道局 解説委員)、阪井裕一(国立成育医療センター手術・集中治療部 部長)、鈴木 寛(中央大学公共研究科 客員教授、参議院議員)、土屋了介(国立がんセンター中央病院 院長)、中田善規(帝京大学麻酔科 医療情報システム研究センター所長)、西田幸二(東北大学眼科 教授)、林 良造(東京大学公共政策大学院 教授)、舛添要一(参議院議員)、松本慎一(藤田保健衛生大学外科 教授)、森 勇介(大阪大学大学院工学研究科 助教授)、森澤雄司(自治医科大学感染管理学 助教授)、和田仁孝(早稲田大学大学院法務研究科 教授)

事務局
上 昌広、鈴木 寛

東京大学医科学研究所

探索医療ヒューマンネットワークシステム部門

〒108-8639 東京都港区白金台4-6-1

プログラム(敬称略)
11月25日(土)
10:00 開会の辞
林 良造 (東京大学公共政策大学院 教授)、土屋了介 (国立がんセンター中央病院 院長)、黒岩祐治 (フジテレビ報道局 解説委員)

10:30~12:00 日本の医療現場崩壊の実態
小松秀樹(虎の門病院泌尿器科 部長)、中田善規(帝京大学麻酔科 教授)、大嶽浩司(マッキンゼー・アンド・カンパニー コンサルタント)

昼食
13:00~15:00 市民のメディカル・リテラシーの向上、メディアの役割
①福島県立大野病院事件の報道

②オキサリプラチン、タルセバ-「NHKスペシャル シリーズ日本のがん医療を問う」

③討論

上 昌広(東京大学医科学研究所)、小林一彦(JR東京総合病院血液内科 医長)、黒岩祐治(フジテレビ)、鈴木 寛(参議院議員)、埴岡健一(東京大学医療政策人材養成講座 特任助教授)、戸矢理衣奈(アイリス)、川口 恭(ロハスメディア)、宗像 孝(フジテレビ)

15:10~16:40 未承認薬の問題
宮腰重三郎(東京都老人医療センター血液内科 科長)、Yong Sa Lim(RHC代表取締役社長)、押味和夫(順天堂大学内科学血液学 教授)、小野俊介(東京大学薬学医薬品評価科学講座 助教授)

16:50~17:20 日本の感染症問題
森澤雄司(自治医科大学感染管理学)

17:30~18:00 医療サービスと生活動線~がん治療をモデルとした新たな医療提供体制の研究~
上 昌広(東京大学医科学研究所)

厚生労働科研「がん医療水準均てん化推進事業」

共催 日本対がん協会

11月26日(日)
10:00~12:00 医療情報(EBMを越えて)
大澤幸生(東京大学大学院工学系システム量子工学専攻 助教授)、澤 智博(帝京大学麻酔科・医療情報システム研究センター 助教授)、中田善規(帝京大学麻酔科 教授・医療情報システム研究センター所長)、亀田信介(医療法人鉄蕉会 亀田総合病院)

昼食
13:00~14:40 小児科・産科の医療供給体制の整備
亀田信介(医療法人亀田総合病院)、阪井裕一(国立成育医療センター)、海野信也(北里大学産婦人科 教授)、足立信也(参議院議員)

14:40~15:20 提唱 患者学“Medicina Nova”
田中祐次(東京大学医科学研究所)

15:30~18:00 医療事故後制度改革:福島の事件をきっかけとして
①提案 和田仁孝(早稲田大学大学院法務研究科 教授)、岩瀬博太郎(千葉大学医学部法医学 教授)、上 昌広(東京大学医科学研究所) (「現場からの医療改革推進協議会」医療事故対応ワーキンググループ)

②討論

足立信也(参議院議員)、海野信也(北里大学産婦人科 教授)、鈴木 真(亀田総合病院産婦人科 部長)、仙谷由人(衆議院議員)、舛添要一(参議院議員)、鈴木 寛(参議院議員)

閉会の辞
鈴木 寛

*********
スタッフ
客員助教授 上 昌広

客員助手 田中 祐次

客員助手 松村 有子

リサーチフェロー 児玉 有子

リサーチフェロー 西村 有代

リサーチフェロー 堀米 香奈子

客員研究員 中村 利仁

客員研究員 久住 英二

客員研究員 日野 佑介


投稿者 akiuchi : 06:56 AM

December 01, 2006

農村で尽力・若月俊一先生逝去に思う

ちょっと古い話になるが今年の8月に逝去された佐久病院の若月俊一先生の印象を記しておきたい。私が佐久病院に初めて出かけていったのは1980年の夏。医学生向けの合宿に参加してそのまま12月から研修医として採用してもらって医師としての第一歩を歩み始めた記念すべき病院が佐久病院だった。産婦人科医の当直室に泊り込んで半年間。農村医学より国際保健志向が強かった私は結局自治医大を経由して国立国際医療センターへと移ってしまったがあの時の濃密な体験は今も忘れることはできない。病院をやめる挨拶をした時に若月院長にいわれた言葉は「ヒューマニズム」だった。すっかり私も老いぼれてあの当時の熱い思いは一体どこへ行ってしまったのだろうかとふと空しくなる。堕落したな~。医師不足、医師の偏在(都市集中)が問題にされる現在、僻地医療の領域で若手医師をひきつけた佐久病院の若月俊一先生の功績を再評価して日本の医療崩壊の防止に役立てなければならない。

**************
クローズアップ2006:誰もが受けられる医療を 農村で尽力・若月俊一さん死去 毎日新聞 2006年8月23日(水)

 ◇医師偏在が拡大、都市との格差深刻
 農村など地方の病院や、勤務の厳しい診療科で医師不足が深刻になっているのは、若い医師の都会勤務希望や激務を避けたいという要望が原因だといわれる。22日、「農民とともに」を合言葉に、戦後の地域医療や保健活動に尽力した長野県佐久市の県厚生連佐久総合病院名誉総長、若月俊一(としかず)さん(96)が、肺炎のために亡くなった。若月さんの活動を通じて、地域医療の現状と課題に迫った。
 「医学とは、人々の幸せと命を守るものだ」。若月さんは「実践医学」を訴えて、農村医療にまい進した。若月さんが設立した日本農村医学会の山根洋右(ようすけ)理事長は「誰もが身に着けている肌着のように、等しく受けられる医療の質の担保がその土台にあった。最低限の医療すら受けられなかった農民に、他地域と変わらぬ医療を提供した」と説明する。
 しかし、農村など地域医療の現場では、都市部との格差が新たな問題となっている。出産や緊急時の救急医療にも対応できない病院がある。地方や勤務実態の厳しい診療科を避ける医師が増えたことが主な理由だ。
 藤崎和彦・岐阜大教授(医学教育学)は「若手医師がさまざまな診療科を経験する臨床研修が(04年から)必修化されたことで、受け入れ態勢のしっかりした都会の病院に若手医師が集まり、地方の病院離れが顕著になった」と指摘する。
 国は農村や離島などへき地での医師不在を解消するため、1956年度からへき地保健医療計画を立てている。ところが、勤務先をえり好みする医師の増加で、今年度から5カ年を期間とする第10次計画では、へき地周辺部での医師の確保も課題になっている。
 このため、同計画では医師の確保法として▽へき地の医療機関における臨床研修の推進▽大学医学部で地域を指定した入学者選抜▽地方出身者に対する大学医学部の修学資金の貸与――などを挙げている。
 こうした状況について前沢政次・北海道大教授(地域医療学)は「若月先生は自ら地域に出ていった。時代は変わったが、医師と患者が同じ人間として作り上げる、若月先生が実践した農村医療の精神を、現在の地域医療にも生かしていくべきだ」と話す。
 山根さんによると、佐久総合病院と同様に、農村医療を支えてきた各地のJA厚生連経営の病院は、近隣の都市部の住民にとっても欠かせない地域医療の拠点として、病気予防の啓発や健診受診率アップなどに取り組んでいるという。山根さんは「農村医療を担ってきた病院は、その経験を踏まえつつ、都市と農村を一体にとらえた医療を進めるべきだ」と話す。【永山悦子、大場あい】
 ◇集団健診、評価高く--長野・旧八千穂村の高齢者ら
 若月さんが始めた旧八千穂村の全村健康管理で集団健診を受けた須田琴代さん(84)は22年前、初期の胃がんが見つかったが処置が早く、再発もせずに元気で過ごしている。「健診では自分の体の状態がわかるから、安心できる。悪いところがあれば病院にかかるよう手配してくれる」と話す。佐々木のぶ子さん(70)は、この健診の最初から受診している。「この地域では風邪くらいでは病院にいかない。だから、年1回の健診は健康状態を知る上で、欠かせない」とありがたがっている。
 芥川賞作家で若月さんの伝記「信州に上医あり」を描いた佐久総合病院の内科医、南木佳士(本名・霜田哲夫)さんは「若月先生は強烈な個性を持ち、いくつもの顔を持った人。周囲を啓もうして地域医療のために尽くした」と話す。【藤澤正和】
 ◇地域で実践、若手も育成
 「若月先生を慕って長野に集い、全国で地域医療を支える医師は多い」。若月さんを師と仰ぎ、地域医療に身を投じた諏訪中央病院の鎌田實名誉院長は、そうしのんだ。
 若月さんは東京帝国大医学部を卒業した後、戦時中の1945年3月に佐久総合病院に外科医として赴任した。当時は、農民たちも忙しさや貧しさなどで病院に通院したがらなかった。
 このため、田畑で使う牛車に医療器具を積み込んで周辺の村々を訪ね歩く出張診療を行った。医師が出かけて寄生虫駆除やけんしょう炎などを治療するこの「農村医療」を確立した。また、病院職員が演劇や人形劇をして、病気の予防知識を普及させるユニークな取り組みを行った。
 59年からは「予防は治療に勝る」として、近隣の旧八千穂村(現在は佐久穂町)の「全村健康管理」を実施した。15歳以上の村民を対象に、健康診断を実施するだけでなく、一人一人の健康台帳を作成。健診だけでなく、生活ぶりや環境要因なども記入した。さらに、村民に健康意識を持たせるため、各自が記入する健康手帳も取り入れた。
 この方式は、長野県全体に広がり、さらに全国のモデルになった。若月さんの考えを慕う若手医師は佐久総合病院に集い、80年に地域医療研究会を設立するなど全国各地で今も地域医療を実践している。
 鎌田名誉院長は「若月先生が実践した地域に出かけていく医療は住民の健康づくりを促すものだったが、その考えは今、日本が直面しているお年寄りを支える在宅医療にも生かされる」と話している。【山本建】
 ◇「象牙の塔」脱し、患者と向き合う--日野原重明・聖路加国際病院理事長の話
 若月先生は「象牙の塔」ではなく、在野で日本の農村医学を確立した。常に「実践」の人だった。大学で進められる理論中心の医療ではなく、患者と向き合う中でそのニーズにあった医療を作り上げていった。大学では学生運動が激しかった時代も、農村の医療を向上させようとする在野の若月さんの取り組みは中断することがなかった。
 若月さんは予防から治療、リハビリテーションまでの一貫した医学を作り上げ、この日本の農村医学は、世界でも注目されるようになった。また、人格的にも非常に優れた人で、若い人が若月先生の下に自然と集まり、佐久を農村医療のメッカに育てた。

