April 08, 2007

帝王切開決定から実施まで約1時間 16分要し、遅きに失した

帝切決定から30分以内に出産させなければそれだけでも医療者側の責任という30分ルールが司法の場で一人歩きを始めようとしている。30分以内というこのルールにどのような科学的な根拠があるというのだろう?

出産後に障害、大和市に1億4250万円命令
07/03/01
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社
ID:499992

大和市立病院損賠訴訟:出産後に障害、市に1億4250万円命令----地裁 /神奈川

◇担当医の過失認める

大和市立病院(大和市深見西)で97年に仮死状態で生まれた男児(10)=東京都町田市=が手足のまひなど重い障害を負ったのは、同病院の担当医師が適切な時期に帝王切開 しなかったためとして、男児と両親が大和市を相手取り損害賠償を求めていた訴訟で、横浜地裁は28日、同市に計約1億4250万円の支払いを命じる判決を言い渡した。三木 勇次裁判長は「担当医は速やかに帝王切開の準備を始めなかった」と過失を認めた。

判決によると、母親は97年2月24日午後9時ごろ、胎児の心拍数が一時的に低下する症状が表れ始め、同40分にも再発したため担当医師が帝王切開を決定。午後11時ごろ 、帝王切開で男児が生まれたが、手足のまひや発達遅滞の後遺症が出た。

三木裁判長は「午後9時ごろには既に胎児の心拍数が一時的に低下する症状がみられ、帝王切開の準備を始めるべきだった」と指摘。さらに「帝王切開決定から実施まで約1時間 16分要し、遅きに失した」と述べた。【伊藤直孝】

◇大宮院長が控訴の意向

大和市立病院の大宮東生院長は記者会見して「障害を負っていることは誠に残念だが、可能な限り適切な処置を行った。過失は無く、脳性まひとの因果関係もない」と述べ、控訴 する意向を示した。【長真一】

投稿者 akiuchi : 01:35 AM

April 04, 2007

看護師の内診を認めず 厚労省が再通知

内診問題がいよいよ佳境に入ってきました。厚労省看護課、看護協会幹部は今後の事態がどのようになっても責任をとる覚悟ができているのだろうか?

看護師の内診を認めず 厚労省が再通知
07/04/02
記事:共同通信社
提供:共同通信社
ID:545070

 堀病院(横浜市)の無資格助産事件で元院長らが起訴猶予になったのを受け、厚生労働省は2日までに、出産時の看護師の業務について「自らの判断で分娩(ぶんべん)の進行管理は行うことができない」と明記した医政局長名の通知を都道府県に出した。

 同省が2002、04年に鹿児島、愛媛両県に出した内診禁止の通知で内診の定義に挙げた「子宮口の開大、児頭の下降度などの確認、分娩進行の状況把握」などは「今回の通知にある『分娩の進行管理』に当たる」(看護課)としており、看護師による内診は認められないとする従来の見解を追認している。

 看護師等の業務については「医師または助産師の指示監督の下、診療または助産の補助を担い、産婦の看護」と説明、具体的には内診以外の妊産婦の体調管理、各種モニターの数値チェックなどが想定されるという。

 同省は「医師、助産師、看護師等が互いの業務を尊重し連携することで医療体制の整備につなげてほしい」(看護課)としている。

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看護師の内診可、と誤解釈 厚労省通知で産婦人科医会
07/04/03
記事:共同通信社
提供:共同通信社
ID:546370


 出産時の医師、助産師、看護師の連携について厚生労働省が3月末に都道府県に出した通知について、日本産婦人科医会が、看護師は内診をできるかのように誤って解釈し、会員向けに文書を送付していたことが3日、分かった。

 厚労省は「看護師の内診は法律で禁じられており、誤った内容が伝えられたことは遺憾」(医政局総務課)として、近く同会を含む関係団体の担当者を呼んで通知内容の周知徹底を図る考え。

 医会が出した文書は2日付で、厚労省通知について「一部報道で『看護師の内診認めず』との表現はあるが、これは通知の誤った解釈」と指摘。医師の指示監督の下で看護師が子宮口開大の計測や児頭の下降状態を確認することができる、とする独自に作成したガイドラインを添付している。

 厚労省は2002、04年に出した通知で、看護師による子宮口の開大確認などは、内診行為であり認められないとの見解を示している。

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看護師「内診」のガイドライン削除 産婦人科医会HP
2007年04月03日20時48分

 厚生労働省は3日、日本産婦人科医会(寺尾俊彦会長)に対し、ホームページ(HP)で、看護師の内診が認められたと、誤った解釈もできるガイドラインを掲載しているとして抗議した。医会は「会員の疑問に答えるため掲載したが、厚労省との相談が不十分だった」として、ページを削除した。

 厚労省は2日、看護師の「内診」を禁じる通知を都道府県に出している。しかし、産婦人科医会は同日付で「産婦に対する看護師等の役割に関するガイドライン」をHPに掲載。医師の指示監督の下ならば分娩(ぶんべん)経過中の観察はできるとして、注意点を列挙していたほか、同省の了解のもとで作成したとしていた。

 この内容に、厚労省は「内容に関する相談を一切受けていない」としたうえで、「通知で禁止した看護師の『内診』に該当する可能性があり、現場を混乱させる」と、医会に削除を要請した。

 医会の木下勝之副会長は「掲載は取りやめたが、助産師不足は深刻化しており、お産が立ちゆかない現状に変わりはない。ガイドラインについては今後、慎重に協議していきたい」と話した。
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投稿者 akiuchi : 11:03 AM

最近の判例から

お産を巡る状況は厳しくなるばかりです。

<最近の訴訟例>

新生児脳性まひ1億2000万円賠償 青森・黒石病院の医療過誤訴訟
07/04/02
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社
ID:545099


青森・黒石病院の医療過誤訴訟:新生児脳性まひ1億2000万円賠償----地裁弘前支部

 青森県黒石市の市国保「黒石病院」(村田有志院長)で生まれた長男(3)が脳性まひになったのは医師が適切な処置を怠ったためとして、同市内の20代の夫婦と長男が市と医師を相手取り約1億3000万円の損害賠償を求めた訴訟で、青森地裁弘前支部(加藤亮裁判長)は30日、同市と医師に計約1億2000万円の支払いを命じた。

 判決などによると、03年8月に、同病院で生まれた際、長男は仮死状態でけいれんを起こしていた。その後、別の病院に転送され、低酸素性虚血性脳症による脳性まひと診断された。加藤裁判長は「医師が妊婦と胎児の状態を経過観察する義務を怠った。早期に帝王切開をしていれば脳性まひを発症しなかった可能性が高い」と指摘した。

 原告の夫婦は「判決の瞬間、頭の中に長男の顔が思い浮かんだ。病院側は控訴しないでほしい」と話している。黒石病院は「判決を厳粛に受け止める。弁護士と協議し対応を決めたい」とコメントを出した。【太田圭介】

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出産時の過失認め和解へ 香川、6500万支払い
07/03/22
記事:共同通信社
提供:共同通信社
ID:523977


 担当医のミスで、生まれた男児に脳性まひの障害が残り5年後に死亡したとして、香川県三豊市の両親が三豊総合病院(同県観音寺市)に損害賠償を求め、高松地裁丸亀支部で争われていた訴訟は20日までに、病院側は過失を認め、和解金6500万円を支払うことで両親と合意した。

 訴状によると、母親は2000年1月に入院。担当医が胎児の心拍数などの異常を見落とし、帝王切開などの措置を取らなかったため男児は仮死状態で誕生。脳性まひによる呼吸不全が遠因で05年8月に死亡した。

 同年11月、両親は約9500万円の支払いを求め高松地裁観音寺支部に提訴。審理を同地裁丸亀支部に移し、昨年11月、和解勧告していた。

 病院側は、再発防止策として夜間の助産師を1人増員した。

 母親は「すべて納得したわけではないが応じることにした」と話した。

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長男の脳性まひで両親ら、秋田の産婦人科医院を提訴
07/03/20
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社
ID:521467

損賠訴訟:長男の脳性まひで両親ら、秋田の産婦人科医院を提訴 /秋田

長男(3)が脳性まひの障害を負ったのは、出産時に適切な処置がなされなかったためだとして、秋田市の両親らが19日までに、同市の産婦人科医院を相手取り約1億5700 万円の損害賠償を求める訴訟を秋田地裁に起こした。

訴状によると、母親は04年1月、自宅で破水し、同医院に入院。入院直後から多量の出血を繰り返し、仮死状態で生まれてきた長男は、重度の脳性まひにより両足や腕に障害が 残った。両親は「医院側は分娩(ぶんべん)監視装置で胎児の心拍数を側るなどしなかったために仮死状態の発見が遅れ、障害が残った。早期に異常に気付き、高次の病院に転送 したり、帝王切開するなどしていれば事故は防げた」と主張している。

同院の院長は「結果は気の毒に思うが、適切な処置をし、ミスはなかったと思っている」としている。【百武信幸】

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<内診問題関連ニュース>

出産で障害と院長提訴
07/04/03
記事:共同通信社
提供:共同通信社
ID:546376


 出産時に医師が適切な処置を取らなかったため生まれてきた長女(2)に障害が残ったとして、島根県斐川町の夫妻らが2日までに、同町の産婦人科医院の院長に約1億6000万円の損害賠償を求める訴訟を松江地裁に起こした。

 訴状によると、2005年1月に同医院で長女を出産した際、胎内にいた長女の心拍数に異常がみられたのに医師が約40分間、モニターでの監視を中断。帝王切開などの処置も取らなかった。

 監視を再開した時、長女はすでに仮死状態だった。そのまま生まれ、約10分後に蘇生(そせい)したが、脳性まひによる機能障害が四肢に残ったという。

 同医院の代理人は「コメントできない」としている。

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投稿者 akiuchi : 11:00 AM

April 02, 2007

看護師の内診認めず・無資格助産で厚労省が通知

2007年4月1日、医政局長の通知が出された。

これは私たちの戦いの敗北を意味するものではなくて開始を告げるものだ。

このままでは日本のお産を守ることはできない!

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看護師の内診認めず・無資格助産で厚労省が通知
 堀病院(横浜市)の無資格助産事件で元院長らが起訴猶予になったのを受け、厚生労働省は2日までに、出産時の看護師の業務について「自らの判断で分娩(ぶんべん)の進行管理は行うことができない」と明記した医政局長名の通知を都道府県に出した。

 同省が2002、04年に鹿児島、愛媛両県に出した内診禁止の通知で内診の定義に挙げた「子宮口の開大、児頭の下降度などの確認、分娩進行の状況把握」などは「今回の通知にある『分娩の進行管理』に当たる」(看護課)としており、看護師による内診は認められないとする従来の見解を追認している。

 看護師等の業務については「医師または助産師の指示監督の下、診療または助産の補助を担い、産婦の看護」と説明、具体的には内診以外の妊産婦の体調管理、各種モニターの数値チェックなどが想定されるという。

 同省は「医師、助産師、看護師等が互いの業務を尊重し連携することで医療体制の整備につなげてほしい」(看護課)としている。〔共同〕(14:01)

投稿者 akiuchi : 04:08 PM

March 01, 2007

「良い産院の10ヵ条」

「良い産院の10カ条」によって日本のお産は集約化という話が本格化してきたのだがそろそろ見直してもいい時期なのだが厚労省も医会も一度出したものをなかなか簡単には引っ込めないな・・・

平成16年4月12日放送
 「良い産院の10ヵ条」について
 総合母子保健センター愛育病院院長 中林 正雄


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 本日は「良い産院の10カ条」について、お話させていただきます。

 急激な少子化が進行する中で、妊娠・出産を取り巻く医療現場や社会環境は大きく変化してきており、数多くの問題が提起されています。

 各科において医療事故の多発が社会的な問題となっている現在、妊娠・出産における安全性を確保することは、国の医療政策の最重要課題となっています。この安全対策を医療従事者個人の問題ではなく、医療システム全体の問題としてとらえ、体系的に実施することを目的として、平成15年より厚生労働科学研究「産科領域における安全対策に関する研究」が進められました。

 この研究の成果は、産婦人科の医師のみならず妊産婦自身をはじめとする社会全体に周知し、妊娠・出産の安全性とリスクについて社会的コンセンサスを得ることが重要です。

 本研究の背景には、次のような諸問題があります。

産科領域では医療訴訟が多く、賠償額が高額である。
産科の業務内容が厳しく、医療従事者のQOLが保てないため、産科医の人的不足が深刻である。
中小施設での分娩が多く、マンパワー不足による母児の安全性に問題がある。
周産期医療システムおよび医師の生涯研修システムの整備が不十分である。
 こうした諸問題の解決を目指して、以下の計画に基づいて研究を進めています。

妊産婦死亡事例、新生児死亡・後障害例の頻度と要因の分析をする。
それらを踏まえた「新しい周産期医療システムの提言」、つまり、一次医療施設と周産期センターの役割分担をし、そのためのオープンシステム病院の普及を考える。
これらのことをメディア関係者の協力を得て広く社会に知らしめる。
「産科研修ノート」「安全管理指針」の周知徹底や「分娩のリスク・アセスメント」など、産科医療スタッフの生涯研修の充実を図る。
 我が国の妊産婦死亡率の推移を見ると、50年前の1950年は10万分娩に対して176で、USA(83.3)やスウエーデン(61.5)と比べて2から3倍の高率でした。しかし1990年にほぼ肩を並べ、2000年には6.3となって、USA(9.8)やスウエーデン(5.0)と比べて遜色のないレベルに達することが出来ました。
また、早期新生児死亡と妊娠28週以後の死産を合わせた周産期死亡率を見ると、50年前は出生1,000に対して46.6であったものが、2000年には3.8となり、現在我が国の周産期医療は世界でもトップレベルの水準に達しています。

 しかし、一般的に考えられているように「分娩は母子ともに安全である」というのは神話であって、実際には1,000人に4人の赤ちゃんが、また1万人に1人の母親が分娩時に亡くなっています。昔の医療水準に戻れば、この30倍の母児が亡くなりかねないということをよく理解していただきたいと思います。

 母体死亡に関する詳細なデータは、実は大変に少ないのですが、1991から92年にかけて死亡した230例の中で、詳細の分かった197例について分析したところ、救命可能であったと思われる症例が約1/3以上ありました。これらを分析すると、医師が1人の診療所で40例(55.6%)あり、医師が3人以上常駐する病院では14例(19.4%)でした。つまり、医師が1人の診療所において、多数の救命可能例が結果として死亡に至っていることが分かったのです。

 この中で、数が多く救命可能率も高いのは出血性ショックと妊娠中毒症で、ともに死亡例のうちの半数以上が救命可能であったと考えられます。一方、心臓疾患や肺塞栓症、頭蓋内出血などの内科疾患合併妊娠は、救命が困難だったと考えられます。

 平成13年度の妊産婦死亡(総数76)の主要死因を見ても、胎盤異常や分娩後出血などによる出血性ショックや妊娠中毒症が多く、妊産婦死亡の原因は10年前と大きな違いはなく、今後の医療レベルの向上によって救命可能なケースがまだまだあることが分かります。また、日本産科婦人科学会周産期委員会の分娩登録による同年の胎児・新生児死亡の主要原因を見ても、臍帯脱出・下垂、常位胎盤早期剥離に続いて、周産期の感染症、分娩時の胎児・新生児低酸素症や損傷など、医療の向上によって改善可能なケースが多くあると考えられます。

 2002年、日本産科婦人科医会が約1万件の分娩のうち396件のインシデント・アクシデントレポートを集めました。これを分析したところ、妊婦に障害が残ったり死亡する可能性があったものは1.7%でした。つまり1万例の分娩の約1から2%にはこうしたニアミスがあることになります。しかし、このデータを見ると、医療レベルというよりもダブルチェックとかIT化によるチェックシステムなどの改善によって防げるのではないかと推測されます。これらのことから、新しい周産期システムはどうあるべきかを考えると、次のようにまとめることができます。

一次医療施設の役割として、産科医が1人の診療所は妊婦健診を担当したり、オープン病院の利用を進める。また複数の産科医のいる施設ではローリスク妊娠の分娩管理をする。
一次医療施設が利用できるオープンシステム病院を普及させる。
ハイリスク妊娠はできるだけ周産期母子医療センターへ分娩を集約化する。
ダブルチェックが可能な人員を確保し、余裕のある医療態勢を敷く。
これらは学会・医会が協力して行うべきことで、(セミ)オープンシステムの普及によって1人で開業している医師も、現代の周産期医療レベルを維持することができますので、これは生涯研修の非常によい方法でもあります。
 これから述べる「良い産院の10カ条」は、我々医師だけでなく、利用する妊産婦をはじめ社会全体のコンセンサスを得なければ早期に改善することは難しいと考え、提案する次第です。そして、例えば40歳の高齢初産婦であれば、最初からしかるべき病院に行くというように、患者自身が自分の健康状態に合わせて病院を選択するという視点が必要だと思います。今後は妊娠初期に妊婦を
low risk, moderate risk, high riskに分類する適切な基準を検討し作成したいと考えています。

 良い産院の10カ条を述べさせていただきます。

医師の数や年間に扱う分娩数などの情報が公開されている。
複数の産婦人科医師がいるか、1人なら高次医療施設やオープンシステム病院との連携が密である。
帝王切開・輸血がいつでも速やかにできる(他院との連携を含む)。
医師が生涯研修・自己研修に熱心である。
助産師・看護師などの医療スタッフが充実している。
小児科医・新生児科医との協力が密である。
安全なお産のための母児モニターが十分に行われている。
妊婦の意向を尊重し、快適な分娩を心掛けている。
検査、処置に関する説明が十分に行われている。
医療安全システムが整備され、院内が清潔で整理整頓されている。
 現在でも多くの診療所・病院がこの10カ条を満たしていると思われますが、母児の安全性確保のためにはとても大切なことと考えています。

 最後に日本全国において安全な妊娠・出産への行程表がなければなりません。都道府県の自治体ごとに事情が異なるので、自治体ごとに周産期医療協議会を設置し、地域の実情に応じた周産期医療システム整備の中長期計画を作成して示し、行政、学会、医会が協力して、周産期医療の安全を達成しなければなりません。

 なぜなら、母体死亡が1万人に1人ということは、1人の医師が年間200例の分娩を扱っても50年に1度で、医師個人が危機意識を持つのは難しいでしょう。全国的な統計をとって現状を把握して認識し、行政レベルの改善が必要であろうと思います。

投稿者 akiuchi : 10:39 AM

February 27, 2007

下野新聞の「お産」関連記事

「お産」をキーワードに最近の下野新聞記事を検索してみた。かなりの頻度で取り上げられていることがわかる。

企画/お産危機 とちぎの現場から/上/急減する分娩施設/妊婦集中 予約を制限/「ハイリスク」対応深刻
2007.02.24 朝刊 1頁 第1面 (全1,382字)
くらすα(アルファ)情報クリップ/来月、「婦人科がん」公開講座
2007.02.24 朝刊 22頁 暮らし家庭 (全261字)
とちぎ地域医療/分娩対応 病院は「限界」/県が医療機関調査/余力、年400件どまり/産科医不足を裏付け
2007.02.17 朝刊 1頁 第1面 (全1,012字)
とちぎ地域医療/「お産難民」強まる危機感/県の産科医療調査に関係者/抜本的対策道筋見えず
2007.02.17 朝刊 3頁 社会 (全823字)
県産アユで魚醤開発/宇都宮白楊高の生徒たち/塩量抑え醸造期間短縮/商品化希望の企業募る
2007.02.15 朝刊 12頁 経済 (全784字)
県当初予算案/医療/分娩体制 助成で下支え/医師不足に「対症療法」/ドクターバンクなど継続
2007.02.10 朝刊 3頁 社会 (全905字)
とちぎ地域医療/県の研修資金貸与制度/産科大学院生まで拡大/自治、獨協2医大対象
2007.01.29 朝刊 1頁 第1面 (全798字)
とちぎ地域医療/県新年度予算案/ハイリスク分娩に助成/6600万円、受け入れ病院対象
2007.01.25 朝刊 1頁 第1面 (全639字)
1年間の研究成果披露/2高校が専門学科発表会/中学生に内容PR/真岡市
2007.01.23 朝刊 31頁 各地 (全408字)
雷鳴抄/医療難民
2007.01.16 朝刊 1頁 第1面 (全562字)
とちぎ地域医療/産科医不足受け県/「院内助産所」を研究/役割分担で機能維持/正常分娩は助産師/ハイリスクは医師
2007.01.01 朝刊 3頁 社会 (全835字)
虐待防止は妊娠中から/大田原日赤/チェックリスト作成、試行/事例基に母子診断
2006.12.31 朝刊 3頁 社会 (全731字)
とちぎ地域医療/分娩実態 県が調査/年明け、医療機関の余力も
2006.12.30 朝刊 1頁 第1面 (全875字)
論説/とちぎ発/医療機関の分娩縮小/勤務医の労働環境改善を
2006.12.27 朝刊 6頁 総合 (全960字)
とちぎ地域医療/「国立栃木」が分娩縮小/常勤医減、休止も視野/塩谷総合は年末で休止/県、実態把握へ
2006.12.14 朝刊 1頁 第1面 (全987字)
とちぎ地域医療/「お産難民」発生の恐れ/高リスク対応も不安視/県内病院、相次ぐ分娩休止
2006.12.14 朝刊 3頁 社会 (全953字)
とちぎ地域医療/医師研修費貸与県に拡充要求/県議会特別委
2006.12.14 朝刊 5頁 総合 (全273字)
断面とちぎ/小児科・産科の新医療体制づくり/知事の直接要請 切り札/既存対策に手詰まり感/「大学の協力」確保狙う
2006.11.25 朝刊 5頁 総合 (全1,227字)
ズーム/小児科・産科の新たな地域医療体制
2006.11.25 朝刊 5頁 総合 (全132字)
とちぎ地域医療/福田知事/産科開設の必要性訴え/獨協医大にも協力要請
2006.11.16 朝刊 5頁 総合 (全616字)

投稿者 akiuchi : 08:12 AM

February 14, 2007

日産婦・産婦人科医療提供体制検討委員会の第2次中間報告

「じほう」が日産婦・産婦人科医療提供体制検討委員会の第2次中間報告をまとめて報道している。将来像が中心となっていて現在の喫緊の課題(内診問題の解決など)には言及されていないことに不満を覚えるがマスコミ(じほうはミニコミか?)が今回の報告を広めてくれることは委員会に参加したものとして大変喜ばしいことだと思う。

日産婦・産婦人科医療提供体制検討委員会が第2次中間報告 24時間救急対応の「地域産婦人科センター」構想

記事:Japan Medicine
提供:じほう

【2007年2月14日】
地域連携の再構築を目指す

日本産科婦人科学会(武谷雄二理事長)はこのほど、産婦人科医療の安定提供について第2次中間報告をまとめた。福島県立大野病院事件をきっかけに、産婦人科医療のさまざまな問題が浮き彫りになる中、学会として産婦人科医療提供体制の将来像を示し、具体案を示した。

 産婦人科医療提供体制検討委員会(海野信也委員長)は2日、昨年4月の中間報告に続く第2次中間報告をまとめた。今回の報告は、大野病院事件の影響を受け、「医療紛争増加への対策」や「分娩の在り方」などについても検討が重ねられ、将来像を示すとともに問題解決に向けた提言を示した。
 産婦人科医療の将来像については、産科医療圏を「地域から育てる産婦人科医療ネットワーク」として再構築し、地域の実情を考慮しながら、人口30万人から100万人で、出生数が3000人から1万人を1つの医療圏とすることを示した。また助産所・診療所・病院・地域産婦人科センター・中核病院などの産婦人科医療機関が、各地域で連携・ネットワークを図る「地域分娩施設群」 を形成するとした。
 「地域産婦人科センター」は、産科医療圏内で24時間体制で救急対応ができる施設の概念で、地域の医療機関・医療スタッフが構成するネットワークと密接な連携体制を構築維持する施設としている。センターの条件としては、「労働関連法規に準拠し、24時間救急に対応可能な勤務体制を構築できる産婦人科勤務医数の確保」「小児科・麻酔科などの関連他科の安定的協力体制」「病院全体の24時間救急対応体制」「産科診療圏の全分娩に対応できる地域分娩施設群間のネットワーク整備」「臨床研修の中心施設としての役割」「臨床研究の中心施設としての役割」-を示した。

医療紛争解決システムは産科医療の再建に不可欠

 中間報告では将来像を具体化する提言として、<1>国による医療紛争解決システムの早期構築<2>各地域の産婦人科医による主体的取り組み<3>地域の分娩施設を確保するための行政の取り組み<4>行政と医療関係者との協力による安全で効率的な医療提供体制の構築<5>患者側・産婦側の協力?を示した。
 このうち<1>については、医療紛争ADR機関や医療事故原因究明機関、医療事故無過失救済制度を備えた医療紛争解決システムが不可欠であると提言した。
 その背景には、従来多い民事訴訟に加えて、最近は刑事告発や警察の捜査・送検・起訴が続発していること、さらにそれらが大きく報道されることによって診療現場に大きな影響を及ぼしていること、一方的な報道が医師・看護師不足で疲弊した診療現場にさらなる圧力をかけていることなどがあるとした。
 中間報告ではまた、医療事故の当事者(患者側)は法的手段以外に方法がないこと、事実関係を明らかにし和解に導く制度がないこと、法的な結論が出るまで補償や救済がないことも重視している。紛争を早期に解決し、医療事故の再発を防止するには、第三者の専門家による調査で事実関係と責任の所在を確認することが必須条件であるとした。

Copyright (C) 2007 株式会社じほう




投稿者 akiuchi : 11:38 PM

February 13, 2007

、「日本のお産を守る会」

日本産婦人科医会のMLで「日本のお産を守る会」の結成が宣言された。賛同者が続々を名乗りを上げてくれることに感謝している。当面は厚生労働省の医政局長に看護課長通知の撤回を求める運動を展開することになるが目標とするところは当然日本のお産文化を守って地域周産期医療の崩壊を防ぐことにある。

この度、7名の会員が集まり、「日本のお産を守る会」を

結成しました。

厚労省に通知の見直しを求めて陳情に行くことを計画しています。


賛同の先生方の御名前を要望書に添えたいと思います。

なお別途、国民に広く賛同を呼びかける署名活動も合わせて

計画中で、準備が整いしだい、開始致します。

先に7名の名前を列挙しておきます。(順不同)

赤堀彰夫(静岡県)

石井廣重(静岡県)

木内敦夫(栃木県)

衣笠万里(兵庫県)

田中啓一(京都府)

船橋宏幸(茨城県)

前田津紀夫(静岡県)

以下、文面です。

要望書 医政局長 殿

 平成14年と平成16年に貴省看護課長により出されました、医師と助産師以外の者の内診を保助看法違反とする通知の見直しを要望致します。現時点まで日本全体の出産の約半数を産科開業医が担っています。これらの通知を機に閉鎖された診療所、存立の危機に立つ診療所の数は枚挙に暇ありません。もし産科診療所が存在しなくなりますと、病院分娩も維持することができなくなります。国民の過半数が出産施設を失うのです。今日の危機的状況を打開するため、貴職に通知見直しを要望する次第です。

  平成19年2月12日 日本のお産を守る会

投稿者 akiuchi : 04:22 AM

February 04, 2007

逆転の時代~進化するIT最前線~

日曜日の午後4時から東京12チャンネルで興味深い番組を見た。岩手県は本当に大変だと思った。

岩手県遠野市。県立病院には常勤医に産婦人科医と眼科医がいないなど医師不足が深刻。
特に産婦人科医は市内に開業医すらいない。このため妊娠した女性たちは大きいお腹を抱えたまま、曲がりくねった街道を経て釜石市や、遠くは盛岡市などに通っている。
「お腹の赤ちゃんが元気に育っているのだろうか」「出産ギリギリまで自宅に居られないだろうか」…こんな妊婦さんの不安を解消するITの仕組みが、昨秋から導入されている。番組ではこのシステムを利用している妊婦さんに密着。感動の出産を迎える。

投稿者 akiuchi : 05:43 PM

「不妊夫婦に光」信じ 体外受精児誕生に国内初の成功 鈴木雅洲氏に聞く=宮城

日本の不妊症治療のパイオニア・鈴木雅洲先生の紹介記事が出ていた。85歳で現役というのは驚きだな。

「不妊夫婦に光」信じ 体外受精児誕生に国内初の成功 鈴木雅洲氏に聞く=宮城

 ◇東北大100年
 ◆85歳現役
 東北大で1983年、国内初の体外受精児誕生に成功した鈴木雅洲(まさくに)・同大名誉教授(85)は、医療の最前線で現役として活躍している。体外受精の実施件数は年々増加し、誕生した赤ちゃんは年間約1万8000人(2004年)に上る。こうした中、昨年10月には長野県諏訪市のクリニックで「孫」を代理出産したケースが明らかになるなど、生殖医療を巡る論議は尽きない。鈴木名誉教授に体外受精への取り組みや考え方などを聞いた。(聞き手・木村達矢)
 ◆おおらかな校風
 --産婦人科医になったきっかけは
 東京帝大医学部を卒業したのが終戦直後の46年。ベビーブームが訪れたが、仙台市内でも3人くらいしか産婦人科開業医がおらず、今よりもはるかに深刻な医師不足だった。そんな中、人に勧められたこともあり、東北帝大医学部の産科婦人科学教室に入った。
 当時、この教室には、篠田糺先生(後に岩手医大学長)や九嶋勝司先生(後に秋田大学長)らがいて、全国有数のレベルを誇っていた。
 --体外受精研究の国内の中心人物になった
 もともと、性ホルモンや細胞培養の研究を行っていた。70年代はまだ細胞培養の技術が未熟で、世界中の研究者が体外受精の可能性を探っていた。私は日本から唯一、体外受精の国際研究グループに参加した。
 78年に英国の研究者が世界で初めて体外受精児の誕生に成功したが、200人試してようやく1人成功するほどの成功率でしかない。我々が83年に国内初の体外受精児を誕生させた時も、100人くらい失敗を重ねた。最大の問題は培養液に含まれる微量の有害物質。水の問題が解決するまで世界第1例から10年かかった。1例成功したからと言って、技術が完成するわけではない。
 --当時、世界中で体外受精技術に対する倫理的な問題が指摘された
 マスコミや市民団体からは激しい攻撃を受け、他大学の産婦人科医からも「体外受精はやるべきでない」と言われ続けた。しかし、東北大の中では、批判されることはなかった。東北大はいい意味でのんきでおおらか。「新しいことをやるときは批判もある」というとらえ方をしてくれた。
 特に全国の麻酔科医が体外受精への協力を拒む中、東北大の麻酔科は協力してくれた。麻酔科が協力してくれなかったら、東北大で体外受精が成功することはあり得なかった。
 --批判を受けながら、それでも体外受精研究を続けたのはなぜか
 やはり、体外受精が不妊夫婦に大きな力を与えるとの思いがあった。東北大を定年退職後の86年、岩沼市に国内初の不妊症専門病院「スズキ病院」を設立したが、体外受精技術が実用化できるかどうか確かめることが目的だった。
 実用化できると確信できたのは、約15年前。体外受精が社会的に理解されるまでには30年かかった。
 ◆法規制まだ早い
 --代理出産問題などをきっかけに、生殖医療に対する法規制をすべきとの議論もある
 生殖医療技術は発展途上にあり、法規制はまだ早い。今、法律を作ってしまうと、学問が発展したときに役に立たなくなる。代理出産についても、代理母や依頼した夫婦の心理状態など、心理学的な研究は尽くされていないし、社会的、道徳的研究も行われていない。医学、心理学、文学、芸術などさまざまな分野の専門家が集まって議論すべきだ。
 --85歳の今も、外来診療を担当するなど第一線に立つ。健康の秘訣(ひけつ)は
 いろいろな評判を聞いて、優秀な医者を見つけ、定期的に健康診断してもらうことだ。優秀な医者であれば、専門以外の病気も見つけてくれる。医者が悪ければ、助かる患者も死ぬ。医者が良ければ、死ぬはずの患者が助かる。

 【略歴】仙台市出身。東京帝大医学部卒。東北大助教授、新潟大教授を経て、70年から東北大教授。85年に同大名誉教授。86年に国内初の不妊症専門病院「スズキ病院」(昨年、スズキ記念病院に改称)の院長に就任。これまで体外受精で妊娠・出産した数は1000人以上に上る。

 写真=「おおらかな東北大の雰囲気が国内初の体外受精児誕生を成功させた」と語る鈴木氏(スズキ記念病院で)

[読売新聞 ]

投稿者 akiuchi : 10:55 AM

February 01, 2007

医療過誤:「人工破膜」で胎児死亡、産科医院に賠償提訴

助産師が人工破膜して訴えれるという症例。胎便吸引症候群(MAS)だと思うのだが結果が悪ければ訴えられてしまう時代。助産師だろうと医師だろうと容赦はない。

医療過誤:「人工破膜」で胎児死亡、産科医院に賠償提訴
 助産師が分娩(ぶんべん)を促すために妊婦の卵膜を破る「人工破膜」を早くしたため新生児が仮死状態になり死亡したとして、横浜市の30代の夫妻が31日、同市戸塚区内の産婦人科医院に慰謝料など5320万円を支払うよう求める訴訟を横浜地裁に起こした。

 訴えによると、原告の妻は男児を出産しようとしていた03年8月24日午後5時半ごろ、同病院で助産師から人工破膜を受けた。生まれなかったため、約1時間10分後に頭にカップを吸着させて男児を引き出したが、仮死状態で気管に便を詰まらせていた。しかし、院長らは便を取り除かず、男児は19日後に死亡した。

 夫婦は▽人工破膜した時点では子宮口は全開しておらず、破膜すれば胎児への圧力が強くなって仮死状態になることは予想できた▽院長らが詰まった便を取り除くなどの処置をしていれば死亡しなかった--などと主張している。院長は「訴状の内容を把握していないのでコメントを差し控えたい」としている。【野口由紀】

毎日新聞 2007年2月1日 20時26分

投稿者 akiuchi : 11:11 PM

January 13, 2007

問われる「日本一」:堀病院・無資格助産事件 横浜市予算案、助成に8百万 /神奈川

診療所のお産が抜けているんだけど?

問われる「日本一」:堀病院・無資格助産事件 横浜市予算案、助成に8百万 /神奈川
1月12日12時2分配信 毎日新聞


 ◇産科医連携や潜在助産師活用
 産婦人科病院「堀病院」(横浜市瀬谷区)による無資格助産事件を機に、横浜市は新年度から緊急産科医療対策に本格的に乗り出す。病院や診療所での産婦人科医師の連携促進や助産師の研修に助成をするなど、新年度当初予算案に新規事業として800万円の予算を盛り込んだ。事件を機にクローズアップされた分娩(ぶんべん)を取り扱う医療機関の減少や、助産師の偏在・不足に対応するのが狙い。
 市内で分娩できる病院、診療所、助産所は04年度に65施設あったが、昨年3月の調査で56施設に減った。同市は地域ごとに出産は病院と助産所で、健康診断は診療所で役割分担する「セミオープンシステム」を支援する。システム導入を前提に、診療所の医師が病院に非常勤で勤務するなど連携する連絡協議会や、医療機関の間で情報交換をする勉強会や症例研究会の開催に助成する。
 資格はあるのに子育てや夜勤の激務などで産科医療から離れている潜在助産師や、産科医療の現場にいても分娩に携わっていない病院の助産師の活用も目指す。助産所が病院の助産師を受け入れる研修や、昨年12月に開催して好評だった「潜在助産師研修会」などを実施する経費を助成する。
 また、分娩の受け入れ可能な医療機関の情報を発信する民間事業者を支援し、市のホームページ(HP)で事業者のHPを紹介する。市の来年度当初予算案は▽一般会計が約1兆3300億円(前年度比2%増)▽特別会計が約1兆3800億円(同5%減)▽公営企業会計が約6600億円(同5%増)。重複分を除いた全会計純計は2兆5000億円となる見通し。【鈴木一生】

1月12日朝刊

最終更新:1月12日12時2分

投稿者 akiuchi : 10:21 AM

January 11, 2007

赴任特典は「馬」 医師確保へ“奇策” 遠野市

「遠野物語」の世界に一度行ってみたいと思っていたのだが「馬」がもらえるなら本気で考えてみることにしようかな?


赴任特典は「馬」 医師確保へ“奇策” 遠野市
1月11日7時1分配信 河北新報


 当地に赴任した医師には馬を1頭プレゼントします―。岩手県遠野市は新年度、土地柄を生かした「特典」を盛り込んだ医師確保策に乗り出す。開業医も含めて市内に産婦人科医はゼロで、核になる岩手県立遠野病院は診療科の3分の1が非常勤対応。家庭菜園の無償提供なども盛り込み、「危機を乗り切るためには独自のアイデアが必要」と必死の取り組み姿勢を訴えている。

 10日の記者会見で本田敏秋市長が発表した。同日付で市役所に5人体制(専任2人)の「市民医療整備室」を新設。新年度事業として、(1)開業費助成による開業医の誘致(2)特典や環境整備による県立遠野病院勤務医の誘致―に取り組む。

 開業助成は、新規開業する医師(歯科医は除く)が対象で、2000万円を上限として助成する。生活の本拠地を遠野市とし、10年以上診療することが条件。10年未満で撤退した場合は、期間に応じて助成金を返還してもらう。

 勤務医誘致は、暮らしのバックアップを柱に据えた。古くから馬産地として栄えた遠野は「馬の里」として知られ、乗馬牧場もあることから、希望する勤務医に乗用馬をプレゼントし、癒やしに活用してもらう。

 家庭菜園も無償貸与するほか、勤務医の公舎を地元ケーブルテレビが見られ、インターネットに接続できる環境に整える費用を補助する。

 遠野市には、総合病院の県立遠野病院のほか、開業医院(歯科医を除く)が9カ所ある。県立病院は11診療科のうち産婦人科、皮膚科、眼科、整形外科の4科が常勤医師が確保できないため継続診療ができず、月数回の非常勤対応でしのぐ。

 特に産婦人科は深刻。10数年前から開業医はおらず、市内唯一の県立病院の産婦人科が2002年度から月2回の非常勤対応になり、市内で出産できる医療機関がない状態が続いている。

 本田市長は「市民の暮らしを守るためには、医師不足解消が最大の課題。都会では味わえない特典を設け、遠野に興味を持つ医師の掘り起こしに努めたい」と新しい対策の狙いを話す。

 県医師確保対策室の尾形盛幸室長は「馬の提供はとっぴに思われるかもしれないが、インパクトがある。医師不足はそれだけ深刻。厳しい現状を全国に知ってもらう機会にもつながる」と遠野市の取り組みに期待する。

最終更新:1月11日7時1分

投稿者 akiuchi : 10:11 AM

【世界の母子保健】(2)災害の後遺症 不足する医師、消えぬトラウマ

日本では産科医師不足による周産期医療の崩壊が大きな問題になっているが世界に目を向けるともっと深刻な母子保健の問題が山積している。学生時代に国際保健の仕事に関わるには母子保健だと思って飛び込んだ産科医の世界だが夢はかなわぬまま日本から抜け出すこともできずにいる己が情けない。それにしてもここまで日本の周産期医療の状況がひどいものになるとはとても予想できなかったな。

【世界の母子保健】(2)災害の後遺症 不足する医師、消えぬトラウマ

 2年前のインド洋大津波、阪神大震災と同じ約6000人が死亡したジャワ島中部地震など、立て続けに未曾有の大災害に見舞われたインドネシア。ここ数年、財政的な理由で母子保健は厳しくなっていましたが、災害の後遺症で母親、乳児、子供を取り巻く状況はさらに悪化しています。
 (北村理)
 昨年5月27日午前6時前、ジャワ島中部地震が発生したとき、被災地の一つ、ジョクジャカルタ州グヌガン村に住むムギナヒさん(29)は、バイクで仕事に向かう途中だった。当時、妊娠6カ月。大きな揺れであわてて戻ると、自宅は半壊し、母親が頭に大けがを負っていた。
 村では7割の家屋が倒壊し、14人が死亡。地域の医療保健体制も機能が停止した。
 「怖くて崩れかけた家にいられず、自宅近くの木の下で家族と2週間を過ごしました」
 国の支援もなく、不安を感じながら、日々大きくなるおなかを抱え、バイクで約1時間半かかる診療所に通った。娘が生まれたのは9月。ガレキの残る悪路を約2時間救急車で運ばれ、病院にたどりついたとたん生まれた。
 被災後、メードの仕事(月収約8000円)を失い、今は教会職員の夫の収入(約1万8000円)で一家5人が生活する。家の再建には約40万円かかるが、支援は夫の勤める教会から約1万円あったのみ。再建のめどはたっていない。
 子供の1カ月検診は昨年11月末、日本のNGO「ジョイセフ」(家族計画国際協力財団)の支援で復活した無料の移動診療所で受けた。
 ムギナヒさんはぽっかりと穴があいたままの天井をみながら、「無料診療を受けるまで、生まれたばかりの子供にどうしてやればよいか不安でたまらなかった。これからも日本の支援は続くのでしょうか」と、不安に満ちた表情をみせた。
                  □     □
 地震の震源に近く、2年前のインド洋大津波で16万人の死者・行方不明者をだしたアチェ州バンダ・アチェでも、ジョクジャカルタ同様、母子保健が危機的状態だ。
 産科医のモハマド・アンダラスさんは「多くの産婦人科医や助産師が被災して所在不明となり、産科医の資格のない外国の医師が帝王切開の手術をしている状況だった」と打ち明ける。アンダラスさんはバンダ・アチェに残った、たった2人の産科医の1人だ。
 出産を支える体制は崩壊したままなのに、時間とともに被災の緊張が解け、妊娠が急増し始めている。
 急増するお産が、被災を免れた一部の病院に集中。さらに、被災によるトラウマが原因とみられる母体の緊張で、帝王切開の数も増えているという。
 ジョイセフの支援で再建された地元NGO「インドネシア家族計画協会」(IPPA)の診療所でも、被災前と被災後でお産の数が倍増している。
 同診療所幹部でもあるアンダラス医師は「地域の診療所が崩壊し、妊婦が出産前に定期検診を受けていない可能性が高い。そのため、ぎりぎりになって病院に駆け込む例が増えているのではないか」とし、移動診療所の必要性を訴える。
                  □     □
 バンダ・アチェでは、被災した子供への心のケアも課題とされている。
 「家族や友人を亡くしたり、父親の再婚で精神が不安定になっている子供が多い」と言うのは、ピカン・バダ小学校のノルハヤテ校長。同小学校では310人の生徒がいたが、被災後に戻ってきたのは77人。うち、3分の1にトラウマ症状があった。
 授業中、急に机をバンバンたたき出す子。少しの揺れでパニックに陥り、教室を走り回る子。人と接することを過度に怖がり、孤立する子…。
 同校はカウンセリング療法を導入した。療法の一つでは、教室の床に、本やノートなどの“障害物”を置き、トラウマのある子供に目隠しで歩かせる。しかし、実際には、子供が歩き出す前に障害物を片づける。目隠しした子供はそれを知らず、恐る恐る歩を進める。ゴールにたどり着いて、恐れていたのは実体のないものだったことに気づくわけだ。
 「トラウマとはそういう実体のない恐怖であることを分からせ、心を落ち着かせる。また、周りで仲間が見守ってくれていることをイメージさせることで、安心感を抱かせ、復興へ向けての一歩を踏み出させたい」(ノルハヤテ校長)
 しかし、こうした対策も国連や他国NGOの支援によるもの。被災後2年がたち、そうした支援も次第に減りつつあるという。
 【写真説明】
 バンダ・アチェの共同墓地(手前)には、1万人以上の犠牲者が埋葬されている。倒壊した病院がモニュメントとして残されている
 【写真説明】
 再開した移動診療所で健康診断を受けるムギナヒさん親子(中央)。けがをした母親(右端)も付き添う=ジョクジャカルタ・グヌガン村
 〈ゆうゆうLife〉

[産経新聞 ]

投稿者 akiuchi : 06:33 AM

第6回 公判前整理のご報告(県立大野病院事件)

周産期医療の崩壊をくい止める会のホームページに県立大野病院事件の公判概略についての詳しい記事が掲載された。(2007/1/5)検察側は弁護側が提出した証拠採用を拒否しているという。産婦人科学会のみならず日本医学会までほとんどすべての医師(ごく一部を除く)を敵に回して検察がこの裁判を勝ち抜く方法は医者を悪者にしたがるマスコミをうまく味方につけることしかない。十分ありうる話だ。医者はいくら増えたといっても日本社会ではまだまだマイナーな存在だからな・・・

毎日新聞は医者に批判的なマスコミの筆頭だと思っていたら福島県産婦人科医会の会長を務める幡先生の意見を全面的に取り入れた記事が掲載されていた。これは日本のマスコミがいいほう方向へ向かっているということなのだろうか?

12月14日(金)に開催されました、公判前整理(6回目)の報告
http://plaza.umin.ac.jp/~perinate/cgi-bin/wiki/wiki.cgi?page=%B8%F8%C8%BD%B3%B5%CE%AC%A4%CB%A4%C4%A4%A4%A4%C6%2806%2F12%2F19%29 

公判前整理は今回で終了する予定でしたが、決着はつかず、公判が始まってからも継続することとなりました。

第6回 公判前整理のご報告
 平成18年12月14日(金)、午後1時から午後4時半頃まで、第6回公判前整理が福島地方裁判所で開催されました。弁護団は平岩敬一弁護団長をはじめ7名で話し合いにのぞみました。今回で公判前整理は終了し、1月26日より公判が行われる予定でしたが、弁護団側から提出した証拠134点の殆どに対し検察側が不同意を示したため、裁判所の方から検察側に再考するようにとの指示があり、公判が始まった後でも、裁判官、検察官、弁護団との話し合いを継続することとなりました。しかし、1月26日(金)に第1回目の公判が予定通り開催されることとなり、今回の話し合いで2月以降毎月1回公判が開催されることとなりました。

 公判開催日は以下の如く決定いたしました。

第1回 1月26日(金)

第2回 2月23日(金)

第3回 3月16日(金)

第4回 4月27日(金)

第5回 5月25日(金)

(毎回 午前10時から午後5時までの予定、場所は福島地方裁判所)

また、今回、公判の争点として以下の如き点が挙がりました。

1.癒着胎盤の部位と程度

2.出血の部位・程度とその予見性

3.死亡したこととの因果関係

4.胎盤を剥離したことの妥当性、つまり、クーパー使用の妥当性

5.医師法21条違反の正否

などと決定しました。

 1月26日(金)の第1回目の公判は冒頭陳述、2回目以降から検察が申請した証人8名の尋問が行われることになりました。8名の証人とは、県立大野病院のすぐ近くの双葉厚生病院の産婦人科医、手術に一緒に参加した外科医、病院長、手術室にいた看護師、助産師、摘出した子宮の病理を担当した病理の医師、今回の事件について鑑定した医師の8名で、1回の公判で2名ずつ、証人尋問に立つ予定と決定いたしました。しかし、これで裁判は終了することはなく、その後、弁護団からの証人尋問もあり、裁判は当初、考えていた期間より長くなる見込みとなりました(一年位はかかると思われます)。

 次回は、第1回公判の結果についてご報告する予定です。  以上

平成18年12月19日

(文責 佐藤 章)

生きる・福島2007:命の輝きを求めて/5止 減少する産婦人科医 /福島
1月7日11時1分配信 毎日新聞


 ◇医療事故で風当たり 敬遠する学生や研修医--行政の具体策が不可欠
 「おめでとうございます。女の子です。時間は午前11時17分です」
 昨年のクリスマス。福島市北町の産婦人科「明治病院」(幡研一院長)の分べん室のドアが開き、それまで静かだった院内に看護師の声が響いた。45分ほど前に陣痛室に入ったままの妻玉根響子さん(28)の無事な出産を硬い表情で待ち続けていた夫寿彦さん(26)の顔が思わずほころんだ。この日は寿彦さんの誕生日だった。
 2238グラム。
 他の赤ちゃんに比べて少し軽いが元気だ。予定日は26日だった。医師からは「遅れる可能性が高い」と言われていた。しかし、小さな命は、父親と同じクリスマスに生を受けた。
 寿彦さんの仕事は大工。生まれたばかりの赤ちゃんの小さな手のひらを、武骨な人さし指で恐る恐る触った。看護師から「父さん、これから末長くね」と言われると、「(父親の)実感がわき始めてきた」と照れくさそうに話した。
 初産を無事終え満足げな表情の響子さんは、分べん室のベッドに横になったまま我が子に優しくほおずりした。
 明治病院は1910年開院。初代の祖父から数え幡院長は4代目にあたる。単科病院としては、県内で最も歴史がある。幡院長がこの病院で働き始めた81年には年間の出産は1300人だったが、昨年は500人前後にまで減った。少子化と同様、産婦人科医も減少している。
 県内では、県立大野病院で起きた帝王切開手術中の医療事故で、昨年2月、産婦人科医が業務上過失致死、医師法違反容疑で逮捕、起訴された事件以降、産婦人科医不足問題がさらにクローズアップされた。
 県の産婦人科医会長を務める幡院長は、全国の産婦人科医からの後押しを受けて起訴された医師の支援に取り組み、これまでに保釈金や裁判での弁護士費用などを募金からねん出してきた。
 幡院長は「あの一件以来、学生や研修医の間でますます産婦人科医を、敬遠する向きが強くなったのを肌で感じる」と危機感を募らせる。大野病院をはじめ、県内でも産婦人科の休診が相次いでいるが、「行政は医師の集約化を叫ぶが、民間の医師をどう巻き込むか具体策がない」と指摘する。
 産婦人科医は妊婦の予期しない出産に備え、医師の中でも拘束時間が長い。それに見合った収入があるかと言えば、そうではないという。
 しかし、幡院長は「『自分も明治病院で生まれた』という妊婦も多く、そういう時に充実感を味わう」と、産婦人科医ならではのやりがいも感じている。響子さんも明治病院で生まれた。
 寿彦さんと響子さんの長女は「雛菜(ひな)」ちゃんと名付けられた。寿彦さんは「うちのだけ保育器に入っている。他の赤ちゃんと並んでいると小さくて少し心配だけど、元気にすくすく優しい子に育ってほしい」と話した。
 ちょっと小さくても輝き始めた命。その輝きを与える現場が直面している危機。医師不足問題にどう対処するか、社会全体として向き合っていかねばならない。=おわり
   ◇   ◇
 この企画は西嶋正法、坂本昌信、町田徳丈、松本惇、今村茜が担当しました。

1月7日朝刊

投稿者 akiuchi : 05:43 AM

January 10, 2007

大阪の基幹病院、ハイリスク妊婦優先で緊急搬送受け入れ 分娩予約を制限

昨年起こった奈良県立大淀病院と福島県立大野病院の事件が大きなインパクトを与えていることは間違いない。本当に妊婦さんには大変な時代になってきた。産科医がなぜ不足しているのか?本気で考えて欲しいと思うのだが・・・

大阪の基幹病院、ハイリスク妊婦優先で緊急搬送受け入れ 分娩予約を制限

 ◆奈良の転院拒否教訓
 医師不足で産科の閉鎖が相次ぐ中、妊婦が集中する大阪府内の10基幹病院で、分娩(ぶんべん)予約を制限し、出産間近の胎児や母体の危険が迫っているハイリスクの妊婦の緊急受け入れ枠を確保しようとする動きが広がっている。すでに4病院が制限を始め、6病院の中には制限を検討する医療機関も。背景には、奈良県・大淀病院で意識不明になった妊婦が、奈良、大阪の19病院で転院を断られて死亡したケースなど、周産期医療体制の〈ほころび〉に対する危機感があり、関係者は「肝心な時に妊婦を受け入れてこそ基幹病院の役割が果たせる」としている。
 大阪府では、新生児集中治療室(NICU)などを整備した43の医療機関が情報を共有し、加盟病院の空床状況をインターネットで照会するシステムがあり、10病院が特に高度な産科医療を担う基幹病院と位置づけられている。
 その一つ、府立母子保健総合医療センター(同府和泉市)では、月110~140件だった分娩が、昨夏ごろから急増。昨年10月には163件に達し、緊急搬送に対応できなくなるため、翌月から分娩予約を100件以内に制限した。
 末原則幸・産科部長は、福島県で帝王切開手術で女性を失血死させた執刀医が昨年、業務上過失致死容疑などで逮捕・起訴された事件を挙げ、「中堅病院が委縮し、対応できる症例なのに基幹病院へ妊婦を送り込んでくる事例が増加した。リスクの高い順に、基幹病院、中堅、産院と、症例に応じた産科医療機関のすみ分けを急ぐべき」と話す。
 関西医科大付属枚方病院(同府枚方市)でも昨夏から、妊娠13週以降に初診に訪れた妊婦については、リスクが低い場合は他の病院を勧め、里帰り出産も断っている。神崎秀陽(ひではる)・産婦人科教授は「それでもNICUが満床の時が多く、緊急搬送を受け入れられるのは4割程度」と打ち明ける。
 また、大阪市立総合医療センター(同市都島区)は今月から、正常産の受け入れの上限を月45件から40件程度に減らし、緊急搬送をより多く受け入れる体制をスタートさせた。
 分娩が月150件を超える民間の愛染橋病院(大阪市浪速区)でも昨年12月から月120件程度への制限を始め、今年5月までの新規の分娩予約を断っている。緊急搬送が月10~20件はあり、出産費の負担を軽減する国の「入院助産制度」の認可を受けており、経済的に困っている妊婦の利用も多い。村田雄二院長は「制限は心苦しいが、身体的、経済的にリスクのある妊婦を優先的に受け入れていきたい」と話している。
 出産問題に詳しいジャーナリストの河合蘭さんの話「病院探しに苦労する妊婦も出てるだろうが、『近くで産みたい』という意識を変える必要もある。社会全体で命の誕生を守っていかなければいけない」

 〈周産期医療〉
 合併症や早産など母体と胎児・新生児のリスクが高い妊娠中から出産後までの緊急事態に備えた産科と小児科による総合的な医療。厚生労働省は、人口規模に応じて都道府県に1か所以上の「総合周産期母子医療センター」の設置を求めており、2006年現在で、39都道府県・61施設があり、奈良県など8県が未整備のまま。

 図=分娩予約を制限している基幹病院

[読売新聞 ]

投稿者 akiuchi : 07:47 AM

January 06, 2007

周産期医療に施設格差 新生児救命率、100 ~78% 厚労省調査

救命率が低いと指摘された周産期センターには厳しい報道だがその原因が何なのか?マンパワー不足によるものなのか、治療法の選択によるものなのか、詳しい情報が欲しいところだ。行政には産科以上に過酷な労働条件で働いている新生児専門医のモチベーションをあげるようにしながら成績の向上を図っていただきたいと思う。そうしなければ新生児専門医も「立ち去る」ことになるだろう。

周産期医療に施設格差 新生児救命率、100 ~78% 厚労省調査

 リスクの高い妊婦と赤ちゃんをケアする全国各地の「総合周産期母子医療センター」など周産期医療の中核施設で、平成15年に入院した出生体重1500グラム以下の赤ちゃんの治療結果を比較すると、救命率が100%から78%まで施設間で格差のあることが4日、厚生労働省研究班が行った初の調査で分かった。
 産科医不足が深刻化する中、厚労省は各地の同センターを拠点として「安全なお産」の体制整備を急いでいるが、調査では救命率のほか治療法にもばらつきがあることが判明。研究班の佐久間泉・東京女子医大病院准講師は「センター未整備の県もあり、地域格差は大きい。毎年のデータを比較して格差の原因を探りたい」としている。
 調査は平成16年12月~17年3月、全国で総合周産期母子医療センターに指定された37施設と、それに準ずる5施設を対象に実施。データがそろっていた37施設について、赤ちゃん計2145人分の治療結果を分析した。
 それによると、救命され退院できた赤ちゃんは1913人。救命率の平均は89%で、内訳では95%以上が9施設あった一方で、80%未満も5施設あった。出生体重が少ないほど生命の危険が高いため、体重別の分布を考慮してデータを修正しても格差は縮まらなかった。施設規模や年間入院数、センターに指定されているかどうかも、救命率と関連はなかった。
 入院中に亡くなった赤ちゃんは232人で、救命率が平均以下だった病院の結果が平均まで改善されると、約60人は救命できた可能性があると研究班は推計している。

[産経新聞 ]

***********************

新生児医療に地域格差 救命率、100%から78% 全国母子センターの2000人 厚労省研究班が初調査
07/01/05
記事:共同通信社
提供:共同通信社
ID:439077


 リスクの高い妊婦と赤ちゃんをケアする全国各地の「総合周産期母子医療センター」など周産期医療の中核施設で、2003年に入院した出生体重1500グラム以下の赤ちゃんの治療結果を比較すると、救命率が100%から78%まで施設間で格差のあることが4日、厚生労働省研究班が行った初の調査で分かった。

 産科医不足が深刻化する中、厚労省は各地の同センターを拠点として「安全なお産」の体制整備を急いでいるが、調査では救命率のほか治療法にもばらつきがあることが判明。研究班の佐久間泉(さくま・いずみ)・東京女子医大病院准講師は「センター未整備の県もあり、地域格差は大きい。毎年のデータを比較して格差の原因を探りたい」としている。

 調査は04年12月-05年3月、全国で総合周産期母子医療センターに指定された37施設と、それに準ずる5施設を対象に実施。データがそろっていた37施設について、計2145人分の赤ちゃんの治療結果を分析した。

 それによると、救命され退院できた赤ちゃんは1913人。救命率の平均は89%で、内訳では95%以上が9施設あった一方で、80%未満も5施設あった。出生体重が少ないほど生命の危険が高いため、体重別の分布を考慮してデータを修正しても格差は縮まらなかった。施設規模や年間入院数、センターに指定されているかどうかも、救命率と関連はなかった。

 入院中に亡くなった子は232人で、救命率が平均以下だった病院の結果が平均まで改善されると、約60人は救命できた可能性がある、と研究班は推計している。

 年間入院数は12例から141例まで差があり、先天性心疾患に対応できる病院は約30%、脳外科疾患に対応できるのは約14%にとどまった。

 治療内容の違いも大きく、例えば、赤ちゃんの肺の成長を促すために妊娠中の母親にステロイド剤を投与した割合は平均41%で、全員に行った病院から全く行わなかった病院まで極端だった。慢性肺疾患などの合併症が発症する割合も、施設間で差が目立った。

▽総合周産期医療センター

 総合周産期母子医療センター 切迫早産や妊娠中毒症、胎児の先天異常などリスクの高い出産に対応し、母子を産前産後にわたってケアする医療施設。都道府県が指定する。母体・胎児集中治療管理室(MFICU)や新生児集中治療室(NICU)を備え、容体が急変した母子を24時間体制で受け入れる。厚生労働省は全都道府県に設置を求めているが、2006年7月現在、39都道府県の61カ所にとどまり、8県が未設置。

投稿者 akiuchi : 12:20 PM

January 05, 2007

<訃報>坂元正一さん82歳=東大名誉教授

日本産婦人科医会会長のご冥福をお祈りいたします。

坂元正一さん82歳=東大名誉教授
1月4日22時53分配信 毎日新聞


 坂元正一さん82歳(さかもと・しょういち=東大名誉教授、日本産婦人科医会会長、母子愛育会総合母子保健センター所長)12月28日、悪性リンパ腫のため死去。葬儀は近親者のみで行う。喪主は長男正人さん。自宅は非公表。86年3月に美智子さまの子宮筋腫の手術を担当。昨年9月の悠仁さまの出産では顧問を務めた。

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眞子さま・佳子さま誕生時の担当医、坂元正一氏が死去
1月4日14時11分配信 読売新聞


 秋篠宮妃紀子さまが長女眞子さまと二女佳子さまを出産された際に担当医を務めた、東大名誉教授で日本産婦人科医会会長の坂元正一(さかもと・しょういち)氏が、昨年12月28日午後11時42分、悪性リンパ腫(しゅ)のため東京都文京区の東大医学部付属病院で死去したことがわかった。82歳だった。

 告別式は親族だけで行う。喪主は長男、正人(まさと)氏。

 海軍将校時に終戦を迎え、東大医学部に入学。医学部教授となって国内の産婦人科関係の学会長や、世界周産期学会長などを歴任し、亡くなるまで母子愛育会総合母子保健センター所長を務めた。1986年から宮内庁御用掛となり、眞子さま誕生時の記者会見では、「百点満点のお産でした」と紀子さまに声をかけたことなどのエピソードを披露した。

最終更新:1月4日14時11分


投稿者 akiuchi : 03:33 PM

January 04, 2007

出生数6年ぶり増、06年の出生率1・29前後に

昨年の出生率が6年ぶりに増加するといううれしいニュースが流れてきたがどうもこれは一時的なもので今年度以降はまた減少傾向に戻るということになるようだ。やはりお産をする場所がどんどんなくなる中で出産環境が劣悪になっている現状を変えない限り出生率の上昇を望むのは無理だろう。自治医大消化器外科の佐田尚宏先生が日本の人口減少に関して日本がとるべき道は現状をありのまま受け入れるかまたは移民の受け入れをするかの2社択一しかないということをCareNetのコラムで書いている。確かに最近、診療をしていると外国人が多いと感じるのだがこの際日本に活力を取り戻す方法は移民受け入れしかないのかもしれない。

出生数6年ぶり増、06年の出生率1・29前後に

 厚生労働省が公表した2006年の人口動態統計の年間推計によると、日本人の出生数は前年比2万3000人増の108万6000人と、6年ぶりに増えることがわかった。

 これに伴い、合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子供の人数に近い推計値)は、過去最低を記録した前年の1・26から1・29前後に回復する見通しだ。

 死亡数は109万2000人となる。出生数を6000人上回るため、2年連続の自然減となる可能性がある。

 年間推計は、06年1~10月の人口動態統計速報などを基に、11、12月分の出生数などを推計したものだ。

 出生数の増加について、厚労省は「雇用情勢の改善などで、20代後半の女性の結婚数が増加傾向に転じたことが主な要因だ」と分析している。ただ、同省は出生数が増えたのは例外的な現象で、07年以降は減少するとみている。子供を産む年齢の女性(15歳~49歳)が減り続けていることに加え、出生率が大幅に向上する可能性が低いためだ。

 年間の出生数は、第2次ベビーブームの1973年には現在より100万人多い209万人超だった。平成に入った89年から2000年にかけ、120万人前後で推移したが、01年から減少が続いていた。

 国立社会保障・人口問題研究所が昨年末に発表した「日本の将来推計人口」の標準的な中位推計では、5年後の2012年ごろには、毎年30万人規模で人口が減り始め、35年ごろには、和歌山県や香川県の現在の人口に相当する100万人規模の人口が毎年減る「超人口減社会」に突入する。

(2007年1月1日9時26分 読売新聞)

2005年3月17日号 【 Dr.佐田の医事言空間/臨床現場からみた医療ニュースの裏側 】
佐田 尚宏(さた・なおひろ)先生
自治医科大学消化器外科 助教授

「減少する日本の人口」
http://www.carenet.com/expert/sata/200503/index_0317.aspx

選択肢は2つあり、ひとつはそのような社会に順応すること、もうひとつの選択肢は移民を受け入れることである。米国の高い出生率は、多くの移民を受け入れている結果である。ドイツはすでに人口が自然減少過程に入っているが、生産人口をトルコからの移民で補っている。そのおかげで最近トルコはサッカーが強い。一時期ヴィッセル神戸に在籍したイルハンは、インタビューにドイツ語で答えていた。

日本は、長く一民族一国家を形成してきた歴史がある。最近の外国人犯罪の増加は、移民増加が治安低下につながる不安を増強する。しかし現在の外国人犯罪の多くが男性・単身の不法滞在者によりおこされていることを考えると、合法的に優秀な人材を家族単位で移民として受け入れ、住民登録し、選挙権を与え、課税することは、外国人犯罪問題も解決するように感じる。群馬など北関東、愛知など中部地方では、ブラジル人移民が一大コミュニティを形成している。日本社会と共存する外国人コミュニティは決して悪い将来像ではないと思う。

投稿者 akiuchi : 12:15 AM

January 03, 2007

広島の周産期医療事情も同じ

日本中どうしてこんなことになってしまったのだろうか?

命を巡る現場から:第1部/1(その2止) 命受け継ぎ 出産 /広島
1月1日13時1分配信 毎日新聞


 ◇高リスク、高い要求に苦悩 「心の雨宿り」できる場所に
 「あんた、ほんま大きゅうなったねえ。満点の赤ちゃんじゃ」
 福山市神辺町で「にしだ助産所」を営む助産師の西田啓子さん(49)が本当にうれしそうに、半年前にとり上げた男の子を抱き上げた。親子が検診や相談のためひっきりなしに訪れる6畳ほどの部屋は、活気にあふれている。「いくつもの命の誕生に立ち会い、成長を見守れる。こんなぜいたくな仕事がほかにありますか」
 助産所での「所内出産」が出来る県内で2カ所しかない施設の一つ。家庭での出産も補助し、03年12月の開業以来、60人近くの出産を手助けしてきた。
 「自宅で家族に見守られて産みたい」「病院や薬には頼りたくない」。助産所が選ばれる理由はさまざまだ。06年5月に二男の颯斗(はやと)ちゃんを助産所で産んだ主婦、小畠佐知さん(33)は「長男を産んだ産婦人科では、医師も看護師もほとんど病室に来てくれなかった。助産所ではいつもそばにいてくれ、安心できた」と振り返る。
 「母親の数だけ、お産の形がある。助産所を必要とする女性がいる限りは選択肢を残したい」。その思いで、採算ぎりぎりの助産所を続けてきた。常勤の助産師は1人。出産直前の妊婦が入所すると自分の家庭のことは放り出す。相談の電話は夜中も鳴り続ける。「妊婦は自分の命をかけて、新しい命を紡ぐ。二つの命を預かる以上、真剣勝負で応えたい」
 母親たちは妊娠期間や産後に、悩みや疲れで一度は涙を流すという。そんな時も、決して「頑張れ」とは言わない。「今は、子どもも親も頑張りすぎている。気がすむまで、泣けばいい」と思うから。
 命が大切にされない時代に、西田さんは自分の役割をこう考える。「泣いた時に『大丈夫』と言ってくれる人がいれば、救われる命もあるのでは。助産所も、そんな『心の雨宿り』ができる場所になれれば」【茶谷亮】
       ◇  ◇  ◇
 「赤ちゃんをできるだけ良い状態で出して、母子ともに健康に過ごせるようにするのが産科医の務め」
 年間800~900件の分〓(ぶんべん)を取り扱う広島市民病院=中区基町=産婦人科主任部長、吉田信隆さん(59)は説明する。約20年前に比べれば産科医療の技術は飛躍的に進歩したが、その分リスクの高い分〓にも応じなければならなくなり、産科医に求められる要求は高まるばかりだ。
 同病院は、妊娠後期から新生児早期までの母体や胎児、新生児を総合的に管理して母子の健康を守る「周産期母子医療センター」に指定されている。06年3月に改築されたばかりの同病院東棟で医師9人と看護師32人が24時間で応じる。母親学級や両親学級など出産に向けた指導も充実している。
 しかし、産科医療が抱える問題は多い。「以前は妊娠28週未満が流産の定義だったが今では22週未満が流産とされる。つまり22週以上で取り出す必要がある場合に、よりリスクの高い状態で分〓しなければならなくなった、高齢出産も増えた」。全国的に低出生体重児(未熟児)の出生率が高まっている背景にはそうした事情がある。
 妊娠22~24週くらいの出産で全体の3分の2は正常分〓できるが、残り3分の1は体に障害を負って生まれる場合が多い。また、新生児の50人に1人が、両親の健康状態とは関係なく心臓などに障害を持って生まれる場合があるという。「いろんな要因が重なって早産となるのが現状。正常な赤ちゃんの誕生を望んでいる人が多い分、結果が悪いとトラブルになることが多い」
 日本産婦人科学会によると、産婦人科を巡る医療過誤訴訟の件数は増加傾向にある。05年も119件の訴訟が全国の地裁に提訴された(最高裁調べ)。吉田部長は「スタッフの少ない病院では休日を取ることもままならないところがある。そのうえ看護師の内診が禁じられ、助産師のいない開業医は補充を強いられ困難を極める」と指摘している。【下原知広】
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 ◇分娩医療機関ない3市6町
 県医療対策室によると、県内で分〓できる医療機関がないのは庄原、大竹、江田島の3市と熊野、坂、安芸太田、大崎上島、世羅、神石高原の6町の計3市6町。庄原、大竹市を除く1市6町についてはもともと分〓できる医療機関がなかったが、庄原市では医師の退職で後任が見つからず05年4月から、大竹市でも医師の異動に伴い同7月から分〓できる病院がなくなった。庄原市では県を通じて庄原赤十字病院での分〓再開を要望しているが実現していない。また同市の市民グループが約1万2000人の署名を集めて県に提出したが進展はないという。
 ◇増える低体重出生
 県医療対策室によると、85年から04年までの20年間で、出生数が3万3501人から2万5734人と減少しているのに対し、低出生体重児(未熟児)の出生数は同じ20年間で1834人から約1・3倍の2389人に増加している。同室などによると、93年に流産の定義が28週未満から22週未満と改正されたことや医療技術の進歩が低出生体重児増加の要因とみられている。

1月1日朝刊

最終更新:1月1日13時1分

投稿者 akiuchi : 10:19 AM

December 31, 2006

回顧2006<5> “お産難民”

年の暮れに一年を振り返る記事が目立つ。「診療所のお産が減っている」ということの持つ意味についてビビッドに反応できるマスコミの記事をこれまで読んだことがないが来年はマスコミも巻き込んで日本のお産を守るようにしなければならないと思う。

回顧2006<5> “お産難民”
東京新聞 - 2006年12月24日

 産科医が減る中、お産の扱いをやめる施設が相次ぎ、産む場所に困る“お産難民”の問題が表面化した。小規模施設では助産師も不足している実情も浮かぶなど、少子化対策が論じられる傍らで、お産環境は悪化するばかりだ。 (杉戸祐子)

 「三十年以上いいお産を目指してきたが、常に二十四時間営業。あと十年はもたないし、同じことを次の世代に強いるのは無理」(産科医)。「育児や介護をしていても働けるフレキシブルな勤務・給与体系が必要。ゼロか百かの選択を迫られては困る」(助産師)

 今月、東京都港区で開かれた市民主催の討論会「どうする? 日本のお産 ディスカッション大会 ファイナルin東京」。助産師や産科医、子育て中の母親、地方議員ら約百人が集合し、お産をめぐる問題について意見を交わした。

 討論会は五月の横浜を皮切りに札幌や名古屋、高知など九カ所を回り、計約千人が参加した。実行委員で、出産・育児情報サイト「REBORN」スタッフの熊手麻紀子さん(38)は“全国行脚”の理由を「立場を超えて本音を語る場をつくりたかった」と語る。十年以上、育児支援の活動を続けてきた中で、昨年末に「声を上げないと産む場所がなくなる」と危機感を募らせた。

 九カ所での議論で▽医師の考える「安全なお産」と妊婦が望む「安全で安心なお産」が違う▽医師や助産師の労働条件の改善が必要▽医療事故への恐怖心が医療者にも妊婦にもある-などの問題点が浮かんだ。実行委員で、神奈川県立汐見台病院産婦人科の早乙女智子医師は「今後は各地域や現場の事情に合わせた具体的な対策を実行に移すべきだ」と指摘する。

   ◇

 お産環境の悪化は悲惨な出来事も生んだ。奈良県では八月、出産中に意識不明に陥った妊婦(32)が十九施設に搬送を断られ、生まれた息子を抱くこともなく死亡した。

 助産師が行うべき「内診」を看護師や准看護師にさせていた横浜市の産婦人科病院が摘発される事件もあった。助産師を活用していない施設の存在や、助産師が大病院に集中して小規模施設を中心に不足していることもわかった。

 お産の扱いをやめる病院も増える一方だ。厚生労働省の医療施設調査では、産科・婦人科のある病院(病床二十床以上)数は一九九六年の二千百四十八から、昨年は25%減少した。

 昨年九月に分娩(ぶんべん)を実施したのは、産科・産婦人科約六千施設のうち、約二千九百施設と半数以下。そのうち診療所・医院(同十九床以下)では約37%にとどまり、十年前の約44%から減っている。一方、厚労省の人口動態統計によると、昨年もお産の半数近くは診療所で行われた。分娩を扱う診療所の減少はさらに“お産難民”を増やす。

 厚労省は、都道府県ごとに拠点病院に医師とお産を集める「集約化」方針を打ち出し、自治体に年内に計画をまとめるよう求めている。分娩事故の訴訟リスクが産科を敬遠させ、産科医不足になる一因だとして、医師に過失がなくても補償金が支払われる「無過失補償制度」も来年度導入を目指している。

 安全の確保は当然だが集約化が進めば、妊婦が求める「身近な場所で産める安心感」「産後や育児の継続的なケア」は得づらくなるだろう。安全を守りつつ、いかに妊婦の心身に寄り添うのか。助産師の力をどう生かすのか。産科医の配置換えでは解決しない。 =おわり

投稿者 akiuchi : 06:45 AM

隠岐の出産 再びピンチ 派遣産婦人科医 来春から1人体制か

今年は隠岐の島のお産が注目を浴びた。私は八丈島では昔からお産が近づくと妊婦は都内に移ってお産に備える体制をとっていたという話を自治医大の先生から聞いていたので離島の医療とはそういうものなのかと考えていた。隠岐の島の人口が何人か正確には知らないが産科専門医2名を常勤で配備できるほどのお産の数があるとはとても思えない。経済的に離島の医療は成り立たないのであろうか?都市の専門化した医療とは別にプライマリーケアとしてお産も取り扱えるGP(一般医)の養成を法的ならびに人材育成の観点から怠っていた国の責任が重いのではないかと思う。離島僻地の医療なんて厚労省のお役人にはどうでもいいことなのだろう。

隠岐の出産 再びピンチ 派遣産婦人科医 来春から1人体制か - 産経新聞 2006年12月30日(土)

 ◆10月に再開したばかり
 10月に出産が再開されたばかりの、島根県隠岐諸島の隠岐病院で、2人の派遣医師が1人になり、島での出産が再びできなくなる恐れのあることが29日わかった。隠岐病院によると、医師2人を派遣していた県立中央病院が来年4月以降、1人の医師しか派遣できなくなる可能性があると伝えてきたため。
 隠岐病院を運営する隠岐広域連合の松田和久・隠岐の島町長によると、県立中央病院の産婦人科医11人のうち来春までに1人が定年で辞めるため、県立病院側から派遣が難しくなるといわれたという。
 県立中央病院からの派遣医師が1人になると、隠岐病院では1人医師体制となる。隠岐病院では、医師1人では負担が大きいとして分娩(ぶんべん)を行わない方針を掲げていたために再度、島で出産ができなくなる可能性が高い。
 松田町長は「島民に同じ苦労をさせないためにも、県外も含めて医師確保に努め、2人体制を維持したい」と話しつつ、「安全と判断できる出産については1人体制での分娩も検討したい」としている。

[産経新聞 ]

[回顧2006・しまねeye](1)隠岐、産婦人科医不在(連載)=島根

 ◆派遣、来春以降は「白紙」 離島の医療、真剣な議論を
 隠岐の島町の公立隠岐病院(笠木重人院長)で4月、常勤産婦人科医が不在となった問題は、離島や中山間地の深刻な医師不足を改めて浮き彫りにした。隠岐では他県からの応援や島根県立中央病院(出雲市)からの医師派遣で、半年後に分娩(ぶんべん)再開にこぎつけた。だが、根本的な解決には遠く、島に再び荒波が押し寄せる可能性は消えない。(渡部哲也)
 暖かい一日となった今月14日、隠岐病院産婦人科前の廊下は、長いすに座った女性たちが順番を待っていた。5月に訪れた時、同科辺りだけががらんとしていたのがうそのようだった。
 隠岐病院は島根大医学部から産婦人科医の派遣を受けていたが、2004年に医師不足で中止に。つなぎで、中央病院が医師を派遣する間、県や同町などが各地で医師を探し、関西在住の医師が今年4月から着任する予定になった。だが、それが直前になって白紙になったことが発端だった。
 同町などは3月末までの予定だった中央病院に延長を要請。それも2週間延ばすのが限界で、島で出産を扱う産婦人科医はゼロに。県や隠岐4町村で作る隠岐広域連合は、本土に渡り出産する妊婦に滞在費など1人最高17万円を助成した。
 島の窮状を報道で知った静岡県の船津雅幸医師が来島したのは8月下旬。9月には船津医師の支援で、島で唯一の助産院で出産が行われた。11月から医師2人を派遣する予定だった中央病院も1人の派遣を半月前倒しし、船津医師とのコンビで分娩が再開された。
 船津医師が島を離れ、11月からは中央病院が2人を派遣。現在は倉田和巳医師が来年1月3日まで常駐し、もう1人は週交代でやって来る。分娩再開後、既に12人の赤ちゃんが隠岐病院で誕生した。
 島民の盛大な見送りを受けて、静岡に戻った船津医師は語る。「妊婦が家族の元を離れて出産を待つつらさは分かるだけに、医師がいる体制を続けてほしい」
 だが、「安全で安心」の提供が続けられない厳しい現実がある。厚生労働省の05年医療施設調査では、産婦人科、産科を掲げる県内の病院・診療所45施設のうち、実際にお産を扱うのは26施設。県の実態調査でも10月現在、隠岐のほか浜田、大田、雲南の各圏域で産婦人科医充足率が県平均(78・2%)を下回った。
 中央病院の中川正久院長は「医師不足は隠岐だけではない。来春以降の派遣体制は白紙」とする。
 中央病院は月に100例を超える出産を扱うが、医師は隠岐派遣も含めて11人。うち1人でお産を扱えるのは7人だ。週交代の〈自転車操業〉に疲弊し、派遣を打ち切った4月と状況は変わらない。しかも、来年3月末に1人が退職する。
 「中央病院に迷惑をかけている」。隠岐病院を運営する隠岐広域連合長の松田和久・隠岐の島町長はそう語り、「1人は自前で確保したい。公立病院の退職予定者を紹介してもらえないか働きかけている」と独自の取り組みを語るが、実現するかどうかは不透明だ。
 松田町長は「産婦人科医は航路と同じで、島での定住に不可欠。医師がいなくなれば女性は住みにくく、人口減に拍車がかかり、町づくりの議論なんか出来なくなる」と訴え、「医師に数年間の離島勤務を求める『離島医療振興法』制定を国に働きかけたい」と強調する。しかし、抜本的な解決策が打ち出されるまでには時間がかかる。
 中川院長は「ない袖は振れない時期は早晩くる。派遣を再開している今の間に、産婦人科機能だけでなく、今後の隠岐の医療をどうするのか真剣に考えてほしい」と訴える。来春に再び苦境に陥らないため、国を挙げた議論が求められる。
               ◇
 2006年の県内のニュースを、各記者の取材ノートから振り返り、〈その後〉を追った。

 写真=診察の打ち合わせをする倉田医師(中央)ら。今後も産婦人科医2人体制が維持できるかどうかは不透明なままだ(隠岐の島町の公立隠岐病院で)

[読売新聞 ]

ふり返る:06しまね/3 隠岐の産科医師 /島根

 ◇“がけっぷち”変わらず
 「家族と離れて1人で出産するのは不安だった。こんな思いはもうしたくない」
 年間約130件の出産を扱う隠岐病院(隠岐の島町、笠木重人院長)から4月、常勤産婦人科医が消えた。秋までに島の妊婦約60人が海を渡った。本土と隠岐を結ぶフェリーは、海が荒れると直立できないほど揺れる。今でも仕事で隠岐へ向かう際、船が揺れると、島から出る妊婦さんの苦労が頭に浮かぶ。島で出産出来ないと、妊婦さんは1カ月にわたり、家族と離れ松江や出雲のアパートやホテルで暮らさなくてはならない。
 確保した医師が家庭の都合で着任できず、派遣元の県立中央病院も医師不足で派遣延長は限界だったことから島での出産ができなくなった。8月末には、静岡県の船津雅幸医師が善意で赴任。新たに産婦人科医を増員した中央病院も10月から医師を派遣し、隠岐病院にようやく産声が戻った。
 現在、中央病院の医師2人が隠岐病院のお産を支えている。しかし、問題が根本的に解決した訳ではない。中央病院はハイリスクを含む年間約1000件の出産を扱う県内の拠点。中川正久院長は「医師の疲弊は派遣を断念したときと変わらない。地域医療支援も限界に近い。4月以降の派遣は不透明」と言う。
 県や隠岐病院は、同病院の産婦人科医2人体制を打ち出した。笠木院長は「離島で1人だと、365日24時間緊張を強いられる。2人だと休養も取れるし、学会にも出られる。診療方針も相談できる」とし「2人体制でないと医師は来てくれない」と話す。
 隠岐病院や町は今も医師の確保を試みている。県も、島根大出身者、医師会、高校のOB会などのルートを使い、地域医療に関心のある医師を探している。2カ月間、隠岐に滞在した船津医師は「隠岐の状況を知って心を痛めない医師はいない。インターネットなどで呼びかければきっと見つかる」と話す。
 一方で厚生労働省は医師不足が慢性化する小児科や産婦人科で、地域の拠点病院に機能を集める緊急避難的な方策を打ち出した。医療の質を確保しつつ医師の負担を減らすため、医師を拠点病院に集める方法だが、人口が少ない離島には適さないとの声もある。
 天候が悪化すると島は孤立する。「緊急時はヘリで搬送するが気象次第。嵐でも海上保安部の巡視船は出ることになっているが、100%の保証はないしどれだけ時間がかかるのか」。隠岐で勤務経験のある産婦人科医はこう指摘し、常勤医の必要性を説いた。
 県内の産婦人科医師数は必要数の8割。ぎりぎりの状態の中で、へき地に赴任する医師を確保しても「派遣元の病院で医師が辞め、補充がない」「予定していた医師が急に来れなくなった」といった不測の事態に対応できない。へき地の病院でいつ出産の受け付けが中止されてもおかしくない“がけっぷち”状態に変わりはない。
 行政も大学も住民も「離島の医療をどうするか」を議論し、その場しのぎではない明確な考えを持つことが必要だろう。松田和久・隠岐の島町長が「離島医療振興法の成立を」と訴えるように、国レベルでの議論も欠かせない。私は隠岐担当記者として「多くの人にこの問題を知ってもらうことに手を抜くべきでない」と改めて考えている。【久野洋】

[毎日新聞 ]



投稿者 akiuchi : 04:47 AM

December 30, 2006

「お産ピンチ」首都圏でも 中核病院縮小相次ぐ

東京都内のお産も閉鎖が相次いで大変なことになってきたというニュース。都立病院の出産費用が30万円と安いままに放置していることが諸悪の根源なのだと誰かが石原都知事に進言して欲しいのだが・・・

「お産ピンチ」首都圏でも 中核病院縮小相次ぐ
2006年12月30日(土)06:12 asahi.com

東京都心の都立病院などが、お産を扱うのを休止したり、縮小したりしている。それも、生命が危険な出産前の母と胎児の治療から、出生直後の新生児の治療までを一貫して担う 「周産期母子医療センター」で目立つ。大学病院の医師引きあげなど地方で深刻化していた問題が、ついに都心にまで波及してきた形だ。病院も医師も多く、埼玉や千葉などから も患者が集まる東京。中核病院のお産縮小の影響は、首都圏に及びそうだ。

都立豊島病院(板橋区)は9月から、お産を全面休止している。

同病院は、新生児集中治療室(NICU)6床を備えた地域の周産期センターで、年約900件のお産を扱ってきた。しかし現在は、他の病院から搬送されてくる低出生体重児な どをNICUで受け入れているだけだ。

定員6人の常勤医師が今夏、2人に減少。「非常勤を含めても当直などが満足にできない状態になった」(都病院経営本部)という。

都立墨東病院(墨田区)の産科は11月から、新たな患者や、予約がない外来診療を受けず、年間1000件以上あったお産を縮小している。

12床のNICUがある同病院の総合周産期センターは、いわばお産の救命救急センター。だが、常勤医は定員9人に対して5人。「周産期センターとしての役割にマンパワーを あてた」(同本部)結果、外来を縮小せざるをえなくなった。

大田区の荏原病院(都から東京都保健医療公社に移管)も、1月から産婦人科の常勤医を減らし、お産を縮小するという。東京逓信病院(千代田区)も28日、産科の診療とお産 を休止した。

影響は周辺の病院に及んでいる。豊島病院から約1キロの距離にある日大板橋病院。豊島病院がお産を休止した翌10月には、それまで月70件ほどだったお産が100件近くに 急増した。

日大病院も総合周産期センターに認定され、ハイリスク出産も多い。救急搬送されてくる妊婦を年に80~100人受け入れているが、その倍以上を断っているという。

「このまま出産数が増えるとハイリスク出産は受けられなくなり、周産期センターとしての責任が果たせない。通常のお産は、受け入れを制限する必要が出てくるかもしれない」 という。

東京は、埼玉や千葉、神奈川の妊婦の「受け皿」でもある。特に出産費用が約30万円と安い都立病院は人気で、埼玉と都心を結ぶ東武東上線沿線の豊島病院には、埼玉から来る 人も多かった。

埼玉県の医師1人あたりの「出産扱い件数」(出生届数を産婦人科医数で割った数)は昨年、全国最多。総合周産期センターは県内に1カ所だ。そのセンターを運営する埼玉医大 総合医療センターの関博之教授によると、救急患者の受け入れは、依頼の4~5割ほどという。

「東京の病院で引き受けてくれる数が減ってきて、限界のところでやっている」と話す。

投稿者 akiuchi : 09:16 PM

December 24, 2006

助産所との嘱託医契約について

今般の医療法改正において、助産所開設者は嘱託医と連携医療機関を定めなければならなくなったということで産婦人科医会のサイトに以下の掲示が出されました。産婦人科開業医が内診問題で苦しめれて廃院に追い込まれようとしているのと軌を一にして助産院も厳しい状況に追い込まれそうです。お産はすべて集約化、センター化して大病院で行われるのがよいという厚労省の思惑通りに事態は進行してます。その結果困るのは地域住民ということになるのですがマスコミはまだ事態の深刻さを理解していないようです。開業産婦人科医と助産院が連帯して厚労省の政策に反対するためにはお互いの存在意義を認めあわなければならないだろうと思うのだが果たしてこれからどのような展開になるのだろう?

助産所との嘱託医契約について
http://www.jaog.or.jp/JAPANESE/jigyo/TAISAKU/keiyaku/keiyaku_277.htm

投稿者 akiuchi : 09:56 AM

習慣流産の着床前診断を承認&精子の保存期間、夫の生存中に限定

生殖医療(不妊治療)に関する学会の見解が2つ報道されたので記録しておくことにする。


習慣流産の着床前診断を承認・産科婦人科学会
 日本産科婦人科学会は16日、理事会を開き、3つの医療機関が申請していた流産を繰り返す習慣流産患者に対する着床前診断の実施を承認した。名古屋市立大学病院の4例など計7例で、同学会が習慣流産の着床前診断を個別の症例で認めたのは初めて。

 承認したのは名古屋市立大病院のほか、セントマザー産婦人科医院(北九州市)の2例、IVF大阪クリニック(東大阪市)の1例。いずれも「転座」という染色体の異常によって流産が起きる患者で、母体に戻す前に受精卵の染色体を調べることで流産を防げる可能性が高いと判断した。 (07:00)

[12月17日/NIKKEI NET]


精子の保存期間、夫の生存中に限定 産科婦人科学会

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生殖補助医療に使われる精子の凍結について、日本産科婦人科学会は16日、都内で理事会を開き、保存期間を「本人が生きている間」に限り、死亡した場合は廃棄とする会告(指針)案をまとめた。凍結精子を使い、夫の死後に生まれた子どもの認知を、最高裁が認めないとする判決もあり、学会として、「親の希望よりも子の福祉」を優先させるという姿勢を明確にした。

指針案は今後、学会員の意見を聞いた上で、来年4月に行われる総会で正式決定される。

精子の凍結は、人工授精や体外受精などの不妊治療の際に行われる。抗がん剤や放射線などのがん治療による影響を考え、将来、子どもが欲しい場合、事前に凍結しておくこともある。

今回まとめた指針案では、今後、凍結精子を使用する場合、その時点で本人が生存していることを確認する。本人が廃棄の意思を示すか死亡した時は、廃棄される。精子の売買も認めない。

最高裁は今年9月、夫の精子を死後に利用して生まれた子どもと、父親の親子関係を認めるように訴えた妻の請求を、「死後生殖について民法は想定していない」として、認めない判決を出している。これを受け、学会としての指針を示す必要があると判断した。日本生殖医学会も、精子の凍結保存期間は本人が生存中に限るとするガイドラインをつくっている。

「asahi.com」 2006年12月16日

投稿者 akiuchi : 01:00 AM

December 23, 2006

NICUに「寝たきり」赤ちゃん 満床の背景、厚労省が実態把握へ

NICUが満床で産科救急の母体搬送を受け入れることができないという事態が発生するとわれわれ第一線の開業医はどうしようもなくなってしまう。実態を把握してその対策が実現するのはいつになるのだろう?それまで母体搬送を待っているわけにはいかないのだが・・・

NICUに「寝たきり」赤ちゃん 満床の背景、厚労省が実態把握へ
06/12/18
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社
ID:424893


新生児集中治療室:NICUに「寝たきり」赤ちゃん 満床の背景、厚労省が実態把握へ

 厚生労働省は、病床数不足が指摘されている「新生児集中治療室」(NICU)の実態を把握するため、全国調査を実施することを決めた。年内に調査項目を整理し、年明けにも都道府県に指示する。満床の背景とされる長期入院の重症児の現状も調べ、周産期医療体制が機能しているかを検証する。結果は早急にまとめ、体制整備に生かす方針だ。【玉木達也】

 ◇04年調査時「退院見込みなし76人」

 NICUは低体重や先天的な異常がある新生児を救命する施設。調査は今年8月、奈良県で意識不明の妊婦がNICUのベッド満床などを理由に19病院で受け入れられずに死亡したことなどをきっかけに行う。

 日本産婦人科医会や研究者が過去にNICUを対象に行った調査も参考にし、調査表を作成。NICUがある施設数やベッド数などの基本情報から、緊急性が高く要請があった妊婦をNICUで受け入れができなかった件数やその理由なども調査したい考えだ。

 厚労省によると、リスクの高い出産に対応できる医療施設「総合周産期母子医療センター」は今年7月現在、39都道府県に計61施設。同センターはNICUの病床数が原則9床以上で、一般の産科病院などと連携し、周産期医療ネットワークの中心を担う。国はネットワークを07年度中に全都道府県で整備するのを目指している。しかし、奈良など8県では現在、同センターに指定された医療施設がない状態だ。

 NICUを巡っては、同医会が04年に全国363施設を対象に、03年1年間の入院状況を調査。248施設が回答し、この結果、1年以上の長期入院児は130人。このうち、76人が退院の見込みがなく、さらに70人は呼吸管理が必要だった。

 同医会では、人工呼吸管理ベッドが1-4床のNICUが全体の約3割のため、長期入院児が新規患者の受け入れを難しくしている原因の一つと分析している。05年7月、日本医師会などと連名で、厚労省に長期入院児が治療を受けられる後方支援施設の充実を要望していた。

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 ■解説

 ◇支援医療、体制整備急げ

 今回の厚生労働省の実態調査は、重篤な赤ちゃんの医療をどうするのかという問題を、正面から考えるきっかけにもなりそうだ。

 周産期医療の進歩で、従来は生存が難しかった重症の新生児の救命が可能になった。一方で、日本産婦人科医会の調査でも、呼吸管理が必要で「新生児集中治療室」(NICU)からの退院が難しい重症児の存在が浮上。1年以上の長期入院児130人のうち、13人は6年1カ月以上入院していた。厚労省の調査では、その深刻な状況がさらに浮き彫りになる可能性が高い。

 赤ちゃんの終末医療を巡っては、厚労省の研究班が「重篤な疾患を持つ新生児の医療をめぐる話し合いのガイドライン」を作成している。その中で、生命維持治療の差し控えや中止は、子どもの最善の利益を十分に話し合い、慎重に検討すべきだと提言している。

 厚労省は現在、「終末期医療に関するガイドライン」(たたき台)をホームページ上に公開し、一般から意見募集をしている。ただ、主に成人を想定しており、赤ちゃんについて議論が深まっているという状況ではない。自分で意思表示が出来ない赤ちゃんの終末医療をどうするのか。避けては通れないテーマだ。

 実態調査は、妊婦が安全で安心して赤ちゃんを出産できる周産期医療体制が、十分に確保できているかを検証する作業になる。その結果を踏まえて、医師不足の解消やNICU、後方支援施設の拡充などの整備はもちろん重要だ。

 NICUの現場を視察し、長期入院児の様子を見た厚労省のある幹部は「赤ちゃんの終末医療がどうあるべきかを真剣に考えなければならない」との感想をもらした。それも視野に入れた調査と対策をしなければ、周産期医療の抜本的な問題解決にはつながらないだろう。【玉木達也】

投稿者 akiuchi : 02:36 PM

December 15, 2006

[どうする地方](15)産科医不足 安心のお産、連携頼り

高知、浜松、宮城と日本のお産を巡る厳しい状況を紹介。浜松の大谷先生のところはセンターから1kmの距離で開業しているからできるとしかいいようがない。62歳の一人医長を助けるためにはじめたという宮城県の院内助産所も危なっかしいな。やはりお産が儲かるということにならなければ産科医は増えないのだろうか?