[毎日新聞 ]

投稿者 akiuchi : 07:24 AM

November 30, 2006

本田宏先生の講演会

獨協医大の渡辺博先生から本田宏先生の講演会に関する情報を送っていただいた。弘前大学の先輩が何を発言するのか楽しみだ。
************

本田宏先生の講演会のお知らせ

日時: 平成18年12月8日(金)17:30分~

場所: 獨協医大創立30周年記念館関湊記念ホール

演題: 「なぜ医療崩壊が始まったのか、真実を知ることの必要性」

講師: 済生会栗橋病院副院長
    済生会栗橋病院外科部長
    NPO法人医療制度研究会代表幹事

    本田 宏 先生

学内・学外を問わず、ご聴講歓迎いたします (病院長より)。

投稿者 akiuchi : 07:46 AM

November 27, 2006

医療費抑制策、見直しを

「医慮崩壊」の小松先生も現在日本で進行している低医療費政策(一方で安全向上政策の強要)を批判しているがこれは小泉政権の負の遺産ということができるだろう。鎌田實先生のこれからの活動にも期待している。今井先生のあとをついで政治家になるお考えはないのであろうか?


[ポスト小泉を考える]医療改革 二木立氏、鎌田實氏 読売新聞 2006年9月13日(水)

 聖域なき改革を旗印に、小泉政権は、医療に効率と経済性を求め、医療費抑制を図った。一方、相次ぐ事故や地方の医師不足など、医療を巡る国民の不安は尽きない。今後の課題は何か。
     ◎
 ◆医療費抑制策、見直しを
 ◇二木立氏
 厚生労働省は8月末、2004年度の「国民医療費」が史上最高の32兆1000億円に達したと発表、新聞各紙は「医療費の膨張傾向」に警鐘を鳴らした。しかし、この年に日本の医療費水準、つまり国内総生産(GDP)に対する医療費の割合が、主要先進7か国中最下位になったことは知られていない。
 実は、主要先進国の中で医療費水準が一番低い国は、長らく日本ではなく、イギリスだった。しかし、小泉政権が厳しい医療費抑制政策を続けたのとは逆に、イギリスのブレア政権は2000年以降に医療費増加政策に転じ、国営医療の予算を着実に増加させた。その結果、2004年には日本が最下位に転落した。
 その上、小泉政権がこの間行った健康保険本人の3割負担化、高齢患者の1割負担化と「一定以上所得者」の2割負担化などにより、医療費の中の患者負担割合は急増し、主要先進国で最高になった。
 つまり、日本は小泉政権の5年間の医療改革により、医療費水準は主要先進国の中で最低だが、患者の負担割合は最高という、きわめてゆがんだ医療保障制度を持つ国になったのである。この間社会問題化した医療事故の多発、救急医療や産科・小児科医療の荒廃の背景には、このような「世界一」厳しい医療費抑制政策があると私は考えている。
 先の通常国会で重要法案中唯一成立し、小泉政権の「置きみやげ」と言える医療制度改革関連法は、健康保険法改正、老人保健法改正、医療法改正、介護保険法改正を含んだ大規模な制度改革である。これにより、公的医療費抑制のために、高齢者を中心とした患者負担の一層の増加と医療機関に支払う医療費の抑制が目指されている。
 この制度改革では、これ以外にも、医療費抑制の長期的対策として、生活習慣病対策と平均在院日数の短縮の二つが掲げられている。しかし、生活習慣病対策による医療費抑制効果を学問的に証明した研究は世界的にも存在しない。この点は、介護保険制度改革により目指されている介護予防による介護費用抑制についても同じである。
 平均在院日数の短縮のために療養病床を6割も減らし、有料老人ホーム等に転換することが目指されているが、これは公費・保険料から患者への長期療養費用の負担のつけ回しにすぎず、しかも退院する患者の受け皿を十分に整えないで療養病床の削減を強行すると、「医療難民」「介護難民」が大量発生する危険がある。逆にこの対策を十分に行えば、公的医療・福祉費の抑制効果はごく限られる。
 そのために、私は、国民皆保険制度を維持しつつ、医療の質を引き上げるためには、「世界一」厳しい医療費抑制政策を見直すことが必要だと考える。その財源としては、所得税の累進制の強化、たばこ税の引き上げ、消費税の引き上げ、および社会保険料の引き上げを適切に組み合わせる必要がある。
 ただし、この点に国民の理解と合意を得るためには、個々の医師・医療従事者と医療機関の自己改革も必要だ。加えて、医療・経営情報公開の制度化、医療の非営利性・公共性を高める医療法人制度改革、専門職団体の自己規律を強化する改革など、制度の改革も不可欠だと考えている。
     ◎
 ◇にき・りゅう 日本福祉大学教授。専門は医療経済・政策学。著書に「医療改革と病院」など。59歳。

 ◆悪化する現場、改善急げ
 ◇鎌田實氏
 日本の医療が危ない。小泉政権の5年間で、医療現場の環境が悪化している。産婦人科医の不足で自分の住んでいる町でお産ができなくなったり、小児科医がいなくなったり、少子化対策を叫んでいるのにおかしなことだ。
 長野県諏訪市で30年以上、地域と一体になった医療の実現に取り組んできた。地域医療の充実で、長野県の医療費は全国一低いといわれる。しかし、県内のある中核病院では最近、麻酔科医の不足で緊急手術ができなくなった。100床未満の地域医療を担ってきた病院の医師不足はさらに深刻で、救急外来の当直を組むのが大変になっている。
 日本は先進国の中で、対GDP医療費が極めて低い。それでも世界一の健康長寿国を実現できたのはなぜか。アメリカの同規模の病院に比べれば5分の1という少ない医師数で忙しく働き続け、医療の崩壊を防いできたのだ。
 勤務医の労働時間は週64時間、研修医は92時間、なんと150時間働く研修医がいた。ぼくが50歳で病院長引退を考えたのも、あまりの激務とストレスだったから。
 全国1200の医療機関で年間約18万3000件の事故につながりかねない「ヒヤリ・ハット」事例があったという。怖い話だ。医師や看護師が忙し過ぎるのだ。平均在院日数が短くなって、病棟の入院患者は重症化し、危険が増している。この5年間で、看護師不足も顕著になってきた。
 世界保健機関(WHO)が日本の医療は、世界一いい医療、と言ってくれても、国民は満足していない。本年1月、読売新聞が行った医療に対する世論調査にコメントを頼まれたが、49%の国民が日本の医療に満足していなかった。医療を受ける側も提供する側も不幸なのだ。これを改善するのは政治の仕事だと思う。
 だからといって、アメリカのように市場原理に医療を任せればいいのだろうか。アメリカでは自己破産の原因の第2位が医療費の負債。医療保険に入れない人が4000万人もいる。医療だけはアメリカを見習わないで欲しい。
 国民が納得、安心できる医療システムを構築する必要がある。まず、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均ぐらいに国民医療費をあげること。現在32兆円の医療費を34兆円に、2年後の診療報酬の改定時に増額できないだろうか。しかもこれを、国民負担を増やさず、経済の回復に水をささずに行いたい。
 新政権が政治的判断ですぐにできるものもある。巨額の予算が使われる事業の見直しや資金配分の点検だ。核燃料サイクル施設、ダム、新幹線など、対象とすべきものは幾つもある。
 国民負担は一銭も増やさずに、国民が望んでいるがん医療や小児救急、在宅医療などに、この2兆円を重点的に投入する。老後も、大病しても安心の国になる。そうすれば1400兆円以上の個人金融資産を持つ国民が、自分の人生を豊かにするためにお金を使い出し、日本経済はさらに良くなる。
 良い医療を国民は望んでいる。多くの医師たちも、患者さんの声をゆっくり聞いて、あたたかな医療をしたいと望んでいる。国民が安心できる医療システムをつくるのが政治の役割だと思う。新政権に期待している。
     ◎
 ◇かまた・みのる 諏訪中央病院名誉院長。内科医。国際医療援助にも詳しい。著書に「がんばらない」など。58歳。

 ◆国民が納得できる制度に
 小泉政権のもとで、医療が厳しく「改革」を迫られたのは、国民皆保険制度による「格差」のない医療が長く続き、コスト意識の希薄さや効率の悪さを重ねてきたことが一因ともいえる。人口の高齢化などが加わり医療費増加が深刻化したのだ。
 保険診療と自由診療を一緒に行う混合診療の解禁論や株式会社の医療参入論など、改革を求める議論は過熱したが結局、抜本的改革には至らなかった。WHOも世界一と評価した国民皆保険の平等な制度を、根本から変えることは不可能だと見なされたからではないか。現在の制度の良さは認めた上で、持続可能で良質な医療の提供体制をどう確保するか。それを丁寧に論ずることが、求められる改革の姿だと思う。
 深刻なのは、日本の医療が破たん、崩壊の瀬戸際にあることだ。地方の医師不足や医療安全などは、現場の努力で解決できるものではなく、医療の根幹にかかわる問題だ。医療費抑制政策の見直しを、という、二人の識者の一致した主張は重く受け止めるべきだろう。
 ただ、過剰だと指摘されてきた薬剤や検査など、省くべき無駄はもうないのかという点検も不可欠だ。患者負担は増える一方なのに、一向に安心出来ない医療、というのでは、国民は納得することはできない。(解説部 南砂)

 図=主なOECD加盟国の対GDP医療費

 写真=二木立氏
 写真=鎌田實氏
 写真=救急医療現場の医師たちの労働条件は過酷だ。産科、小児科などとともに医師不足の一因になっている(東京都内で)

[読売新聞

投稿者 akiuchi : 12:21 AM

November 26, 2006

大阪市大病院、青森県内医療施設で研修へ 臨床プログラム

大阪の大学生が青森県で本当に臨床研修を受けるようになるのであろうか?またその延長上に青森定着なんてことがあるのか?はなはだ疑問なのだがとにかく青森県は必死なのだと思う。


大阪市大病院、県内医療施設で研修へ 臨床プログラム 年内にも正式協定=青森 読売新聞 2006年11月25日(土)

 県内の過疎地域などにある六つの医療施設で来年度から、大阪市立大学医学部付属病院(大阪市阿倍野区)の臨床研修プログラムの一部が行われることになった。同病院と6施設の合意は9月に成立しており、年内にも正式に協定を結ぶ予定だ。県内の医療施設が県外の大学病院の研修先になるのは初めて。県内の深刻な医師不足を踏まえ、県医療薬務課は、「交流がきっかけになり、そのまま県内にとどまる医師が出てきてほしい」と期待している。
 同病院の臨床研修(2年間)では、1年目に内科や外科など、2年目に精神科や産婦人科、地域保健医療などを学ぶ。
 このうち、2年目の地域保健医療の研修(1か月)について、従来からの大阪府内の施設のほか、県内の国保大間病院とむつ総合病院、公立野辺地病院、佐井診療所、東通村診療所、深浦町国保関診療所の6施設が研修先リストに加わった。研修医は、府内の施設か県内の施設かを選ぶことができる。
 「専門性が高い大都市の病院では研修内容が偏りがちだが、過疎地での研修なら予防から介護まで幅広く地域医療を学ぶことができる」(卒後臨床研修センター事務局)という同付属病院の意向と、少しでも多くの研修医を受け入れて将来の医師確保につなげたい県の思惑が一致した形だ。
 同事務局が研修医45人に事前の聞き取り調査をしたところ、少なくとも2人が県内での研修を希望しているという。同事務局は、「地元に密着した医療活動を経験してきてほしい」と話している。
 また、県内の施設を研修先リストに加えるよう同付属病院に働きかけてきた石岡博文・県医育環境整備監は、「県外の大学病院との関係を深めていけば、弘前大学に加えて、新たな医師派遣元になることも期待できる」と話している。

 〈臨床研修〉
 医師国家試験に合格したばかりの医師に義務付けられている医療現場での研修。幅広い診療能力を身につけるため、内科、外科、小児科などを2年かけて経験する。

投稿者 akiuchi : 10:41 PM

November 20, 2006

小松先生の講演会

11月18日(土)、「医療崩壊-立ち去り型サボタージュ」の小松先生を宇都宮に招いて講演会を開催。東日本ホテルの会場は満員。内容についてはあとでメルマガ用に原稿をまとめたいと思っているがとりあえず大成功という企画。塩谷郡市医師会に所属してよかったなと思った。今回の講演会を開催に導いた尾形会長、山田先生に感謝。
同じ時間帯に開かれてた自治医大産婦人科同門会の集まりにも合流。産婦人科を取り巻く環境は日ごとに厳しさを増していることを実感。

投稿者 akiuchi : 04:51 AM

November 17, 2006

無資格助産:堀院長ら書類送検へ 神奈川県警

豊橋は起訴猶予ということになったが横浜は検察も面子があって猶予というわけにはいかなかったのだろう。これからの展開に注目!

無資格助産:堀院長ら書類送検へ 神奈川県警
 産婦人科病院「堀病院」(横浜市瀬谷区)による無資格助産事件で、神奈川県警生活経済課と泉署は来週にも、堀健一院長(78)や無資格助産に関与した准看護師ら計8人前後を保健師助産師看護師法(助産師業の制限)違反の疑いで横浜地検に書類送検する方針を固めた。8月の家宅捜索で押収した資料や関係者の事情聴取などから、堀院長の方針で長年、組織的に無資格助産を繰り返していたと判断した。

 調べでは、堀院長らは03年12月29日午後、同県大和市の実家から通院していた初産の女性(当時37歳)が出産する際、准看護師2、3人に産道に手を入れてお産の進行状況をみる内診をさせるなど、助産師資格を持たない准看護師や看護師が常態的に助産行為をしていた疑いが持たれている。

 この女性は出産時に大量出血し、04年2月に死亡。夫からの通報で、同課は今年8月、同容疑で堀病院を家宅捜索し、過去3年分の分娩(ぶんべん)記録を押収した。勤務表や分娩記録を照合した結果、病院内に助産師がいる場合でも、助産師が分娩室で助産をするケースはほとんどないことが分かった。

 同課の事情聴取に、堀院長は「(1959年の)開業当初から准看護師らに内診をさせていた。違法と知っていた」と容疑を認めていた。報道陣には、助産師不足や偏在化が問題と主張したが、同病院は助産師を積極的に募集せず、数少ない助産師には主に産後指導などを担当させ、助産行為はさせていなかった。

 堀病院は年間出産数約3000人で全国最大規模。ホームページでは「出産数日本一」とうたい、今年は11月1日までに2695人が出産した。

毎日新聞 2006年11月17日 3時00分

投稿者 akiuchi : 11:24 AM

November 16, 2006

医療事故と医師の刑事責任

産経新聞の社会部長はまともに医療のことを考えているようだ。彼とゆっくりと意見交換をしたという大学病院の関係者の説得によるものだと思われるが今の医療人に必要なのはこのようにマスコミ関係者を敵視せずに味方に引き込むことだろう。
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【記者が読む 社会部長 飯塚浩彦】医療事故と医師の刑事責任 産経新聞 2006年10月28日(土)

 ◆再発防止へ、まず専門家が解明を
 1カ月ほど前、ある大学病院の関係者とゆっくり意見交換をする機会があった。そこで問いかけられたのが「マスコミは医療事故をどのような視点で伝えようとしているのでしょうか」ということだった。大学病院で働く医師たちの間では「医師はそれぞれ患者を助けるために頑張っているのだが、最近は『結果責任』を追及される風潮が一段と強まって、現場が萎縮(いしゅく)してしまっている」というのだ。
 おりしも、その直後に、徳洲会宇和島病院(愛媛県)を舞台にした臓器売買事件や大淀町立大淀病院(奈良県)の妊婦死亡事故、京都大病院の脳死肺移植患者の死亡事故など、医療をめぐる大きなニュースが相次いだ。
 さきの大学病院関係者たちに衝撃を与えたのは、今年2月、福島県立大野病院の産婦人科の医師が逮捕された事件だったという。医師は平成16年12月、帝王切開手術中に胎盤をはがした結果、妊婦を大量出血で死亡させたとして業務上過失致死罪で逮捕、起訴され、新聞やテレビでも報道された。
 「いつ何時、急変するかもしれない産科医療の特殊性が理解されていない。24時間休まる暇もない過酷な環境のまま放置され、最悪の結果を迎えたとたん、その医師個人に刑事責任まで押し付けられるというのはいかがなものでしょうか」と大学病院の関係者は首をかしげる。「このままでは、ますます産科の医師のなり手がいなくなり、さらに分娩(ぶんべん)施設が減るという悪循環に陥ってしまいますよ」。
 こうした現象は、産科に限らず、小児科や麻酔科でも起きているという。
 医療過誤によって、患者が亡くなったり、大きな後遺症が出た場合、医師の責任を追及したいという遺族や家族の気持ちは痛いほどわかる。
 かつて医療をめぐるトラブルは民事裁判で解決するというのが主流だった。ところが最近は、遺族らからの訴えで警察が動くというケースも目立つ。
 ただ、どこまで医師個人の責任を追及するかは難しい問題だ。海外では、医師が故意に患者を傷つけようとしない限り、原則として刑事責任は問われない国もあるそうだが、日本では、医療現場での刑事責任がどこまで問えるか明確な基準はない。平成11年、保育園児ののどに突き刺さった割りばしが脳まで達していたのを見落とした医療事故では、業務上過失致死罪に問われた杏林大病院の元医師に今年3月、無罪判決が出たように、個々の事例ごとに司法判断に任せているというのが実情だ。
 医療現場に警察が介入して、善意の医療が、結果次第で「医師の犯罪」として扱われることは、国民医療のためにプラスになるとは思えない。むしろ、なぜそのような医療事故が起きたのかを医療の専門家が解明し、再発防止に役立てることに力を入れる方が重要ではないだろうか。もちろん、そのためには、医師や病院が情報を正直に開示することが前提だ。

[産経新聞 ]

投稿者 akiuchi : 07:53 PM

生き残り賭けた経営戦略 全体の7割が「赤字病院」

自治体病院の経営が厳しい以上統廃合によるリストラも止むを得ないと思うが病院の代わりに地域に密着した診療所が住民の健康を守るということはできないのだろうか?われわれ産婦人科医は24時間急患を含めて診療に当たっているのだが小児科をはじめとして他の診療科で同じようにすることは無理なのかもしれない。そういう意味では産婦人科もいつまで診療所が今の体制でやっていけるのか心許ないとも思う。

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生き残り賭けた経営戦略 全体の7割が「赤字病院」 通年企画「明日の医療」<3>
06/11/14
記事:共同通信社
提供:共同通信社
ID:366122

 なぜ、病院や診療所がコンビニを入れたり、病院食の改善に乗り出すのか。その背景には医療機関としての生き残りを賭けた経営戦略がある。

 全国公私病院連盟と日本病院会による2005年運営実態分析調査(約1200病院が回答)によると、総費用が総収益を上回った「赤字病院」が全体の67%もある。

 「1円でも収入を増やしたい」と思う気持ちに、国公立と私立の病院開設者(経営者)の間に差はみられない。

 特に深刻な経営難に見舞われているのが、都道府県や市町村が運営する自治体病院。631病院のうち黒字は72病院(11%)にすぎず、残り559病院(89%)が赤字。一般財源からの繰り入れなどが恒常化している。

 なぜ、自治体病院の経営が苦しいのか。日本医師会役員は「職員の給与水準が民間より高すぎることも一因だ」と指摘する。

 茨城県は、県立病院の関係職員約700人(医師除く)の給料を3年間で段階的に3-7%削減する方針を決め、11月1日から実施に入った。

 一方、自治体関係者は一様に「民間病院なら絶対に手を出さない不採算部門の医療を自治体病院が担っていることが最大の要因だ」と反論する。

 自治体病院は全病院9000余の1割程度にすぎないが、へき地医療拠点病院の約7割、基幹災害医療センターの約6割、小児救急医療拠点病院の約4割を占め、不採算の医療を多く担っている。

 さらに病院経営にとって逆風が吹きやまない。最大の収入源である診療報酬が今年4月から平均3・16%(薬価含む)引き下げられたのをはじめ、産婦人科医や小児科医などの慢性的な不足、入院日数の短縮など経営環境は厳しさを増している。

 こうした状況の下、自治体病院でも生き残りを賭けた対策が次々と打ち出されている。

 医療機関の多い地域では、公立病院の統合・再編をはじめ、民間病院への運営委託、採算の合わない診療科の廃止や縮小など。市町村合併に伴う統合・再編も目立っている。

 問題は住民サービスの低下。公立病院が統合され、遠い病院まで通院を余儀なくされたなど患者から不満や不安が出始めている。

 「病院が黒字になっても、患者の病状を悪化させるようでは医療とは言えない」と地域医療研究会の会員は言う。患者のニーズと医療の効率化をどう両立させるのか、真の医療制度改革はこれからだ。