[どうする地方](15)産科医不足 安心のお産、連携頼り 読売新聞 2006年12月14日(木)

 お産を扱う病院や診療所が各地で急速に消えつつある。地方では車で1時間以上走らないと、産む場所を確保できない場合も増えた。過酷な勤務などが原因で産科医が激減しているためだ。奈良県大淀町では8月、分娩(ぶんべん)中に意識不明になった妊婦が19病院から転院を断られて死亡、大きな社会問題になった。危機的な状況にある産科医療をどうすれば立て直せるのか。地方病院の実情と、病院・診療所の連携や助産師の活用で苦境をしのぐ現場から、対策を探った。
 ◆産声が激務の支え/高知・安芸
 日本産科婦人科学会が昨年実施した調査で分娩取り扱い施設の常勤医師数が全国最下位、分娩施設数(助産所を含む)は下から3番目だった高知県。その中でも産科医不足の深刻な地域が、安芸市を中心とした東部の安芸地区(安芸保健医療圏)だ。約1130平方キロ、大阪市のほぼ5倍に及ぶ広大な地域の中で出産を扱う施設は同市内の県立安芸病院だけ。ここで篠原康一医長(39)は2004年春から、同科1年目の医師と2人で産婦人科医療を支え続けてきた。
 勤務ダイヤは厳しい。平日は午前8時半から午後5時過ぎまで外来患者約40人、病棟患者約10人の診察や、週2回の手術を担当。その後もカルテ記入などの雑用で同10時ごろまでの残業が多い。帰宅して一息ついても、救急患者治療のための緊急呼び出しはしばしば。土、日曜日の午前中は病棟回診や不妊外来で出勤、夜間当番を週に5~6回は担当する。年末年始も休みはなく、秋に3日間解放されるのが唯一の長期休暇だ。
 同病院での出産は月に十数件。陣痛促進剤などを使わない自然分娩を原則にしており、深夜や未明の分娩も多い。助産師とのチームワークでこなすが、帝王切開などリスクのあるケースもあり処置に追われる。「1日平均14時間は働いているかな。赴任以来、ぐっすり眠れた記憶がない。けれど、もう慣れました」と苦笑いした。
 激務の支えは誕生の瞬間。「赤ちゃんの元気な産声を聞き、母親のほっとした笑顔を見ると疲れが吹っ飛びます。家族の一生の記憶に残る出産という大仕事を支援する職業に誇りを感じる」と話す。
 しかし、篠原医師が過労で倒れたら、同病院産婦人科は休診に追い込まれかねない。
 一方、安芸地区に住む妊婦の不安も大きい。同病院から約60キロ離れ、徳島県境に近い東洋町に住む主婦、大黒里絵さんは9月末に同病院で長男を出産した。「安芸病院までは車で1時間半かかり、臨月に入ってからは、救急車かマイカーの中で産むことになるかもと毎日びくびくしていた。産気づいてすぐ、夫に送ってもらえて事なきを得ました。もう1人産むつもりですが、次はどうなるかと今から心配。安心して産める場を何とか確保してほしい」と訴える。
 厚生労働省は産科医不足を緩和する対策の一つとして、各地域の拠点病院に医師を集め、勤務環境の改善と医療の安全性を確保する集約化・重点化計画を打ち出している。しかし、産婦人科医が少ない地方では、計画の推進が極めて難しい。家保英隆・高知県医療薬務課長は「高知市を中心とした地域以外では、集約化せよと言われても、それに見合う医師がもともといないのだから無理。現状維持が精いっぱい」と打ち明ける。
 ◆病院・診療所で分担/静岡・浜松
 静岡県浜松市の県西部浜松医療センター産婦人科の外来待合室。他の病院なら患者が詰めかける午前中でも閑散としている。スペースも通常の3分の1ほど。妊婦健診などの通常診療は周りの診療所にまかせて、出産は同センターでと役割を分担する「オープンシステム」が定着しているからだ。
 同科の医師5人が外来を担当するのは週各1~2回だけ。「診療所との連携のおかげで、外来にあてる手間暇を省けて体力を温存でき、リスクの高い入院患者や深夜の救急患者の診療に打ち込める。その分、医療の安全性が高まる」。前田真・周産期センター所長(54)は、システムの利点を説明する。
 同センター産婦人科(30床)では、赤ちゃんの約70%が同システムで生まれ、このうちハイリスク妊婦約220人の出産も無事故でこなしている。年間出産件数(約1100)は前田医師が赴任した12年前の5倍に増加、救急患者も愛知県東部から神奈川県小田原市付近までカバーし、24時間受け入れている。浜松市内では、このシステムが1990年代後半から普及し始め、産科を持つ6病院すべてが診療所にベッドを開放している。
 患者はまず診療所を受診。正常出産が見込めれば、そのまま診療所で定期健診を受け、陣痛が始まると、事前に決めておいた病院に入院する。初診や健診時にリスクの恐れがわかれば、診療所の紹介で医療センターなどへ入院。原則として院内主治医と、紹介した開業医が院外主治医として共同で診療する。予定された帝王切開など比較的簡単な手術は院外主治医が執刀、前置胎盤など難しい手術は共同であたることが多い。
 同センターから約1キロ離れた「おおたにレディースクリニック」院長、大谷嘉明医師(50)は、11年前の開業と同時に同センターと連携を始めた。
 分娩設備を持たず、年間500件近い出産はほとんど同センターにまかせるが、全面委託ではなく、外来診療を終えた午後8時過ぎから毎日欠かさず同センターへ出向いて自分の患者(約10人)を約1時間かけて回診する。手術が必要になれば、火、金曜の午後に執刀。センターの産科医が助手を務め、麻酔医や看護師が支援する。
 大谷医師は「診療と分娩を1人で担当するのは心身の負担が大きく、診療に集中できるのはすごくありがたい。手術の際は信頼できるスタッフと高度な医療機器に囲まれ、難産にも安心して取り組めて手術の腕を保てる」と話す。
 地方でも産科医が4~5人以上いる受け入れ病院が近くにあれば、オープンシステムを運用できると大谷医師は見る。可能な地域では導入を進めてはどうだろう。
 ◆助産師パワー活用/宮城・白石
 「お父さん、次はほっぺをふいてあげて」。助産師の渡部輝子さんに抱かれ、生後初めての沐浴(もくよく)を体験する赤ちゃん。父親の佐藤聖さんがガーゼで顔を優しくなでると、気持ちよさそうな表情を見せた。そばで妻の春美さんがほほえみながら見守った。
 公立刈田綜合病院(宮城県白石市)が昨年10月から、東北地方で初めて開設した院内助産所「マタニティーホーム」で誕生した9人目の新生児だ。春美さんは「15年ぶりのお産で、予定日より遅れて不安でしたが、助産師さんが体位や足の踏ん張り方を丁寧に教えてくれてリラックスできました。100%満足です」と振り返った。
 同病院では妊娠20週目で、正常妊娠であり自然分娩が可能と診断された妊婦に、医師に診てもらいながら産むか、助産ケア中心の院内助産所にするかをまず選んでもらう。助産所を希望すれば、その後は専任助産師の渡部さん、遠藤文子さん、梶川里子さんがほぼマンツーマンで対応、腹部計測などの定期的な健康診査を担当する。
 入院は陣痛が始まってから。トラブルが起きる恐れがありそうな場合を除き、産科医は出産に立ち会わない。お産は陣痛室に敷いた3畳間のふとん上で。3人は妊婦の体位を変えたり手足を支えたりして赤ちゃんが産声を上げるまで介助する。自然分娩だから、夜間や未明の取り上げもしばしばで付き添いが1日以上になることも。出産後は母親が赤ちゃんに添い寝し、母乳をいつでも与えられる。
 同ホームでは妊婦の主体性を第一に考え、妊婦自身が立てたバースプランの希望がかない、自分で産んだと実感できるようにサポートしている。3人のケアに対し「非常に心強かった」「夫と家族が立ち会えて感動の出産だった」などの感謝の声が寄せられている。
 同病院産婦人科では、医師が水上端(ただし)部長(62)だけの「1人医長」体制が15年間も続いている。水上部長は診療や手術に加え、夜間救急患者の治療も担当し24時間のオンコール(待機)状態を強いられている。院内助産所は、水上部長の激務の緩和と、減少気味の分娩数の増加を目的に導入された。しかし、助産所出産の割合は今のところ、同病院での年間分娩数(約100件)の約10%足らず。負担軽減にはまだあまり役立っていないのが現状だ。
 産科医をすぐ増やせる妙案がない中で、助産師パワーを活用する院内助産所や助産師外来の開設は、産科医不足を緩和する効果的な対策の一つといえる。岡崎肇院長は「自然出産できる院内助産所のよさを広くアピールして助産所出産を増やしたい。他の公立病院でも院内助産所の導入を考える時期に来ているのでは」と提言する。

 《直言直論》
 ◆報酬優遇で支援を
 分娩を扱う病院の38%では常勤産科医が2人以下で、過酷な勤務を強いられている。疲弊した末に辞職して開業するケースも多く、現場に残った医師の負担がさらに重くなる悪循環が繰り返されている。産科医療が崩壊しつつあると警告する専門家は多い。
 産科医がこれほど減った要因の一つは、若手医師が産科を嫌う傾向が高いからだ。その背景には産科特有の不利な条件がある。
 出産は昼夜を問わないうえ、妊娠経過が順調でも、出産直前に予想外の異変が起きることがあり、勤務が不規則で激務になりがち。その割には報酬面で恵まれていない。さらに、出産は安全なものという思い込みが国民に定着しているせいか、医療事故が起きると訴えられるリスクが高い。医師1000人あたりの訴訟件数は外科より多く、麻酔科の5倍にのぼる。
 産科医不足を改善できる効果的な対策はあるのか。厚労省が都道府県による緊急対策として打ち出した集約化・重点化構想は、大都市近郊や地方都市など産科医が一定数残っている地域では、ある程度の効果が見込まれる。妊婦にとっては出産できる近くの病院が消える場合もあるが、やむを得ない当面の措置といえる。都道府県は早急に進めるべきだ。産科婦人科学会も同様の提言をしている。
 しかし、問題はへき地。現状維持もおぼつかない地域が多い。厚労省が、都道府県だけでは対応しにくい緊急対策として計画中の医師派遣(紹介)システムや女性医師バンク、助産師の活用制度などの実現を急がなければならない。
 こうした対策と並行して、現場で孤軍奮闘してくれている産科医の士気を保つ必要がある。その気になれば今すぐできる支援策は、報酬を他の診療科より格段に優遇することだ。その財源の一つと考えられるのが分娩料の大幅な値上げ。実現への条件整備として、産科婦人科学会は出産育児一時金(現行35万円)の引き上げを求め、60万円程度が適当としている。
 人口減少社会を食い止めるには産科医療の再構築が欠かせない。国や自治体はそのための予算を思い切って増額すべきではないか。(主任調査研究員 傍島茂雄)

 〈産婦人科を巡る状況〉
 医療施設で働く医師総数が毎年3500人~4000人増えている中で、産婦人科医は減少。厚労省の調査によると、04年度は1万163人で94年に比べ8%もダウンした。主要診療科の中で医師が減っているのは産婦人科と外科だけだ。高齢化も進み、産科婦人科学会員のうち50歳以上が全体の53%(外科学会では同40%)。30歳未満の若手産婦人科医はわずか5%で、女性が72%を占める。こうした事情に伴い、分娩施設が急減。同学会の調査(05年現在)では病院、診療所数が93年に比べそれぞれ29%、28%もなくなった。

 ◎「どうする地方」は毎月1回、掲載します。ヨミウリ・オンライン(http://osaka.yomiuri.co.jp/local/)でご覧いただけます。

 図=安芸保健医療園
 図=分娩施設数の地域格差
 図=診療科別の医療訴訟件数

 写真=入院患者を回診する篠原医師(右)=高知県安芸市の県立安芸病院で
 写真=わが子に沐浴をさせる佐藤さん夫妻。左は助産師の渡部輝子さん(宮城県白石市の公立刈田綜合病院で)
 写真=大谷嘉明医師

[読売新聞

〈解〉産婦人科を巡る状況

 医療施設で働く医師総数が毎年3500人~4000人増えている中で、産婦人科医は減少。厚労省の調査によると、04年度は1万163人で94年に比べ8%もダウンした。主要診療科の中で医師が減っているのは産婦人科と外科だけだ。高齢化も進み、産科婦人科学会員のうち50歳以上が全体の53%(外科学会では同40%)。30歳未満の若手産婦人科医はわずか5%で、女性が72%を占める。こうした事情に伴い、分娩施設が急減。同学会の調査(05年現在)では病院、診療所数が93年に比べそれぞれ29%、28%もなくなった。

[読売新聞 ]

投稿者 akiuchi : 07:13 AM

December 14, 2006

HIV除去し体外受精計画 夫婦とも感染、国内初

夫、妻ともにエイズに感染している夫婦の体外受精で生まれてくる子供の安全性は心配ないのか気にかかるがこのような問題が現実に起きているというエイズの浸透ぶりにも驚かされる。もう「対岸の火事」では済まされないということなのだろう。

HIV除去し体外受精計画 夫婦とも感染、国内初

 夫、妻ともエイズウイルス(HIV)に感染しているが子供を望んでいる30代の夫婦が、赤ちゃんへの感染の危険を最小限にするため、精子からHIVを除去した上での体外受精の実施を東京都内の病院に依頼したことが12日、分かった。実現すれば、夫婦とも感染者の例では国内初の試みになるとみられる。
 病院は東京都杉並区の荻窪病院。主治医の花房秀次血液科部長が院内の倫理委員会に実施を申請し、検討が進んでいる。
 夫婦は関東地方在住で、いずれも血液製剤により成人する前に感染した。免疫状態は良好なため抗ウイルス薬はまだ服用していないが、夫は血液中のウイルス量が増え始めており、「性交渉による妊娠は、夫の強いウイルスに新たに感染することで、妻の安定した状態を悪化させる恐れがある」(同部長)という。
 花房部長らのチームは、試薬や遠心分離などで精液からHIVを除去する技術を開発。夫が感染者である計55組の夫婦に人工授精や体外受精を実施し、これまでに37人の赤ちゃんが生まれたが、妻と赤ちゃんへの感染例はないという。
 妻のみが感染者である夫婦に対しても、人工授精の結果、感染のない赤ちゃんが生まれたとの報告があるが、夫婦双方が感染している場合については国内で生殖技術の利用の是非をめぐる検討が進んでおらず、実施されてこなかったとみられる。
 花房部長は「夫婦とも感染者でも治療法の進歩で生存期間は今後も延びると期待され、子供を持つことは人生における自然な願いだ。少しでも安全性を高めるため、患者が望むなら医療は積極的に補助すべきだ」と話している。
 ◆幅広い議論を
 厚生労働省研究班でHIV感染者の生殖医療についての研究を担当している田中憲一新潟大教授(産婦人科)の話 「夫婦ともに感染者というケースで生殖医療の相談が来ているという話は承知している。子供の福祉という観点からも幅広い議論が必要な問題だと思う」

[産経新聞 ]

投稿者 akiuchi : 09:52 PM

December 13, 2006

無資格内診させていた「堀病院」=伊藤直孝(横浜支局)

12月10日の神奈川県産婦人科医会会長八十島先生のインタビューを読んだところでは毎日も内診問題に理解を示しているのかと思ったがこの記者の目を読むとそれが甘かったということを知らされる。内診問題で診療所のお産を否定することがこれからの日本の周産期医療崩壊を加速するという視点がどうしてこの毎日の記者にはないのだろう?助産所とセンター病院集約化の結果はもっと悲惨なことになると私は思う。
産科希望の研修医は減少傾向にあるという記事も出ているがその理由を記者は真剣に考えて欲しいと思う。お産に寄り添う助産師だけではお産の安全は確保できないのだ。

12月10日のインタビュー
http://blog.med-apple.co.jp/mailmaga/diary/archives/2006/12/post_113.html

記者の目

無資格内診させていた「堀病院」=伊藤直孝(横浜支局)
 ◇「助産師軽視」、真実を語れ--産科医療、再考のために

 やむにやまれずの行為だったのか。信念があって、そうしたのか。ただ「真実」を聞きたい。

 神奈川県警は11月27日、横浜市瀬谷区の産婦人科病院「堀病院」で助産師資格を持たない看護師らが産道に指を入れお産の進み具合を診る「内診」を繰り返していたとして、堀健一院長(79)ら11人を保健師助産師看護師法(助産師業の制限)違反容疑で横浜地検に書類送検した。

 強制捜査が始まったのは8月24日。同県警が堀病院を家宅捜索するや、産科医団体は助産師不足などを理由に反発した。堀院長も「助産師が不足していた」と語り、記者会見ではこんなやりとりもあった。

 --なぜ助産師が根付かなかったのか。

 院長 昨年まで、医師が新生児を取り上げることを前提に助産師を集めていた。「おいしいところ」を医者がやるので励みが少なかったのか、来てもすぐやめてしまう。給料をけちったからではない。

 --なぜ取り上げを医師のみに任せたのか。

 院長 サービスです。医師がやる方が妊婦が安心するだろうと思っていた。

 --助産師は何をしていたのか。

 院長 一緒ですよ。内診したりして。

 --分娩(ぶんべん)室に助産師を入れなかったのでは。

 院長 そんなことはない。

 だが、その後の取材で、堀病院は助産師が院内にいても分娩に積極関与させず、マニュアルを作成して看護師らに内診をさせていた実態が明らかになった。横浜市の調査では、5月から家宅捜索翌日までの約4カ月間で、非常勤を含め計6人いた助産師が分娩室に日勤したのはわずか3日。多くが新生児室や母乳相談を担当させられていた。一方、県警が押収した分娩経過図表によると、過去2年半で無資格内診は計3万9000回にも上っていた。

 記者会見での話とは明らかに矛盾するこうした実態について、堀院長は改めて説明する必要があるはずだ。だが、院長は8月25日の記者会見以降、公の場で説明をしていない。私たちは文書や電話で再三取材申し込みをしたが、応じてもらっていない。

 助産師はお産を中心に女性に寄り添う仕事で、学校で計720時間以上の専門教育を受け、国家試験を受ける。「内診はただの観察ではない」「助産師の専門性が理解されていない」。事件後、助産師からは堀病院への不信の声を数多く聞いた。現場で働く助産師は全国で約2万6000人。約79万人の看護師や約27万人の医師に比べはるかに小さな集団で、結びつきは強い。堀病院の助産師軽視ぶりが仲間うちで伝わり、助産師が集まらなかったことは容易に想像できる。

 日本看護協会の楠本万里子常任理事によると、お産には安全を考えて医師が中心に行う分娩と、妊婦の自発性や自然に任せる分娩という二つの考え方がある。堀病院が母子の安全を第一に考え、医師中心のお産に取り組んでいたのであれば異論はない。だが、堀院長は家宅捜索後、記者団が「妊婦さんは助産師が内診をやっていると思っていたんじゃないですか」と問うと、「妊婦さんは法律的なことは分からない」と言い切った。家宅捜索後に堀病院を視察したある産科医は「設備が整い医療の質は高いが、助産師が妊婦に寄り添って励まし、経過を見続けるようなケアの部分が弱いと感じた」と話す。

 堀病院の総分娩件数は昨年までの過去10年間で3万800件と国内トップクラスだ。人口360万人の横浜市で出産数の約1割を担う。1959年の開業間もないころ、破水した妊婦をたびたび車で迎えに行ったという堀院長も「ざっくばらんで飾らない性格」と評判は高い。一般病院で約2割(05年厚生労働省調査)とされる帝王切開率も4%(00~05年平均)と低く、家宅捜索後の妊婦転院も計92件にとどまったという。

 事件後、横浜市は相次ぐ妊婦からの相談を休日返上で受け付け、日本助産師会神奈川県支部は助産師確保について堀病院に協力を申し出た。こうした支援を受けるのも、堀病院がお産場所の確保に大きな役割を果たしてきたからだ。

 助産師の偏在、分娩施設減少などで産科医療の危機が叫ばれて久しい。産科医や助産師をどう確保するのか。看護師内診も、助産行為として認めない現行の厚労省解釈のままでいくのか、日本産婦人科医会が主張するよう診療の補助行為とみて認めるべきなのか。

 今回の事件は、望ましいお産について議論を尽くすための好機だと思う。そして何より「出産数日本一」の病院長の率直な説明こそ、産科医療を考えるための貴重な証言になるはずだ。

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 「記者の目」へのご意見は〒100-8051 毎日新聞「記者の目」係へ。メールアドレスkishanome@mbx.mainichi.co.jp

毎日新聞 2006年12月13日 東京朝刊

「産科希望の研修医は数%」 神奈川県

記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社

【2006年12月12日】
問われる「日本一」:堀病院・無資格助産事件 「産科希望の研修医は数%」 /神奈川

 ◇4大学の医学部長ら、高い女性離職率も指摘

 産科医不足が叫ばれる中、県内で医学部を持つ大学でも、産科医を希望する研修医はわずかであることが分かった。

 松沢成文知事が横浜市立、北里、聖マリアンナ医科、東海の4大学の医学部長らと4日に開いた懇話会で、産科医希望者は研修医の「5%弱」(聖マリアンナ医大)「2-3%しかいない」(北里大)と厳しい報告が相次いだ。

 県によると、県内の医師数は94-04年の10年間で19・6%増加したが、産科・産婦人科医は700人から663人と5・3%減少した。

 懇話会で、横浜市大は「8人いる産科医のうち2人が来年廃業し、5人が休業、1人が結婚退職するが、新たな入局者は2人だけ」と嘆き、聖マリアンナ医大も「産科医の44%が女性だが、離職率が高い」と明らかにした。

 松沢知事は結婚退職するなどした女性医師の再就職に向け、県と大学が連携した再教育制度を打診した。しかし、一部の大学は研修医の流出などを理由に難色を示した。【稲田佳代】




投稿者 akiuchi : 09:22 AM

December 10, 2006

堀病院・無資格助産事件 「今は現状追認を」 

堀病院内診問題に関して産科医に厳しい報道をしている毎日新聞が医会会長の八十島先生のインタビューを掲載している。「このままでは県内でお産ができる場所がなくなる。地検はこのことをよく考えていただきたい。」「助産師が充足するまでは(看護師が内診をしてきた)現状を追認してほしい。」という訴えを果たしてどこまで理解しているのか?いささか疑問が残るが送検後の判断(起訴か否か)が出る前にこのような記事を毎日が載せているという所は一歩前進として評価していいのかも知れない。
問われる「日本一」:堀病院・無資格助産事件 「今は現状追認を」 /神奈川

 ◇堀院長には反省点も--県産科医会・八十島会長
 横浜市瀬谷区の産婦人科病院「堀病院」の無資格助産事件で、県産科婦人科医会の八十島唯一(やそじまただいち)会長(74)が毎日新聞のインタビューに応じ、「これまで看護師の内診(産道に手を入れてお産の進み具合を診ること)で医療安全が損なわれたことはない。助産師偏在が著しい今は、現状を追認してほしい」と国に苦境を訴えた。一方、保健師助産師看護師法違反容疑で書類送検された堀健一院長(79)については「もう少し、助産師に協力させていれば良かった」と反省点も言及した。【伊藤直孝、写真も】
 ――事件はどのような影響があったか。
 県内の分娩(ぶんべん)施設にアンケートすると「看護師内診が認められなければ分娩をやめる」という施設が10%もあった。医師の指示で看護師が子宮口の開き具合を計測することは、保助看法で認められた診療の補助行為。日本産婦人科医会の調査でも、看護師による内診で医療安全が損なわれたという報告はない。看護師の内診がいけないという厚生労働省の突然の通知には戸惑いを感じる。
 今年は福島県で産科医が逮捕される事件もあった。県内4医大で産科医志望の研修医は、昨年の12人から7人に減った。こうした事件と無関係ではない。会の調査では、県内の分娩受け入れ可能数は10年後に7万件から6万件に減る。このままでは県内でお産ができる場所がなくなる。地検はこのことをよく考えていただきたい。
 ――堀病院では助産師が分娩そのものにかかわる機会が少なかった。助産師の専門性を否定していたのでは。
 もう少し助産師を多く雇用して、協力させれば良かったと思う。だが堀院長に聞いたところ、堀院長は看護師を徹底的に教育し、医師の監視のもとで子宮口の開き具合の計測をさせ、最後の取り上げは全件医師が行っていた。医師が中心になってお産をみるという堀院長の信念は正しい。
 現場の実感では助産師が圧倒的に少なく、しかも偏在があり個人病院や診療所には来ない。
 ――助産師からは堀病院への不信感の声を聞く。広く助産師を集めるためにも、事件について堀院長から改めて説明が必要ではないか。
 考え方を表明して理解していただくことが必要だと思うが、今は地検の処分前で難しいだろう。
 ――今後は国にどういう施策を望むか。
 日本の新生児死亡率、妊産婦死亡率は非常に低く、世界のトップレベルを維持してきた。助産師が充足するまでは(看護師が内診をしてきた)現状を追認してほしい。

[毎日新聞 ]

投稿者 akiuchi : 11:36 PM

December 07, 2006

判断遅れ仮死状態で出産 北大病院で医療事故

北大でも吸引分娩>帝切で医療事故がおこって大変なことになっているようだ。8月のニュースでも東京の愛育病院で鉗子分娩事故の報道があったが集約化してもお産はやはり100%安全ということはないのだと思う。ローリスクのお産に関していえば診療所と大病院の差はない、もしくは経験豊富な診療所に分があるのではないかとさえ私は考えている

判断遅れ仮死状態で出産 北大病院で医療事故
06/12/06
記事:共同通信社
提供:共同通信社
ID:414116

北海道大学病院は5日、出産の際に胎児が低酸素状態になっている可能性があったのに帝王切開をする判断が遅れ、仮死状態で生まれる医療事故があったと発表した。同病院は新 生児の母親や家族に経過を説明し謝罪した。

北大病院によると、9月に入院した道内の40代女性の出産時に、胎児の心拍数が少なくなるなどの異常が見られた。しかし、担当した産科の医師らはすぐに帝王切開を選択せず 、胎児の頭を引っ張って取り出す方法を試みた。このため出産が遅れ胎児は自発呼吸ができない状態で出生、現在も人工呼吸器をつける重篤な状態が続いているという。

北大病院は医療中の医師や助産師間の連携を強めるなど、今後再発防止策を検討すると説明した。

新生児が仮死状態 北大病院、家族に謝罪
06/12/06
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社
ID:414102


医療ミス:新生児が仮死状態 北大病院、家族に謝罪

 札幌市北区の北大病院(宮坂和男院長)で9月、道内の40代の女性が出産した際、医師の対応に不手際があり、新生児が仮死状態で生まれたことが5日、分かった。同病院はミスを認め、家族に謝罪した。

 同病院によると、女性は妊娠40週目に破水を起こして同病院に入院。分娩(ぶんべん)の進行が遅く、30代の主治医らが陣痛促進剤を投与したが、間もなく胎児の心拍数が弱まる症状が表れた。その後も陣痛促進剤の投与や吸引分娩を試みたがうまくいかず、帝王切開で出産。新生児は仮死状態で生まれ、現在も人工呼吸器の装着が必要な状態という。母体に影響はなかった。

投稿者 akiuchi : 09:18 AM

HIV母子感染率

12月1日は「世界エイズデー」だがすっかり一頃の関心は薄れてみんなあまり気にしなくなってしまっているようだ。獨協医大の稲葉先生もじわじわと増えていると指摘しているので油断はできない。私が妊婦健診でHIV検査を始めて10年以上になるが今までポジティブが出たという経験は幸いにしてないがこれからもこの状態が続いてくれることを祈りたい。

HIV母子感染率 2-3割→0.6%に 帝王切開+抗ウイルス剤で/厚労省

 HIV(エイズウイルス)感染者が出産する際に2~3割の比率で起きる恐れがある母子感染も、帝王切開と抗ウイルス剤の投与を組み合わせるなどの予防策をとれば、感染率が0・6%まで抑えられることが、厚生労働省研究班(主任研究者=稲葉憲之・独協医科大病院長)の全国調査でわかった。子供を持つことをあきらめるHIV感染者が多いとされてきただけに、その考え方そのものを変える可能性がある結果として注目される。
 母子感染の原因の一つは、出産時に母体からの出血が新生児の体内に取り込まれることだとされる。このため、出血対策としての帝王切開や、妊婦のウイルス量を減らす抗ウイルス剤投与が行われている。
 研究班が全国の産婦人科などを対象に1998年から実施している調査によると、昨年度までに報告された感染妊婦の総数は468例。うち実際に出産にこぎつけ、しかも生まれた子の感染の有無を把握できた209例について分析した。
 それによると、HIV感染を踏まえた計画的な帝王切開による出産は173例で、うち母子感染事例は、わずかに1例(0・6%)。これに対し、感染妊婦の自然出産は22例で、うち母子感染は5例(23%)だった。残り14例は緊急の帝王切開による出産で、母子感染は1例(7%)だった。

[読売新聞 ]

HIV感染の妊婦じわり増加
2年連続で年間千人超
 エイズウイルス(HIV)に感染した妊婦の報告数が04年以降、じわじわと増加していることが、厚労省研究班の4日までの調査で分かった。

 国内では新たに報告されたHIV感染者、患者の合計が04年から2年連続で年間1000人を超えている。稲葉院長は「HIV感染者を減らすことが感染妊婦の減少にもつながるので、行政と民間が一体となった啓発、教育活動が重要」と指摘している。

(共同通信)


投稿者 akiuchi : 07:32 AM

December 04, 2006

産科救急問題 奈良に限らない危うさ 読売新聞

「お産には命の危険がつきまとう。安心して産める環境作りは、少子化対策のとば口でもある。。産科医の養成は長期的な視点に立たざるをえないが、セーフティーネットの構築は喫緊の課題だ。そのためには、どの程度の予算が必要なのか。他に有効な手だてはないのか。国や自治体は、早急に具体策を探らねばならない。 」・・・・何度も繰り返しいっていることだが、「喫緊の課題」を解決する方法は現在がんばっている診療所のお産を守ることしかないのだ!その観点からも内診問題に行政はしっかりとした態度をとらなければならない。どうしてマスコミはそこまで言及することができないのだろう?

[自由席]産科救急問題 奈良に限らない危うさ 読売新聞  2006年12月3日(日)

 ◇論説委員 永田広道
 奈良県大淀町立大淀病院で、深夜の出産時に意識不明となった妊婦が、県内や大阪府内の計19病院で転院を断られた末に死亡した問題は、産科救急システムのもろさを露呈した。死亡率などから見れば「世界一の安全」を誇りながらも、課題が山積する産科医療。妊婦は、その“落とし穴”に、はまったかに見える。
 今年3月、ある提言書が奈良県の医療行政担当者らにショックを与えた。県医療審議会に設けられた専門家作業部会リポート「周産期医療の充実に向けて」は、お産現場の危機感を映し出していた。
 県内のNICU(新生児集中治療管理室)は、一般病床に移す途中の後方病床を含めて40床。MFICU(母体・胎児集中治療管理室)は後方を含め4床しかない。
 出生児1万人あたりの設置数は、NICUが全国平均の半分ほどで、後方病床数は全国最低だ。
 本来必要とされる病床数は、NICU119床、MFICU27床である。数字の隔たりはあまりに大きい。実際、大阪府を中心とした県外への母体搬送は年々増加し、すでに40%近くに上っていた。
 厚生労働省が、極めてリスクの高い妊婦や胎児のために設置を求めた「総合周産期母子医療センター」も近畿で唯一未整備であり、計画さえ具体化していなかった。
 提言を受け、柿本善也知事が6月、2007年度までのセンター設置を表明したが、対応遅れのそしりは免れない。8月に発生した搬送問題は、いつ起こってもおかしくない状況下にあったのだ。
 日本産婦人科医会の神谷直樹常務理事は「奈良の問題は、大都市でもどこででも起こりえる」と漏らす。妊婦が運び込まれた大阪府でも計17病院が収容できなかった。多くは「満床」だったからだ。
 府内は、高リスクの妊婦を治療できる43病院の空床情報などをネット上で共有するシステムを整えている。が、分娩(ぶんべん)施設は減少の一途にあるうえ、相次ぐ損害賠償訴訟や刑事事件による産科医の委縮も加わり、高リスク対応病院への依存度は高まる一方だ。
 実際、システムによる府内の搬送は、00年度の1124件から、昨年度1779件に急増した。
 問題発覚後、奈良県は、基幹2病院で産科が満床でも救急救命センターで受け入れを図るようにした。近畿各府県も、相互搬送のあり方を検討し始めた。
 「根本的な解決策は、センター機能を持つ公立病院などが、常に空床と予備スタッフを確保しておくことだ」と神谷氏は話す。しかし、空床のために一般のお産を断れるのか。減益にもなる。深刻な産科医不足の中、スタッフは夜昼となく分娩と“格闘”している。
 財政、人員の両面で解決できないのが現実なのだ。ともに「破綻(はたん)寸前」と訴える声は少なくない。
 お産には命の危険がつきまとう。安心して産める環境作りは、少子化対策のとば口でもある。
 産科医の養成は長期的な視点に立たざるをえないが、セーフティーネットの構築は喫緊の課題だ。そのためには、どの程度の予算が必要なのか。他に有効な手だてはないのか。国や自治体は、早急に具体策を探らねばならない。

[読売新聞 ]


投稿者 akiuchi : 07:48 AM

December 03, 2006

◆「無過失補償制度」の自民党案に対する日医の見解について

産科医不足の原因として挙げられてる訴訟リスクの特効薬として注目されている「無過失補償制度」の全貌がだんだん明らかになってきた。果たしてこれで訴訟が本当に減ることになるのだろうか?

参考;
「無過失補償制度」の自民党案のサイト
http://www.jimin.jp/jimin/seisaku/2006/seisaku-027.html

◆「無過失補償制度」の自民党案に対する日医の見解について

 木下勝之常任理事は、自由民主党の「医療紛争処理のあり方検討会」が、「産
科医療における無過失補償制度の枠組み案」を取りまとめたことを受けて、11月
29日の記者会見で、「日医の基本的考え方を入れ、国が予算を付けて無過失補償
制度を立ち上げようというところまできた。これから、実際の運用面等を詰めて
いきたい」と述べ、同枠組み案が取りまとめられたことを評価した。

 日医では、分娩に関連して生ずる脳性麻痺に対して、医師の過失の有無にかか
わらず補償金を給付する、「分娩に関連する脳性麻痺に対する障害補償制度」を
制度化するための原案を本年8月に取りまとめ、同月2日、平成19年度予算の概
算要求に対する要望として、川崎二郎前厚生労働大臣に提出。また、同8日には
記者会見(http://med.or.jp/teireikaiken/index.htmlを参照)を開催し、制度
化の早期実現に向けた提言を行っている。その後、厚生労働省・自民党とともに
無過失補償制度の制度化に向けた検討を重ね、今回の枠組み案がまとめられるに
至った。

 枠組み案では、通常の妊娠・分娩にもかかわらず脳性麻痺となった児を補償の
対象とし、補償額については数千万円を想定しているが、発生件数等を見込んで
適切に設定するとしている。制度の運営主体については、「運営組織」を設置し、
その運営組織が、補償対象かの審査や医療事故の分析を実施することとしている。
また、この制度には医療機関や助産所単位で加入することとし、運営組織を通じ
て保険会社に保険料を支払うことを原則とする。保険料の負担に伴い分娩費用が
上昇した場合は、出産育児一時金での対応を検討するとした。
 
 木下常任理事は、制度の基本理念である「患者の救済」「安心して分娩できる
体制」を実現するためにも「運営組織は、日医も関与するが、公平で中立的な組
織でなければならない」という視点は貫いていきたいと述べ、制度の創設に対す
る決意を表すとともに、産科医療だけでなく他の科にも無過失補償制度の流れを
広げていく大きな視点で捉えているとの認識を示した。

問い合わせ先:日本医師会医賠責対策課 TEL:03-3946-2121(代)

投稿者 akiuchi : 08:42 PM

堀病院・無資格助産事件 副院長が研修会で講演

厳しい状況の中で助産師会や看護協会主催の集まりに顔を出して「ラブコール(?)が足りない」と罵られても健気に健闘している堀病院の副院長は偉いと思った。何だか憂鬱になってくる医師-助産師関係だ。

問われる「日本一」:堀病院・無資格助産事件 副院長が研修会で講演 /神奈川

 ◇ラブコールは空回り?
 ◇「助産師必要」の熱意が足りない--参加者は辛口コメント
 「ラブコール」は届かなかった?――。院長ら計11人が保健師助産師看護師法違反容疑で書類送検された堀病院(横浜市瀬谷区)の堀裕雅副院長(48)が2日、同市内で開かれた助産師の研修会で「産婦人科開業医から助産師へのラブコール」と題して講演した。同病院幹部が公の場に出るのは送検後初めて。話は病院紹介が主で、参加者から「ラブコールが足りない」と辛口の評価を受けた。【伊藤直孝、写真も】
 研修会は、助産師資格を持つが子育てなどで現場を離れている「潜在助産師」が対象。日本助産師会県支部が助産師不足・偏在を解消しようと、1日に続いて開いた。
 11月27日に送検された堀健一院長(78)の息子である堀副院長は、過去10年間で堀病院の総分娩(ぶんべん)数が3万800件に上る点や、帝王切開率が低い点などをPR。同病院の“代名詞”である救急車による妊婦送迎について「病院付近が農道のころ、父が車を運転して妊婦さんを迎えに行ったのが始まり」と紹介した。
 事件への言及は避けたが、助産師との質疑応答で“本音”が見え隠れ。「分娩の受け入れ制限をしているか」との質問に「一切ない。8月は分娩予定者が300件を超え部屋がなくなりそうだったが、報道で減った」。「大病院は助産師の意見が医師に押しつぶされることが多いが、堀病院はどうか」との問いには「内容によります。人数が多いと思うようにいかない」と答えた。
 終了後、日本看護協会の楠本万里子常任理事は「助産師が必要というラブコールが足りず残念」と苦言を呈した。藤沢市の助産師(30)は「堀病院は良い事業をしていることは分かったが、お産は医師主体なのかなと思った」と話した。

12月3日朝刊
(毎日新聞) - 12月3日11時0分更新

投稿者 akiuchi : 06:10 PM

December 02, 2006

2006年9月25日号アエラ

少し古い記事だがアエラに掲載された堀病院内診事件の解説記事を入手したのでここに転記しておくことにする。毎日新聞などのレベルの低いマスコミと比べると問題を冷静に分析している。本質は助産師対産科医ではなく日本の周産期システムはどうあるべきかということなのだ。

2006年9月25日号アエラ
「理想の出産」の現場 堀病院事件から学ぶ=訂正あり
助産師の資格がない看護師に妊婦の状態を調べさせた。
そんな嫌疑で、横浜市の堀病院が警察の家宅捜索を受けた。
助産師がいなければ、なにもできないのか。
妊婦や家族、そして出産現場に大きな波紋が広がっている。
(編集部 古川雅子、大岩ゆり 写真 尾上達也)
年間3000件近い出産を取り扱い、自称「出産数日本一」の堀病院(横浜市)に
8月下旬、神奈川県警の家宅捜索が入った。病棟や職員宅など24カ所を数十人の警
察官が捜索した。
捜索の容疑は何かと言えば、通称「保助看法」と呼ばれる「保健師助産師看護師
法」違反だ。
助産師の資格を持たない看護師が2003年12月29日、陣痛の始まった女性
(37)の子宮口の開き具合を測定するなど、お産の進み具合を調べる「内診」をし
た。それが助産師や看護師の職務などを規定する保助看法に違反している、という容
疑だ。
「これで家宅捜索されるなら、もうお産は取り扱えません」
「最近、産婦人科医仲間と話すと、みんな暗いです。福島県の産婦人科医の逮捕に
続く今回の堀病院の事件。産科医は日本にもう要らないということでしょうか」
堀病院の事件を知った全国の産婦人科医たちは、驚きや怒り、不安などで騒然とし
た。というのも、看護師が内診する病院や診療所は決して少なくないからだ。
看護師と助産師はどのように違うのだろうか。助産師は基本的には、看護師の資格
を持った上で助産師の国家試験に合格した「女子」。看護師の中の女子エリートとい
える。職能団体は助産師も看護師も共通で、「日本看護協会」だ。
問題となっている「内診」は、陣痛が始まった後、膣内に指を2本入れ、妊婦の子
宮口がどれぐらい開いているか、赤ちゃんがどれぐらい膣口に向かって下りてきてい
るかなどを診る行為だ。これが分娩を助ける「助産」行為かどうかをめぐり、ここ数
年、産婦人科医と助産師・厚生労働省が激しく対立している。


産科医と助産師のズレ
保助看法には内診については明確な定義がない。
産科医たちの認識はこうだ。
「内診はそれほど難しい手技ではない。看護師が行っている採血や静脈注射の方が
よっぽど難しい」
分娩を扱う産科の現場では保助看法が施行された1948年以降、看護師による内
診が行われてきた。特に陣痛が始まってから子宮口が全開するまでの「第1期」の内
診については看護師にもできる、というのが医会の公式見解だ。
陣痛開始から出産終了までには時間がかかる。経産婦でも5~8時間、初産の場合
は12~16時間。第1期が特に長く、経産婦でも平均5時間、初産婦は平均8時間
かかる。ゆっくり進行するので、測るべき部分を測って医師に報告してくれれば急に
問題が起きることはない、という考え方だ。
一方、厚労省や助産師側の見解は異なる。
「内診は、分娩に異常がないかをみる重要な判断を伴う行為です。特に、少しずつ
回転しながら下りてくる赤ちゃんの『回旋』をみるのは難しい。教育課程や国家試験
の問題に助産行為がまったく入っていない看護師が行うべきではありません」(厚労
省看護課)
「内診は助産である」という法解釈を厚労省が示したのは02年。助産師や医師以
外は内診などをしてはいけないという理解でいいのか、という鹿児島県保健福祉部長
の「照会」に対する厚労省看護課長の「回答」という形だった。鹿児島県は、県内の
医療事故がきっかけで、照会したのだった。
この回答について、医会は静観していた。内診によって分娩の進行が正常かどうか
を「判断」するのは助産師か医師の仕事だが、判断を伴わない計測や観察だけの内診
なら看護師でもかまわない、と解釈できたからだ。
ところが04年、今度は愛媛県からの照会に対する回答という形で出された厚労省
看護課長の見解は、「判断を伴わない内診も助産師や医師しかできない」という内容
だった。これに対しては医会や日本医師会が激しく反発。変更を求める意見書などを
出した。
05年に厚労省で開かれた検討会でも、何回も内診問題が議論されたが、結論は出
なかった。
「別途議論する、ということです。いつになるかは分かりません。それまでは今の
解釈が適用されるということです」(厚労省看護課)
堀病院の事件は、くすぶっていた火に油を注いだ。家宅捜索に対して医会が抗議の
声をあげ、神奈川県の医会が「堀病院を全面的に支援する」と宣言したかと思えば、
助産師側の日本看護協会も声明を出して対抗している。


出産長びき脳性麻痺に
年間約500件のお産を扱うオーク住吉産婦人科(大阪市)では、看護師も内診す
る。看護師には最低6カ月かけて指導し、徐々に経験を積ませる。助産師も募集して
いるが、00年の開院以来、数人しか就職しなかった。今も1人だ。
というのは、中村嘉孝院長(39)が採用面接の際、「自然な分娩」など助産師自
身の「お産方針」は尊重しない、母子の安全確保が最優先、という医院の方針をまず
明確にするからだ。怒って席を立つ助産師が多いという。
中村さんがこのような方針をとることにしたのは、以前勤めていた小さな産科医院
で、次のような「事件」に遭遇したからだ。
助産師の多くは大病院に就職するため、その産科医院では助産師がなかなか雇えな
かった。「会陰切開の判断」を任せることを条件に、働いてもいいという助産師がよ
うやく現れた。
ある通常の出産での出来事だ。
「いきみすぎなくていいのよ」
助産師は長時間、妊婦を励まし続けた。が、初産だったので産道の出口の会陰部分
が伸びず、数時間かかってしまった。会陰は切らずにすんだが、赤ちゃんは脳性麻痺
になった。長時間、圧迫されて低酸素状態になっていたからだ。
「助産師を雇わないのは人件費を節約するためではなく、母子の安全を犠牲にして
まで自分のお産方針に固執する助産師より、指示した通り動いてくれる看護師の方
が、結局は母子の安全を守れるから、という医師が多い」(中村さん)
●看護師の怖い思い
内診などを任される看護師はどう考えているのだろうか。医師から分娩室勤務を頼
まれて、怖い思いをした看護師もいる。
分娩数が年間数百ある地方の個人病院では、数年前、助産師は常時数人しか確保で
きず、助産師が24時間カバーするシフトも組めない態勢だった。苦肉の策が、昼間
は看護師による内診でカバーする、というものだった。
医師から内診の指導を受けたその看護師が本番に臨んだところ、子宮口が6センチ
開いたところで急にお産が進んで生まれてしまった。医師が到着するまで、看護師は
生きた心地がしなかったという。以来、この病院で看護師による分娩室勤務はなく
なった。
当時、その病院に勤務していた助産師は、こう振り返る。
「看護師さんの落ち込んだ顔は、いまでも忘れられません。効率を優先して、リス
クと責任を伴う業務をさせられる看護師側の気持ちも考えてあげないと」
内診問題に限らず、産科医と助産師は「同じ言語で話せない」と揶揄されるよう


に、両者はそもそも「分娩観」にも大きな違いがある。産科医が重視するのは、分娩
監視装置のモニターなどで数値化される異常の見分けであり、内診行為も「計測」の
一部と考える。助産師は、陣痛開始から胎盤がすべて出るまでトータルに見ていて、
内診は「診療」の一部だと考えている。
助産師教育の実習の中では、内診の方法を学ぶとともに、「できるだけ内診をしな
いための方法」も学ぶ。助産師は、産婦の自然ないきみ、息遣い、表情、陣痛の程度
など、総合的な「観察」により、分娩の進行状況を予測し、それをもとに内診して状
態を把握する。
「内診だけをして分娩進行がわかるわけではありません。ベテランほど、妊産婦さ
んをよく観察しますから、内診は少ないですよ」
山本助産院(横浜市)の山本詩子院長はこう指摘する。

●イエスマンにならない
英語で助産師を「ミッドワイフ」(女性とともにある人という意味)というが、常
にそばにいて女性に寄り添う職業という意識が助産師には強い。お産の進みが悪けれ
ば「もうちょっと歩いてみる?」などと、処し方をアドバイスし、妊産婦さんのケア
をする。
「分娩監視装置が発する情報以外から見えているものもある。スタンスが違うから
こそ、助産師はイエスマンにはならないんです」
助産師の経験もある東京医療保健大学看護学科の坂本すが教授はこう語る。
戦前の自宅分娩でも9割の赤ちゃんは無事に誕生した。医療の進展で、出生時の母
子の死亡率が先進国の中でも最低限になってきた今、お産は安全なのが当たり前に。
安全以外に、快適さや満足感が求められる時代になった。
その延長線上にあり、病院出産のアンチテーゼとして人気があるのが、「出産は病
気ではなく、自然の摂理」という認識のもとに多くの助産師が推進する「自然な出
産」だ。助産院の人気も高い。
助産院は、産婦人科医ら嘱託医がいないと開院できないが、嘱託医などになってい
る産婦人科医たちは複雑な思いを抱く。出産時の大出血など予測不能な事態に陥った
場合には、助産院では対処しきれず、嘱託医や嘱託医の紹介する大病院に転送され
る。
「防ぎようのない事態は仕方ありませんが、助産師の危機意識の不足や、自然分娩
への固執が原因の事故も時にみられます。後処理を全部医師に押しつけられたのでは
たまりません。助産院の嘱託医のなり手が最近少ないのは、こういった事情があるか
らです」
ある総合病院に勤める産婦人科医はこう解説する。
北里大学病院(神奈川県)が1998~2002年に助産院から受け入れた妊産婦


は21人で、19%にあたる4人が亡くなった。一方、一般病院などから受け入れた
妊産婦は742人で、亡くなったのは34人(4・6%)だった。
助産院から受け入れた中には、陣痛が始まって以来4日間、水中分娩を試みたが生
まれずに北里病院に送られ、緊急帝王切開をしたという例もあった。赤ちゃんは重度
の感染症にかかっており、5日目に亡くなったという。
また、前置胎盤や双子のように、本来なら助産院で扱ってはいけない分娩を扱って
いたために、問題が起きた場合もあった。
産科医の不足、助産師の不足や偏在など、産科をめぐる課題は多い。ただ、工夫し
て上手に助産師を活用している産科病院もある。
●医・助・看のチームで
例えば山本さんの嘱託医である池川クリニック(横浜市)では、子育て中の「潜
在」助産師を活用。パートタイマーの待遇で採用し、上手にシフトを組むことで、常
時、助産師がいる態勢が築けた。かつては助産師の数はゼロだったが、いまでは、常
時十数人の助産師が登録している。
産科医と助産師とがうまく協働していく方法として、佐野病院(神戸市)が199
7年から先行して始めた「院内助産所」は、多くの産科医も「理想的な産科のあり
方」と評価する。
ここでは、産婦人科とは別に「助産科」を設置し、あたかも病院の中で助産院を開
設しているかのように、助産師が自立して妊産婦のケアを行う。妊婦は妊娠24週ま
では医師の健診を受け、ローリスクだとお墨付きがもらえたら、希望により助産科で
の受診にシフトできる仕組みだ。
9月上旬、助産科で第一子を産んだ関口雅子さん(31)の場合は、微弱陣痛と破
水による感染の兆候が見られたため、助産師の判断で産婦人科に連絡を入れ、すぐさ
ま助産科に駆けつけた産婦人科リーダーの三浦徹さんが診察。関口さんの希望を聞い
た上で陣痛促進剤による誘発分娩に踏み切った。
三浦さんはこう振り返る。
「私は助産師の本来の仕事の領域には踏み込まず、しっかりお任せします。今回も
私が手を出したのは陣痛誘発の時だけ。あとはただそばにいるだけで、助産師が取り
上げまでやってくれました。こうしたあり方こそ、異常産を診る産科医と正常産の専
門家である助産師との本当の意味でのコラボレーションだと思います」
関口さんは笑顔で語った。
「出産時に助産師さんの手厚いケアを受けつつ、もし何かあっても敷地内に産婦人
科の先生がいるという安心感がありました。いいとこどりのお産かもしれませんね」
今回の内診問題の議論が、産科医と助産師との縄張り争いに終始してしまっては元
も子もない。前出の坂本さんは指摘する。
「今回は、医師と助産師と看護師とがチームを組んで働くと


「今回は、医師と助産師と看護師とがチームを組んで働くという意識で出直すいい
チャンス。何よりも妊産婦の安全を第一に考え、利用者にいいケアを模索していくべ
きです」
出産場所
病院 診療所 助産院 自宅など
1950年 2.9 1.1 0.5 95.4%
1960 24.1 17.5 8.5 49.9
1970 43.3 42.1 10.6 3.9
1980 51.7 44.0 3.8 0.5
1990 55.8 43.1 1.0 0.1
2000 53.7 45.2 1.0 0.2
2003 52.2 46.6 1.0 0.2
(厚生労働省の資料より)
助産師の卒業後の進路
病院 97.4%
診療所 2.2
その他 0.4
(厚生労働省の資料より)
【写真説明】
今でも不足しているお産施設。「看護師の内診」問題の影響でさらに減る可能性も
佐野病院(神戸市)にあるアットホームな畳敷きの「助産科」。隣の産婦人科医の
健診は1回10分程度だが、助産科なら予約制で45分もかけてくれる
<訂正>
9月25日号「『理想の出産』の現場」の記事で、北里大学病院が受け入れた妊
産婦のうち、助産院からの4人と一般病院などからの34人が亡くなったとあります
が、亡くなったのは妊産婦ではなく赤ちゃんです。

投稿者 akiuchi : 02:01 PM

着床前診断(神戸の大谷院長)と代理出産

長野県の根津先生とともに学会に反抗して自らの信念のもと診療を続ける神戸の大谷医師。彼らの原動力は一体何なのだろう?日本人にもこのように流れに逆らって組織に反抗して生きる人々がいるということはその是非はともかくとして見習わなければならないところだと思う。学会を越えて法整備という方向も出てきたようだ。

着床前診断:神戸の大谷院長、さらに36例 毎日新聞 2006年12月1日(金)

 大谷産婦人科(神戸市)の大谷徹郎院長は30日、習慣流産など染色体異常が原因で妊娠が難しい夫婦の体外受精卵を着床前診断し、11月までに25組の夫婦から36人の子どもが生まれたと発表した。いずれも日本産科婦人科学会に申請しないままの実施だった。大谷院長は、今年1月までに11組の夫婦から15人の子どもが生まれたことを明らかにしており、未申請の着床前診断を継続していることが明らかになった。
 習慣流産をめぐっては同学会が4月、夫か妻の染色体異常が原因の場合に限って着床前診断の対象に加える会告(学会指針)を決めたが、実施前に学会に申請し、承認を得るよう求めている。
 大谷院長は04年に男女産み分け目的で着床前診断を実施し、学会を除名されている。【大場あい】

[毎日新聞 ]


代理出産:審議、学術会議に要請--法相と厚労相

 長勢甚遠法相と柳沢伯夫厚生労働相は30日、日本学術会議(金澤一郎会長)に対し、不妊の夫婦に代わって別の女性が妊娠・出産する代理出産の是非など生殖補助医療に関する審議を要請した。代理出産については、厚労省の審議会が禁止を求める報告書を03年にまとめたが、海外での出産や、国内での実施例が相次いでおり、幅広い専門家による検討を求め、今後の制度作りに生かす。
 学術会議は年内にも、法律、哲学、生命倫理、産婦人科などの専門家による委員会を設置。両省の審議会で生殖補助医療について議論をしたが、各分野の専門家に偏っていたため、幅広い分野の専門家に参加してもらう。約1年間で是非などについて取りまとめる。金澤会長は「法整備を前提とするのではなく、学術的・総合的観点から議論していきたい」と話している。【永山悦子】

投稿者 akiuchi : 10:34 AM

産婦人科・小児科の医師不足、現場は悲鳴 拠点集約も対応遅れ

11月末に厚労省が発表した2005年の調査を受けた記事。今頃「現場は悲鳴」と騒いでも、時既に遅し!厚労省が主導する「集約化」も絵に描いた餅にしかならないだろう。県立大野病院の事件がまだ生々しい福島県。佐藤先生のコメントが痛々しい。誰が責任をとるのか?行政、医師会、看護協会、マスコミ、警察・・・結局誰も責任を取らずに地域住民(妊婦さんたち)が泣きをみるだけのような気がする。都立病院も医師不足状況は田舎といっしょ。果たして若い医者が産婦人科を選んでくれるように魅力ある産婦人科診療なるものがあるのだろうか?

厚労省が発表した2005年の調査
http://blog.med-apple.co.jp/mailmaga/diary/archives/2006/12/2005.html

産婦人科・小児科の医師不足、現場は悲鳴 拠点集約も対応遅れ

 医師不足が深刻な産婦人科や小児科。厚生労働省が30日発表した医療施設調査でも、減少傾向は裏付けられた。診療科の看板を下ろす病院が相次いでいる医療現場からは、「医師不足は今に始まった問題ではない。もう手遅れ」という悲鳴も聞こえる。〈本文記事2面〉
 福島県では、昨年から今年春にかけて6病院が産婦人科を廃止した。医師の開業や他病院への移籍、死亡などが理由だ。大学病院に新しい医師の派遣を求めても、「余力はない」「1人だけの体制では、医師の負担が大きく危険」と、断られたという。
 厚労省は産婦人科や小児科について、地域の拠点となる病院に医師を集める「集約化」を都道府県に指導しており、福島県も計画を策定中だ。
 しかし、医師を派遣する側の福島県立医科大の佐藤章教授(産婦人科)は、「7、8年前から、県や市町村に、産科医を拠点の病院に集中させてほしいと申し入れていたが、自治体側は『うちの病院には派遣して』と言うばかり。今になって、集約化といっても、絶対数が足りなくなっており、手の施しようもない」と、対応の遅れを批判している。

[読売新聞 ]


お産可能な施設 全産婦人科の半分以下に/2005年厚労省調査

 産科・産婦人科のある医療機関が減り続け、このうち、お産のできる施設が昨年初めて半分を割ったことが30日、厚生労働省がまとめた2005年の医療施設調査でわかった。小児科も減少傾向にある一方で、小児科中心の診療所は増えており、過酷な勤務の病院から、専門性を発揮できる診療所に、小児科医が流れていることを示している。
 調査によると、産科・産婦人科を掲げている病院は1616施設で、前年より50施設減った。診療所も加えた産科・産婦人科5997施設のうち、お産を扱っているのは2933施設と全体の48・9%。1984年の調査開始以来、初めて半分に満たなかった。
 また、小児科のある病院も、05年は3154施設と、前年より77施設減少。診療所も2万5318施設で、前回調査(02年)より544か所減った。〈関連記事37面〉

 〈病院と診療所〉
 医療法によると、病院は患者20人以上の入院施設を持ち、診療所は入院施設がないか、20人未満が入院できる医療施設。医療施設調査では、昨年の病院数は9026施設(前年比51施設減)、診療所は9万7442施設(同391施設減)。このうち、入院施設がない診療所は86.2%。

[読売新聞 ]

医師育成を統一化 都立11病院、来年度から

 レベルの高い専門医を自前で育てるため、都は来年度から、都立11病院の医師を統一的に育成する研修制度「都立病院医師アカデミー」をスタートさせる。専門分野を集中的に学べるカリキュラムを提供して、働く場としての魅力アップを図り、産婦人科などの医師不足を解消する効果も狙う。来年度はカリキュラムの整備費などとして約1億円を予算計上する。
 都立病院ではこれまで初期研修を終えた若手医師の教育は、病院ごとに実施。加えて高度な内容を学べる上級の研修は1病院の小児科にしかなかった。
 都では、この教育内容を統一化。人数枠も増やし、例えば、がんの専門医を目指す場合は、がん医療で実績がある駒込病院で教育を受けさせたり、救急医療分野に進みたい医師の受け入れ先は総合救急診療科がある墨東、広尾、府中の3病院にしたりする。
 また、上級研修を、できるだけ多くの分野に広げ、がん治療でも肝臓や膵臓(すいぞう)など、臓器ごとの専門医を育成できるようにする。
 都立病院での正規採用の医師の充足率は、産婦人科67・4%、麻酔科77・2%など、一部の分野では定員割れが深刻。都は上級研修を創設することで、採用への応募者が増えることも期待している。

[読売新聞 ]

投稿者 akiuchi : 10:08 AM

鹿児島県鹿屋市:胎児と新生児が死亡する2件の医療事故

今回の内診問題のきっかけとなった鹿児島県鹿屋市の医療事故(2000年)について調べてみた。Kレディースクリニックは常勤医師が3名もいて月に60のお産を扱うクリニックだという。2つの事故が相次いだことは内診問題とは直接関係ないということで結局不起訴になった。別件で医者を取り締まろうという悪い風潮の始まりがここにある。

[医療を問う]看護師が違法診療、胎児ら2人死なす--鹿児島の産婦人科
2002.11.08 東京朝刊 29頁 社会 (全874字) 
 鹿児島県鹿屋市の産婦人科医院で胎児と新生児が死亡する2件の医療事故が相次ぎ、看護師に妊婦の内診や分べんの介助をさせる違法行為が繰り返されていたことが分かった。同県は助産師を置くよう医院を指導したが、改善されていない。患者側は「同じ事故が続くおそれがある」として院長(50)らを刑事告訴する方針。【医療問題取材班】

 ◇県指導“無視”--助産師置かず

 2件の事故の損害賠償訴訟の訴状によると、00年6月15日深夜、医院の医師が不在だったため、看護師3人が妊婦(22)を内診し、母体と胎児の状態を診る分べん監視装置を着けた。約3時間後、看護師が胎児の心音の異常に気づき、院長に連絡したが、胎児は死亡していた。裁判では医院側が診療を看護師に任せた責任を認め、今年7月に和解が成立した。

 この事故の6日前には、新生児が頭がい内出血による仮死状態で生まれ、転院先で死亡した。この際、看護師2人が妊婦(32)の腹部を強く押して出産を促す助産行為をしていた。「保健師助産師看護師法」では医師と助産師以外の助産行為を禁じている。

 両親はこの違法行為に加え、医師が胎児の状態を見落とし、陣痛促進剤も用法で禁じられている筋肉注射をし、容体を悪化させたのが原因として昨年11月に提訴した。

 この医院では2件の事故後も違法な助産行為が続いていたことが分かり、同県は今年3回にわたって指導した。

 この問題は1日の衆院厚生労働委員会でも取り上げられ、坂口力厚労相は「(助産師など)正規の人がいなければ、(医療事故に)拍車をかける。県の指導が不十分なら国が出向いてでもちゃんとやらなければならない」と答弁した。

 医院は19床で、医師3人、看護師と准看護師は約20人。月に60件前後の出産がある。院長は毎日新聞の取材に「助産師の募集をしているが、国立病院などに人材を取られている。2件の訴訟にはコメントを控えたい」と話している。

 「陣痛促進剤による被害を考える会」代表の出元明美さんは「開業医は経営を優先して助産師を雇わない傾向があり、それがミスにつながっている」と指摘している。

毎日新聞社

投稿者 akiuchi : 02:20 AM

堀病院の無資格助産事件(共同通信)

平成14年の鹿児島=不起訴、16年の千葉=院長のみ罰金刑確定、そして18年の豊橋=起訴猶予と看護師の内診に関する事件がこれまで問題になってきた中で千葉のみが有罪になっているという点で千葉のS院長のいい加減な対応(罰金50万円払えば終わり)が禍根を残すことになった。おそらく並行して進んでいた民事裁判とのからみで早く刑事事件も終わりにしたかったのだろうが別件に関しては罪を認めるべきではなかった。感情的な毎日新聞の記事と比べて共同通信の記事は今回の内診問題を冷静に伝えて横浜地裁の裁定に注目するという論調でまとめている点にマスコミ報道のスタンスの違いを感じる。毎日新聞よ、奢るなかれ!

院長ら11人を書類送検 恒常的に看護師らが内診 堀病院の無資格助産事件 {1}

記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2006年11月27日】


 横浜市の堀病院の無資格助産事件で、神奈川県警生活経済課は27日、保健師助産師看護師法違反の疑いで、堀健一(ほり・けんいち)院長(78)と助産師資格を持つ看護部長(69)、看護師、准看護師ら計11人を書類送検した。

 同課は8月に同法違反容疑で堀病院を家宅捜索。出産記録の分析などから、医師か助産師にだけ認められる「内診」という助産行為を堀院長が看護部長を通じて指示し、恒常的に看護師や准看護師に行わせていたことが判明。厚生労働省が2002年と04年に看護師による内診を禁じる通知を出したのに、無資格助産を繰り返した点などを「悪質」と判断した。

 03年11月から06年8月の間に内診を受けた妊婦計約7900人のうち、約7500人が看護師らによる内診だったという。

 同課の聴取に堀院長は「すべて私の責任」と認めているが、通知については「厚労省の要望という認識しかなかった」と、違法性の認識が明確ではなかったという趣旨の供述をしているという。看護部長ら10人は全員容疑を認めているという。

 調べでは、堀院長らは2003年12月、出産で入院した女性=当時(37)=について、子宮口の開きなどお産の進み具合を確認する内診を看護師と准看護師計4人に行わせたのをはじめ、今年5月までに妊婦計17人の出産で無資格助産を繰り返した疑い。

 女性は出産後、大量出血し、別の病院に転院。04年2月に多臓器不全で死亡した。

 看護師による内診は各地の医療機関で長年行われてきており、横浜地検は無資格助産の危険性などを慎重に検討し、立件の可否を最終判断するとみられる。

▽出産時の内診

 出産時の内診 産道に手を入れて子宮口の開きや胎児の頭の位置など、お産の進み具合を確認する助産行為。厚生労働省は2002年と04年に「看護師が行ってはならない」と都道府県に通知した。日本産婦人科医会などは、助産師不足で廃業する産婦人科が多い現状を訴え、陣痛から子宮口全開までの「分娩(ぶんべん)第1期」は、医師の指示下で看護師による内診を認めるよう主張。一方、子宮口全開から出産までの「分娩第2期」については求めていない。助産師団体などは「内診は出産時の危険の予知と回避のための助産業務で、看護師は代行できない」としている


無資格助産事件の経過 {2}

記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2006年11月27日】


 2002年4月 鹿児島県鹿屋市の産婦人科医院で看護師による内診が発覚。県警は03年、院長ら5人を保健師助産師看護師法違反容疑で書類送検。後に全員不起訴

 11・14 厚生労働省が「内診は助産行為に当たり、看護師が行ってはならない」と通知

 03・8・20 千葉県警が同法違反容疑で同県茂原市の産院院長ら8人を書類送検。院長は罰金刑確定。残りは不起訴

 12・29 横浜市の堀病院で、准看護師らが院長の指示で女性=当時(37)=を内診

 04・9・13 厚労省が看護師による内診を禁じる2回目の通知。日本産婦人科医会が撤回求める

 05・4・28 厚労省で同法の在り方について検討会。11月までに「看護師による内診」を認めるか意見まとまらず

 06・8・24 神奈川県警が同法違反容疑で堀病院を家宅捜索

 10・18 愛知県警が同法違反容疑で同県豊橋市の産婦人科医院院長ら3人を書類送検。後に全員が起訴猶予処分に

 11・27 神奈川県警が同法違反容疑で横浜市の堀病院の院長ら11人を書類送検


注目される横浜地検の判断 分かれる同種事件の処分 {3}

記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2006年11月27日】


 医師か助産師にのみ許される助産行為の「内診」を看護師らに行わせたとして、院長ら11人が書類送検された堀病院の無資格助産事件。これまで同種事件の刑事処分の内容は分かれている。「日本一」の出産数をうたう病院で起きた事件は、産科医療の在り方をめぐる論争にまで発展、横浜地検の判断が注目される。

 2002年に発覚した鹿児島県鹿屋市の産婦人科医院のケースでは、書類送検された院長ら計5人全員が不起訴処分に。一方、千葉県茂原市の産院院長が書類送検された事件(3年)では、04年に罰金50万円が確定した。

 今月10日には、愛知県豊橋市の産院院長ら3人を、名古屋地検が起訴猶予にした。犯罪の成立は認めたが「違法性の認識が明確でなく、証拠上(看護師らによる内診に)健康被害の危険性は認められない」という理由だった。

 厚生労働省は02年と04年、都道府県にあてた通知で看護師による内診を禁じた。堀病院の堀健一(ほり・けんいち)院長(78)は8月の家宅捜索直後の記者会見で「法律違反と知っていた」と話したが、その後の県警の聴取に「厚労省の要望という認識だった」と供述したという。

 助産師不足を背景に無資格助産は各地の医療機関で行われてきた実態がある。日本産婦人科医会などは「内診は子宮口の開き具合などの『計測』で、体を傷つける危険性はない。医師の指示下で看護師が行える」と主張している。

 横浜地検は堀院長らの違法性の認識、看護師による内診の具体的な危険性などを検討し最終判断するとみられる。


投稿者 akiuchi : 01:40 AM

December 01, 2006

送検された「日本一」:堀病院無資格助産事件毎日新聞)

毎日新聞が得意になって堀病院事件の顛末について連載している。毎日新聞は正義の味方のつもりなのだろうがこの事件を契機に日本の周産期医療崩壊が一気に加速されているという現状認識は全くないようだ。こんなノー天気なジャーナリストに国民の健康を任せていて本当にいいのだろうか?なぜもっと本質に迫る記事がかけないのだろう?・・・なんてことを書くと次はきっと私のところがターゲットにされてしまうのかもしれないという恐怖感を覚える。ブラックジャーナリズムという言葉を彼らに進呈したいくらいだがそれではいくらなんでもひどすぎるかな?単にジャーナリストとしてのレベルが低いという単純な次元の問題なのかも知れない。小松先生の本を是非一度読んで欲しいと切望する。

************

送検された「日本一」:堀病院無資格助産事件/1 強制捜査の陰で /神奈川

 堀病院(横浜市瀬谷区)の無資格助産事件は、看護師による内診の是非やお産における助産師、看護師の役割などについて広く波紋を広げた。県警の書類送検を機に、改めてその意味を検証する。
 ◇県警、石橋をたたく
 「あす、堀病院を家宅捜索します。患者さんがパニックになる恐れがある。対応をよろしくお願いします」
 横浜市医療安全課の職員が、県警生活経済課の捜査員からひそかに電話で通告されたのは、8月23日のことだった。県警幹部は「妊婦に悪影響を与えてはいけないし、転院希望の妊婦も出てくる。ケアをお願いする必要があった」と振り返る。
 翌24日朝。小雨がちらつく中、スーツ姿の捜査員数人が堀病院の正面玄関に入った。妊婦を乗せた救急車のサイレンがひっきりなしに鳴る。続いて上着を脱いだ捜査員60人が通用口から病院に入った。マタニティードレスに身をまとった妊婦がけげんそうに見つめたが、捜査員には厳命が下っていた。
 「必要以上に院内を歩き回るな」
 出産数「日本一」を誇る同病院への捜索は、異例とも言うべき“配慮”の下に進められた。
    ■
 捜索容疑は保健師助産師看護師法(保助看法)30条違反。同条は助産師と医師以外は「助産」をしてはならないと定めている。
 だが、捜索を受けた日の夜、堀健一院長(78)は集まった報道陣に繰り返した。「うちが特殊か、調べて下さい。ほとんどの所でやってますよ。看護師が内診(産道に指を入れて子宮口の増大を確認する行為)をしたからといって、安全なお産とは関係ない」
 強気とも言うべき院長の発言の裏には、保助看法が「助産」について明確な規定をしていないという事情がある。
    ■
 内診が「助産」に当たるとの解釈を厚生労働省が明示したのは、4年ほど前だ。02年11月、厚労省は鹿児島県の照会に回答する形で「妊婦に内診を行って子宮口の増大を確認する行為は助産に当たる」と通知した。
 さらに04年9月、同省は医師の指示の下で行われた内診も助産行為であり、看護師には認められないとの通知を都道府県に出した。現在も「内診は助産師が教育、経験、知識を踏まえて安全に行えるもの。現段階で保助看法の見直しは考えていない」(同省看護課)との姿勢だ。
 一方、産婦人科医らで作る日本産婦人科医会は「看護師の内診が認められないとなれば、多くの診療所や病院で分娩(ぶんべん)が立ちゆかなくなる」と同省の見解に反発。陣痛開始から子宮口全開までの「分娩第1期」の内診は看護師にも認めるよう主張してきた。
    ■
 県警はこうした対立にも“配慮”し、堀病院への捜索容疑に子宮口全開から出産までの「分娩第2期」に行われた准看護師の内診も含めた。医療界からの捜査批判を最小限に食い止めたいとの思惑が見え隠れする。
 石橋をたたいて渡るような県警の捜査。だが、それでも強制捜査に踏み切ったのには、わけがあった。=つづく

11月28日朝刊
(毎日新聞) - 11月28日13時1分更新

送検された「日本一」:堀病院無資格助産事件/2 分娩記録は語る /神奈川

 ◇軽視された助産師
 県警が堀病院の強制捜査に入った“原動力”となったのは、B4判2枚のペーパーだった。
    ■
 03年12月29日。大和市内の実家から通院していた名古屋市の女性(当時37歳)が、堀病院で女児を出産した。女性は出血が止まらず、別の病院に搬送されたが、04年2月に多臓器不全により死亡した。出産と死亡の因果関係は不明だ。
 今年6月、県警はこの女性の「分娩(ぶんべん)経過図表」を入手した。
 2枚の図表によると、女性は陣痛促進剤の点滴と分娩誘発器具の挿入を受け、午後2時に自然破水。同5時45分、子宮口が約10センチまで全開し、分娩第2期(子宮口全開から出産まで)に入ったことを示す「10センチ」の線上に×印がつけられた。同6時5分、32分にも×印がある。いずれのサイン欄にも同一人物の名前が片仮名で走り書きされている。勤務表を見ると、この人物は助産師資格のない准看護師であることが分かる。
 無資格内診の動かぬ証拠だった。
    ■
 県警は堀病院に勤務していた看護師らの事情聴取に乗り出した。
 「初めは内診をしろと言われてエッ、と思ったが、じきに慣れた」
 「患者をだましている気がする」
 堀健一院長(78)らの指示で行われていた無資格内診を裏付ける証言が次々と集まった。県警幹部が明かす。「少なくとも現行法上は違法とされる行為が、日本一を標ぼうする産科病院で公然と行われていた。この実態に光を当てる必要があった」
 7月末。県警は家宅捜索の方針を固めた。
    ■
 他の分娩資料やカルテからは、別の事実も浮かんだ。
 亡くなった女性が分娩第2期に入った午後5時45分は、堀病院は準夜勤体制(午後3時半~午前0時半)で、医師1人、看護師3人、准看護師4人、それに助産師1人の計9人が勤務していた。
 午後7時41分、女性は女児を出産し、男性医師が取り上げた。女性は子宮が収縮せずに出血する「弛緩(しかん)出血」が始まり、ガーゼ挿入やマッサージなどの止血処置を受けた。
 午後8時48分、院内で別の出産があり、同じ医師が取り上げた。医師は女性のもとに戻って止血に当たり、別の女性医師も呼び出された。
 午後9時26分、院内でさらに別の女性が出産した。この女性の新生児を取り上げたのは助産師だった。
 分娩台帳によると、この日は計16件のお産があったが、助産師が取り上げたのはこの1件のみ。医師が女性の止血にかかりきりになった時、初めて助産師が分娩に関与していた。
    ■
 「医師が(赤ちゃんの)取り上げをするのがサービスと思っていた。その方が患者さんが安心すると思った」
 県警の家宅捜索を受けた翌日の8月25日。記者会見を開いた堀院長は釈明した。
 だが、県警の調べでは、堀病院には院長の指示とみられる看護師、准看護師用の「内診マニュアル」が複数作成されていた。日本助産師会県支部の山本詩子支部長は言う。「助産師はお産の手伝いをしたいと、専門トレーニングを受けてきた人たち。お産にかかわるのは、助産師のアイデンティティーなんです。だから、堀病院では助産師が根づかなかったのでは」
 なぜ、堀院長は院内の助産師を分娩に積極関与させなかったのか。毎日新聞は文書や電話で取材を申し込んできたが、堀院長は応じていない。
 22日現在、堀病院で勤務する助産師は常勤5人、非常勤5人。県警の捜索時から非常勤が4人増えた。=つづく

11月29日朝刊
(毎日新聞) - 11月29日12時3分更新

送検された「日本一」:堀病院無資格助産事件/3 立ち入り調査 /神奈川

 ◇及び腰の自治体
 「わたしが勤めていた診療所は、堀病院と同じことをやっています」
 堀病院の家宅捜索から4日後の8月28日。助産師であるその女性は、震える声で横浜市の福祉保健センターに“告発電話”をかけた。
 「(母体から)赤ちゃんが出てくるまでは看護師が診るから」
 同市内の産科診療所に勤めていた彼女は同月上旬、院長からそう言われて「違法行為の黙認はできない」と退職したばかりだった。
 告発電話で当時の状況を30分近く説明した。だが、職員は一通り聞くと「どうやって調べたらいいんですか?」。女性の名前や連絡先を聞くこともなく、電話を切ろうとしたという。
 女性は市の対応に怒りを隠さなかった。
 「告発する恐ろしさで手も声も震えた。無資格助産を目の当たりにし、安全に母子を守ることができないと判断した時、保健所(福祉保健センター)が正しく機能してくれなかったら、どこに助けを求めたらいいのでしょう」
    ■
 医療法は、保健所を設置する自治体に対し、医療機関に随時立ち入り調査ができる権限を認めている。
 さらに01~02年、厚生労働省は看護師の無資格助産が発覚した場合、刑事告発も辞さないよう自治体に求めた。必要に応じて通告なしに立ち入り調査をするようにも通知している。
 県警の調べでは、堀病院は03年11月以降、妊婦約7500人に対して計約3万9000回にわたり、無資格の看護師らが産道に指を入れて子宮口の開き具合を確認する「内診」を繰り返していたという。
 横浜市は、無資格助産を見抜けなかったのか。
    ■
 横浜市は例年10~12月、市内約140病院で医療法に基づく立ち入り調査を実施している。各区の福祉保健センター職員6~7人が半日がかりでカルテなどの文書の確認や設備点検をしている。
 だが、堀病院に家宅捜索が行われるまで、市は無資格助産を調査項目に挙げていなかった。捜索後の臨時調査も、すべて事前に医療機関側に通告してから立ち入った。女性が勇気を奮って告発した診療所にも同じ対応だった。市の葛巻丈二朗・医療安全課長は言う。
 「(無資格助産は)確認が難しく項目に入れていなかった。医療行為は広範にわたり、定例の調査でそこまでチェックするのは難しい。立ち入り調査の目的は、犯罪捜査ではなく行政指導だ」
 同じ政令市である川崎市は、堀病院の捜索後も臨時調査をしなかった。
 「医療法では、分娩(ぶんべん)数に合う助産師の必要数が定められていない。調査は国が全国的な基準を作ってやるべきだ。県や市のレベルの問題ではない」
 地域医療課の担当者の言葉だ。
    ■
 「安全なお産」を訴える「陣痛促進剤による被害を考える会」代表の出元明美さんはこうした自治体の説明に「適切な立ち入り調査をする手順は厚労省の通知で示されており、これを自治体が理解していない」と反論したうえで、こう指摘する。
 「自治体は集団検診などで地元の医師に“お願い”をすることも多く、立ち入り調査をすることに遠慮があるのではないか。だが、自治体が違法行為を放置すれば、いずれは大きな事故につながる。もっと市民の安全を守る意識を持って立ち入り調査をしてほしい」
 厚生労働省は今後、自治体に対し、助産師数が極端に少ない分娩施設を重点的に調査するよう指導する方針だ。=つづく

11月30日朝刊
(毎日新聞) - 11月30日12時1分更新

送検された「日本一」:堀病院無資格助産事件/4止 山積する課題 /神奈川

 ◇命、どこに託す
 「今までOKだったのになんであかんの。内診くらいいいだろう」
 中部地方の産科診療所。堀病院が捜索を受けた報道を見た院長がそうつぶやく姿を、20代の助産師の女性は忘れない。
 彼女によると、この診療所は夜勤で医師、助産師がいないことが多く、看護師が新生児の取り上げをすることも珍しくなかった。堀病院の捜索後、夜勤で分娩(ぶんべん)があった場合は医師を呼び出すようになった。院長は「不便だ」とこぼしている。
 院長には逆らえない。でも、堀病院の捜索を見て、助産師仲間とひそかに言い合った。
 「やっと、わたしたちの言いたいことが理解された……」
    ■
 日本看護協会によると、03年度に就業していた助産師は全国で約2万6000人。就業していない「潜在助産師」を含めると約5万5000人に上る。厚生労働省看護課は「マクロな観点では数は足りている」と見る。
 だが、全国の産婦人科医で作る日本産婦人科医会は03年の調査で、産科診療所では助産師の充足率が40%に過ぎないとし、偏在が著しいと主張。看護協会も「産科診療所で助産師の不足感が高まっている」と認める。
 県内で助産師養成の中心を担う県立衛生看護専門学校(横浜市中区)では現在、定員40人を大きく下回る28人の女性が学ぶ。
 例年約250人が受験するが、実習の受け入れ先が減少。定員数を確保できない事態に陥っている。八木美智子副校長が打ち明けた。
 「安全意識への高まりもあり、分娩施設側が受け入れ人数を抑制する傾向がある」
    ■
 堀病院の捜索を受け、医師団体は「助産師が不足している中、大がかりな捜査は分娩機関に深刻な悪影響をもたらす」などと一斉に反発した。
 ただ堀病院の場合、助産師は、いた。県警や横浜市の調べでは、助産師が勤務しているのに、分娩には関与させていなかった。捜査に反発した医師たちはこの“特殊事情”にあまり言及しない。
 県西部の公立病院に勤める50代の産科医が指摘する。「助産師は妊婦に付き添い自然な分娩を目指すが、医師は安全を第一に考える。助産院が自然分娩にこだわり搬送が遅れ、苦い思いをした産科医は少なくない。そういう医師ほど助産師を敬遠する」
 産科医は長く、看護師に助産師の役割の一部を担わせてきた。日本産婦人科医会は1960年代から、現場の助産師不足を克服するため各都道府県に産科看護学院を設置。研修会を開き、修了者を「産科看護師」として認定していた。2001年に厚労省が禁止の通知を出すまで、現場で内診などを長く担当させてきた。
    ■
 激務に疲れてやめていく産科医。定員を確保できない助産師養成所。連携できない産科医と助産師。
 ある助産師は言う。
 「お産は医師のものでも、助産師のものでもない。妊婦さん自身が、生まれてくる新しい命をどこに託すのか、よく考えなければ」
 堀病院は現在、助産師と看護師を名札で区別し、夜勤では助産師1人を必ず配置している。捜索後から11月21日までの計781件のお産では、内診はすべて医師か助産師が行った。調査した横浜市は「状況は改善された」と見ている。=おわり
 この企画は伊藤直孝、鈴木一生、堀智行、野口由紀、池田知広、山衛守剛が担当しました。

12月1日朝刊
(毎日新聞) - 12月1日12時1分更新

投稿者 akiuchi : 05:40 PM

生殖医療 法整備に現場の声、必要 森崇英(寄稿)

京大名誉教授の森先生が代理母出産に関する厚労省、学会の見解を批判している。同じ立場(?)の慶応大学名誉教授飯塚先生の訃報も報じられているが根津先生の信念が日本の生殖医療を変えようとしているのだろうか?
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[論点]生殖医療 法整備に現場の声、必要 森崇英(寄稿) 読売新聞 2006年11月29日(水)

 10月15日、諏訪マタニティークリニック(長野県)の根津八紘院長は、50歳代の女性が娘夫婦の受精卵を使って代理出産した事例を公表した。同院長が以前公表した、姉妹間の卵子提供による体外受精に続く今回の代理出産は、非配偶者間の生殖補助医療が議論の段階を越え、実施ルールの法整備の検討段階に入ったことを示している。
 代理出産は、医学的には実施可能であるにもかかわらず、倫理・法律面で社会的認知が得られていない生殖補助医療の典型である。代理出産について、厚生労働省案では「ヒトを生殖の手段とすることになるので禁ずる」、日本産科婦人科学会も指針で「子の福祉を最優先する」としてやはり禁止している。
 しかし、筆者は「生殖の尊厳」という基本理念を提唱し、その理念の下に、代理出産など非配偶者間生殖補助医療の包括的ルールを作るのが良いし、可能だと考えている。「子が生まれること、子を産むこと自体の尊さ」というのが、生殖の尊厳の考え方である。
 厚生労働省や日本産科婦人科学会の見解は崇高ではあるが、夫婦に認められるべき「生殖の尊厳」を認めないことになり、代理出産を禁止する絶対的な根拠とはなり得ない。もし今回の事例の夫婦が実子を得る機会を奪われたとしたら、その夫婦は一生悔いるであろうし、それに対し社会は責任をとることが出来るのだろうか。
 代理出産の社会的認知度を意識調査でみると、一般国民を対象とした2003年の厚生労働省調査では「利用する」「配偶者が認めれば利用する」が合わせて41・2%に達した。一方、不妊治療中の患者を対象とした日本受精着床学会の2003年調査では、4人のうち3人までが容認し、3分の1の患者が、それしか治療法がないのなら治療を受けると回答している。不妊患者の意識とはなお開きがあるにしても、一般国民にも理解が広がっている。
 今回の事例に関しては、代理出産した女性の医学的チェックがとりわけ問題となりうる。閉経後の女性であれば、妊娠中毒症、流・早産は高率に発症するので、医学的リスクが大きい。
 当事者へのカウンセリングも重要になる。生殖医療の専門家の間では、不妊夫婦の悩みを解決するべく積極的にカウンセリングを行っており、ここ数年、専門学会の設立や専門カウンセラーの養成など急速に充実してきている。今回のような例でも、例えば極端な場合、生まれてくる子供に先天異常がある場合や両親の離婚時などの対処について、事前の話し合いがおろそかになってはならない。
 これまでこの種の生殖医療については、「社会的合意形成のため、もっと議論を」と先送りの繰り返しであった。「代理出産を支持する世論もみられる」との厚生労働大臣の発言もあって、今後本格的なルール作りが始まるであろうが、ぜひ生殖医療の現場の実態と意見を積極的に吸い上げるべきである。
 そのために、政府が独立した常設の生殖医学機構(仮称)を創設することを求めたい。関係各層から任期制で専任担当者を充てるが、患者や現場の医療従事者を必ず参加させ、政策決定過程に意見を反映させる。
 体外受精児は、今や出生児65人に1人の割合にまで達し、少子化対策としての社会医学的意味も大きくなりつつある。今回の事例を機に、夫婦間の生殖補助医療も含めて、現場主義の立場からもう一度見直して法整備を急いでいただきたい。

 ◇もり・たかひで 徳島大、京都大両教授(産婦人科)、日本不妊学会理事長などを歴任。73歳。

 写真=森崇英氏(京大名誉教授、国際体外受精学会長)

[読売新聞 ]

【訃報】飯塚理八氏 不妊治療の第一人者

 飯塚理八氏(いいづか・りはち=慶応大名誉教授、産婦人科学)29日、呼吸不全のため死去、82歳。通夜は12月4日午後6時、葬儀・告別式は5日午前11時、東京都港区南青山2の33の20、青山葬儀所で。喪主は妻、登代子(とよこ)さん。
 日本の不妊治療の第一人者。高確率で女子を産むためのパーコール法を開発、日本産科婦人科学会会長などを歴任した。

[産経新聞 ]

投稿者 akiuchi : 05:23 AM

周産期母子医療センター2008年開設 県立医大=奈良

奈良県もやっと重い腰を上げたようだ。「県が産婦人科医ら11人で発足させた「県周産期医療対策ワーキンググループ」は3月、県内の人口からMFICU27床、NICU119床と現状の3倍以上の病床が必要と提言している。 」ということだが果たしてそれだけのベッドを運営するマンパワーはどこから供給されるのだろうか?「厚生労働省は、緊急かつ高度な産科救急と母体搬送に対応するため、平成16年の「子ども・子育て応援プラン」で、総合周産期母子医療センターを中心としたネットワークの整 備を、平成19年度中に完了するよう全都道府県に求めている。ただ、奈良県のほか、秋田、山形、岐阜、佐賀、長崎、宮崎、鹿児島の8自治体ではまだ、整備されていない。」と過去のエントリーに書き込んだがその他の県ではどうなのか?事件が起きないと重い腰を上げないのが行政のスタンス?


医師の確保課題 周産期母子医療センター2008年開設 県立医大=奈良 読売新聞 2006年11月29日(水)

 ◆県補正予算案に設計費 妊婦、新生児用に後方病床
 大淀町立大淀病院で出産の際に意識不明になった高崎実香さん(当時32歳)が相次いで転院を断られ、搬送先で死亡した問題などを受け、県が2008年1月、橿原市の県立医大病院に開設を決めた総合周産期母子医療センター。近畿で唯一、未整備との状態は解消され、この問題で明らかになった危険な状態に陥った妊婦の県外搬送の改善にも期待がかかる。柿本知事は「正常分娩(ぶんべん)には十分な設備があるのに、そういった人も出産を恐れてしまっている」と早期開設を表明したが、施設整備が進んでも、医師らの確保などで困難が予想されている。
 県によると、12月の特別会計補正予算案でセンターの設計費1200万円を計上。来年1~3月に基本設計を実施し、その後建設に取りかかる。当初の整備予定を可能な限り繰り上げたという。
 計画では、厚生労働省が示す基準を満たすため、母体・胎児集中治療管理室(MFICU)を3床増やして6床にし、MFICUを出られるまで回復した妊婦らが移る「後方病床」を12床設ける。さらに、これまでなかった新生児集中治療管理室(NICU)用の後方病床も、30床新設する。
 一方、これらの増床により、小児科医3人、産科医5人、看護師約60人の増員が必要。県は「人員確保はかなりの困難が予想され、開設当初の後方病床は人員が確保でき次第、稼働していく」としている。
 また、県が産婦人科医ら11人で発足させた「県周産期医療対策ワーキンググループ」は3月、県内の人口からMFICU27床、NICU119床と現状の3倍以上の病床が必要と提言している。
 これに対し、県は08年以降、県立奈良病院を地域周産期母子医療センターと指定することなども決定しており、今後も整備を続けていくとしている。

 写真=県立医大病院で現在使われているMFICU3床(いずれも同病院提供)
 写真=MFICU3床がある県立医大病院5階産科病棟
 写真=総合周産期母子医療センターが新設される県立医大病院

[読売新聞 ]


投稿者 akiuchi : 05:12 AM

厚生労働省がまとめた2005年の医療施設調査

2005年9月の統計調査の結果が厚労省から発表された。産科施設の減少傾向がいよいよ深刻になってきたことがわかる。栃木県においては2005年9月以降新たに産科閉鎖をしている病院、診療所が圧倒的に多いので実際の数はもっと少なくなっているだろう。厚労省が主導する「中核病院への集約化」大成功といったところだろうが現場では大混乱必至!