投稿者 akiuchi : 06:50 PM

November 08, 2006

2006.11.06 下野新聞 産科セミオープンシステム

栃木県でも産科の廃止が病院・診療所で急激に進んでいるのでセミオープンというシステムも必要になってくるのだろうが地域住民に果たして支持されるかどうか?
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とちぎ地域医療/産科機能の分業制導入/医師不足で県が検討/開業医 妊婦健診/中核病院 危険な出産/医療機関 連携を強化
2006.11.06 朝刊 1頁 第1面 (全915字) 
 県内中核病院で産婦人科が一時休止に追い込まれるなど産科医不足の深刻化を受け、開業医と連携する中核病院とが分業する「産科セミオープンシステム」の導入に向け、県が検討に乗り出すことが五日までに分かった。開業医に妊婦健診までは最低限担ってもらい、母子に危険が伴うような「ハイリスク出産」などに病院が専念できるような機能分化を推し進める。「新たな産科医確保は難しく、県内の出産を支えている病院と診療所の効率的な連携を目指したい」(県保健福祉部)考えだ。


 同部によると、県内で産婦人科を掲げる医療機関は、病院十五カ所と診療所八十七カ所になる。しかし産科医の高齢化やお産をめぐる訴訟リスクの高まりなどで、「診療所の中には産科をやめて妊婦健診もしていないところもある」という。

 今年四月には宇都宮社会保険病院が産婦人科の常勤医二人の退職で、同科を一時休止した。

 県が検討する産科セミオープンシステムは、開業医の出産撤退の傾向に歯止めをかけ、病院に押し掛けていた妊婦健診には対応してもらい、病院勤務医の負担を軽減。ハイリスク出産は設備が整った中核病院に集約化することで、安全性を高める分業の仕組みだ。

 国は医師配置の集約化・重点化を打ち出しているが、「病院経営や患者の利便性から一病院への医師集約化は非常に難しい。病院の医師配置は換えずに、診療所を含めた医療資源を有効活用することで県内の出産を支えることができる」(同部)としている。

 一方、医療法に基づいた県内五つの保健医療圏別に見ると、県西保健医療圏(日光市、鹿沼市、西方町)は病院と診療所を合わせても産婦人科を掲げる医療機関は七カ所しかなく、最も少ない。

 このため昨年一年間に生まれた赤ちゃんのうち同圏域内の出産は五割にとどまり、二割が隣の宇都宮市で出産している。

 先の県医療対策協議会では中核病院の産婦人科部長が、「手足になる若い医師はいても頭脳になる中堅医師が足りない。具体策を考えてほしい」と厳しい現状を訴えた。

 具体的な検討は対策協の産科部会で十一月中にも始まる。県保健福祉部は「現在の保健医療圏の枠組みを超えたセミオープンシステムづくりも議論になる」としている。


 [表あり]産科セミオープンシステム


下野新聞社

投稿者 akiuchi : 03:13 PM

本田宏先生のブログ;アンガージュマン

日経メディカル・ブログ;本田宏の「勤務医よ、闘え!」が暑い!
11月6日は日本の病床数過剰説(欧米の4倍)の嘘を暴いている。
11月7日は勤務医に医師会への参加を呼びかけている。
アンガージュマンというのはサルトルの言葉でフランス語で社会参加を意味するそうだ。(知らなかった)
なぜ今頃サルトルという忘れられた思想家の名前が出てくるのか良くわからないが勤務医のみならず若い開業医も医師会の活動はダサいから敬遠するというような傾向があるが年寄り連中に舵取りを任せているととんでもない方向に自分たちも連れて行かれるのだということに気づかなければならない。
政治活動から若者が遠ざかって久しいがそろそろ若者が政治に戻ってこないとこの国は大変なことになりそうだ。産科医療の崩壊は日本沈没の前兆現象だということをみんなが認識すべきだと思う。そのために私もアンガージュマンを目指したいと思う。

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2006. 11. 6
「日本の病床数過剰」説のトリックを明かす
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/honda/200611/501761.html

2006. 11. 7
勤務医のアンガージュマンを求める
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/honda/200611/501782.html

投稿者 akiuchi : 02:18 PM

夜間助産師学校

果たしてこの夜間学校が開業産科医の助産師不足を救えるのだろうか?
私は看護師による内診に違法性はないという主張を通すべきだと思うのだが?
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初の夜間助産師学校、水戸に来春設立 看護師20人受け入れ

 産科診療所の看護師が働きながら助産師資格を取得できるように、全国初の夜間助産師学校が来年4月に水戸市内に設立される見通しとなった。水戸市医師会が同医師会立看護学校の校舎を利用して設立する。教育期間1年で20人を受け入れる。
 診療所の助産師不足を解消するため、日本産婦人科医会が全国の医師会に、夜間学校の設立を働きかけており、水戸市のケースが第1号となった。同医会は「これをモデルに全国に広げ、今後10年間に6000人の助産師を養成したい」としている。
 厚生労働省によると、国内には現在、約2万6000人の助産師がいるが、約7割は大病院に集中している。個人開業の産院では助産師不足から、看護師による違法な助産行為が広く行われていると指摘されている。今年8月には横浜市の産院が、今月も愛知県豊橋市の産院が、看護師に助産行為をさせたとして、保健師助産師看護師法違反の疑いで摘発された。
 看護師が助産師になるには、6か月以上の専門教育を受け、国家試験に合格する必要があるが、今ある助産師学校はすべて全日制で、働きながら通える夜間学校はない。

[読売新聞 ]

投稿者 akiuchi : 01:40 PM

November 03, 2006

本田宏(寄稿)

医師不足と安全性についての論考

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[論点]医療事故防止 医師不足の解消が急務 本田宏(寄稿)
読売新聞 (1388文字) 2005年7月8日(金)


「日本医療機能評価機構」が4月、半年間に大学病院や国立病院などから報告された医療事故について、重大なもの533件、うち死亡83件だったと発表した。今後、さらに事例を分析し、再発防止に役立てるという。
米国の「医療の質委員会」が1999年にまとめた報告書「人は誰でも間違える--より安全な医療システムを目指して」は、「人間はどんな仕事でも間違いをおかす。間違うことが難しく、正しくすることがやさしい、といった設計をしておけば、間違いは防げる」と指摘している。
例えば、腸に入れる栄養剤を間違って血管に入れないよう点滴の管の接続部の形状を変えたり、投与する薬を医師と看護師でダブルチェックするなど、事故防止のためのシステム改善には、日々取り組んでいかなければならないのは言うまでもない。
だが、一線の現場からみると、安全のために一番肝心な点が、見落とされているように思われる。それは、年々進歩し複雑化してきた医療レベルに、対応できるマンパワーが少ないということだ。
98年、厚生省の「医師の需給検討会」は、将来的に医師が過剰になり、医療費を増大させる恐れがあると報告した。それを受けて、医学部定員は抑制されている。現在、厚生労働省の検討会が、「医師の需給」について見直しを進めているが、地方の医師不足や病院勤務医の過重労働が大きな問題になっているこの期に及んでも、医師不足は偏在によるのか、総数の不足によるのかを議論している段階にとどまっているようだ。
日本の医師が不足しているかどうかは、先進各国と比較すると、はっきりする。経済協力開発機構(OECD)加盟各国の医師数を人口10万人当たりで比較したデータでは、加盟国の平均は70年に約130人だったのが、2000年には約290人に増えている。この間、日本では約110人から190人程度にしか増えておらず、加盟30か国中26位だ。医師が集中しているとされる東京でさえ、10万人対では約270人で、OECD平均を下回っている。
この医師の絶対数不足こそが、無医村はもちろん、地方都市での産婦人科医不在問題、また全国的な小児科・救急・麻酔科・病理医不足などの原因だ。国立がんセンターでさえ、麻酔科医の確保に四苦八苦しているという。
人員不足の中、多くの病院勤務医は厳しい労働条件に置かれている。月に数回の当直日には、朝から夕方まで働いて、そのまま翌朝まで救急外来や入院患者をこなす。当直明けも夕方まで通常通りの勤務だ。
病院側が夜間診療をやめるか、当直明けの休みを与えればいいのだろうが、そうしたら日本の医療現場は回らなくなってしまう。疲れた医師が日常的に診療する構図が、医療の安全に大きな影を落としてきたのである。
財政赤字の中、少子高齢化で急増する医療費が問題視されている。だが、医療現場のマンパワー不足という問題を考慮に入れないまま、医療費を抑制するとしたら、医療サービスの質の低下や、医療事故発生のリスクを高めることにつながるだろう。
大勢の尊い命が失われたJR西日本の脱線事故では、過密ダイヤや日勤教育の問題点が指摘された。医療でも交通でも、人の命に影響を与える職種には、事故につながらないような安全な労働環境を整えることが何よりも必要だ。

◇ほんだ・ひろし 済生会栗橋病院副院長 弘前大医学部卒。外科医。医療制度研究会幹事。51歳。
写真=本田宏氏

[読売新聞 ]

投稿者 akiuchi : 03:55 PM

栗橋病院・本田副院長=埼玉

本田宏先生の活動に注目!