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<産婦人科分べん>初めて50%下回る 出産数減少の影響か

 厚生労働省は30日、産婦人科(産科を含む)の医療施設のうち、分べんを実施した施設が05年で、統計を取り始めた84年以降、初めて50%を下回ったと発表した。背景には、少子高齢化による出産数の減少や中核病院への集約化などが考えられるという。施設数自体も84年に比べ、約4割減少。「産婦人科離れ」が改めて浮き彫りになった。
 厚労省によると、産婦人科を標ぼうする医療施設は、05年が5997カ所で、このうち、分べんを実施した施設の割合は48.9%。84年当時は9612カ所で、同割合は61.6%だった。実施1施設当たりの分べん件数(05年9月)は、全国平均が29.0件に対し、都道府県別では神奈川(38.7件)、埼玉(37.2件)、茨城(36.2件)が多く、徳島(19.8件)、佐賀(20.1件)、長崎(20.2件)が少なかった。
 全体の医療施設は05年が17万3200カ所(前年比515カ所増)。病院が9026施設(同51カ所減)で、一般診療所が9万7442カ所(同391カ所増)、歯科診療所は6万6732カ所(同175カ所増)。
 病院の診療科目別(重複計上)でみると、前年比で最も増加したのが心療内科で10.4%増の540カ所。一番減少したのは13.8%減の性病科で56カ所。施設数が多いのは、内科(7310カ所)▽外科(5268カ所)▽整形外科(5205カ所)などだった。【玉木達也】
(毎日新聞) - 11月30日23時14分更新

産婦人科は減少続く、半分以上がお産「扱わず」

 産科・産婦人科のある医療機関が減り続け、このうち、お産のできる施設が昨年初めて半分を割ったことが30日、厚生労働省がまとめた2005年の医療施設調査でわかった。

 小児科も減少傾向にある一方で、小児科中心の診療所は増えており、過酷な勤務の病院から、専門性を発揮できる診療所に、小児科医が流れていることを示している。

 調査によると、産科・産婦人科を掲げている病院は1616施設で、前年より50施設減った。診療所も加えた産科・産婦人科5997施設のうち、お産を扱っているのは2933施設と全体の48・9%。1984年の調査開始以来、初めて半分に満たなかった。お産には、一定の危険が伴うため、医療事故で訴訟を起こされることや、24時間体制の勤務を避ける傾向が現れたとみられる。
(読売新聞) - 11月30日22時13分更新

「分娩実施」は半数以下 産科、産婦人科数も最低に 医師不足深刻、集中進まず 厚労省の05年医療施設調査 (1)

記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2006年12月1日】


 全国の産科、産婦人科のうち、昨年9月の1カ月間に実際に分娩(ぶんべん)を手掛けたのは約49%にとどまることが30日、厚生労働省の医療施設調査で分かった。調査は1984年から3年に一度実施しているが、半数を割ったのは初めて。産科、産婦人科の施設数も過去最低を記録。各地で深刻化する産科医不足が、統計上裏付けられた。

 調査対象は全国の産科、産婦人科(約6000カ所)。総分娩数は約8万5000件で、84年の調査から約3万1000件の減少。分娩を手掛けた施設数を、すべての産科、産婦人科の施設数で割った「分娩実施率」は、調査開始の84年には61・6%だったが、今回は3年前の前回(51・7%)より約3ポイント下がり48・9%。産科医不足で体制が整わず分娩を行わない施設が増えているとみられる。

 規模別の実施率は、一般病院(20床以上)が81・7%、一般診療所(19床以下)が36・8%だった。

 施設当たりの分娩件数は都市部が多い順に神奈川(38.7件)、埼玉(37.2件)、茨城(36.2件)、東京(35.2件)と上位を占める一方、地方は少ない順に徳島(19.8件)、佐賀(20.1件)、長崎(20.2件)、秋田(21.5件)と低迷。国が地方に求めている「中核病院や大病院への医師の集約化」が十分に浸透していない傾向もうかがえた。

 このほか、帝王切開による分娩件数は一般病院が約9600件(21・4%)、一般診療所が約5200件(12・8%)で、ともに過去最高を記録。厚労省は「高齢出産や不妊治療による多胎児の妊娠が増加し、安全なお産を考えた結果ではないか」とみている。

 昨年10月1日時点での全国の産科、産婦人科の施設数は、一般病院が1616カ所、一般診療所が4381カ所。84年調査との比較では一般病院が約950カ所、一般診療所が約2700カ所も減少した。

▽産科医不足

 産科医不足 長時間労働や分娩(ぶんべん)事故に伴う訴訟リスク、結婚や子育てによる女性医師の休職などを背景に、産科医が減少。厚生労働省の検討会は8月にまとめた報告書で「このままの状況が続けば、地域によっては妊婦にとって産科医療の利便性が損なわれることが想定される」と指摘した。国は対策として、分娩事故で医師に過失がなくても患者に補償金を支払う「無過失補償制度」を2007年度中に創設する方針を決定。都道府県に対し、小児科・産科医の中核病院への集約化を進め、周辺の病院と患者の相互受け入れを実現する地域医療ネットワークづくりを求めている。


医師不足解消、待ったなし (2)

記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2006年12月1日】


 【解説】全国の産科、産婦人科のうち、分娩(ぶんべん)を手掛ける施設が半数にも満たないという30日発表の厚生労働省の調査結果は、身近な「お産の場」が急速に失われつつある実態を浮き彫りにした。医療施設があるのに産めないのは異常事態というほかなく、医師不足の解消は待ったなしの状態だ。

 産科医のなり手はなぜ少ないのか。労働条件のきつさや訴訟リスクが指摘されているが、臨床研修を終えた研修医に対する進路調査(8月発表)では「産婦人科」の希望者は全体の5%おり、診療科別で8位とまずまずの人気だった。希望者のうち7割が女性。女性医師が自身の子育てとキャリアを両立できる職場環境の整備は急務だ。

 少人数の医師にかかる過重な負担を解消する趣旨からも、国は緊急対策として医師を各都道府県の中核病院に「集約化・重点化」するよう提唱している。しかし自治体関係者からは「絶対数が足りない中で、自助努力には限界がある」との不満も漏れる。

 産科の閉鎖で不便を強いられる女性たちからは「2人目、3人目はもう産めない」という声すら上がっている。身近な産科の確保は少子化対策の第一歩ともいえ、国は地域の実情に応じたきめ細かな対応が求められている。


医師引き揚げ、次々休診... 「院内助産所」苦肉の策も (3)

記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2006年12月1日】


 医師がいなくなり、休診や廃止に追い込まれる産科が後を絶たない。「大学に医師の派遣を断られた」「ない知恵を絞るしかない」。地域の悩みは深い。

 大分県では昨年5月以降、中津市や佐伯市など5つの市の病院が産科の休診や、分娩(ぶんべん)を扱わないことを決めた。いずれも地域の中核病院だ。

 来年3月末の休診を決めた中津市民病院は、九州大(福岡県)から3人の医師を派遣してもらっていた。だが1人が退職。24時間、365日休みなしの出産現場で「2人では負担が大きすぎる」と、大学側から医師の引き揚げを通告された。

 「無理をさせれば医療事故の危険も増す。大切な若手医師のキャリアに傷を付けられないと判断したのでしょう」と同県の堤喜代司(つつみ・きよし)医務課長。同病院が扱っていた年間180件の分娩をどこに振り分ければいいのか、頭を悩ませる。

 福島県いわき市の市立磐城共立病院。東北大からの派遣が5人から3人に減らされたのをきっかけに、帝王切開など緊急対応が必要なお産以外は扱わないことを決めた。

 苦肉の策として病院内に助産所を新設し、正常分娩を助産師に任せる計画も。「国は医師を効率的に配置しろ、というが、医師の絶対数が足りないんだから。ない知恵を絞るしかない」と県の担当者は苦笑した。




投稿者 akiuchi : 04:53 AM | コメント (0)

公開市民フォーラム「皆で考えよう、産婦人科医療:どうするわが国のお産」

一般向けに興味深い講演会が開かれる。厚生労働省科学研究「分娩拠点病院の創設と産科2次医療圏の設定による産科医師の集中化モデル事業」(研究代表者 岡村州博)の成果を市民に問うものなのだろう。参加してみたいのだがちょっと今回は難しいかな?

考えよう日本のお産
http://www.osan-kiki.jp/index.html

■ 公開市民フォーラム
    「皆で考えよう、産婦人科医療:どうするわが国のお産」
 日 時:平成18年12月3日(日曜日) 13:00~16:30
 場 所:東京大学 本郷キャンパス大講堂(安田講堂)
     〒113-8654 文京区本郷7-3-1(事務局)
     TEL: 03-3812-2111(代表)
 対 象:一般市民・助産師・医師等(参加費無料・当日参加可)

第一部 講演 (13:00~15:00)
司会:東北大学教授 岡村 州博 東京大学教授 武谷 雄二
   1.行政の方針と今後の対応 厚生労働省雇用均等児童家庭局母子保健課長 千村 浩
   2.マスメディアの立場から 日本放送協会解説委員 飯野奈津子
   3.助産師からの提言 山梨大学医学工学総合研究部臨床看護学教授   遠藤 俊子
   4.女性医師の立場から 横浜市立大学助手   奥田 美加
   5.地方の実状と提言 旭川医科大学病院長  石川 睦男
   6.分娩に関連する脳性麻痺に対する障害補償制度
日本医師会常任理事日本産婦人科医会副会長      木下 勝之
   7.日本産科婦人科学会の取り組み 北里大学教授 海野 信也
<休憩> (15:00~15:10)

第二部 意見交換(15:10~16:30) 司会:東北大学教授    岡村 州博
                          東京大学教授    武谷 雄二

主催:厚生労働省科学研究「分娩拠点病院の創設と産科2次医療圏の設定による産科医師の集中化モデル事業」(研究代表者 岡村州博)
後援:日本産婦人科医会、日本産科婦人科学会

投稿者 akiuchi : 04:32 AM

November 29, 2006

性教育

性教育ではきうち医院副院長の角田先生も奮闘しているがまだ性教育まで守備範囲を広げることができる産婦人科医は少数派だろう。この分野における女性医師の活躍に期待したい。男性医師も参加すべきだとは思うのだが・・・

[指定席]人権教育としての性教育を進める産婦人科医 小栗明子さん44=愛知 読売新聞 2006年11月28日(火

 「日本女性の多くは、自身の体の仕組みを正しく理解していない。それは自分の体を大切にできないということ」と話し、望まない妊娠や性感染症など様々トラブルの根本になっていると指摘する。
 2002年から年に6~10校で中学生らへの性に関する講演をしている。女子生徒に体の仕組みや特徴を説明すると、少なからず戸惑いの声が漏れることがある。それは、診察の際の成人女性でも同じだ。
 その理由は、女性の性が興味本位の視点にさらされ、商品のように扱われている現実から、女性も自身の性をタブーと感じて避けているためと考えている。講演はこんな現状を理解し、意識改革してもらう狙いもある。
 「性教育は、人生教育であり、人権教育。一度しかない命を大切にする意識をはぐくむためのもの。自分を大切にすれば、性のトラブルにも巻き込まれることはないはず」。これからも、ねばり強く語りかけていくつもりだ。
 12月9日午後4時半から、名古屋市中区の市男女平等参画推進センターで、「エイズ・性感染症と女性の人権」と題して講演する。申し込みは同センター(052・241・0311)へ。(金成真也)
     ◇
 春日井市出身。名古屋大学医学部卒。勤務医を経て1998年に急逝した産婦人科医の父親の後を継ぎ、小栗産婦人科医院院長に就任。

 写真=小栗明子さん

 〈代表県版採録〉

[読売新聞 ]

投稿者 akiuchi : 10:36 AM

院内助産院

助産師による「院内助産院」が産科医不足の救世主として注目されている。産科医がいる大病院(センター病院)に設置されるのが院内助産院だと私は考えていたのだが産科医がいない「院内助産院」が果たしてこれからのトレンドになるのだろうか?「出産件数は2005年度で358件あった。このうち308人は正常出産で、帝王切開など異常出産は50件だった。」ということだが308人の正常出産がすべて傷も全くないお産とは考えられないので縫合などは誰がするのか疑問だな。

***********
「院内助産院」を開設 南和歌山医療センター(和歌山)

【院内助産院では和室を利用して検診などを行う(田辺市たきない町で)】
 
 田辺市たきない町の南和歌山医療センターは12月1日から、助産師が出産を扱う「院内助産院」を県内で初めて開設する。同センターでは助産師が出産前後や更年期の介護を担当する助産師外来も開いており、妊婦検診から出産、育児相談まで継続して母子を支援していく。全国で産科医が不足している中、医師不足を補う効果が期待されている。
 助産師は、看護師が半年以上の教育を受けて受験できる国家資格。看護師ではできない妊婦の内診や出産の介助、へその緒の切断ができる。
 開設する院内助産院では、助産師7人が交代で勤務し対応する。助産師が妊婦の検診を行い、正常な状態で出産できる場合には、妊婦の分娩(ぶんべん)を助ける。院内助産院で分娩するには妊娠中に3回以上の医師の診察が必要で、同センターの非常勤医師が担当する。
 紀南病院(同市新庄町)の産婦人科医が嘱託医を務める。出産時には電話で医師に情報を連絡するとともに、帝王切開が必要になるなど、状況が変わった場合は同院に搬送する。また、検診時に妊娠中毒症など、正常な出産が難しいと推測される場合は、同院が診察する。
 出産費用は、入院日数など個人によって異なるものの、市内の病院などとほぼ同等。5日間の入院で約32万円。
 出立加代子看護師長(42)は「それぞれの妊婦が『自分らしい出産』をできるように、時間をかけて支援していきたい。出産だけでなく、女性の生活を支えられるよう育児などの相談にも応じていく」と話している。
 同センターは、医師の派遣元となる徳島大学が産科医の派遣を見直したことから医師数が減り、8月末で分娩の取り扱いを休止した。10月以降は同センターに常勤医師を置いていない。これを受けて、紀南病院は医師数を3人から5人体制にし、機能を集中させている。
 同センターでの出産件数は2005年度で358件あった。このうち308人は正常出産で、帝王切開など異常出産は50件だった。
(紀伊民報) - 11月27日17時15分更新

南和歌山医療センター、助産院開設へ 嘱託医確保、正常分娩に限り=和歌山

 ◆来月から
 9月末で産婦人科が休診となった田辺市の南和歌山医療センターが、12月1日、院内助産院を開設する。助産師7人が交代で対応するため、正常分娩(ぶんべん)に限って出産できるようになる。
 同病院では、全国的に地方で勤務する医師が不足しているなか、NICU(新生児集中治療室)などを完備している同市の紀南病院に産婦人科の業務を移し、診療活動を休んでいた。
 9月15日に助産師外来を開設し、乳房マッサージや赤ちゃんの授乳、離乳食相談など保健指導を行ってきた。しかし、妊産婦からの強い要望もあり、「地元で出産できるように」と、助産院の開設に向けた準備を進めていた。
 さらに、紀南病院から分娩中、必要に応じて治療を行う嘱託医が確保できる見通しとなり、開設することにした。
 出産ができるのは、病院で3回以上の診察を受けた妊婦で、妊娠が正常で、通常の出産が可能と判断された人に限られる。問い合わせは、南和歌山医療センター(0739・26・7191)へ。

[読売新聞 ]

投稿者 akiuchi : 08:11 AM

November 26, 2006

頭蓋骨骨折で胎児死亡 医療ミス指摘 産経新聞

このニュースは紀子様出産の影に隠れてですっかり消し飛んでしまった。愛育病院のホームページにはいち早くこの事故に関するコメントが院長名で掲載されているが周産期医療のセンター化=安全性の確保という問題についてもう一度考える必要性を訴えているように私は感じている。

愛育病院のホームページ
新生児死亡事故に関する病院の見解 2006.8.8
http://www.aiiku.net/kenkai.htm

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愛育病院 頭蓋骨骨折で胎児死亡 医療ミス指摘 産経新聞 2006年8月9日(水)

 東京都港区の愛育病院で器具を使って分娩(ぶんべん)した女児が頭蓋(ずがいこつ)骨骨折の仮死状態で生まれ、半日後に死亡していたことが8日、分かった。警視庁麻布署は医療ミスの可能性が高いとみて、業務上過失致死の疑いで捜査を始めた。
 女児の死亡をめぐっては同院が医療行為に関連した死亡の原因を調べる国のモデル事業に基づき、事業の事務局がある東大病院に連絡。東大病院が解剖した結果、頭蓋骨骨折が判明し、麻布署に届け出た。医師法は異状死から24時間以内の警察への届け出を義務付けているが、愛育病院は東大病院に伝えただけで、警察へは届け出ておらず、麻布署は同法違反の可能性についても調べる。
 調べでは、出産したのは港区内の妊娠約40週の女性(38)で、6日午後5時ごろ、分娩を開始。4時間がたっても出産せず、産婦人科の男性医師(31)は母子に障害が残る恐れがあると判断。同9時半ごろ、器具で頭を挟む方法で胎児を取り出したが、仮死状態で翌朝死亡が確認された。同院は7日中に東大病院に連絡。解剖の結果、医療ミスの疑いが強く、東大病院は同日夜に麻布署に通報した。
 愛育病院は「捜査中でお答えできない」としている。

[産経新聞 ]


【紀子さま 男子ご出産】「すこぶる健やか」 医師団ら会見 産経新聞  2006年9月6日(水)

 ◆無事手術終え安堵の表情
 「親王さまがご誕生になりました。すこぶる健やかでございます」
 宮内庁の金沢一郎皇室医務主管と執刀医の中林正雄愛育病院院長は6日午前10時半から、宮内庁3階の講堂で会見し、金沢医務主管は冒頭、こう語り笑顔をみせた。会見場には80人を超える記者とカメラマンが詰めかけ、一斉にフラッシュがたかれた。
 前置胎盤による帝王切開について、中林院長は「ご公務を控えていただき、入院に際しても医学的なことを優先していただいたので万全の準備をして(手術を)迎えることができた」と秋篠宮ご夫妻のご協力に謝意を述べ、“皇室初の帝王切開”を無事終えたことに安堵(あんど)の表情を浮かべた。
 一方、「秋篠宮ご夫妻は本当にご出産前にお子さまの性別を知らなかったのか」との記者団の質問には、中林院長が「知らせていませんでした。わたしも聞かないようにしていました」と語り、金沢医務主管は「(ご夫妻は)『どんな状態の子供でも自分たちの子供なので受け入れたい』とお考えで『知る必要がない』とのことでしたので」と付け加えた。
 祝福ムードの会見は40分以上にわたった。
 (1面参照)
 ◆術後の経過も順調 一問一答
 金沢医務主管と中林院長の一問一答は次の通り。
 金沢氏 秋篠宮文仁親王妃紀子殿下には午前8時27分、愛育病院で親王さまがご誕生になった。体重は2558グラム、身長は48・8センチですこぶるお健やかだ。手術は予想外の出来事はなく、術後の経過も順調。術後は少なくとも数日間は静かにお過ごしいただきたいと希望する。
 --母子の状態はどうか。紀子さまの経過は
 中林氏 お生まれになられた状態は大変よろしゅうございました。親王さまはとてもお元気。妃殿下は手術が終わった時に「これで手術は無事に終わりました。おめでとうございます」と申し上げたら「大変ありがとうございます」と元気にお答えいただき「気分も良好です」とおっしゃったので、現在、順調に回復過程にあると思う。
 --秋篠宮さまの表情や紀子さまの詳しい表情、お子さまの状態は
 金沢氏 秋篠宮殿下は(性別を)お分かりになってなかったのだろうと思うが「親王さまです」と申し上げても、非常に淡々と「ありがとう」と。平静心を失われない方だなとちょっと驚いた。紀子さまが手術室からお出になって、秋篠宮殿下が「ご苦労さんでした」と問い掛けると、妃殿下は「帰ってまいりました」とおっしゃった。
 --医療チームの苦労や感想は
 中林氏 部分前置胎盤だと妊娠28~30週以降はいつ出血するか分からない。殿下、妃殿下ともに医学的な注意を最優先しましょうということだった。入院の時「妃殿下、お子さまと会えなくなり少し寂しいですね」と申し上げると「そのことが気になります」ということだったので「夏休み中なのでお子さまに来ていただいたらどうでしょう」と。妃殿下は眞子さまの海外での経験を聞かれたり、佳子さまの宿題をされる様子をご覧になったりするのが楽しみ、とおっしゃっていた。殿下もよくお見舞いに来られ、殿下が支えられて妃殿下がお子さまの面倒を見られると。われわれには非常にいい患者さんだった。
 ◆手厚い医療体制 愛育病院
 紀子さまは今回、天皇ご一家では初めて、皇居内の宮内庁病院でなく東京都港区の愛育病院で出産された。「自然なお産ができて、いざという時は手厚い医療体制もあるから安心できる」と人気で、女優の水野真紀さんや三田寛子さんらも利用したという。
 愛育病院は昭和13年に開設。設置母体の社会福祉法人「恩賜財団母子愛育会」は天皇陛下の誕生を祝し、皇室が出資して創立された。産婦人科や新生児科、小児科などがあり、出産前後の「母と子」の専門病院として知られる。
 病床数は118。年間の出産数は約1600に上る。高円宮妃久子さま(53)も出産された。自然なお産を推進する一方、新生児集中治療室(NICU)なども備えているという。
 東京都中央区の会社員の女性(42)は3年前、逆子だった長女を紀子さまのように帝王切開で出産、「退院しても1カ月間は傷口が痛み、買い物もつらい時があった。紀子さまもしばらく安静になさってください」と思いを寄せた。
                    ◇
 ◆「気取らず自然に」秋篠宮ご一家
 秋篠宮家は、宮さまと紀子さまのご結婚に伴い平成2年に創設された。西行法師らが歌に詠んだ奈良の名所「秋篠の里」が由来で、新宮さまご誕生で5人家族となられた。「気取らず、自然に」をモットーとするご夫妻は、極めて多くのご公務を精力的に果たされてきた。皇太子妃雅子さまが長期療養に入られ、黒田清子さんが結婚すると、さらにご多忙な日々に。お子さまには動物の世話や菜園の手入れを通して自然や命の大切さを伝えられてきた。ご一家の横顔を紹介する。
 【秋篠宮さま】
 昭和40年11月30日、天皇、皇后両陛下(当時皇太子ご夫妻)の第2男子として誕生された。お名前は文仁(ふみひと)で幼少時の称号は礼宮(あやのみや)。
 学習院幼稚園、初、中、高等科を経て、学習院大学法学部政治学科をご卒業。63年8月から約2年間、英オックスフォード大の大学院に留学された。大学在学中に知り合った紀子さまと平成2年6月に結婚し、宮家を創立された。山階鳥類研究所と日本動物園水族館協会の総裁を務められており、皇位継承順位は皇太子さまに次ぐ第2位。
 友人の黒田慶樹さんと清子さんとの結婚では、宮邸を提供し、会うきっかけを作られた。
 【紀子さま】
 昭和41年9月11日、川嶋辰彦、和代さんの長女として誕生され、42年には辰彦さんの留学に伴い一家で米ペンシルベニアへ。48年に帰国後、学習院初等科にご入学。52年からは辰彦さんの研究の関係でウィーンに滞在し、2年後にご帰国。学習院女子中、高等科、学習院大文学部心理学科を経て、同大学院博士前期課程に在籍中に結婚し、その後、無事修了された。
 平成3年10月23日に長女、眞子さま、6年12月29日に二女、佳子さまをご出産。結核予防会総裁と日本赤十字社名誉副総裁を務められている。
 【眞子さま】
 学習院幼稚園、初等科を経て学習院女子中等科3年にご在学中。本や美術、乗馬が好きで、映画やミュージカルの曲をピアノで紀子さまに披露されることもあるという。
 今年7月、伊勢神宮で式年遷宮に関連する行事をご視察。夏休みには初めて親元を離れ、オーストリアをご訪問。紀子さまの父の知人宅で、ホームステイを経験された。
 静岡県下田市の須崎御用邸で天皇、皇后両陛下や皇太子ご一家と一緒に夏を過ごされた際は、佳子さまとご一緒に「これはやわらかくて遊びやすい、これは硬くてまだ危ない」と、愛子さまのためのおもちゃを用意するなど、小さな子供の世話がお好きだという。
 【佳子さま】
 学習院幼稚園を経て初等科6年にご在学。フィギュアスケートの練習に励む一方、人形やお菓子など、ものをつくることも楽しまれている。
 昨年4月には、明治神宮アイススケート場で開かれた「スプリングトロフィー・フィギュアスケート競技大会」の1級女子小学4年生以上の部に出場し、優勝された。
 環境問題に関心が高く、昨年は夏を涼しく過ごせるようにと、宮さまと2人で宮邸にアサガオを植え、窓を覆う「緑のカーテン」を作られた。
 【写真説明】
 紀子さまのご出産を発表する金沢一郎皇室医務主管(右)と中林正雄愛育病院院長=午前10時33分、宮内庁(代表撮影)
 【写真説明】
 須崎御用邸近くの海岸を散策される天皇、皇后両陛下と秋篠宮ご一家=平成16年8月、静岡県下田市

投稿者 akiuchi : 11:53 PM

November 25, 2006

周産期医療充実へ 5地域に中核病院 県が案示す=福島

県立大野病院事件を受けて一人医長をなくす方針で臨むことになったのだろうがどうして正常産やローリスクを扱う開業産婦人科診療所を計画に入れないのだろう?「一部の病院は外来のみや、リスクの低い出産のみに対応する」ということは開業医と同じレベルで診療に当たるということではないのか?役人の発想に民間活用という言葉はないということなのだろうか?
実際大分県の産科閉鎖に伴う『子どもを産むのに、どこにいけばいいの?』という市民の声には開業産婦人科医がいるから大丈夫と答えられるようであれば問題はないのである。

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周産期医療充実へ 5地域に中核病院 県が案示す=福島 読売新聞  2006年11月22日(水)

 県は21日、有識者による医師不足対策を話し合う「県小児科・産科地域医療確保方策検討会」で、母体と胎児・新生児のリスクが高い妊娠22週目から出産後7日未満の「周産期医療」について、県内を5つの地域に分け、地域ごとに中核病院を指定し、充実を図る案を示した。
 県の案では、5地域は〈1〉県北〈2〉県中・県南〈3〉会津・南会津〈4〉相双〈5〉いわき--で、中核病院は新生児集中治療室を備え、小児科医5~7人程度、産婦人科医も5人程度配置し、24時間対応する。
 医師を中核病院に集める一方、一部の病院は外来のみや、リスクの低い出産のみに対応するなどして、役割分担とネットワークを強化する。
 この日の検討会では基本的な考え方で一致したが、今後は具体的な病院名などを示しながら最終案をまとめる方針。

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中津市民病院の産婦人科休診問題:「産婦人科残して」市民団体、市長に要望 /大分 毎日新聞 2006年11月22日(水)

 中津地域の中核病院である中津市民病院(同市下池永、松股孝院長)の産婦人科休診問題で「母と子のしあわせ守る会」(東光子会長)は21日、新貝正勝市長に、621人と6団体の署名簿を添えて「産婦人科の存続」を要望した。
 会員15人が新貝市長と面会。「『子どもを産むのに、どこにいけばいいの』など心配の声が上がっている。ぜひ産婦人科を残し、市民の頼りになる病院にしてほしい」と申し入れた。これに対し、新貝市長は「いま関係方面に当たっており、精いっぱい努力している」と答えた。
 同病院事務局によると、産婦人科は医師3人態勢。うち1人が民間への転出を希望。医師を派遣している九州大医学部は来年3月で派遣を打ち切ることを通告した。このため同病院は、年内の通常出産は受け付けるが、来年からは緊急出産以外には応じない方針。立山秀雄・事務長は「何とか産婦人科を残そうと院長らが医大などと交渉しているが、見通しは暗い」と話した。【大漉実知朗】

投稿者 akiuchi : 06:02 PM

妊娠中の胎児超音波検査(知らない権利)

胎児治療に関する読売新聞の記事を以前紹介したが医療法人アップルでも胎児超音波検査に関して「知らない権利」を含む同意書を作成した。確かに何でも知ればいいというものではない。
http://blog.med-apple.co.jp/mailmaga/diary/archives/2006/11/post_55.html

妊娠中の胎児超音波検査について

おなかの赤ちゃんが元気かどうかを確認する為に妊婦健診は定期的に行われており
当院では胎児超音波を健診ごとに行います。

一般超音波検査では
 赤ちゃんの心拍や胎位(頭の位置)の確認、成長の具合(週数により 頭の横幅・大腿骨の長さ・推定体重)を見ます。

スクリーニング検査(胎児に異常があるかどうか)では
 初期・中期(28週頃)・後期(36週頃)の3回行います。
 赤ちゃんの形態や機能に異常がないかを詳しく調べます。おなかの赤ちゃんを見る事が出来る超音波検査ですが、赤ちゃん自身が小さいため、小さな形の異常は見つける事ができません。また超音波のビームが届きにくい場合や赤ちゃんの向きにより診断が出来ない事があります。また、わからないこともあります。

染色体異常
  染色体異常とは染色体の数やその構造の異常をいいます。例えば、ダウン症などですが超音波検査でこれを診断する事は出来ませんが妊娠初期に首の後ろにむくみ(NT)が見られた場合ダウン症の可能性が高いことがあると言われています。

超音波検査の結果について
 赤ちゃんの超音波検査の結果は基本的にご両親の情報と考えられます。この情報には性別のような情報、赤ちゃんの奇形を疑う情報、染色体異常を疑う情報まで様々なものが含まれます。ご両親には情報を知る権利とともに、知らせて欲しくない、知りたくない権利もありますのでお考えをお教えください。

下の同意書に良くお考えの上ご記入をお願いいたします。変更はできますので、変更がありましたらそのつど外来でお伝えください。

いずれかに丸をつけてください。
1. 赤ちゃんについての情報はすべて知らせて欲しい
2. 赤ちゃんについての情報は知らせて欲しくない
3. 情報を限定して知らせて欲しい (ご希望の所に✓してください.複数可です。)
     □ 性別のみ知りたい
     □ ダウン症の可能性が高いかもしれない場合 (14週くらいまで。)
     □ その他の奇形など異常があるかも知れない場合
なお、当院での分娩が不適と、医師が判断した場合は 総合病院にご紹介をする事になります。この場合は、この同意書の内容にかかわらず医師から説明をさせていただきます。 
        
   平成  年   月   日
                  
ご本人                    
                 
 親族(続柄)                 

投稿者 akiuchi : 11:48 AM

 「異端」の医師ふたり

長野で祖母の代理出産をした根津先生が愛媛で病気腎移植を手がけた万波医師と同じ扱いで紹介された興味深い記事が掲載されていた。どちらもほぼ同い年。戦争中に生まれた私よりも一回り上の世代。きっと学生時代も闘争に明け暮れた世代なのだろう。彼らの意思は強靭だな。医療人類学研究者との”闘論”記事も追加しておくことにする
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知りたい:移植・生殖医療 「異端」2医師の共通点 独自の道徳観、優先

 <2006・チャンネルYou>
 病気腎移植を重ねる愛媛県宇和島市の万波誠(まんなみまこと)医師(66)と、「祖母が孫を産む」代理出産を手掛けた長野県下諏訪町の根津八紘(ねつやひろ)医師(64)。地方を舞台に移植医療と生殖医療の最前線で働く“異端の医師”の共通点は。【大場あい、池乗有衣、永山悦子】
 ◇批判とリスクよそに
 「私は目の前にいる患者さんを毎日、精いっぱい診ているだけですから。日本の移植医療をどうするか、死体腎(ドナー)をどうするかなんて考えたこともない」。万波氏は18日、毎日新聞の取材に対し、こう答えた。
 万波氏は山口大を卒業後、70年から市立宇和島病院に勤務。腎移植を志して渡米後、77年に同病院で初めて腎移植を手がけた。04年に新設された宇和島徳洲会病院に移ったが、過去約30年間に執刀した移植手術は約600件に上るという。
 その間、腎移植に熱心との評判は広まり、万波氏の「カリスマ性」を高めていった。元同僚医師は手術ぶりを「経験に裏打ちされ、正確で無駄がない。病院というより万波先生が信頼のブランドだった」と振り返る。
 根津氏が院長を務める「諏訪マタニティークリニック」。不妊治療で苦労する患者の最後の「頼みの綱」とも言われる。全国から1日200人近い患者が訪れ、手掛ける体外受精は年間1200~1300例に上る。
 根津氏は信州大を卒業後、医学部助手などを経て76年に開業。不妊治療に取り組み、排卵誘発剤を使った最新の治療法で妊娠した患者の喜ぶ姿に触発された。「何とかしようと続けるうち、いつの間にか不妊症の専門家になっていた」と話す。
 2人は、多くの患者に頼られている点が似ている。万波氏の元同僚医師は「堅苦しいネクタイを締めず、一般の医師と違い、接しやすい人柄。何か困った時は夜中でも病院に来る。臨床医としてあるべき姿」と話す。根津医師も患者の間で「面倒見のいい医師」として知られる。
 地方での人気が高い一方で、学会などからは「倫理より患者」という姿勢が厳しい批判を浴びている点も共通する。
 万波氏や彼を慕う医師らは「捨てられる臓器を生かす第三の移植」として、がんなど病気のため摘出された腎臓の移植手術の意義を力説するが、移植の専門医で作る日本移植学会は疑問視する。移植可能な臓器なら摘出しても人体に戻すべきだし、捨てる臓器なら移植はリスクがあるためだ。
 同学会の大島伸一副理事長は「研究的要素の強い治療は学会で是非を問うべきだが、万波氏の姿は見たことがない」と述べ、同学会に所属せず、症例もほとんど公にしない万波氏の密室性に厳しい視線を注ぐ。
 根津氏は98年に公表した、第三者提供の卵子を使う「非配偶者間体外受精」が日本産科婦人科学会の指針に反するとして除名された(04年に復帰)ほか、同学会の指針や厚生科学審議会生殖補助医療部会の報告書に反して代理出産を続けている。大西雄太郎・長野県医師会長は「一医師の道徳観だけで進める生殖医療は危険だ」と話すが、根津氏は「倫理観は時代によって変わる」と意に介さない。
 「倫理より患者」の論理を食い止める法整備は遅れたままだ。民間シンクタンク・科学技術文明研究所の〓島(ぬでしま)次郎主任研究員は「日本では、何か問題が表面化した時、その場限りの対策を考えるにとどまってきた。今こそ公的なルールを築くことにエネルギーをかけるべきだ」と指摘する。

[毎日新聞 ]

闘論:「孫」を代理出産 根津八紘氏/柘植あづみ氏

 長野県の根津八紘医師が公表した、祖母が「代理母」となって孫を出産したケースが論議を呼んでいる。代理出産は最先端の医療技術なのか、生命倫理にふれる危うさを持った治療行為なのか。社会の価値観、個々の人生観なども絡む代理出産問題について、根津医師と生殖医療に詳しい研究者に聞いた。(題字は書家・貞政少登氏)
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 ◇尊い自己犠牲を支援 社会へ問題提起した--産婦人科医・根津八紘氏
 「目の前で困っている人がいたら助けてあげる」というのが、人間社会の基本的なルールで、私が医師になった理由でもある。代理出産を選択する人は、当事者同士でみな真剣に話し合い、決めて病院にやってくる。私が勧めることはない。今回も、母親が「子宮がなくなった娘の代わりに産んであげる」という尊い願いを持ち、その実現を私が手助けしたということだ。
 私は「アウトロー」と言われてきたが、法律は守っている。代理出産を禁じる日本産科婦人科学会の会告(学会規則)は単なる取り決めで、法律ではない。それも産婦人科医だけで決めたもので、患者のニーズなどをとらえ切れていない。
 今回の代理出産では祖母が孫を産んだ形になった。「倫理的に問題がある」という指摘もあるが、社会の中の取り決めとか倫理観というものは、時代によっても変わる。人間社会において、一番大切なのは「相互扶助の精神」だと思う。
 私の病院に来た不妊患者の8割は、本格的な治療を受けずに帰ってもらっている。産むことが目的となってしまい、育てることを忘れているような人もいるからで、そういう人には説得し、あきらめてもらう。
 ただ、私のところに来る患者さんは、最後の望みを託してくる。「ここなら何とかしてくれるのではないか」と。そういう人に「手立てはあるが、学会では禁止されているから、ダメです」とは言えない。最先端の治療で救えるなら、「何とかしてあげたい」という気持ちで、最善を尽くすのが医師の役目だ。
 私は、問題を提起し、社会的合意を得て、世の中をよりよく変えていこうと思っている。1年以上前の代理出産を公表したのは、(代理出産で双子を得たタレントの)向井亜紀さんを応援したいと思ったからだ。今回の患者さんからも「後に続く人たちのために役立ててもらいたい」と、公表を承諾してもらった。支持が得られなければ医師を辞めようと思ったが、幸い、好意的な反応が多いと思う。
 代理出産は命がけの試みで、尊い自己犠牲に基づくものだ。悪用を罰する法律は作ってほしいが、代理出産そのものは認めてほしい。産める人が、産めない人に手を差し伸べることができる体制を作ってほしい。【構成・池乗有衣】
 ◇不妊女性、追い詰める 医療だけでは救えぬ--明治学院大教授・柘植あづみ氏
 まず、不妊の悩みの本質を知ってほしい。彼女たちは、産めないことだけを悩んでいるのではない。
 初対面の人に「お子さんは何人?」と聞かれることが怖くて、外出できなくなった女性がいる。「子ができない自分は価値のない人間」と傷つき、追い詰められている。不妊は医療技術だけで解決できる問題ではなく、社会全体の問題だ。
 だから、根津医師の「代理出産は不妊で苦しむ人を助ける解決策」という言葉に疑問がある。依頼した女性は「産めない女性」というらく印が押されたままだ。やっと子どもができても、「一人っ子ではかわいそう」という新たなプレッシャーを周囲から受ける。不妊女性向けに講演した時、子どもを5人持つ女性が「私も不妊女性の気持ちが分かる」と言った。日本では子どもは1人か2人が普通で、それ以上でも以下でも、好奇の目にさらされる。
 最近の代理出産をめぐる論議が、「お母さんや姉妹に産んでもらえばいい」などと、子どもがいるべきだとの風潮を強めるのではないかと心配している。代理出産を少子化と結びつけるのも疑問だ。不妊女性は「国のために産みたい」と考えているわけではない。
 日本では、子どもに障害があっても、事故にあっても、母親の責任にされがちだ。生体臓器移植も母から子への提供が期待される。娘が出産できない責任まで、母に負わせるのか。母への代理出産の依頼は「断れない状況」を生みやすい。
 商業的代理出産がされている米国では最近、問題が表面化していないようにみえる。だが実際は、出産する女性に保険をかけ、そのパートナーを含め徹底したカウンセリングをする。依頼者、出産者とも弁護士がつく。それだけ問題が生じやすいということを示している。また、代理出産を請け負う女性は貧しい人や移民が中心で、経済格差を利用した制度ともいえる。
 「子どもがいない人」の存在を認め、「子どもがいないと不幸」との価値観を押し付けない社会へと変えていくことが先だと思う。娘から不妊の相談を受けたお母さんたちは、「子どもがいなくても、あなたはかけがえのない存在よ」と娘に言ってほしい。代理出産をしなくても、その励ましこそ、子どもへの愛だから。【構成・永山悦子】
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 ■人物略歴
 ◇ねつ・やひろ
 信州大医卒。同大医学部助手を経て、76年に「諏訪マタニティークリニック」開業。64歳。
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 ■人物略歴
 ◇つげ・あづみ
 お茶の水女子大大学院博士課程修了。03年から現職。医療人類学専攻。46歳。

投稿者 akiuchi : 10:39 AM

八木コラム(内診の違法性)

産婦人科医会山口県支部で積極的な活動を展開している八木先生のサイト。医事新報に投稿した内診の違法性をめぐる論文は注目に値する。
http://www.sotown.com/koume/html/

投稿者 akiuchi : 10:29 AM

周産期医療 五つ子

鹿児島の五つ子の話が読売新聞に紹介されていた。あの当時は「5つ子」ができたということに単純にすごいな~と感心したがいってみれば排卵誘発剤の副作用(医原病)だったわけで今なら許されない。それにしても鹿児島の先生たちはがんばったな~
ひとつ疑問に思うのはこれだけしっかりした周産期医療体制が構築されているはずの鹿児島県に厚労省が認める総合周産期医療センターがないというのは本当なのだろうか?
奈良県立大淀病院に関する報道を読むと以下のように記載されている。
「厚生労働省は、緊急かつ高度な産科救急と母体搬送に対応するため、平成16年の「子ども・子育て応援プラン」で、総合周産期母子医療センターを中心としたネットワークの整 備を、平成19年度中に完了するよう全都道府県に求めている。ただ、奈良県のほか、秋田、山形、岐阜、佐賀、長崎、宮崎、鹿児島の8自治体ではまだ、整備されていない。」

[時流/源流]周産期医療 五つ子の「贈り物」 - 読売新聞  2006年11月24日(金)

 ◇キーワードでさぐる
 妊娠から出産まで、母子を一体的にサポートする「周産期医療」。それを担う医師や病床が不足し、お産の安全が揺らぐなか、鹿児島市立病院は公立で最多の80床の新生児病床を持ち、他県の妊婦や赤ちゃんの受け皿にもなっている。同病院が1978年(昭和53年)、国内初の周産期医療センターを設けたのは、その2年前の「五つ子誕生」がきっかけだった。
 ◆前代未聞
 「3胎(三つ子) 入院予定」
 産婦人科医局の黒板にそう書かれていたのを同病院の若手医師だった池ノ上克(つよむ)(60)(現・宮崎大医学部教授)=写真=は覚えている。75年12月15日のことだった。
 この日、産婦人科部長の外西寿彦(ほかにしひさひこ)(故人)は出産のため東京から帰省した妊婦を検診した。妊娠8か月にしては、おなかが垂れ下がるほど大きかった。心音は2か所から聞き取れたが、レントゲン撮影で三つ子が確認でき、超音波断層撮影では四つ子の可能性も出てきた。
 多胎児の妊娠は母体に負担がかかるため早産になりやすく、未熟児で生まれて死亡したり障害が残ったりする。黒板の文字は、若手医師に心の準備を促す外西のメッセージだった。
 五つ子とわかったのは、明けて76年1月7日。外西は早産予防のため妊婦を入院させ、あえて「四つ子」と告げた。
 何より大事なのは、母体が心身共に安定していること。前代未聞の五つ子と告知するよりも、国内ですでに数例あった四つ子にとどめた方がショックが小さいと考えた。
 直ちに医師10人、助産師2人、看護師3人のチームを編成。母体の安全管理や、胎児が仮死状態で生まれた場合の蘇生(そせい)策を連日話し合った。「記録係、母体担当、新生児担当を決めて2回ほどリハーサルした。だが当時の医療レベルで、5人とも無事に成長してくれるとは誰も想像できなかった」と池ノ上は明かす。
 ◆ワースト1
 それまで鹿児島県は、妊娠28週から生後7日未満の「周産期死亡率」が全国ワースト1。70年の全国平均は1000人に対し21・7人だったが、離島を抱える同県は30・6人に上った。
 汚名返上のため、同病院は73年、当時珍しかった超音波断層撮影装置などを備えた未熟児センター(16床)を開設した。しかし75年10月、留学先のアメリカから帰国した池ノ上が最初にした仕事は、倉庫に眠っていた同装置を臨床で使えるようにしたことだった。
 この装置が五つ子出産に役立った。胎児の頭の大きさから、無事な成長が確認され、外西は自然分娩(ぶんべん)が可能と判断した。
 ◆「全員助けろ」
 出産は76年1月31日。9分間で5児が次々に生まれる安産だった。第2子と第3子が羊水を吸い込み、仮死状態だったが、気管にチューブを差し込んで羊水を吸引すると蘇生し、それぞれ元気な産声をあげた。
 長男、1480グラム
 長女、1800グラム
 二男、1130グラム
 二女、1300グラム
 三女、 990グラム
 当時、1000~1500グラムの新生児の生存率は20~30%。しかも障害が残る危険性が高く、未熟児網膜症や細菌感染などに警戒が必要だった。
 「国内初の五つ子誕生」と大々的に報じられるなか、生後7日目には二女が壊死(えし)性腸炎を起こし、危篤状態に陥った。
 「自分の裁量で出せるだけの費用は出す。全員助けろ」。病院に泊まり込んで治療に当たった池ノ上は当時の院長から厳命された。
 幸い二女は持ち直し、5月には5人そろって東京の日大板橋病院に転院した。
 外西は著書「五つ子くん-その神秘な誕生と周産期医学」で退院時の様子をこう書き記している。
 「玄関前に5人のベビーが姿を見せたときが最高潮だった。いまかいまかと待っていた市民の間から『おーっ』という、どよめきの声があがり、『ムゾかあ』(かわいい)の大合唱」
 首相だった田中角栄が国会で証人喚問されるなど「ロッキード事件」が政界を揺るがすなか、五つ子誕生は明るい話題を提供した。それだけでなく、当時まだ医学界にも浸透していなかった「周産期医療」という言葉を世に広めた。
 ◆全国初
 「これを契機として、未熟児センターの要員の増加、設備の拡充を図り、受け入れ体制を強化されるよう陳情する」--。76年5月、鹿児島市産婦人科医会が市医師会に提出した陳情書にはこう書かれている。
 拡充運動を担った産婦人科病院長、柿木成也(79)=写真=は「開業医では対応できない難しいお産や未熟児の受け皿がなければ、困るのは我々。市議や県議らに懸命に訴えた」と振り返る。
 これが実を結び、78年11月、鹿児島市立病院に国内初の「周産期医療センター」ができた。NICU(新生児集中治療室)を備えた新生児センター(40床)と、妊娠合併症などの妊婦に対応する分娩センターを持ち、初代所長に外西が就いた。
 全国最悪だった周産期死亡率はセンターの始動により、85年に8・4人(全国平均8・0人)となり、2005年には4・0人(同4・8人)と改善された。「死亡率日本一からの脱却は、五つ子からのプレゼントだった」と池ノ上は振り返る。
 80年には2例目の五つ子が同病院で誕生。81年にセンターを増床し、60床に。93年、外西が院長在職中に病死した時は、高校生となった最初の五つ子も葬儀に参列した。
 ◆署名12万人
 一方で同病院の周産期医療センター医長だった茨(いばら)聡(49)=写真=は病床不足に悩んでいた。周産期医療の進歩で、数百グラムの未熟児も生存できるようになった分、治療対象となる子どもが増えた。新生児ベッドは常に満床。県外の医療機関に運ばれる妊婦も増えた。
 茨は94年8月、増床の要望書を出したが、市の腰は重かった。救ったのはやはり開業医。97年4月、産婦人科医会県支部の医師が街頭で署名活動し、12万人の署名を県議会などに届けた。
 これを機に県が本格的な運営費補助を始め、新生児ベッドは2000年、80床に増えた。医師や看護師も増員された。医師が同乗して治療できる新生児専用救急車も01年に導入した。
 今では、県境に住む人を除けば、他県へ運ばれる患者はほとんどいない。一方で、NICUが不足している熊本県などから患者を受け入れる。先進医療を学ぼうと、全国の病院から研修医が集まる。
 「いいことだと思ったら皆が集まって一緒に進めていく。市立病院の周産期医療を支えてきたのは、そんな鹿児島の県民性かもしれない」。現在は周産期医療センターの部長となった茨は話す。(文中敬称略)玉城夏子

 図=鹿児島県の周産期死亡率の推移

 写真=鹿児島市立病院を退院し、東京の日大板橋病院に移った国内初の五つ子(1976年5月12日撮影)
 写真=未熟児などの治療が昼夜問わず続く鹿児島市立病院のNICU

投稿者 akiuchi : 09:59 AM

拠点病院の受け入れ困難な状況

奈良県の事件に関して北里大学の海野教授のコメントが掲載されていた。
「妊婦検診やリスクの低い出産を担う地域の医療機関と、母体の救命救急や重症児に対応する高度医療機関を分けて考える必要がある」と指摘する。
 だが実際は産科を扱う病院の減少から、多くの妊婦が、本来ならリスクの高い患者を優先して受け入れるべき拠点病院を頼るようになり、その結果、拠点病院では救急患者の受け入れが困難な状態となっている。
学会の中心で活躍される先生が正しい認識を持っていることを素直に喜びたい。


【明解要解】妊産婦の高度救急医療 医師の産科離れで整備に支障 - 産経新聞 2006年11月20日(月)

 奈良県大淀町立大淀病院で今年8月、出産の際に意識不明となった妊婦(当時32)が19病院から転院を断られ、死亡した問題をきっかけに、妊婦の安全を守る救急医療体制の整備や地域間格差の是正が緊急の課題として浮かび上がってきた。周産期医療をめぐっては病床数不足や医師不足も深刻だ。地域の実情に見合った医療機関の機能の見直しが求められる。
 (社会部 長島雅子)
 妊婦は8月7日、大淀病院に入院し、翌日午前0時過ぎ、頭痛を訴えて意識を失った。同病院は午前1時50分ごろ、拠点病院である奈良県立医大付属病院に受け入れを要請したが満床だった。同病院は県内外の転送先を探したが次々に断られ、約60キロ離れた大阪府吹田市の国立循環器病センターに搬送されることが決まったのは午前4時半ごろだった。
 妊婦は午前6時すぎに転送後、脳内出血と診断された。帝王切開手術を受け男児を出産したが、意識不明のまま同月16日に死亡した。
 厚生労働省は、緊急かつ高度な産科救急と母体搬送に対応するため、平成16年の「子ども・子育て応援プラン」で、総合周産期母子医療センターを中心としたネットワークの整備を、平成19年度中に完了するよう全都道府県に求めている。ただ、奈良県のほか、秋田、山形、岐阜、佐賀、長崎、宮崎、鹿児島の8自治体ではまだ、整備されていない。
 昼夜を問わない過酷な勤務や出産のトラブルをめぐる訴訟のリスクなどにより、産科の医師不足は深刻な問題となっている。分娩(ぶんべん)を扱う病院や診療所は全国的に減少傾向にあり、平成5年に4200以上あった分娩施設は昨年、約3000に減った。
 奈良県も同様で、16年は高度治療が必要な妊産婦の37%を大阪府など県外に搬送している。
 こうした現状のなかで、北里大学医学部産婦人科学の海野信也教授は「妊婦検診やリスクの低い出産を担う地域の医療機関と、母体の救命救急や重症児に対応する高度医療機関を分けて考える必要がある」と指摘する。
 だが実際は産科を扱う病院の減少から、多くの妊婦が、本来ならリスクの高い患者を優先して受け入れるべき拠点病院を頼るようになり、その結果、拠点病院では救急患者の受け入れが困難な状態となっている。
 一方で、出産をめぐって刑事責任が問われる事件が相次いだことから、萎縮(いしゅく)した医師が難しい出産を避け、より高度な医療機関に任せる傾向も強まってきている。
 「各地域の周産期医療ネットワークは、産科医と小児科医のボランティアで成り立っている。基幹病院の当直の医師の協力で、他の医療機関の妊婦の搬送先を懸命に探すことでかろうじて救急医療に対応している。いわば周産期医療独自の相互援助体制だが、これも現場の疲弊により限界に達している」
 海野教授は現状をそう説明し、解決策として「第三者が搬送先を探すシステム作りも検討する必要がある」と話している。
                  ◇
 一線記者がニュースの背景にせまり、わかりやすく解説します。読者の質問、疑問にもお答えします。ファクス03・3242・7745か、Eメールでspecial@sankei.co.jpへ。

[産経新聞 ]

投稿者 akiuchi : 04:59 AM

November 24, 2006

「妊産婦死亡の原因の究明に関する研究班」(班長、長屋憲・吉祥寺南町診療所院長)の報告

「長屋論文」という10年以上も昔の妖怪がまだ日本の産婦人科医療周辺を跋扈しているというおどろおどろしい状況にそろそろ変えなければ本当に日本の周産期医療は崩壊することになると思った。現場を知らない医者とマスコミに勝手なことをいつまで言わせておいていいものなのだろう?「長屋院長は「9年前と変わらず、全身管理の専門家や設備がほとんどない状態で大多数の分娩が扱われていることが最大の問題。こんな危険な環境での分娩は、日本ぐらいなものだ」と早急な改善を訴える。」2年間で230人の母体死亡があった時代から今ではその数が年間48人まで減少しているというデータを彼は一体どう説明するのか?


[奈良・妊婦転送死亡:脳内出血死、9年前の提言生かせず--「CTに有用性」毎日新聞 2006年11月21日(火)

 ◇旧厚生省研究班「CTに有用性」
 妊産婦に異常事態が起きた場合、分娩施設内で速やかに処置できるよう、医師数や検査機能の充実など体制整備を求める提言を、旧厚生省研究班が97年にまとめていたことが分かった。全国約200人に及ぶ妊産婦の死亡原因を詳細に分析して導き出した報告。だが今年8月に奈良県の妊婦が脳内出血で死亡した問題では、分娩施設や搬送システムの体制不備など地域の産科救急体制の危機が浮き彫りになり、9年前の貴重な提言が生かされなかった形だ。【根本毅】
 「妊産婦死亡の原因の究明に関する研究班」(班長、長屋憲・吉祥寺南町診療所院長)の報告によると、91~92年の妊産婦死亡は230人に上った。調査できた197人の死因は、子宮破裂などによる出血性ショックが74人で最も多く、次いで脳出血が27人だった。
 死亡例の分析で、転送された施設(大学病院を除く)の産婦人科の平均医師数は、常勤が4・4人、当直は0・6人。麻酔科医なども少なく、「十分な24時間体制とはあまりに懸け離れた現状」と指摘した。一方、死亡した妊産婦の分娩を当初扱った施設は、より体制が貧弱で「マンパワーや検査機能の不備が死亡に大きく影響した」と分析した。
 脳出血では、頭痛を訴えたのに診断・搬送が遅れた例もあった。診断について「頭痛や血圧上昇、意識消失があると、産婦人科医の多くは妊娠中毒症や子癇(しかん)発作と考え、その治療を優先させる。これは現時点では正しい」とした。その上で、CT(コンピューター断層撮影)の有用性に触れ、「どの症状なら脳出血を疑い、画像診断(CT)すべきかガイドラインを示す必要がある」と提言した。
 今回の奈良のケースでも夜間、脳外科医と麻酔科医が不在で、産科医と内科医計2人で対応。報告書の指摘と同じように頭痛や意識消失などの症状があったが、失神や子癇発作と判断し、CTは撮らなかった。
 長屋院長は「9年前と変わらず、全身管理の専門家や設備がほとんどない状態で大多数の分娩が扱われていることが最大の問題。こんな危険な環境での分娩は、日本ぐらいなものだ」と早急な改善を訴える。

[毎日新聞 ]

投稿者 akiuchi : 05:21 PM

November 23, 2006

[お産・ひずむ現場から]

読売新聞・連載[お産・ひずむ現場から]は日本のお産の現状に広がる問題点をレポートしている。格差社会と墜落出産はあまり関係ないと思うが日本のお産が大変なことになっているということは間違いないだろう。今日の朝日新聞「私の視点」に京都の嵯峨嵐山・田中クリニックの田中啓一先生が「出産医療危機・厚労省の性急可変に問題」という意見が掲載されていた。また同じ朝日新聞栃木版には「産科医療体制に分業体制」という記事も出ていた。本当に事態が深刻になってようやく行政が動き出した時には既に手遅れということになっていなければ良いのだが果たしてまだ間に合うのだろうか?

[お産・ひずむ現場から](1)格差の果て「墜落出産」(連載)読売新聞 2006年11月19日(日)

 ◆19歳、夫は失業中、生活保護… 陣痛室に1人…「生まれてるわ」 二極化拡大、ブランド病院も
 産婦人科の医師不足が進む中で、妊婦たち、家族たち、医師たちの悲鳴が聞こえる。社会に広がる「格差」が、お産の現場を蝕(むしば)み始めている。都会で、地方で--。その〈ひずみ〉を報告する。(社会部・古岡三枝子、写真部・工藤菜穂)
 惨めで孤独な初産だった。病院の陣痛室。19歳の女性は、一人、壁に手をついて体を支え、立ったままの姿勢で、硬い床の上に、赤ちゃんを産み落とした。
 「何で泣かへんのやろ。死んだんちゃう」。涙がボロボロ出てきた。だが、気持ちを奮い立たせた。「私、お母さんになったんやから」。腰をゆっくりとかがめ、へその緒がついた赤ちゃんを床から、すくい上げた。顔の高さまで持ち上げると、産声を上げた。
 やがて、慌ただしい足音。そして、看護師の声が聞こえた。「生まれてるわ」
 大阪市内の民間病院。女性は、通院中から、疎外感を覚えていた。
 母はアジア系外国人。10代の出産。夫は失業中。生活保護を受け、出産費用が無料になる、助産制度を利用しての出産だった。「だからか」と思ってしまう。「看護師は、ほかの人には丁寧な言葉遣いだったが、私にはそうでなかった」
 入院したのは7月中旬の夕方。分娩(ぶんべん)室の隣にある陣痛室で休んでいたが、深夜、トイレに立ち、破水した。自力でベッドに上がれず、立ったままでナースコールを押した。もう、頭が出かかっていた。だが、様子を見に来た看護師は、よく確認せず、「気のせい」と言い残し、部屋を出ていったという。
 「このままやったら赤ちゃんの頭が圧迫されて、呼吸もできへんかもしれん」
 どうしたらいいのかわからなかったが、3回ほどいきむと、下着に引っかかった。もう一度、ナースコールを押そうと体を少し動かした瞬間だった。赤ちゃんが、頭から床に落ちた。
 「何で、こんなことになったんや」。病院に駆けつけた女性の母親は、看護師らに激しく詰め寄った。
 墜落出産。母子手帳の特記事項にそう記された。
 この女性を知る、別の病院に勤務する助産師は、「病院への搬送が間に合わず、自宅や救急車の中で起きることはたまにあるが、まさか、病院の中でとは……」と憤る。
 当時、医師2人は手術中で、助産師は授乳中、産婦人科の看護師は、手術室や病棟を行き来していた。
 看護師が、確認しなかったのか。「気のせい」と言ったのか。女性と病院側には、見解の相違がある。
 「外科系の看護師が対応したが、まだ、生まれる様子はなかった。ただ、予期せぬ速さで出産が進み、結果的に赤ちゃんが床に落ち、苦痛を与えたことについては謝罪した。3歳になるまでの無料検診を提案している」と病院側は説明する。
 「疎外感」については、「助産制度を使う人への差別は絶対ない」とする。だが、その一方で、来年4月からは、助産制度の取り扱いをやめるのだと言う。
 「昨年から検討してきたこと。事前に妊婦検診を受けず、陣痛が起きてから突然やって来たり、大声を出したり。ルールを守らない人が多くリスクが高い」。事務長は、「助産制度を扱う病院は、減ってきているのですよ」と、話した。
 東京。聖路加国際病院(中央区)。産婦人科医17人、助産師33人という手厚いスタッフ、NICU(新生児集中治療室)や、ホテル並みの個室を備える。安全、快適に出産できる環境が人気で、愛育病院(港区)、山王病院(同)と共に、「御三家」とも称される。
 ここで出産にかかる費用は約90万円。40万円前後とされる平均的な費用の2倍以上だが、分娩件数は増加傾向だ。佐藤孝道・女性総合診療部長は、「少子化で、出産は一生に1度という人も多い。質を求められる方が増えている。私たちは金額に見合った医療を提供できていると思っていますよ」と言う。
 出産時の安全管理に詳しい日本赤十字看護大学の谷津裕子助教授(助産学)は、「本当は、どの病院でも安心、安全な医療を受けられなくてはならない。しかし、今、産婦人科医師が不足する中で、スタッフの技量や質など、病院の『体力』の差が、ケアの差となり、様々な事故につながっている」と指摘する。
 お産の質の格差。ひずみは、助産制度の“締め出し”として、所得格差の底辺に広がり始めている。
 「こんな、つらい思いをしないとお母さんになれへんの」。墜落出産を経験した女性は、赤ちゃんをあやしながら、今も、情けない思いでいっぱいになる。

 ◆利用者急増の「助産制度」 消える受け入れ産科…扱わなくても経営大丈夫
 経済的に困っている人の出産費の負担を軽減する国の「入院助産制度」が揺らいでいる。所得格差が広がり、制度を利用する妊婦が急増する一方で、助産制度の取り扱いをやめる医療機関が続出しているのだ。産婦人科医が不足し、産科が減少する中で、「弱者の切り捨て」との指摘もある。
 入院助産制度は、児童福祉法に基づいて、経済的な理由で出産費用が払えない妊婦に対して、分娩(ぶんべん)介助料、生活諸経費(入院費など)、胎盤処置料などを国と自治体が負担する。
 所得によって自己負担額は異なり、生活保護世帯の場合、上限があるものの基本的には無料。利用できる施設は、申請に基づいて自治体が認可する医療機関に限られる。
 厚生労働省によると、1997年度の利用者は全国で3246人、認可施設は563か所だったが、2004年度には、利用者が2倍の6409人に増加しているのに、逆に施設は494か所に減少した。
 生活保護世帯が全国一多い大阪市では、05年度に980人が利用。認可施設は、10年前には20か所を超えていたが、現在は14か所。このうち2か所は、すでに産科を休止しており、実際には、12か所に過ぎず、市内24区のうち13区が空白区になっている。
 今後、さらに2病院が、制度の取り扱いをやめる予定で、病院の一つは、「産科を廃止する予定のため」と事情を説明する。
 一方で、産科があるのに制度の取り扱いをやめる病院もあり、医療関係者は「今、残っている病院には妊婦があふれている。制度の利用者をあえて受け入れなくても、病院の経営は成り立つという事情がある」と背景の一つを指摘。その上で、「行政が、早急に対策を考えなければ、低所得者は、お産ができなくなってしまう」と心配する。
 大阪市の担当者は「制度の利用者が、自宅から遠く離れた病院に行かなければならないなど、不便な状況になっていることは把握している。しかし、こちらから、病院を指導することはできず、今のところ、打つ手がない」と言い、行政としては静観の構えだ。
 出産問題に詳しいジャーナリストの河合蘭さんは「こうした問題がある一方で、高額な費用がかかる医療機関での出産を望む妊婦も多く、出産にも『格差』が広がっている。お産は誰でも、どこに住んでいても平等なものであるべきだが、崩れてきているのかもしれない」と危惧(きぐ)する。

 図=助産制度の認可施設数と利用者
 写真=「墜落出産」と記された母子手帳。女性は、赤ちゃんをあやしながら「何でこんな目にあったのか」とつぶやいた

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[お産・ひずむ現場から](2)分娩予約、先着月20件(連載)読売新聞 2006年11月20日(月)

 ◆ベッド稼働率50%割れも 医師さえ十分いれば…苦悩の基幹病院
 「予約を制限することもできるが、どうする」
 大阪の真ん中。通天閣を間近に仰ぐ愛染橋病院(大阪市浪速区)の村田雄二院長(64)は、今年の夏、産婦人科部長らに問い掛けた。
 ここでは「少子化」が、ウソのようだ。年間分娩(ぶんべん)件数がピーク(1970年代)の2割にあたる700件台に落ち込んだのは15年前。それが2003年度に1000件を超え、今年度は1500件を突破する勢いだ。8人の医師の負担は年々重くなってきている。
 「周辺の産科が次々となくなり、妊婦の行き場がない。受け入れましょう」。医師たちの言葉を頼もしく感じながら、村田院長には医療の質の低下が心配だった。「来る者拒まず。ほんまにこれでいいんやろか」
 周産期医療の基幹病院。大阪府内の43病院が情報を共有、高度な医療が必要な妊婦の転院や救急搬送に対応する「産婦人科診療相互援助システム(OGCS)」にも組み込まれている。
 昨年までは、搬送要請の6割以上を引き受けてきたが、今年の9月末までの実績は86件。5割を切った。
 産婦人科の42床を16床増やす工事を進めているが、「医師不足を解消し、妊婦の受け入れ先を増やさないと、同じことがまた、起きるかもしれない」と、村田院長は危機感を抱く。
 8月8日--。奈良県大淀町立大淀病院で意識不明になり、その後亡くなった妊婦(当時32歳)が、奈良や大阪の病院から、「満床」などを理由に転院を断られた日。
 愛染橋病院にはOGCSの搬送要請はなかったが、やはりベッドはふさがっていたという。この月、分娩件数は150件を超えた。25年ぶりのことだった。
         ◎
 早期退職、他県の病院への移籍……。
 愛染橋病院から南へ5キロ。大阪市立住吉市民病院の産婦人科を、今年、3人の医師が去っていった。
 「月に当直を6、7回やって手術もやる。頭が働かない。私も50歳を超えて限界やった。死んでしまうかもしれへんと思いました」
 辞めた医師の一人は、もう、お産を扱わないという。「とにかく、当直をやめたかった。辞めてアルバイト医師でも何でもやれば、のたれ死にすることはないやろうと」
 後任の医師は見つからず、補充はない。今は常勤医2人、応援医1人の3人体制でしのぐ。分娩予約は、9月分から、先着20件に制限せざるを得なかった。
 「早う来なあかんって聞いたから」。生理が1日遅れただけで、急いで診察に訪れる女性。妊娠がわかった5週、6週で、“手遅れ”の妊婦もいるという。
 外来の待合室には、こんな紙が張り出されている。
 〈平成19年6月分までの分娩予約は終了しました〉
         ◎
 同病院の産婦人科のベッドは40床。「今は稼働率50%を切っています。市南部の周産期医療を支える基幹病院という位置づけなのですが……」。病院スタッフは、申し訳なさそうに話す。OGCSからの夜間の搬送要請は断っている。
 昨年度まで、医師6人で年間700件を超える分娩を扱っていたが、今年度は400件を下回るという。
 当直医師を訪ねた。
 95年から勤務している中村哲生医師(46)。午前9時からの外来で、73人を診察し、口にしたのはペットボトルのお茶だけ。夕方、当直前に昼食のカップラーメンをかき込んだ。「予約を制限したので、これでも、仕事は楽になりました」。ほほ笑みの奥に、複雑な思いがのぞく。
 深夜、産婦人科病棟を巡回。同科の患者や妊婦は9人だった。余ったベッドのいくつかは、整形外科の患者らが使っているのだという。それが、もどかしい。
 「医者さえいればなぁ」
 足りぬベッド。余るベッド。病棟に、現場にとどまる医師たちの、深いため息が漏れる。

 写真=夕方、外来の診察を終えて当直勤務につく中村医師(大阪市立住吉市民病院で)

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[お産・ひずむ現場から](3)地域へ派遣医出せぬ(連載) - 読売新聞 2006年11月21日(火)

◆地方大学、新人医師減り続け
 「また産科がなくなる」
 先週、大阪市内の病院を情報が駆け巡った。関西の大学医学部が、ある民間病院から派遣医を引き揚げるというのだ。
 同じ大学から派遣を受ける別の病院のスタッフは、心配そうに話す。「大学も研修医がいなくて大変らしい。次に引き揚げられるのはどこか。みんな戦々恐々としています」
 新人医師が2年間、給料をもらいながら内科、外科、産婦人科などの各科で経験を積み、総合力を身に着ける臨床研修制度がスタートして3年目。症例が豊富で腕が磨ける病院、待遇のいい病院を目指して、地方の新人医師たちの、大学離れが止まらない。
 東京・新宿。1日平均3980人の外来患者が訪れる慶応大学病院には、全国から医師たちが集まる。
 来年度の研修医募集では定員60人に233人が応募。中でも、医学部の2大ブランド、慶応と東京大学で1年ずつ研修できる定員5人のコースには、154人が殺到し、競争率30・8倍の狭き門となった。
 「ここでは、十分な症例を経験できる。それに、学術研修会に参加しやすく、人脈も作れる東京には、刺激がある。魅力のあるところに人が集まります」と、卒後臨床研修センター長の鈴木則宏教授(53)は話した。
 〈勝ち組〉は東大と慶応だけ。新研修制度を巡り、地方の大学関係者からは、恨み節も聞こえてくる。
     ◎
 134年の歴史を誇る医学界の“老舗”。京都府立医科大学の山岸久一学長(63)も嘆く。「研修医は、糸の切れた風船みたいに好きなところに行ってしまう。その結果、地域医療が崩壊している」
 いったん「外」に出た医師の多くは、研修後、出身大学には戻ってこない。
 同大の医局には、毎年140人程度が入局していたが、新研修制度の1期生を医局員として迎えた今年は約80人。産婦人科への入局はゼロだった。
 このため、産婦人科医3人が辞めた関連病院、舞鶴医療センター(京都府舞鶴市)に新たに医師を補充できず、府北部で周産期医療の中核を担う同科は今春、閉鎖に追い込まれた。
 「研究機関として医療の質を高めるという、大学の大切さに気づけば、いずれ医師たちは戻ってくるはず」。山岸学長は「私の期待ですがね」と付け加えた。
     ◎
 「辛いもん、ちゃんと控えてますか?」。大阪府吹田市の診療所で開業医が男性患者に声をかける。何気ないやりとりを、大阪大学付属病院で研修2年目の栗政映子さん(28)が真剣に見つめる。ここで、地域医療を学んでいる。
 目指すのは産婦人科医。大阪生まれ。福井大学5年の時に初めてお産に立ち会い、「命が生まれるって、すごい」と感動した。大阪大を選んだのは、「きちんと勉強して、地元で医師になりたい」からだという。
 大阪大でも産婦人科の医局には毎年、十数人が入っていたが、今年度の入局は女性3人だけ。木村正教授(46)は、研修医たちの顔を思い浮かべ、来年の計算をする。「新制度は弱肉強食。うちもしんどいが、数人は固いかな」。栗政さんは、貴重なその一人だ。
 だが、医局入りの決断には時間がかかったという。「自分の布団で寝られるのは週に3回」「子育てと仕事の両立は厳しい」と先輩医師から聞いた。「しんどそう」と友人も言う。あの時、感動した自分を信じるが、今も不安は消えない。
 木村教授は言う。「例えば、産婦人科は女性の志望が多いのに、働きやすい環境とは言えない。月に10回も当直ができますか。出産して、子供を家において仕事に復帰できますか。産科医が自分の出産をためらう。変えていかなくては、成り手は育たない」
 若い情熱に応えられるのか。地域医療を支えられるのか。大学は苦悩する。

 写真=開業医の診療所で研修中の栗政さん(左)。産婦人科医になることを決めている(大阪府吹田市で)
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[お産・ひずむ現場から](4)医師確保、もがく地方(連載) - 読売新聞 2006年11月22日(水)
◆中国人研修・高額報酬・視察ツアー
 「中国では妊婦の数が多く、とても忙しいです。こちらは、休みでも呼び出されるなど、時間に拘束されて違う忙しさですね」
 中国人医師の高嵩(こうすん)さん(34)は、今年2月から、盛岡市の私立岩手医科大付属病院で「研修中」の身。だが実態は、産婦人科の貴重な戦力だ。
 外国人が医療知識、技術を学ぶ厚生労働省の「臨床修練制度」を使った“裏技”で、医師不足に悩む県が、日本語コースを持つ中国医科大(遼寧省瀋陽市)から招いた。月約30万円の「就学費」を支給。近く、小児科医も招く予定だ。
 「薬の処方はできませんが、カルテを書いたり、手術の助手をやったり。少しでも、忙しい先生たちの役に立ちたいです」
 「検定1級」の流暢(りゅうちょう)な日本語、柔らかい物腰で、妊婦からの人気は上々。高さんが立ち会い、帝王切開で長男を出産した退院間近の女性は、「先生に話をすると、安心できました。人柄ですね」と話した。
 1県で、東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県を上回る広さ。県立病院と診療所は、全国最多で計27もあるが、医師不足のため出産を扱っているのは9病院しかない。大半は医師が2、3人で「綱渡り」が続く。県内の病院への医師派遣の役割を担う岩手医科大学医学部の杉山徹教授(54)は、中国人医師招聘(しょうへい)に込めた、もう一つの意味を説明する。
 「1人や2人招いても医師不足が解消するわけはありません。本気で対策に乗り出さないと地方の医療はもう持たない。何もしない国へのメッセージです」
     ◎
 全国有数の多雨地帯、三重県尾鷲市。熊野灘に面し、三方から急峻(きゅうしゅん)な山岳が迫る。大雨で国道42号が通行止めになれば、紀伊半島の小さな街は、孤島となる。
 3月。市議会に驚きが広がった。三重大学からの医師派遣打ち切りに伴い、昨年9月、市が市立尾鷲総合病院に独自で確保した産婦人科医の年俸が、このとき、明らかにされたのだ。
 5520万円--。
 他の診療科の医師たちの平均給料の3倍以上の額。伊藤允久(まさひさ)市長は「津市で開業している医院を閉めて来てもらった。政治的判断だった」と説明した。
 この夏の契約更新交渉で、医師は「病院に住み込み、年末年始の2日しか休んでいない」として、休日手当の上乗せを要求した。
 「3000万円も出せば、大学の助教授クラスが飛んでくる」。市議会の批判で交渉は決裂。165人の赤ちゃんを取り上げた医師は病院を去った。
 昨年、6万3000人の署名を三重大と県に提出した「紀北地区に産婦人科の存続を願う会」の中心メンバー久保忠利さん(66)は複雑な思いを吐露する。「そんなに高いんかと知って、びっくりしました。でも仕方がない。来てくれる先生がいないのですから」
 10月、また津市から招いた後任医師の年俸は、約2700万円。別に5年勤務を条件に、年100万円の奨励金が加算された。
     ◎
 〈自然を余すことなく満喫できる地。その目で町の雰囲気や病院、診療所を見てください〉
 産婦人科医をはじめ、へき地の医師不足が深刻な島根県。9月から、ホームページで、島根での勤務に関心を持つ医師や家族を対象にした、2泊3日の無料視察ツアーへの参加を呼びかけている。
 神戸市内の内科医(38)は、産婦人科医がいなくなり、出産のために妊婦たちが海を渡った離島・隠岐の島町を視察した。「今の便利な生活を捨てられるかというと、まだ、踏ん切りがつきません」。それが、正直な気持ちだ。
 「現代の赤ひげ先生はいるはず」と担当者は期待するが、これまでに島根を訪れた医師は3人。色よい返事は、まだ返ってこない。
 地方が、もがき続けている。

 写真=「もうすぐ退院ですね」。朝の回診で母子に声をかける高医師(岩手医科大付属病院で)
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お産・ひずむ現場から](5)診療2か月「船津先生、ありがとう」(連載)読売新聞 2006年11月23日(木)

 ◆隠岐の妊婦国、動かす 町長「離島で産める法整備を」
 11月1日。西郷港の岸壁に、島民が次々と集まってきた。赤ちゃんを抱いた父親、涙を浮かべた母親、助産師、病院の職員……。
 4月から産婦人科医がいなくなった島根県の離島・隠岐の島町。その窮状を知り、静岡県富士市で開業準備中だった船津雅幸医師(52)が島に渡ってきたのは8月の終わり。6人の赤ちゃんの誕生を見守り、今、島を離れる。
 「先生、ありがとう」「また、来てよ」
 「凝縮された2か月でした。ありがとう」。船津医師も、高速船「レインボー」の乗船口から、何度も手を振り頭を下げた。
 「先生のこれからのご活躍を祈念して」。誰かが音頭を取った。万歳、万歳、万歳--。大きく腕を振り、島民は、小さくなる船を見送った。
     ◎
 「島で産むって、こげなことなんだ」。藤野みほかさん(31)は、その、ぬくもりを実感したという。
 隠岐病院に入院したのは10月1日。3日間、陣痛で苦しみ、胎児の心拍数が落ちてきたため、船津医師の帝王切開手術で男児を出産した。その間、家族や、通院中から顔なじみになった助産師が入れ代わり立ち代わりやって来ては、「頑張れ、頑張れ」と腰をさすって励ましてくれた。
 「本土に一人渡って出産していたら、心細かっただろうな」と思う。「世愛(せな)」。息子の名前に願いを込めた。「多くの人の愛情を受けて、生まれてきたことを忘れないでほしい」と。
 隠岐病院の8人の助産師たちは、4月以降、惨めな思いでいっぱいだった。新生児室が、物置代わりになったこともあった。常角しのぶさん(49)は、産声が戻ってきた日のことを思い出す。「新生児室に電気がついて、泣き声が聞こえて。病院全体が明るくなったような気がしました」
     ◎
 出産のため、海を渡る妊婦たちが、医師の心を動かし、そして国を動かした。
 厚生労働省は、離島の妊婦を対象に、島外出産の宿泊補助制度をつくる方針で、来年度概算要求に3000万円を盛り込んだ。1人3万円までの支給を検討している。
 「だが、私の思いは違う」と、町長室で松田和久町長(61)はいらだちを隠さない。「必ず島で産めるようにしたい。いろんな国のひずみが隠岐にある。まず離島の医師確保の法整備を国に訴えたい」
 隠岐病院へは、県立中央病院からの産婦人科医の派遣が再開された。しかし、医師不足が続く限り、また、お産ができなくなるという不安は消えない。
 「島でも子供が少なくなってきた」と話す保育園長、吉田輝美さん(54)も、「船津先生の気持ちは本当にありがたかった。心があった。でも、こういう先生が来るのを待っちょってはだめ。制度を整えないと」と心配する。
 港の防波堤に腰を下ろし、長く漁師をしてきたという藤野文夫さん(85)は首をかしげる。「島で生まれ、島で死ぬる。あたり前の事ができんようなるのは信じられん。おかしいなっとる」。見つめる白波の果てに、遠い本土がある。
     ◎
 また、一人の医師が、お産の現場を去って行く。
 静岡に戻り、12月に内科・婦人科クリニックを開業する船津医師は、大学の医局や関連病院で22年間、激務の中に身を置いてきた。「産科はハッピーな科ですが、何かあると訴訟になりやすくデメリットも多い。開業すると経営のことも考えなくてはならない。もう、いいんじゃないかと」
 隠岐へ行くことを決めたのは、「だが、やり残したことはないのか」という思いだったという。
 「僕がいるだけで安心してもらえた。妊婦の笑顔や、赤ちゃんの泣き声に、大きな意味があることに気づき、感動しました」
 産声が消えた島は、舞台を降りるベテラン医師のはなむけに、大切なことを教えてくれた。(おわり)
(社会部・古岡三枝子、写真部・工藤菜穂が担当しました)

 写真=「さようなら」。藤野さん夫婦(左)ら島民はいつまでも船津先生を見送った(島根県隠岐の島町で)


投稿者 akiuchi : 10:56 AM

November 20, 2006

宮廷女官・チァングム、最終回

宮廷女官・チァングム、最終回
だいぶ前のことになるのですが産婦人科医関連のMLで「白い巨塔」にでてくる開業産婦人科医・財前の義父のイメージが悪すぎるので産婦人科医のイメージアップを図るために有名な産婦人科医師をあげなさいという宿題を出されたことがありました。当時BSで放映されていたチャングムを私は推薦したのですがその時にはあまり反応がありませでした。11月18日の土曜日にNHKの地上波で最終回が放映されて私が関係するいくつかのMLでも話題に上がっています。50話以上も続く長い話なのでなかなか最後まで観ることは難しいとは思うのですが私もラストシーンが帝王切開のシーンで終わったことに感動して産婦人科医としてのチャングム(架空の話?)を投稿いたしました。(当時はネタバレになってはいけないと思って詳しいことは書けませんでした。)我が家の小学2年生もチャングムの大ファンです。

投稿者 akiuchi : 03:05 PM

日曜当番医

11月19日(日)、久しぶりに日曜当番医で朝から勤務。こどもばかり診察が続く。ほとんどが軽い風邪のこどもたち。このこどもたちが遠いセンター病院までいかなければ医療の提供を受けられないのだとしたらセンター病院はすぐに破綻してしまうだろう。産科もセンター化によって同じことになるのだとしたらここはわれわれが何とか踏ん張ってくい止めなければならない。

投稿者 akiuchi : 04:56 AM

産婦人科医療体制検討委員会

11月17日(金)水道橋にある日本産科婦人科学会に出かけて産婦人科医療体制検討委員会に参加した。内診問題を含めて開業産科医の窮状を訴えたが果たしてこれからどのようになることやら?

投稿者 akiuchi : 04:48 AM

分娩時に必要とされる処置について(説明書・承諾書)

11月11日に産婦人科医会関東ブロック幹事会に出席した。しばらくして遠州総合病院の稲本裕先生から「分娩時に必要とされる処置について(説明書・承諾書)」という現在使用されている同意書のサンプルを送っていただいた。今までは何も承諾をもらわずに実施していた処置もこれからは同意書が必要になるのだろう。栃木県産婦人科医会でも参考にしたい。

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分娩時に必要とされる処置について(説明書・承諾書)
~より良いお産のために、必要に応じて以下の処置を行うことがあります~

1.胎児心拍モニター
 お母さんのおなかにベルトを2本巻いて陣痛の程度と赤ちゃんの元気よさを確認します。
2.浣腸・導尿
 浣腸・導尿して、分娩の進行を助けます。また、分娩時の赤ちゃんの汚染を防ぎます。
3.血管確保(点滴)
 お母さんの脱水予防、出血が多いときなど緊急時に備えて行います。
4.抗生剤投与
 破水・発熱等ある時に、赤ちゃんへの感染予防目的に行います。
5.酸素投与
 分娩時に必要に応じてお母さんに酸素を投与します。
6.剃毛
 分娩前に産道付近の剃毛を行います。
7.会陰切開術
 分娩時に会陰裂傷の予防と肛門の保護のためや、赤ちゃんを早く分娩させる必要があるときに、局所麻酔をして、会陰切開することがあります。
8.会陰裂傷縫合術
 分娩時に産道の伸びが不十分で、赤ちゃんの頭で産道に裂傷ができてしまう時があります。その傷を局所麻酔下で溶ける糸で縫合します。
9.子宮収縮剤の投与
 分娩後の子宮収縮をうながし、至急からの出血を少なくします。
10.新生児蘇生術
 赤ちゃんの状態に応じて酸素投与や、口の中などの羊水を吸引する等の処置を行います。
11.胎盤用手剥離術
 胎盤がうまくはがれないときに、胎盤をはがす処置を行います。

以上の処置が必要な際には助産師・医師より再度説明をして行います。

○○病院 産婦人科
                                 年    月     日
医師__________
助産師_________

                      説明を受けた方________________

投稿者 akiuchi : 04:44 AM

問われる「日本一」:堀病院・無資格助産事件 「潜在助産師」さん、集まれ 

看護協会は26000人いるという潜在助産師を掘り起こすという一方で産婦人科医会は若手看護師に助産師資格を取らせると主張。どちらもお産には助産師が必要という点では共通しているようだが助産師がいなくても保助看法による内診問題の縛りさえなければお産は医師と看護師で十分できるという主張は過去のものになってしまったということなのであろうか?毎日新聞の偏向報道?
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問われる「日本一」:堀病院・無資格助産事件 「潜在助産師」さん、集まれ /神奈川
- 毎日新聞 2006年11月18日(土)

 ◇有資格者の現場復帰へ 日本助産師会と横浜市、県内初の研修会--来月1、2日
 「潜在助産師」さん、集まれ――。助産師の資格はあるのに子育てなどで産科医療の現場から離れている潜在助産師を対象にした県内初の研修会が12月1~2日、県総合医療会館(横浜市中区富士見町3)で開かれる。日本助産師会県支部が主催、横浜市が共催する。産婦人科病院「堀病院」(同市瀬谷区)による無資格助産事件を機に助産師の不足・偏在がクローズアップされたが、隠れた助産師さんの現場復帰を促せるか。【鈴木一生】
 ◇産科医療充実へ期待
 横浜市などによると、助産師の資格があっても外科や内科など他の診療科で勤務していたり、夜勤などの激務や子育てなどが原因で産科医療から離れている潜在助産師は市内にも多数存在しているとみられるが、実数は不明という。
 一方、同市内で分娩を取り扱う病院、診療所、助産所は減少傾向。市健康福祉局が3月に実施した「産科医療及び分娩に関する調査」では▽04年度65施設▽05年度61施設▽今年度56施設――となる見込みで、出産場所の減少が心配されている。
 潜在助産師の中には、産科医療への現場復帰に意欲があっても「現場を離れてかなりブランクがあり、技術的に心配」「子育て中でも働けるか」などと心配する声も少なくない。このため、横浜市健康福祉局は研修会をきっかけに「潜在助産師を発掘し就業を手助けして、市内の産科医療体制を充実させたい」と期待をこめる。日本助産師会県支部も「産科の現状や技術を磨き直し、助産師資格を活用してほしい」としている。
 研修会は横浜市立大周産期センターの産科医や開業している助産師らによる講演が中心。堀病院の勤務医も「産婦人科開業医から助産師へのラブコール」とのテーマで講演する予定だが、市健康福祉局は「現在の堀病院は助産師の確保に努めている。事件を受けて堀病院がどのように対応しているか、参加者に情報提供もできる。講師として呼ぶことに問題はない」とコメントしている。
 参加無料で、両日とも定員60人。問い合わせは同支部(045・262・4201)。
 ◇全国で2万6000人、現場離れ
 日本看護協会のまとめでは、03年度の就業助産師数は約2万6000人。助産師資格を持つが、助産師として就労していない潜在助産師も同数の約2万6000人いるとみられている。多くは結婚、出産で退職した助産師だが、05年の推計では病院や診療所内で看護師など助産師以外の役割で働いている潜在助産師も約3800人に上る。
 看護協会は「絶対的助産師不足はないが、地域や医療機関によって不足感がある」として、潜在助産師の積極的な人材活用を主張。潜在助産師を登録制にして、医師や病院側の人材需要とマッチングしやすい制度を導入することや、都道府県ナースセンターでの再就職支援事業の支援などを厚生労働省に訴えている。
 一方、日本産婦人科医会は「若手助産師の即効性がある養成が必要」として、比較的年齢層が高いとみられる潜在助産師よりも、現時点で産科医療に携わる看護師に助産師登用の門戸を開くべきと主張。助産師養成機関の社会人コース拡充などを同省に要望している。【伊藤直孝】

[毎日新聞 ]

投稿者 akiuchi : 04:34 AM

November 17, 2006

安倍内閣メールマガジン(第6号 2006/11/16)

私と同い年の首相誕生ということできたいしたいところだがメルマガを読む限り期待はできそうにないなと感じた。教育基本法についてはまだ良く検討していないが今回の少子化に対する厚労省副大臣の回答を読むと馬鹿いってんじゃないよと一喝してやりたくなった。本当に美しかったこの国はこれからどんな国になるのだろう?