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医師不足訴え全国行脚 講演依頼殺到 栗橋病院・本田副院長=埼玉
読売新聞 (844文字) 2006年8月28日(月)

 ◆今年すでに30か所 「危機的状況伝えねば」
 医師不足に苦悩する医療現場の現状を知ってもらおうと、済生会栗橋病院(栗橋町)の副院長で外科医の本田宏さん(52)が全国で講演活動を続けている。今年だけでも約30か所の講演会などに招かれ、「日本は医師の絶対数が不足している」と訴えた。本田さんは「人口に対する医師数が全国で最も少ない埼玉県で働く私が、この危機的な現状を伝えなければという思いだ」と話す。
 本田さんは、弘前大、東京女子医大を経て、1989年に外科部長として栗橋病院に着任。がんなどの手術を担当する傍ら、医師らによるNPO法人「医療制度研究会」を発足させ、休日には全国各地の講演に出向いている。
 社会問題になっている医師不足について、本田さんは「国は医師の偏在が問題としているが、本当は絶対数の不足が問題。早急に医師を増やす以外に解決策はない」と指摘する。OECD(経済協力開発機構)加盟国では、人口1000人当たりの医師数は平均2・9人だが、日本は2・0人。その中でも埼玉県は1・29人と全国最低(2004年医師・歯科医師・薬剤師調査)。
 特に病院の勤務医不足は深刻で、本田さんは「若い医師が精も根も尽き果てるような働き方をしているのが今の病院の姿だ」と指摘する。
 栗橋病院の医師は50人弱だが、米国では同じベッド数の病院に370人の医師がいるとされ、「患者は専門性を求めるが、マンパワーが不足する中では質を保つことも難しい」と語る。
 ユーモアを交え、現状や課題をわかりやすく伝える本田さんのもとには昨年以降、東北や九州など全国から講演依頼が殺到している。本田さんは「命を守る医療を良くするのは、医師の社会的責任。時間が許す限りどこにでも出かけ、医療現場の状況を伝えていきたい」と話している。
 本田さんはホームページ(http://www009.upp.so‐net.ne.jp/kikara/h/)で、医療相談の掲示板も設けている。

 写真=医師不足の現状を全国で訴える済生会栗橋病院の本田宏副院長

[読売新聞 ]


投稿者 akiuchi : 03:50 PM

September 28, 2006

現場から:堀病院事件こう考える 

「現場」というのは記者の取材現場のこと、24時間本当に密着して毎日の記者はお産の現場を取材しているのだろうか?日本テレビで先日放映されたドキュメント番組(中京テレビ製作)はそういう意味で大変よくできていると思う。毎日新聞横浜支局の記者3名は男ばかりのようなのでお産なんて今まで真剣に考えたことがないから仕方がないのかもしれないが内容が似通っていて毎日流とでもいうのか個性が全く感じられない3つの文章に接してマスコミ人にはもう少し修行を積んで欲しいとも思った。
http://blog.med-apple.co.jp/mailmaga/diary/archives/2006/09/post_15.html

現場から:堀病院事件こう考える /神奈川

 ◇産科医不足論議と直結するのか
 「今回の事件で『お産をやめる』という医師が相次いでいる」
 取材した産科医たちはみな訴えた。お産があれば昼夜問わず呼び出される激務。そのうえ警察の捜査対象になるとあっては、ただでさえ成り手が少ない産科医不足に拍車がかかるというのだ。横浜支局に連日届くメールや手紙の中には「毎日新聞は産科医療を破壊するつもりなのか」という批判もあった。
 だが、産科医の窮状がこの事件と直結するだろうか。
 県警の家宅捜索容疑になった03年12月29日の女性(当時37歳)の出産を担当した医師は、分娩(ぶんべん)直前に初めて女性を診て、取り上げ後に別の外来患者を診察し、その後分娩室に戻ったという。同病院の分娩は1日平均8人。夜間に出産が重なることも少なくないはずだ。医師や看護師が奔走する様子が見えてくる。
 その一方、堀病院はここ5年間、助産師が6~7人しかいなかった。横浜駅から最寄り駅まで急行電車で15分、そこから徒歩5分。助産師偏在が問題視されているが、地方病院とは立地条件も規模も違う。なぜ助産師が集まらないのか。待遇に問題はなかったのか。
 「次々と来る患者を他に回せなかった」。堀健一院長(78)は話した。だが、患者受け入れを抑制していた形跡はない。それどころか、ホームページでサービスの充実をアピールし、赤ちゃん連れ去り事件が起きると急きょ新生児にICタグ装着を導入するなど、マスコミへのPRが巧みだった。「出産数日本一」の看板は少なくとも十数年前から掲げていた。
 受け入れ限界を超えていた可能性があるにもかかわらず、広く患者を集めて受け入れたのは、「お産難民」を生まないようにという良心からなのか。「出産数日本一」が結果ではなく、目的となった部分はないのか。今はまだ答えが出ない。だが、少しでも真実に近づきたい。【伊藤直孝】
 ◇院長の説明責任、もっと果たして
 県警が家宅捜索に踏み切った8月24日、報道陣の取材に時折笑みを浮かべながら応じた堀健一院長は言った。「患者さんに説明しても、法的なことは分からない」
 耳を疑った。大学病院ですら「患者本位の医療」を声高に叫ぶ時代。それなのに、何という言葉なのだろう。
 堀病院のサービスは、ある意味では“充実”していた。
 ホームページでは堀院長自らセールスポイントをうたい、「出産数日本一を誇るユニークな産婦人科を目指して頑張っています」と宣言。院内の掲示板は前日までに生まれた赤ちゃんの数を掲げている。高級車による送迎やエステルーム。赤ちゃんの産声や立ち会い分娩の父親の感想を収めたCDアルバムまでプレゼントしてくれる。「テレビにも数多く登場し、サービスが充実しているから」。堀病院を選んだ理由を泉区の主婦はそう語っていた。
 だが、肝心の診療は“充実”していたのか。非常に疑問がある。
 県と横浜市の調査では堀病院の常勤医師数は89年の6人から04年まで変わっていない。一方、看護師、准看護師数は28人から39人へ増え、一般病床数も47床から77床と大きくなった。年間3000人の出産数を取り上げるのに、10年以上同じ医師数で大丈夫だったのだろうか。
 さらに入、通院する妊婦に対し、看護師らに助産行為を行わせてきた事実も、その行為が法的に問題があることも伝えていなかった。「出産数日本一」なのだから、信頼できる医師と助産師が立ち会ってくれると信じていた人は多かったはずだ。それを逆手に取って違法行為を続けていたとしたら、医師としての見識が疑われる。
 外見のサービスは日本一でも、肝心のお産についてどれだけ考えていたのか。堀院長は先月25日の記者会見以来、沈黙を貫いている。きちんと説明してほしい。【堀智行】
 ◇不安あおらず取材続けたい
 取材で堀病院を訪れたある日の午前5時過ぎ。正面玄関から、ピンク色の妊婦服を着た妊婦たちが、薄暗い診察室前の長いすにずらりと腰かけているのが見えた。初めて見た光景に驚いた。
 「失礼ですが、ご家族はいらっしゃいますか?」。堀病院が県警の家宅捜索を受けた翌日、支局に女性の声で電話があった。「いえ、まだ独り身です」と答えると、女性は「家族がいる人にあんな記事が書けますか。産めなくて困っている人がたくさんいるのに」と語気を荒らげた。この女性は子供2人を堀病院で産んだといい、堀健一院長らに「大変よくしてもらった」と言う。
 私が取材した女性の中には、自宅近くの産婦人科が分娩をやめてしまい、堀病院に来たという人が3人いた。院長が「お産をやめるわけにはいかない」と言うように、堀病院は社会的要請に対応していたようにも思える。
 「お母さんに言われて不安になったけど、今から転院して、産める病院が見つかるのかも不安」。妊娠9カ月という22歳の主婦はまゆをひそめて話した。妊婦たちも悩む。横浜市の立ち入り調査で、堀病院のほかにも看護師に内診をさせていた病院があることも新たに分かった。気軽に転院できる、という状況でもないようだ。
 「院長は気さくな人だった」という声もよく聞く。それゆえ、思ったことをしゃべり過ぎるのだろう。記者たちの前でよどみなく、はっきりした物言いで持論を展開した。事務長が会見を打ち切り、院長の腰に手を回して守るように病院内に消えたのが印象的だった。
 いたずらに不安をあおる報道はしたくない。この問題は堀病院だけのものではないのかもしれない。未婚で男の私は、取材を続けて妊婦さんの気持ちに少しでも近づくしかない。そう痛感している。【池田知広】

[毎日新聞 ]2006年9月8日(金)

投稿者 akiuchi : 11:12 AM

無資格助産事件 捜査の停止求める見解公表

横浜の医師会・医会の戦いが孤軍奮闘にならないように全国の産婦人科医会と医師会は支援体制を組むべきだろう。ちょうどこの記事が出た23日は家族と横浜の中華街に行っていた。横浜は宇都宮に比べるとはるかに大きな都市だが医療においてはどうも遅れているのかもしれない。
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問われる「日本一」:堀病院・無資格助産事件 捜査の停止求める見解公表 /神奈川

 ◇県警捜査の停止求める見解公表、県医師会「法に不備あり」と
 横浜市瀬谷区の産婦人科病院「堀病院」の無資格助産事件で、県医師会(田中忠一会長)は21日、県警の捜査に対し「保健師助産師看護師法(保助看法)は助産の定義がないなどの不備があり、不備を正さず捜査を実施することは不当。捜査を速やかに停止するよう求める」とする見解を公表した。
 見解で同会は、県警の捜索容疑で、助産師と医師以外は助産行為ができないと定めた保助看法30条(助産業の制限)について、「保助看法に助産の定義はない」とした上で、看護師は「診療の補助」ができると規定した同法5条を例に取り「医師は診療として助産でき、看護師は医師が行う助産を補助できることになる」として看護師による助産は認められる余地があるとしている。
 厚生労働省は02年と04年に新生児の取り上げや内診などが保助看法上の助産に該当するとの見解を示したが、同会は「助産の定義については専門家ごとに解釈が異なる。医療について最終責任を持つ医師の立場から見ると、法に不備があるという見方になる」と説明する。【伊藤直孝】

[毎日新聞 ]2006年9月23日(土)

投稿者 akiuchi : 11:03 AM

無資格助産事件 市公表の4診療所

助産師がいない診療所は法律違反の犯罪組織だから受診するなととでも毎日新聞は言いたいのだろうか?この手の暴力を放置していていいのか・・・・医師会・医会は断固として抗議すべきだろう。横浜市も何を考えているのか?お産をするものが困るだろうに。助産所なら安全、安心とでも考えているのだとしたら大問題になるぞ!
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問われる「日本一」:堀病院・無資格助産事件 市公表の4診療所、苦境訴え /神奈川