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●質問

 「少子化問題は深刻だと思います。ただ予算を組めばいいというものでは
なく、安心してお産のできる、産婦人科、小児科の病院も医師も不足してい
る。重労働の上に待遇が悪い、全国から患者が押し寄せている」
(女性、50代、主婦、東京都)


●回答 (厚生労働副大臣 石田祝稔)

 貴重なご意見、ありがとうございました。

 我が国の医師は、毎年約3,500~4,000人ずつ増えていますが、
生まれてくる赤ちゃんの数が少子化により減っていることから、産科の医師
の総数は減っています。また、小児科の医師の総数は増えていますが、夜間
や休日に診療を求められるケースが増えるなど、小児医療に対するニーズが
増えているものと考えています。

 私も、地域に産婦人科のお医者さんがいなくなったという声を最近よく聞
くようになりました。また、思い起こせば、私の子供も、夜中に突然足が痛
いと言って泣き出し、小児科を探して深夜車を運転し、やっとの思いで病院
に連れて行き、治療をしてもらったこともありました。子育て中の皆様の不
安なお気持ちは、私もよくわかります。

 国としましては、地域で安心して出産・子育てができるようにするため、
産科の場合には、(1)普段の検診や検査は身近な診療所などで対応し、いざ
お産ということになったら、安心して出産できる体制の整った拠点病院で対
応するといった役割分担を明確にする、(2)正常なお産については、産科医
との連携により安全を確保した上で助産師に積極的に取り組んでいただく、
といった方策を進めることにしています。

 また、小児科の場合には、夜間・休日の診療のすべてについて病院が対応
するのではなく、軽い症状の場合には診療所が当番で対応するなどの取組み
が有効と考えており、限られた医療資源が地域の中で有効に活用されるよう
な方策を進めることが必要と考えています。

 さらに、近年、お産の際の医療事故に関わる訴訟が増えていて、中には刑
事事件に発展するケースもあり、こうしたことで医学生が産科医になること
をためらうケースも出ているとの声が、医療関係者の中から上がっています。
そこで、国としましては、医療事故に関する紛争を訴訟によらずに早期に解
決する仕組みや、お産の際の医療事故に備えた無過失補償の仕組みの確立を、
現在精力的に検討しているところです。

 産科・小児科をはじめ地域に必要な医療を確保していくためには、都道府
県が積極的に取り組むことが重要ですが、国としましても8月末に「新医師
確保総合対策」を取りまとめたところです。これからも、医師の確保に向け
て積極的な対応をして行きたいと考えています。

※ 厚生労働省ホームページ(新医師確保総合対策)
http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/08/tp0831-1.html

※ プロフィール
http://www.kantei.go.jp/jp/abefukudaijin/060927/14isida.html

投稿者 akiuchi : 11:10 AM

November 16, 2006

【お産が変わる?】

産経新聞が興味深い特集を組んでお産の現状に迫ろうとしている。
助産師が日本のお産を救うといったキャンペーンだが本当にお産は助産師任せでいいといえるのだろうか?私には疑問だ。
1.医師と助産婦の溝 “危機”回避へ連携模索
2.過度の集約化…病院遠く 遅れる搬送、増すリスク
3.経験と判断力が課題 求められる助産師の増加
4.地域に助産施設が欲しい 母親たちも動き出す

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【お産が変わる?】(1)医師と助産婦の溝 “危機”回避へ連携模索 産経新聞 2006年10月23日(月)

 産科医不足で、分娩(ぶんべん)場所が激減しています。そんな中、横浜市の産科病院では8月、看護師による無資格診療が問題となり、産科医と助産師が対立するなど、混迷の度合いが深まっています。産科医、助産師、厚生労働省の三者は「助産師の活用」で一致していますが、戦後の分娩体制激変のつけは容易に取り返せそうにありません。選択眼を養うなど、自己防衛も必要な時代といえそうです。
 (北村理)
 「うちでは、医師に頼り切る分娩は限界にきていた。医師らの要請もあり、助産師の活用の仕方を見直そうと思っていた矢先に事件が起きてしまった」
 資格のない看護師らに妊婦の子宮口の開き具合を見るなどの「内診」をさせたとして、保健師助産師看護師法(保助看法)違反容疑で8月末、神奈川県警の家宅捜索を受けた堀病院(横浜市)の堀健一院長はその後、地元医師会でこうもらしたという。
 厚労省の見解では、妊婦への内診などの助産行為は、医師か助産師しかできない。しかし、内診を看護師が行う産科医療機関は少なくない。
 事件後、堀病院や同様の違反があった4つの産科診療所を調査した横浜市医療安全課は、「堀病院には6人の助産師がいたが、分娩より保健指導を担当していた。4つの産科診療所でも、助産師を雇ったものの、結局、辞めてしまったりして、補充できずにいたことが違反の引き金になった」とする。
 助産師が本来の業務である分娩介助を行っていなかったことからは、医師と助産師の連携がうまく取れていなかったことが推測される。
               □     □
 背景には、戦後、米国の指導で、当時98%が助産師による自宅出産だった日本の分娩が不衛生などとされ、医療機関での分娩に大きくシフトしたことがあるようだ=グラフ左。
 これにより、5万人いた助産師が半減し、助産師の多くが看護師としても働ける病院に転じた。代わって、産科医療機関では看護師が分娩補助をしてきた。
 現在は、99%が医療機関での分娩で、日本産婦人科医会(坂元正一会長)は「日本のお産文化は百八十度転換しており、後戻りはできない」という。
 こうした事情を反映し、ここ数年、厚労省が内診に関する見解を示すたびに、医師側と助産師側が激しく対立してきた。
 医師側にすれば、「戦後、分娩環境が激変するなか、長年の慣例でやってきた看護師の分娩補助を一方的に否定され、産科医や助産師不足に拍車がかかったのでは、産科経営はできない」というのが、本音だ。
 対する助産師側は「助産師という独立した制度が法律で保障されているのに、それを侵すのは許されない」。
 お互いの存亡をかけた、いわば“縄張り争い”だけに、「全く解決の糸口がみえていない」(厚労省看護課)状態だ。
               □     □
 現場が混乱している間も、産科医の減少は止まらない。
 日本産科婦人科学会(武谷雄二理事長)によると、登録会員の半数以上が50代以上で、今後10年以内には引退してしまう=グラフ右。
 堀病院のある神奈川県では、同県産科医会の予測によると、今後15年間に、県内の分娩の3分の1にあたる約5000件に対応できなくなるという。
 日本産婦人科医会では「訴訟などでトラブルの多い産科医になりたくないという時代では、産科医の身分を保障し、減少速度をゆるめるほか、数を増やす手だてはない」とさじを投げる。
 現在、年間分娩数は全国で約100万件だが、その半数はいずれ産科医療機関で扱えなくなる可能性があるという。
 同医会は、こうした“危機”回避策として、(1)厚労省が看護師も内診ができるよう、見解を見直すこと(2)医師と適切に連携できる助産師を増やすこと-などを挙げる。
 内診問題はともかく、助産師を増やすことが緊急の課題であることは、助産師側や厚労省とも一致している。助産師が再び脚光をあびれば、お産のあり方が変わる可能性もある。
 しかし、助産師も戦後の衰退から脱せずにいる。
 同医会は「国民自身が病院まかせ、助産師まかせの分娩ではなく、こうした医療の現状を知り、情報を集めて、自分の状態にあった、適切な分娩場所を見つける必要があるだろう」と強調している。
 〈ゆうゆうLife〉
**********
【お産が変わる?】(2)過度の集約化…病院遠く 遅れる搬送、増すリスク産経新聞 2006年10月24日(火)

 お産の場所が急激に減るなか、厚生労働省は分娩(ぶんべん)施設を確保するため、産科医を拠点病院に集める「集約化」を進めています。しかし、産科医の極端な不足で、地方や都心でも自然発生的に過度の集約化が進んでいるのが現状。このままでは、妊婦の選択肢も失われ、お産のリスクも高まると、専門家らは指摘しています。
 (北村理)
 岩手県出身の助産師、佐藤美代子さん(28)は今春から、新婚の夫を地元に残し、東京・国分寺の矢島助産院で研修を重ねている。「助産所がひとつもない」といわれる同県で助産所を開業するためだ。
 佐藤さんは地元で、約5年間、助産師として病院に勤めた。同県では医師不足のため集約化が著しく進み、14あった拠点病院の産科が次々と閉鎖され、現在は9カ所になっている。
 しかも、高速道路網は中西部に偏在し、「冬場は、妊婦が外来の診察に通うのも車で4時間はかかる」という。
 佐藤さんは病院勤務時代、病院に到着した救急車のなかで赤ちゃんが生まれる「車中分娩」を幾度か経験した。集約化の結果、個々の妊婦さんの住まいから病院までの距離が極端に遠くなり、陣痛から出産までに、妊婦の搬送が間に合わないケースが絶えないのだ。
 「こんな状況では子供を産むな、といっているのと同じ。そんな状況に一石を投じたい」と、佐藤さんは言う。
               □     □
 産科医の不足で、厚労省は助産師を増やす施策とともに、産科医を拠点病院に集め、分娩も集約化することで出産場所を確保しようとしている。
 しかし、極端な集約化には疑問の声が相次ぐ。日本産婦人科医会は「絶対的に産科医が不足している現状では、拠点病院の数が限られる。それでは、拠点病院に妊婦さんが過度に集中するし、拠点病院が遠くなれば、搬送体制も維持できなくなる。結果、周辺の診療所閉鎖にも拍車がかかる」と指摘する。
 長野県の上田市産院の廣瀬健副院長も「高次医療機関に産科医を集約させると、病院分娩が過度に進み、それを望まない母子にとっては、著しく選択肢が狭まる」と警告する。小さなクリニックや産院で、気心の知れた医師と助産師にお産を取ってもらいたい妊婦にとっては、行き場がなくなるというわけだ。
 同院は母親の自然分娩と母乳育児を推進し、世界保健機関(WHO)と国連児童基金(ユニセフ)から、同県で唯一「赤ちゃんにやさしい病院(ベビー・フレンドリー・ホスピタル)」に認定された、地域の分娩拠点だ。
 しかし昨夏、同院に医師を派遣している信州大学医学部が、産科医の引き揚げを上田市に通告。反発した地元主婦らが集めた約10万人の署名が奏功し、存続が決まった。
 廣瀬副院長は「欧米でも集約化が進められた結果、診療所が閉鎖したり、分娩の集中で病院では母子へのサービス低下を招いたりし、今は見直しが進められている。極端な集約化は、妊婦さんの安全性を担保することにならない」と指摘する。
 廣瀬副院長によると、英国・ロンドンのある拠点病院(年間分娩数3320件)では、分娩の集中が進んだためか、2002~03年の1年間に帝王切開率が30%(日本15%、厚労省抽出調査)近くにのぼり、結果、7人の妊婦の死亡があったという。
 こうした事態を避けるためには、「正常分娩は地域の産院や助産所に振り分けるなど、分業体制を明確にすることが必要だ」と、廣瀬副院長は強調する。
               □     □
 過度の集約化が進み、搬送体制が十分でないまま、お産の危険性が増しているのは、地方だけではない。
 昨夏、都内のある助産所で、新生児が母体の突発性トラブルから死亡した。助産所では、救命措置をしながら、近くの拠点病院に連絡し、新生児の引き受けと治療を依頼した。
 しかし、医師らが救急車で到着したのは、約1時間も後だった。近くの消防署の救急車が出動中だったほか、連絡した先の拠点病院が消防署に連絡を入れたのは、20分もたってからだったという。
 この助産所のある地域は近年、診療所が減少し、都心の約20カ所の拠点病院に搬送が集中している。この助産所によると、「診療所や助産所からの搬送は、3回のうち2回は、『ベッドがない』と断られる。10カ所目でようやく搬送先が決まることもある」という。
 こうした状況で、一部の産科診療所は「緊急時の受け皿なしでは、お産を扱えない」と、閉鎖を検討し始めたという。過度の“集約化”による診療所の閉鎖と、妊婦さんのリスク増は、既に始まっていると言っていい。
 冒頭の佐藤さんは「地域のお産を支えるため、来年には、岩手県に戻って助産所を開きたい」という。しかし、助産所開業を目指しても、行政の支援があるわけではない。それでも、「でも、妊婦さんのために、帰ってやってみるしかない」と話している。
 【写真説明】
 地元の岩手県に助産所を開業するため、研修を続ける佐藤美代子さん。「地域分娩の切り捨てに一石を投じたい」という=東京・国分寺の矢島助産院
 〈ゆうゆうLife〉
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【お産が変わる?】(3)経験と判断力が課題 求められる助産師の増加 産経新聞 2006年10月25日(水)

 産科医の負担を軽減するために、厚労省は助産師を増やす施策を考えています。都市部では助産所を利用する母親は増えていますが、独立した開業助産所は多くありません。また、戦後の分娩(ぶんべん)環境の激変で助産師自身、分娩経験が減っており、緊急時の判断力が身に付いていないケースがあるのではないかとの指摘もあります。助産師による分娩を軌道に乗せるには、まだまだ、課題が多いようです。
 (北村理)
 「一生で一番、幸せな時でした」。神戸市東灘区の主田(ぬしだ)朋子さん(32)は、助産所での出産をこう振り返る。
 主田さんは、長女の眞子ちゃん(5)を病院で出産。その後、アレルギーに悩んだ朋子さんは「自然な出産にひかれ」、2人目の航大(こうた)君(2)は、自宅近くの助産所で産んだ。
 「病院では、分娩時だけ助産師がついてくれたが、助産所では産前産後を通じて、妊婦が孤独になる時間はない。絶えず助産師さんがついてくれるし、自らの出産・育児経験も話してくれる。こうした何げない作業の積み重ねが、不安を解消してくれた」
 航大君が生まれたとき、へその緒を切ったのは眞子ちゃん。一番泣いたのは朋子さんの母親の惠子さん(58)だった。団塊の世代の惠子さんは第2次ベビーブームで朋子さんを産んでいる。
 惠子さんは「自分の経験は出産といえるようなものではなかった。流れ作業的で、工場の機械みたいな扱いだった」と話したという。
 朋子さんは「家族関係を見直す良い機会になった。母親としての自覚と自信が増した」という。
 日本の助産所分娩は平均1%だが、都市部では2~3%と増加している。
 主田さんが航大君を産んだのは昭和36年開業の毛利助産所(神戸市)。老舗だけに、全国から助産師が研修にくる。阪神大震災で全壊したが再建し、これまで1767人の赤ちゃんを取り上げた。
 院長の毛利種子さん(78)は「出産するのは母親ですから、より良い自然な出産に備え、母体の心身を整えるのを手助けするだけ。母体が安定すると、自然な分娩がスムーズに行われる。自然分娩は苦痛はあっても、産後の強い母性発揮につながる」
 主田さんの場合、玄米食、冷え性対策、骨盤体操などを勧められ、産前産後の体調を整えた。「分娩時の出血もほとんどなかった」という。助産所では、異常がないかぎり内診もしない。
                 □     □
 日本助産師会(近藤潤子会長)はガイドラインで助産師による出産は、正常分娩に限ることを決めている。お産のリスクが高い帝王切開の経験者などは対象外だ。それでも、出産では事前予測ができないトラブルもある。異常に転じたときの分岐点を早期に見極めるためには、助産師の卓越した観察力と母親とのコミュニケーション能力が必要だ。
 産科医不足を受けて、厚労省は看護師への教育機会の拡大や、仕事に就いていない助産師のリクルートなどで、助産師の掘り起こしを始めた。
 しかし、毛利さんは「戦後、国立病院にいたが、助産師はプロ意識を持ち研究熱心で、医師側もそれを認めていた。しかし、その後の分娩環境の変化で、助産師教育の伝承がうまくいってはいない」と指摘する。
                 □     □
 助産師教育を研究している東京慈恵医大の茅島江子教授(母性看護学)によると、助産師による分娩が主流だったころに比べると、現在は「当時の半分以下の教育レベル」だという。
 現在、助産師になるには看護師の教育を経て、助産師の教育を受ける。このため、「各大学では、国が定めている助産師の教育課程を看護系の教育内容と兼ね、教育期間を短縮しているケースが多い」という。
 助産学の教育カリキュラムは昭和26年に実習も合わせ1350時間だったのに対して、平成8年では720時間にまで落ち込んでいる。
 開業助産所の減少で、実習の機会も限られている。資格を取っても、そのまま病院勤務になってしまうケースが多い現状では、実際に分娩を取る経験が少なく、安全か危険かの判断力が育たないとの声もある。
 茅島教授は「毛利さんのように優れた助産師は異常出産、正常出産の見切りが早い。そうした助産師は前線を退きつつあり、技術の伝承が困難になりつつある。助産師の数は増えても、判断力のある助産師をどれだけ育てられるか。課題は多い」と指摘する。
 主田さんは12月にも3人目を出産予定だ。今回は、長女の通う幼稚園児も招待した公開出産を考えている。主田さんは「お産というものはこういうものだということを今のうちから知ってほしい」と話している。
                    ◇
  【写真説明】
 12月には3人目の子供が生まれるという主田さん一家。左から航大君、朋子さん、眞子ちゃん、夫の英之さん
=神戸市東灘区
 〈ゆうゆうLife〉

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【お産が変わる?】(4)地域に助産施設が欲しい 母親たちも動き出す 産経新聞 2006年10月26日(木)

 分娩(ぶんべん)場所の不足を解消するため、助産師の存在が注目されています。これまで、分娩に早めに医療介入をする医師と、自然分娩を志向する助産師の対立はありましたが、医師と助産師が自然分娩でうまく共存する産科医院も出てきました。また、地域でのお産を確保しようと、母親たちも動き出しています。
 (北村理)
 横浜市金沢区にある「池川クリニック」。産婦人科医の池川明さん(52)が経営する医院だが、正常分娩はほとんど、12人の非常勤助産師が担当する。看護師はいない。
 開業は平成元年。当初は、「一般的な産科医と同様、陣痛促進剤などで医療介入をして、無事出産を終えることだけを考えていた。母子にとってのお産の意味なんて考えもしなかった」と、池川さんは言う。
 しかし、ある時期、赤ちゃんは無事生まれたものの、母親の出血などで救急に対応できる医療機関に搬送しなければならない事例がたて続けに起きた。
 当時は、「月に1回はそうした状況だった。自信を喪失して、いっそのこと、自然に任せようと開き直った」。すると、搬送しなければならない事例はパッタリ途絶えたという。
 今でこそ、陣痛促進剤を正常分娩に使う産科診療所は減ったが、池川さんは極力、医療介入をしない分娩にこだわる。
 「自然に任せるということは、母体に不安を与えないこと。しかし、医師1人で長時間かかる自然分娩に付き添うのは限界がある。同じ女性である助産師が常に付き添うことで、妊婦さんの不安は軽減され、より自然な分娩がしやすくなる」
               □     □
 しかし、池川医師が助産師主体の分娩体制を築けたのは、ここ2年のこと。当初は、「募集しても、助産師が来なかった。ナースバンクに問い合わせたら、『(激務の)開業医のところには行きませんよ』とまで言われた」。
 助産師にすれば、分娩方針をめぐって産科医院で医師と対立すれば、辞めざるを得ない。しかも、助産師の少ない産科医院は激務だ。
 それでも、開業助産所の紹介などを受けながら、少しずつ助産師を増やした。今は分娩を任せることで、「やりがいを感じて、助産師が定着した」と話す。
 ただ、池川医師は助産師を確保する経済的な困難さも指摘する。公立病院では、助産師は看護師より月に1万円高いだけだが、病院によっては、分娩1件につき、数万円を支給するケースもある。
 助産所では、常勤助産師1人に年間約600万円前後を支払う所もあるという。個人医院では、勤務がきつくなるためか、「それ以上を求められることが多い」。24時間シフトを組もうとすれば、「最低5人は助産師が必要だから、年3000万円の人件費を覚悟しないといけない」。負担は分娩料金に跳ね返り、50万円以上になる。一般的な産科医院での分娩費用よりも10万円前後高い。
 池川さんは「助産師が復権を求めるなら、職責や待遇の水準を明確にすべきだ。でないと、世間に正しく認知されず、医師との対立も解消されない」と指摘する。
               □     □
 「自らアピールすることで、欧米の助産師は正常分娩に関しては医師とほぼ同等の権利を勝ち取ってきた」というのは、加納尚美・茨城県立医療大学助教授(看護学)だ。
 日本に病院分娩を導入させた米国は1973年、助産師団体が医師会とともに共同声明を出し、自然分娩を支える助産師業務の重要性と安全性をアピール。結果、63年にわずか275人だった助産師が現在、8000人に、分娩数は75年の約2万件が96年には23万件に増加した。
 北米や西欧、オーストラリア、ニュージーランドでは現在、正常分娩は助産師が扱う。「欧米では、地域でのお産を確保するために、助産師が『バースセンター』を運営するケースが増えている」(加納助教授)
 日本でも、産科が閉鎖された地域で、主婦らが地元自治体に働きかけ、「バースセンター」を建設しようという試みが始まっている。
 長野県松川町では、地域のお産を支えてきた下伊那赤十字病院で分娩を休止した。このため、地域の主婦らが、現在は看護の仕事をしている9人の助産師と、近隣の産科医と連携し、バースセンターを作ろうと計画している。年間250から300件の分娩に対応し、産後ケアや母乳指導なども行う、地域に開かれた“助産施設”構想だ。
 この運動を進める主婦、松村道子さん(34)は「周辺住民の多くは、赤十字病院で生まれた。そこでお産ができなくなれば、子供を産まなくなるなど、地域の生活そのものが変化を強いられる。地域のお産は地域で支えたい」と話している。
 【写真説明】
 助産師の井上律子さん(中央)の妊婦健診を見守る池川医師(右)=横浜市金沢区の池川クリニック
 〈ゆうゆうLife〉

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投稿者 akiuchi : 07:28 PM

胎児治療

読売新聞の「医療ルネッサンス」はいつも興味深い最新医学の情報を紹介している。今回は胎児治療の特集だ。
1.双胎間輸血症候群のレーザー治療
2.洞不全症候群(単房心)胎児不整脈薬物療法
3.無心体双胎(カラードップラー超音波検査)
4.胎児胸水シャント術
5.胎児腫瘍、子宮外で開胸手術

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[医療ルネサンス]胎児治療(1)胎盤正常化し双子出産(連載) 読売新聞 2006年11月6日(月)

 ◇通算3978回
 おっぱいを飲む時には妹を手招きして一緒に飲もうと誘う心優しい長女、桜ちゃん(1)、積み木を投げたり、元気に走ったりとやんちゃな二女の怜(れい)ちゃん(1)。この双子姉妹は、胎児のうちに病気を治す「胎児治療」のおかげで生を受けることができた。
 東京都の梅宮聡さん(40)の妻、真理さん(37)は2004年10月に妊娠し、翌月に一卵性の双子と分かった。
 真理さんは「にぎやかな家庭にあこがれていたので喜びも2倍。胸がジーンときた」とうれし涙を流した。しかし、翌年1月中旬、都内の病院で妊婦健診を受けた時に状況は一変した。
 「双胎間輸血症候群という病気です。このまま放っておくと、赤ちゃんは死んでしまうかもしれない」。医師の言葉に夫妻は言葉を失った。
 双子は、一つまたは二つの胎盤を持って、酸素や栄養を母体とやり取りしている。この症候群では2人が一つの胎盤を共有し、胎盤表面または内部で双子の血管がつながり、一人の胎児から、もう一人の胎児へ血液が流れ込んでしまう。
 血液を送る胎児は貧血や腎不全などに陥り、血液を受け取る胎児は心臓への負担が大きくなり、心不全を起こすことがある。出産3000件に1回、一卵性の双子の10~15%に起こるとされる。7割以上で2児ともに胎児死亡となり、生まれても脳障害などが残ることがある。
 告知を受けた真理さんは病院の片隅で泣いた。すぐに胎児治療に力を入れる国立成育医療センター(東京都世田谷区)に転院した。
 胎児治療は、胎児の死産や生後の障害を防ぐために、胎児や胎盤などの病気を治す治療だ。同センターは特殊診療部長の千葉敏雄さん、周産期診療部長の北川道弘さんらが専門チームを作って対応している。
 双胎間輸血症候群では、母親の腹部に、子宮内を見る内視鏡とレーザー装置が一体化した、直径約3ミリの器具を入れ、胎盤上でつながった血管にレーザーを照射して血流を断つ。同センターは、この治療を2003年春から始め、現在までに約60件実施。半数は2児共に元気で、2児共に亡くなったのは1割以下だ。
 真理さんは昨年1月中旬、1時間ほどの治療を受け、無事成功。妊娠9か月目の5月末に出産。双子は「パパ、ママ」とおしゃべりし、障害はない。「2人の親になれて本当に良かった。生まれてきてくれてありがとうと言いたい」と夫婦は喜ぶ。
 日本では始まったばかりの胎児治療。確実に小さな命を救っている。

 〈胎児治療〉
 欧米で1960年代、胎児に輸血されたのが最初。80年代から尿道が詰まる閉塞(へいそく)性尿路疾患など様々な病気で行われるようになった。日本でも90年代ころから試みられた。双胎間輸血症候群に対するレーザー治療は、2002年7月の聖隷浜松病院(静岡県浜松市)の1例目以来、約170件行われている。

 写真=胎児治療で元気に生まれた桜ちゃん(右)と怜ちゃんを見守る両親(東京都墨田区の自宅で)

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[医療ルネサンス]胎児治療(2)母体に投薬、不整脈改善(連載)読売新聞 2006年11月7日(火)

 ◇通算3978回
 「産むかどうか、ご夫婦でよく話し合って下さい。産むと決断されたならば、全力で治療します」
 1999年2月、神奈川県立こども医療センター(横浜市)周産期医療部の医師らに、こう言われ、横浜市の自営業、森谷(もりや)喜道(よしみち)さん(37)、早苗さん(41)夫妻の気持ちは固まった。「せっかく宿った命。絶対に助ける」
 近所の産科医院で胎児の心拍の異常を指摘され、同センターでの精密検査の結果、心臓の拍動を起こさせる洞結節という部位の異常で、脈が遅くなる不整脈を起こす「洞不全症候群」と分かった。大人ならペースメーカー埋め込みの対象になる病気だ。
 そのほかにも、左右の心房に仕切りがない「単心房」という心臓の形態異常もあり、生まれても重大な障害を負う危険があった。しかし夫妻は「今から治療を始めれば、元気に育つ可能性もある」という医師の言葉に懸けた。
 周産期医療部新生児科の医師、川滝元良(かわたきもとよし)さんは慎重に経過を観察した。胎児の心拍数は通常、1分間に140~150あるが、妊娠7か月の時には半分以下の60台に低下した。
 「このままでは赤ちゃんが心不全を起こし、胎内で亡くなってしまう」と判断した川滝さんは、薬で脈を速くする胎児治療を行うことにした。
 母体に投与された薬の一部は胎盤を通過して胎児に届く。子宮の収縮を防ぐ切迫流産・早産治療薬として広く使われている塩酸リトドリン(商品名ウテメリンなど)が投与された。
 この薬は、脈を速くする作用があり、母体と胎児への一石二鳥の効果がある。胎児の心拍数は80台に改善し、心臓機能を保てるようになった。翌月、赤ちゃんは生まれるとすぐに心臓の拍動を促す電気刺激を与える治療を受け、生後6日に心臓ペースメーカーを埋め込んだ。
 ペースメーカーは生涯必要で、1歳半の時には、単心房を治す手術も受けた。今は小学1年生となった直美ちゃん。元気に通学し、先月の運動会では50メートル走で5人中3位になった。
 早苗さんは「胎児治療のおかげで娘がここにいる。病気を乗り越えて優しい子に育ってほしい」と話す。
 胎児の薬物治療は、不整脈のほか、副腎や血液の病気でも行われる。投与方法は母親が薬を服用したり、点滴をうけたりする形のほか、貧血などに対し、へその緒から輸血する方法なども行われ、少しずつ広がっている。

 ◇「血管の病気」ネットで動画など特集
 インターネットのヨミウリ・オンライン (http://www.yomiuri.co.jp/)では7日から、「医療ルネサンス 血管の病気」の画像による解説を公開します。ステントを使った最新治療法をアニメーションで解説、頸動脈狭窄(けいどうみゃくきょうさく)を克服した作曲家の服部克久さんら患者3人の、インタビュー音声付き写真も掲載しています。

 写真=薬による胎児治療を受けて元気になった森谷直美さん(左から2人目)を見守る川滝医師(左端)と両親(神奈川県立こども医療センターで)

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[医療ルネサンス]胎児治療(3)超音波検査で早期発見(連載)読売新聞 2006年11月8日(水)

 ◇通算3980回
 「赤ちゃん、見えますよ」。超音波診断装置で、子宮内のわが子の姿と対面する。今の産婦人科では必ず行われる検査で、これで胎児の発育がわかる。超音波検査の用途は広く、表面を見るだけではなく、心臓の検査などに使うカラードップラー超音波検査では、胎児の血流の状態を調べることもできる。
 東北地方のA子さん(22)の赤ちゃんは、この検査で命が救われた。
 双子を身ごもったA子さんは、妊娠5か月目の今年5月下旬、妊婦健診で胎児の1人の死亡がわかった。精密な検査を受けると、「無心体双胎(むしんたいそうたい)」という珍しい病気だった。
 一卵性の双子の血管は胎盤の中でつながっていることがある。通常、胎児の1人が何らかの理由で亡くなれば死亡胎児の血流は止まる。ところが、健康な胎児から死亡胎児に血液が流れ込み、すでに亡くなっているのに、体が大きくなることがある。これが「無心体双胎」だ。
 健康な胎児は、2人分の体に血液を送ろうとし、心臓に過剰な負担がかかるため、心不全を起こす。治療をしないと健康な胎児の方も5~7割が亡くなる。
 全国で年間30例ほどと推定される珍しい病気。それを早期に発見できたのはカラードップラー超音波検査を受けたからだ。
 母子は岩手医大病院(盛岡市)に送られ、6月初めに産婦人科講師の室月(むろつき)淳さんの胎児治療を受けた。
 全身麻酔を受けたA子さんのおなかに高周波のラジオ波を出す針を刺し、亡くなった胎児の血管にラジオ波をあてて血流を止める。治療は約30分。カラードップラー超音波診断装置で血流を見定めながら行われた。
 A子さんは先月3日、3620グラムの男の子を産んだ。「おっぱいを力強く吸い、とても元気。障害はなさそうで、このまま、すくすくと成長してほしい」と話す。
 近年、3次元で立体的に映し出す新しいタイプの超音波診断装置を備える医療機関も増えている。子宮内の赤ちゃんの顔を鮮明に映し出すことができるだけではない。頭の内部や心臓などを様々な断面で切って見ることが可能なので、頭に水がたまる水頭症や先天性心疾患などを正確に診断できるようになった。
 室月さんは「高度な検査技術の広がりや、妊婦健診を行う診療所と治療を行う病院の連携により、胎児の命が救われるようになった」と話している。

 〈カラードップラー超音波検査〉
 心臓弁の異常による血液の逆流など心臓病を調べるために循環器科で普及していたものだが、3次元超音波検査と並び、今では胎児治療に欠かせない検査となった。母子ともに負担がほとんどなく、総合病院の産婦人科などで導入されている。

 写真=3次元超音波検査で胎児の様子をチェックする室月淳さん(盛岡市の岩手医大病院で)
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[医療ルネサンス]胎児治療(4)胸水を排出、生存率向上(連載)読売新聞 2006年11月9日(木)

 ◇通算3981
 1996年春、妊娠7か月の赤ちゃんを診察した福岡市の九州大病院周産母子センター講師の月森清巳(きよみ)さん(46)の表情は急に険しくなった。
 胎児の胸腔(きょうくう)にたまった胸水が、肺や心臓を圧迫する「胎児胸水」。しかも、このため肺の成長が不十分だった。
 「このままでは、心不全を起こして亡くなる危険性がある」
 妊婦健診の超音波検査で見つかり、全国で年間600人以上生まれるとされるが、原因がわからないものも多い。この母親(29)も、自宅近くの産科医院で異常を指摘され、月森さんを紹介された。
 月森さんはこれまで、胎児胸水で亡くなった胎児を何人も見てきた。せっかく生まれても脳への血流不足から発達障害が現れることもあった。
 「なんとか、元気に産ませてあげたい」
 すぐに、直径2ミリほどの針を母親のおなかに刺し、胎児の胸水を吸引する治療を行った。
 しかし、1、2日後には再びたまってしまう。何度か吸引を繰り返したが、効果は薄い。月森さんは「このままでは命を救えない」と判断。胎児胸水とわかって2週間後、新しい胎児治療に踏み切った。
 胎児の胸に、直径約2ミリ、長さ約4センチほどの特殊な管を刺し入れて留置し、胸水を子宮内の羊水へと排出させるシャント(短絡)術だ。
 超音波画像で胎児の状況を見ながら、母親の腹部から専用の針を刺し、その先端に取り付けたシャント器具を胎児の胸にセットする。治療時間は約30分。赤ちゃんは治療後、胸水が減り、妊娠8か月目に生まれた。管は出産直後に抜く。
 この赤ちゃんは今、小学4年生となり、発達障害もなく、元気に学校に通っている。
 胎児胸水を治療しないと生存率は20%ほどで、生まれても発達障害が半数に残るとされる。月森さんらが一昨年までにシャント術や胸水の吸引治療を行った胎児では、生存率は44%に上がり、知能は7割で正常だった。
 月森さんは「このシャント術は救命だけでなく、生まれた後の障害を減らす効果もある」と意義を語る。
 胎児へのシャント術は、尿道が生まれつき詰まっているため腎機能が悪化する閉塞(へいそく)性尿路疾患などで、尿を膀胱(ぼうこう)から羊水へ排出する治療でも行われている。
 まだ治療実績が少ない胎児治療は保険で認められていない。より安全かつ有効な手法を確立して保険医療へつなげる努力が医療者に求められる。

 〈シャント術〉
 胎児胸水などシャント術は、国立循環器病センター(大阪府吹田市)、国立成育医療センター(東京都世田谷区)などでは、医療費に一部保険が使える先進医療制度に認められている。治療自体は、周産期医療の専門施設や大学病院の一部で行われている。

 図=胎児胸水を治すシャント術

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[医療ルネサンス]胎児治療(5)国内初、子宮外で開胸手術(連載) 読売新聞 2006年11月10日(金)

 ◇通算3982回
 「七海(ななみ)」と名前を決めたのは、胎児の性別が女の子と分かった妊娠5か月ころだ。埼玉県のC子さん(29)夫妻は七つの海を越えて自由に飛び回るような子に育てとの願いを込めた。
 その1か月半後の2003年6月初め。七海ちゃんのおなかに水がたまる異常が見つかり、県内の病院で精密検査を受けた。
 「赤ちゃんが元気に生まれる確率は1、2%しかない難しい病気です」。医師に宣告され、大きな衝撃を受けた。
 胸の半分を占める大きな腫瘍(しゅよう)ができて心臓や肺を圧迫し、心不全を起こすなど危険な状態にあった。胎児治療に取り組む国立成育医療センター(東京都世田谷区)を紹介され、すぐに転院した。
 診察した特殊診療部長の千葉敏雄さんは病状の重さに青ざめた。このままではほぼ100%亡くなるが、経過をみるか。それとも、すぐに出産させ、未熟児を治療するか。しかし、この方法も、心不全や脳内出血の危険性があり、救命できるか分からない。
 そして最後の方法は胎児治療だ。母親の下腹部を縦に切って子宮を開き、胎児の左上半身だけ露出させて胸を切開。腫瘍を取り除き、胸を縫合した後に再び胎児を子宮に戻し、発育させてから出産させる。
 米国では、この方法により50~60%の確率で胎児が無事に生まれているが、日本では1例も経験がない。
 千葉さんが、すべての選択肢を示したところ、C子さんは「命が助かる可能性が少しでもあるなら、胎児治療を受けさせたい」と申し出て、院内の倫理委員会からも了承を得た。
 C子さんは6月下旬、手術を受けた。胎児を開胸する本格的な胎児手術は国内初。手術自体は40分ほどで終わった。しかし、手術翌日、心臓機能が悪くなり、帝王切開で出産。その翌日、亡くなった。既に心不全が進んでいたのが原因だ。
 C子さんは「七海は1日しか体外で生きられなかったけど、出産後に抱くことができたので悔いはない。もっと胎児治療が進歩して、赤ちゃんの命を救ってほしい」と話す。
 日本の胎児治療は、まだ試行錯誤の段階だ。胎児を子宮外に出して行う手術は、この後も行われていない。一方、欧米では、七海ちゃんのような胎児腫瘍の手術が広く行われている。
 胎児治療は先天的な重い病気を根本的に治す治療法として期待は大きい。日本も研究に力を入れる必要がある。(坂上博)
 (次は「病院の実力 子宮・卵巣がん」です)

 〈現状と将来〉
 日本では2004年11月、産科医や小児外科医らが集まり、日本胎児治療学会(http://fetus.umin.jp/)を設立した。米国のNIH(国立衛生研究所)は、「胎児治療は2020年までに日常診療になる」と予測している。

 写真=胎児治療を行う専用の治療室を設置する病院も増えている(福岡市の九州大病院で)



投稿者 akiuchi : 07:03 PM

トリビア

代理祖母(?)出産が先日ニュースで流れたがあるサイトにお産に関するトリビアとして以下の2つが掲載されていた。一つ目はひとりの女性が生涯で何人のこどもを産めるのかというもの。ねずみじゃあるまいし69人の子供を産むなんてことが本当にあるのだろうか?2つ目は昔から助産師さんは偉かったというはなし。これは今も昔も変わらない。
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トリビア1
記録によると、19世紀のロシアの女性が27回の妊娠で四つ子を4回、三つ子を7回、双子を16回を含む69人を産んでいる。その夫、ワシリイさんはその奥さんが亡くなるとすぐに再婚、さらに18人産ませた。これが男性が産ませた世界記録となっている。

※69人……。世の中広いですね。ちなみに1回の出産で生まれた赤ちゃんの数の記録は七つ子で、サウジアラビアの女性(1998年1月)と米国の女性(1997年11月)が『Guinness Book』に載っています。

トリビア2
大名行列は百万石の大名加賀藩では、多い時で行列の人数が4000人、5km近くの長さになった。農民や町人が大名行列を横切ることは御法度とされていたものの、助産婦(当時は「取上婆」や「子安婆」と呼ばれた)には横断する権利を許していた。それは人命に関わる緊急を要する職業であることを幕府が認めていたからであった。

※農民や町人が土下座する必要があった大名行列は将軍の行列と御三家のもののみで、それ以外の大名は道をあけるだけで良かったそうです。 このために、「下に、下に」と先触れをしたのは将軍と御三家で、それ以外の大名は「片寄れ、片寄れ」だったそうです。


投稿者 akiuchi : 09:09 AM

「お産で死亡」調査 厚労省と学会 原因探り改善策

"同様の調査は平成3、4年に亡くなった妊産婦について行われたが、このときは亡くなった妊産婦の37%が「救命できた可能性があった」との結果が出ており、「医療システムに一因がある」とされた。しかし、具体的な対策がとられないまま現在にいたっている。"(悪名高き長屋論文のことをさしている。)このデータをもとに日本の診療所は危険なお産をやっているので大病院へ集約化しなければならないと今の時代に結論付けている。今回のデータがどのような結論を出すのか注目したい。
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「お産で死亡」調査 厚労省と学会 原因探り改善策 - 産経新聞 2006年10月14日(土)


 かつては命がけといわれたお産。今では出産で命を落とす人は少なくなったが、それでも年に60~70人が死亡している。「なぜお産で死んだのか」を、出産を担当した医師や医療機関でなく第三者の目で検討する研究に、厚生労働省と日本産科婦人科学会周産期委員会の合同研究班(主任研究者、池田智明・国立循環器病センター部長)が乗り出した。死亡に直接結びついたと考えられる原因を確定し、データベース化を図るなどして周産期医療の向上に結びつける。
 調査は平成16、17年の妊産婦死亡が対象。産婦人科医からなる調査委員が妊産婦が死亡した医療機関に出向いて調査票に記入してもらい、面接も併せて実施。得られた情報をもとに、愛育病院の中林正雄院長ら4人のベテラン産婦人科医が症例を検討する。調査への協力が得られない場合は、医療機関や遺族に理由をたずね、これについても意見をまとめる。
 日本の妊産婦死亡率は10万人当たり6人前後と以前に比べ低くなってきているが、ヨーロッパの3~4人に比べるとまだ高い。また、日本の周産期死亡率(死産率と早期新生児死亡率を加えたもの)は世界でも群を抜いて低いことと考え合わせると、母親の命を救う対策の遅れが指摘されている。
 同様の調査は平成3、4年に亡くなった妊産婦について行われたが、このときは亡くなった妊産婦の37%が「救命できた可能性があった」との結果が出ており、「医療システムに一因がある」とされた。しかし、具体的な対策がとられないまま現在にいたっている。
 今回は得られた結果をもとにデータベースを作成。妊産婦死亡に対する「第三者評価機構」の設立も念頭においている。
 出産による女性の死亡は医療への不信を高めており、医療側に落ち度がないとみられる場合でも1割の遺族が訴訟を起こしている。周産期医療が最も進んでいるとされる英国では、妊産婦死亡はすべて保健所長に届け出ることになっており、第三者が死亡原因を調べて再発防止につなげる体制が整っているという。
 池田部長は「少子化で出産への期待が高まっているが、出産する女性の命を守る対策はまだ不十分。一人でも妊産婦の死を減らせるよう問題点を探り、早急に改善策を立てたい」と話している。

[産経新聞 ]

投稿者 akiuchi : 07:42 AM

闘論:「孫」を代理出産 根津八紘氏

長野の根津先生が「孫」の代理出産をさせたという記事を保存しておくことにする。善悪はともかく根津先生のひたむきな姿勢には敬服する。
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「孫」代理出産、専門家の反応さまざま

 ■「家族の幸せ」優先を 医師、独断実施は問題
 長野県の「諏訪マタニティークリニック」(長野県下諏訪町)の根津八紘(やひろ)院長が15日、明らかにした「母親が娘に代わって孫を産む代理出産」。「医師個人の判断での実施は問題」との反対論や「子を持つことは家族の幸せ」という賛成論、「実施基準を明確に」とルール作りを求める声など各界の専門家の反応はさまざま。進歩する生殖補助医療に関する国民的議論が高まりそうだ。
 森崇英・京都大名誉教授(生殖医学)は「生殖補助医療問題は必ず『社会的コンセンサスがない』との議論になるが、子供が持てない夫婦の問題については、社会は解決できない。代理出産を禁止したら、家族は子供ができなくて一生不幸を背負う。社会にはこうした家族の問題を決める権利があるのか」と指摘、家族の幸せを優先すべきだと話す。
 不妊治療に長年取り組んできた飯塚理八・慶応大名誉教授(産婦人科学)は「医療技術の進歩と現行法が合わなくなっている。子供をどうしても欲しいと思う患者に頼まれたら、それに応じるのが医師」と断言。まずは学会が代理出産実施に向けたルールづくりを進めるべきだとする。
 「金銭のやり取りの可能性もある。(代理出産については)司法が絡んだチェック機関をつくって判断すべきだ」というのは生命倫理に詳しい米本昌平・科学技術文明研究所長。
 先進国では禁止論が主流になっているという。米本所長は「代理出産は原則として禁止し、例外的に認めるケースについて社会が受け入れられるルールづくりが必要」と強調する。
 漫画家、さかもと未明さんは「子供が欲しいというのは、女性としては分かる」としながらも、「生殖補助医療の問題が起こったとき、手放しで『よかった』と言えないのは、科学が生命に対する尊厳に踏み込んでいることを感じているからではないか」と、生殖補助医療に対する違和感を語った。
 漫画家、弘兼憲史さんは「医師の独断で実施したことは問題だが、代理出産自体は個人的には反対ではない。子供を持つことができた両親はハッピーなのだから」と議論の難しさを指摘した。
 日本産科婦人科学会の荒木勤監事(日本医大学長)は「学会は代理出産を禁止しており、事実関係を確認しなければならない。時代とともに社会の考え方も変わってくる。学会の指針も見直す必要性が出てくるかもしれず向井亜紀さんのケースの最高裁判断に注目している。国が責任を持って法整備などを進めてほしい」。
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 ■根津院長の一問一答「学会で決めたこと 絶対ではない」
 根津八紘院長の記者会見の要旨は以下の通り
 --出産を決めるまでの説明は
 「代理母の夫妻と女性夫妻の4人に3、4回にわたって出産の危険性などを伝えた。致命的なことが起こりうるとも説明した。代理母は『自分は人生を十分に生きてきた。娘のために命を懸けても』と言っていた。(相談から)2、3カ月で実施したと思う」
 --生まれた子が出生の事実を知ったら
 「(30代の)女性には『おばあちゃんのおかげで生まれた』と、子供にその意味がわからない段階でも説明するよう言っているし、両親も了解している。最後は親子の関係で決まる」
 --日本産科婦人科学会は代理出産を否定している
 「学会で決めたことは絶対ではない。学会を離れても医療行為をやっていける。行動しないと変わらない」
 --自分の子供を自分の母親が産む違和感は
 「既成概念から考えれば奇異なことだが、出産をどう捕らえるかだ。子供を産みたい娘の気持ちを親の協力で解決できる。むしろ今後、実の母親による代理出産が定着し『親が子供の子を産まないのは愛がないこと』というような話にならないか心配だ」
 --第三者による代理出産は
 「姉妹間でも意見の食い違いで、関係がぎくしゃくした例がある。他人はさらに難しい。母子にはこうした問題がない」

[産経新聞 ]

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闘論:「孫」を代理出産 根津八紘氏/柘植あづみ氏 - 毎日新聞 2006年10月30日(月)

 長野県の根津八紘医師が公表した、祖母が「代理母」となって孫を出産したケースが論議を呼んでいる。代理出産は最先端の医療技術なのか、生命倫理にふれる危うさを持った治療行為なのか。社会の価値観、個々の人生観なども絡む代理出産問題について、根津医師と生殖医療に詳しい研究者に聞いた。(題字は書家・貞政少登氏)
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 ◇尊い自己犠牲を支援 社会へ問題提起した--産婦人科医・根津八紘氏
 「目の前で困っている人がいたら助けてあげる」というのが、人間社会の基本的なルールで、私が医師になった理由でもある。代理出産を選択する人は、当事者同士でみな真剣に話し合い、決めて病院にやってくる。私が勧めることはない。今回も、母親が「子宮がなくなった娘の代わりに産んであげる」という尊い願いを持ち、その実現を私が手助けしたということだ。
 私は「アウトロー」と言われてきたが、法律は守っている。代理出産を禁じる日本産科婦人科学会の会告(学会規則)は単なる取り決めで、法律ではない。それも産婦人科医だけで決めたもので、患者のニーズなどをとらえ切れていない。
 今回の代理出産では祖母が孫を産んだ形になった。「倫理的に問題がある」という指摘もあるが、社会の中の取り決めとか倫理観というものは、時代によっても変わる。人間社会において、一番大切なのは「相互扶助の精神」だと思う。
 私の病院に来た不妊患者の8割は、本格的な治療を受けずに帰ってもらっている。産むことが目的となってしまい、育てることを忘れているような人もいるからで、そういう人には説得し、あきらめてもらう。
 ただ、私のところに来る患者さんは、最後の望みを託してくる。「ここなら何とかしてくれるのではないか」と。そういう人に「手立てはあるが、学会では禁止されているから、ダメです」とは言えない。最先端の治療で救えるなら、「何とかしてあげたい」という気持ちで、最善を尽くすのが医師の役目だ。
 私は、問題を提起し、社会的合意を得て、世の中をよりよく変えていこうと思っている。1年以上前の代理出産を公表したのは、(代理出産で双子を得たタレントの)向井亜紀さんを応援したいと思ったからだ。今回の患者さんからも「後に続く人たちのために役立ててもらいたい」と、公表を承諾してもらった。支持が得られなければ医師を辞めようと思ったが、幸い、好意的な反応が多いと思う。
 代理出産は命がけの試みで、尊い自己犠牲に基づくものだ。悪用を罰する法律は作ってほしいが、代理出産そのものは認めてほしい。産める人が、産めない人に手を差し伸べることができる体制を作ってほしい。【構成・池乗有衣】
 ◇不妊女性、追い詰める 医療だけでは救えぬ--明治学院大教授・柘植あづみ氏
 まず、不妊の悩みの本質を知ってほしい。彼女たちは、産めないことだけを悩んでいるのではない。
 初対面の人に「お子さんは何人?」と聞かれることが怖くて、外出できなくなった女性がいる。「子ができない自分は価値のない人間」と傷つき、追い詰められている。不妊は医療技術だけで解決できる問題ではなく、社会全体の問題だ。
 だから、根津医師の「代理出産は不妊で苦しむ人を助ける解決策」という言葉に疑問がある。依頼した女性は「産めない女性」というらく印が押されたままだ。やっと子どもができても、「一人っ子ではかわいそう」という新たなプレッシャーを周囲から受ける。不妊女性向けに講演した時、子どもを5人持つ女性が「私も不妊女性の気持ちが分かる」と言った。日本では子どもは1人か2人が普通で、それ以上でも以下でも、好奇の目にさらされる。
 最近の代理出産をめぐる論議が、「お母さんや姉妹に産んでもらえばいい」などと、子どもがいるべきだとの風潮を強めるのではないかと心配している。代理出産を少子化と結びつけるのも疑問だ。不妊女性は「国のために産みたい」と考えているわけではない。
 日本では、子どもに障害があっても、事故にあっても、母親の責任にされがちだ。生体臓器移植も母から子への提供が期待される。娘が出産できない責任まで、母に負わせるのか。母への代理出産の依頼は「断れない状況」を生みやすい。
 商業的代理出産がされている米国では最近、問題が表面化していないようにみえる。だが実際は、出産する女性に保険をかけ、そのパートナーを含め徹底したカウンセリングをする。依頼者、出産者とも弁護士がつく。それだけ問題が生じやすいということを示している。また、代理出産を請け負う女性は貧しい人や移民が中心で、経済格差を利用した制度ともいえる。
 「子どもがいない人」の存在を認め、「子どもがいないと不幸」との価値観を押し付けない社会へと変えていくことが先だと思う。娘から不妊の相談を受けたお母さんたちは、「子どもがいなくても、あなたはかけがえのない存在よ」と娘に言ってほしい。代理出産をしなくても、その励ましこそ、子どもへの愛だから。【構成・永山悦子】
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 ■人物略歴
 ◇ねつ・やひろ
 信州大医卒。同大医学部助手を経て、76年に「諏訪マタニティークリニック」開業。64歳。
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 ■人物略歴
 ◇つげ・あづみ
 お茶の水女子大大学院博士課程修了。03年から現職。医療人類学専攻。46歳。

[毎日新聞 ]

投稿者 akiuchi : 07:28 AM

November 15, 2006

「医療ミスで障害」 賠償1億円求め提訴 川口の男児両親

こういう不幸な出来事に対して産科医が訴えられるという状況が続く限り周産期医療の崩壊は喰い止められないだろうと思う。早く無過失保証制度が機能して障害を持った子供や家族を社会が支えていくような体制にならなければならないと思う。

「医療ミスで障害」 賠償1億円求め提訴 川口の男児両親=埼玉 - 読売新聞 2006年11月14日(火)

 川口市内の産婦人科医院で出産した男児が脳に障害を負ったのは、出産時の不手際が原因だったとして、男児の両親(川口市)が同医院を相手取り、1億円の損害賠償を求める訴訟をさいたま地裁に起こしたことが13日、わかった。
 訴状によると、母親(28)は2004年5月30日午前、陣痛が始まって同医院に入院。同日午後10時半ごろ、帝王切開で男児を出産したが、男児は呼吸障害などがあり、仮死状態だったため、別の病院に転院した。いったんは退院したが、脳に損傷が認められ、現在も障害が残っているという。
 原告側は、〈1〉分娩(ぶんべん)の際、胎児の心拍を確認する義務があったが怠った〈2〉早期に帝王切開に踏み切るべきだった--などとして、医院側の過失で男児に障害が生じたと主張している。同医院は「責任者がおらず、コメントできない」としている。

[読売新聞 ]

投稿者 akiuchi : 11:41 AM

November 13, 2006

どうする日本のお産(東京大会)

私の良く知っている産科医も熱心に取り組んでいるので参加させてもらおうと思う。年の暮れの慌しい日曜日になりそうだ。
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http://do-osan.socoda.net/?tokyo

どうするファイナル 東京ディスカッション大会
ファイナルディスカッショのテーマは【産】【消】【協】【動】です
マスメディアで撮影をご検討いただいている皆様
開催概要
【日時】2006年12月17日(日) 10時開場 10:30~16:00頃
【会場】男女平等参画センター リーブラ
【インフォメーション】
申し込み
東京 2006年12月17日(日)申込
チラシ
どうするファイナル 東京ディスカッション大会
全国的に広がる産科医院の閉鎖、産科医・助産師不足。産む場所がみつからない、お産を支えてくれる人がみつからない・・・・
この深刻な状況を一刻も早く何とかしたい。
何が問題なのでしょう?誰が何をしていくべきでしょう?医療者も一般の人も、学生さんも行政の人も、みんなの声が必要です。
いのちが生まれ育つ環境について、みんなの知恵を寄せ集めませんか。
私たちは、今年一年かけて全国8ヶ所で様々な立場の人が集い、ディスカッションをするリレー企画を展開してきました。

各会場スケジュール(終了大会も含む)
   5/14横浜、6/4仙台、6/25埼玉、7/16京都、8/27札幌、10/1長野、10/22愛知、11/11高知
共通テーマ「女性と赤ちゃんが安全で安心してお産するためには、誰が何をしますか?」

ファイナルディスカッショのテーマは【産】【消】【協】【動】です
【産】・・・産む場所が
【消】・・・消えそうだから
【協】・・・協力して
【動】・・・動きましょう
マスメディアで撮影をご検討いただいている皆様
今回会場の利用規約により、事前に申請及び許可が必要となっております。 撮影をご検討していただいている場合は大変お手数ですが、11月24日(火)までに

代表メール do-osan.tokyo@socoda.net

にメールにてお問い合わせください。後日、担当者からご連絡させていただきます。

開催概要
【日時】2006年12月17日(日) 10時開場 10:30~16:00頃
【会場】男女平等参画センター リーブラ
http://www.city.minato.tokyo.jp/sisetu/danzyo/index.html

JR山手線・京浜東北線田町駅徒歩2分
地図

投稿者 akiuchi : 04:36 AM

November 12, 2006

豊橋の無資格助産行為事件 院長・看護師ら起訴猶予

内診問題に関して名古屋地検が「3人には、違法だという明確な認識がなく、健康被害の危険性も認められない」として起訴猶予と判断したのは当然だと思う。横浜の堀病院事件でも同様の判断が出るか注目したい。
11月14日に医会から「起訴猶予ではなくて不起訴とすべきだ」という声明が出されたので追加しておくことにする。時既に遅しという気がしないでもないがそれにしても本部の反応が悪すぎる

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豊橋の無資格助産行為事件 院長・看護師ら起訴猶予/名古屋地検支部 - 読売新聞 (425文字)
 2006年11月11日(土)

 愛知県豊橋市の「竹内産婦人科」で、助産行為を禁止されている看護師らが妊婦の内診などをしていた事件で、保健師助産師看護師法違反(助産師業務の制限)の疑いで書類送検されていた同医院の竹内稔弘院長(67)と、看護師(26)ら計3人について、名古屋地検豊橋支部は10日、起訴猶予にした。
 同地検は「3人には、違法だという明確な認識がなく、健康被害の危険性も認められない」としている。
 院長は2003年11月21日~22日、同県豊川市の菊池美咲さん(29)が同医院で、長男(2)を出産した際、助産師資格のない看護師ら2人に妊婦の産道の状況を調べる内診などをさせたとして書類送検されていた。
 菊池さんは、妊婦への使用が禁止されている薬の投与が原因で長男に障害が残ったとして、竹内院長らに約1億7500万円の損害賠償を求めて名古屋地裁豊橋支部に提訴しており、「ずさんな診療行為で、厳重な処分を求めていたので、納得できない。検察審査会への審査申し立ても検討する」と話した。

[読売新聞 ]

豊橋の事件概要は以下の通り。

1.損賠訴訟:投薬で子に障害、産科院長らを提訴--愛知・豊川の親子 - 毎日新聞 (509文字)
 2006年3月4日(土)

 妊婦への投与が禁じられている薬を使用したため生まれた長男に障害が残ったとして、愛知県豊川市の医師、菊池勤さん(29)と妻(28)、長男(2)が3日、同県豊橋市の病院「竹内産婦人科」の院長らに総額約1億7500万円の損害賠償を求める訴訟を名古屋地裁豊橋支部に起こした。
 訴えによると、妻は03年11月、同病院で胃かいようなどの治療薬サイトテックを陣痛促進剤として膣内(ちつない)に直接投与され、約16時間後に長男を出産。長男は嘔吐(おうと)をし、翌朝には全身がチアノーゼ状態になるなどしたため、別の病院に搬送されたが、低酸素性脳症による発達障害を負った。
 サイトテックは子宮の収縮を促進する作用もあるが、製造元などは妊婦への投与を「禁忌」としている。両親は「長男はサイトテックによる『過強陣痛』が原因で低酸素状態に陥り、出生後も適切な処置が行われなかった」と主張している。
 同病院の竹内稔弘院長(66)は「サイトテックは外国で(陣痛促進剤として)多数使用例があるが、日本では許可されていない。患者には説明し了解を得ていたが、3日から使用は中止する。(原告には)謝罪して和解できればいいと思う」と話している。【加藤隆寛】

2.無資格助産:看護師に内診させた容疑で、豊橋の産婦人科を捜索--愛知県警 - 毎日新聞 (395文字)
 2006年10月7日(土)

 愛知県豊橋市の竹内産婦人科(竹内稔弘院長)で、医師か助産師にしか認められていない出産時の内診を看護師らにさせていた疑いがあるとして、県警生活経済課と豊橋署が9月27日、保健師助産師看護師法違反(無資格助産)の疑いで同医院などを家宅捜索していたことが7日わかった。
 同署によると、03年11月に同県豊川市の女性(29)が長男(2)を同医院で出産した際、資格のない看護師らが内診をした疑いがあるという。
 長男は低酸素性脳症による発達障害となり、女性は今年3月、出産の際に同医院の処置が不適切だったとして竹内院長らを提訴。さらに女性と夫は9月中旬、同医院を豊橋署に告発した。
 同医院は7日、毎日新聞の取材に対し「取材はお断りします」と答えた。
 厚生労働省は02、04年に、分娩(ぶんべん)第1期(陣痛開始後、子宮口全開まで)に看護師が内診することは認められないとの通知を出している。【宮里良武】

[毎日新聞 ]

3.愛知県産婦人科医会声明(10月30日)
保健師助産師看護師法違反容疑による警察の家宅捜索と書類送検に関する愛知県産婦人科医会の見解
                        

平成18年10月30日

愛知県産婦人科医会

                    会長 成田   收

保健師助産師看護師法違反容疑による警察の家宅捜索と書類送検に関する愛知県産婦人科医会の見解

今、日本では周産期医療の崩壊が進んでいる。
過酷な勤務、医事紛争の多発、産科要員などの減少によって、新しく周産期医療を志す医師が激減しているのがその原因とされる。
このような中で、平成18年9月27日、愛知県豊橋市竹内産婦人科医院に警察官30名による家宅捜査が行われた。
容疑は昭和23年に制定された保助看法と厚生労働省医政局看護課長が平成14年と平成16年に通達した内診問題に関する法令違反という。
過去、数十年、多くの産婦人科医師、助産師、看護師のチーム医療の弛まざる努力によって、日本の周産期死亡率は世界最低水準となり、世界一の周産期医療を国民に提供できるまでに至った。
愛知県産婦人科医会も従前より絶対的な助産師不足、産科医師減少の厳しい状況の中、地域の産科医療の充実を図り、母子の健康と安全を確保するため最大限の努力を払ってきた。
しかし、平成16年に厚生労働省医政局看護課長通達が出され、産科医療機関で通常行われていた医師の指示下での看護師による分娩経過の観察(子宮口の開大度と児頭下降度の測定)が禁じられた。この通達は厚生労働省内で検討委員会等での充分な検討を経ずに出されたものである。その結果分娩をとりやめた産科医療機関が増加し、地域住民に不安と不便をもたらし、今日の周産期医療の危機的な状況になったと考えられる。
保助看法における看護師による分娩の補助行為(内診も含む)の解釈は、厚生労働省内の「医療安全の確保に向けた保助看法等のあり方検討委員会」で、平成17年4月より13回にわたり議論が行われ、看護師等の内診問題については、見直し論と反対論、慎重論の両論併記となり、別途、検討会を設けて更に議論することとなった。
日本は法治国家であり、法令順守に国民は重い責務を負っている。
しかし、その法令が長い間の医療上の慣行(看護師の内診など)と社会的情勢(産科医療の崩壊、助産師の絶対的不足)を考慮し、又、日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会などの関係団体との議論を重ね、十分なセーフティネットを構築した上で通知されるべきであると思われる。
このような状況を熟慮せず、看護師の内診行為だけを根拠に、警察の家宅捜査および書類送検を実施したのは、国是とすべき日本の少子化対策に真向から逆行させる責任は重大と考える。
今般、分娩医療機関が激減し、助産師の絶対数が極端に不足、偏在している状況を十分考慮し、看護師の内診問題だけで警察の医療機関への家宅捜査が二度と起きないよう、国民とともに安全なお産を守るために、愛知県産婦人科医会は断固抗議するものである。

4.愛知県医師会声明(11月7日)
愛知県豊橋竹内産婦人科医院への家宅捜索に関する愛知県医師会・愛知県産婦人科医会の見解
平成18年11月7日

                     愛知県医師会会長 妹尾 淑郎

                   愛知県産婦人科医会会長 成田  收

愛知県豊橋竹内産婦人科医院への家宅捜索に関する
愛知県医師会・愛知県産婦人科医会の見解


 横浜の堀病院に続いて,愛知県豊橋市竹内産婦人科医院においても、保健師助産師看護師法(保助看法)違反被疑事件により警察官30名にも及ぶ家宅捜索が行われたことに対し大変な衝撃を覚えた。そこで,愛知県医師会,及び愛知県産婦人科医会において、以下のとおり声明する。

「分娩医療機関が激減し、助産師の絶対数が極端に不足、偏在している状況を十分考慮し、看護師の内診問題に関し,警察の医療機関への家宅捜索などが2度と行われないよう、国民とともに安全なお産を守るために、断固抗議する。」

産科要員(医師,助産師,看護師,及び准看護師)の減少をはじめとする過酷な産科医療の現場を無視したこのような警察権力の介入は、産科医療の崩壊に一層の拍車をかけるものであり,その結果、分娩取扱施設は益々減少し、分娩難民が出現するなどの重大な混乱が待ち受けていることを考えなければならない。

医師法17条では「医師でなければ、医業をしてはならない」と定められており、助産は紛れもなく医業そのものである。医師法17条の例外として,保助看法第3条において、助産師を,「厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じょく婦若しくは新生児の保健指導をなすことを業とする女子をいう」と定義し,同30条で「助産師でなければ、第3条に規定する業をしてはならない、但し医師法の規定に基づいてなす場合は、この限りではない。」と規定している。さらに,保助看法5条、6条では、看護師、及び准看護師は、「診療の補助」を行うことが認められている。

したがって、助産師には保助看法第3条、第30条により医業の一部である助産行為を行うことが認められているが、医師が行う分娩介助に関しては、看護師及び准看護師が、医師の指示のもとで診療の補助として医師の指示の範囲内で子宮口開大の計測等の補助行為(注)を行うことは可能であると解釈することができる。

保助看法には助産についての定義はなく、また内診の文字すら見当たらないなか、昭和23年に制定されて以来、50年以上の長きにわたり厚生労働省は看護師及び准看護師による内診を診療の補助行為として認め、あるいは黙認し、何事もなくこの法律の下に粛々と産科医療がとり行われてきたという経過がある。その間、大多数の分娩は、自宅分娩から施設分娩で行われるようになり、分娩を担当する医療従事者も産婆(助産師)から医師(産科医)に取って代わったにもかかわらず,保助看法は半世紀以上も抜本的な見直しが行われておらず,時代にそぐわない点が多数存在する。

保助看法を解釈するにあたっては,保助看法制定当時の医療情勢,医療水準と現在の医療情勢,医療水準は著しく異なっており,現代の医療情勢,医療水準に則して行わなければならない。

現代の産科医療においては、医師、助産師、看護師、及び准看護師の相互の協力なくして成り立たない。我が国が,周産期の母体死亡率の低さなど,世界のトップレベルにある産科医療を提供できるようになったのは,超音波診断装置や分娩監視装置をはじめとする種々の機器や検査の導入とともに,産科要員(医師、助産師、看護師、准看護師)の弛まざる努力によるものである。医師個人が,24時間365日妊婦の経過を観察することは不可能である。医師の指示により,助産師,看護師,及び准看護師に経過観察の一部を担当させることは必要不可欠である。日本産婦人科医会は、分娩1期において、医師の指示のもとで看護師、及び准看護師が診療の補助として行う子宮口開大の計測は、保助看法3条に違反しないという解釈論を主張してきた。愛知県医師会,及び愛知県産婦人科医会は,この日本産婦人科医会の見解を支持するものである。

今回の家宅捜索の根拠となった医政局看護課長通知は、当時の厚生労働大臣の決裁がないまま看護課長一個人の法解釈で発せられたものである。しかも産婦人科専門集団である医師会、産婦人科学会、医会には何らの事前協議も行われていない。看護課長通知が発せられた後に、「医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会」において議案とされ、その「まとめ」においても両論併記とされたことは、看護課長通知の解釈に疑義があることを裏付けるものである。

看護師、及び准看護師による子宮口開大の計測の評価については、複数の解釈論が対立し,確定的な見解が得られていない。前記「医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会」において検討中であるにもかかわらず,看護課長の解釈に依拠して、一方的な警察権力の介入を行うことは、まったく不当なものと言わざるを得ない。

産科医の減少とともに、看護課長の解釈にのみ依拠して、医療機関に対する捜索差押等の警察権力の介入を行うことは、産科医療の現状を省みることのない不当な対応であり、産科医療に対する抑止効果は大きい。このような事態が続けば、産科医療の崩壊は一層加速し、多くの診療所・私的病院での分娩は困難となり、とくに地方においては半数以上の分娩が立ち行かなくなり、多くの妊婦に無用の不安をあたえることは必至である。この国の国是とする少子化対策とは真っ向から反するものである。

以上より、愛知県医師会,及び愛知県産婦人科医会は,分娩医療機関が激減し、助産師の絶対数が極端に不足、偏在している状況を十分考慮し、看護師の内診問題だけで警察の医療機関への家宅捜索などが2度と起きないよう、国民とともに安全なお産を守るために、断固抗議する。

(注)は「介助」から「子宮口開大の計測等の補助行為」に文章を訂正しました。2006/11/9

 


2006年11月14日
 愛知県豊橋市竹内医師の起訴猶予裁定に対する
 日本産婦人科医会の声明  PDF
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愛知県豊橋市竹内医師の起訴猶予裁定に対する
日本産婦人科医会の声明

 平成18年11月10日、名古屋地方検察庁において、竹内稔弘医師に対する保健師助産師看護師法(保助看法)違反被疑事件について、起訴猶予とする裁定が行われた。今回の起訴猶予の裁定は、科刑権を行使しないという点、並びに内診行為(子宮口開大や児頭の下降の計測)そのものについて健康被害の危険性が認められないと指摘している点については、評価に値するものではある。しかし、当会は、本件を起訴猶予とした裁定は誤りであり、不起訴の裁定をすべきであったと考える。

 当会は、医師が行う分娩介助に関して、看護師及び准看護師が、医師の指示のもとで診療の補助(保助看法5条、6条)として子宮口開大の計測や児頭下降度の計測を行うことは、保助看法に違反しないことを主張してきた。
 厚生労働省医政局看護課長は、平成14年11月14日付医政看発第1114001号、及び平成16年9月13日付医政看発第0913002号の各回答において、内診(子宮口の開大、児頭の下降、頚管の熟化の判定)は、保助看法3条に規定する助産であるとの判断を示した。
 そもそも、厚生労働省医政局看護課長の回答は、法規の性質を持つものでなく、看護課長の回答は、下級行政機関を拘束するが、一般国民に対して拘束力を持つものではない。また、裁判基準として用いられるものではない。
 看護課長の回答は、審議会や検討会を経ることなく、あるいは日本医師会、日本産婦人科医会の見解を聴取することなく、発せられたものである。また、分娩医療機関が激減し、助産師の絶対数が極端に不足、偏在している現況を十分に調査することなく、発せられたものである。
 看護課長の回答が発せられた後になって、厚生労働省内に「医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会」が設置され、その検討会で、看護師、及び准看護師による内診の問題が議案とされるにいたった。検討会のとりまとめにおいても、看護師、及び准看護師による内診については、見直し論、反対論、慎重論が併記され、一義的な解釈論は導かれていない。また、「産科における看護師の業務について」は別途、検討することになっている。

 自宅分娩から施設分娩へ、産婆(助産師)から、産科医師へ、と分娩のあり方が変化しているにもかかわらず、保助看法は、昭和23年から平成14年までの54年間見直しが行われず、平成14年改正においても、保健師、助産師、看護師の業務について、抜本的な見直しはなされなかった。保助看法の解釈にあたっては、現代における産科医療のあり方、医療の発展状況、産科医師、助産師、看護師、及び准看護師の技能、教育、充足度等の社会的要請等を踏まえつつ、時代に即して、助産師、看護師及び准看護師の役割や業務内容を検討していくべきである。そして、現代の産科医療は、医師、助産師、看護師、及び准看護師の相互の連携や協力なしには成り立たない。我が国が、周産期死亡率、妊産婦死亡率の低さに見るように、世界のトップレベルにある産科医療を提供できるようになったのは、超音波診断装置や分娩監視装置をはじめとする種々の機器や検査の導入とともに、産科要員(医師、助産師、看護師、及び准看護師)の弛まざる努力によるものである。
 産科医の減少とともに、看護師や准看護師による子宮口の開大や児頭下降の計測が認められないことになれば、産科医療の崩壊は一層加速し、多くの診療所・病院での分娩は困難となり、とくに地方においては半数以上の分娩施設が立ち行かなくなることは明白である。
 国是たる少子化対策の大本を担っている産科医療現場の混乱を一日も早く収束することこそが、国を挙げての少子化対策となるのではないだろうか。
 しかし、今回の起訴猶予の裁定は、不起訴裁定とは異なり、情状次第では未だ起訴される余地を認めることになる。そのため、今回の起訴猶予の裁定は、全国の産科医に対して、依然として抑止的効果を与えることになり、今後分娩取り扱いを断念せざるをえない産科医が続くことが懸念される。
 よって、当会は、本声明により、今回の起訴猶予裁定は不当であり、不起訴裁定を行うべきであったことを指摘するとともに、速やかに「産科における看護師の業務について」の議論が尽くされ、統一的な見解が示されるよう求めるものである。

平成18年11月14日


投稿者 akiuchi : 05:42 PM

November 11, 2006

妊娠高血圧症候群と子癇発作

最近産科学の教科書が書き換えられて妊娠中毒症という用語は使われなくなった。代わって登場したのが妊娠高血圧症候群である。まだなじみのないこの用語と妊娠中毒症はほとんど同じ概念なのだが前者では浮腫が定義から外れているというところが大きな特徴になっている。浮腫はどうでもいいというわけではなく病態を考えた時には大事な症状なのだが浮腫のみで終わるケースも多いので今回は疾患の定義からはずされたというのが事の真相である。浮腫を軽く考えてはいけない!子癇発作(Eclampsia)は妊娠高血圧症候群のひとつの表現型です。脳内出血との鑑別は瞳孔検査なのどの神経学的検査によってつけることになります

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妊娠中毒症の新常識(6) 「妊娠高血圧症候群」学会の定義
http://allabout.co.jp/children/birth/closeup/CU20041020F/

妊娠中毒症(子癇を含む)
Preeclampsia(including Eclampsia)

 妊娠中毒症の病態は血管れん縮と血管内皮障害である.治療もこれらの改善をはかることが主体となる.保存療法で改善を認めない場合は妊娠の終了を行う.ターミネーションは母児の状態を慎重に把握しタイミングを決定する.
◆治療方針
A.保存療法
1.安静 ストレスは交感神経活動を活性化させ血管れん縮を増強する.妊娠中毒症では安静にし,ストレスを遮断し,交感神経の過剰刺激をなるべく少なくすべきである.しかし,拘束感を抱かせるような絶対安静は逆にストレスを増加させる可能性もあり,本人がリラックスできるような安静法を症例ごとにとる.
2.不眠に対する対策 妊娠中毒症では睡眠が障害されている.腹部大動脈を圧迫しないような就眠体位をとらせ,照明に気を配り深い睡眠をとらせる.
3.食事 不規則な糖質の過剰摂取を控える.妊娠中毒症は血管内脱水であるので,極端な塩分制限は避け1日7g程度までの制限にとどめる.
4.術前術後の管理 術前術後の交感神経を刺激するような処置にも注意を要する.帝王切開後で尿道カテーテル抜去後(膀胱充満),浣腸,排便時などに交感神経が活性化しやすいので注意する.
B.薬物療法
 ヒドララジンが第1選択である.次いでαブロッカー,αβブロッカーを用いる.
処方例 下記の薬剤を症状に応じて適宜用いる
1)アプレゾリン⇒注(20mg) 100mg+ラクテック⇒注 500mL 0.05-0.1mg/分 点滴静注,またはアプレゾリン⇒錠(25mg) 2-6錠 分2-3
2)アルドメット⇒錠(250mg) 2-6錠 分2-3(保険適用外)
 short actingのカルシウム拮抗薬は禁忌である.妊婦の腹痛にブスコパン⇒のような副交感神経遮断薬が安易に用いられているが,使用しない方が無難である.
C.子癇の治療
 子癇が繰り返されると多臓器不全の可能性が高くなるので,子癇重積発作を起こさせないことがポイントである.エアウェイなどによる気道確保を行い,人工換気を行う.血管確保の後,下記の薬物療法を行う.
処方例 1)のほか,必要に応じて2)を用いる
1)マグネゾール⇒注 1回4g ゆっくり静注(急速飽和)
  ジアゼパム⇒注またはセルシン⇒注 1回10mg 静注
2)ワコビタール⇒坐薬(100mg) 1回1個
 子癇重積状態では上記に加え3)を投与する
3)コントミン⇒注 1回10-50mg 点滴静注
 DICを併発しやすいので4)または5)による早期の抗DIC療法も行う
4)アンスロビンP⇒注 3,000単位 初日静注 以後漸減
5)ウリナスタチン⇒注 30万単位/日 静注
 分娩後急性の消化管拡張や麻痺性イレウスをきたしやすくなるので,十分なsedationにより交感神経系を抑制する.
D.ターミネーションの指針
1.母体側 子癇,HELLP症候群,治療に反応しない重症妊娠中毒症,腎機能障害,血液凝固異常の悪化(血小板減少,ATⅢ減少).
2.胎児側 胎児発育停止,biophysical profile scoreの悪化.
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投稿者 akiuchi : 10:43 AM

意識障害

奈良県の病院で脳内出血(高血圧による出血か?)による意識障害をおこした妊婦を子癇発作と診断して転送先が決まらずに妊婦死亡にいたった症例が問題になっている。私のような産科しかしらない藪医者(産科バカともいう)は他科の領域には疎いので私のところで同様なケースに遭遇したときに果たして適切な判断を下せるか自信がないというのが正直な思いだ。そこで今回は意識障害について少し勉強してみた。
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意識障害
Disturbance of consciousness

 意識障害の患者が救急で搬入された場合には,まずバイタルサインと意識障害の程度を把握することが重要である.
 血圧,脈拍,呼吸の状態を迅速にチェックし,質問に対する反応や外的刺激により,コーマスケールのどのレベルに当たるのかを評価しなければならない.
 患者の病状が把握できている際には,初療を行いつつ原因に対する治療をすすめることができるが,病歴も不明のままで搬入された場合は,必要な救急処置を行いながら,全身的ならびに神経学的診察を行う.
 患者発見者や救急隊員から,発症時の状況について可能なかぎりの情報を集め診断の一助とする.

初療の要点
① バイタルサインの把握
 血圧,脈拍,呼吸,体温の状態をチェックする.特に両側の頸動脈の触知,不整脈の有無,呼吸状態と気道閉塞の有無を迅速に判断する.低体温はそれ自体が意識障害の原因となる.
② 気道の確保
 気道の障害(嘔吐と誤嚥,舌根沈下,気道内異物,喉頭浮腫,気管支攣縮など)や,呼吸運動の障害(無呼吸,失調性呼吸,努力呼吸,Cheyne-Stokes呼吸,過呼吸),また低酸素血症が疑われる場合は,直ちに気管内挿管により気道を確保する.
 呼吸状態が一見正常でも,昏睡患者では気道の閉塞を未然に防ぐ目的で気管内挿管を行うのが原則である.また嘔吐を防ぐため,胃管も挿入しておく.
③ 循環のチェック
 心電図モニターの装着(不整脈監視),中心静脈路の確保と圧測定,動脈圧モニター,バルーンカテーテルの挿入による時間尿量測定.
④ 意識レベルと神経学的異常のチェック
 コーマスケールに準じた意識障害の程度の把握,脳幹症状の有無,特に瞳孔所見と対光反射,眼球位置と運動の異常,四肢硬直と腱反射,痙攣,病的反射,不随意運動の有無をみる.
⑤ 体表所見のチェック
 外傷痕,体表面の異常(皮膚色,皮疹,出血斑,褥瘡など),その他理学的所見を検索する.
⑥ 緊急に行うべき検査
 血液ガス,酸塩基平衡,血糖,ヘマトクリット,電解質,血清浸透圧,BUN(血液尿素窒素)などを検査し,続いて生化学・止血凝固能などを検査する.
⑦ 問診
 意識障害の原因に関する情報を収集する.
⑧ 呼気臭気のチェック
 アルコール臭(アルコール中毒),アセトン臭(糖尿病性ケトアシドーシス),尿臭(尿毒症)などは代謝性脳症を考え,頭蓋内病変の評価より,原疾患への診断治療が優先する.
⑨ 精神疾患,薬物中毒
 精神疾患や薬物中毒に対しては,疑うことが治療の発端となる.

重症度を評価するポイント
① 重症度と緊急度の評価
 意識障害の中でも緊急性を有する患者には,上記の救急処置を行いながら,手術の適応のある患者を選別し,手際のよい全身管理を開始することが初療時の要点である.

 以下のような状態の意識障害を有する患者は重篤であり,手術や適切な治療が難しければ,しかるべき施設への転送も考慮する.
 ①突然発症した高度の意識障害は,緊急性が高い.重症度も一般に高い.
 ②高度(JCS III 群,GCS7点以下)の意識障害が持続ないし悪化する場合.
 ③嘔吐や高血圧,徐脈は脳圧亢進(Cushing現象)を示唆し,低血圧は生命の危機ととらえる.呼吸パターンの異常は脳幹機能不全やアシドーシスの進行,気道の障害を考える.
 ④瞳孔の散大,左右不同,対光反射消失,共同偏視,異常眼球運動,除脳硬直肢位,咳嗽反射(バッキング)の消失.
 ⑤高体温や異常な発汗は視床下部体温調節中枢の障害を示唆する.

意識とその評価法(コーマスケール)
 意識清明とは周囲の環境と自己を認識し,外界からの刺激や情報に適切な反応を示すことができる状態ということができる.
 意識水準を正常に維持するためには,脳幹に存在する脳幹網様体賦活系からの投射を受け,大脳皮質が正しく活動をしていなければならない.また,視床下部では睡眠と覚醒のリズムがつくられており,ここから大脳辺縁系への働きかけがあると同時に,中脳を介して大脳皮質へも働きかけている視床下部調節系も重要な役割を果たしている.
 したがって,意識障害は広範な大脳皮質障害や脳幹網様体の障害,視床下部の障害によって起こっているはずである.その原因によって,障害が脳細胞の器質的異常によるものと,代謝異常などのように脳の機能的異常によるものとに分けることもできる.

 意識障害の程度は古典的には,全く反応のないものを深昏睡(deep coma),痛みや不快な刺激に多少反応する半昏睡(semicoma),命令に対して反応がある程度できるものを昏迷,意識混濁,傾眠(stupor,confusion,somnolence)などと呼んで区別していたが,定義や境界があいまいなため,最近は以下に述べるコーマスケールに準じて評価することが一般的である.

① Glasgow Coma Scale(GCS)(表 1[表])
 急性期の意識障害の程度を,患者の開眼,発語,運動の3つの要素での反応様式を点数化することで予後を判定するスケールである.外傷を中心に作成されたが,その他の原因による意識障害の判定にも広く利用されている.
 正常は15点,最悪は3点である.注意すべきは,合計点数が同じになる複数の組み合わせがあるため,点数が同じでも意味の異なる患者が存在することである.
グラスゴースケール.jpg

② Japan Coma Scale(JCS)(表 2[表])
 わが国においては,意識レベルを客観的,数量的に表現する方法として,太田らによる3-3-9度方式が汎用される.
 しかし,点数の大きさに実数としての意味はなく,統計学的処理などには向かない(300は30の10倍重症ではない).
 コーマスケールはだれが行っても一定の結果が出る点に価値がある.それによって時間的経過と病状の推移が把握できることになる.
 しかし,患者の意識状態はコーマスケールだけで,評価し得る程単純なものではない.実際に診察した際の患者の反応,言語の状態,運動の状態などもそのまま具体的に記載する習慣をつけておくことも大切である.
3-3-9.jpg

神経学的診察のポイント
① 瞳孔径と対光反射の有無
 一側瞳孔散大,対光反射遅延,そして対側の片麻痺があれば,瞳孔散大側のテント上病変によるテント切痕ヘルニアを考える.
 しかし,まれには瞳孔散大側と同側に片麻痺がみられることがあり,これは大脳脚が対側のテント端で圧迫されるためである(Kernohan 圧痕という).
 瞳孔が両側とも著明に縮瞳している際には,橋出血,脳室内出血,ヘロイン,モルヒネ,バルビタール,有機リン中毒も疑われる.
② 眼球位置と眼球運動
 眼球が正中に固定しているか,不随意に動いているか,偏位がないかをみる.
 意識障害でも人形の目現象が正常であれば,前庭神経から動眼・外転神経を介する脳幹反射は保たれている.
 ただし,人形の目テストは頸髄損傷を合併していると考えられる患者には行ってはならない.
③ 運動麻痺の有無
 患者の自発的な動き,あるいは痛み刺激に対する反応からどちらの上下肢の動きが悪いかを判定する.
 ヒステリー性昏睡ではarm dropping testで顔面をさけて上肢が落下するのが特徴である.
④ 四肢の異常肢位
 除皮質硬直は大脳が広範に障害されたときに出現し,上肢は肘関節で屈曲,手首,手指も屈曲し,下肢は伸展かつ内転し,足関節も底屈する.
 除脳硬直は中脳レベルの障害でみられ,上肢は伸展,前腕は回内し,下肢は伸展し足関節は底屈する.除脳硬直は除皮質硬直より障害が重篤であると考えられている.
⑤ 錐体路症状
 四肢の筋緊張の亢進(クローヌス),深部腱反射亢進,バビンスキー反射やチャドック反射などの病的反射は錐体路の病変で一般的にみられる.
⑥ 髄膜刺激症状
 項部硬直やKernig徴候はその代表で,くも膜下出血や髄膜炎に特徴的であるが,発症直後や最重症例では逆に所見を欠くことがある.

行うべき検査の手順
① スクリーニング検査
 緊急検査を考える時,表3[表]のごとく必須項目と選択的項目に分けて選ぶことが必要である.
 そのうちの,必須項目に属するものは,あらゆる意識障害患者に対するスクリーニング検査で時間外でも速やかに行われる体制が望まれる.
② 心電図と胸部X線撮影
 心室性不整脈や房室ブロックなど徐脈性不整脈などが,Adams-Stokes発作との関連において重要である.
 胸部X線は心血管系の異常のみならず,中枢性肺水腫や誤嚥の有無,挿管チューブやカテーテルの位置確認にも必要である.
③ 頭部単純X線撮彰
 少なくとも正面,側面,タウンの3方向.骨折線(新鮮もしくは陳旧性の有無),トルコ鞍の拡大,異常石灰化像,松果体偏位などをみる.次に述べる頭部CTスキャンのほうが情報が多く,これを優先的に行ってもよい.
④ 頭部CTスキャン
 頭蓋内病変が疑われる場合,神経症状に左右差や巣症状のあるもの,意識障害の程度が強い場合などに適応がある.必要に応じて造影剤増強法を行う.
 CTスキャンは出血性病変の診断にもっとも価値があり,腫瘍,膿瘍,梗塞などにも適応がある.梗塞初期,髄膜炎,脳炎,また多くの代謝性脳症では明確な所見を得がたい.
脳室やくも膜下腔の拡大や変形は頭蓋内圧亢進や占拠性病変による間接的所見として有益である.
⑤ 腰椎穿刺
 CT導入前ほど頻用されないが,血性髄液,細胞数・蛋白量増加,髄液圧上昇の有無をみる.他の検査で病因が明らかでない場合,特に頭蓋内感染症で診断価値は大きい.少しの細胞増多,圧上昇も有益な情報であることがある.
 脳炎などが疑われる時には,ウイルス抗体価検査のためにも多めに採取し,凍結保存しておく(同時期の血清も凍結保存).
⑥ 頭部MRI
 CTで見逃されやすい頭蓋内病変にも診断的価値がある.急性期に施行できれば有用な情報が得られる.
⑦ 脳血管撮影
 脳動脈瘤など頭蓋内血管性病変の最終的診断に不可欠である.DSA(Digital Subtraction Angiography)は侵襲が少ない.
⑧ 脳波
 てんかん(postconvulsive coma)の診断には必須である.大脳の活動性を反映する.脳病変の局在診断にも役立つことがある.
⑨ 聴性脳幹反応(Auditory Evoked Potential)
 Ⅰ~Ⅴ波までの各波形が同定され,その潜時の計測により脳幹機能を評価できる.
 潜時の延長や波形の消失はかなり重篤な脳障害にのみみられる点に注意.
⑩ 中毒物質検査
 アルコール,医薬品過量(鎮痛解熱薬,睡眠薬,向精神薬,その他),その他の毒物の定性定量は,原因不明の意識障害の診断には重要であるが,薬物・毒物の特定ができない時には検索物質の選択や同定が極めてむずかしい.
⑪ 細菌学的検査
 中枢神経系感染症や敗血症による意識障害などの場合,血液,髄液の細菌学的検査は,適切な抗生物質療法の早期開始のために重要である.
 エンドトキシンの定量は,グラム陰性桿菌や真菌感染の指標となる.
 ウイルス抗体の証明も確定診断に重要であるが,結果が得られるまでに時間を要するため,治療的意義はうすい.
⑫ 血液凝固検査
 潜在的血液疾患(白血病,血友病,ITP,TTPなど),DIC合併,抗凝固療法の副作用などに基づく出血性病変の診断に役立つ.
緊急検査.jpg

緊急的処置
 救急外来で短時間で行うことが可能な処置は,意識障害の診断と並行して(もしくは先行して)行うことが必要である.
 次に,緊急手術が必要かどうかを判断し,その適応がなければ,最適な保存的治療を選択することになる.
① 気道確保と換気,酸素投与
 高度意識障害の全例と循環器疾患,低酸素血症,ショック,各種中毒,頭蓋内圧亢進状態などにおいて広く適用される(例外は酸素化により組織障害が促進されるパラコート中毒).
② 輸液,アシドーシスの補正,低血糖の補正,不整脈や血圧の異常に対する治療,尿量確保
 これらは迅速に行う.
 代謝性脳障害が疑われるが,すぐには検査データが得られない時には,低血糖かWernicke脳症を考え,ブドウ糖とビタミンB1100mgの投与を試みるべきである.これらは,適切な処置により急速に意識が改善するが見逃せば致命的となる.
 体温補正,電解質補正などは急激な変動が病態をかえって悪化させることがあり,時間をかけて慎重に行われるべきものである(例えば,低体温からの復温時に不整脈がみられたり低ナトリウム血症の急速なナトリウム補正により橋中心髄鞘脱落が起こる可能性がある).
③ 鎮静
 意識障害患者の鎮静は,以後の意識レベルの変動を評価できなくなることを知った上で行う.
 通常,マイナートランキライザーを投与するが,無効時にはメジャートランキライザーやバルビツレートの投与も,患者の安全と治療への協調のために必要となる.
④ 感染症対策
 全身性感染症(敗血症や菌血症),化膿性髄膜炎などの中枢神経系感染症はもちろんのこと,肺炎などの二次的感染症の予防や治療の目的でも抗生物質投与が必要である.
 ウイルス性髄膜炎である可能性が高い時には,アシクロビルの静注を積極的に行う.
⑤ 脳浮腫対策
 頭蓋内圧亢進が認められる時には,過換気によるPaCO2 の調節,高張溶液や利尿薬投与,水分制限などがある程度効果的である.
 頭部外傷や一部の脳血管障害にはバルビツレート療法も行われる.
⑥ 頭蓋内減圧手術
 急性水頭症に対する脳室ドレナージのほか,mass effectの強い頭蓋内血腫や膿瘍には絶対的手術適応がある.

どうしても診断がつかない時に試みること
 意識障害の原因は極めて多岐にわたり,かつ複数の因子が関与していることもある.問診の再度の聴取や症状の発現様式の再検討を行う.
 それでも診断できない場合には,スクリーニング検査の繰り返しに終始せず,幅広い視野での検査計画が必要となる.しかしながら,これらによっても診断がつかず,対症療法(気道の確保,感染予防,体液栄養管理など)のみで回復してしまう例も少なくない.
フローチャート.jpg

投稿者 akiuchi : 09:52 AM

November 10, 2006

ぜい弱、産科救急--末原則幸さん

大阪府立母子保健総合医療センター産科部長・末原則幸先生が奈良県大淀町立病院でおきた事故に関して産科救急システムについてインタビューを受けている。大阪はまだましといわれているのだが・・・
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迫:核心インタビュー ぜい弱、産科救急--末原則幸さん - 毎日新聞 (2435文字)
 2006年11月8日(水)

 ◇高リスクの出産増、母親の命もっと大事に--大阪府立母子保健総合医療センター産科部長・末原則幸さん(60)
 奈良県大淀町立大淀病院で今年8月8日未明、意識不明になった妊婦の搬送先がすぐに見つからず、大阪府の病院で死亡した問題は、産科救急システムのぜい弱さを見せつけた。受け入れられなかった19病院のうち17病院は大阪府にあり、大都市でも同じことが起こる可能性を示した。安心してお産はできないのか。大阪府の産科救急ネットワークの中核を担う府立母子保健総合医療センターの末原則幸・診療局長兼産科部長に聞いた。【科学環境部・根本毅】
 ――大阪府の産科救急システムはどうなっていますか。
 ◆府内では年間8万件の出産があり、約200の出産施設が支えている。多くは異常なく妊娠、出産が進むが、妊娠中の出血や切迫早産、前置(ぜんち)胎盤、難産、産後の出血など、地域の病院では対応しきれない場合もある。緊急事態の時に、高次病院で24時間受け入れられるように大阪産婦人科医会が87年、「産婦人科診療相互援助システム」(OGCS)を発足させた。最初はボランティアだったが、現在は府医師会のバックアップや府と大阪市の補助金を受けている。緊急手術ができるなどの条件を満たす43病院が参加し、システム整備や周産期医療の調査、医師研修などをしている。
 地域の出産施設で妊婦の搬送が必要になると、まず近くのOGCS参加施設に依頼が来る。そこで受け入れ不可能な場合、インターネットの空床情報を参考に受け入れ病院を探す。最近では、年間1500件の緊急搬送がある。全国でも先進的なシステムだ。
 ――大淀病院のケースでは、空床情報を利用してもなかなか搬送先が見つかりませんでした。
 ◆空床情報は1日1回をめどに更新するため、その後満床になることもある。ベッドが空いていても、医師が分〓(ぶんべん)中や手術中で対応できないこともある。最近は、私の施設でも搬送依頼を受けて他病院を探すケースが増えており、実感として空床が減っている。
 ――産婦人科医不足が影響していますか。
 ◆関連していると思う。産婦人科、新生児集中治療室、小児科、麻酔科の医師不足で、周産期医療を担う病院が段々少なくなっている。産科は忙しく、刑事や民事で訴えられることもあり、大学を卒業したばかりの医師に夢を与えられなくなっている。労働条件が改善され、忙しいところは忙しいなりに給料が出るようにして、多くの医師が知恵を出し合って妊産婦を助けるようにすれば、働きがいが出てくる。今は、各施設が少ない人数で頑張り、燃え尽きてしまっている。
 さらに、「危険な出産」を避ける傾向がある。福島県で前置胎盤の妊婦が帝王切開中の大量出血で死亡し、医師が刑事責任を問われた事件を受け、以前、帝王切開したことのある妊婦や、前置胎盤の妊婦を紹介してくる施設が増えた。また、不妊治療に伴う多胎(双子や三つ子など)や高齢の妊婦が増え、リスクのある出産が増えている。リスクの高い出産を高次病院に依頼するのは本来の姿だが、危険が少しでもあればすぐ送るようになっている。市民病院のような地域の中核病院が十分に受け入れないため、基幹病院の総合周産期母子医療センターにハイリスク症例が集中する。そのため受け入れられない事態に陥る。
 ――このままでは安心してお産できませんね。
 ◆今後、地域の基幹病院や中核病院を中心に、どう再編するかが大きな課題だ。システムがうまく機能するために、比較的危険性が低い妊婦は地域の中核病院で受け入れてもらう。もっと軽い妊婦は、地域の第一線の産科医に頑張ってもらう。救急時には高次施設がきちんと受けるという保証がないといけない。
 ――今回は主に大阪で転送先を探しました。
 ◆大阪の方が病院が探しやすいという状況がある。現在、個々の症例で奈良からの受け入れ依頼を断ることはないが、大阪のネットワークの中に奈良が入るとなると、大阪の人の行き先がなくなってしまう。奈良でもネットワークを整備してもらえれば、将来は大阪と奈良で連携できる。
 ――日本は、新生児死亡率は世界一低いが、妊産婦死亡率はそうではありません。
 ◆総合周産期母子医療センターは、妊娠固有の病気や早産、赤ちゃんの異常への対応を中心に整備している。我々の努力不足だったのだが、母親の命をもっと大事にしないといけない。産婦人科だけですべて救うのは無理。脳神経外科や麻酔科、救命救急センターなどと連携する必要がある。
 ――安心してお産をするために、妊婦にも気をつける点はありますか。
 ◆患者は賢くならないといけない。特に妊婦は、出産まで10カ月もあるのだから、危険な状態になった時のことについて医師ともっと話をして出産場所を選ぶのがいい。病院に産科医が何人いて、緊急の場合にはどうなるのか。どんな手術ができて、どんな場合に他に送るのか。情報公開が少ない原因は病院側にあるが、妊婦自身の働きかけで変わると思う。
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 ◇総合周産期母子医療センター
 緊急かつ高度な治療を必要とする母子に対応するための医療機関。国が04年に定めた「子ども・子育て応援プラン」で、同センターを中心とした周産期医療ネットワークを08年3月までに整備するよう、全都道府県に求めた。母体・胎児の集中治療管理室(MFICU)6床以上、新生児集中治療室(NICU)9床以上が国の方針だが、奈良県のほか、秋田、山形、岐阜、佐賀、長崎、宮崎、鹿児島の7県が現在も未整備。
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 ■人物略歴
 ◇すえはら・のりゆき
 1946年、大阪府生まれ。大阪大医学部卒。大阪府衛生部、阪大助手を経て、87年大阪府立母子保健総合医療センター産科部長。今年4月から同センター診療局長兼務。OGCS運営委員長。

[毎日新聞 ]


投稿者 akiuchi : 10:00 PM