 ◇横浜市公表の4診療所、“助産師偏在”の苦境訴えも
 ◇「募集しても来ない」--市調査結果に反論の院長も
 横浜市瀬谷区の産婦人科病院「堀病院」の無資格助産事件で、横浜市は25日、緊急立ち入り調査の結果、同市内の4診療所でも看護師や准看護師が無資格で助産をしていたと発表、診療所名を公表した。しかし、公表された診療所側からは「(無資格助産を)いっさいやらせないというのは大変なこと。助産師を募集しても来ない」と現状を訴える声も。市は改善指導をしたものの“助産師偏在”とも言われる産科医療現場の苦境を反映した調査結果になったとも言えそうだ。【鈴木一生】
 市は先月29日~今月21日の間、市内で分娩(ぶんべん)を実施している25診療所に医療法に基づく立ち入り調査をした。院長や看護師長からの聞き取り調査と助産録や看護記録などから、医師・助産師の勤務状況や誰が助産行為をしたか調べた。
 その結果、▽セントマリアクリニック(同市青葉区)▽レディースクリニック服部(同)▽こどもの国レディスクリニック(同)▽仲町台レディースクリニック(同市都筑区)の4診療所で、看護師や准看護師による無資格助産が行われていたとした。
 このうち、レディースクリニック服部は3日に1回の割合で准看護師が当直勤務。夜間に分娩が重なった際、准看護師が月に3~4件の割合で、産道に指を入れてお産の進行状況を確かめる「内診」をしていた。
 服部一志院長は「以前からなるべくやめなくてはと感じていたが、堀病院の家宅捜査があり、やめた。(准看護師らによる内診は)厚生労働省の通達が出るまではみんながやっており、いっさいやらせないというのは大変なこと。助産師を募集しても来ない。お産の数を減らさない限り体力が持たない。名前が公表され、助産師不足が社会に理解されることが大切と思っている」とコメントした。
 そのほかの3診療所は手術中に分娩が重なった際、年に数回の頻度で看護師が内診をしていたという。
 セントマリアクリニックの梅内正勝院長は毎日新聞の取材に「手術中に分娩が重なった際に、看護師が緊急避難的に内診した可能性があると市に答えた。実際にあったかどうかは確認できず、あったと断定されるのは違う」と市の調査結果に反論した。
 今回の4診療所は既に無資格助産は行われておらず、市は2~3カ月後に再度立ち入り調査などを実施して改善状況を確認する。市は既に堀病院を含む2病院で無資格助産が行われていたと発表しており、これで市内の計6医療機関が無資格助産をしていたことになる。

[毎日新聞 ] 2006年9月26日(火)

投稿者 akiuchi : 10:51 AM

闘論:医師不足の理由

毎日新聞に面白い記事が出ていた。
どっちの意見ももっともでどこが「闘論」なのか?企画倒れの内容。済生会栗橋病院の本田先生は私と同じ52歳で弘前大学の卒業。面識はないがこうして同窓の先輩(2学年上か?)が活躍していることに励まされる。疲れた勤務医は開業に逃げるというくだりは産婦人科開業医には当てはまらないということを他科の先生方には理解できないだろうと医師会の集まりに参加して痛感する。

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闘論:医師不足の理由 西村周三氏/本田宏氏

 地方の公立病院や産婦人科など勤務が厳しい診療科で「医師不足で、満足な医療ができない」との悲鳴が相次いでいる。ただ、医師は年間3500人以上も増えている。医師不足の根源的な原因は、絶対数が足りないせいなのか、それとも都市部や特定の診療科に偏っているせいなのか。専門家2人に聞いた。(題字は書家・貞政少登氏)
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 ◇「偏在」こそが問題 病院経営改革も必要--京大教授・西村周三氏
 医師の需給を考える際、最も注目すべき問題は「偏在」だ。東京、大阪などの大都市には十分な医師がいるが、地方の公立病院は必要数を確保できない。産婦人科や小児科など特定の科の医師の不足も目立つ。
 日本の人口当たりの医師数は、OECD(経済協力開発機構)加盟国の平均より少ないが、医師と看護師など他の医療職との仕事の分担は国によって異なり、この比較だけで日本の医師が足りないとは言えない。日本の医師総数は年約1・6%の割合で増えているが、どう増やすかには科学的根拠が必要だ。
 英米では、どんな病気が増えているかや医療技術の進歩に伴う各診療科の勤務時間の変化などを、かなり詳しく分析し、医師の需給予測をしている。一方、日本は旧厚生省の検討委員会が76年、「2025年には医師が1割程度過剰になる」と予測。医学部の定員削減などが始まった。
 しかし、推計は粗いものだった。高齢化社会の到来や患者ニーズの変化を考慮していなかった。勤務が過酷な病院や診療科を若手医師が避けたり、結婚や育児との両立に悩む女性医師が増えたことも想定外で、現在の偏在につながった。
 いまこそ、国は地域性や医療技術の進歩も踏まえた緻密(ちみつ)な予測をし、偏在を解消しなければならない。
 医学教育では、「どこで働くどんな医師を育成するか」という視点が不可欠だ。政府は、医師不足が深刻な10県の大学医学部の定員増を認めたが、定数だけ増やしても根本的解決にならない。地方の大学の医学生が、必ずしも地方にとどまるわけではないからだ。
 まず、国・自治体と大学が十分に協議し、地域の医療ニーズを分析して、育成すべき医師像や数、診療科の配置を検討すべきだ。
 病院経営の改革も欠かせない。勤務医は、忙しい診療科でも、そうでなくても給料があまり変わらない。こうした不合理な報酬体系を見直し、忙しい診療科の医師には勤務に応じた給料を支払い、不公平感をなくしていけば、忙しい科への医師の誘導も可能になる。
 医師不足が深刻な全国の公立病院では、報酬体系や医師間の役割分担を抜本的に見直すため、条例で病院長に一定の裁量権を与えることも、解決の一手になる。【構成・大場あい】
 ◇絶対数抑制が主因 学部定員5割増急務--済生会栗橋病院副院長・本田宏氏
 1980年代以降、日本の医療行政は医療費削減が最優先になり、全国の医師数はカネの観点から検討され、医師数抑制が当然の流れとなった。この政策が現在の医師不足を生んだ。つまり、日本の医師は絶対数が不足しているのであって、「偏在が原因」というのは事実誤認だ。日本の医師数は約26万人だが、OECD加盟国の人口当たり医師数の平均にあてはめればまだ12万人少ない。全都道府県がOECD平均に満たず、どこへ行っても医師が足りないのが実態だ。
 日本の医師の過重労働ぶりも示したい。日本の医師1人当たりの年間外来対応数は8000件以上、OECD平均は約2500件だ。日本の医師の平均労働時間は、59歳まで週60時間を超えているが、欧米で週60時間を超える年代はない。この状況で、なぜ、「OECD平均より医師数が少なくていい」と言えるのか。
 医師になって17年目の女性からの年賀状に、「今年の目標は、精も根も尽き果てる働き方をせずとも安全な医療を提供できること」とあった。現場の医師は、自分の健康や金もうけではなく、過労による医療事故を一番恐れているのだ。
 さらに、医療の高度化によって治療や投薬が複雑になり、複数の専門医が一人の患者に対応することが求められている。団塊の世代が高齢化すれば、受診者数も爆発的に増える。今の態勢のままでは、適切な医療を受けられない「医療難民」だらけになる。
 だが、実態を知らない患者は「高級ホテル」のような医療を求める。「ビジネスホテル」の戦力しかないのに、だ。私は外科医になって28年、家族ではなく患者最優先で生きてきた。女性医師の中には、結婚をあきらめた者も多い。そこまで頑張れない医師が現場を離れ、開業医や非常勤医になる「立ち去り型サボタージュ」を起こし始めた。
 問題は、この現状が国の政策に生かされていないことだ。世界は、安全な医療のため医師を増やしているのに、日本だけが背を向けていいのか。医学部定員を現在より50%増やし、GDP(国内総生産)比で8%の国全体の医療費支出を主要7カ国(G7)並みの10%へ引き上げることを求めたい。今、対策を取らねば、一番不幸になるのは国民だ。【構成・永山悦子】
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 ■人物略歴
 ◇にしむら・しゅうぞう
 京大経済学部卒。86年から同学部教授。副学長。医療経済学専攻。61歳。
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 ■人物略歴
 ◇ほんだ・ひろし
 弘前大医学部卒。89年から済生会栗橋病院外科部長、01年から現職。52歳。

[毎日新聞 ]2006年9月25日(月)

投稿者 akiuchi : 10:29 AM

September 27, 2006

助産師関連7団体が緊急要望書

助産師の業務独占宣言>開業産婦人科医の崩壊>助産所も安全性の観点から廃止>集約化・センター化>経済性優先のお産システムの完成=官僚のシナリオ・・・どうして解らないのかな?
院内助産院って何?

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■安心、安全、満足なお産の確保に向け助産体制の強化を!!
助産師関連7団体が緊急要望書 /2006年9月22日(247KB)
http://www.nurse.or.jp/koho/h18/20060922.pdf

投稿者 akiuchi : 12:17 PM

医師:小児・産婦人科医、1割超減る--県内主要28病院 /栃木

私の調べたところでは栃木県内の産婦人科医師総数は一定しているのだが2次医療機関の医師数がここへ来て一気に少なくなっているということだと思う。それでも他県のような大きな混乱が起こらないのはやはり1次医療機関である開業産婦人科医院がしっかりしているからというと自画自賛になってしまうかな?

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2006年9月12日(火)

 県議会地域医療・保健対策特別委員会が11日開かれ、県は04年8月から今年8月までの2年間で、県内の主な28病院の小児、産婦人科医師数がともに1割以上減っていることを明らかにした。
 県医事厚生課によると、小児科医は04年8月1日に49人だったのが、今年8月1日で43人になり12・2%の減少。産婦人科医は同51人から45人となり、11・8%減少した。医師数全体が5・5%減ったのに比べ、際立った減少率を見せた。
 しかし、8月に関係省庁がまとめた「新医師確保総合対策」で、国が医師の養成数増員を容認する「医師不足県」には選ばれなかったことも報告した。【関東晋慈】

[毎日新聞 ]
栃木県の産婦人科医数.jpg

投稿者 akiuchi : 11:06 AM

September 25, 2006

日産婦医会:県立大野病院事件に対する考え

福島県立大野病院事件に対する日本産婦人科医会の考えをここに記録しておくことにする。

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2006年5月
 県立大野病院事件に対する考え PDF
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県立大野病院事件に対する考え

 福島県立大野病院で平成16年12月に腹式帝王切開術を受けた女性が死亡したことに関し、手術を担当した医師が、平成18年3月10日、業務上過失致死、および医師法21条違反の罪で起訴された件について、日本産科婦人科学会、および日本産婦人科医会は、すでに「お知らせ」、「声明」を公表し、さらに「声明」を補足するために厚生労働省にて記者会見の場をもち、両会の考え方を示してまいりました。
 このたび両会は、本件の重要性に鑑み、ここにあらためて「県立大野病院事件に対する考え」を発表いたします。
 はじめに、本件の手術で亡くなられた方、およびご遺族の方々に対して謹んで哀悼の意を表します。
 このたび、産婦人科の医療行為について、個人が刑事責任を問われるに至ったことはきわめて残念であります。
 本件は、癒着胎盤という、術前診断がきわめて難しく、治療の難度が最も高く、対応がきわめて困難な事例であります。
 起訴状によれば、本件における手術中、児娩出後に用手的に胎盤の剥離を試みて胎盤が子宮に癒着していることを術者である被告人が認識した時に、「(被告人には)直ちに胎盤の剥離を中止して子宮摘出術等に移行し、胎盤を子宮から剥離することに伴う大量出血による同女の生命の危険を未然に回避すべき業務上の注意義務があるのに、(被告人は)これを怠り、直ちに胎盤の剥離を中止して子宮摘出術等に移行せず、同日午後2時50分ころまでの間、クーパーを用いて漫然と胎盤の癒着部分を剥離した過失により、」とあり、被告が直ちに胎盤の剥離を中止して子宮摘出術等に移行しなかったことと、胎盤の癒着部分の剥離に用いた手段に過失がある、とされています。
 癒着胎盤の予見のきわめて困難である本件において、癒着胎盤であることの診断は、胎盤を剥離せしめる操作をある程度進めた時点で初めて可能となるものであります。したがって、結果的には癒着胎盤であった本例において、胎盤を剥離せしめる操作を中止して子宮摘出術を行うべきか、胎盤の剥離除去を完遂せしめた後に子宮摘出術の要否を判断するのが適切かについては、“個々の症例の状況”に応じた現場での判断をする外なく、それはひとえに当該医師の裁量に属する事項であります。
 また、本件のような帝王切開例における胎盤の癒着部を剥離せしめる手段としては、用手的に行うことだけが適切ということはなく、クーパーをはじめ器械を用いることにも相当の必然性があり、この手技の選択も当該医師の状況に応じた裁量に委ねられなければ、治療手段としての手術は成立し得ません。
 本件の転帰に関してはたいへん心を痛め、真摯に受け止めておりますが、外科的治療が施行された後に、結果の重大性のみに基づいて刑事責任が問われることになるのであれば、今後、外科系医療の場において必要な外科的治療を回避する動きを招来しかねないことを強く危惧するものであります。

平成18年5月17日

社団法人 日本産科婦人科学会
理事長 武谷 雄二
社団法人 日本産婦人科医会
会 長 坂元 正一

  

2006年3月
 福島県の県立病院の医師起訴について(声明) PDF
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 声 明

 福島県の県立病院で平成16年12月に腹式帝王切開術を受けた女性が死亡したことに関し、手術を担当した医師が、平成18年3月10日、業務上過失致死および医師法違反で起訴された件に関して、コメントいたします。

 はじめに、本件の手術で亡くなられた方、および遺族の方々に謹んで哀悼の意を表します。

 このたび、日本産科婦人科学会の専門医によって行われた医療行為について、個人が刑事責任を問われるに至ったことはきわめて残念であります。
本件は、癒着胎盤という、術前診断がきわめて難しく、治療の難度が最も高い事例であり、高次医療施設においても対応がきわめて困難であります。
 また本件は、全国的な産婦人科医不足という現在の医療体制の問題点に深く根ざしており、献身的に、過重な負担に耐えてきた医師個人の責任を追及するにはそぐわない部分があります。

 したがって両会の社会的使命により、われわれは本件を座視することはできません。

平成18年3月10日

社団法人 日本産科婦人科学会
理事長 武谷 雄二
社団法人 日本産婦人科医会
会 長 坂元 正一

2006年2月
 福島県の県立病院の医師逮捕について PDF
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 【お知らせ】

  過日、福島県の県立病院で平成16年12月に腹式帝王切開術を受けた女性が死亡したことに関し、手術を担当した医師が平成18年2月18日、業務上過失致死および医師法違反の疑いで逮捕されたとの報道がなされました。詳しい事情は不明ですが、報道された内容ならびに関係者の状況説明による限りでは、本件が逮捕 勾留の必要があったのか否か理解しがたい部分があります。産婦人科医療体制の整備向上に対し社会的責任を有する両会としては本件の推移を重大な関心をもって見守っていきます。

平成18年2月24日

社団法人 日本産科婦人科学会
理事長 武谷 雄二
社団法人 日本産婦人科医会
会 長 坂元 正一

投稿者 akiuchi : 09:27 AM

医会・日医の保助看法問題等に関する活動状況の報告

日本産婦人科医会の保助看法問題に対する活動報告を記録しておく。

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2006年9月19日 医会・日医の保助看法問題等に関する活動状況の報告
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 医会・日医の保助看法問題等に関する活動状況の報告です。

分娩第1期の看護師内診は解禁を-堀病院問題で、木下副会長(日医常任理事)は9月5日、日医で記者会見し、分娩第I期で医師の指示下であれば看護師による内診行為を認めるべきだとの日医の見解を明らかにした。 (日医白くま通信)

無過失補償制度の創設問題に関しては、自民党は9月7日、政務調査会に「医療紛争処理のあり方検討会」(大村秀章座長)を設置し、第1回の会合を開き、無過失補償制度の創設について、年内に結論を出すことを決めた。また、この日の会合では、医事紛争問題については、中立的な第3者機関が担う新たな仕組みづくりを視野に、日本医師会などからヒアリングを実施することとした。

9月14日(木)、自民党政務調査会『医療紛争処理のあり方検討会』(大村秀章座長、丹羽雄哉会長)に、木下副会長(日医常任理事)が招かれ、『医療、特に産婦人科医療の崩壊をいかに防ぐか』と題して、講演した。
その講演のなかで
助産師の絶対的不足のために、全国に、助産師がいない診療所は、分娩を取り扱ってる診療所の18.6%(249施設)もあり、そこで、年間、40,580件の分娩が行なわれている実態を説明。さらに、『平成17年、厚労省の「保助看法等のあり方に関する検討会」が設置され、その検討会での討議の末のまとめ案でも、産科における看護師の業務、特に分娩経過観察における看護師の内診を可とする保助看法見直し論と、内診を不可とする反対論、さらに慎重論が併記されたように、現在の助産師の絶対的不足の現状での現実的対応を検討している最中に、今回、保助看法違反容疑で、60名もの警察官による堀病院への家宅捜索が行なわれたことは、極めて遺憾であり、困窮している産科医療の崩壊に拍車をかけた』と、説明し、理解された。そして、この問題をテーマにして、再度、討議をしようとの座長からの発言があった。
 
次いで、産婦人科で増えている医療訴訟の約70%は、分娩周辺期の問題であり、特に、その原因が明らかでない場合が多いことから、脳性麻痺に関して、日本医師会の19年度シーリングの第一要望課題とした『分娩に関連する脳性麻痺に対する障害補償制度』の、19年度予算の中での制度化を、あらためて、要望した。
 
最後に、医師会で、『医療事故責任検討委員会』を立ち上げており、医療事故に対する刑事責任(業務上過失致死傷罪の適応に関して、討議していること。さらに、医療事故に対する警察の介入の弊害、医師法21条の異常死届出を警察にしている弊害を説き、新たに、臨床医師を中心とした、届出と原因究明の第3者機関の創設と、医療事故を警察へ届ける制度を、ただちには改善されない以上、刑事責任を問うかどうかの判断機関として、最高検察庁と警察庁からなる審査委員会の創設を提言してきた。

  

2006年9月
 日医白クマ通信 No.482 2006年9月7日(木) 
 定例記者会見「保助看法のあり方について改めて検討を求める」
 LINK
  

2006年8月
 保健師助産師看護師法違反容疑に対する警察の家宅捜査に関する見解 
 PDF
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平成18年8月30日

日本産婦人科医会会員 各位

社団法人日本産婦人科医会
 会長  坂元 正一
(公印省略)

保健師助産師看護師法違反容疑に対する警察の家宅捜査に関する見解

 本年8月24日、神奈川県支部に所属する堀病院が、保健師助産師看護師法違反容疑で家宅捜査を受けたとの報道に接し、会員の皆様の憤懣と、不安は、いかばかりかであったかと、拝察いたしております。
 日本産婦人科医会は、この事件に関し、直ちに、関係のある機関と協議し、事件の事実関係を調査いたしました。そして、8月25日午後6時より、日本産婦人科医会と日本産科婦人科学会と会合を持ち、この問題を討議し、今回の事件に関し、以下のごとくの見解をまとめましたので、ご報告申し上げます。

平成15年12月29日に堀病院で発生した、分娩時弛緩出血による出血性ショックの褥婦が、この分娩を担当した医師の勤務する大学病院へ産褥搬送されたが、大学病院の総力を挙げての治療にもかかわらず、2ヶ月後に、死亡した。この母体死亡と今回の保助看法違反の嫌疑とは、全く関係ないものである。
 
神奈川県警は、この事件を関係づけて、堀病院の看護師、助産師体制に対し、警察官60名もの捜査官を派遣するという、極めて大掛かりな捜査を行ったことと、それに関して、大々的に報道されたことは、わが国の産科医療の危機的状況のなかで、産科医療を必死に支えている産婦人科医師にとって、産科医療を続けるかどうかを、考えざるを得ないほどの、深刻な事態を引き起こした。
 
看護師による助産行為に関して、平成9年3月の日母産婦人科医報で、「助産と呼ばれる行為は分娩の介助と付随する世話をいい、医師又は助産婦以外は分娩の介助をしてはならない。医師の立会い、監督、指導のもとでも助産婦以外の者の分娩介助は認められない。但し、緊急避難のための臨時応急の処置、行為はこの限りではない」として会員に注意を促してきた。ここでいう分娩介助とは胎児娩出期の会陰保護および胎児娩出介助のことであり、分娩第I期の経過観察を含むものではない。
 また、平成14年11月5日、鹿児島県保健福祉部長は厚生労働省医政局看護課長へ、次のような問い合わせを行った。「1.産婦に対して、内診を行うことにより、子宮口の開大、児頭の回旋等を確認すること、並びに分娩の進行状況の把握及び正常範囲からの逸脱の有無を判断すること、2.産婦に対して、会陰保護等の胎児の娩出の介助を行うこと、3.胎児の娩出後に、胎盤等の胎児付属物の娩出を介助すること、は保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)で規定する助産であり助産師、医師以外の者が行ってはならないと解するが貴職の意見を伺いたい」という質問に対して、看護課長は「その通り」との回答を行っている。
本会としては、この見解に基づき『看護師は、分娩の進行状況の診断や正常範囲からの逸脱の有無の判断を行わないように』と、会員に呼びかけてきた。
 しかし、突然のように、平成16年9月13日付けで、看護課長から、「産婦に対して、子宮口の開大、児頭の下降度等の確認及び分娩進行の状況把握を目的として内診を行うこと。但し、その際の正常範囲からの逸脱の有無を判断することは行わない」ことが、「保健師助産師看護師法第5条に規定する診療の補助には該当せず、同法第3条に規定する助産に該当すると解する」との通達が出された。
このような、産科学的に理解できない通達に対して、本会としては、『法解釈上、少なくとも、分娩第I期にあっては、分娩を安全に導くために、看護師による子宮口の開大度、児頭の下降度に観察、測定は必要であり、この意味では、分娩第I期の内診は助産に該当しない』と考えるので、厚生労働大臣には、現行の枠内でも分娩第I期の内診は出来るように、あるいは、出来ないのであれば、保助看法の考え方を変えるように、本会会長として、要望し続けてきた。
 しかし、本会としては、どんなに現状に即さなくても、上記の通達が出された以上、これを遵守するように、平成16年10月15日、会長名で都道府県支部長宛に見解を述べ、以来、会員に呼びかけてきたところである。
 その後、厚生労働省に『医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会』が設置され、平成17年11月24日、その検討会での討議の末のまとめ案でも、産科における看護師の業務、特に分娩経過観察における看護師の内診を可とする保助看法見直し論と、内診を不可とする反対論、さらに慎重論が併記されたように、現在の助産師の絶対的不足の現状での現実的対応を検討している最中に、今回の事件が起こったことは、その社会的影響を考えても、極めて憂慮すべきことである。
 
今回の堀病院に対する、保助看法違反の容疑に対する家宅捜索に関しては、母体死亡事例とは関係ないことではあっても、本会の主張とは異なり、看護師による分娩第II期の分娩介助行為に対する容疑も含まれている可能性があるとの報道もなされている。未だ、その事実関係の詳細は明らかではないが、もし、その通りであれば、堀病院の実態に対しては、遺憾であったといわざるを得ない。
しかし、分娩は全例医師が行っていたという報道もあるだけに、本会が求めてきた、分娩第I期の内診行為だけであったとすれば、警察当局の、今回の大掛かりな捜査は、極めて不当である。
 
この事件を契機に、厚生労働省は、全国の分娩を行っている診療所と病院に助産師の有無に関して調査する意向との報道がある。しかし、助産師充足率の調査は、平成17年12月、すでに、本会が行い、日医総研が分析をすませている。その結果を見ても、助産師充足率30%未満の施設数の割合は、病院で6.8%、診療所で44.9%もあり、その病院で、全分娩数の4.0%(14,048件)、診療所で30.3%(144,539件)が行われている事実がある。
従って、この度の、厚生労働省の調査は、不必要であると思われるが、それでも、行われるとすれば、このように、助産師がいないか、あるいは、いても、充足されてない状況の下で、産婦人科医師が、誇りと、自信をもって、直接分娩介助を行うことにより、危機的産科医療を崖淵で支えていることを示していただきたい。
 
本会は、上記のように、助産師を直ちには、充足できない現状でも、医師が、安心して、分娩を担当出来るように、平成17年11月24日の厚生労働省『医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会』で主張し、さらに、平成18年5月23日厚生労働大臣との懇談会で、『保助看法第37条の解釈上の疑義の有無にかかわらず、助産師が充足するまで、看護師による医師の指示下における診療補助行為(分娩第I期における内診)を認めていただきたい』旨の、要望書を会長名で提出してきた。
 今回の事件の有無にかかわらず、本会の姿勢は、決して変わるものではないことをご理解いただきたい。

 そこで、この本会の要望を、改めて、日本産科婦人科学会とともに、日本医師会と共同歩調をとり、川崎二郎厚生労働大臣へ、提出し、具体的な、解決案を早急に求めていく。

 昼夜を問わず、分娩に立会い、産科医療を守っておられる会員各位が、安心して、自信を持って、診療を行えるよう、この問題の解決に向けて、積極的に行動するので、ご支援のほど、衷心より、お願いしたい。
 

  
 

投稿者 akiuchi : 09:25 AM

茨城県医師会・茨城県産婦人科医会:保健師助産師看護師法違反容疑による警察の家宅捜査に断固抗議する

保健師助産師看護師法違反容疑による警察の家宅捜査に断固抗議する

 今般の横浜市瀬谷区堀病院における神奈川県警生活経済課による保健師助産師看護師法(以下、保助看法)違反容疑での、警察官60名にもおよぶ家宅捜査が実施された。神奈川県内の分娩医療機関はもとより、全国の産科医療機関ならびに全国の妊婦に深刻かつ多大な影響を及ぼした。分娩医療機関が激減し危機的周産期医療がさらに悪化することを危惧するものである。
 さて、嫌疑の根拠となった保助看法は昭和23年、家庭分娩(全分娩の97%で、主に助産師によって実施)全盛期にできた法律で、助産師、医師以外の無資格者の助産を禁止するためにできたものである。さらに、医師法にある医療行為の一部である助産行為を、助産師が単独で業として行うことを可能にしたものである。
 分娩が家庭から医療機関へ98%以上シフトし、周産期医学の進歩・医療機器の発達、周産期救急医療システムが整備され、世界一の周産期医療が展開されている今日には昭和23年制定された保助看法にはもはや馴染まない部分もでてきている。
 平成14年までは、看護師は医師の指示の下に医療の補助行為として内診し、胎児娩出時は医師または助産師が胎児娩出の介助をし、国民に世界一の周産期医療を提供できるまでになった。
 保助看法における看護師による補助行為(内診も含む)の解釈も様々であり、日本医師会、日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会からも種々提言されている状況の中で、看護師の内診行為だけを根拠に、警察の家宅捜査が実施されたのであれば、遺憾の意を表明せざるを得ない。
 今般、分娩医療機関が激減し、助産師の絶対数が極端に不足、偏在している状況を十分考慮し、看護師の内診問題だけで警察の医療機関への家宅捜査などが二度と起きないよう、国民とともに安全なお産を守るために、茨城県医師会と茨城県産婦人科医会はともに神奈川県産科婦人科医会の見解を支持する。
 すなわち、“分娩経過の全体を総合的に産科医師が把握しつつ、担当医の監督責任のもとで十分な経験、技量を身につけた看護師による産婦の正常経過の観察を担当医が補助行為として利用する範囲内であれば、その産科医療は現行の法に背反するもではない”とする神奈川県産科婦人科医会の見解を支持するものである。


2006年9月19日


茨城県医師会 会長 原中 勝征
茨城県産婦人科医会 会長 石渡 勇

投稿者 akiuchi : 08:00 AM

日産婦医会関東ブロック会:保健師助産師看護師法違反容疑による警察の家宅捜索に関する見解

保健師助産師看護師法違反容疑による警察の家宅捜索に関する見解

 分娩医療機関は最近10年間に約40%減少している。地域によっては分娩医療機関がなくなり、いわゆる“お産難民”が増加し、国是とする少子化対策にも暗い影を落としている。全国の分娩医療機関は安全で安心な周産期医療を地域住民に提供できるよう日々最大限の努力をしているところであり、事実、世界一の高いレベルの医療を提供している。その最中、今般の横浜市瀬谷区堀病院における神奈川県生活経済課による保健師助産師看護師法違反容疑での、警察官60名にもおよぶ家宅捜索が実施された。神奈川県内の分娩医療機関はもとより、全国の医療機関ならびに全国の妊婦に深刻かつ多大な影響を及ぼした。全国の危機的周産期医療がさらに悪化することを危惧するものである。
 さて、嫌疑の根拠となった上記の法は、昭和23年、家庭分娩が98%以上、医療機関分娩が2%の時代、年間新生児死亡数64,142、妊産婦死亡数4,117の時代に制定施行された法である。その後、分娩が家庭から医療機関へとシフトし、周産期医学の進歩・医療機器の発達、周産期救急医療システムの整備などにより、現在、新生児死亡数1,622、妊産婦死亡数49と、それぞれ1/40、1/84に減少、世界トップの安全・安心な分娩を提供できるまでになった。一方、この間、助産師数は約6万から2万5千と半減している。周産期医療のレベルが大幅に向上した背景には、看護師の協力も欠かせなかった。看護師は医師の指示の下に内診していた。すなわち、医療機関においては医師の指示の下に、看護師が「子宮口の開大、児頭の下降度」を計測(いわゆる内診の一部)し、医師に報告し、医師は看護師からの補助情報と分娩監視装置など発達した医療機器による産科情報を総合的に判断して安全・安心な周産期医療を実践してきた。その結果、世界一の周産期医療を国民に提供できる状況になったわけである。
 今般、分娩医療機関が激減し、助産師の絶対数が極端に不足、偏在している状況を十分考慮し、かつこのような事態が二度と起きないよう、国民とともに安全なお産を守るために、日本産婦人科医会関東ブロック会(1都9県支部、会員4,044名)支部長会は、神奈川県の事態を重く受け止め、種々協議した結果、満場一致で、神奈川県産科婦人科医会の見解を支持するとの結論に至った。
 すなわち、“分娩経過の全体を総合的に産科医師が把握しつつ、担当医の監督責任のもとで十分な経験・技量を身につけた看護師による産婦の正常経過の観察を担当医が補助行為として利用する範囲内であれば、その産科診療は現行の法に背反するものではない”とする神奈川県産科婦人科医会の見解を支持するものである。


平成18年9月10日    日産婦医会関東ブロック会
 会長・ 東京都支部長 
茨城県支部長 
静岡県支部長 
山梨県支部長 
長野県支部長 
神奈川県支部長 
千葉県支部長 
埼玉県支部長 
群馬県支部長 
栃木県支部長 
東京都副支部長 
町田利正
石渡 勇
庄司 靖
武者吉英
平出公仁
東條龍太郎
八田賢明
佐藤辰之
佐藤 仁
野口忠男
落合和彦



投稿者 akiuchi : 07:59 AM

神奈川県産科婦人科医会:堀病院に対する警察の家宅捜査に関する見解

神奈川県産科婦人科医会

堀病院に対する警察の家宅捜査に関する見解


 今般の横浜市瀬谷区堀病院における神奈川県警生活経済課による保健師助産師看護師法違反容疑での、警察官60名にもおよぶ異常な家宅捜査および大々的報道は、現在、すでに分娩受け入れ状況が許容限界を超えて破綻状態にある神奈川県内の分娩医療機関ならびに妊婦に深刻かつ多大な影響を及ぼしております。
 当神奈川県産科婦人科医会は、神奈川県の産科救急システムの創設・充実等、神奈川県における母子の健康と安全のため最大限の努力をしてまいりました。この立場から、今般の事態により、きわめて深刻な県内の産科診療環境の悪化が加速することを憂慮しております。
 当会は、堀病院での診療内容が、分娩経過の全体を産科医師が把握しつつ、担当医の監督責任のもとで十分な経験・技量を身につけた看護師による産婦の正常経過の観察を担当医が補助情報として利用する範囲内であることを確認しており、現行の法令に背反するものではないと確信しております。
 神奈川県産科婦人科医会は、神奈川県警の家宅捜査に強い遺憾の意を表明するとともに、今後の堀病院への全面的支援を表明いたします。今後想定される事態に対しても、全国の皆様にご支援を賜りたく、お願い申し上げます。

 2006年9月4日
                          神奈川県産科婦人科医会
                              会長 八十島 唯一


投稿者 akiuchi : 07:58 AM